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曖昧さ回避
概要
大映⇒徳間書店⇒KADOKAWAの特撮映画作品『大怪獣ガメラ』シリーズに登場する、二足歩行が可能な、巨大な亀に似た怪獣。
以下の様に独自のキャラクター性を持っており、ゴジラシリーズとの差別化に成功した。
- アトランティスなどの古代文明との関係性が強い
- 「人間とくに子供」と「地球と自然」を守る正義の怪獣
- 「決して無敵ではなく、常に苦戦して傷つきながらも諦めない」
- 「自分の命よりも人間を優先して守ろうとする」
- 「死にかけても蘇り、最後には勝利する」
- 「一切の動植物を食べない」
- 「空を飛ぶ」
また、巨大特撮ヒーローとしては(1年の差とはいえ)ウルトラマンよりも先輩であり、とある海外の著名な評論家も「最も愛すべき怪獣の一種」と述べている。
しかし、後述の通り、2度も版権元が変わる(親会社の2度の経営破綻)という憂き目を見たために、海外展開もろくにできず、ガメラや(ガメラの敵としてデザインされていた)大魔神だけでなく大映特撮自体が(とくに若年層や海外からは)「忘れられた大家」になってしまった。
- このため、クッパやポケモンをはじめとする多数のキャラクターや、「水曜どうでしょう」やギャオス内藤や野球界の「大魔神」など、「大映特撮の影響を受けてきた事象の方が本家よりも有名になる」という現象が多発した。
- 海外でも、ガメラの事を「one of world's most forgotten characters」と呼ぶ場合がある。
しかし、クッパやポケモンだけでなく、知名度が保たれるフォローが様々な場面でされてきたため、長らく新作がなかったり海外展開がほとんどできなかったにもかかわらず、国内外にも根強いファンが多い。以下は、そのごく一部の例である。
- 複数の古生物がガメラに因んで命名されてきた
- 『ドラゴンボール』(辞典①辞典②)や『シンプソンズ』(辞典)や『サウスパーク』(辞典)や『ジャスティスリーグ』や『グリーンランタン』や『ミュータント・タートルズ』や『WOW』や『ロックマン』や『銀魂』や『ゾイド』など多数の世界的に有名な作品群が、程度の差こそあれどガメラへのオマージュを取り入れてきた
- ライバルであったはずのゴジラシリーズにも事例がある
- 渡辺謙が(ゴジラ作品へ出演した際のインタビューにもかかわらず)「自分はガメラ派」と発言する(参照)
現実では、偶然なのかやたらと「中国」との関わりが強く、『ガメラ大怪獣空中決戦』では徳間ガメラとスーパーギャオスのデザインが古代中国文化の影響を受け、『ガメラ3』では四神と明確に関連付けられた。また、玄武は中国で最も親しまれている四神である。更に、ガメラに因んで命名されたシネミス・ガメラも今の中国に生息していた古生物である。また、中山忍も中国でかなり有名である。
- 最近のゲーム界で台頭してきている「Gamera Games」という中国に拠点の一つを持つゲーム会社もおそらくガメラから名付けられている。
外見
見た目は直立二足歩行をする巨大な亀そのもの。大きく開く顎には牙が並んでおり、特に下顎の両端から上方に伸びる大きな一対の牙が印象的。この牙の用途は攻撃以外には不明だが、考察次第では戦闘時における眼の保護用ともとれなくもない。
性格・知能
恐ろしげな姿に相反して弱者、特に人間の子供や自然を労り、守護するという性質を持つ。
時には、自らの命を投げ出しても地球や人間を守ろうとする。しかし、人間からは誤解されて攻撃される事も少なくなく、それが原因で敵の怪獣にその状況を利用されてしまうこともある。
さらに知能も非常に高く、人間の言葉を理解し、人間とテレパシーで交信したり、人間を傷つけないように注意を払って力加減や行動をするなど他者への配慮にも優れる。他にも人間や宇宙人の構造物や兵器を効果的に利用する、UFOを修理するといった器用な真似もできたりする。
