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――かつて、戦争があった。

概要

『機動新世紀ガンダムX』は、1996年4月5日から同年12月27日までテレビ朝日および一部地方のテレビ朝日系列にて放送された。全39話。

略称は「ガンダムX」「GX」等でキャッチコピーは「月は出ているか?」。

TVアニメのガンダムシリーズで初めてアバンタイトルが採用され、次回予告をED内に組み込み曲終了後に次話のサブタイトルとその台詞を登場人物が喋るシーンで締めるなど、独特な構成が取られている。

サブタイトルは全て劇中の台詞から来ており、サブタイトルだけで大まかなストーリーを思い出せるのも風変わりなポイント。オーケストラによる重厚な楽曲も外せない。

前作も作中での敵対構図が解り難かったが、本作では当初そもそも主人公にとっての「明確な敵組織」の存在が描かれておらず、「重戦機エルガイム」や「戦闘メカザブングル」のような世界観描写が為されていた。

機動戦士ガンダム』をはじめとする宇宙世紀作品で取り上げられていたニュータイプ」という題材に、全編を通して向き合っているのが特徴。富野監督作品以外で真正面から「ニュータイプ」について語っているのは、『機動戦士ガンダムUC』と本作だけ(宇宙世紀以外の作品において「ニュータイプ」という用語が用いられるのは本作のみ)だが、今作では「ニュータイプ」という言葉に対してガンダムという作品そのものがメタフィクション的に投影されており、「ガンダムを考えるガンダム」というテーマを窺い知れる。

本作に登場する「ニュータイプ」を「ガンダム」に、そして「カテゴリーF」や「人工ニュータイプ」を「『ガンダム』になれなかったロボットアニメ」に読み換えて観れば、本作のテーマと最終盤で提示されるメッセージがより味わい深い物となるだろう。

また、地上波放映作品としては、戦時下の群像劇を描いてきたガンダム作品の中では珍しく、大戦後の荒廃した世界が舞台となっている。

放映当時、放送局であるテレビ朝日社内のお家騒動に巻き込まれ(これに伴い当時のテレ朝の夕方枠アニメ番組は全滅した)、放映期間短縮や唐突な予告なしの放映時間枠変更(午後5時→午前6時・関東キー局のみ)などの憂き目に会った。このため主演声優の高木渉も酒の席で「自分が不甲斐ないから…」と涙ながらに悔やみ、この事を後に本人自らネタにしている。(本作の96年内終了の噂は96年夏のコミケ等のサブカルイベントやB-CLUB川崎ヒロユキ氏がXのガンプラをレビューする連載で、「この忙しさは本来年末に来る筈だが」と年内完結を示唆するコメントを残していた事から上がっていた。)「ニュータイプを否定する作品」という宇宙世紀層の衝動的な解釈や、「打ち切り」という誤解も先行し、ガンダムシリーズの中でも不遇な扱いを受けていたが、インターネットの発達とDVD、新作プラモの発売等により、後年になって再評価されつつある。

とはいえ後年においても「Vガンダム」と並んであまり公式からの扱いがよくないガンダムである。特に多数の作品が共演する作品においては、参戦機体数の減少など扱いが軽んじられやすい作品となっている。

一方メインキャラはかかずゆみのような当時無名だった者含めて全員が大成したキャストばかりであり、放送から25年が経過した2021年現在でもキャストが長寿アニメを筆頭に知名度の高い作品のレギュラーを張っている率が非常に高い。

そのため、エンドロールで流れるキャストの一覧が今となっては超がつくほどの声優の無駄遣いとも呼べる域にまで達しており、1990年代のTVシリーズではキャスト陣が最も豪華なガンダムシリーズと呼ばれることも多い。

雑誌「アニメディア2011年1月号の記事では、成長後と思しきやや大人びた姿のガロードとティファが描き下ろされた。

ストーリー

第7次宇宙戦争。人類と地球に壊滅的な打撃を与えたこの勝者無き大戦争は、コロニー群と地球との泥沼の戦いの末、コロニー落とし作戦の強行によって凄絶な幕引きを迎えた。常軌を逸するほど大量の数のコロニー落としによって地球人類の99%以上が死滅。それに続く核の冬の到来による地球環境の激変。

