概要
仮面ライダーシリーズでは、特に平成第1期以降強化フォームの登場が定番化・恒例化しているが、その中には強力なスペックが付与される代わりに、反動で変身者の身体や肉体に負荷が掛かり疲労や後遺症を伴う形態や、変身者の意思を無視して暴走あるいは肉体の変質を引き起こすような形態も、少なからず存在する。このうち前者においては、初使用の際に変身を解除した後、出血したり胸を抑えるなどといった形でその身体的ダメージが演出されることも多い。中には変身する度に寿命が縮み、死亡するケースさえある。
こうしたリスクを制御・解消するには追加アイテムの働き、もしくは自力で克服することが多いが、形態によっては最後まで制御が効かないものも有る為、その場合はリスクを如何に軽減するか、もしくはリスクを甘んじて受け容れる必要に迫られる。
一覧
平成ライダー
『仮面ライダークウガ』
視力・聴力など様々な感覚を極限まで研ぎ澄まし、遠方の敵さえも正確に捉えられる能力を有する。
一方で、ペガサスフォームへの変身時には、全身の神経が常時緊張状態に陥ることから、基本4フォームの中でも特に体力の消耗が激しく、変身可能な時間は僅か50秒、しかもその時間を過ぎると強制的にグローイングフォームになってしまい、2時間もの間再変身が不可能となってしまう。初変身の際には前述の特性を把握しきれておらず、相手にまともな有効打を与えるどころか一挙に押し寄せてきた多大な情報に混乱を来し、自滅も同然に変身解除に追い込まれている。
ライジングペガサスはペガサスフォームの強化版で、前述した超感覚に加えて射撃性能の面でもさらなる向上が見られるが、その分さらに著しい身体的負担を強いるため、変身可能な時間も30秒とさらに短くなった(一応、制限時間についてはライジング化に伴って、他のライジングフォームにも共通して課せられる様になった)上、感覚がより鋭敏になった分下手に攻撃を食らったが最後、想像を絶するダメージを負うことにも繋がってしまう。
ライジングフォームは、物語終盤にてさらなる電気ショックを受け、その副次的な作用で制限時間も解消されているが、実際にそれが明示されたのはライジングマイティのみであり、強化前から時間制限のあるライジングペガサスも同様の扱いであるかまでは言及されていない。
『仮面ライダーアギト』
戦闘能力の大幅な向上に加え、理想的な攻撃方法を装着員に促す高度なAI機能が搭載されるなど、G3以上のスペックを叩き出す形態である・・・のだが、このAI機能が実は曲者であり、最適な動きを実現すべく装着員の意思を無視した挙動を強いるため、装着員の体力の消耗や意識喪失、ひいては暴走状態に陥るという致命的な問題点を孕んでいる。作中でもV-1システムとの制式採用を賭けたコンペの際、この問題点が表出し暴走したG3-XがV-1を破壊、さらには出動命令が出ていない状態でアンノウンを撃破するという挙動を示している。
このため、AIの指示に同調可能な人間を装着員候補とするという試みを経て、最終的にAIの機能を制御することでようやく、上記した問題を解消するに至っている。とはいえ、後にこのシステムをより先鋭化した、人命を度外視した危険な存在が生み出されることともなるのだが・・・。
『仮面ライダー剣』
13枚のラウズカードを揃えることで変身可能となった強化形態。
攻撃・防御共に桁違いの強さを発揮し、通常形態では撃破・封印不可能なトライアルシリーズさえもことごとく打ち破るなど、作中において名実ともに最強と言える形態である。
しかし、カテゴリーKのアンデッドと融合して変身するという「本来の想定」とは異なり、ブレイドの場合は13体のアンデッド全てと融合状態にあることから、変身を繰り返す度にアンデッドとの融合が進行し、最終的にジョーカーへと変貌――即ち人間でなくなるという重大な危険性を伴っている。そして物語最終盤では全アンデッドの封印と、それに伴ってジョーカーが勝者となったことによる世界の破滅を食い止めるべく、前述した「副作用」を逆用しその危機を回避するのだが・・・代償はあまりにも大き過ぎるものであった。
上記の点以外にも、戦闘後に強烈な眠気に襲われるという副作用もあり、作中では寝落ちしたところを襲撃されたこともあった(ある人物のおかげで事なきを得たが)。
『仮面ライダー電王』
とある経緯から入手した、赤いゼロノスカードを使用し変身する強化形態。
