東北楽天ゴールデンイーグルス
とうほくらくてんごーるでんいーぐるす
キーワード・歴史
50年ぶりの新球団参入と辛酸をなめた1年目
2004年、大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブとの合併問題から端を発したプロ野球再編問題の中で、同年9月に楽天が新規参入を表明。ライブドアとの競合の末チームを設立し、東北楽天ゴールデンイーグルスを誕生させ、初代監督に田尾安志氏を据える。
分配ドラフトでオリックスから金田政彦、大島公一、中島俊哉らを、大阪近鉄からは福盛和男、吉田豊彦、藤井彰人、高須洋介、吉岡雄二、礒部公一、川口憲史、牧田明久らを獲得。また分配ドラフトでオリックス入りを拒否した岩隈久志も獲得している。ドラフト会議では一場靖弘、渡辺恒樹、西谷尚徳、塩川達也、大廣翔治、平石洋介の6人を獲得。また山﨑武司、関川浩一、飯田哲也らをトライアウトで獲得した。
ロッテとの開幕戦こそ近鉄の元大エース・岩隈の好投もあり勝利で飾ったものの、続く2戦目は26-0、打者27人1安打に抑えられる大敗を喫する。そこでケチがついたのか、その後はすさまじいペースで敗戦を重ねていき、シーズン100敗こそ免れたが38勝97敗1分、5位の日本ハムからも25ゲーム差離されるというぶっちぎりの最下位と惨敗。なお、開幕戦で敗れたロッテのボビー・バレンタイン監督は開幕戦後「岩隈が投げた時はいいチーム」と語ったが、その岩隈はチーム最多かつ半分近い15勝を挙げ、バレンタイン監督の言う通りとなった。田尾監督はわずか1年で辞任し、野村克也氏が後任監督に就任した。
この年の投壊の反省から、楽天のドラフトは投手を最優先で獲得していくことになる。
野村監督就任とチーム初のクライマックスシリーズ進出へ
新たにホセ・フェルナンデス、鉄平らを獲得。この年も最下位に沈むが、ドラフトで田中将大を4球団競合の抽選の末に獲得。他に永井怜、嶋基宏、渡辺直人、中村真人ら後の主力選手を獲得して来シーズンに備えた。
2007年は健闘を見せ、初の最下位脱出を決め4位に浮上。翌2008年は順位こそ5位となるも岩隈が投手タイトルを総なめする活躍を見せた。この年には小坂誠、中村紀洋を獲得。
岩隈・田中・永井の先発3本柱に打線がかみ合い、球団史上初のAクラス入りを決めた。クライマックスシリーズでは第1ステージで福岡ソフトバンクホークスを破りファイナルステージに進むも、第1戦で4点差から一点返されて満塁にされた末に逆転サヨナラ満塁ホームランを打たれる(福盛の21球)と、勢いは一気に衰えて敗退。
CS終了後に野村監督は退任。後任にはマーティ・ブラウン氏が就任。
ブラウン・星野時代、東日本大震災とイーグルス
前年の勢いとは一転、負けが込むようになり、ブラウン監督の1年での解任が決定。しかし青山浩二、ダレル・ラズナー、小山伸一郎といったリリーフ陣の整備には一定の効果を示した。
星野仙一氏が監督に就任。岩村明憲、松井稼頭央ら元メジャーリーガーを獲得。
しかしこの年の3月11日に東日本大震災が発生、本拠地のKスタ宮城も被害を受けるなどした大きな打撃をこうむった。新人の塩見貴洋らの奮闘はあったもののこの年は5位に終わる。
シーズン終了後、エースの岩隈久志が海外FA権を行使、メジャーリーグ・シアトル・マリナーズへの移籍が決定した。
球団初の本拠地開幕を迎えたが、千葉ロッテマリーンズの前に敗戦。シーズン成績は4位だったが2009年以来の勝率5割をマークした。オフに斎藤隆らを獲得。
悲願の初優勝
4月は投打ともに振るわず一時は日本ハムと同率の最下位にまで転落していた。しかし昨年からの連勝記録を伸ばし続ける田中を牽引力として徐々に盛り返していき、7月にロッテを抜いて単独首位に立つ。
それ以降は勢いが衰えることなくほぼ独走状態となり、9月27日の西武戦にて遂に球団創設9年目にして初のリーグ優勝を果たした。日本シリーズでも読売ジャイアンツを4勝3敗で下し、球団史上初の日本一に輝いた。
