キング「気をつけなよ。レンゲルのように、封印したつもりで僕に支配されないようにね」
『Absorb Queen』
『Evolution King』
橘「カテゴリーKと融合した…これが、キングフォーム…!」
広瀬「いや、彼は13体のアンデッドと同時に融合している…!」
橘「……!そんなことが…!?」
広瀬「普通ならありえない。だが彼は……。」
概要
物語後半より登場する、BOARD製ライダーシステムの最強形態。
作中にて、仮面ライダーブレイドが変身したものが代表的な存在であるが、後年制作された『仮面ライダーアウトサイダーズ』など、本作の派生・関連展開において仮面ライダーギャレンや仮面ライダーレンゲルのキングフォームが登場する場合もある。
前段階の強化フォームであるジャックフォームと同様に、ラウズアブゾーバーを使用し、上級アンデッドの力を強化服に宿すことで飛躍的な強化を図る形態であり、カテゴリーJの力を用いていたジャックフォームに対し、キングフォームはその名の通り上級の中の上級たるカテゴリーKの力を活用し、新規武装の追加、ジャックフォームをも凌ぐ強さを発揮することができる。
・・・と、いうのが本来想定されていたキングフォームである。
実のところ、作中に登場したブレイドのキングフォームは後述の事情により、その想定とは全く異なる代物と化している。
ブレイド・キングフォーム
スペック(ブレイド)
身長 | 201cm |
---|---|
体重 | 131kg |
パンチ力 | 450AP(4.5t) |
キック力 | 700AP(7t) |
ジャンプ力 | 一跳び25m |
走力 | 100mを6.6秒 |
聴力 | 通常のブレイドの2倍 |
(※ APは攻撃力を示すアタックポイントを指す)
特徴(ブレイド)
TVシリーズにおける最強フォームとして位置付けられているブレイドのキングフォームは、それまでの銀色のアーマーと紺色のスーツという基本的な出で立ちからガラリと趣を変え、全身の大部分が黒いスーツと金色のアーマーに覆われた、より重厚かつ絢爛なフォルムが最大の特徴である。
この金色のアーマー(キングアーマー)は、ジャックフォーム時にアーマーの一部に現れていた「ディアマンテゴールド」で構成されており、実に200tもの衝撃に耐える強度を発揮する。またスーツ部「ミスリルアーマースキン」もミサイル爆撃にも耐えるだけの強靭さを備えており、これらによって並大抵の攻撃であればものともせずに突き進み、後述のキングラウザーを振るって相手を圧倒するという豪快かつ堂々とした戦法を可能とする。
アーマーの各部には胸部の「ハイグレイドシンボル」以外にも、スペードスートの11体のアンデッド(カテゴリー2~Q)のレリーフ(アンデッドクレスト)が浮かび上がっている。
これらはもちろん単なる装飾という訳ではなく、カードをラウズするプロセスを経ずに各アンデッドの力を引き出すという役割を備えており、作中でもパンチを繰り出す際にスペードのカテゴリー3(ビートライオン)の力を上乗せした、強力な拳を相手へと叩き込んでみせたこともある。
全身を覆うアーマーが重たくなった分、移動時のスピードやジャンプ力は通常フォームより落ちているものの、それを補うかのように背面にはアーマーの重量をコントロールする「グラビティジェネレーター」が内蔵されており、最大稼働時には簡易的な飛行さえも可能とする。
素の状態でも、封印不可能な改造実験体「トライアルシリーズ」に対して抜群の戦闘能力を発揮するブレイドのキングフォームだが、さらに武器としてオートラウズ機能を備えた大剣型の「重醒剣キングラウザー」を新たに振るうようになり、その威力も従前までの醒剣ブレイラウザーを凌駕する。
こちらも他のラウザーと同様に、カードのラウズによってより強力なコンボ技を発動可能で、ブレイドのキングフォームが通常使用する「ギルドラウズカード」以外にも、他のスートのカードも使うことができる。
想定外のフォーム
前述の通り、ブレイドのキングフォームは本来の想定とはまるで異なるものである。
