新しい未来へ
あたらしいみらいへ
「新しい未来へ」とは、メディアミックス『アイドルマスターミリオンライブ!』に属する以下の2作品に共通するサブタイトルである。
楽曲「Dreaming!」の冒頭の歌詞「Dreaming! 新しい未来へ 届けにゆこう Happiness!!」が由来であろう。
本記事では両作品について解説する。
- アニメ『アイドルマスターミリオンライブ!』第12話
- 漫画『アイドルマスターミリオンライブ!』第23話
12月25日の劇場こけら落とし公演「RAISE THE DREAM!!!」は始まったばかり。Team2nd(高坂海美・真壁瑞希・福田のり子・篠宮可憐・百瀬莉緒)の「海風とカスタネット」の後は、徳川まつりの「フェスタ・イルミネーション」、松田亜利沙の「チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!」とソロ曲が続き、会場は盛り上がりを見せる。
Team5th(高山紗代子・宮尾美也・箱崎星梨花・野々原茜・中谷育)の出番直前、紗代子はいつもライブでは外している眼鏡を春日未来に託しステージに向かう。Team5thの「バトンタッチ」の後は望月杏奈・豊川風花・横山奈緒の「Sentimental Venus」へと繋がり、更に盛り上がりを増す会場にプロデューサー(P)たちはライブの成功を確信するが――。
最終サビ直前、突如「Sentimental Venus」の音源が止まる。
音響機材が急に機能停止し、全く動かなくなったのだ。
ステージ上の杏奈たちや観客が困惑する中、観覧に来ていた如月千早は思わず「止まらないで!」と叫ぶ。それを聞いた杏奈たちはアカペラで残りの歌詞を歌い始め、更に観客も一緒になって歌い、全員で急場を凌いだのだった。
「Sentimental Venus」は歌い切ったものの、機材はすぐに復旧するような状態ではない。慌てるPにチーフプロデューサーは、客電を点けてライブを中断する可能性も視野に入れなければと助言する。アイドル達も最悪の事態が頭に浮かび不安に覆われる中、居ても立っても居られない未来は解決策もわからないまま舞台袖に向かい、最上静香と伊吹翼もついていく。
必死に復旧を試みるものの、復旧の兆しが見えないことを感じたスタッフはやはりPに中断を進言しようとする。しかし、皆で繋いできたバトンの集大成であるこのライブを絶対に止めたくないPは、引き続きの復旧をスタッフ達に頭を下げてお願いする。
すると客席では、再開を待つ観客が自然とクラップを始め、更にペンライトを振りながら「がんばれー!」などと声援を送る。その様子を見た未来は、ファンも同じ想いを持っていることを痛感し涙を零した。
そして突然、遂に音響機材が復活。ライブはすぐに再開の体制に入る。
再開後1曲目は、白石紬の「瑠璃色金魚と花菖蒲」。それまで気弱な様子をよく見せていた紬だが、自分が繋がなければという使命感に覚悟を決め、強い意志によるパフォーマンスは観客を唖然とさせるほど魅了した。更に桜守歌織の「ハミングバード」、Team3rd(田中琴葉・所恵美・七尾百合子・豊川風花・大神環)の「オレンジノキオク」とライブは続き、流れが戻る。そしてTeam4th(馬場このみ・周防桃子・二階堂千鶴・松田亜利沙・横山奈緒・ロコ)、Team1st(佐竹美奈子・北沢志保・望月杏奈・天空橋朋花)、Team7th(ジュリア・舞浜歩・矢吹可奈・北上麗花)、Team6th(徳川まつり・島原エレナ・エミリー スチュアート・永吉昴・木下ひなた)も楽曲を披露した。
最後の出番を任された、これがデビューの舞台ともなるTeam8th(春日未来・最上静香・伊吹翼・白石紬・桜守歌織)。デビュー曲「REFRAIN REL@TION」を歌い、更に39人全員での想いを届けたいという願いから、最終サビでは他の34人も客席の通路で同曲を歌唱。万雷の拍手と歓声に包まれながら、こけら落とし公演は幕を下ろした。
終演後、雪が降る劇場の屋上に集った39人。