それから15年の月日が流れたところから物語は始まる。

新たな世紀であるA.W.(アフターウォー)15年。荒廃した地球、北米で生きる戦災孤児の少年ガロード・ランは、ジャンク屋やモビルスーツ狩りを生業として逞しく生きていた。そんな彼の腕を聞きつけたのか、ある依頼が舞い込む。バルチャー艦・フリーデンに誘拐されたティファ・アディールという少女を取り戻してほしい――依頼を人助けと捉え、ガロードは単身、フリーデンに忍び込む。

しかし、いざ対面したティファに一目惚れした彼は、引き合わせた依頼主を見て激しく怯え出す彼女を連れて逃走。ティファの不思議な導きによって寂れた施設に逃げ込んだガロードは、そこに横たわる白いモビルスーツと出会う。

登場人物

※★印はレギュラーまたは重要人物。

アフターウォーの機動兵器

機動兵器

ガンダム関連地球連邦、新連邦宇宙革命軍

主題歌

オープニングテーマ

「DREAMS」(1話 - 26話)

作詞・作曲・編曲 - RO-M / 歌 - ROMANTIC MODE

「Resolution」(27話 - 39話)

作詞 - 西脇唯 / 作曲 - ジョー・リノイエ / 編曲 - ジョー・リノイエ、鈴川真樹 / 歌 - ROMANTIC MODE

エンディングテーマ

「HUMAN TOUCH」(1話 - 13話、39話)

作詞 - Susanne Marie Edgren / 作曲・編曲 - Tom Keane / 歌 - ウォーレン・ウィービー

「HUMAN TOUCH(日本語版)」(14話 - 26話)

作詞 - Susanne Marie Edgren / 日本語詞 - 許瑛子 / 作曲 - Tom Keane / 編曲 - 須藤賢一 / 歌 - re-kiss

「銀色Horizon」(27話 - 38話)

作詞 - 小室みつ子 / 作曲 - 濱田金吾 / 編曲 - TOM KEAN / 歌 - 中瀬聡美

関連作品

漫画版

(漫画家:ときた洸一

放映当時にボンボンで連載。

ニュータイプ戦士ジャミル・ニート

(漫画家:ときた洸一)

過去のジャミルを主人公とした前日譚。

機動新世紀ガンダムX〜UNDER THE MOONLIGHT〜

(脚本:大島千歳 原画:赤津豊)

あなたと、一緒なら

(監修:高松信司 ストーリー:川崎ヒロユキ 漫画:ときた洸一)

2018年3月23日発売のBlu-ray Boxに付属する新作エピソード。

ゲーム版

単独タイトルでのゲーム化はされていないが、ガンダム関係のゲームの多く(スーパーロボット大戦シリーズを含む)に客演している。

ガンダムXの都市伝説

如何やら初期案ではファーストガンダムのif展開として、最悪の結果に終わった一年戦争案もあったと言われているが、それが実現していたら今で言うガノタの暴れっぷり等、史実よりも賛否両論の物議を醸したかも知れず、この構想は寧ろ実現しなくて良かったと言える。

関連イラスト

関連動画

関連タグ

ガンダム アナザーガンダム ガンダム平成三部作 サテライトキャノン ポストアポカリプス ロストテクノロジー

  • 機動戦艦ナデシコ
    • 第17話は機動新世紀ガンダムXのシリーズ構成を手がけた川崎ヒロユキが脚本を担当しており、機動新世紀ガンダムXの制作時の裏事情をパロディー化した話となっている。
  • 未来少年コナン
    • 本作に影響を与えた作品。
  • 魔法少女まどか☆マギカ
    • こちらも劇中に登場した人物の台詞がサブタイトルになってる作品。

シリーズ

新機動戦記ガンダムW EndlessWaltz ← 機動新世紀ガンダムX → ∀ガンダム