能力
火炎・電撃など
昭和版では口から噴射する巨大な火焔、平成以降ではプラズマや他のエネルギー生成した火球を発射し、主要な攻撃手段としている。昭和版の吐く炎は宇宙空間や水中でも機能し、平成版の火球は物理的には燃焼しないはずの物質も瞬時に燃焼させることができる。
令和の新作である『GAMERA-Rebirth-』にて電撃系の能力が増え、こちらでは荷電重粒子をも武器としているが、電撃系の能力は昭和時代から設定などに存在し、たとえば昭和版も甲羅からは電気を発射し、プラズマ火球も超放電現象とされている。
また、派生技として「バニシング・フィスト」や「ウルティメイト・プラズマ」や「トト・インパクト」や「燼滅手」などが存在する。
一部の媒体では、熱線や風速1,000m以上の暴風を口から吐いたり、爪には毒があるとされている。
移動能力
甲羅に手足または後ろ足だけを引き込み、引き込んだ部分から火炎やジェットを噴射して飛行する能力がある。飛行速度は非常に速く、大気圏内では音速の3-3.5倍以上、宇宙空間では亜光速にまで達する。三半規管が特殊なため、回転ジェットや超高速での飛行にも耐える。その極めて特殊な飛行方法により地球上の殆どの場所に短時間で到着し、宇宙空間へも容易に進出できる。
また、回転ジェット以外にも、頭部と両腕を出した状態での飛行形態では、二作目以降より「ウミガメが前肢のヒレを広げて泳ぐ」姿を彷彿とさせる、「前肢を翼状のヒレに変化」させ、飛行翼のようにしている点が挙げられる。
空中から地中や海中に至るまで地球圏のほぼ全域における活動を可能としており、その範囲は宇宙空間にまで及ぶ。
身体能力
あまり有名ではないが、かなりのパワーファイターでもあり、体重差のある怪獣(ジャイガー)を楽々と投げ飛ばしたり、2倍以上の体躯と3倍以上の体重を持つ敵(マザーレギオン)と取っ組み、長時間足止め出来るほどの膂力を持っている。
それでいて素の運動能力も高く、作品によっては超アクロバティックな動きを披露する。
このため、パワーと機動性を兼ねそろえており、格闘戦も得意である。
生命力
生命力の強さも特徴であり、もはや生物の常識の範疇を超えて異常なほどに打たれ強い。
人間や普通の生物なら即死または瀕死になるような傷でも戦闘が継続できる。
平成期の作品でも、上腕が吹き飛ぶ、腹部から背中にかけて大きな穴が開く、その状態から自分よりも大きい敵の大群相手側に(人間と協力して)生き残り勝利する、脳天を含め全身を貫かれ切り刻まれる、人口50万人以上の地方都市を吹き飛ばしクレーターにするほどの爆発の爆心地にいても、体表が炭化するだけで復活する、自爆しても時を経て生まれ変わる、などと、「怪獣」のレベルで見ても桁違いのタフネスさを誇っている。
回復速度も尋常ではなく、時間をかければ大怪我も全快してしまう。
その他
以下の能力も、各媒体で見られてきた。
- 人間とのテレパシーによる交信や同調
- 火山や地面を噴火させる
- 重力を操る
- エネルギーシールドを展開する
- 短時間での急激な自己進化を果たす
- マナと呼ばれる地球の生命エネルギーを操る
- 人間の傷を一瞬で癒す
- 人間を蘇生する
- 時間を停止させる
- 転生する
体重の設定
よくネタにされるのが、ガメラ怪獣全般に言えるが、身長と比較して軽すぎる体重設定であり、昭和時代では80t、平成時代では1999年の個体で120t、そしてその中でも最も重いとされる2006年の個体ですら1,200tしかなく、そのため科学的考察での算出結果によるとガメラは空気よりも軽く、立っているだけで風船の如く浮き上がってしまうとか竜巻を起こすほどの回転ジェットにより自ら焼肉&ミンチと化してしまうとか言われている。
そのため、仮にゴジラと戦わせても、
- ガメラは歩くことすらままならず空中に浮かび、ゴジラが軽く触っただけで破裂してしまう。
