作画ミス
さくがみす
概要
(以下ニコニコ大百科より一部抜粋、編集)
作画ミスはさまざまな要因によって発生しうる。作画するのが手作業である以上ミスは発生するため、誤植の校正やプログラムのデバッグ同様、チェックする必要があるのだが、校閲(チェック担当)者が見落としたり、ミスだと認識できなかったり、納期(締め切り)が近くチェックが間に合わなかったり、発見しても修正できる時間がなかったリ…などの理由で、それをすり抜けてしまい世に出るのが作画ミスである。
人が絵を描く以上どうしても起こりうる現象のため、pixivでも時折そうしたミスが発見されることがある。
『トランスフォーマーシリーズ』の作画ミス
作画ミスは、『トランスフォーマーシリーズ』の名物である。
同シリーズ(特にG1~2010)は作画ミスが非常に多く、G1では1話から早々にスタースクリームが二人存在するというドンミスをかましている。
その後もチェックは節穴というか見切り発車というか、ミスが減少する様子は見られずむしろ間違い探し的な乗りか頻繁にミスが発生している。
とりわけ多かったのがスタースクリーム、サンダークラッカー、スカイワープらジェットロン3人組の彩色ミスで、3者各員の分身増殖ミスが多々発生。酷いときは(一瞬とはいえ)3人ともサンダークラッカーなんてミスも発生したした。これに対しラムジェット、ダージ、スラストの新ジェットロン3人は翼のデザインが各々異なっていたが、結局彩色ミスが発生した。
とりわけG1の「スチールシティ」、「チルドレン・プレイ」、「ギャンブル惑星モナカス」、2010の「音楽惑星」はそのミスの多さ、酷さから一種のネタとなっている。
ちなみに、極端に酷い彩色ミスは日本に逆輸入する際に修正されているものもある。(例:『インカの秘宝』にてスカイワープが「バハハ~イ☆」と飛び去るくだりは海外版だと全てサンダークラッカーの青に塗られているが日本版はちゃんと黒色にされているなど)
後のTFシリーズでも(初代ほどではないが)作画ミスが所々発生しており(ビーストウォーズやプライムの様なCG作品でもミスが多発している)、もはやトランスフォーマーの伝統名物として語り継がれている。
主な作画ミス
G1トランスフォーマー劇中に該当シーンがあった場合、例として記載する。なぜかって? 作画ミスのお手本をほとんど網羅しているからだよ!
凡ミス
項目を参照。ミスではなく元からそういうキャラの場合もある。
古典的な作画ミスの一つで、あの浮世絵師歌川広重も間違えており、名作『東海道五十三次』では、なんと48%の絵に六本指の人物が一人以上登場している。
逆に減ることもある。昔のアニメでは「5本指だと残像分身で6本指に見える」と言う理由で、意図的に指が減らされた作画が描かれたこともあると手塚治虫が語っている。
ちなみにキュートランスフォーマー第2期9話では、ゲストに登場したアーシーの腕が3本に増えている(しかものちに公開されたカットされた部分の放送でもそれが使われている)なんてミスが起きた。
『ジョジョの奇妙な冒険』のJ・ガイル(とその母のエンヤ婆)自体は、公式設定で「両方右手」だと明言されている。
J・ガイルを描いてないイラストにこのタグが付いているとどういうことか、もうおわかりだろう。
逆に両方左手になっているイラストもあり、これにもこのタグがつく。実は、プロでもよくやってしまう凡ミスの一つ。
- 立ち位置変更
キャラクターの立ち位置などが鏡に映ったように反対になる(逆に鏡の中が映った対象と同じ向き、動作をするミスもある)。「そんなことあるわけないじゃん」と思うかもしれないが、綿密に描いていないと、複数人がゴチャゴチャした場面ではいつの間にか立ち位置がシャッフルされていたり、そこにいないはずのキャラがなぜかいたりすることもある。
酷いと謎のモブキャラが突如登場することも。
別名「瞬間移動」。
チャムリーに捕まって人質にされているはずのインフェルノが、チャムリーが送ってきた捕まった仲間たちの様子をコンボイらと共に基地で見ている。
