―――それは、始まり〈ゼロ〉に至る物語。
概要
『Fate/staynight』から10年前の「第四次聖杯戦争」を描く。
2006年から2007年まで全4巻で元々はTYPE-MOON BOOKSレーベルからの販売であるため、一般流通はしていなかったが、好評の声も多かった事から、2011年秋にアニメ化&文庫化が発表。星海社文庫より全6巻で販売され、一般書店にも並ぶようになった。
コミカライズは、ヤングエースの2011年2月号から真じろうにより全14巻で連載された。
また、2008~2010年にはドラマCD版が全4巻で発売された。
『stay night』との繋がりについて
本作は『Fate/staynight』の前日譚という体であり、原作者の奈須きのこも虚淵玄に対して「最低限守るべき条項」をいくつか指示していた。だが、本編で語られた第四次聖杯戦争とは矛盾する点も多く、衛宮切嗣やセイバー、言峰綺礼やギルガメッシュなどは略歴と性格が微妙に異なっている(『stay night』の彼らか言った第四次戦争や第四次戦争以前の略歴とは異なる部分もある)。
『TYPE-MOON 10周年記念オールキャラクター人気投票』では『stay night』キャラクターであるセイバーと言峰綺礼、ギルガメッシュは明確に区別されることになった。奈須きのこ氏はコメントで「なんでZeroと別枠なのかと言うと、そりゃ別キャラだからだよ。」と語っている。
これらは、公式ファンブックにてセイバーが「私、なんか性格違うような……」と公式でネタにしている他、ドラマCD『アーネンエルベの一日』にて言峰綺礼が「ドラマの為ならば、原作をも殺すをスローガンにしている」という発言もあるので、そういう仕様である。
だだし、本作の登場人物ウェイバー・ベルベットが成人した姿であるロード・エルメロイⅡ世が主人公を務める『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』は『stay night』と同じ世界だと述べられており、『Zero』に先駆けて発売されていた『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』の設定資料集にその内容が記載されている。つまり設定こそ異なるが、『stay night』でも第四次聖杯戦争の流れは『Zero』とおおよそ共通している様子(ウェイバーがライダーを召喚したなど)。
こうした点について、設定に対して厳密さを求めるファンを中心に否定的に見られることもあるので、言い争いにならないよう注意したい。
また、奈須きのこ氏本人は小説『Fate/strange Fake』のあとがきにて「ZeroとstrangeFakeは『stay nightと条件は同じだけど、微妙に違う世界』」と語っている。
さらに『stay night』の再アニメ化決定の際に、奈須きのこの『竹箒日記』は「極端な話ですが、物語性においても映像面においても『Zero』とは別のモノと考えてください。『stay night』が目指したものと『Zero』が目指したものは別のもの。これを無遠慮に繋げてしまうと物語も空気感も破綻します。『stay night』も『Zero』も違う作家が書いた違う物語だからこそ、互いを尊重しあえるものなんです。」と述べ、ufotableも「勿論わかっています。これは『Zero』の続編ではなく、『stay night』という新作です。」と応えている。
つまり『stay night』本篇と完全には繋がっていない、少し異なる世界である模様。
武内崇も「ufotableさんには『Fate/stay night』は『Fate/Zero』から続く話でありながら、違う作品なんだと。矛盾したことを何度もお願いしています。」とコメントしており、公式としても矛盾点は認めており、同一世界ではなくあくまで別作品として見てそれぞれ楽しんで貰いたいと発言している。
ストーリー
日本の地方都市・冬木市では、7人の魔術師がマスターとなって、伝説上の人物(英雄)をサーヴァントとして召喚し、使役して相争う「聖杯戦争」を繰り返してきた。戦いの勝者の願望を叶える万能の器である聖杯を賭けた、己が望みの為に殺し合う儀式、これまで三度の聖杯戦争が行われてきたが、聖杯の力を行使できた者はいなかった。
1990年代のある年の秋。衛宮切嗣が聖杯に願いを託す時、第四次聖杯戦争の幕が開く。
登場人物
主要人物
衛宮切嗣(CV:小山力也) | アイリスフィール(CV:大原さやか) |
