「たとえ、力及ばずとも闘うのみ!」
プロフィール
注意
クロコダインであってクロコダイルではない。特に『ONEPIECE』の登場人物、サー・クロコダイルとはなんの関係もない。
概要
正々堂々を重んじる重厚な武人で、「勇者」を名乗る戦士と星の数ほど戦った歴戦の猛者。
当初は「主のために生命を捨てるのが一番の武人」という考えを唱え、ヒュンケルには『バランと共に尊敬に値する男』と見られていた。クロコダイン自身は肉体の頑強さで劣る人間を「ひ弱でつまらぬ生き物」と軽蔑していたが、ダイたちとの戦いを通して人間が支えあうことで生み出す強さを理解し認めるようになった。
一軍団を指揮していたこともあり面倒見は非常によく、人格も成熟しているため終盤は人間サイドの協力者たちのまとめ役にもなっていた。穴掘りが得意で、この能力も意外なところで窮地を救う。
名前の通りワニの獣人だが種族はリザードマン。なお、『ドラゴンクエストⅤ』以降の本編に同名のモンスターが登場するが、こちらのリザードマンはスラッとした竜人でありクロコダインとは似ても似つかず、どちらかというとシルエットはイブールに近い。作中でも「ワニ男」や名前で呼ばれることの方が多く、リザードマンという種族で呼ばれたのはダイ一行との初対面時のみ(詳細は後述)。
クロコダインのデザインの元ネタは、『ドラゴンクエストⅢ』のモンスターのデザイン案の一つ。
魔軍司令ハドラーをも凌駕するパワーを持つ。2020年版では戦闘シーンの追加によりパワフルな戦いぶりをいかんなく披露する。
ちなみに三条陸氏曰く、クロコダインのおやつは巨大魚で、ヒートブレスで焼いて食べるのを好んでいるとの事である。
2020年版アニメの3rdEDでは、串に刺した魚を手にチウやバダックと共に月を見上げながら酒盛りをしている。
活躍
百獣魔団長クロコダイン
魔王軍百獣魔団の団長としてロモス王国攻略を命じられるが、ロモス王国には骨のある兵がいないことから手下だけで十分と見なしてテリトリーで退屈そうにしていた。そんな中、ハドラーからダイが向かっているので始末して欲しいと知らせが入る。子供であるダイの姿を見て大爆笑するクロコダインであったが、ハドラーが傷を負わされたと聞いてからは一転して態度を変え、出撃する。興味を抱きながらダイたちと魔の森で交戦。ハドラーを上回る破壊力を見せつけ、ポップは一目散に逃亡した。
その後、クロコダインは自身の鋼鉄の肉体や真空の斧の脅威でダイを追い詰め、単なるパワーでは不利と見たダイの素早い動きで一度は逆転を許すが、奥の手の焼け付く息でダイの動きを止めて追い詰める。しかしポップの案内をうけて現れたマァムの援護で右手を氷漬けにされ、同時に麻痺を治療されたダイに左目を潰されたことで最終的には撤退を余儀なくされる(ここで傷ついた左目は治癒可能だが、自身の戒めとして、敢えてそのままにしている)。
「グウウウッ…よ、よくもオレの顔に…いや! オレの誇りに傷をつけてくれたな!!」
「おぼえていろよダイ…! おまえはオレの手で必ず殺す……必ずだ…!!」
その翌日、密かに一部始終を見ていた妖魔司教ザボエラから「魔王軍に居場所がなくなるぞ」「ダイの実力を知るハドラー様はともかく、ほかの四団長はなんというか」と指摘されたことで地位を失うことを恐れ、姦計を授かりロモス王国に進撃。ダイとの再戦では前述の戦闘での復讐心を剥き出しにしていた。
ちなみにこの頃からザボエラの卑劣さは知っていたようで「貴様ごとき卑怯者の手など借りずとも」と一度はザボエラの誘いを断っている。
武人の誇りを捨てたクロコダインはザボエラの姦計により、ダイの育ての親であるブラスを人質に当初は優位に戦っていたが、死を覚悟して自分に向かってきたポップの機転によりブラスを救出されると、仲間のために捨て石になろうとしたポップの自己犠牲を武人として理解できてしまったために己の選択に迷いが生じ、竜の紋章の力を受けたダイのアバンストラッシュに敗れてしまう。
「…フ…フフフッ…どうせ負けるなら、正々堂々おまえと戦って負ければ良かったよ…」
「小僧、おまえにも教えられたぞ…男の誇りの尊さをな…」
「…おまえたちのような相手に敗れたのであれば、全く悔いはない…むしろ誇るべきことだ…」
「…目先の勝利に狂ったオレは…馬鹿だった……」
最後は武人としての心を取り戻したことで、己の過ちを恥じるとともに自身を下したダイたち一行を称え、城の王の間より飛び降り自決した。この時、『負けるなよ・・・・勇者は、常に・・・・強くあれ!』と自身を倒したアバンの使徒の勝利を称えた。
そして主の断末魔を聞いた百獣魔団も、魔の森まで敗走していった。
戦士クロコダイン
しかしその遺体は密かに魔王軍に回収され、蘇生液に浸されたことで復活を果たす。そしてホルキア大陸にて魔剣戦士ヒュンケルと交戦していたダイたちの危機に颯爽と現れ、ダイの身代わりにブラッディースクライドを腹部に受けるとともに自らの体で押さえつけ魔剣を引き抜けぬ様にした(この時は「自分を負かしたダイが他の奴に負けるのが許せない」と述べており、魔王軍を裏切ったわけではないという態度だった)。
そのままヒュンケルの手を掴むことで動きを封じ、ガルーダに命じて戦闘不能のダイとポップを戦場から離脱させる。
ヒュンケルに対して人間の強さ・素晴らしさを語り、「人間であるおまえがそれに気づかぬはずがない」と説得の言葉を掛けるが、激昂させる結果となってしまい魔剣によって肉体を貫かれてしまった。意識を失う直前に涙を流しながら「ヒュンケル…いいぞ…人間は…今度生まれ変わる時はオレも…人間に……」と言葉を遺し、そしてマァムを助けられなかったことを悔やみながら倒れた。ヒュンケルの部下モルグから「どうやっても助からない」と言われる状態だったが、ヒュンケルの武士の情けによって治療を受けることとなった。
驚異的な生命力で生還したクロコダインは、ダイたちとの決闘を終えて溶岩に沈むヒュンケルを助け出す。過去を悔やみ生きる気力を失った彼へ『オレは男の価値というのは、過去への拘りをどれだけ捨てられるのかで決まると思っている』との言葉を送り、新たな目的に進む力を与えて今度こそ説得する。
そして忠誠心の塊と言われた自らも魔王軍を裏切り、バルジ島にてレオナ姫奪還に動きダイ一行に加勢する。
その力は健在で、ザボエラ率いる妖魔士団やミストバーン擁する魔影軍団の鎧兵士をものともせず終始圧倒した。「獣王会心撃」で炎魔塔を粉砕した後は因縁の相手であるザボエラに対して「この卑劣者があっ!!」と罵倒してトドメを刺すが、その正体はモシャスをかけられ身代わりにされた手下の悪魔神官であり、その隙に逃げられてしまった(ミストバーンは早々に撤退)。続けてフレイザード戦にも参加、間一髪でマァムを助けたが、本体を隠して弾幕で制圧する彼とは相性が悪く苦戦していた。
レオナ救出作戦成功後の宴では、自身の姿や元魔王軍という立場を鑑み少々離れた場所でちびちびと月見酒をしていた。
最初は、バダック達から『こんな所で一人で飲んで…何しとる?』と尋ねられると『いやぁ・・怪物(モンスター)の俺が、人と一緒に飲むのは…気まずいだろう?』と答えて遠慮していたのだが