従来の2フォーム以上の性能と、デネビックバスターを用いた強攻を得意とするが、変身に使用する赤いゼロノスカードには、使用の度に「変身者にまつわる周囲の人間の記憶を消費する」という代償を払う必要があり(この性質自体は従来の2フォームでも同様であったが、それらが「未来」の桜井侑斗の記憶を対象としたものであるのに対し、赤いカードは「現在」の侑斗の記憶が対象とされている)、変身の度に記憶が失われることでゆくゆくは変身者の存在そのものが維持出来なくなるという重大なリスクを抱えている。
『仮面ライダーキバ』
素晴らしき青空の会が運用する、対ファンガイア用パワードスーツ。
セーブモードはその基本形態であるが、この当時のイクサはまだロールアウト直後でシステムが不完全であったことから、長時間の運用により変身者の身体に著しい負荷を与える、極めて危険な代物となっている。これは人間ばかりでなく、他の種族の者であっても例外無く適用されるため、これを逆用してファンガイアに敢えて変身させ、長期戦にもつれ込むことで多大なダメージを与えたケースもあった程である。
その後改修が重ねられたことにより、現代(2008年)において運用されている同形態では、このリスクはほぼ解消されているが、その間新たに実装された「バーストモード」もやはり長時間の運用は負担が大きく、長時間運用に伴うリスクの完全な解消は、さらなるアップデートにより「ライジングイクサ」への変身が可能となるまで待つこととなる。
『仮面ライダーW』
通常のダブルとは異なり、フィリップが主体となって変身する強化形態。
野獣の様な戦闘スタイルを得意とし、格闘能力で言えば基本の9フォームを凌ぐだけの強さを発揮するが、フィリップの安全を確保するためならば手段を選ばず脅威を排除するファングメモリの特性ゆえに、初変身の際も含め暴走状態に陥ることもあり、フィリップからは長きに亘って変身を拒絶されていた程である。
その制御のためには、翔太郎の側も最も適正の高いジョーカーメモリを使用しなければならないとされており、必然的に戦法にも制約を生じさせる格好となっていた。
TVシリーズの後日譚に当たる漫画『風都探偵』では、変身する2人の絆がより高まった影響からか、ジョーカー以外のメモリでも短時間ながら維持出来るようになっており、ファングトリガーとファングメタルという新たな形態が登場した。もっとも、やはりジョーカーよりも扱いは難しいようで、戦闘後は激しい疲労に襲われるといった描写も見られる。
『仮面ライダーOOO』
同じ属性の3つのコアメダルを用いて変身する形態。
それぞれが持ち合わせている固有の能力を駆使し、強大な力を発揮することが出来るが、(タトバコンボを除く)各コンボ形態への変身中は高いエネルギーを全身から放出するため、変身する度に著しい肉体の消耗に襲われてしまう。
さらに、物語後半から登場した「プトティラコンボ」は、これに加えてメダルの特性により変身者の意思を離れて勝手に変身・暴走することもある上、変身を重ねることでの五感の喪失や身体そのものの変質により、最終的には敵と同質の存在への変貌すら引き起こすなど、前出のキングフォームとほぼ同様の危険性までも備わっている。
『仮面ライダー鎧武』
極ロックシードを使い変身する最強形態。
作中に登場する他のアーマードライダーの武器を自在に駆使し、オーバーロードインベスにも対抗可能な強さを発揮。さらにはヘルヘイムの森の植物を任意に生やしたり、破損させられたカチドキロックシードを自力で即座に再生させたりと、作中でもトップクラスの実力の持ち主である。
とはいえ、そうした人智を超えた能力を得た代償として、変身者自身もオーバーロードと同質の存在へと変質していくという、前出のキングフォームやプトティラコンボと同様の副作用の表出も引き起こしている。こちらも物語最終盤では同様に、人間であることを捨てたライバルとの決着を付けるべく、自らの意思でオーバーロードへと変貌を遂げている。
それ以降はこの形態が紘太にとっての事実上の怪人態となっている。
ヨモツヘグリロックシードを使用して変身する強化形態。
変身者の生命力と引き換えに、主役ライダーの最強形態に比肩する程の強さを発揮するという、自分の生死を度外視した形態である。本来ならば変身しているだけで身体に激しい負担がかかり、まともに戦える状態ではなくなるため、作中この形態で戦えたのもあくまで相手への尋常ならざる敵意で、無理くりその苦痛を抑え込んでいたが故に過ぎない。
