願いし者(マスター)の自覚なき者を斬るは、我が信条に悖(もと)る。
プロフィール
氏名 | 由井正雪 |
---|---|
性別 | 女性 |
身長 | 160cm |
体重 | 48kg |
出典 | 史実、『慶安太平記』など、Fate/Samurai Remnant |
地域 | 日本 |
魔術回路 | 質:A / 量:D / 編成:異常 |
ILLUST | 渡れい |
CV | 田村睦心 |
汎人類史の歴史に於いて「由井正雪」の出自は定かではない。
概要
『Fate/Samurai Remnant』に登場するキャラクター。
盈月の儀の参加者で、鎧武者のライダーのマスターを務めている。
多くの浪人に慕われる烈士兼軍学者として知られ、史実通り江戸で軍学塾を開いており、史実同様に幕府に思うところがあるらしい。しかし、史実と異なり盈月の儀を前に仕官を決めることとなり、突如幕府に与したことで、門下生である浪人達の間で困惑と混乱の声が上がっている。
盈月の儀の主催者と何らかの因縁がある模様。
DLC第3弾『断章・白龍紅鬼演義』では、幼い姿で登場する。
史実において
江戸時代初期の軍学者にして私塾講師、「由井正雪」。
記録では名前の表記揺れが多く、経歴にも謎の多い人物として知られている。
生まれには諸説あり、幕府の公式文書では駿府宮ヶ崎の岡村弥右衛門の子とされるが、歌舞伎にもなった後代の実録である『慶安太平記』によれば、父は尾張国中村生まれの百姓で豊臣秀吉の同郷であった吉岡治右衛門とされる。後に石田三成の徴集に応じ関ヶ原の戦いにも参戦し、戦後に駿河国由井へ移り住んで紺屋を営み、正雪はそこで治右衛門と妻の間に生まれたとされる。
それから17歳の時に江戸の親類のもとに奉公へ出たとされており、その後は軍学者の楠木正辰から南木流軍学を学び、同軍学を継承した後に独立して神田連雀町の長屋においての軍学塾である「張孔堂(名軍師である張良と諸葛孔明に由来)」を開いた。この道場は諸大名の家臣や旗本の間でも評判となり、一時は3000人もの門下生を抱えるほどの大規模なものへと成長したのだった。
そして3代将軍・徳川家光の死の直後、徳川家綱が齢11歳で将軍に就いた時期に起きた、浪人たちによる幕府転覆計画「慶安の変」の首謀者でもあり、幕府による改易等武断政治で浪人が増え、不満が高まっている世に異を唱える為、慶安の変を起こすことを決意した。しかし密告によって実行前にバレてしまい、老中・松平信綱の指揮により拠点を包囲され観念した正雪は自害した。
以上が、我々の史実における由井正雪なる人物の説明であるのだが、この事件は作品の舞台ともなっている慶安4年(1651年)に起きている。更に言えば、慶安の変は幕府の政策への不満からの計画であった為、幕府に仕官しようとする事自体が史実との大きな差異となっている。
容姿
劇中での実年齢に比べて、その見た目は10代のようですらある幼さが残る印象と緑がかった灰色の髪、緑色の瞳を持つ中性的な女性。両耳には太腿の辺りにまで伸びるほどの長さの赤い布を垂らしたイヤリングを付けており、さながら領巾を身に付けているようにも見える。
人物
一人称は「私(わたし)」。
純粋にして無垢、極めて誠実で良くも悪くも裏表がない人物。
義を重んじると言うよりも、人としての正道を貫く事に拘っている節がある。
その姿勢・方針は子供や動物に好かれやすいが、腹に一物のある人物からは嫌われやすい。
軍学者として、計策を操る者として、冷徹にあらねばならないと自らを律してはいるが、悪辣な策の立案には思い悩み、血みどろ泥沼の惨劇には尻込む等、根本的に戦乱に向いた気質ではない。敵対者に容赦はしないが、マスターの自覚がない者を斬るのは好まないという信条もその表れ。
彼女が盈月に掛ける願いは、真に平等で平和な世を実現させること。
口では太平の世が謳われながら、実際は不平等で苦しむ民草が絶えない世を目の当たりにし、人の手で叶わない望みであるのなら、盈月の力でそれを実現させる、それが彼女の唯一の望みである。
『FGO』にて、カルデアでサーヴァントとして召喚された際には生者ではなく死者という事もあってか、太平の世への情景自体は健在であるものの、聖杯に掛ける願いに対しては自重している。
正体
本作の彼女は純粋な人間ではなく、森宗意軒が生前に創り上げた贋造生命、すなわちホムンクルス。ただし母体を人間の女性としているため、正確には彼女と同じく疑似的なものである。