『何を言ってるんだ! 勝利の立役者に、怪物(モンスター)も人間も関係ないわい!!』とバダックから答えられると彼らが持ってきた酒樽に収まった酒を豪快に飲む。とても美味だったようで『・・・美味ぁい! こんなに美味い酒を飲んだのは、初めてだよ!!』と歓喜の声を上げ、バダックらと笑い合い彼らとの交流を楽しんだ。 ※1991年版では、感極まって喜びの涙を流していた
その後、ヒュンケルと共に魔王軍への偵察に赴いて一行と一時別れるも、鬼岩城が移動したのを確認したため、その追跡をヒュンケルに託し一行との合流に向かう。テラン王国にて竜騎将バランに苦戦するポップの助太刀に現れ、バランを相手取るも、圧倒的な力を前に右腕と目にダメージを受け倒されてしまう。だがなおも心の目で立ち上がり、不屈の闘志でダイのライデインストラッシュと共に獣王会心撃を放ち、無敵のバランに傷を負わせた。
二度目のバランとの対決ではポップが命がけで竜騎衆を食い止めていたことを知り、ポップの真意を見抜けなかった自らの浅はかさに泣き笑いながら自らも決死の覚悟で戦いに臨む。
「バラン、ギガブレイクで来い…!」
「オレの生命力とおまえのギガブレイク、悪い交換条件ではないだろう!」
それはベホマで体力を回復しつつ(レオナ姫のベホマでは体力の回復と傷の治療を一度には出来ない)、ひたすら攻撃に耐え続けるという壮絶なものであった。
それでも竜魔人と化したバランには圧倒的な力の差で敗れ去る。
しかしなおも立ち上がるとダイに空中戦を挑もうとするバランの両足を掴んで阻止し、不意打ちとは言え竜魔人を振り回すというバケモノのような活躍を見せた。バランも自力ではほどけなかったのかライデインで反撃してようやく拘束を解いている(2020年の新アニメ版では振り回す際に地面に叩きつけてわずかだがダメージを与えた。またバランから真魔剛竜剣で指や腕を斬り付けられたが『俺の腕を斬りたくば……ギガブレイクでも使うことだ!』と啖呵を切って意にも介していなかった)。
またも倒れたクロコダインだがなおも闘志は消えることなく、ヒュンケルの頼みで彼を上空まで投げ飛ばして空中で戦うダイを援護。バランはヒュンケルをライデインで迎撃するが彼の狙いは鎧の魔剣をダイに渡すことであり、武器を失い決定打を欠く彼に逆転の一手を与えた。
剛力とタフネスをフルに生かして肉薄するクロコダインらを繰り返し呪文で振り切っていたバランは魔法力の息切れを起こし、最終的にはギガデインを撃てなくなってしまう。
ギガデインの代用にライデインを使うしかなくなりギガブレイクの本来の威力を封じられたバランは、遂にダイのライデインストラッシュに撃退された。もしかしたらクロコダインにライデインを使った時点で余裕がなくなっていたのかもしれない。
どれだけダメージを受けても立ち向かっていったクロコダインの粘り強さがこの結果を導いたのは言うまでもない。
鬼岩城の襲撃の際にはベンガーナ王国のアキームの忠義心を認め、彼を救出。自らも傷を受けるもそれを問題にもしないタフネスを見せ付け、ミストバーン戦に参加。ただこの時は、ミスバーンとの因縁に決着をつけたいヒュンケルの意を酌み大将戦では傍観に徹した。
その後、挑発に乗ってキルバーンたちを追ってしまったポップを救出すべく、死の大地の近海で魔王軍でも指折りの暗殺者キルバーンと対峙。ポップの様子を察して彼を保護して迷わず逃げるという手を選び、「誇り高い獣王」という評判をブラフに使い意表を突いてキルバーンを驚かせた(クロコダインは知らなかったが死神の笛の脅威を考えれば最善の選択)。超魔生物となったハドラーに敗れて消息不明となっていたダイの捜索にも参加し、サタンパピー等からなる妖魔士団の襲撃を受けて空中戦となるが、上級悪魔系怪物の部隊ごときが天下の獣王を止められるはずもなくガルーダとの連携で敵を蹴散らし、魔王軍での地位を失いつつあり焦っているザボエラの心中を見透かして皮肉っている。ここでハドラーの新たな親衛騎団の介入もあり、ポップと共にダイを連れて無事生還を果たした。
超金属の兵士ヒムの脅威を目の当たりにしたことで、チウの協力を得てバルジの大渦に潜り獣王激烈掌を編み出す。この際にチウと交流を深め、お礼として獣王の笛を譲っている。
サババにてハドラー親衛騎団と交戦した際には主に城兵ブロックを相手取る。自身を上回るブロックの怪力には歯が立たず「力に力では絶対に勝てん」と痛感。
ポップ等にアドバイスし、ダイ一行はフォーメーションを変換。これが反撃の糸口を掴むことになる。「速度と跳躍を力でねじふせる」べくシグマに挑み、獣王激烈掌をお見舞いし、片腕ごと捻じ切ってシャハルの鏡を弾き飛ばし、ポップに極大消滅呪文を打たせるという勝機をもたらす。しかしブロックの捨て身の行動により痛み分けとなった。
その後、死の大地にて再びブロックと再戦。
前回と同様に歯が立たずに追い詰められるが、ヒュンケルが駆けつけたのを目の当たりにして奮起。ブロックの極め技から逃れ、逆に投げ飛ばして地面に叩きつけダメージを与えるという成果を出す。
その後はシグマを相手取り、描写は少ないものの互角に渡り合ったようである(わずか2コマしか描かれていない。アニメ版では戦闘シーンが追加され、わずかだが互角の攻防を見せている)。
直後に黒の核晶の爆発が起こり、咄嗟に土中が安全と判断して地面に大穴を空けることで仲間たちを助けた。ダイと合流後に、大魔王バーンとの一度目の直接対決に挑むも圧倒的な力の前になすすべもなく敗れる。大魔王が止めの一撃として放ったカラミティウォールをダイ達の盾となるためヒュンケルと共に正面から喰らい、離脱することも出来ないまま囚われの身となってしまう。
牢獄にてミストバーンから助命と魔王軍復帰を持ちかけられるも即座に拒否、一方で「暗黒闘気を受け入れ部下になる」という取引を持ち掛けられたヒュンケルは考えさせてほしいと答えてしまう。それを聞いたクロコダインは見損なったとヒュンケルに怒鳴るが、「オレを友と思うなら何があっても信じてほしい」と言われ、複雑な表情で黙ってしまった。そして公開処刑の日、ヒュンケルはミストバーンの暗黒闘気をその身に受け入れ精神を乗っ取られてしまった。そのままヒュンケルの手で処刑されそうになるが、彼の言葉を思い出したクロコダインはヒュンケルを信じ抜き激励する。その結果、ヒュンケルは暗黒闘気を抑え込み大幅なパワーアップを果たしたのだった。自らもマァムによって解放された後は戦闘に参加、新たな武器『グレイトアックス』を用いて魔王軍と相対する。大魔宮には行かずミナカトール防衛のため地上に残った。
一行が大魔宮に突入した後は因縁の相手、ザボエラと交戦。切り札である『超魔ゾンビ』に苦戦を強いられグレイトアックスを損傷してしまい、腕力を用いた肉弾戦を挑むがまったく歯が立たず窮地に陥る。しかしノヴァとロン・ベルクの活躍によって『超魔ゾンビ』が破壊され、無事に生還。
その後は勝利を喜ぶ一行の陰で、ザボエラのしぶとさを見越して密かに行動を起こす。
読み通り満身創痍で生き延びていたザボエラの行く手を阻み、虚勢を張って逃げ道を作ろうとする彼が万策尽きている事実を指摘しトドメを刺そうとする。なおも負けを認めないザボエラは哀れを誘った命乞いを装い毒を使った騙し討ちを掛けようと画策するが、信じた振りをして逆に彼を自らの策に引っ掛け、闘気弾で今度こそ止めを刺した。
『……ザボエラよ、
頭の悪いオレだが、だまされ続けたおかげで一つ物を知った…』
『この世には、本当に煮ても焼いても喰えぬヤツがいる!