この年24勝無敗という驚異的な成績をあげ、クライマックスシリーズ、日本シリーズでも大車輪の活躍を見せた田中はMVP、ルーキーの則本昂大は15勝をあげ見事新人王を獲得した。
優勝からの最下位へ
投の大黒柱であった田中将大、打の大黒柱であったケーシー・マギーの大リーグ移籍により昨年とはうって変わりチャンスでの一打、ここというところでの粘りが減りシーズン中はBクラスに甘んじ、最終的に最下位となってしまった。
それでも松井裕樹らルーキーの活躍が見られ、2015年以降のさらなる活躍を期待できる場面や、銀次が打率パ・リーグ2位に付ける等来年に繋がる所も多かった。
また、昨年新人王の則本が最多奪三振のタイトルを獲得した。
この年で星野監督が勇退しシニアアドバイザーに就任、大久保博元氏が新監督に就任した。
ドラフトで目玉の安樂智大を獲得。機動力野球を掲げ、春季キャンプから練習を積んできたが、ソフトバンクなどの選手層の厚さの前になかなか浮上のきっかけを掴めなかった。当初、先発入りを目指していた2年目の松井裕樹は制球難を克服できずにいたがクローザーに抜擢されて奮闘し、球団のセーブ記録を塗り替える活躍を見せた。交流戦では健闘したが、7月に入るとオーナーの現場介入が報道され、田代富雄打撃コーチが退団するまでに発展。これが災いしてか、チームは黒星を積み重ね、8月25日の対オリックス戦での敗戦で初の最下位転落。その後は脱出と転落を繰り返したが、10月3日の対ロッテ戦に敗れ、2年連続の最下位が確定した。この責任を取り、大久保監督が一年で辞任。新監督には近鉄、日本ハムを率いた野球評論家の梨田昌孝氏が就任した。この人事に加え9月には星野仙一氏が球団副会長に就任した。
生え抜き野手の躍動。そして完全崩壊…再構築へ…
ドラフトでオコエ瑠偉を1位、吉持亮汰を2位、茂木栄五郎を3位、足立祐一を6位に指名、いずれも貴重な戦力となった。特に2本のランニングホームランを放った茂木は遊撃に定着、長年、不振にあえいでいた島内・岡島もレギュラーに復帰し野手陣は堅調な活躍を見せるものの、投手陣は一年を通じてローテーションを守った投手がエース・則本のほかになく、長年の課題を2016年も払拭することができなかった。
チーム創立以来、年をまたいで活躍した投手が大リーグに移籍した岩隈久志、田中将大のほかにはエース・則本昂大のみであるという原因不明の構造的欠陥を克服するために岸孝之を西武からFAで、小山雄輝を巨人からトレードで獲得したほか、ドラフトでも藤平尚真をはじめとする投手8人を指名、下位からの浮上を目指しシーズンに突入、一時は則本・岸・美馬らが活躍しリーグを独走、夏以降もソフトバンクとのマッチレースになると思われたが、8月になると急失速、西武にも抜かれ3位に終わった。
その後のクライマックスシリーズでは第1ステージで西武を破り第2ステージに進出、王者・ソフトバンクに2連勝したが、その後の3試合に3連敗して惜しくも日本シリーズ出場を逃した。
しかし茂木・島内が生え抜き史上初の二桁ホームランを、ゼラス・ウィーラーが久々の30本を記録。また2番を打ったカルロス・ぺゲーロが超攻撃的2番として話題となり、ウィーラー・ぺゲーロ・ジャフェット・アマダーがNPB初の外国人20本トリオを形成するなど大きな手応えを感じさせる1年となった。
今年の楽天は開幕から絶不調の嵐で、開幕からわずか31試合で自力優勝の可能性が消失。打者は3割打者がおらず、チーム得点圏打率も.201とダントツの最下位。投手陣は先発陣は好調なものの、絶対的守護神である松井裕樹が崩壊。他リリーフ陣も総崩れで、QSを達成しても勝てないという有様で、気がつけば6月16日には借金20となっていた。同日に梨田監督が引責のため自ら申し入れて電撃辞任。後任は平石洋介が監督代行として選ばれた。代行とはいえ、初の楽天生え抜きの監督が誕生した。監督交代後の初戦では8得点と打線が息を吹き返し、今後の巻き返しに期待がかかる再発進となった。
しかし、平石に代わっても前半戦の借金20が足枷となり、順位を浮上させることは出来ず、更には主砲のアマダーがドーピングの陽性反応で出場停止処分となったことが追い討ちをかけ、3年ぶりの最下位となった。翌シーズンも引き続き平石が指揮することとなった。