- ゴジラは、体が地面にめり込んでいきまともに動けず、自らの重さによって内臓に多大な負荷がかかって死亡する。
とも予想されている。
もっとも、そんなことを気にしていては特撮なんて楽しめないのはその考察本の著者が一番知っているだろうが。
容姿の変容
よく引き合いに出されるゴジラと違い、シリーズを通しても作品ごとに容姿や能力、出自に大きな違いが見られる。なので「ステレオタイプ」がゴジラよりも安定していない。全シリーズに共通するのはカメがモデルである点だが、昭和シリーズでは淡水棲のカメ、平成シリーズでは海亀の意匠が強く、角川版はリクガメ(ケヅメリクガメ)がモチーフである。
また、造形物(着ぐるみ)に関しても、差異が存在する。
昭和シリーズに関しては、初期は凶暴な顔つきで、腕にも肩部分が存在していた。しかし後に顔つきが丸くなり、穏やかな顔つきになり、肩部分も無くなり、「甲羅から前向きに腕が出ている」構造に変化している。
平成三部作では、違いは顕著で、一作目はやや穏やかな顔つきであったが、二作目・三作目ではよりシャープかつ凶暴そうな顔つきに変化している(これは昭和版とは真逆であり、興味深い点)。
以下、種類別(というか版権元別)および年代別に分類。それぞれの特徴は該当項目を参照。(出資元が)何度も倒れても再び復活するシリーズはまさにガメラそのものを体現しているといっても過言ではないだろう(たぶん)。また、興味深いことにそれぞれの版権元での第一作目では「小亀と少年(少女)」の関係が描かれている。
昭和ガメラ(昭和シリーズ)
平成ガメラ(平成シリーズ)
トト・アヴァンガメラ(小さき勇者たち)
その他
モチーフ
昭和ガメラのデザイン元、およびモチーフは「ワニガメ」、または「カミツキガメ」とまことしやかに言われているが、それは誤りである。
デザインのモチーフおよびモデルは諸説あり、実際には(亀としての)明確なモチーフ元は不明である。
ゴジラとの対決
おなじ日本代表を怪獣である両雄の対決は昔から非常に多くの人々に切望されてきたものであり、「夢の対決」として扱われている。だが、そもそも権利会社が違う上、多くの大人の事情により実現への道は遠いのが実情である。
しかし、2体が相まみえるのは不可能かと思われていたが、2023年9月にスマホゲーム『ゴジラバトルライン』にて『GAMERA-Rebirth-』がコラボ枠で参戦し、ゲームではあれどゴジラとの公式対決が実現した。
カルチャー面での影響
上記の通り、親会社が2度も経営破綻したゆえに、今でこそ知名度は落ちたが、ガメラが世界中の文化面に与えてきた影響はかなり大きい。
たとえば、複数種の古代の亀がガメラに因んで命名されたり、子ガメラやメカガメラなど、世界中の多くの作品における亀関連のトピックなどに関して、ガメラにばかり数多のオマージュが集中してきた。実際に、日本人が把握できていない事例も非常に多いと思われる(例のごく一部はこちらを参照)。
戦後のポップカルチャーの黎明期において、「世界的なアイコンとして確立されてきた亀のキャラクター」は実質的にガメラ(1965年デビュー)が世界最古であり、同時に「玄武」をメジャーな存在として全面的にフィーチャーした大衆文化作品としても草分けである為、昨今のカルチャーにおいて「玄武」へのイメージにガメラが与えてきた影響もかなり強い。
この背景には、ガメラがアイコンとして機能してきただけでなく、「世界的に有名な亀のキャラクター自体が非常に少ない」ことと「大人の事情で任天堂とトラブルを抱えたくない」ことが関係しているからだと思われる。
- 海外の「怪獣専門のウィキペディア」とも言える様な大手のサイトにも、「世界各国におけるガメラへのオマージュのリスト」という専門の項目がある程である。
