概要
北関東とは、関東の北側に属する茨城、栃木、群馬の3県のことである。分かりやすくいえば関東地方で東京都と東京に面した県以外を指すが、広義には埼玉をも含むことがある(後述)。対義語は南関東となるが、北関東に埼玉県を含めない場合「一都三県」または「首都圏」とも言う。最大都市は宇都宮市。ちなみに水戸市は横浜市と並ぶ日本最古の「市」でもある。
特徴
中部から南東部にかけ広大な関東平野が広がり、北部と西部は山岳地帯になっている。
人口はおよそ700万人。人口規模では四国や北陸を上回るが、それでも南関東に比べると、圧倒的に人口密度は低い。
道路鉄道が東京方面への経路に偏っているために、東京には出やすい(関東北端の那須地域から東京に通勤する人もいる程である)が、地域内での交通の便が悪い(特に茨城県は石岡市柿岡にある気象庁地磁気観測所の存在や他のJR線と比較した場合の常磐線の不便さ、加えて新幹線駅もないため殊更酷い)。茨城県南部や両毛地域(栃木群馬の県境付近)のような、それなりの人口密度があるところですら基本的にクルマ社会であり、自動車がないと満足に生活できない。もともとあったローカル線の多くは、既に廃線になったり本数が減らされたりしてしまった。
東武鉄道沿線各都市では東武バスが昭和末期まで網目のようなきめ細かに路線を張り巡らせていたが、モータリゼーションの進行に合わせて同社では急速なスピードで路線廃止と分割が相次いだため、館林市のように一時期路線バスが1路線も存在しないような自治体が誕生したことがある。
近年は、交通が便利で生活の利便性が高い宇都宮線(東北新幹線)と高崎線(上越新幹線)、つくばエクスプレスの沿線に人口が集中する傾向にある。特に前者二つは湘南新宿ラインと上野東京ラインの影響も大きい。
空路に関しては日本国内ではかなり利用の困難な区域であったが、2010年に茨城県にある百里飛行場の民間開放(茨城空港)により、初めて北関東に一般旅客用の空港が誕生した。
また、これまで北関東は3県とも空港が遠い位置にあったが、茨城空港開港以後、県庁から最寄り空港までの移動距離が100kmを越える都道府県は全国で群馬県のみとなった。
製造業が盛んで、日立製作所、富士重工など名だたるメーカーが本拠を構える一大工業地帯になっている。
保守的な土地柄で、バブルの頃は土地投機にあんまり熱心でなかったため「商売がヘタ」と言われがちだったが、バブルがはじけてみたらなんか地元発祥の家電店が全国展開してたり、県外発祥のDIY店を片っ端から叩き潰すホームセンターができてたりとどえらいことになってるっぺよ。車社会と大型店が立ち並ぶ現代の全国地方都市は、ある意味みんな北関東化したのかもしれない。
歴史と文化
大昔は現在の埼玉・東京・神奈川にあたる武蔵国の大部分が海の底か湿地帯だったため、北関東は関東の中でも発展していた地域だったと言われている。
鎌倉時代末期に現在の栃木県足利市を拠点としていた足利尊氏が倒幕に協力し、その後京都室町に新たな幕府を開いた。
江戸時代に入ると大都市北方の拠点としての性格が強くなる。まず日光には権現様が祀られ、そこに至る街道は参拝客で賑わった。水戸には徳川の御三家が鎮座し、徳川光圀、徳川斉昭、徳川慶喜等を輩出した。「上州」と呼ばれた群馬は後期には関東における養蚕業の一大拠点となり、明治時代には富岡製糸場が誕生し、日本の近代化に大きく貢献した。
また、戦国最弱の武将小田氏治が地味に有名。
ヤンキー文化が盛ん。クルマ社会を反映して、東京周辺では絶滅危惧種となった暴走族や走り屋もまだ生息している。
方言は、群馬県および栃木県南部は多摩弁に近い西関東方言。茨城県と栃木県中北部は、福島県の方言に似た東関東方言が話されている地域となっている。
埼玉を含むか、含まないか
歴史的には「利根川以北が北関東」なので、埼玉は含まない場合が多いが、「東京の北にある」という括りから北関東に含む場合がある。
だが下記に示すように侮蔑的な価値観に基づいている場合も多く、安易なレッテル張りは禁物である。
公式的な括りにおいては次の通り。
地方競馬における北関東
足利競馬場・宇都宮競馬場(栃木県)・高崎競馬場(群馬県)が、かつて存在していた。
南関東に対して、この3場は北関東と言われていた。
しかし、2003年に足利競馬場が、2004年には高崎競馬場が、そして2005年には宇都宮競馬場がそれぞれ廃止になり、北関東の競馬の歴史は幕を閉じた。
ちなみに埼玉県にある浦和競馬場は南関東扱いをされている。
衆議院選挙・比例代表における北関東
衆議院選挙・比例代表における北関東ブロックとは、栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県の4県を指す。
2014年の衆議院選挙における議員定数は20人。
この他、北関東自動車道は茨城、栃木、群馬を通るが埼玉を通らない。
ネット上では
インターネット掲示板やSNSなどにおいては、概ね田舎などと揶揄される傾向が強い。特にださいたまやグンマー、ないんだなそれがなどの誹謗中傷的傾向の強いものも存在する。これらのネタは、時と場合を選ばないと時折深刻なトラブルに発展する可能性もあるので注意を要する。
ちなみに大体これらのネタに含まれる情報は、現実を誇張したものから完全な架空のネタまであり、真実のように使うべきものではないことにも留意。
一方、北関東民の一部には「関東内でネタにされるのはいいが、他地方にはされたくない」という首都圏コンプレックス的な反発を起こすものもいる。曰く、関東以外には負けていないとの自負であるが、都道府県の魅力度等では他地方に負けることも多々あり、人口や都市利便性では到底敵わない他地方都市も多い。加えて肝心の東京への到達時間が北関東各地より早いところも存在する。
何より、前述の通り北関東は空港との縁がかなり薄いため、そもそも関東地方以外との結びつきが比較的弱く(新幹線・高速で接する長野・福島・新潟等は別)、そもそも他地方民の大半は北関東に興味が無い。北関東民が四国や九州辺りにあまり関心が無いのと同じである。
北関東を馬鹿にするようなネタを安易に多用することも眉を顰める行為と言えるが、かと言ってカウンター的に他地方を首都圏に非ずと馬鹿にしたところでその部分にも現状認識から外れている傾向があるので、お互い考慮すべき話であろう。
埼玉が含まれるか否かについても、その判断基準が実は地理的要因ではなく「都会か田舎か」である場合が多く、「ださいたま」の蔑称とも無関係ではない。当の埼玉県民もその考え方に基づいて近年の発展を鑑みて「自分達は最早北関東ではない」と認識する傾向にあるが、そもそもその考え方自体が「北関東=田舎」と見下していることを忘れてはいけないのである。
都道府県魅力ランキングでは毎年下位になっており、ついに群馬県知事がランキング屋に訴訟をするという話まで出てきた。