記事冒頭に示した台詞にもあるように、ブレイドはキングフォームに変身する際、本来想定されていたカテゴリーK(コーカサスビートルアンデッド)との単独融合ではなく、それも含めたスペードスートの他のアンデッド全てとも融合した状態にある。キングフォームと言うよりスペードフォーム/ワイルドフォームと言った方が正しいのかもしれない。
この状態は、キングフォームの登場以前から度々示されてきた「剣崎一真の融合係数の異常なまでの高さ」に起因したものであり、アーマー各部に浮かび上がったアンデッドクレスト、そしてそれを介して可能とするノンラウズでの能力発揮は、正しく13体同時融合状態を如実に示すものであると言えよう。
そのため、ファンの間では「本来想定されていたキングフォームにはアンデッドクレストがなく、別の何かに置き換えられているのではないか」と推察されており、後にギャレン・レンゲルのキングフォームが公式に登場したことでその推察にも裏付けがなされる格好となった。
後のギャレン・レンゲル版を考慮すると、本来アンデッドのレリーフに当たる部分はスペードスートが描かれた装飾に、また胸部コーカサスのレリーフは枠から飛び出していたものとも考えられ、同時に後述のワイルドカリスの存在から、13体融合によって枠内に押さえ込んでいると解釈することもできる。
13体同時融合はブレイドに圧倒的な力をもたらす一方で、様々なデメリットも孕んだものでもある。
まず第一に、それだけの力を行使するということはその分だけ、変身する剣崎の体力を大幅に消耗させることにも繋がる。実際に、キングフォームを使い始めた頃の剣崎は変身を解除する度に、強烈な睡魔に襲われていたりする。
またブレイドのキングフォームは、その強大な力に反応して仮面ライダーカリスこと相川始が抑え込んでいた、ジョーカーとしての闘争本能を掻き立てる要因ともなっており、作中でも何度か暴走状態に陥ったジョーカーと干戈を交えたこともある。
これらのデメリットは、キングフォームへの変身を重ねて剣崎が慣れていったこと、そして始がキングフォームと同質の力を得てジョーカーとしての本能を最大限制御できるようになったことで、一応の解消を見ているのだが・・・13体同時融合にはそれらとは比べものにならない、深刻極まるデメリットがもう一つ潜んでいた。
それはキングフォームの過度の使用により、変身する剣崎がアンデッドとの融合の度合いをさらに深め、最終的にはそれらと完全に融合する――即ち第2のジョーカーへと変質してしまうというものである。
変質は肉体だけに留まらず精神面にまで及び、自我を失って狂ったように笑いを上げながら敵味方の区別なく攻撃に及ぶなど、作中でも見られたジョーカー化一歩手前の状態は正しく「残忍な殺戮マシーン」という評そのものと言っても過言ではない。
この時は、始達の働きかけによりすんでのところでジョーカー化を免れ、以降も剣崎自身の強い意志で暴走を起こすこともなくなったものの、ジョーカー化のリスク自体は全く解消された訳ではなく、後に物語最終盤にてジョーカーを勝者とする形でバトルファイトがリセットされ、ダークローチの大量発生により全世界的な危機が到来した際、剣崎は事態打開のために再びこのリスクと正面から向き合うことを余儀なくされたのである・・・。
アイテム(ブレイド)
上級アンデッドの力を引き出し、強化形態への変身を可能とするツール。
詳細な機能や原理については当該記事も参照。キングフォームへの変身時には上面を覆うプレートも、青地にコーカサスオオカブトムシを象ったスペード型のレリーフが施されたものへと変化している。
ラウズカード覚醒機能を搭載した大剣型の専用武器。キングフォームへの変身と同時に実体化する。
初期能力値は9,600AP。
詳細な機能については当該記事も参照。
ギルドラウズカード
キングフォームへの変化の際には、所持しているラウズカードも金色に輝く「ギルドラウズカード」へと変化する。単に見た目が変化するだけでなく、カテゴリー2~10のカードについてはAP値も増加(※)し、より強力な力を発揮することができる。
前述の通り、カードの力を行使するだけならばラウズする必要はないため、使用されるのはもっぱら後述のコンボ技(必殺技)を発動させる際のみとなっている。また、キングラウザーにはブレイラウザーのようなカードホルダーは備わっておらず、ギルドラウズカードを使用する際にはブレイドの意思に応じて都度都度実体化させる必要がある。
