「あんたも実験は大好きだろ!!ここまで毒に慣れた俺が……こいつを食ったら、一体どうなるか!!」
「……初瀬と同じくらいにはなァ……!!」
「貴様の真理など、机上の空論!俺の真理は……この拳の中にある」
概要
破壊されたゲネシスドライバーの代わりに戦極ドライバーを使用して仮面ライダーバロンに変身し、戦極凌馬が変身した仮面ライダーデュークに挑むが、旧世代の戦極ドライバーを使用したバロンがゲネシスドライバーを使用した新世代ライダーであるデュークに敵うはずもなく、圧倒される駆紋戒斗。
そして追い詰められた彼は自らヘルヘイムの果実を食し、オーバーロードインベスへと進化を遂げた。
以前の戦闘でレデュエの不意打ちを受けた際に左腕を斬りつけられ、その傷口からヘルヘイム植物の種が入り込み彼の体を蝕んでいた。
今までそれをずっと隠して戦ってきたが、第42話でとうとう湊耀子に感付かれ、第43話でもこの症状を見た凌馬からも「もう手遅れだ」と言われてしまう。
しかし、植物の侵蝕をゲネシスドライバーの抑制機能で抑え込み続けた事でその身体は果実の毒に対する耐性を獲得しており、果実を食べても角居裕也や初瀬亮二とは違って自らの意思を失わず、なおかつ通常のインベスを飛び越えて一気にオーバーロードの域にまで到達してしまったのだ。
凌馬「意識を保っている?バカな……化け物め!!許さん!許さんぞ!!私のドライバーに頼らずに人間を超えるなど!!」
人智を絶した凄まじいパワーでデュークを圧倒し、致命傷を負わせると死に体の凌馬に「いずれ貴様は破滅する」と呪いの言葉を吐かれるが、その破滅さえ乗り越える覚悟を力強く宣言し、覇道を歩み出した。
「俺は何者にも屈しない……俺を滅ぼす運命にさえも!」
容姿
身長:211cm、体重:104kg(出典:『仮面ライダー鎧武』テレビ朝日 公式サイトより)。
仮面ライダーバロンが怪人化したような姿をしており、頭部の両サイドにはヤギインベスのような2本の角が生えている。
左腕の傷辺りに棘が生えているのも特徴である。
全体的なカラーリングはどことなく仮面ライダーダークキバのような配色をしており、見た目もファンガイアによく似ている(因みにダークキバの変身者もモチーフが元のライダーと同じ「王」の怪人に変身する)。
能力
オーバーロードと同様にインベスやヘルヘイム植物を自在に操れるほか、クラックを自在に開く事ができる。
またグロンバリャム(オーバーロード語で「バロン」)という長剣を武器に用い、自身の体を霧に変えて敵に襲いかかるなど、かつて紘汰から「戒斗と似た者同士」と評されたデェムシュに似た部分も多く、ロシュオのように強力な念動力も使える。
作中では地面を抉りながら突き進む巨大な赤い竜巻状のエネルギーを放出する技を使用していた。
その他にも装甲化した外骨格や敵の攻撃を消滅、もしくは反射するといった強力な能力を持つ。
あくまで普通のヘルヘイムの実を食べただけなのでロシュオの様にインベスの創造や再生能力など禁断の果実の力を使う事はできないが、毒が身体に馴染んだ為かロシュオにすら傷を与えた火縄大橙DJ銃大剣モードの一撃を受けても全くの無傷であり、単純な身体能力だけなら人間だった頃はおろかオーバーロードインベスの中でもトップクラスの部類に入る。
駆紋戒斗としての姿にも自在に戻れるが左腕の傷以外にも身体のあちこちに同じような傷が蔓延ってしまっており、ロード・バロンへの変化に際しても戦極からは「そんな身体で長く持つものか」と自身の命を削っているかのような事を示唆されているが、その傷も第44話で完治している。
彼は死の運命すらも乗り越えたのだ。
活躍
第44話では、サガラから高司舞が「始まりの女」となって並行世界に幽閉されていると聞いたことで世界を滅ぼしてでも舞と黄金の果実を取り戻すと決断し、彼の王としての生き様を見届けたいと言う湊耀子もこれに賛同した。
その後、沢芽市内で凰蓮・ピエール・アルフォンゾ、城乃内秀保、ザックと出会うが、以前の戒斗からは感じられなかった異変に凰蓮が逸早く気づく。
動揺する一同に対し、オーバーロードの力を使って古い世界を破壊すると言い張る戒斗だったが、凰蓮から「力に溺れたわね」と真っ向からその思想を否定され、敵対する。
その際、戒斗に自分の進むべき道を問われたザックは「俺はお前についていく」と戒斗に賛同の意を示し、戒斗の配下に加わる。
オーバーロードと化した戒斗は圧倒的な力でアーマードライダー達に対抗し、激闘の末に仮面ライダーブラーボを撃破、凰蓮の戦極ドライバーを破壊した。なお、この戦闘で城乃内/仮面ライダーグリドンの戦極ドライバーも仮面ライダーマリカと仮面ライダーナックルによって破壊されてしまった。