…ということだ!!』
ただ一人でザボエラの前に立ちはだかったり、嘘の罠を破ってからトドメを刺すなど、もしかしたらザボエラが本気で改心すれば武人の情けで見逃し、その後の責任は自分で負うつもりだったのかもしれない。同時にザボエラへのトドメだけは自分が刺すという意思も覗える。
ザボエラを倒した姿は直後バダックに発見され、彼から卑劣かつ危険な男を討ち果たした戦果を称賛されるが、クロコダインは「実力を存分に発揮していれば真っ当な功績はいくらでも挙げることができたのに、保身と欲望に走った結果すっかり凋落してしまった」「自分も何かが違えば同様の道を辿ったかもしれず、ザボエラも変わるタイミングを得られなかっただけではないのか」とかつての同輩を哀れんだ。
ザボエラを退けた後には自らも大魔宮へ向かうが、大きく負傷し武具が破損してしまったため戦力外となってしまう。ミストバーンとの戦いの中でその正体ミストを目撃し、かつて六大団長として自身と肩を並べた彼には自分の肉体がなく、そのコンプレックスから肉体を鍛え上げ鍛錬に励む者たちへの敬意を抱き続けていた秘密を知り、彼に同情していた。
しかし自身の憑依能力を使ってマァム、ヒュンケルと次々と肉体を奪おうとする彼に流石のクロコダインも『この悪魔めっ!!』との罵声を浴びせ、尊敬する一人であるクロコダインから罵倒を受けたことでミストもすぐに言葉を返せず少々複雑そうな表情をしていた。
大魔王との最終決戦では(上述のように負傷や武器の損傷もあるが)レベルが足りず、「瞳」化を受け戦闘から除外された。大魔王との力の差は元より承知の上で尚、ダイ達の「弾除け」「盾」となるべく最終決戦に臨んだ事から、それも叶わず「瞳」化されたのが、とりわけ痛恨事であったことが台詞や表情から覗える。
最終決戦後はヒムやチウと共にデルムリン島に移住。戦いが終わったら嫁探しでもしてみるかと死亡フラグじみた軽口をいっていたので婚活もしてる…かもしれない。
劇場版
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 ぶちやぶれ!!新生6大将軍』では、物語終盤にヒュンケルと共に参戦。
戦力不足で絶体絶命のダイ、ポップ、レオナを救う。
まず百獣将軍ザングレイと対決し、斧の打ち合いに勝つもドテッ腹を槍で貫かれてしまう。一瞬怯んだものの直後に斧を振り下ろして反撃しザングレイを仕留めた。
更にはヒュンケルとの同時攻撃でデスカールを倒し、ガルヴァスも一時戦闘不能に追い込んだ。しかし6大将軍の命を得て強化復活を果たしたガルヴァスには及ばず戦闘不能となる。
ちなみにザングレイの事は知っていたのか特に名乗られる前から名前を知っていた。
15年前
魔王ハドラーが台頭した時代は獣人族はじめモンスター達の間でも群雄割拠する戦乱の世であり、ハドラーの軍に属さない魔物や魔族の猛者達も跋扈していた。その解説シーンでは彼らしいシルエットがサタンパピー系らしき魔物と戦っている姿が見られた。
この頃から獣王の異名を持っており、その武勇から「剛力無双」と謳われ、強さを求めて武者修行をすることでモンスター達の間では有名だったらしい。当時は「獣王の鎧」を身に付けていないが、それ以外に大きな外貌の変化はみられない。
その後、呪法によって時間を凍結させられ隠蔽されたハドラーの回収をザボエラに報酬込みで依頼され、マトリフが秘密裏に隠した保管場所への潜入と奪取に成功。
地底魔城に凍結した魔王ハドラーを送り届け、ガンガディアとバルトスから感謝と評価を受けるが、自らは『報酬と自身の意志の上での行いなので不要。それらは依頼者であるザボエラに与えるべき』とし名も告げずにその場を去った。
…もっとも武人肌の二人からはそこも含めて評価されており、逆に彼が評価を促したザボエラは直後に表れ露骨に周囲を見下しながら『ワシのおかげじゃ』と触れ回った為顰蹙を買ってしまい、残念ながら彼の気遣いは(主にザボエラの自爆によって)空振りに終わってしまった。
この時はザボエラ同様、ハドラーに仕える気になる程の意味を見いだせていなかったが、その勇名は耳に入っていたらしく『武人として捨て置けず、救出の手助けをした』と語っている。
帰りに人間の少年が相棒のガルーダをもてなしている場面に立ち合い、軽く屈んで笑顔で感謝を述べている。種族が違えど、恩義を尊び敬意を払う事を忘れない紳士な精神は、この頃から既に宿っていたようだ。
15年後の未来でも物語当初から良好な関係だった両者だが、お互いこの馴れ初めを覚えていたのかは不明。
戦闘力
最終的に大魔王バーン戦では戦力外になってしまった彼だが、桁違いの強さの大魔王バーンと比較しての話であり決して弱いわけではなく、地上のモンスターではトップクラスの戦闘能力を持っている。
ダイの竜の紋章もクロコダインとの戦いの後は、超竜軍団の襲撃を受けるまでしばらく戦闘で輝くことがなかった(ただしヒュンケルの時に関してダイは「自分もヒュンケルのようになっていたかもしれない」ということで本気で怒ることができなかったと口にしている)。
自らを「頭が悪い」と言ってはいるが、バーンパレスの外周を叩いて破片が空へ舞い上がる光景を見ると、要塞を形成する材質を理解するなど脳筋とは程遠い分析をしており、多くの戦闘を潜り抜けて来た経験を活かして対応するため、その場での機転を利かせる事に長けている。現にポップのメラゾーマを真空の斧の魔力でやり過ごしたり、キルバーンから単身逃げ出してきたポップに『何か理由があるはず・・・』と瞬時に判断して逃げを選ぶ、ハドラー親衛騎団の能力が自分たちより勝っていることを見抜き、得意分野同士の対決は分が悪いため戦闘相手を変える、想像を絶する振動から何か危険が迫ってると感じ仲間達を土中に逃がす、騙し討ちを仕掛けたザボエラを逆に策に嵌める等、随所に彼の判断力と知能の高さが窺い知れる。
本人は武人気質故に正々堂々とした戦いを好むがそれに固執して戦局を悪化させるようなことは無く、卑怯な手段こそ使わないが必要とあらば撤退も含めたその場での最善策を躊躇なくとれる確かな判断力と洞察力は軍団長として相応しいものであり、ダイ一行に加わった後もその強みは随所で発揮された。
彼自身がいう「頭が悪い」とは「策略や陰謀を好まない、気が回らない=頭が悪い」という自嘲のニュアンスである。
クロコダインを「頭が悪い=知能が低い」という意味でバカにしているのは「正々堂々」「武人の誇り」といった義侠心そのものを見下すザボエラくらいだろう。もっともそのザボエラは、「魔王軍6軍団結成当時、ザボエラは高い魔力で一目置かれていた」と見ていたクロコダインに「魔王軍の中でも自分だけが非力。策を弄する以外に生き抜く道がなかった」と老齢ゆえのコンプレックスを吐露しており、根本的なところで分かり合える事はなかった。
原作者によると「ザボエラの入れ知恵が無ければダイとの戦いではクロコダインが勝っていた」らしい。初戦で傷つけられたことで冷静さを失っていたことや好まない策謀を用いたことで彼本来の強さを殺してしまっていたことが敗因(誇りを捨てた闘いを選んだ事やマァムやロモス兵達に武人が卑劣な真似をしていると指摘された事で精神的デバフがかかる事で「大魔王の使い魔」程ではないが、通常より戦闘力が下がっていた)で、己の行いに迷う中ポップの勇気を目にした時点で半ば戦意を喪失してしまっており、決着の場面も「保身のために姦計に乗った己の浅はかさを恥じての自決」という形になっている。
クロコダインの圧倒的タフネスは「鍛え上げられた鋼の肉体」を「武人としての誇りや忠義心」といった高潔な精神で叩き上げることで実現されたものであり、さしもの彼でも迷いを抱えた状態では大きな苦痛に耐えることは不可能である。バランのギガブレイク2発を受けても仲間のために奮戦を続けた彼の姿を鑑みれば、ダイ戦の傷程度では本来の彼を止められないことは容易に想像できるだろう。
簡単に言うならクロコダインだって殴られたら痛いが、誇りや仲間のためだったらめっちゃ我慢できるのである。当然ながら大した理由も無しに大怪我したら我慢はできない。