セイバートロン星にいるはずのレーザーウェーブが地球にいる。(原語版と日本語版の放映順の違いによる物ではない)
パーツ目当てにコンバットロンに捕まったダージが、何事もなかったかのように基地に戻っている。
ガルバトロンと行動を共にしていた筈のサウンドウェーブが、そこから大きく離れたビルドロンの元にいる。
右利きのつもりで描いたのに何故か左手に武器が・・・
また、右利き剣持ちキャラの鞘が右腰にあるなど(剣の種類によっては一概に無いとは言えないが、長剣の場合は抜くのに難儀する)。駆け出しのころによく経験する。例えば『ドラえもん』24巻ではジャイアンとスネ夫が右手にグローブをはめているミスがある。
また、既存の左利きキャラを右利きで描いてしまったり、備え付けの装備を反対側に付けてしまうこともあり、これは慣れ始めた時にやってしまいがち。例えば、バラバとタイラントの腕を同じ向きで描いてしまう(本来なら鏡合わせになってる)など。
なおディズニーのマイナーアニメ映画ブレイブ・リトル・トースターでは、終盤に登場した車の1台がタイヤ4輪全て喪失状態だったはずが次のシーンで後ろ2輪が装着されており、更にその後左のライトが抜け落ちたはずなのに次のシーンでは左右が反転して右のライトがなくなっている。
該当シーン。3:28辺りから登場する黄色い車に注目。
- 再生能力
体に傷のあるキャラの傷の描き忘れ。戦闘シーンが多い作品では頻繁にあり、漫画『BLEACH』では初期のエピソードで、主人公の黒崎一護に両手首を切り落とされた虚が、ラストシーンで刀を握っていたことがあった(アニメ版では修正されている)。
また、ヒゲやそばかすなども書き忘れの対象になりやすい。ドラえもん、ブラックジャック、ONEPIECEなど超メジャー作品でも発生するミス。
例:デストロンに奪われ、基地の頂上部に銃諸共砲台代わりに取り付けられていたはずのコンボイの右腕がいつの間にか取り付けられている。
宇宙サビに感染したサイバトロン面々の体から(解決策を実行する前に)サビが取れた。
- 彩色ミス
いわゆる塗り間違い。
おそらくトランスフォーマー作中最も多いミス(左図右のボンブシェルは、目の部分が赤く塗られていない。同様のミスはサウンドウェーブにも起きているが、どちらもその間丁度ノーリアクションだったため、1部では「スリープモードに入っていた」とネタにされている)。上記の様に同型のジェットロン一同はもちろん、それ以外のキャラでも多発している(コンボイの赤いボディ部分が青く塗られる、メガトロンの頭部が白いまま等)。
トランスフォーマー以外の例を挙げると『聖闘士星矢』ではカメレオン星座のジュネというキャラが、服を塗り忘れていたせいで真っ裸に直接スーパーハイレグ型の鎧を着用しているように書かれてしまったことがある。
- 瞬間早着替え
服や小物が瞬時に着脱される。塗り間違えの近縁。複雑な戦闘シーンが続くと起こりがち。
トランスフォーマーでは、所属勢力を表すエンブレムが敵勢力のものと入れ替わる事態が多々あり、特にサウンドウェーブやパーセプターの敵陣エンブレム装着は有名。
ほかにも上記の彩色ミスとのコンボで、前進中のモブジェットロンのカラーが突如変わったり、消火剤を浴びたサンダークラッカーがスカイワープに変わったり(よく聞くと声まで変わっている)なんてことも。
さらに上位のものになると何の脈絡もなくデザイン自体が変わってしまうことまで(デバスターのバイザー着脱、メガトロンやサウンドウェーブ、ホイルジャックの武器デザインの変化等)。
似た例にバンクシーン(何度も使う撮り貯め部分)の使用によるストーリーや演出との食い違いもある(昼なのに突然暗くなる、ロボットが一世代前の仕様に突然戻る、壊れたはずの物が次のシーンで直っている等)。
身体構造上、絶対に不可能なひねりを描いてしまうこと。
TFではどうだったのかと言うと、上記の「チルドレン・プレイ」では、野球場での戦闘中コンボイが「2アウト!」の号令と共に掲げた腕が明らかにおかしな伸び方をしていた。
- 同じコマに美雪ちゃんが二人!!