(※ カテゴリー2~6までは200、カテゴリー7~10までは400と、それぞれAP値が通常時のそれに上乗せされている)
エボリューションコーカサス(♠K)
コーカサスオオカブトの祖・コーカサスビートルアンデッドを封印。「強化形態への進化と武器の付与」という効果を発揮する。
必殺技
TVシリーズに登場
「放て! とどめの一撃を!!」(玩具CMのナレーションより)
TVシリーズでのキングフォームの代名詞とも言える大技で、上記の5枚のカードを重醒剣キングラウザーにラウズし、これらのカードの力を乗せて強力な一撃を放つ。破壊力は11,200AP(112t)。消費APは不明。
ブレイドが単独で発動できる技の中でも最強の威力を発揮し、主に通常攻撃では撃破・封印共に不可能なトライアルシリーズに対して多用された。ハイパーバトルビデオでは偽仮面ライダーブレイドを一撃で爆殺し、劇場版では身長50mに達する巨大邪神14を、飛行状態から真っ二つ両断・撃破している。
作中では「ラウザーから放たれた光線で相手を吹き飛ばす」パターンと、「自ら相手に肉薄して一刀両断する」パターンの2種類が使用されているが、いずれの場合も発動の際には上記のカードと同じ絵柄をした光の壁が、ブレイドと相手の間に一列になって出現。これをブレイドもしくは光線が突き抜けていく形で攻撃をヒットさせる。
また、融合係数が極まりつつあった第45話からは、連続ラウズ後の発動時に全身のアンデッドクレストからキングラウザーにエネルギーが流れ込むような演出も見られるようになり、出現する光の壁も黄(金)から赤へと変化。
最終回に至っては、最早ラウズすらせずにキングラウザーを構えただけで全身からエネルギーが流れ込むようになるなど、ジョーカーへの変質がとことんまで進行したことを窺わせるような描写も見られた。
ラウズ後にブレイラウザーを出現させ、2振りのラウザーにラウズしたカードの力を込めて敵を切り裂く。発動の際にはキングラウザーの側にカテゴリー3と6の力が、ブレイラウザーの側にカテゴリー2・4・5の力がそれぞれ宿る。
4人の仮面ライダーの協力により初めて可能となる技で、ライダーの攻撃に属性を付加する各スートのカテゴリー6のカード、そしてスペードのカテゴリーKの力を合わせ、相手へと肉薄してすれ違いざまに一刀両断する。
その他
以下はいずれも、「DXキングラウザー」に音声のみ収録されているオリジナル必殺技である。
発動の際にラウズするカードは、ポーカーの役とほぼ同じであり、以下の役は単独でカードダスのラウズカード化される際に名称が設定された。
実際のポーカーにおける役の強弱と、APの大小は一致せず、フォーカードと異なりワンペアーからスリーカードは役を成立させているカードのAPのみが計算されている。
ワンペアー→「キングフォーム・ワンペアー」
PS2版ゲームの初回限定カード。カードダスギャラリーの全解放パスコードが記されている。カードのパワーを合体させ、金の刃が邪悪を断ち切り吹き飛ばす。
ツーペアー→「キングフォーム・ツーペアー」
キングフォームが二人描かれ、それぞれキングラウザーとブレイラウザーを構えている。これについては、使用している♦9(ジェミニゼブラ)の効果で分身してるのではないかとの指摘もある。「フルハウス」と共に玩具オリジナル技では通常のカードダス自販機から排出された。
スリーカード→「キングフォーム・スリーカード」
丸大食品「仮面ライダー剣ソーセージ」限定カード。王の剣に心を束ね、3人ライダーのカード(♦︎5、♥5、♣︎5)の力をキングラウザーに集めて放つ。
ストレート→「ストレート・テンペストクラッシュ」
小学館『てれびくん』にて付録化。5枚のカードが眠れる力を全解放し、電撃を纏った雷光のライダーキックを発動する。
フラッシュ→「ペンタクル・フラッシュ」
講談社『テレビマガジン』にて付録化。カードに囲まれた敵へ、五芒星のパワーをキングラウザーから放つ。
フルハウス