肉体のタフさは群を抜いており、幾度と無く死の淵から生還する規格外のタフさを見せた。パプニカ王国に鬼岩城が襲来した際は、砲撃の弾幕からアキームを庇うがダメージを受けた様子はなく「貴公、不死身か!?」と驚かれていた。
魔王軍内でもクロコダインのタフさは高く評価されており、クロコダインと反りが合わずダイとの戦闘で敗死した事を「情けない」とこぼしたフレイザードですら蘇生中の彼の傷を見るなり「クロコダインの鋼の肉体をここまで傷つけられるヤツがいるはずがない」と戦慄するほど。
バランもギガブレイクの連発を耐えるクロコダインを見て「ギガブレイクの直撃を受ければいくら獣王でも即死のはず」「2発もくらって生きていたのは初めて」(大魔王に匹敵するヴェルザーですら2発目は耐えられなかった模様)と目を見開いて驚愕していた。
バーンとの初戦で敗北した後はダイ達に救出されるまで投獄され、まともな休息を取っていないはずだが、救出された後はグレイトアックスを手に即戦線復帰しており、超魔ゾンビに対してこそ分が悪かったが周りの雑魚相手は何の問題もなくこなしていた。
合間に回復呪文を貰っていた可能性もあるが、それでも前線で暴れるだけのパワーを発揮できるタフさは異常としか言えない。
また、純粋なパワーならばハドラーやヒュンケルより上。ヒュンケルからは竜騎衆の一角ボラホーンが自慢する「天下無双の力」の倍はあると言われている。
物理的な威力という一点では大変優れており、バランも「竜闘気の防御を貫通する可能性がある」として初邂逅時に最も警戒していた相手だった。
バランとの初戦では竜闘気の前に真空の斧を防がれまったく歯が立たなかったが、テラン城での二度目の対決では捨て石になる覚悟からこれまで以上の力を引き出し、真空の斧を受け止めたバランの足場を衝撃で崩壊させた(直後に竜闘気を使って弾き飛ばした。上から下への体勢の有利もあるものの、腕力勝負であればバランをも押さえこめるというとんでもない力を見せている)。
サババでの戦いでは軍艦を持ち上げるブロックと力比べをするが終始圧倒されてしまう。しかし死の大地での再戦では「いつまで調子に乗っ取るかああっ!!」と吠えて逆に投げ飛ばしてダメージを与えるなど凄まじい力を発揮した。
ヒュンケル合流後は、機動力に優れたシグマを相手に鍔迫り合いに持ち込むなど殆ど互角に渡り合っていた(アニメ版では戦闘シーンが追加され、わずかだが激しい激突が描かれた)。シグマのスピードはマァムをも上回るものであり、そんな男と互角に打ち合えるクロコダインの強さが覗える。
最終巻で心臓部に幽閉された際は、特に振りかぶった様子もない適当なパンチで壁を貫くが壊すことはできなかった。比較対象としてヒムの闘気拳でも手首までめり込む程度、マァムの拳に至っては凹みすらしていない。一撃の威力という点においてクロコダインがどれだけ優れているかよくわかるシーンである。ただし「たとえオレが5人いたところでドルオーラには及ばん」と述べている。
ちなみにクロコダインレベルの闘気技でもミストバーンに言わせれば微力とのこと。もっとも彼の比較基準はバランとかミストバーンなどで、最強格の連中と比べられてはクロコダインもそういう位置に収まってしまうのも仕方ないだろう。
作中での立ち位置とその評価
決して弱くない彼ではあるが、あまり敵に有効打を与えるシーンがなく、ストーリー後半ではダメージを受けて「ぐわああああッ!!!」と叫び、仲間達(特にマァム)から「ク、クロコダイ〜〜ン!!」と絶叫されるのが定番となってしまっているのも事実(インターネット上でも「やられシーン」のまとめ画像などが出回っている)。
これについては彼が海戦騎として活躍する魔界編が削られてしまい、ネームドクラスの敵を倒す機会に恵まれなかったことが原因と思われる。
もっとも、こうした単品画像のみを見て彼を「やられ役・役立たず」と評するのはお門違い。バルジ島での戦いやミナカトール防衛戦では雑魚敵狩りに回っており、強敵に立ち会っている他のメンバーでは手が回らない部分のフォローを行うなどしてしっかり戦線に貢献している。
また原作者・三条陸は『クロコダインばかりやられるシーンが多いのは何故ですか?』という読者の疑問に対して「クロコダイン以外が食らうと死んでしまうから」と答えている。確かに前述したギガブレイクの直撃を耐えるポップやレオナは想像できないし、軍艦を片手で担ぐような剛腕を誇るブロックの絞め技を他のキャラが食らえば絞まるどころではなくなってしまう。
敵の脅威度を説明するうえでその大技を食らうのは必要不可欠な描写だが、直撃しようと倒れないクロコダインは役割を全うしつつ戦線から離脱させる必要もないので作者的には大変便利なのである(上記の例でもクロコダインは戦線に残り、後に戦況を左右するレベルの活躍をしている)。
いわゆる作者からの評価が高いが故に無茶な仕事ばっかり任され、四苦八苦してる印象が強く読者から過小評価されがちになるキャラの代表例。近い立ち位置のキャラの中では活躍・評価が恵まれている方ではあるが。
…じゃあ彼と同じかそれ以上の目に遭っている彼はどうなるんだ?と疑問は残るが、あちらの不死身ぶりは理屈では説明がつかない部分が多く、最終的に無理が祟って回復呪文も受け付けない再起不能状態となってしまっている。
対してクロコダインは何の補正もない純粋な身体能力のみで耐えきっており、しかも最後まで五体満足でピンピンしている。
ちなみにクロコダインも何度か不死身呼ばわりはされている(しかも一人は最強格から)。本人は『【不死身】は、ヒュンケルの代名詞』と返しているが。
また、原作のドラゴンクエストシリーズと違い死亡状態からの蘇生手段が超限定的にしか存在しない本作で、幾度も致命傷を受けながら復活を果たしてきたそのタフネスは類い稀なものと言えるだろう。
クロコダインの立ち位置としては勇者パーティで唯一の大人という役割もあり、バランの死に際にも「大きな声で父さんと呼んでやれ!!」とダイに述べたり、年長者として若い少年少女を身を挺して庇う盾となり、緊急時には土中に味方を退避させることで全滅を防ぐなど、主人公たちにない高さの大人視点を持ちサポートしてくれる存在として描かれていた。
若いアバンの使徒に比べてあまり目立った活躍はないが、要所要所でクロコダインがいないと不味いシーンが散見されるのはそういったコンセプトに則ているため。成長していく少年少女が転ばぬように影日向から支えてくれるイメージである。
連載当時の原作ドラゴンクエストではシステム的にタンク職・壁役(仲間を庇って敵の攻撃を受け止める役割)は存在しなかったが、現在のドラゴンクエストのシステムに当てはめれば彼のスタイルは己の身を犠牲にして仲間を守るパラディンに近い。漫画のやられ役は単なる強敵の引き立て役で終わることが多いが、「被弾役を全うすることでパーティに貢献している」という点でただのやられ役とは一線を画している。
というか実はバルジ島で本格参戦して以降、参戦した戦いにおいて彼が倒され完全に戦線離脱したことは只の一度もない。何度倒されようと不屈の闘志で立ち上がり、その度に前線に躍り出て敵に喰らい付いてでも仲間を守るいかしたワニである。
なお『ドラゴンクエストウォーク』でコラボした際も、彼を援軍指定していると一定確率で仲間を庇う行動を行うパラディンと同じスキルを持っていた。また彼のモンスターのこころには追加された時点では唯一となる致死ダメージを受けても耐えるという、彼を表現したようなスキルがついた。
2020年に再アニメ化されると、ナンバリング作品でもパラディンやグレイグのような近い役割のキャラが登場するようになっていたことや、ナンバリングオンライン作品や光の戦士経験者が壁役の重さを実感したこと、近年の他作品でもタンク役が活躍する作品が増えその役割の意味が理解されるようになってきたことから彼が「ぐわああああッ!!!」となるシーンでも「耐えきった!」との称賛と共にタンクとしての役割を高く評価される事態が多発した。
タンクという立ち位置が認知されてこなかった故にしばしば「初期ライバルや味方化キャラ」「巨漢またはパワー型」のかませ犬の典型例扱い(ヒュンケルら分かりやすい活躍や成長が描かれた元敵がいたためでもあるが)をされ過小評価されてきたクロコダインであったが、長き時を経て彼は遂に、原作者の想定した役割を視聴者からも評価されるようになったのだ。時代が彼に追いついたのである。
