「ワギアアアアア!!」
基礎データ
概要
ポケモンSVの追加コンテンツ『ゼロの秘宝』の碧の仮面から登場した、でいたんポケモン・ガチグマの特殊個体。
海を渡って別の地方からキタカミの里に流れつき、定住した個体が長い年月を経て特別な能力を持つに至った姿。
通常の個体よりも巨大な身体を持っており、最早人間を覆い隠さんばかりのその巨体に圧倒されること間違いなし。気だるげだった人相も目が吊り上がって強面さが増し、体毛も焦げ茶色から薄い茶色に変化している。
また基本ガチグマは四足歩行で、興奮したときなどにときおり上体を起き上がらせる程度だったが、こちらはかなりの猫背なれどリングマのように常時二足歩行で立つようになった。ただし早めに移動する場合は、こちらも四足歩行となる。
鎧の役割を果たす鉄のように硬質化した身体の泥炭は顔の左半分を覆う形になっており、その禍々しい姿はまるで常世をさまよう亡霊のよう。下顎には硬質した泥が顎髭のような形に鋭利化しているが、両腕の泥は少なくなっている。
左目は眼帯をしているかのごとく黒く変色し、らんらんと不気味に輝く緑の黒目は、どんな暗闇でも見通す視力を持っているという。
故に失明している訳ではなく、むしろ逆で、後述する特殊な特性を獲得するに至ったことと大きく関わっている可能性がある。
総じて見るからに凶暴そうだが、劇中では非常に用心深いとされ、主人公達を見てもリングマのようにすぐ襲い掛かったりはせず様子見に回るなど、気質自体は他のガチグマと対して変わらない模様。
後述のように特攻が高くなったが、上述の二足歩行といい、それほどの知能の発達ゆえだろうか?
そして、最大の特徴は額にある血が重なったようににじんだ真っ赤な満月の模様であり、この個体が「赫月(アカツキ)」という二つ名で呼ばれる理由である。
ゲームでの特徴
キタカミ図鑑に150種類以上登録している状態で、スイリョクタウンにいるサザレに話しかけて発生するサブイベントを進めることで捕獲可能。いわゆる隠しボスであり、サザレが探し求めていたポケモンの正体でもある。
上記のように遭遇時は軽い威嚇だけで大人しくしていたが、サザレが撮影の際うっかりフラッシュを炊いて刺激してしまった事で襲い掛かってくる。
戦闘はムゲンダイナやオーガポンに近い形となっており、倒し切れば確定捕獲のため好きなボールに入れることができる。また、戦闘前および戦闘中に流れるBGMが『LEGENDSアルセウス』におけるオヤブン戦のものになっているという中々にニクい演出も。
通常のガチグマとは別個のポケモンとして扱われており、すでにガチグマをゲットしていてもキタカミ図鑑に登録されない仕様になっている。また、ブロックルーチンがかかっているため、色違い個体を出すことは不可能。
一方で、原種とリージョンフォームに近い関係であるため、原種ガチグマの色違いを持っている場合は図鑑からアカツキの色違いの姿を閲覧することは可能である。
リングマからのこの個体への進化方法は今のところ存在せず、現状1つのセーブデータにつきこのイベントで入手できる1体のみとなっているため、厳選する場合は注意(ある意味で準伝説枠に近い)。
一応、タマゴを作ることはできヒメグマが孵化するが、進化させてもSV内ではリングマまでしか進化できない。
なお、性別はオス、性格は「がんばりや」、サイズは標準サイズでそれぞれ固定であるため、厳選できるのは個体値配分(+収めるボール)のみとなる。
個体値厳選は特殊型かつそこそこ鈍足であるためA0とS0どちらも厳選価値がある。ただし3V以上固定であるため、(特に両立を狙う場合は)長期戦が予想される。
ボールはやはりというべきか、ムーンボールが人気な模様。ただし、キタカミ図鑑の報酬で貰える(競り以外で)2つ目のレアボのうち、ムーンボールはキタカミ図鑑完成の報酬(=アカツキガチグマの登録が必要)であるため注意。
性能
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アカツキ | 113 | 70 | 120 | 135 | 65 | 52 | 555 |