創造者の死後に駿府の武家に預けられ、偶然にも汎人類史の「由井正雪」と同じ名を抱き、江戸に塾を開くに至った。そうして人間のふりをしながら生きていたが、普通の人間らしい自我に芽生え、同時に不条理に満ちた世界を前に苦しみ、世の歪みを正すべく盈月を求めるようになった。
劇中時点の実年齢は30を超えているのだが、出自故に短命で寿命も尽きかけだったらしい(それでもホムンクルスとしては長生きな方だが)。なお、伊織たちが入手した異国の文字で記された「森宗意軒の手記」を紅玉の書が断片ながら翻訳したところでは、創造の技術にはあの一族が関与している事が示唆されている(宗意軒がホムンクルス制作の技術をその一族から盗んだらしい)。
当然これらはかなり踏み込んだ情報なのだが、下記の『FGO』コラボ時には告知説明やプロフィールの頭に載るという大体的な公式ネタバレが行われており、ファンからも驚かれた。
能力
ホムンクルスだけあって高い自己再生能力を有し、大抵の傷は自然に回復する。伊織ほどではないが白兵戦闘技術も高く、好んで使う元素系の魔術に剣術を混ぜた魔法剣士スタイルで戦う。
令呪は右手の甲に刻まれているが、普段は手甲で隠れている。
その為、令呪の模様は立ち絵を見ただけではでは分からず霊地争奪の時や公式設定資料でしか確認することができないが、その模様はライダーの正体を連想させる意匠となっている。
元々軍学者であり聡明な人物として慕われていたように知略にも長けており、江戸の各霊地を掌握・利用する準備を裏で行っていたほか、必要なら自らが負傷する様な芝居を打つ事もある。
『FGO』では、原作再現として剣術を主としつつ、掌から火炎弾を連射する、地面に剣を突き立てて水溜りで拘束し斬撃波を放つ、風の円形カッターに乗って両断する、爆発するエネルギーを刀身に纏わせる、地面に手を当てて間欠泉を起こす、足元の魔法陣で加速して刺突するなどの攻撃を見せる。エクストラアタックでは、周囲に出現させた4属性の魔力弾を発射した後、地面を奔る剣圧で斬り裂く。
Fate/Grand Order
クラス | キャスター |
---|---|
身長 | 160cm(ヒール着用時165cm) |
体重 | 45kg |
属性 | 混沌・善・人 |
好きなもの | 正しきこと、美しきこと、優しきこと |
嫌いなもの | 悪しきこと、悲しきこと |
コラボイベント『盈月剣風帖』にてキャスターとして登場。レアリティは☆4。
また原作コンビであったライダーもクラスを変更しての実装が発表された。
上記の通り、英霊になってもおかしくない歴史上の人物なのだが、一応は美遊やグレイのような、現世の人間のサーヴァント化に近い扱いとなっている。ストーリー中では『SR』本編の記憶を完全に持っている……というよりも伊織以外の面々は皆、盈月の儀の顛末を覚えている模様である。
霊基第一は慶安の侍とは思えないハイレグのぴっちりスーツを着ており、ユーザーを驚かせた。原作にないこの姿は、イベント内での経緯に由来している。なお『SR』本編でお馴染みの侍としての衣装は霊基第二において着用しており、正雪本人も「着ていて落ち着く」と語っている。
そして霊基第三は和の要素を取り入れたロングドレスを着ている。この「ボディスーツの上に着物を羽織る姿」は『SR』本編で正雪が探していた逸れの英霊と服の構成が一緒となっている。
本人の性格上、お人好しなマスターとの相性が余程いいのか、絆5までに必要となるポイントがなんと合計1万ポイントと非常に少ない(チョロさの代名詞だったエリちゃんと同率である)。
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
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藤丸立香 | E | E | C | A | B+ | C+ |
保有スキル
陣地作成(C+) | キャスターのクラススキル。魔術師として、自身に有利な陣地を作り上げる。 |
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道具作成(C) | キャスターのクラススキル。魔力を帯びた道具を作成できる。 |