---|---|
「魔術師殺し」と呼ばれる傭兵じみた魔術師。 | アインツベルンのホムンクルスで切嗣の妻。 |
言峰綺礼(CV:中田譲治) | 遠坂時臣(CV:速水奨) |
元聖堂教会の代行者であり遠坂時臣の弟子。 | 遠坂家当主であり由緒正しき魔術師。 |
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト(CV:山崎たくみ) | ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ(CV:豊口めぐみ) |
神童と呼ばれた時計塔の講師。 | ケイネスの婚約者。 |
間桐雁夜(CV:新垣樽助) | ウェイバー・ベルベット(CV:浪川大輔) |
一度は出奔した間桐家の魔術師。 | 時計塔の学生で、ケイネスの聖遺物を盗み出し参戦。 |
雨生龍之介(CV:石田彰) | |
冬木の殺人鬼。 |
サーヴァント
セイバー(CV:川澄綾子) | アーチャー(CV:関智一) |
---|---|
ブリテンの伝説的君主。真名はアーサー王。 | 人類最古の英雄王。真名はギルガメッシュ。 |
ライダー(CV:大塚明夫) | ランサー(CV:緑川光) |
マケドニアの覇者となった征服王。真名はイスカンダル。 | フィオナ騎士団最強の筆頭騎士。真名はディルムッド・オディナ。 |
バーサーカー(CV:置鮎龍太郎) | アサシン(CV:阿部彬名、その他) |
湖の騎士にして裏切りの騎士。真名はランスロット。 | 「百の貌のハサン」の異名を持つ暗殺者。 |
キャスター(CV:鶴岡聡) | |
フランス軍の元帥でジャンヌ・ダルクの戦友。真名はジル・ド・レェ。 |
その他
久宇舞弥(CV:恒松あゆみ) | イリヤ(CV:門脇舞以) | ユーブスタクハイト(CV:藤本譲) |
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切嗣の武器であり愛人。 | アイリと切嗣の娘。 | アインツベルン当主。 |
遠坂葵(CV:伊藤葉純) | 遠坂凛(CV:植田佳奈) | 間桐桜(CV:下屋則子) |
遠坂時臣の妻で遠坂凛と間桐桜の母親。 | 遠坂家の娘。父を慕う素直な性格。 | 凛の妹で間桐家に養子に出された娘。 |
言峰璃正(CV:広瀬正志) | 間桐臓硯(CV:津嘉山正種) | 間桐鶴野(CV:鳥海勝美) |
第四次聖杯戦争の監督役。 | 間桐家当主。 | 慎二の父。 |
シャーレイ(CV:高垣彩陽) | ナタリア(CV:渡辺明乃) | 衛宮矩賢(CV:千葉一伸) |
幼い頃に出逢った切嗣の初恋の人。 | 切嗣が母のように慕った女性。 | 封印指定となった切嗣の父。 |
コトネ(CV:小林桂子/瀬戸麻沙美) | 藤村大河(CV:伊藤美紀) | 衛宮士郎(CV:野田順子) |
凛の友達。 | 藤村組の組長・藤村雷画の孫娘。 | 切嗣が最後に得た希望。 |
グレン・マッケンジー(CV:西川幾雄)
マーサ・マッケンジー(CV:峰あつ子)
シモン神父(CV:ふくまつ進紗)
オッド・ボルザーク(CV:坂巻学)
エルキドゥ(CV:高橋伸也)(※) | フィン・マックール(CV:楠見尚己) | ジャンヌ・ダルク |
---|---|---|
ギルガメッシュの親友。(※) | フィオナ騎士団の首領。 | ジル・ド・レェの戦友であり救国の聖女。 |
ギネヴィア | グラニア(CV:中川里江) | |
セイバーの妻。 | ディルムッドの妻。 |
コーマック・マック・アート大王(CV:大木民夫)
(※)エルキドゥは漫画版では衰弱した姿で描かれているが、アニメ版には一切描かれておらず登場していない。また、こちらのエルキドゥのCVはドラマCD版のみであり、キャスティングされた声優(高橋伸也氏)や漫画版と小説の文章を見る限り、当時の『Zero』では男性設定だったようで、後にエルキドゥはCVや性別などの設定変更がされているため、『Zero』の方は現在とは全く違う。また、上記に記されてる通り、『Zero』は『stay night』や『strangeFake』とは世界が違うため、それが理由で『Zero』版エルキドゥはCVや性別などが違っていた可能性があるが制作側による言及がないので現在も理由は不明である。
CVの高橋伸也氏は『Zero』の数々のモブ役を兼ね役で演じられており、ドラマCD内でも『Zero』版の男性エルキドゥには少ししかセリフがない為、制作側は新たにキャスティングをするよりもモブ役を兼ねていた高橋氏に任せただけなのかもしれない。