今日の公演はあくまで始まりのライブに過ぎない。これからアイドルたちは様々なお仕事、楽曲、お芝居と出会い、更にライバルとの出会いも待ち受けている可能性もある。そんなアイドル人生を、ずっとどこまでも一緒に走って行く、そんな決意を39人は確かめ合ったのだった。
今日も765プロライブ劇場では公演が行われ、町のどこかではアイドル達の活躍する姿が見られることだろう。
「「765プロライブ劇場へ、ようこそ!」」
オープニング
挿入歌
BGM
エンディング
(随時追加)
- 全12話で最もサブタイトルが短い(6字)。逆に最長は第6話「動き出す夢 ライブシアタープロジェクト!」(19字)。
- サブタイトル「新しい未来へ」については上述の通りゲッサン版の実質最終回にあたる第23話と共通しており、オマージュしたものとみられる。
- 先行公開版ではサブタイトルが表示されず、第3幕のパンフレットで判明していた。
- 上述の通り一話の中に全部で11曲が登場しており、本作で最多なのはもちろんアニメ界全体で考えてもかなりの多さになるだろう。
- 「フェスタ・イルミネーション」などソロ曲も多く登場しているのは、これまでの話で多く登場したユニット曲だけでなくソロ曲も本公演で歌唱されていることを示すためであると語られている。
- 第9話で曲名のみ登場していた「バトンタッチ」「オレンジノキオク」も今回初めて登場し、8チームのデビュー曲が全て作中に登場したことになった(「トワラー」のみチーム全員での歌唱が登場しなかった)。
- 紗代子は普段は眼鏡をかけているが、ステージに立つ際には本人なりの意志で眼鏡を外す。今回ではそれを未来に託して行った。なおこの時の未来の眼鏡の持ち方があまりに眼鏡に優しくないとネタにされている。
- 杏奈・風花・奈緒・可奈・莉緒の5人が集まって千早の話をしているシーンがあるが、彼女らは第10話で千早に歌を教えてもらいたいと語っていた。その回のチャリティーコンサートは10月で終わっているので、それから12月の公演までの間に実際に教えてもらえるチャンスがあった模様である。
- 「Sentimental Venus」に関する一連の流れはほぼ実話である。
- 2015年4月5日のミリオン2ndライブ『ENJOY H@RMONY!!』DAY2で、作中と同じく夏川椎菜(望月杏奈役)・渡部優衣(横山奈緒役)・末柄里恵(豊川風花役)の3氏で本曲が歌唱された際、歌唱途中で音源がストップするという事故が発生した。しかし事情を察した演者とP達(観客)は続きの歌詞をアカペラで歌い出し(実際には作中ほど間は空かずスムーズに合唱に移行した)、見事に本曲を歌い切ったという逸話がある。現在でも『ミリオンライブ!』ライブイベントの伝説の一つとして語り継がれているエピソードである。
- このライブには関係者席に今井麻美氏(如月千早役)や、後に詩花役となる高橋李依氏も居た(作中で詩花が観覧に来ているのはそれのメタファーとの説もある)。作中では終了後に涙を見せる杏奈たちを客席から走ってきた千早たちが慰め励ますというシーンがあるが、実際にも未曽有の事態に当事者たちは舞台裏で恐怖のあまり涙を流しており、客席から来た今井氏に励まされたというエピソードが存在する。
- "アニメ"をモチーフとした2023年11月4~5日のミリオン10thライブAct-3『R@ISE THE DREAM!!!』では両日で本曲が歌唱され、特にDAY2では作中と同様に最終サビ直前で音源が止まり以降の歌詞を観客全員で合唱するという演出があった。
- 作中で機材が復旧した理由は特に明示されておらず(実際には音響スタッフ達の尽力の成果といったところだろうか)、薄暗いステージを前に観客が再開を待っていてくれたのが中断せずに済んだ一因となったが、これに関して、2016~2018年の種田梨沙氏(田中琴葉役)の休養に伴う各種コンテンツの変更や中断、2018年のGREE版サービス終了、2020年のコロナ禍に伴う7thライブやその他催事の中止など、これまで『ミリオンライブ!』に立ちはだかった数々の困難に対して、P達が継続して応援して待っていてくれたからこそ10周年やアニメ化という花開いた現在を迎えられたということへの感謝の表現ではないかという考察もある。