贋造生命(亜種)(C) | 天然自然には生まれ得ぬ存在、無垢の人造生命ホムンクルス――その亜種である事を示すスキル。製造者である森宗意軒の修得した錬金術は不完全であり、母体として人間の女性を用いる必要があった。その誕生経緯が為、正雪はホムンクルスの亜種、或いは疑似的なホムンクルスとして分類される。 |
烈士の軍学(B) | 正雪の修めた戦術知識、及び、理想を尊ぶ峻烈な精神性がスキル化したもの。本来は複合スキルであり、「軍略」スキルの効果を含むものである。 |
魔術(元素)(B+) | 元素変換魔術の行使を得意とする。異常編成ながらも上質の魔術回路を有する由井正雪は、主に攻撃手段として魔術を用いる。魔術師としての「正統」な目的と精神を持たない正雪にとって、魔術はあくまで己が技術の一種に過ぎない。純正な魔術師は、正雪を魔術師では無く魔術使いと呼ぶだろう。 |
宝具
烈士徇名・不惜身命(れっしじゅんめい・ふしゃくしんみょう)
- ランク:C
- 種別:対軍宝具
- レンジ:1〜20
- 最大捕捉:50人
「全霊を込めよう。」
「刻印、励起。我が想い、我が血潮、貴殿へ届けよう――『烈士徇名・不惜身命(れっしじゅんめい・ふしゃくしんみょう)』」
烈士たろうとする、正雪の在り方が昇華されたもの。
自身及び周囲に対して、一時的ながら爆発的な強化をもたらす。
理想と名誉がため、己が心身のすべてを捧ぐと誓った正雪の峻烈なる精神性、そして師にして父にも等しき森宗意軒から賜った錬金術のわざが、互いに交じりあい、宝具の域へと至った。
「不惜身命」とは、仏道の為なら身命をかける事を躊躇わない、またはその姿勢を指す。
※ もう1つ隠された宝具があるものの、ネタバレのため後述する。
ゲーム上での性能
HP | 13070 |
---|---|
ATK | 7766 |
カード | A:3/B:1/Q:1 |
宝具カード | Arts |
スキル1 | 贋造生命(亜種)<C>:自身にガッツを付与(1回/5T/2000〜3000)&毎ターンHP回復を付与(5T/500〜1000)&弱体無効を付与(1回/3T) |
スキル2 | 烈士の軍学<B>:味方全体のNPをチャージ(10〜20%)+自身を除く味方全体の宝具威力アップ(3T/20〜30%)+自身に毎ターンスター獲得を付与(3T/5〜15個)+敵全体の攻撃力ダウン(3T/10〜20%) |
スキル3 | 魔術(元素)<B+>:味方単体のArts性能アップ(3T/20〜30%)&クリティカル威力アップ(3T/20〜30%)+自身のNPをチャージ(20〜30%) |
アペンド3 | 対キャスター攻撃適性 |
宝具 | 味方全体のHP回復(OC:3000〜7000)+Qバフが付与されている味方全体の攻撃力アップ(3T/解除不能は除く/LV:20〜30%)+Aバフが付与されている味方全体のクリティカル威力アップ(3T/解除不能は除く/LV:30〜50%)+Bバフが付与されている味方全体の宝具威力アップ(3T/解除不能は除く/LV:20〜30%) |
軍学者らしくサポート能力に特化したスキル構成。宝具は味方の回復に加え、味方に付与されているバフ内容に応じてさらにバフを盛るという一風変わったもので、幅広い戦術に適応が可能。ちなみに同イベントで実装された伊織は「五輪の刃」にて3色のバフを、宝具で2色のバフをそれぞれ自身に3ターン付与できるので相性が良かったりする。数値上のステータスはメディア・リリィとほぼ同値のHP偏重型のためアタッカーには不向きだが、スキルを工面すれば単騎での耐久戦は可能。
関連人物
生前
自身を制作した生みの親で、今でも強く慕っている。
彼の目的のために正雪を生み出したが、その純粋さに影響されてしまう。
吉岡治右衛門
汎人類史においては実の父親である武士。
宗意軒と別れてから養子に入った武家とは彼のことだと思われる。
汎人類史では敵対関係にあった、江戸幕府4代目将軍。
正雪が武器として使用している大小の刀は彼から贈られたものである。
絆礼装で曰く、正雪のことを「その魂、清廉の白が如し」と評したのだとか。
Fate/Samurai Remnant
盈月の儀において契約したサーヴァント。
正雪の「太平の世を作る」願いを肯定し、忠実に従っているのだが……
イベント『盈月剣風帖』ではアヴェンジャーとなった彼女と共に行動をとるが……?