- 任天堂発のコンテンツにも、たとえば亀ポケモンやクッパ軍団が存在し、今では世界的なアイコンとして台頭したが、これらにガメラが与えてきたと思われる影響も少なくない。一方で、大人の事情から任天堂のキャラクターには手が出しにくい為、さらにガメラへのオマージュが集中している一因にもなっている。
- 「亀」を主役とする世界的にメジャーなシリーズは、他にはたとえば『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ(TMNT)』などごく僅かしか存在せず、『TMNT』はあくまでも「人型の亀」であり、また、オマージュできる要素もほとんど「忍者」という部分しかない。カメバズーカやカメーバも比較的有名だが、前者の要素もかなりニッチであり、決して世界的に有名なキャラクターでもない。また、後者はどうしてもガメラと比べてキャラクター性が弱い。
- これらの事もあり、ガメラ以外の亀のキャラクターをオマージュできる状況が限定されている事も無関係ではないだろう。
- 『TMNT』自体にもガメラへのオマージュが存在する(例えば、2012年のシリーズに登場した「トッカ(Tokka)」は、姿や能力や性格の全てが明確にガメラを意識していた)。
- 1995年のオリジナルビデオ作品『コスプレ戦士 キューティ・ナイト』ではカプセル怪獣としてゲスト出演している。
余談
- ゴジラのようにハリウッドへの進出を期待する声も少なくないが、今の所未定であるので、こちらもまた未知数である。
- そうなった時の見た目はどうなるかも予想はできないが、某著名人はゾウガメ型を推しており、無難なのはこのような感じだろうか。
- 『小さき勇者たち』のタイアップ企画で、アメリカではカートゥーンネットワークによるガメラのアニメの制作が発表されていたが、その後に頓挫している。
- 一方で、上記の通りガメラへのオマージュかそれを想起させるネタは世界各地に多数存在し、日本でも有名な作品に限定しても、『ジャスティスリーグ』や『グリーンランタン』、『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』といったヒーロー物の他、『ザ・シンプソンズ』やティム・バートンによる『フランケンウィニー』などのコメディ物の作品でもガメラネタが使われたこともある。
関連イラスト
関連タグ
カメーバ ガメロン キングトータス クイントータス ミニトータス - 他社の亀モチーフの怪獣。下記も参照。
関連キャラ
三尾 - 岸本斉史作の漫画『NARUTO』に登場する魔獣・尾獣の一体。ガメラをモチーフにしたのかは判然としないが、怪獣をモチーフにしていることは判明している。また、ガメラが横回転するのに対して縦回転する。あんまり関係ないが、同じ尾獣の四尾も、上記の『ドラゴンボール』の主人公へのオマージュである。
サトシのゼニガメ - 「ハイドロポンプ」の様相がそのまんま回転ジェットである。
スターダスト・ドラゴン - ガメラの鳴き声が利用されている。
ヤンガリー - ある意味では兄弟とも言える。
グリーンランタンやジャスティスリーグアンリミテッド:ガメラへのオマージュがある。
カメーバ - 同じ亀モチーフの怪獣。素体、およびモチーフはマタマタガメ(明確に設定されている。ただし実際のマタマタガメとは、首の引っ込め方が異なる)。
キングトータス クイントータス ミニトータス - やはり同じく、亀モチーフの怪獣。ウルトラマンタロウに登場し、回転ジェットのように手足を引っ込めて回転しつつ飛行した(火炎は出さなかったが)。
シロップ(防振り) - 『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』に登場する、主人公メイプルのマスコットモンスターである亀。普段は小さいが巨大化し、(回転はしないが、主人公のスキルで浮遊し)飛行が可能。更に巨大化状態で口から光線を吐く、少女(自分の主人であるメイプル)の味方……と、どこかガメラっぽい特徴を有する。