- アニメ版『THE IDOLM@STER』と違い今回は黒井社長は特にトラブルに関与していないので注意。
- ライブ中断中の観客によるクラップは9thライブで収録したクラップ音源が使用されている可能性もあるが、明確に「クラップ協力 THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 9thLIVE ChoruSp@rkle!!の参加プロデューサーの皆さま」とクレジットで表記されていた第1話と違い、今回は同様の表記がないため当該音源ではない可能性もある。
- 「REFRAIN REL@TION」の最後で登場した幕は当然第5話で製作されたテントの布だが、当時はなかった紬と歌織のサイン、そして全員分のメッセージが新たに書き足されている。
- クレジットでのアイドル役のキャストの並びはこれまでの通常(未来→静香→翼→以下五十音順)とは違い、チーム毎になっている。
- 更に言うと、EDに登場する各チームのデビューシングルポスターのメンバーリストの並び(恐らくチームリーダー→50音順。8thのみ未来→静香→翼→50音順と順番が異なる)になっている。
- ラストシーンで登場した、既存ユニット・CD・漫画等からのイラストなどの引用は以下に一覧で示す。特に「MILLION THE@TER GENERATION」(MTG)シリーズからは2~5人による12ユニットが全て登場している。
- 「Brand New Theater!」サビ前の階段を上がるシーンは作中でも第6話などに登場した豊洲駅7番出口のもの。8番出口ではない。
- 未来がすれ違った2人の女性は、第11話にも登場した詩花、そしてこれが初登場の玲音という961プロ所属アイドルの2人である。特に玲音はこのシーンにしか登場しないにもかかわらず、現場大臣や善澤記者などと違ってしっかり3Dモデルが制作された上での登場となっており、これが2期への伏線ではとの推測もある。
- 向かってくる未来たちに天海春香が手を挙げるシーンの体勢は、GREE版HN「アイドル 天海春香」のポーズとよく似ている。
- 最後の「765プロライブ劇場へ、ようこそ!」の台詞は52人全員で言っているので、「765PRO ALLSTARS」も含め全員のキャストがクレジットに記載されている。
- エンドカードは白組の白井順氏の作画で、未来と春香が描かれたクリスマステイストのイラスト。
- このライブは12月25日開催という設定になっているが、最速放送日は12月24日とかなり近い日付となっており、現実とのリンクが見られる(但し秋アニメになったのは意図的ではないという)。特に最速から1日遅れで観られるテレビ東京系の再放送やBS11での放送は、ライブと同日の12月25日に視聴することができる。
ラストシーンの各画像の引用元
※CD名の「THE IDOLM@STER」は省略する。
※「KV」=『シアターデイズ』における当該曲イベントのキービジュアル。
劇場物販CD |
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FleurS(『Brand New Song』より、おそらく新規イラスト) |
LIVE THE@TER HARMONY 02 (乙女ストーム!) |
LIVE THE@TER HARMONY 03 (クレシェンドブルー) |
LIVE THE@TER HARMONY 06 (灼熱少女) |
MILLION THE@TER GENERATION 17 STAR ELEMENTS |
ゲッサン版『ミリオンライブ!』3巻通常版表紙(「アイル」) |
MILLION THE@TER GENERATION 15 Jelly PoP Beans |
MILLION THE@TER GENERATION 10 閃光☆HANABI団 |
劇場物販ファイル |
「赤い世界が消える頃」(KV) |