カルデアでは、頼光を始めとした源氏一門やヤマトタケル達と協力して監視している。
序盤においてマスターの資格を持つ彼を襲い結果としてマスターとして覚醒させる。その後は対立しつつも互いに協力し合うことになり、やがて彼の中に光を見出し惹かれるようになるが……
伊織のサーヴァント。当初は対立していたが後に和解を果たす。
再会した『FGO』では以前より当たりが柔らかいことを疑問視している。
バーサーカーとして聖杯戦争に参加した英霊。
彼女によると異なる世界での正雪は性別が異なるらしい。
DLCで少女となった彼女には、予想通り好みだった模様である……
敵対していたアサシンのマスター。
部下からの調査報告により正雪がホムンクルスであることを知り、ライダー討伐後はコイエット家に引き取られる。正雪の存在を危険視している様子だったが、後述する詳細を考えると……
ライダーを「悪鬼」と呼び敵視する逸れの英霊で、中盤まで彼に追われていた。
選択ルートによっては終盤で暴走したライダーを止めるために伊織達と共に一役買ってくれる。劇中では彼の真名は知らないままであったが『FGO』では誰かから聞いたのか既に知っている模様。
劇中で(あちらが同情したために)友誼を交わしていた逸れの英霊の1騎。
願いのために身と心を削りながらも歩む正雪の行く末を見届けるべく手を貸していた。
DLC第1弾『断章:慶安神前試合』では正雪を応援する為、試合観戦に来ていた。
盈月の器を完成させるのに必要な逸れのキャスター。正雪が探し求めていた英霊で、魔術礼装で存在と位置を特定するまでに至るが人間の少女に憑依していることまでは想定外だったらしく、無辜の民を殺し合いに巻き込みたくなかった正雪の意向もあり断念した。だが『盈月剣風帖』の正雪は皮肉にも15騎目と同様、劇中での「盈月」を完成させるのに必要な「逸れのキャスター」だった。
DLC第3弾『断章・白龍紅鬼演義』の元凶にして、正雪を幼子の姿に変えた神霊。
その清らかな在り方に興味を抱くと同時に、「親」や子への「愛」を知らぬ彼女に「母」として近づく。
ちょっとどころでは無いレベルで過保護だが、正雪が無事に親離れできたので、問題は解決した。
Fate/Grand Order
師の宗意軒と共に戦った同志であり、師が殉じた相手。
カルデアで邂逅を果たすも「師が殉じたお方とあれば自分が殉じるのも当然」と彼の目の前でいきなり平伏、流石に驚いた天草が顔を上げるよう言うも固辞して頭を下げ続けていた。そんな初対面なれど、それ以降はよく交流している模様である。
実は生前の宗意軒は彼女に天草のことを語っていたようで、正雪は彼が語る「天草四郎」から理想を求める気高さを感じ、後に伊織に同様の気高さを感じ取ることに繋がった。
また、ホムンクルスと縁のある者同士。
契約したマスター。
彼/彼女のことは「戦を知らない者」として見ており、初対面時から好感度は高い。
実装直後の2024年のバレンタインでは、チョコで再現した枯山水を贈ったものの、チョコを舶来の粘土細工と勘違いしていたことが発覚。マスターの指摘でそのことを知り醜態を晒す事態に。
自身の知るランサーと瓜二つだが、どれも在り方が違うため困惑している。
因みに下の妹2人とは汎人類史では存在しないはずのサーヴァント同士でもある。
最愛の存在である木曽義仲と面識があったので、彼について聞きたがっている。
それ以降は先述した天草と同様に、カルデア内において色々と交流を深めているらしい。
2024年の水着イベントでは彼女と柳生但馬宗矩の3人でドバイを観光していた。
自身と同じくアインツベルンの技術で作られたホムンクルス。