沢芽市の外へ侵攻するべく無数のクラックを開き、インベス軍団を従えようとするが、凰蓮達から戒斗の異変を聞かされた絋汰が目前に立ち塞がる。
戒斗はバロンに変身して戦うが、鎧武・カチドキアームズに力及ばず敗北。
ロード・バロンへと姿を変え、紘汰の傷がまだ完治していない事もあってか極アームズを相手に押していたが、その戦闘中にザックが乱入。
ナックルに変身して紘汰に襲い掛かるが、騒動の末に彼を取り逃がしてしまう。
紘汰を取り逃がした際、戒斗は「これは俺と奴との戦いだ。手出しはするな」とザックに釘を刺す。
しかし、実はザックは紘汰との戦闘中に、紘汰に対し「今は退け」と告げており、あえて彼に敗走のチャンスを与えていたのだった。果たしてザックの真意とは…
第45話では、夢の中で舞に出会い、「果実を手に入れた最強の男としてお前を迎えに行く」と告げ、未来でまた会うと約束した。
舞は、荒廃した廃墟が地上に広がる戒斗の未来に拒否反応を示していたが、後に「戒斗の気持ちは理解できる」と語っている。
どんどん手下のインベスを増やしていったが、ザックが凰蓮に作らせた小型爆弾によって耀子を失い、ザックを粛清する羽目になった。
その際、護る為に犠牲になる覚悟を決めたザックに対して「強くなったな」と告げたが、それに対してザックは「俺が倒れてもまだあんたを倒す者が現れる」と戒斗の未来を否定してみせた。
ザックも耀子も失ったが、それでも歩みを止めず、誰かを虐げる為の力など求めない新しい世界を作る為、紘汰との最後の戦いに向かう。
「優しさが仇となり、本当の強さを手に出来ずに死んでいった。それが俺が生きた時代だ」
今の世界では優しい強者は存在することさえできないと断じる戒斗。
それを否定するべく戒斗に勝つ事を決意する紘汰。
無数のインベスが乱闘する中、サクラハリケーン、ローズアタッカー、ダンデライナーを使ったカーチェイスを繰り広げる。
当初戒斗は仮面ライダーバロンの姿で戦っていたが、カチドキアームズに変身した紘汰の優勢を感じとると、ロード・バロンの姿になり全力を発揮する。
第46話では、極アームズの武器を全て打ち破り、あと一歩の所まで追い詰めるも、自らの武器である「グロンバリャム」をへし折られ、折れた剣先で腹部を貫かれて敗北する。
最期は人間の姿に戻り、紘汰の強さを認めその生涯を終えた。
また、Vシネマのバロン編にも登場(時系列的には第20話過ぎ、第23話よりも前)。後の結末を暗示するかのように幻として一瞬現れた。
他作品では
『仮面ライダーゴースト』
仮面ライダー生誕45周年記念としてYoutubeにて配信される『仮面ライダーゴースト 伝説!ライダーの魂』の鎧武編にも登場する。
声は当時と同じく小林豊氏が担当する。
案の定、自らを蘇らせた存在には一切従おうとしておらず、あくまで自らの意志で天空寺タケルの強さを確かめる為に戦いを挑み圧倒しつつ、何のために戦うのかと問いかけた。
「皆を守るために戦う」と答えたタケルを「その弱さで何をどう守るという? それは力の無い者が語る言葉ではない!」と一蹴するが、最終的には鎧武魂となったゴーストに敗北。「それがお前の強さか。お前だけの強さを求めればいい!!」と称えて爆散した。
そして上記のエピソード、何とひらかたパークの仮面ライダーゴーストショーで後日談まで描かれた。
『仮面ライダービルド』
劇場版にて登場。
突如現れた仮面ライダージオウ・ビルドアーマーに怪人軍団ごと蹴散らされた。
ゲーム作品では
仮面ライダー生誕45周年記念ゲーム作品である『バトライド・ウォー創生』では、仮面ライダーバロンの究極フォームとして登場。詳しくはこちらの動画の2:58~4:03を参照されたし。
『オール仮面ライダー ライダーレボリューション』ではバロンの特殊能力として登場する模様。
上記のように、ゲームなどではTVシリーズの終盤での出来事もありバロンの秘めたる力として登場する事が多い。
『ガンバライジング』
ナイスドライブ3弾(ND3弾)ではついにカード化が決定。ライバルセレクションキャンペーンの1枚として収録された。
今までCPU専用でインベスやオーバーロードインベス、ロイミュード等のキャラは登場してきたが、怪人がカード化するのは彼が初。
因みに、BK2弾時点ではバースト面のロード・バロンのカードはND5弾を除き4枚。現行以外のライダーでは異例の高レア続きである。
BM6弾ではLRSPのレアリティで登場。なお、バースト技がテレビ本編で披露した『真理パンチ』(カードでは『真理』表記。)になっている。
『シティウォーズ』
最初は敵キャラとしての登場だったが、バロンが実装されてから1年経つ頃にBCとしてプレイアブル化した。