テレビアニメ
分割2クールで、1stシーズン(1~13話)は2011年10月~12月に、2ndシーズン(14~25話)は2012年4月~6月にそれぞれ放送された。
2012年3月7日にBlu-ray-BOXⅠが、2012年9月19日にBlu-ray-BOXⅡがそれぞれ発売。
特典映像としてショートアニメ『アインツベルン相談室』が収録されている。
また、主題歌を担当したLISA氏のデビュー作でもある(より厳密にはLISA名義としてのデビュー作とするのが正確)。
後の同社が製作した某アニメで主題歌を担当し、人気を爆発させたのだが、それはまた別の話である。
オープニングテーマ
「oath sign」(第2話 - 第13話)第1話はエンディングテーマとして使用。第11話はディレクターズカット版のみ。
作詞・作曲 - 渡辺翔 / 編曲 - とく / 歌 - LiSA
「to the beginning」(第14話 - 第17話、第20話 - 第24話)第24話はディレクターズカット版のみ。第25話ではエンディングテーマとして使用。
作詞・作曲・編曲 - 梶浦由記 / 歌 - Kalafina
エンディングテーマ
「MEMORIA」(第2話 - 第13話)
作詞 - Eir,Fumio Yasuda / 作曲 - Fumio Yasuda / 編曲 - 下川佳代 / 歌 - 藍井エイル
「空は高く風は歌う」(第14話 - 第17話、第20話 - 第24話)
作詞・作曲 - 梶浦由記 / 編曲 - 森空青 / 歌 - 春奈るな
「満天」(第18話、第19話)
作詞・作曲・編曲 - 梶浦由記 / 歌 - Kalafina
ミュージカル
『MUSICAL Fate/Zero 〜The Sword of Promised Victory〜』のタイトルで、2025年1月〜2月に東京・大阪にて上映予定。
原作の虚淵玄が脚本監修として参加し、脚本・演出・作詞は西森英行、音楽は坂部剛が担当する。
余談
- アニメ版の7陣営を紹介するCMにおいて生き残った陣営にはED曲が、敗退した陣営にはOP曲が据えられている。(キャスター陣営のみBGM)
- アニメ版の放送日は記念日と重なる日が多く、キャラクターの設定に関連した日である事が多い。
衛宮切嗣:『こどもの日』(衛宮矩賢退場)、『父の日』(父の日コンテンダー)、『母の日』(母の日スティンガー)
ライダー:ライダーの命日(退場回)
ケイネス:いい夫婦の日(退場回)
雨生龍之介:クリスマス(神についての持論を語る回)
- なお、アニメ版の回想に登場する英雄たちは当時の公式見解に準じたデザインで登場する。
- ED1『MEMORIA』に登場するサーヴァントの回想は全て元ネタがある。
- また、同曲で登場するチェスの駒のようなモニュメントは後に『Apocrypha』のOPに、『FGO』では再臨素材の『〇〇モニュメント』として登場している。
サーヴァント | 元ネタ | 解説 |
---|---|---|
セイバー | How Mordred was Slain by Arthur, and How by Him Arthur was Hurt to the Death(アーサー・ラッカム作)。 | カムランの戦いでの一騎打ちを描いたもの。 |
ライダー | アレクサンダーの勝利、あるいはアレキサンダーのバビロンへの入門(シャルル・ルブラン作)。 | |
アーチャー | ライオンを捕獲したギルガメシュのレリーフ。 | 元ネタではライオンを捕らえているが、EDではライオンを侍らせている。 |
ランサー | ディルムッドとグラニアの逃避行。 | アイルランドのスライゴにある銅像。 |
キャスター | 犯罪人ブルターニュのジル閣下・レ男爵・フランス国元帥の処刑執行。 | シチュエーション自体は同様だが、(おそらく宗教上の理由で)構図が異なる。 |
アサシン | Artistic rendering of Hassan-i Sabbah。 | 元絵では素顔が見えているが、こちらでは素顔を映していない。 |
バーサーカー | 『湖の乙女は幼少期のランスロットを誘拐する』。 | アリフレッド・テニスンの詩『国王牧歌』の挿絵。真名秘匿の為に構図が変更されているが、逆に視聴者にはバレていた。 |
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外部リンク
※第一巻『第四次聖杯戦争秘話』が無期限完全公開中