通常 | 130 | 140 | 105 | 45 | 80 | 50 | 550 |
変化 | -17 | -70 | +15 | +90 | -15 | +2 | +5 |
原種とは一転して非常に高い特攻の持ち主。何とじめんタイプ随一の数値を誇り、これを上回るのは一時強化形態であるゲンシグラードンとメガバクーダのみ。
合計種族値は微増しているが、少々配分は悪くなっている。とはいえ後述の性能を含めるとかなり強力なポケモンに仕上がっている。
HPこそ原種より下回るものの、物理耐久は原種よりも更に上昇。しかしその代わりに特殊耐久は原種の3/4程度と大幅に下がってしまっている。
素早さは微上昇だが、数が多く激戦区になりやすい50族の4振りを無振りで抜ける露骨……もとい嬉しい調整になっている。とは言ってもポケモンの中では十分に遅く、トリックルーム適性もある絶妙な数値である。
一方、攻撃力は大幅に下がってなんとヒメグマ以下に。とはいえ、役割破壊サブウェポンとして小突けるぐらいの使い勝手はある。
総合的に見て、重戦車特殊アタッカーとして申し分ない性能になった。
同じくC135族のノーマルタイプであるポリゴンZは現状『SV』に参戦していないが、火力と素早さではあちらに譲る一方、耐久面ではこちらに軍配が上がる。
新特性「しんがん」(心眼)はするどいめ+きもったまという非常に強力な効果を持ち、ノーマル複合のガチグマとよく噛み合っている。厳密にはきもったまのいかく無効効果はないのだが、特殊型であるアカツキにはあまり気にならない。
これにより、通常時はゴーストタイプ含めてノーマル技が通り、ノーマル技を半減してくるいわ・はがねタイプ相手にはじめん技が抜群で刺さるという脅威の相性補完を実現している。
さらに専用技として「ブラッドムーン」を持つ。
これは「デカハンマー」と同様の「連続使用不可能」というデメリットを持つものの、威力140・命中100という破格のスペックを持つ技。
C特化+ノーマルテラスにいのちのたまを持てば、H252振りのヘイラッシャを確定1発で沈め、HD特化ディンルーですら確定で半分以上削るという凄まじい破壊力を発揮する。
ストーリー攻略でも勿論優秀……だが、果たしてストーリーをクリアするまでにキタカミ図鑑を150匹揃える猛者はいるものなのか。
なお、この技を撃った直後のガチグマ相手にアンコールをかけると、そのターンはわるあがきではなくブラッドムーンがもう1発飛んでくるため注意が必要。その次のターンはわるあがきになるため交代は強制できるものの、こちらも大ダメージは避けられないため半ば捨て身の策となる。
特殊型にはなったもののあくまでガチグマの特殊個体と言う扱いだからか、あまり特殊技のバリエーションは多くなく、習得技は引き続き物理が多め。
タイプ一致の「ハイパーボイス」「だいちのちから」「はかいこうせん」、
サブウェポンに「きあいだま」「ムーンフォース」、先制技の「しんくうは」と、最低限立ち回るには十分な習得はするものの、基本的には等倍ゴリ押しが中心となりがち。
ただ、環境上位にいるノーマル・かくとうを透かしてくるハバタクカミやサーフゴー、そしてゴーストテラスに対してまったく気にせずに殴っていけるのは大きな強みである。
さらに、原種ガチグマには存在しなかった先制技「しんくうは」は無効化されることもないので、重戦車アタッカーとしては非常に強力。
グライオンのような「みがわり」を使った無限ハメ型に対しても「みがわり」貫通の「ハイパーボイス」で打点が持てるほか、フワライドなどが使用するちいさくなるをバトンする戦術にも強い。
補助技は「めいそう」「つきのひかり」と意外なものがあり、積み特殊アタッカーとしての素質も十分あると言える。味方のサーフゴーやカイリュー辺りの「でんじは」でサポートしてやれば、素早さにある程度振った個体なら上からそれらの補助技を使うことも十分できる。
ただ、原種と違い「ビルドアップ」は覚えなくなってしまった為、物理方面はどうしてもフィジカル任せになりやすい点には注意が必要。
なお、一応ガチグマであるためヒメグマが覚える遺伝技は全て覚えられる。