なお白星黒星の数で評価する読者からの評価は芳しくなかった彼だったが、人柄やサポート能力など数字に出ない部分を評価する読者からの評価は一貫して高く、古参のファンも少なくない。
2020年版ポップを演じる豊永利行氏は「クロコダインと会話するとその人の良い部分が見えるようになる」と彼のコミュニケーション能力を称賛し、ポップからの愛称である「おっさん」に引っ掛け「おっさま(様)」という尊称を進呈した。
武具、特技
初登場時から使用していた武器。大岩を割った上に数百mに渡り森を引き裂くほどの威力を有する。魔宝玉に真空呪文の力を宿す伝説の武器で、呪文を使えない彼の弱点をカバーする。クロコダインの剛力もあいまってかなりの威力だった。
上記のようにバラン戦二回目では、最初の一撃を受け止めたバランの足場を崩壊させるほどの超重量の威力を披露している。しかし竜魔人となったバランには通じず、振り下ろした直後に竜闘気で砕かれてしまった。
- 新生・真空の斧
刃が大きく破損してしまったが、伝説の武器の命とも言える魔宝玉が無事だったのでパプニカの金属で新しく製造されたもの。
正式な名前は『帰ってきた真空の斧MARK-2』だが、長いためか劇中バダックしかこの名前で呼んでいない。またオリハルコン戦士との戦いがメインとなったため斧はほとんど使わず、怪力と闘気技で戦うことが多かった。しかし死の大地でのシグマ戦では彼の槍と互角に打ち合えていたようである。
大魔王バーンとの初戦でカラミティウォールによって砕かれてしまい、魔宝玉も紛失(もしくは破壊)した為再生不可能となった。
ロン・ベルク作の巨大な戦斧。従来の真空呪文に加え、「唸れ業火」、「唸れ爆音」の掛け声で火炎呪文と爆裂呪文が発動できるようになったため「ちょっとしたアバンストラッシュ気分」との事で大破邪呪文攻防戦にて大きな活躍をみせる。
この時は敵味方が入り乱れて戦っているため獣王〇〇撃系の技が使いにくくハンデを強いられたが、この武器のおかげでかなりカバーされたと言える。
ザボエラとの戦いで刃が腐食してしまった(ロン・ベルク製の武器なので自己修復可能)が、クロコダインの力を考えるとそれでも強力な武器になりうるだろう。
…なのだが、作中触れられてはいないものの、片手斧だった真空の斧とは違い長い柄を持つ戦斧となっているためクロコダインの戦闘スタイルとはあまり噛み合っていない疑惑がかけられている。
バーンパレスに上ってからは一切使われていない(所持はしていたがミストバーン戦までしか持っておらず、バーン戦の時は持っていなかった)。
- 格闘
己が鍛え上げた身体能力から繰り出される武術。加速や技を経ない単純な力は作中随一のため場所や足場を選ばず、雑魚の群れ程度は素手でも楽々ぶちのめせる。
- 獣王の鎧
愛用しているクロコダイン専用の鎧。
よく籠手が砕けるが自己修復可能な安心設計。
ヒュンケル戦で駆け付けた時は新品の鎧に着替えている。
闘気技
- 闘気弾
ダイ一行との初戦時、片目をやられて撤退する際に使用。
片手に球状の闘気を形成して叩き付け、地面に深い大穴を開けると同時に大爆発を発生させて煙幕を張り、その隙に撤退した。
クロコダインは闘気技による攻撃は「獣王〇〇〇」系しか使わないため、これは緊急避難用の技と思われる(死の大地が崩壊した時もこの技で仲間を救ったのだろう)。
また描写的にザボエラを倒したのもこの技と思われる。
獣王クロコダインの必殺技として登場。
闘気を片腕に全集中し、渦巻く波濤として相手にぶつける技。
並の人間が喰らえば渦巻く闘気に吹き飛ばされ確実に戦闘不能となる。クロコダイン曰く「鋼鉄並みの強度でも至近距離から喰らえば砕ける」。オリハルコンを砕くほどの威力はないが、ハドラー新鋭騎団を驚かせたりシグマ相手に強がりを言わせるくらいには強烈。獣王激烈掌が編み出されるまでは、クロコダイン最大最強の必殺技だった。
『獣王会心撃』はバダックが「『獣王痛恨撃』は、ちと物騒だから」ということで提案した名称で、それを受けてからはそちらに改名した。
名前の由来は勿論ドラゴンクエストシリーズのクリティカルヒット表現(味方が放つのは「かいしんのいちげき(会心の一撃)」、敵から受けるのは「つうこんのいちげき(痛恨の一撃)」)。名前の変更も敵から味方への立場の変化に合わせてのものである。
実は魔王軍に入る前に編み出した必殺技である。
船も通れぬ難所であるバルジの大渦の中で命を賭して生み出された技で、ハドラー親衛騎団との戦いで初披露された。
獣王会心撃を相手にぶつけた後に、逆回転のもう一つの闘気の渦を合わせて相手をねじ切る技。劇中ではオリハルコンのボディを持つシグマの片腕を捻じ切る凄まじい威力を見せた。
素顔を晒したミストバーンにも使用したが、わずかに体勢を崩しただけに終わり、手刀の一撃で切り裂かれて破られてしまった(もっともこれは威力がどうこうの話ではなく、技の性質上通用しなかっただけ。まったく攻撃が通じない相手に対して一瞬とはいえ体勢を崩したというのは凄まじい威力の証左である)。
後に『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2』にて「獣王げきれつしょう」という特技が登場している。
その他特技
- 焼けつく息(ヒートブレス)
奥の手。魔物の体質由来の技で、高熱のブレスで相手を麻痺させる。
不意打ちに使えたり仲間の救助にも使える便利な小技であり、マヒャドで身動きが取れなくなっていたダイ達を助けるときにも使用した。このことからマヒャド級の氷も容易く溶かすほどのパワーを持つことが覗える。
特技の穴掘りに使用することもあり、15年前の戦いではこの技で岩盤を溶かしトンネルを作ることで魔王奪還の依頼を完了している。
使用した道具
- 獣王の笛
鰐を模した形状の笛。自身の部下達を従えるのに使用していたが、魔王軍に在籍し百獣魔団の団長に就任した後には使用する機会が減っていった。 ある時『俺の修行を手伝ってくれた礼に、これをやろう』と武闘家のチウに渡してからは、チウが所有することになる。
この笛の音を聴いてやってきたモンスターを倒せば、そのまま自分の仲間になる。
笛を吹く方向によってやってくるモンスターの種族が変化するが、単体ではなく複数で現れることもある(相手を全滅させなくてもその内の1匹でも倒せればその個体を従えることができる)。
イルイルの呪文で対象を入れ、デルパの呪文で対象を出すことができる魔法の筒。自身が所有する一本には、相棒のガルーダが入っている。
交友関係
ダイ一行を年長者としてよくフォローしている。
アバン離脱後、潜在能力はともかく皆若年、長兄であるヒュンケルもコミュニケーションが不得意と、まとめ役として大人の不在だった勇者一行にとって彼の存在は非常に大きい。
クロコダイン自身はアバンの弟子達の成長を最も身近で見てきた1人として「アバン殿には武人として一目お会いしたかった」とアバンに対し尊敬の念を抱いており、終盤になってその念願を果たした事になるが、最終決戦の最中だったこともあり、両者の交流は描かれていない。
ただポップとマァムの姿を見てか「人間の恋愛」というものを理解しており、フローラのアバンに対する態度から仲を察してポップと一緒にからかっている。
ポップには「保身のために敗北を恐れるようになっていた自分の目を、勇気ある行動で覚まさせてくれた」として大きな恩義を感じており、「弱くとも恐れていても仲間のために戦う」人間の強さを示す彼を大変信頼している。幾度と無く彼の危機を救っており、ポップからもアバンの使徒以外の味方で最も信頼されていた。
因みに劇中、ポップからは親しみをこめて「(クロコダインの)おっさん」と呼ばれており、彼も甘んじて受け入れている。
他、同じ元魔王軍大幹部であるヒュンケルとも交友は深く、彼には魔王軍在籍時から「バランと共に尊敬に値する男」と見られていた。当時は人間を見下していたクロコダインだが、魔王軍として戦う彼の心中を「軍や魔王への忠義ではなく人間や正義への復讐のため」と看破するなどよく見ている。