プレイアブルと敵キャラが使う技は全く違っており、結局敵キャラが使っていた技は実装されずサービス終了…。
『バトルスピリッツ』
コラボブースター『仮面ライダー 開戦!ライダーウォーズ』で登場。レアリティはXレア。
カテゴライズ上が怪人のため、系統は冥主・仇敵となっているが、駆紋戒斗が変身した姿のため「仮面」も有している。
属性は赤と紫の2色だが、シンボルと軽減シンボルを黄としても扱える(黄属性は鎧武や果実をモチーフとした「漂精」という系統が属しているため、そこからのつながりと思われる)。
コストは8と重めだが、ライフ減少時に相手の創界神ネクサスのコア1個につき、スピリット/アルティメットのコアをトラッシュに置いてからバースト召喚できるのが強み。
レベル2以降はアタック時に相手の最もBPの高いスピリット/アルティメットを破壊する効果を発揮できる。恐らくは原作で仮面ライダーデュークを撃破したエピソードの再現だろう。
最もBPの低い相手ではなく、最もBPの高いスピリットが対象である点は実に戒斗らしい。
立体物
s.h.figuartsと5月発売の装動で立体化されている。
装動では怪人枠はクロニクル内での一般販売は初となる。
両者共にグロンバリャムと折れたグロンバリャムが付属。
『CONVERGE KAMEN RIDER 24』ではSDサイズの立体化を果たしている。
余談
- 使用武器であるグロンバリャムはデェムシュの剣のリペイント。
- 一部では「オーバーロードと化したバロン」と言う事で、オバロンと言う愛称で呼ばれていたりする。
- また、彼の行動原理が(明言はされていないが)最愛の人を取り戻すという点がロシュオや笛木奏、葵連、神崎士郎、死郎に近いものといえる。
- ちなみに一説によれば、旧約聖書に登場する知恵の実=イチジクとは実はバナナの事だったのではという説が存在する。なんでも中近東ではバナナの事をイチジクと呼んでいたそうである。
- 蜜柑(厳密には橘)を異界から持ち帰った神がいる事を併せるとそれらの果実をモチーフとした鎧武とバロンが知恵の果実を掛けて最終決戦を挑むのは中々に意味深な構図であると言える。
- また、バナナは起源神話に密接な関わりのある果物である。不死の象徴である石ではなく、やがて枯れ果てるバナナを選んだことが人間が死ぬ原因になったという「バナナ型神話」の事である。
- 奇しくもロード・バロンの力の源泉となったのは冥界の名を冠する森の実であった。
- 実は秋月信彦/シャドームーンが裏モチーフ。虚淵玄氏は石ノ森章太郎作品の中で最も印象深いライバル対決として漫画版『仮面ライダーBlack』の結末を挙げており、戒斗のようなキャラ造形ならばこの構図に行き着くべきだろうと考えていたという。
関連タグ
仮面ライダー鎧武 駆紋戒斗/仮面ライダーバロン オーバーロードインベス
究極フォーム:バトライド・ウォー創世での設定
ロード・バロン:このタグだけでは別作品のものになるため、タグには「(仮面ライダー鎧武)」も含めることを推奨する。
関連・類似キャラクター
- スパイダーオルフェノク:2号ライダーが覚醒した怪人。最終的には主人公に敗れ死亡したラスボスだが、こちらは小説版での出来事でテレビ本編では別の人物が覚醒した。
- ジョーカーアンデッド:剣使いの紺の主役ライダーの前に立ち塞がるラスボスライダー怪人。
- スコルピオワーム:主人公のライバルが変身する怪人、「モチーフが元のライダーと同じでシルエットも似ている」「ライダーの時とは比べ物にならないほどの強さを持つ」「物語終盤で怪人達を率いて人類の敵になり、主役ライダーと激闘を繰り広げる」「最初はライダーの姿で戦うが、途中から怪人の姿で戦う」「最終的には主役ライダーの最強形態に敗れ死亡する」という共通点がある。
- グリラスワーム、恐竜グリード、ゲムデウスクロノス:人間をやめたラスボス。
- ジャマトフォーム:ライバルライダーが植物がモチーフの敵の力を使用して変貌した想定外の姿。怪人になるリスクが存在し変身者の左腕が一時的に植物化したが、こちらは最終的には人間に戻ると同時に更なる力を得た。
- プロージョンレイジ:ライバルライダーの植物がモチーフの怪人の力が覚醒して変身した姿、「禍々しいデザイン」「蔓に包まれる形で変身」「強力な武器を使用する」「攻撃力と防御力が高い」「主役ライダーの最強形態に並ぶほどの強さを持つ」「神となった主役ライダー(厳密には未来の主人公)と激闘を繰り広げる」等の共通点が存在する。ただし、こちらは変身者の願いと主人公の力によってライダーのまま進化した正義の戦士。
グレムリン(進化体) → ロード・バロン → シグマサーキュラー