3月に星野仙一球団副会長が死去。
前年8月よりGMに就任した石井一久の計らいにより、西武からFA宣言した浅村栄斗を引き入れ、更に新外国人としてブラッシュとブセニッツの2名が加入。
主力投手の岸と則本が離脱し、バッター陣の一部の主力が故障で離脱するなど厳しい船出を迎えるも、オープン戦では全12球団中3位を記録し、前半戦途中までは首位についていたが、6月のセ・パ交流戦を機に徐々に打線陣が不調に陥り、リリーフ陣が打ち込まれて逆転負けを喫することが増え、長らくBクラスに転落してしまう。
そこで、シーズン途中には広島と巨人との間にトレードを行い、広島から下水流昴を獲得し三好匠を放出、巨人から和田恋を獲得し古川侑利を放出した。
8月からはAクラスとBクラスを浮き沈みしながら徐々に勝ち星を重ね、最終的には142戦目の対ソフトバンク戦で(1試合残して)2年ぶりの3位を決め、CS進出に成功。
今季は松井裕樹がシーズン中8度の逆転負けを喫しつつも、自己最多の38セーブを挙げ自身初のセーブ王を獲得。
しかし、クライマックスシリーズでは浅村の活躍で初戦を制するも、第2戦の先発投手・美馬の乱調と打線陣の不調が重なり、ソフトバンクに逆王手をかけられ、1勝2敗でファイナルステージ進出とはならなかった。
2年ぶりのAクラス入りについては高く評価されるも、長年のチームの欠点が改善されなかったことやシーズン途中における成績不振が問題視され、平石は1年契約に留まってそのまま解任、後任として三木肇二軍監督が昇格した。平石は「2軍総括」という新ポストを用意されるも、その案を蹴った上でそのまま退団となり、シーズンオフよりソフトバンクの野手総合コーチに転身。
同年には、腰痛の悪化も重なって成績不振に陥っていた嶋が自由契約となり、シーズン途中より目の病気で戦線離脱していた今江、同シーズン限りで戦力外通告を受けた戸村と西宮が現役引退、一部の首脳陣メンバーも相次いで退団、10月30日には首脳陣の大幅な入れ替えが正式に発表された。
シーズンオフには、自由契約となった嶋と、同年限りで戦力外を受けていた今野龍太が東京ヤクルトスワローズへ、今野と同様に戦力外通告を受けていた西巻と、FA宣言をしていた美馬がロッテへの移籍を表明した。その後、長らくセットアッパーとして活躍していた助っ人のハーマン、後述する鈴木大地の人的補償として小野郁もロッテに移籍した。
ロッテからは入れ替わりで、FA宣言をした鈴木大地が、酒居知史がFAで移籍した美馬の人的補償として、涌井秀章が金銭トレードで加入移籍した。
2020年
2月11日、第2代監督を務めた野村克也氏が死去。
オープン戦は初め3連敗するものの、結果4位で終える。
現役選手・スタッフ
更新:2020年7月5日
監督・コーチ
一軍
背番号 | 名前 | 役職 |
---|---|---|
88 | 三木肇 | 監督 |
73 | 野村克則 | 作戦コーチ |
81 | 金森栄治 | 打撃チーフコーチ |
26 | 渡辺直人 | 選手兼打撃コーチ |
96 | 鉄平 | 打撃コーチ |
84 | 伊藤智仁 | 投手チーフコーチ |
75 | 小山伸一郎 | 投手コーチ |
90 | 光山英和 | バッテリーコーチ |
86 | 塩川達也 | 内野守備走塁コーチ |
79 | 笘篠誠治 | 外野守備走塁コーチ |
二軍
投手
背番号 | 名前 | 投 | 打 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 松井裕樹 | 左 | 左 | |
11 | 岸孝之 | 右 | 右 | |
12 | 近藤弘樹 | 右 | 右 | |
13 | 森原康平 | 右 | 左 | 背番号52から変更 |
14 | 則本昂大 | 右 | 左 | 選手会長 |
15 | J.T.シャギワ | 右 | 右 | 新外国人、元ドジャース |
16 | 涌井秀章 | 右 | 右 | ロッテから金銭トレード移籍 |