バランに対して「ヒュンケルは不器用だが万人に誇れる友」と発言するなど強く信頼していた。
主要メンバー以外ではその誇り高さや義に厚い姿勢からバダックを筆頭とした王国の戦士達と信頼関係が大変強く、特にバダックからは「親友」「たとえ敵対したままだったとしても、己を高めることを忘れぬ気高い戦士であったはず」とまで称され、ノヴァやアキームとも互いに敬意を払う仲である。
チウにも当初は怖がられていたが、修行を手伝ったことで交友を深め「先代獣王」として尊敬されるようになる。クロコダインの方も「早くも先代にされてしまったか」と微笑ましそうに見守っていた。
2020年版アニメではサミットのためにパプニカにやってきたかつて侵略したロモス国の王シナナと鉢合わせしている。
その際シナナからは警戒され、クロコダインはそれに対して会釈をしただけあったが、レオナ姫からの釈明を受けようとしたところで、シナナ王は「今はダイ君の仲間なのじゃろう?」と過去のことは水に流している。
ハドラーもヒュンケルに言われてもクロコダインが魔王軍を裏切った事を当初は信じなかった程で、プライドや礼節を重んじるヒュンケルやバランからも実力も含めて信頼され(ヒュンケルからは「六大団長のなかでお前とバランだけは尊敬に値する」、バランからは「六大団長で最も買っていた」と言われている)、実力的に遙かに上であるミストバーンからも高い評価を得ている。
終盤までそれが覆らないことからも、実力もさることながらその人格面は魔王軍でも群を抜いていたことがわかる。しかしそれ故礼儀や品性を軽視するザボエラやフレイザードとは終始険悪で、わかり合えることはなかった。
ただし、フレイザードはクロコダインの傷を見て「どんな怪力でもクロコダインの鋼鉄の体をここまで破壊することはできないはず」と言い、後の鎧武装状態を「クロコダイン以上の力」と例えている事から、そりは合わずともクロコダインの実力自体は評価している。
敵方で最も因縁深い人物は幾度も対峙し、最後には自らトドメを刺したザボエラだろう。
「獣王」時代は”クロコダインの命令しか聞かない特別な部下”のモンスターを幾体か抱えて居る旨が本人の言により明かされている。
その内の一体・ガルーダはクロコダインが魔王軍を離れてからも、クロコダインのみならず勇者一行にとって心強い味方であり続けた。なお、クロコダインが大魔王バーンに捕らえられてからの消息は不明。主人を探し回っていたのかもしれない。
2020年版アニメではグレイトアックスを渡された時に上空に飛来してクロコダインを応援するかのごとく鳴き声を上げている。
なお、ガルーダは再登場したもののバーンパレスへクロコダインを運ぶ役目は原作通りバピラスが担当している。
小説『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 それぞれの道』
第4話に登場。フレイザード討伐後、ヒュンケルとクロコダインが鬼岩城の偵察に向かう際の物語。
主人公はヒュンケルで、クロコダインは仲間として登場する。見た目的に人々を怖がらせてしまうということでローブによって全身を隠している。また自分たちの名前が世間にどう伝わっているのかわからないため、名前を出さないようにしていた。
森を歩いていると両目を怪我した少女ティカを保護する。彼女は名も無き村から両親の仇を討つためにやって来ていた。
その仇の名は『ヒュンケル』。不死騎団は壊滅したが残党が近くに根城を築いており、その在り処を探していたのだ。しかも新生不死騎団はティカの村の若者たちを拉致してコキ使っていた。
ヒュンケルはすぐに自分の正体を明かそうとしたがクロコダインが止めに入る。今更そんなことをしてどうなる、それよりも若者たちを助ける方が大切だ、と。
素直に聞き入れたヒュンケルだが、そんなごまかしは長続きしなかった。なぜなら新生不死騎団の団長は、スカルナイト——かつてのヒュンケルの部下だったからだ。
アジトに乗り込んだ一行の前に現れたスカルナイトは「ヒュンケル様」と呼んで揉み手しながら擦り寄って来た。が、これは演技であり、ヒュンケルから村人の解放を告げられた途端本性を現して襲い掛かって来る。
相手になるわけがなく、スカルナイトはヒュンケルによって一刀両断にされ、残党たちもクロコダインによって呆気なく蹴散らされたのだった。
このやり取りを見ていたティカはヒュンケルの正体に気づき殺意を滾らせる。クロコダインはヒュンケルが改心したと庇うが、ヒュンケルは制裁を受けるつもりでいた。しかし、ティカはこれまでの恩から手を出すことが出来ず、その場に泣き崩れてしまう。
苦い勝利と別れを得た二人は、足を止めることなく鬼岩城へと向かうのだった。
漫画版『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 クロスブレイド』
1巻から登場。本作では改心する前に片目を失った状態であり、ダムド軍の戦士として立ちはだかる。
戦場において弱者は邪魔と見ており、相手にしようとすらしない。魔物に虐められていたホイミスライムのホイミィを助けたことで慕われるが「戦いになれ合いは不要」と断じ無視していた。
強者であるダイに目を付け一騎討ちを挑む。当初は互角に渡り合っていたが花を切られるなどダメージを受け始め、ダイは俺より強いと考えるようになる。そこへホイミィからホイミを掛けられ「余計なことを!」と激怒。全力の一撃をダイに叩きつけようとするが、その間隙を突いたユウキとダイのキズナタックにより敗北する。
これによりクロコダインは絆の力というものを痛感し、ホイミィにこれまでのことを詫びてダイたちの仲間となった。
次の刺客である鎧武装フレイザードとの戦いでは獣王会心撃を直撃させるも額に傷を付けるくらいしかできず一方的に打ちのめされてしまう(事前に不意打ちでダメージを受けたため威力を出し切れなかった)。フレイザードは仲間を盾にしたり巻き添えにするような戦法で着々とダイたちにダメージを与えて行く。
しかし会心撃で傷を受けた場所にダイのアバンストラッシュで更に深い傷を受け、そこへユウキの一撃が決まったことで鎧武装を破壊して勝利する。
そこへ足場が崩れユウキとフレイザードが落下してしまう。クロコダインたちは迷わずユウキを助けたが、フレイザードは仲間が見捨てて逃げ出してしまったので助けてくれる者などいなかった。
そんな彼にクロコダインは「仲間を大切にしてこなかった結果だ!」と吐き捨てるが……なんとユウキがフレイザードを助けたことで会心に至った。しかしクロコダインは終始「死に損なったか」「我々に牙を剥くかもしれんぞ」と歓迎はしていなかった。
3巻では真の黒幕であるロムドラドによって暴走の力を与えられ、洗脳された状態でユウキたちに刃を向ける。ユウキとの一騎討ちで圧倒的なパワーによって優位に立つがクロブレ世界の戦い方を活かしたユウキに逆転され、最後はアバンストラッシュによって正気を取り戻した。
名言・名セリフ
- 『ダイ!!ハドラー様の勅命によりおまえを討つ!死にたくなければ必死で発揮するのだな…魔軍司令殿をも傷つけたというおまえの真の力を……!』
- 『クックック…どこの馬の骨か知らんが…まぁ試してみるんだな』
- 『…アバンの使徒…というわけだな…!』
- 『唸れッ!真空の斧よ!!』
- 『グウウウッ…よ…よくもオレの顔に…いや!オレの誇りに傷をつけてくれたな!!覚えていろよダイ!おまえはオレの手で必ず殺す……必ずだ…!!」
- 『不覚!!いかに強敵とはいえ、あんな小僧に片目を奪われるとは…………!!』
- 『今からオレは鬼とならねばならん…!武人としての誇りも…意地も…全て勝利あってのもの…!!たとえどんな手を使ってもヤツを討つ!!』
- 『出てこいダイ!!さもなくば…ロモス王国は今日で壊滅だ!!!』
- 『だっ…だまれェッ!武勲がない武人など張り子の虎も同然!!なんとでも言うがいい、誇りなど…とうに捨てたわぁッ!!!』
- (こんな未熟な少年までもが、友情にすがり命を張ってまで戦っている。それにひきかえ、このオレは己の身が可愛いさに誇りを捨てて、卑劣な手段を使ってしまった…………このままで本当にいいのか?これが男のプライドを失ってまで得る価値がある勝利なのかっ!?)