「修羅場続きで眠い時の原稿作業は何が起きるか解りません。」
(『金田一少年の事件簿シリーズ』のさとうふみや氏のあとがき漫画より)
※イラストはイメージです
別名「ジェロニモ現象」。一度経験するとTFの作画監督の気持ちが少し理解できるようになります。
トランスフォーマーでは、上記の通りスタースクリーム等ジェットロン3人組が彩色ミスもあってしょっちゅう入れ替わったり分身したりしているが、コンボイやメガトロンも分身したことがある。
- セル画やフィルムその物の損傷や異常
これはちょっと番外編。
昔のアニメはほぼ全てがセルを撮影してフィルムに収めたもので、フィルムが破損していると画像にノイズが走り、撮影時のセルがコーヒーをこぼしたものだったりすると赤茶けている場面が一瞬だけ映る(実際トランスフォーマーでは、煙草でも落としたかのような焦げ跡らしき謎の穴が一瞬映るシーンがある)。また古いセルを取り直して新メディアで再録する場合、セルの切れ端が映像に亀裂を発生させてしまうことがある(『チャージマン研!』で多発する通称『陰毛』の正体がこれ)。これに対し、手塚治虫は意図的にフィルムを傷つけてアメリカの昔のアニメ映画を再現した『おんぼろフィルム』というアニメを作成したことがあるのは有名な話。
これ以外にもセルを重ねる順番や位置を間違えたミスもあり、変形したプロールがコンボイの足を轢いてしまっていたり、サイバトロン面々が壁を破壊することなく通り抜けてきたり、サウンドウェーブの体にモニターの図形がそのまま映っていたり、足が地面にめり込んだり中途半端に浮いたり、と言っただまし絵や超常現象じみた怪奇が引き起こされたこともある。ここまで読んで何を書いてるかわからない人も多いと思う。
特に酷い例が上記のG1の3話で、「スチールシティ」のコンボイより奥にいるはずのメガトロンの指がコンボイより画面手前に来てる、スカベンジャーが天井を破壊したら自分が壊れた(天井とスカベンジャーの間に入るヒビのセルが1番手前に来てしまっていた)、「ギャンブル惑星モナカス」のエレベーター式で沈むはずの床が沈まずにそこの上にいたキャラだけボッシュートよろしく沈んでいった、特定キャラの接近に伴いフェードアウトするはずのキャラがそこに居座り続けた(そのせいで接近したキャラが巨大化した様にも見える)とセル関係のミスが多発。
「チルドレン・プレイ」に至っては、一見回転しているように見える丸鋸の外側が全然まわってない、スタースクリームの前に突如巨大な足が出現してコンボイを蹴る、スタースクリームに当たってバウンドしたジャガーが空中で静止した、キャラは歩いているのにルームランナーよろしく壁は全然動いてないと怪現象の連発で、終盤に至っては、いきなり姿を現したコンボイ達がロケットに吸収されるように乗り込んでいき、最後は見送っていた原住生物がロケットと一体化している(通称『猫ロケット』)。そして当然ほかのミスも多発している(スモークスクリーンやスタースクリームの彩色ミスなど)。
資料不足によるもの
和服は通常正面から見て右側の襟が手前になるように着るもの(右前)で、これを逆(左前)に描くと死に装束になってしまうので注意。「通常はyの字」と覚えておこう。
アニメ『マギ』では、とあるキャラの合わせがシーンごとに代わるというミスがあった。
洋服はこの限りではない、が…。
- ボタン位置の間違い
洋服のボタンは男性ならば左が上、女性ならば右が上になるように作られている。逆に描くと意図的に女装(男装)していることになっちゃうぞ。
- メカクレ問題
うろ覚えのキャラの場合、上記の左利きよろしく眼帯や前髪で隠している目を反対に書いてしまうこともある(ちなみに空想科学読本では鬼太郎の前髪が逆に描かれているが、これは意図的なもの)。注意せねばなるまい。
- 旧々スク?
いわゆる旧スクの構造誤認で描かれる場合がある。もっとも故意にセパレートタイプに描いている場合も結構あるようだ。
アームカバーは右腕にしかないのだが、初音ミクや鏡音リンの場合両腕にあることと、公式絵(→外部リンク)で左腕がほとんど隠れていてよく見ないと判らないことから、両腕にアームカバーを描いてしまいやすい。
対比してみると分かり易いだろう。
- 対比サイズのミス
大きい物体を描いている際、対比するそれより小さいモノをより小さく描きすぎること。
例を挙げると『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』では、「本来1mもない脱出ポッドがνガンダムの掌より大きい」というミスが描かれ、これではνガンダム(21m)と同じサイズのサザビーが70m程のサイズになってしまう。他にもデビルリバースやデストロイガンダムの様に極端に大きいキャラの場合、シーンごとに全く大きさが異なる、と言うことは多い。漫画『鉄人28号』では、序盤では3m位しかなかった鉄人が話数を追うごとにどんどん巨大化していくが、シーンによっては5mくらいのサイズになったりすることも多い。
そんな鉄人の系譜を受け継ぐトランスフォーマーではデバスターのサイズがシーンごとにバラバラなことが有名で、1話の間だけでメガトロンの1.5倍程度から数十メートルはあるんじゃないかと思うような巨体になったりしたこともある。ちなみにサウンドウェーブやアストロトレインの様に変形時にサイズ変更が可能な連中もいるため、シーンによってはミスか意図的かわかりにくい(さすがに車に変形するバンブルやアイアンハイドが難なく一般的なビルの内部で行動できるのは色々おかしいだろうが)。
また、アニメや恋愛ゲームなど、複数の作画担当が同時並行で絵を描いている作品の場合、スタッフの趣味が暴走しキャラが異常に童顔になったり、極端な巨乳に描かれたり、画風が不適当なものになったりすることも存在する。
実写映像でもCG技術が発達した結果、サイズが公式設定よりも明らかに巨大化した例もある。
ソフト化
作画ミスは基本的にソフト化の際に修正されるが、いろいろと問題になったこのアニメではあろうことか修正した結果いたはずのキャラが消えたという新たなミスを発生させた。
ちなみにトランスフォーマーはソフト化されても修正されない。
現在、作画ミスといえばトランスフォーマーというのは、このようなかたちで作画ミスがバッチリ残っているためだと思われる。