3枚のカテゴリー5と2枚のカテゴリー6を使用。足に電撃を纏っていることから、強力なキックを放つ技ではないかと見られる。「ツーペアー」と共に、通常のカードダス自販機から排出された。
ファイブカード→「ファイブカード・クリスマス」
DXトランプボックス同梱。正義の祈りが生み出した、闇をかき消す奇跡の必殺技が発動。
作中に登場した役および、カードダスで描かれた役の組み合わせとAPは以下の通り。
役 | 組み合わせ | AP | 備考 |
ワンペアー | ♠︎9、♦︎9 | 3,400 | PS2ゲーム初回限定付録 |
ツーペアー | ♠︎4、♠︎9、♦︎4、♣︎9 | 4,600 | 通常のスペードカードでなければAPの計算が合わない |
スリーカード | ♦︎5、♥5、♣︎5 | 3,400 | 仮面ライダー剣ソーセージ限定カード |
ストレート | ♦︎2、♣︎3、♥4、♠︎5、♠︎6 | 4,600 | てれびくん12月号付録カード |
フラッシュ | 不明(※) | 6,200 | テレビマガジン12月号付録カード |
フルハウス | ♠︎5、♠︎6、♦︎5、♣︎5、♥6 | 6,200 | |
フォーカード | ♦︎6、♥6、♣︎6、♠︎6、♠︎K | 9,600 | |
ストレートフラッシュ | ♠︎2~6 | 5,000 | ブレイラウザー召喚 |
ロイヤルストレートフラッシュ | ♠︎10~A | 11,200 | |
ファイブカード | ♠︎A、♦︎A、♥A、♣︎A、ワイルドA(ケルベロス(黄)) | 12,000 | DXトランプBOX付属。カードの分類は「クリスマスカード」 |
(※ ポーカーにおけるフラッシュは、5枚のスートが同じで数字が揃っていない場合の役である)
必殺キック
TVシリーズではなく、後年制作された『仮面ライダーウィザード』の特別編(第53話)にて初披露された。キックを繰り出す際に、上記のコンボ技のようなカードのラウズといったプロセスは特に経ていない。
同作以外でも、『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』への客演時に同様の技を披露しており、こちらではカードではなく番組ロゴがエフェクトとして出てくる。
この他、非公式ではあるがひらかたパークで上演されたヒーローショーでは、通常フォームで多用していたライトニングソニックを披露したこともあった。
ゲームにおいて
放送当時発売されたプレイステーション2用格闘ゲームに、使用可能キャラの1体として登場している…のだが、基本形態のブレイドと違って弱攻撃と必殺技(ロイヤルストレートフラッシュ)でしか攻撃できない。カードの通常技も反撃技も使用不能のため、最強フォームにもかかわらず基本形態より弱体化してしまっている。
また、ロイヤルストレートフラッシュの演出は、開発時期が放送開始前からであった都合上、作中のように真っ直ぐ相手へと突撃するのではなく、ジャンプして切り掛かるという劇場版で披露されたような形とされている。
仮面ライダーディケイド
同作では、ディケイドコンプリートフォームの「ファイナルアタックライド ブレイド」使用時にブレイドのキングフォームが召喚される形で登場しており、ディケイドの挙動に合わせてロイヤルストレートフラッシュを使用している。
登場したのは「シンケンジャーの世界」でのチノマナコディエンド変身態戦で、この時は相手が召喚した通常フォームのブレイドもその場にいたため、フォーム違いの同じライダーが同じ場所にいるという珍しい状況が展開された。
最終回では剣崎一真本人が変身する形でも登場しており、この時はラウズアブゾーバーを用いず、また通常フォームを経ることすらなく、ブレイバックルのみで直接キングフォームへと変身。ロイヤルストレートフラッシュでディケイドを一蹴しその圧倒的な実力を改めて示してみせた。
同作のTVシリーズの後日談に当たる映画『MOVIE大戦2010』のディケイド完結編では、剣立カズマが変身する仮面ライダーブレイドが仮面ライダーディケイド コンプリートフォームの力で二段変身した。
ライドウォッチ
アンデッドの力をその身に纏え!金色の甲冑!ブレイド キングフォーム!