そのためか、マイルームにおいては初見でその正体を察していた。
コラボイベント出身の、ムジーク家由来ホムンクルスサーヴァント繋がり。
その正体を知って思うところがある模様。また、劇中における共通点も多い。
上記の逸れのアサシンの若かりし頃の姿で『盈月剣風帖』において共演。
イベント中では、逸れのランサーとして召喚された彼に助力を申し出す。この時、書文は正雪の真実に気づき驚愕の表情を浮かべるも、その姿に哀れみを抱いたことで一時的な協力を約束した。
カルデアでは、主に彼女から現代文化を教わっている模様である。
自身のバレンタインイベントで曰く、彼女には頭が上がらないのだとか。
自身同様に軍略に秀でていたとされる戦国大名。なお『慶安太平記』では母親が正雪を身籠っていた際に「この子は信玄の生まれ変わりである」と予言される霊夢を見たという逸話が記載されている。だが少なくともこの正雪に関しては、普通の人間ではないこともあって信憑性は怪しいもの。
森宗意軒を(酷評だが)知っている人物。女体化キャラ繋がりである他に、日本出身の白髪の剣士で着痩せキャラ、『FGO』の最終再臨の描写が桜を背景に座った姿という共通点を持っている。
初登場作では老年期の李書文と、FGOに初参戦時は若年期の李書文と接点があるという共通点を持つ。さらに両名ともFGOへの参戦に伴い人気度が一気に上がった者同士でもある。
その他
序盤に主人公を襲撃させ、結果マスターとして覚醒させる、裏でランサー陣営とコンタクトを取っていた等、人間性自体は真逆だが劇中の役回りに共通点がある。しかし本当の言峰枠は……
聖杯戦争に参戦したホムンクルスのマスター繋がり。DLC第3弾ではイリヤと同様「実年齢より幼い姿」になっている。
余談
ファンからの愛称は「正雪先生」「先生」。
史実では接点が無い森宗意軒との関係が描かれているが、これは『Fate』シリーズの源流である『魔界転生』の設定が元ネタである為であり、その作品における「由井正雪」は物語の黒幕である森宗意軒の協力者として描かれている。
彼女のCVを務める田村睦心女史は、過去に『まほうつかいの箱』に登場する黒衣希望を演じて以来の約10年以来のTYPE−MOON作品登板となっている。数々の作品で少年役を演じることが多い田村氏が、まさかの女性役として起用されたことに新鮮さを感じたファンは多いかもしれない。
中性的な容姿と担当声優故に『SR』発売前は性別はどちらなのか?と議論が起こったキャラクターでもある。そして『FGO』実装まで実は男性だと思っていた『SR』未プレイユーザーも多かった。
『FGO』実装時、マテリアル最後のプロフィール欄の解放条件に「イベントクリア&オーディール・コールの特定クエストクリア」と表示されており、イベント内にてとある存在が特異点の裏で関与していた事実が判明(実装イベントとオルガマリークエストクリアによって解放される)。
そしてイベント終盤、『SR』本編をクリアしたプレイヤーも知らない更なる秘密が判明し、本編での不憫さを軽く凌駕する、洒落にならない悪意に満ちた尊厳破壊に慄くユーザーが続出した。
公式内で正雪に(不憫な)スポットが当てられた際は、本編の門下生達に倣って「おのれ(卑劣な)幕府め」と反応するのが恒例となっている。これに倣って正雪のファンは「烈士」「浪人」と呼ばれることも。なお『SR』本編での門下生が実際に言った台詞は「くそう、幕府め……」である。
関連動画
紹介映像:ライダー陣営編
関連イラスト
【第一再臨】
【第二再臨】
【第三再臨】
関連タグ
※ 以下、イベント『盈月剣風帖』のネタバレ注意!