「だってあなたはプリンセス」(Charlotte・Charlotte,KV) |
「Melty Fantasia」(EScape,KV) |
MILLION THE@TER GENERATION 05 夜想令嬢-GRAC&E NOCTURNE- |
劇場内広告 |
MILLION THE@TER GENERATION 05 夜想令嬢-GRAC&E NOCTURNE- |
MILLION THE@TER GENERATION 07 トゥインクルリズム |
MILLION THE@TER WAVE 11 オペラセリア・煌輝座 |
街頭広告 |
MILLION THE@TER WAVE 13 TIntMe! |
「ハーモニクス」(D/Zeal,KV) |
『Blooming Clover』5巻限定版表紙(「Clover Days」) |
「花ざかりWeekend✿」(4Luxury,KV) |
「虹色letters」(Cleasky,KV) |
「ハルマチ女子」(りるきゃん~3 little candy~,KV) |
『天色のアステリズム』 |
「ピコピコIIKO!インベーダー」(ピコピコプラネッツ,KV) |
ゲッサン版漫画『アイドルマスターミリオンライブ!』第23話のサブタイトル。
雑誌『ゲッサン』では2016年8月12日発売の2016年9月号に掲載され、単行本では2016年12月12日発売の5巻に収録されている。
クリスマス当日、それは春日未来が初センターを務める劇場の定期公演、そして最上静香の出演する武道館でのライブ当日。静香は出演前、他事務所の共演者である角倉からプレッシャーをかけられるが、以前のように孤独感に苛まれることもなく、ただステージが待ち切れない一心だった。
やがて両公演の幕が上がる。劇場では1曲目の後、MCで未来は翼を呼ぶ。
元々この公演でユニットで曲を歌う予定だった未来・静香・翼だったが、静香が武道館公演に出ることが決まりそれは叶わなかった。それでも、「このステージで夢を摑むのがアイドルだと思う」と語る未来は翼に、そして翼は……そこにいないはずの静香に、一緒に歌おうと呼びかける。
横山奈緒「スクリーンで…静香が歌っとる!」
劇場のスクリーンに映るのは武道館で歌う静香、そして武道館のスクリーンに映るのは劇場で歌う未来と翼。未来の「このステージで3人で歌いたい」という夢を聞いたプロデューサーは、武道館公演プロデューサーの灰島に手を回し、同時中継で2会場を繋ぐというプロジェクトを成功させたのだった。
2会場で「君との明日を願うから」を歌う3人。劇場では翼が更に観客を煽って盛り上げ、3人は会場は別々でも一緒のステージを過ごしたのだった。
3人の出番が終了。静香は礼を言った灰島に労われる一方で、角倉らからは勝負はこれからと焚きつけられ、"これから"のアイドル活動に思いを馳せた。
一方で、未来も舞台袖でPにステージを褒められる。デビューの定期公演、中学校の文化祭のステージ、遊園地のステージ、様々なステージやイベントにこの1年で立った未来だが、それらを「全部好き。」と語る未来は、更に来年の目標としてフェス、武道館、全国ツアー、海外ライブ…とキリのない夢を口にする。そのうち宇宙ライブとか言い出しそう、そして全部叶えば文句なしのトップアイドルだと語るPに対し、未来は……
「プロデューサーさん、決めました! 私、トップアイドルになりたいです。」
そして自分をトップアイドルにしてくれるかとの未来の問いに、Pも……
「もちろん、俺は未来のプロデューサーだからな。」
「改めてよろしくな、 未来のトップアイドルさん。」
1人のアイドルと1人のプロデューサーは、永遠の絆を確かめ合ったのだった。
- これまで顔がはっきり映ることがなかった本作のプロデューサーだが、今回の最終ページにて初めて顔がはっきり映った。また、『ミリオンライブ!』単独の作品でプロデューサーのビジュアルが判明するのはこれが初であった。
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