石ノ森章太郎の『仮面ライダー』の漫画版の要素を取り入れ現代風にリメイクした作品。キャッチフレーズは「継ぐのは、魂。」
2007年には続編『仮面ライダー THE NEXT』が公開された。こちらは残虐な描写を多分に含むため、仮面ライダー映画では史上初となるPG-12指定の作品となった。
概要
社会を裏で操る謎の秘密結社ショッカーの陰謀により、その尖兵であるショッカー怪人の素体として選ばれた人々の恋と戦いを描いた映画。
今作では
- 本郷猛と一文字隼人が変身した姿が、劇中で一貫して仮面ライダー1号・2号ではなくショッカーのバッタ型怪人「ホッパー」として呼称されている。
- 生物的なイメージの強いデザインの多い従来のショッカー怪人に対し、本作に登場するショッカー怪人は「ライダースーツ状の戦闘服を付けたボディにヘルメット状の仮面を付けた頭部」という仮面ライダーのイメージに近いデザインとなっている。
- 仮面ライダーの変身方法が原典のTVドラマとそれを元にした原作者の漫画版を織り交ぜた「一瞬で首から下が戦闘服を纏ったサイボーグ体に変化した後、専用のヘルメット型の仮面を装着する」という変身方法であり、敵の怪人も全く同じ方法で変身する。このため、本郷と一文字がお馴染みのポーズで変身するシーンは一切存在せず(一応、最終決戦時に敵の軍団を前に変身ポーズと同じような動作をするが、変身後の姿で行っているため、ここでは変身ポーズとしてカウントせずあくまで「構え」として扱う)、「変身」の掛け声も無い。
- 本郷と一文字だけでなくショッカー怪人の人間としてのバックグラウンドにもストーリーの焦点が当てられている。
など、原典における「仮面ライダーはショッカーによってバッタ型怪人として作り出された」という設定を強く意識した構成になっているのが特徴である。
また、『スーパーヒーロー大戦GP』に登場する幻の「仮面ライダー3号」のデザインは、本シリーズのホッパーに似た非常に現代的な、さながらSICじみたものになっている。
2016年12月発売の「オール仮面ライダーライダーレボリューション」に参戦。これにより歴代仮面ライダーとついに共演を果たすことになった。
舞台『仮面ライダージオウファイナルステージ』では平成の昭和ライダーとしてTHE NEXT、アマゾンズと共に登場。
そして仮面ライダー50周年の2021年… 初代ライダーは新たなリメイクをされることとなった……。
登場人物
仮面ライダーと仲間たち
この物語の主人公。大学院で水の結晶を研究している青年。ある日バットに襲撃されてショッカーで改造手術を受け、バッタ型改造人間「ホッパー」にされてしまう。ショッカーの操り人形としてテロ行為を行っていたが雪の結晶を見た事で記憶を取り戻し、正義のためにショッカーと戦う。
手を突き出しただけで真正面から走ってくるトラックを止める、軽く触っただけでビーカーを握り潰すなど、尋常ではない筋力に改造されてしまっている。
本郷を倒すために作り上げられたホッパーの改良型の改造素体に選ばれた青年。本郷をつけ狙うが、あすかに恋をしてしまい、ショッカーを裏切ろうとする。
その姿はスパイダーに殺害されたあすかの婚約者に酷似している。
本作のヒロイン。雑誌記者をしており、本郷の研究を取材したことがある。スパイダーにより婚約者を殺されてしまい、たまたまその場に居合わせた本郷が彼の死体を触っていた(この辺は原作1話で緑川博士が殺されたシーンのオマージュ)せいで本郷が婚約者を殺したと勘違いしてしまう。
原作の緑川ルリ子ポジションなのは言うまでもない。
終盤では誤解を解いて本郷と和解するが、ショッカーの犯行現場を見たせいでホッパーやバットに度々暗殺対象として付け狙われ、最終的には改造人間の素体としてショッカーのアジトへとバットに拉致される。
ショッカー
本作におけるショッカーは「Sacred Hegemony Of Cycle Kindred Evolutional Realm」(直訳: 同種の血統による全体の、神聖なる支配権)の略称であり、世界制服を企む悪の組織である。しかし原作の様に表立ったテロを起こすことは少なく、専ら要人暗殺などを行っている。
幹部は死神博士(にしか見えない老人)の他、チャイナドレスの美女と髭面の男性の計三人。
- スパイダー
要するに蜘蛛男。アクロバティックな動きやショッカー戦闘員バイク部隊を率いて戦う。対象の身動きを封じる蜘蛛の糸を暗殺の手段に用いていたが、戦闘ではこの能力は使用されなかった。潔癖で口うるさいタクシー運転手が変身する。演じた板尾創路は後に『仮面ライダー大戦』で仮面ライダーフィフティーンを演じている。
- バット