黄金色の鎧!ブレイド・キング!Evolution King.
プレバン限定「DXライドウォッチセット vol.2」の一つとして発売。
必殺技は「ロイヤルストレート」。
ギャレン・キングフォーム
ブレイドと同様に、パワーアップツールのラウズアブゾーバーを所持しているギャレンもまた、理論上カテゴリーKのカードがあればキングフォームへの変身は可能と見られており、実際に第37話でも白井虎太郎が、ギャレンにもブレイドと同じようなことが起こるのではと推測したこともあった。
流石に橘の融合係数ではブレイドのような13体同時融合は起こりえないが、この時の虎太郎はワイルドカリスの存在についても示唆しており、上記した指摘は非常に鋭いものであるとも言える。
とはいえ、TVシリーズではそのカテゴリーK(ギラファアンデッド)を封印したのが最終回手前であったのに加え、その際の戦闘でギャレンバックルも損壊し変身不能に陥ったため、作中でギャレンがキングフォームへと変身することは遂になかった。
また、これに先んじて公開された『劇場版 仮面ライダー剣 MISSING_ACE』では、ライダーシステムが健在な上にカテゴリーKのカードも所持していたことから、クライマックスの巨大邪神フォーティーンとの決戦で変身できたと指摘する向きもあるが、ここでもやはり登場することはなかった。
このように、放送当時は「幻のフォーム」として扱われたギャレンのキングフォームであるが、後年の派生・関連展開などにおいてはキングフォームがそれぞれ独自の設定の元に登場することもある。
以下、登場作品が発表された時系列順に解説していくものとする。
S.I.C. HERO SAGA
「ホビージャパン」にて連載されていた同シリーズのうち、2008年に発表された特別編にてフィギュアの作例が公開され、準公式という扱いではあるがこれがギャレンのキングフォームの初出となった。
同作におけるギャレンのキングフォームは、その基本的なフォーマットはブレイドとも共通したものがある一方、前述した「本来の想定」通りのキングフォームを意識してか、アンデッドとの融合を示すレリーフは胸部の「ハイグレイドシンボル」のみに留まっており、両手足の各アーマーにはアンデッドクレストの代わりに、ギャレンのスートであるダイヤのレリーフが施された形となっている。
ラウズアブゾーバーのプレートも緑色を基調に、こちらもダイヤを象ったギラファのレリーフが施された独自のものである。
独自の装備としてはこれ以外にも、肩アーマー(ショルダーガードナー)にクワガタムシの顎を模したブレードが配されている他、新たにクワガタの翅を模した長大な翼が、背面からあたかもマントのように生えており、これらもまたブレイドのキングフォームとは異なるフォルムを形作る要素となっている。
武器の「重醒銃キングラウザー」は、ブレイドのキングラウザーとは異なり新規装備ではなく、ジャックフォームのように既存のギャレンラウザーが強化された、ロングライフル状の武器として設定されている。
肝心の作中での活躍ぶりについては・・・実のところ全くの皆無である。
というのも、同シリーズの『剣』編に当たる「MASKED RIDER BLADE EDITION -DAY AFTER TOMORROW-」(2007年2月号~5月号にて掲載)では、とある事情から再解放されてしまったカメレオンアンデッドとの戦闘に際し、ギャレンがキングフォームに変身しようとはしたのだが・・・ここで睦月がキングフォームの仕様を剣崎のそれと同じと勘違いし(※)、制止に入ったために変身できずに終わっているからである。
また、前述の作例が公開された「HERO SAGA SPECIAL EDITION -FOUR CARDS-」(2008年3月号~6月号にて掲載)は、前述の一編とは異なり特にストーリー仕立てとはされておらず、ギャレンのキングフォームの活躍は同シリーズにおいても結局、披露されず終いとなってしまった。