17 | 塩見貴洋 | 左 | 左 | |
19 | 藤平尚真 | 右 | 右 | |
20 | 安樂智大 | 右 | 左 | |
21 | 釜田佳直 | 右 | 右 | |
22 | 牧田和久 | 右 | 右 | パドレスよりFA、NPB復帰 |
23 | 弓削隼人 | 左 | 左 | |
28 | 酒居知史 | 右 | 右 | ロッテから美馬学のFA人的補償に伴う移籍 |
31 | 福井優也 | 右 | 右 | |
32 | アラン・ブセニッツ | 右 | 右 | |
39 | 引地秀一郎 | 右 | 右 | |
41 | 青山浩二 | 右 | 右 | |
43 | 宋家豪 | 右 | 左 | |
45 | 菅原秀 | 右 | 左 | |
47 | 渡邊佑樹 | 左 | 左 | |
49 | 福森耀真 | 右 | 右 | 2019年ドラフト5位 |
52 | 津留﨑大成 | 右 | 右 | 2019年ドラフト3位 |
53 | 高梨雄平 | 左 | 左 | |
56 | 鈴木翔天 | 左 | 左 | |
57 | 瀧中瞭太 | 右 | 右 | 2019年ドラフト6位 |
58 | 辛島航 | 左 | 左 | |
59 | 熊原直人 | 右 | 左 | |
60 | 石橋良太 | 右 | 左 | 背番号94から変更 |
61 | 佐藤智輝 | 左 | 左 | |
62 | 西口直人 | 右 | 右 | |
63 | 由規 | 右 | 右 | |
68 | 寺岡寛治 | 右 | 右 | |
68 | 池田駿 | 左 | 左 | 巨人からトレード移籍 |
91 | 久保裕也 | 右 | 右 | |
016 | 森雄大 | 左 | 左 | 2020年シーズンより育成 |
017 | 王彦程 | 左 | 左 | |
069 | 野元浩輝 | 右 | 右 | |
130 | 池田隆英 | 右 | 右 | 2020年シーズンより育成 |
131 | 木村敏靖 | 右 | 左 | |
132 | 井手亮太郎 | 右 | 左 | |
135 | 清宮虎多朗 | 右 | 左 | |
136 | 則本佳樹 | 右 | 左 | |
161 | 鶴田圭佑 | 右 | 左 | |
164 | 福山博之 | 右 | 右 | 2020年シーズンより育成 |
内野手
外野手
OB
余談
球団歌は『羽ばたけ楽天イーグルス』である。宮城球場に近い宮城野原駅の発車メロディーにもなっている。
球団歌だから当然とはいえ、何度も何度も「楽天」のフレーズが出てくる。その数36回。
また歌詞には東北6県のネタが散りばめられている。
関連タグ
楽天モンキーズ:台湾・中華職業棒球大聯盟所属のプロ野球チーム。2019年に楽天がLamigoモンキーズを買収したが、日本野球機構は『海外の球団を持つことについては野球協約に抵触しない』としている。
楽天ファンの有名人
サンドウィッチマン(伊達みきお、富澤たけし)・・・共に宮城県仙台市出身。
ファンクラブ名誉会員
※2005年創設時のメンバー。
大友康平(宮城県塩竈市出身、HOUND DOGのボーカル )
涼風真世(宮城県石巻市出身)
生島ヒロシ(宮城県気仙沼市出身、フリーアナウンサー)
さとう宗幸(宮城県仙台市在住、歌手)・・・後に田尾監督との件で憤慨し、退会したが一ファンとして応援。
大泉逸郎(山形県西村山郡河北町出身の演歌歌手 )
ザ・グレート・サスケ(岩手県盛岡市出身、プロレスラー・元岩手県議会議員)
千昌夫(岩手県陸前高田市出身、演歌歌手 )
山寺宏一(宮城県多賀城市出身)
舞の海秀平(青森県西津軽郡鰺ヶ沢町出身)
ウド鈴木(山形県鶴岡市出身)
稲垣潤一(宮城県仙台市出身)・・・2007年3月31日フルスタ開幕戦(日本ハム戦)で国歌斉唱。
畑山隆則(青森県青森市出身、プロボクシング元世界王者 )
西田敏行(福島県郡山市出身)
中村雅俊(宮城県牡鹿郡女川町出身)
三瓶(福島県本宮市出身)
田中義剛(青森県八戸市出身)
他に東北6県の知事、仙台市長らも名を連ねた。