ヒメグマの遺伝技は攻撃技が全て物理なのが痛いが、「カウンター」「あくび」「うそなき」と相性のよさそうな技があるため採用も検討したい。
なお、原種と違い「うそなき」はわざマシン非対応なので注意。
ランクマッチにおいては、『碧の仮面』配信と同時期にレギュレーションDで解禁されたオーガポンやともっことは違い、当初は参加出来なかった。
と、言うよりはむしろあいつらがおかしいだけであろう。
苦手な相手は、高火力で弱点をついてくるパオジアン・ウーラオス、そこまで大きな打点が持てないカイリューや、キノコのほうしでハメ殺してくるキノガッサなどだろうか。ただし、パオジアンにはしんくうは、ウーラオス・カイリューにはムーンフォース、キノガッサには草テラスを絡めながら立ち回れば対面でそこまで不利は取らない。
ただし、アーマーガアやドータクン、ふゆう+テラスタイプを用いた浮いている鋼タイプには全く有効打が無いので注意。
型としては、チョッキアタッカー、たべのこし+「つきのひかり」の耐久型、「あくび」での起点流し型などが考えられる。
原種のガチグマはこんじょう+かえんだまの火力が高すぎるため、ほかの型は使われずアイテムがほぼ固定だったが、こちらはアイテムの手持ちがそこまで制限されないので多くの型が見られると思われる。
テラス候補は、火力を増強するノーマル、フェアリー、弱点カバーのどく、みずが主流。
その後、シーズン11でようやく参戦するや否や、その火力と物理耐久と技範囲を活かして早速シングル4位の好スタートを切った。
一足先に参戦し、シーズンスタートから使用率1位に立った同期オーガポンと共にBIG6の牙城を崩している。
やはりというか攻撃技が優先される傾向にあり、低い特防を補い、かつ攻撃面を高めた『CD振りのとつげきチョッキ持ち』が大半を占める。
ただし、「めいそう」型は「アンコール」型のカイリューに滅法弱く、それまで害悪として位置付けられていた「アンコール」型のカイリューが環境の調整役としての評価を受ける契機となった。
更には、上述にもあるようにガチグマの技を完封出来るアーマーガアも苦手であり、技によってはついでにハバタクカミ対策もできるため数を増やしている。
シーズン11終盤にはオボンやたべのこしを持たせ、HPと防御を厚くした「あくび」受け廻し型が上位勢の間で流行。
極一部の極端な例では「ボディプレス」で苦手なラッキーやハピナスの突破を狙う構成もある。
意外だがシングルではじめんの弱点を突くアタッカーとは明確な役割関係がない。というのは、アカツキガチグマの場合は場に出たらいの一番にテラスタルを切るためである。そして、アカツキガチグマの有力テラスタル候補は、ノーマル、どく、フェアリーのいずれかであり、じめんの弱点を突くウエポンでは弱点を突けない。
ダブルバトルでもかなり存在感のあるポケモンである。全体技のハイパーボイスで相手を大きく削り、相手によってはブラッドムーンによるゴリ押しやだいちのちからでのノーマル技の補完ができる。
ただ上述のように特殊耐久が低く、特殊全体技のマジカルシャインやねっぷうで削られてしまう点や、連発できない専用技の仕様上、まもるで防がれてしまうと次のターンはブラッドムーンを押せない点には注意が必要である。
環境に多いオーガポンやテツノカイナ、ウーラオスなどには弱点を突かれてしまうため、立ち回りや他のポケモンとの相性補完も重要になる。
このポケモンはトリックルームとの相性が良く、サマヨールやヤバソチャなどと組んで、トリルアタッカーとして相手よりも先に動いて高火力を押し付ける戦い方がダブルでは多い。
余談
- 別の地方からキタカミの里に流れついたという設定は、ガチグマのモチーフのひとつになっているヒグマが、大昔には本州に生息していたところから来ていると思われる。
- 本州に生息していたヒグマは北海道のヒグマより巨大である別のグループのヒグマで、現実の北海道のヒグマは北海道と青森の間の津軽海峡を越えることは基本的にはないため、絶滅した現在では失われた存在であり「絶滅した特別な亜種」という点を偶然ながら一致している。