このような扱いではあるものの、2015年にはギャレンのキングフォームも誌上限定通販という形で商品化が実現。前年に同様の方式で発売されたレンゲルのジャックフォームと合わせ、S.I.C.において本作の4大ライダーの最強フォームが揃い踏みする形となった。
(※)前述の通り、本来のキングフォームはカテゴリーA・Q・Kさえ揃っていれば変身できる上に、カメレオンアンデッドの再解放でダイヤスートのカードが揃っていないため、剣崎のようにジョーカーになる危険性はまずない。ファンからは「この師弟なら勘違いするわな」と好意的に捉えられているものの、実際の本文中に「睦月の勘違いだった」ことを明言する文章はなく、加えて同シリーズではそれ以前にも類似したケースが発生していたことなどから、おそらくは著者が素で勘違いしていた可能性も指摘されている)
仮面ライダーアウトサイダーズ
2023年に発表された同作では、映像作品としては初めてギャレンのキングフォームが登場し、実際にその活躍ぶりも描かれるに至った。
黒いスーツ部と金色のアーマーで全身が覆われた、重厚そのものな出で立ちはブレイドのキングフォームに準じたものとされているが、同作でも「本来の想定」通りのキングフォームが志向されている都合上、両手足の各アーマーにはS.I.C.版と同様にダイヤのレリーフが施されている。
また、胸部のハイグレイドシンボルもブレイドのそれとは異なり、ギラファノコギリクワガタを模したレリーフの一部がダイヤ型の枠内から飛び出し、顎や肢に当たる部分が胸部アーマーの前面全体に被る形とされているほか、S.I.C.版のように顎状の意匠が施された肩アーマーと、ブレイドのものより巨大化した上腕部の装甲と合わせることで、胸だけでなく腕周りにもギラファノコギリクワガタを思わせる意匠が現れるようになっている。
全身のゴールドの色合いも、ブレイドのキングフォームやギラファアンデッドの黒ゴールドよりも明るく、オレンジ寄りの色彩になっているのも特徴の一つと言える。
変身の際には、『剣』のTVシリーズのBパート終了時を思わせる不思議な空間をバックに、アブゾーバーから出現した13枚のエボリューションギラファのカードが、ブレイドのように全身に鎧として装着されていくという演出が盛り込まれている。変身音は13枚のカードが出現する音が入る点以外は、DX版のキングフォーム変身音とほぼ同一である。
武器としては、ブレイドのものと同様のオートラウズシステムを備えた、ライフル型のラウザーが新たに装備されている。銃身の上下に、クワガタムシの顎を思わせるパーツが追加されているなど、S.I.C.版のキングラウザーとも近似した部分が見られる一方、そちらとは異なりカードホルダーはオミットされている。
作中での動向
初出はep.4「狂った時の運行とゼインの正体」。
仮面ライダーゼインがブレイド・キングフォームのゼインカードでフォーカードを発動した後に落としたエボリューションギラファのカードを使用して変身を果たし、ラウザーで必殺技の「フォーカード」を発動。滅をハッキングした状態でアークが変身した、仮面ライダーアークゼロを変身解除に追い込んだ。
たまたま傍にあったとはいえ、せっかく命懸けで封印したはずの自身のカードを使わなかったわけだが、これは演出の都合によるものだろうか。
アイテム(ギャレン)
上級アンデッドの力を引き出し、強化形態への変身を可能とするツール。
詳細な機能や原理については当該記事も参照。キングフォームへの変身時には上面を覆うプレートも、赤地にギラファノコギリクワガタを象ったダイヤ型のレリーフが施されたものへと変化している。
キングフォームへの変身と同時に実体化する、ライフル型のカードリーダー。
詳細な機能については当該記事も参照。
ギルドラウズカード
ブレイドのものと同様に、キングフォームへの変身に合わせてギャレンの所持するカードが変化したもので、作中ではep.4の時点で♦のAとKの計2枚が登場している。