- 『どうせ負けるなら、おまえと正々堂々と戦って負ければよかったよ…』
- 『小僧、おまえにも教えられたぞ、男の誇りの尊さをな!おまえたちのような相手に敗れたのであれば、悔いは全くない!むしろ誇るべきことだ!目先の勝利に狂ったオレは……馬鹿だった!………さらばだダイ……負けるなよ!勇者はつねに、強くあれ!』
- 『"我らが魔王軍"か……フフフッ……オレにはお前が魔王軍の為に戦っているようには思えなかったぞ!おまえはまるで人間に対する恨みだけで戦っているように……見えた』
- 『オレもそうだ……人間どもを軽蔑していた……ひ弱なつまらぬ生き物だと思っていた……だが、ダイたちと戦って解ったのだ!人間は強い!そして…優しい生き物だ…ともに力を合わせ…喜びと悲しみを分かち合う事ができるのだ!ただ強いだけのオレたち魔物(モンスター)とは違う!』
- 『人間であるお前(ヒュンケル)にその素晴らしさがわからぬはずがない……お前は見て見ぬふりをしているのではないのか?』
- 『…ヒュンケル……いいぞ、人間は!今度生まれ変わる時には…オレも…に……人間に…ぐふっ!』
- 『なあ、ヒュンケルよ……オレは男の価値というのは、過去への拘りをどれだけ捨てられるのかで決まると思っている!たとえ生き恥を晒し万人に蔑まれようとも、己が信ずる道を歩めるならそれでいいじゃないか?』
- 『オレはダイたちに加勢しに行く!それが武人の誇りを思い出させてくれた、あやつらに対するせめてもの礼よ!!』
- 『真な武具は持ち主を選ぶというが、この魔剣はおそらく甦ったおまえ(ヒュンケル)の闘気にひかれて、ここまで来たのだろう!そうだ!おまえが闘志を失わないかぎり、その鎧と魔剣もまた不死身なのだ!!』
- 『ヒュンケルはどうなのか知らぬが、少なくともオレはハドラーやバーンの為なら死んでもいいと思っていた!主の為に生命を捨てるのが真の武人……その対象が今はダイになったというだけの話だ!ダイがいなかったら、オレやヒュンケルは魔道をいつ迄も彷徨っていたに違いない!あやつはオレたちの心の闇に光を与えてくれた太陽なのだ!』
- 『生きとし生けるものにはすべて太陽が必要なのだ!それを奪おうとする者は断じて許せぬっ!たとえ力及ばずとも戦うのみ!!』
- 『なあに、左腕がまだ生き残っている……やってやれぬことはない!それにたとえ失われようと、オレには心の目がまだある……おまえが拭ってくれた心の目がな!そうだ、あのロモスの戦いのとき、おまえは絶対にかなわぬ相手であったこのオレに生命をかけて向かってきた!その姿にオレは信じ合いながら戦う人間の素晴らしさを見た!オレの心の濁った汚れを取り除いてくれたのはポップ、おまえなのだ!』
- 『オレはなんたる馬鹿だ!おまえのそんな心も見抜けず、本当に逃げたものと思っていたとは…………許せよポップ……あの世で会ったら、オレを好きなだけ殴ってくれ!』
- 『死してもなお、皆の心をここまで動かすとは…………アバンどの、このクロコダイン一介な武人として、是非とも貴方に一度お目にかかりたかったですぞ!!』
- 『余程なことが無い限り、現在(いま)のお前は一人で逃げたりせぬ……そう思ったからこそ、オレも躊躇いなく逃げを選んだのだ!それに…お前達との付き合いもそろそろ長いからな!』
- 『オッ、オレに聞かないでくれえッ!恥ずかしい話だが、バランよ……オレも心の底では、おまえとバーンを戦わせたほうが、人間たちには得だと思ってしまっていた!今さら自分の力如きで、おまえを止められるものでも無いと……なのに、なのにこやつ(ヒュンケル)は……オレには何も言う資格が無いっ……今はただ、この不器用だが万人に誇れる我が友の……心意気だけを汲んでやってくれっ!!』
- 『爺さん……こやつもかつて六大団長がそろった時には強大な魔力で一目置かれた存在だったのだ。それが出世欲に目がくらみ、他人の力ばかりを利用しているうちにいつの間にかこんなダニのような奴に成り果ててしまった……』
- 『恐ろしいものよ、欲とは……オレとて一番手でダイたちと戦っていなかったら、どう歪んでいったのか判らぬ!こやつは正真正銘なクズだったが、それだけは哀れだ……』
- 『相変わらずいいヤツじゃのう、おまえさんは……じゃが、やはりおまえさんとこやつは全く違う!ワシが誇るべき友人・クロコダインは、たとえ敵のままであったとしても己を高めることに命を賭ける尊敬すべき敵であっただろうとワシは思うよ!』(バダック)
- 『ありがとう、爺さん!』
- 『だ…だからなのか!おまえがハドラーやバランといった猛者たちに敬意を常に失わなかったのも、自らが肉体を持たなかったが故の反動なのか!』
- 『闇の師弟対決、今ここに終焉した…………!』
- 『あやつらの盾なら、オレがいくらでもなってやったものを…………』
小話
- 「最初はどすこい」と百獣魔団
本作の執筆当時のジャンプ編集部ではバトル物のジンクスとして「最初はどすこい(最初に立ちはだかるボスは力士のような大柄パワータイプ)」というものがあり、クロコダインもそれに則ってデザインされたキャラクターである。
それとは別に、制作陣はドラゴンクエストのコミカライズを行うにあたりそこに孕む独特の問題に直面していた。それはスライムやドラキーに代表されるドラゴンクエストシリーズ特有のモンスターである。
これらの愛嬌あふれるモンスター達はドラゴンクエストの世界観を象徴するものであり、客層の間口を広げてRPGというジャンルを日本に根付かせた大変優れたキャラクターであるのだが、プレイヤー自らが向き合うゲームと違い第三者として見る漫画では主人公の少年少女がこれら可愛いモンスターをぶちのめす絵面は大変に具合が悪い。
そこで制作陣はまず漫画で戦っても問題無さそうな「強そう・怖そうなモンスター」達をピックアップし、特徴に合わせてそれらを分類し軍団として割り振っていった。
そして残ったモンスターと漫画上では戦わせ辛い可愛らしいモンスター達を合わせて百獣魔団とし、最初に魔王軍を去る予定であったクロコダインの下に就けた。そうすることで彼らを自然な形で表舞台から降ろしたのである。
なおこうしたモンスター達の一部は後にチウ率いる「獣王遊撃隊」のメンバーとして起用され、勇者と共に戦うモンスターとして活躍することになる。
- Bの誕生秘話
主人公ダイの必殺技「アバンストラッシュ」には斬撃を飛ばすA(アロー)タイプ、突進し直接切りつけるB(ブレイク)タイプの2種類が存在する。師アバンからの修行が未完であったダイはその性質の違いを知らぬまま感覚的に使い分けていた…と作中終盤で明かされる。
そのアバンストラッシュBの初登場となったのがロモスのクロコダイン戦。