- なお、たかさ2.7m、おもさ333.0kgという設定であるが、これはかの三毛別羆事件を引き起こしたオスのエゾヒグマや、後述するOSO18とほぼ同じ体格である(ただし、たかさ≒体長と換算した場合。三毛別の熊は立ち上がった時の大きさが3.5mあったとされており、たかさ=体高とするならば三毛別の熊の方が大柄である可能性もある)。いずれの個体も一般的なエゾヒグマよりも遥かに大柄な個体であったという点は考慮しなければならないが、実際のクマ科に当て嵌めてみてもアカツキの大きさはそこまで不自然なものではなかったりするのだ。
- 同時に、これだけの巨体の猛獣が人里で本気で暴れまわったらどんな恐ろしいことになるか…ということも何となく実感できるのではないだろうか。
- 出自は断定されていないが、恐らくヒスイ地方で生き残っていた通常個体のガチグマが海を渡ってきたものと考えるのが妥当であろう。どれほどの年月を生きてきたのかは不明だが、もし「遥か昔」とされるヒスイの時代から生き続けてきたのであれば、途方もない年月を経てきた可能性がある(ただし数百年単位で生きるポケモンは珍しくない)。
- 2022年に行われた『ポケモンGO』のヒメグマのコミュニティ・デイにおいて、ウィロー博士が主人公が進化させたガチグマを見て「このあたりでは見かけない」という発言をしており、このことから一部のファンのあいだでは「ガチグマは今もどこかで生き残っているのではないか」という説が唱えられていた(もしも完全に絶滅してしまっていたのだとしたら、「見かけない」という表現を使うのは不適当であるため)。今回のアカツキの発見はその説を裏づけるものになったと言えるだろう。
- ちなみに、『碧の仮面』の準伝説が桃太郎モチーフであることから、亀モチーフのテラパゴスが浦島太郎、このガチグマが金太郎要素でDLC全体で三太郎をモチーフにしているのではとの考察がなされている。
- 金太郎の熊は童謡にもあるように金太郎を乗せていた=人を乗せていたことから、アカツキの正体は『レジェアル』におけるライドポケモンのガチグマではないかと考察する向きもある。
関連イラスト
関連タグ
AZのフラエッテ - 特殊個体ポケモンの先駆けとも言える存在。こちらは未解禁のままお蔵入りになっている。
サトシゲッコウガ - こちらは初めて公式に解禁された特殊個体ポケモンだが、第八世代のころから諸事情でほぼ抹消されている。
黄昏ルガルガン - 同じく特殊個体と言えるポケモン。正確には進化前が特殊個体か。
余談だが、このルガルガンが登場した『ポケモンUSUM』ではネクロズマがソルガレオやルナアーラを取り込んだ姿にそれぞれ「たそがれ」「あかつき」の名を冠していたのに対し、ルガルガンは「たそがれ」しかいないと軽くネタにされていたが、まさかガチグマが引き継ぐとは思わなかっただろう。
リージョンフォーム - この分類にはもちろん入らないが、上記の特殊個体たちも含め、ゲームシステム上では同じ仕様。
赤カブト - 名前のモデルとも推測される事例。頭部から背中にかけて赤い毛が生えている怪物熊で、下記の紅兜アオアシラの元ネタともされている。アカツキガチグマは左目を失明しているわけではないが、こちらは猟銃に撃たれて逆の右目を失明している他、同じく二足歩行を主としている。
紅兜アオアシラ - 『モンスターハンター』シリーズに登場する、こちらも熊をモチーフとしたモンスターであるアオアシラの特殊な個体。「通常の個体が何らかの理由で変異した存在」「通常の個体と比べて大柄」「体が赤みがかった色をしており、より凶暴さを増したような風貌」といった共通点がある。ただしアカツキと異なり、凶暴性・危険性共に通常の個体を上回るという存在として扱われている。
OSO18 - 『碧の仮面』の配信直前までリアルシンオウ地方こと北海道で、多数の家畜を殺して回るなどして猛威を振るっていたヒグマ。こいつの記憶が新しかったためか、捕まえたアカツキのニックネームをこれにしたというプレイヤーもいたとか。ちなみにこの個体はその行動から知能が高く発達していることは明らかで、特攻が高くなったガチグマにも少なからず共通する。