前述の通り、使用の際に都度都度カードを実体化させるブレイドに対し、ギャレンの場合はどのような形でカードを取り出しているのかまでは作中では描写されていない。ep.4にて使用したカードも、直前にゼインが召喚したラウズカードをそのまま使用していたりする。
必殺技(ギャレン)
ブレイドが使用したフォーカードと同様に、異なるスートのカードを組み合わせる形で発動(※)。自身と相手の間に使用したカードと同じ絵柄の光の壁が一列になって出現し、ラウザーから放つ光線がそれらを突き抜けつつ相手を吹き飛ばす。
発動の際にはビームが通った地面は抉れ、周りの木が吹き飛ぶなど、現時点においてギャレンが使用可能な必殺技としては最大の威力を発揮する。破壊力が使用カードのポイントの合計である場合、15,400AP(154t)となり、ブレイドのロイヤルストレートフラッシュ(破壊力:11,200AP)や、ワイルドカリスのワイルドサイクロン(破壊力:14,600AP)をも凌駕する数値を叩き出す。
(※ 作中でこれらのカードをラウズする際、直前のシーンでは通常のラウズカードであった♠Kのカードが、ギルドラウズカードになっているという編集ミスが確認されている)
レンゲル・キングフォーム
作中に登場する4大ライダーの中で、唯一キングフォーム(もしくはそれに準じる形態)を有していなかったのが仮面ライダーレンゲルである。
レンゲルは、物語の中盤で早くもクラブのカテゴリーK「エボリューションタランチュラ」を獲得するが、一方で終盤に至るまでクラブのカテゴリーQ「アブゾーブタイガー」を入手できず、これらと橘のラウズアブゾーバーが揃い、「俺のキングフォームを見ろ!」と満を持して変身した際にも、タランチュラ・タイガーの2体のアンデッドの働きかけにより、スパイダーアンデッドがレンゲルと分離・変身解除に陥るというイレギュラーな事態が発生した。
そのためキングフォームへの変身は実現しなかったものの、分離したスパイダーアンデッドと対峙した睦月は生身の姿ながらも、時折タランチュラアンデッドの姿が重なったり、ブレイドから投げ渡されたキングラウザーを使用してみせたりと、カテゴリーKの力がしっかり宿っていることを窺わせる描写もなされている。
フォローすると、レンゲルは元々強化フォームなどの追加(所謂テコ入れ)は構想段階の時点で一切なしということが決まっており、4ライダーの中で唯一最初から金色が使われているのもまた「強化形態が無いから最初から金色が使えた」というだけではなく、「最初から強化フォームと同等の強さを持つ」という意味合いが込められていたりする。
こうして、TVシリーズでは完全に幻のフォームと化し、ギャレンのキングフォームが公式に登場した後もなお、しばらくの間音沙汰のなかったレンゲルのキングフォームであったが…。
番組放送から20年を経た2024年2月、記念イベント「仮面ライダー剣 20th Anniversary STAGE&TALK」にて、ついに公式な形でレンゲルのキングフォームも登場(参考リンク)。スーツも同イベントに合わせて新造された。
こちらもギャレンのキングフォームと同様に、カテゴリーK(タランチュラアンデッド)とのみ融合した「本来の想定」通りのキングフォームとなっている。
基本的なフォーマットは、先行するブレイドやギャレンのそれに準じており、ハイグレイドシンボルのアレンジ(タランチュラの脚が枠内から飛び出している)やゴールドの色合いはギャレンのキングフォームに合わせられている。
もっとも、前述の通り通常の状態で既に金色の占める面積が広かったこともあってか、腕や足のアーマーを中心にメタリックオレンジや緑が多用されているのも、レンゲルのキングフォームの特徴の一つである。
アイテム(レンゲル)
キングフォームが使用する、杖型のカードリーダー。
他のラウザーに比べレンゲルラウザーに近い形状ながらも、ザッパーモードを意識し先端部の円形の刃が4枚に増えている他、後端部にも新たに刃が追加されているのが特徴である。