本当の正体
前述の通り彼女はホムンクルスである。
しかし、森宗意軒がわざわざ彼女を鋳造したのは、現行人類に取って代わる新人類とする為。
人の世の歪さを嘆いた森宗意軒だが、彼もまた狂った一面を持つ存在であり、神(デウス)の国に相応しい無垢なる命で世を満たす(今を生きる旧人類を皆殺しにする)為にデザインされた。しかし森宗意軒が得た知識・技術は不完全であったため、彼も改善に手を尽くしたが結局寿命の問題は解決しなかった。正雪は今の世で苦しむ人々を救うべく奇跡に縋ったが、当の創造主はその「今の人々」を淘汰する事を画策していたのは、皮肉というにはあまりに惨い真実である。
だが宗意軒自身も彼女の無垢さに触れる内に罪悪感が芽生え、正雪は武家の養子として生きる事に。上記の理想は誰にも知られる事なく、宗意軒の中でのみ完結した過ちに終わった。
宝具(ネタバレ)
五蘊盛苦・夢幻泡影(ごうんじょうく・むげんほうよう)
- ランク:B+
- 種別:増殖宝具
- レンジ:−
- 最大捕捉:1人
「私ハ誰だ……誰ナのダ!?教えてクれ――『五蘊盛苦・夢幻泡影(ごうんじょうく・むげんほうよう)』ォォッ!!誰か……私ヲ……殺しテクれェェ……!」
仮想英霊としての正雪が得た自覚なき宝具。森宗意軒が彼女に製造本来の機能として組み込んでいた「現行人類に成り代わるべき新人類の発生・増幅装置」としての機構。魔力の続く限り自身を無限に増殖させ、世界を理想(自分自身)で埋め尽くす恐るべき宝具。故に、これは正雪の宝具というより、厳密には森宗意軒が有する宝具(=正雪そのもの)ではないかという見方もある。
だが、この機能は「イフの歴史でさえ発動するに至らなかった」と明言されている通り、正雪の存命中は終ぞ条件を満たして芽吹く事がなく、ゆえに彼女自身も知る事が無かった。
また設計時の想定=生前では、仮に発動し霊脈に接続した状態でも「年に1体」の増殖が限度だったらしい。しかし正雪がサーヴァントとなり、英霊としての宝具へと昇華した事で、聖杯やそれに匹敵する相応の魔力リソースがあれば爆発的な増殖が可能となってしまったのだった。
この宝具が厄介なのは、聖杯の様な魔力源と接続すれば勝手に発動する点。
そこに正雪の意志は介在せず、新人類発生・増殖装置としての本質を示す代物。
誕生の経緯から血塗られた正雪の尊厳を、徹底的に破壊する悪辣極まる宝具と言える。
「伯爵」はカルデアに対する新たな罠を用意する為、正雪に盈月の器を模した聖杯を渡すことでこの宝具を発動。正雪を核にして無数に増殖した骸で構成された「贋作空想樹 盈月」を作り出した。
終盤までその存在は隠されていたが、本性を現した丑御前により、活性化した江戸の霊脈を伝って江戸城を飲み込む形で出現。主人公、タケル、伊織は、各地で召喚された逸れの英霊達の協力を得て丑御前の撃破後に空想樹を伐採し、核にされていた正雪を救出する事に成功した。
なお上記の「元々は年に1体」という数値は一見大した事がないように見えるが、オリジナル以外の個体も宝具を受け継ぎ倍々ゲームで増えられると仮定した場合、30年で10億人を突破する計算となる。無論人間社会内においてそこまでの時間と安全と魔力を確保するのはまず不可能だが。
参照サイト「秀吉をあわてさせた「ヤバい計算」:ダイヤモンド・オンライン」
余談(ネタバレ)
生前の正雪は、自身の生みの親であり師である森宗意軒より「玉兎たれ」という想いを託されていた。この玉兎というのは『月の兎』という説話に出てくる兎のことで、この身を食料にしてでも救おうとする兎の献身ぶりに感銘を受けた帝釈天が兎を月に昇らせたという話である。それを踏まえると『盈月剣風帖』の正雪は皮肉にも、彼女に感銘を受けた帝釈天の子により月の名を関した巨大な妖樹にされるという『月の兎』を歪めた展開となったという更なる尊厳破壊を受けてしまった。
この宝具の詳細が明らかになってからサムレム世界が剪定事象の対象になったのはこれが原因では?と考察する声も。スーツ姿も、大量に増殖する戦闘員の1人と見れば納得できるという声も。
また森宗意軒も天草四郎もホムンクルスに対し羨望を抱いてるものの、正雪含めて関わったホムンクルスは自分がホムンクルスである事をコンプレックスに思ってるなど共通点も多い。
関連人物(ネタバレ)
人類愛によって今を生きる人類を滅ぼす存在。正雪本人の想いと宝具の性質から、在り方としては近しい。特に第一再臨の姿は、同じく伯爵に利用されたあるビーストとどこか似ている。
第七特異点に登場したビーストの泥から生まれた「新人類」。こちらは神々が作ったものという違いはあるものの、正雪と同様のホムンクルスの量産型で、そのホムンクルスは若旦那の最愛の存在である。
織田信長が暴走した聖杯に触れたことで大量発生したナマモノ。絵面はトンチキだが、サーヴァントの霊基から出来ている、魔力リソースがあればいくらでも増殖する等、似通った部分がある。
バゼット・フラガ・マクレミッツ、カレン・オルテンシア、アンリマユ
『Fate/hollow ataraxia』で初登場し、それぞれ物語の鍵を握っていた人物達。
蓋を開けてみれば『盈月剣風帖』の正雪はこの3人のポジションの多くを担っていた。