実は制作的には、その決着時の演出として「互いに技をぶつけ合って交差し、背中合わせに立った後一拍遅れて敗者が倒れる」というアレがやりたかったという理由で突進させたとのこと。
その後は作中のダイの言と同じく作画上の演出に合わせノリで使い分けていたが、最終盤でなにか新しい必殺技がもう一つ欲しいという話になり改めて見返したところ「そういえば2種類ある」ということに気付き、設定を整理。元々2種類あるとした上で、新技として合わせ技であるアバンストラッシュX(クロス)を思いついたという。
- 幻の海戦騎
バーン打倒後も作品が続いていた場合には、5年後の世界でダイと共に新生竜騎衆の海戦騎として魔界で戦う予定であった、とコンビニコミックのインタビューで語られている(因みに陸戦騎はラーハルトが続投、新しい空戦騎をダイに代わる主人公に据えることも併せて語られた)。
作中でも獣王激烈掌をあみ出す為にバルジの大渦の中に長時間耐えられる、氷山で遭難したダイの救出のために氷の海の中をものともせず探索している事など水中戦に非常に高い適性を見せている。
- ワニかトカゲか
原作ではポップが初めてクロコダインと対峙した時に「リザードマンだ!!」と発しているが、かねてより作品ファンの間ではリザード(蜥蜴)マンではなくワニなのではと囁かれていた(状況的にはダイが「ワニ男!!?」と発言し、ポップのリザードマン発言はそれを補足・訂正的したもの)。
作中でクロコダインが「リザードマン」と呼ばれたのはこの一度のみであり、フレイザードは彼への蔑称として「ワニ公」「ワニ野郎」と発言するなど、作中彼は一貫してワニの魔物として扱われている。直訳の「蜥蜴人間」という意味ではなく「人型の爬虫類系の魔物」の総称としてリザードマンと呼ばれただけなのだろうが、ややこしかったためか三条の方から頼む形で、アニメ版(1991年と2020年の両方)ではポップの「リザードマンだ」発言はなくなり、ダイの「ワニ男!!?」のみになった。
クロコダインを演じる事になった前野智昭氏もインタビューで「ワニ感をどうにか出したい」と答えている。
ワニ型獣人ということで、原作だけ読んでいると緑色などの寒色系の体色をイメージしがちだが、実際にはトップ画像の通り赤系である。媒体によって体色が異なり、1991年版ではピンク寄り、2020年版ではオレンジや肌色に近くなっている(ピンクっぽい場合もある)。
また、原作では手の指は4本だが、アニメでは新旧ともに人間と同じく5本になっている。余談だが実際のワニの指は前肢が5本、後肢が4本。
なお、ワニ顔にしたのは「ドラゴンを率いるのは別のキャラのため、竜に近いイメージとしてワニを選んだ」とのこと。
- 扱う闘気
闘気技に秀でているクロコダインだが、これは光の闘気にも暗黒闘気にも竜闘気にも属していない。原作の三条氏曰く「シンプルな闘気というものがある」「一般の人間や魔物、魔族の武芸者でもこのシンプルな闘気を使う者はいる」「光の闘気は人間や精霊族などの精神性が上乗せされた至高の闘気」「暗黒闘気は魔族や魔物などの精神性が上乗せされた特別なもの」「竜闘気は竜の騎士だけの独特のもの」とのこと。
体質上は暗黒闘気の適正もあるのかもしれないが、高潔な武人であるクロコダインの闘気は憎悪や傲岸不遜を旨とする暗黒闘気には発展しなかったのだろう。
- お茶目な獣王
1991年版アニメのCM明けのアイキャッチでは、ポップに投げ縄で捕獲(誤爆)されている。お互いに困った顔になっておりどうしようもない雰囲気になっていた(ちなみにCM入りのアイキャッチでは、ダイがレオナ姫を投げ縄で捕獲する。なのでポップはマァムを狙ったのかもしれない。しかし非力と言われる魔法使いでよくクロコダインを引き寄せられたものである……)。
魔王軍の中ではコメディ要素の強いザボエラですら成し得ていないギャグ描写でズッコケるという事を成し得た魔王軍唯一の存在でもある(ロモス国武術大会編及び氷山に落ちたダイの捜索時にて)。
- 声優・パロディネタ
1991年版で演じた銀河万丈氏は、『CDシアター ドラゴンクエストⅡ』でハーゴン/シドーのを、『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』でディルク王を、『ドラゴンクエストライバルズ』ではエスタークを演じている。
特にディルク王は銀河万丈氏が演じた事を良いことに「獣王会心撃」のパロディともいえる「国王会心撃」なる必殺技を使わせている(打ち初めの最初のモーションのみ「獣王会心撃」に似ている)。
………まさに「公式が病気」状態である。
2020年版でクロコダインを演じる前野氏は、マァムを演じる小松未可子氏と夫婦であり(放送開始直前の2020年5月に結婚発表)、作中では1クール目で夫婦喧嘩、以降は夫婦共闘と構造が仕上がった。
現にアニメ8話では原作同様マァムに叱責されるシーンがあるためTwitterでは夫婦喧嘩と話題になった。
なお上記で話題に上がった小松氏は『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』ではジュリエッタ役で銀河万丈氏とも共演してるので初代と二代目、二人のクロコダインと共演してる事になる。
『ハヤテのごとく!』の連載初期に、学園に侵入した強盗がクロコダインとよく似たデザインの鎧を着ている(顔はまったくの別物)。
関連イラスト
関連タグ
ボラホーン:バランに仕える竜騎衆の一人で、クロコダインといくつか共通点を持つ。
ドラゴンクエストの関連キャラクター
- イブール/ワニバーン:同じワニ型のモンスター。
- ハッサン:高い攻撃力とタフネスさ、更に転職前に「におうだち」を覚えるという頼もしさからプレイヤーからの人気が高いキャラクター。
- ヤンガス:顔に傷のある斧使い(おっさん)。山賊だったが主人公に助けられたことで惚れ込み改心する。終盤ではある人物から強力な武器を送られるイベントがある。
- グレイグ:『ドラゴンクエストⅪ』の生粋な戦士。ストーリー当初は敵キャラクターだったが、己の過ちと衝撃な真実を知ってからは主人公サイドの味方となり、勇者一行の非常に頼もしい戦士兼タンク役を担っている、武人肌な性格の男性。
- ディルク(DQH):『ドラゴンクエストヒーローズ闇竜と世界樹の城』に登場した銀河万丈の演じるキャラクター。クロコダイン同様のパワーファイターで国王会心撃という技を持っている。
- 獣王グノン:漫画『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』にて同じ称号を持つキャラクター。魔王軍幹部の中で獣モンスター主体の軍勢を束ねて王国へと侵攻し、主人公一行が初めて直接対決するといった共通点があるがハドラー緒戦または竜魔人バラン戦との類似性もある。