SICオリジナルのジャックフォームにおいても強化型レンゲルラウザーの後端部にディアマンテエッジが増設されているが、そちらが柄の側面から刃を生やした戟のようなシルエットになっているのに対し、キングフォームの刃はカードリーダー部と一体化した槍や薙刀に近い形になっている。
番外:ワイルドカリス
仮面ライダーカリスの最強形態。
カリスはそもそもBOARD製のライダーシステムによって変身する存在ではなく、公式にもキングフォームとしては扱われていないが、一方で変身の際にハートスートのアンデッド13体と融合しており、その点ではブレイドのキングフォームと同質の存在と言える。
備考
作中におけるブレイド・キングフォームの戦績は、苦戦(というほどの苦戦もほぼなかったが)や中断こそあれども基本的に敗戦はなく、コンボ技以外にも作中未使用の時間停止能力(スカラベタイム)などが存在することもあり、歴代ライダーの最強フォームの中でもチート扱いの筆頭と看做されることも多い。前出のひらかたパークのヒーローショーでは、単体の能力を複数使用しており、地味にタックルも初めて敵にヒットしている。
TCG「レンジャーズストライク」では2回カード化されており、作中でジョーカーに近づいたことを反映してか特徴に「アンデッド」を持つ。また、「ロイヤルストレートフラッシュ」もカードになっており、いずれもスーパーレアとなっている。
pixiv上では、ブレイドのキングフォーム以外にも、放送当時未登場となったギャレンやレンゲルのキングフォームの想像図とも言うべきイラストも複数投稿されている。
(※ イラストはファンによるレンゲル・キングフォームの想像図)
また、ブレイドの場合はキングフォームの剣崎一真と言うことで、「キングカズマ」(映画『サマーウォーズ』の登場キャラクターの一人)のタグ検索に、稀に引っかかることもあるので注意が必要である。
関連タグ
仮面ライダーブレイド 仮面ライダーギャレン 仮面ライダーレンゲル
最強フォーム てんこ盛りフォーム 暴走フォーム 副作用フォーム ゴールドヒーロー
配信限定フォーム:ギャレンの場合
舞台作品限定フォーム:レンゲルの場合
関連・類似キャラクター
- アルティメットフォーム プトティラコンボ 極アームズ:いずれも仮面ライダーシリーズの他作品に登場する最強フォーム達。それぞれの作中でも圧倒的な実力の持ち主であると同時に、暴走や人外化の危険性・可能性を孕んでいる点でも共通しており、後2者に至っては剣崎と同様に人外と化してしまったこともある
- 仮面ライダーコーカサス:『仮面ライダーカブト』に登場するヒーローの一人。こちらもブレイドのキングフォームと同様に、コーカサスオオカブトをモチーフとした金色のライダーである
- エンペラーフォーム インペリアルデモンズ:いずれも仮面ライダーシリーズの他作品に登場する、「支配者を意味する語句が名称に取り入れられている」強化形態達。このうち前者とは、金色のアーマーを備えた主人公ライダーの最強フォームという点で、また後者とは「タランチュラがモチーフ」という点で、それぞれ共通項を有する
- コンプリートフォーム グランドジオウ:こちらも仮面ライダーシリーズの他作品に登場する最強フォーム達で、スーツのデザインにカードの絵柄、もしくは能力を現すレリーフが取り入れられている点で、ブレイドのキングフォームとの共通点を持ち合わせている。中でも後者はアーマーの色が金色である点に加えて、変身時に歴代ライダーのレリーフが貼り付く時のカメラアングルなどもキングフォームと近似しており、スーツアクターの高岩成二も初めてグランドジオウを見た時にキングフォームを思い出した、という証言も残されている。
2号ライダー最強フォーム
ネクストカイザ → ジャックフォーム/キングフォーム → ハイパーフォーム
4号ライダー最強フォーム
王蛇サバイブ → キングフォーム → 斬月・真 メロンエナジーアームズ/カチドキアームズ