要するに蝙蝠男。超スピードで空を飛び回り、改造人間の素体に選ばれていた人間を拉致していた。蝙蝠型のロボットを操る能力を持つ。変身前はテンションの高い謎の中年男性。
演じた津田寛治氏は過去に『仮面ライダー龍騎』にて大久保編集長としてレギュラー出演し、『劇場版仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』でもミナの父としてゲスト出演した。
- コブラ
要するにコブラ男。難病の青年、三田村晴彦(演:ウエンツ瑛士)の病気をショッカーのサイボーグ技術で治す事と引き換えに、半ば騙すような形で改造させた。ウエンツ演じる変身前の晴彦と比べると変身後は体格がよく(そのため仮面を外したシーンではスーツのサイズを合わせるのに苦労したとのこと)、強力なパワーと後頭部から伸びる尾を活かした肉弾戦を得意とする。
- スネーク
要するに蛇姫メドウサ。彼女だけ口元が開いているライダーマンスタイルなのが特徴。
晴彦の恋人であり、不治の病に侵された女性、原田美代子を晴彦同様に改造させた。体術を得意とし、コブラの後頭部の尾を切り離したムチを武器に使う場面もある。
ライダー相手にはただのザコだが常人の3倍の身体能力を持つ。ガスマスクを着用しており、その外見は原作者の別作品で言うとサイボーグ009に登場するブラックゴーストのサイボーグマンに近い。あの骨模様もないが、イーイーうるさいのと死んだら泡になって溶けてしまうのはテレビ版の戦闘員と同じである。
主題歌
作詞:石森章太郎/作曲・編曲:菊池俊輔/歌:藤浩一、メール・ハーモニー
OP主題歌だが、フルでは流れず、メインテーマに繋がる。
- Bright! our Future
作詞:ISSA/作曲:ISSA&YUKINARI/編曲:YUKINARI&棚橋UNA信二/歌:DA PUMP
ED主題歌。
コミカライズ
……が、ほとんど線画&背景真っ白けという下描き同然の酷いクオリティで、当然単行本化もされておらず、ファンどころか公式からも黒歴史扱いされている。
この有り様に大の特撮好きで知られる島本和彦氏は「描きたくねぇのなら描くな」と苦言を呈している。
タグとして
本来なら「仮面ライダー THE FIRST」と表記されるところだが、pixivのタグにスペースは使用できないため本項のようなタグをつけることになる。
評価
製作総指揮・プロデューサーである鈴木武幸の「ライダーで冬のソナタをやりたかった」という誰もが疑問符を浮かべるような方向性、脚本を担当した井上敏樹の作家性が悪い方向で現れた脚本、冗長な恋愛描写など、本作を形成する要素のどれもこれもが噛み合わせが悪いと、要するに『仮面ライダーと怪人が出る部分』以外は微妙という評価が多い。ただ、晴彦と美代子の悲しい運命や一文字の井上キャラへと変貌した独自のキャラクター性を評価するファンも多く、『シン・仮面ライダー』公開を機に本作を改めて視聴するファン、初めて視聴するファンも増え、再評価の動きも見られている。
これとは対照的に出渕裕がデザインしたスタイリッシュなスーツのデザインは絶賛するファンが大多数。フィギュア類は飛ぶように売れた実績がある。
また、直近のTVシリーズでは控えめだったバイクアクション等のシーンも概ね好意的な評価を受けている。
特に高層ビルから飛び降りる1号、超絶的な足技を見せる2号は必見。
リファインされたサイクロンに対してもファンが多く、CBRをFirstサイクロン風にカウル塗装する例も数多く出ている。
また、ISSAが歌う主題歌「Bright!our futre」も隠れた名曲として知られている。
余談
- 作中において本郷が研究している「水の結晶」は現実世界の科学法則に照らせば何ら根拠のない「疑似科学」である。少なくとも現実世界では大学で研究する内容ではないだろう。この点についても、ファンからは「リアリティがない」と指摘されている。
- 漫画「邦キチ!映子さん」でもレビューされている。「仮面ライダーの活躍が見られると思ったらコテコテの恋愛ドラマを見せられる」「泣ける恋愛の定番である不治の病まで完備」とやや否定的にレビューされた。
関連項目
井上敏樹:脚本担当
出渕裕:キャラクターデザイン担当
平成の昭和ライダー 仮面ライダーTHENEXT 仮面ライダーアマゾンズ
シン・仮面ライダー:同じく初代ライダーのストーリーをリメイクした作品。監督・脚本は庵野秀明。
ULTRAMAN、シン・ウルトラマン:こちらは同じ初代作品リメイクの中で、初代ウルトラマンの方のリメイク。しかし、シンの方はシン・仮面ライダーと同じく、制作スタッフの中に庵野秀明が居る。