『仮面ライダードライブ』
シフトデッドヒートを使用して変身する強化形態。同じアイテムを2人のライダーが共有し、かつ変身後の姿もその大部分が共通しているという、シリーズでも珍しい形の強化が特徴である。
そもそもが敵の暴走状態への対抗手段として、その状態を再現するという設計思想であることから、スペックの上昇と引き換えに一定時間を超えるとタイヤがバーストして暴走、敵味方の区別なく攻撃に及んでしまうという危険性を伴っている。そのため、片方のライダーがこの形態に変身する際には、もう片方がブレーキ役として、必殺技などで強制的に暴走を止める必要がある。
後に、マッハの方は自力で暴走状態の制御に成功しているが、ドライブの方はリスクの克服について最後まで明確な描写はない。もっとも、ドライブはこれとは別にさらなる強化形態が複数実装され、この形態に積極的に変身する理由がなくなったため、物語後半では実質的にマッハ専用の形態として運用されることとなる。
『仮面ライダーゴースト』
アランがメガウルオウダーとゴーストアイコンを使って変身する仮面ライダー。
頭部装甲「フリンジデコイリフレクター」には分身体を作り出す機能が、「サプレッションフード」には残像を発生させる機能があり、さらに体を液状化させ物理攻撃を無効にする能力も有しており、防御性能も非常に高い。眼魔コマンドやパーカーゴーストを操って支配する能力も持つ。
その高性能ぶりと引き換えにエネルギー消費は非常に激しく、エネルギーが切れるとクリアグリーンのライン「ベイパーベッセル」が黒へと変色し自動で変身が解除される。そのため眼魔の力を補充して維持しなければならなず、液状化能力に至ってはアバターを失い生身になってからは使用できなくなるなど、物語が進むにつれて様々に制約も生じている。
一方で、エネルギー切れについては、物語後半にてアランがフミ婆の死を乗り越え、精神的に成長したことにより解消されてもいる。
『仮面ライダーエグゼイド』
ガシャットギアデュアルβで変身する強化形態。
初変身当初は強大な戦闘能力をまざまざと示した反面、これまで使用していたライダーガシャットが最高レベル5だったことでレベル10倍という文字通り桁違いのパワーに圧倒され、一時的にファンタジーゲーマに意識を乗っ取られかかる一面もあった。
胸部を保護する鎧「ダークロードキュイラス」に搭載された、装着者への負担を前提にした戦闘能力強化システムのせいで、変身者への肉体的な負担も決して少なくないたね、戦闘が長引くと負担の蓄積によってまともに動けなくなる危険性を孕んでいる。作中でも、変身解除の直後に飛彩が胸を押さえて苦しむ様子も見られた。
ガシャットギアデュアルβは一時的に飛彩の手から離れていた時期もあり、後に彼の元に戻ってからは負担に苦しむ様子も見られなくなっていた。この間、同じく負担の大きいドラゴナイトハンターZガシャットを使用して実力を上げたものと解釈する向きもある。
ゲーマドライバーにデンジャラスゾンビガシャットをセットすることで、込められている「死のデータ」によって使用者に大ダメージを与える。実際にこの効果によってレーザーは犠牲となった。
『仮面ライダービルド』
ハザードトリガーを使用して変身する強化形態。従来の強化フォーム以上の強さを発揮し、さらに派生形態からも変身可能であるが故に、基本形以外にも複数の姿を持つという、些か変わり種とも言える形態でもある。
一方で、変身中は闘争本能を刺激し続けることで異常なまでの強さを引き出すため、長時間変身状態を維持することは暴走・・・というよりは余計な思考や感情の排除を引き起こし、単に対象の破壊や抹殺のみを優先する、一種の戦闘兵器と化す危険を伴っている。思考や感情を排除しているために、目に映る対象が本当に「敵」であるかを判別出来ないという点も、その危険度に拍車をかける格好となっている。
後に発明された強化アイテムにより、本形態をベースとしたより上位の強化形態への変身能力を得たことで一応の解決を見たものの、(慣れによって理性を保てる時間こそ伸びたとはいえ)本形態そのもののリスクの根本的な解消は最後まで果たされなかった。
スクラッシュドライバーとドラゴンスクラッシュゼリーを使用した仮面ライダークローズの強化形態。
基本形態であるクローズドラゴンより強い戦闘力を発揮するが、初変身の第17話で、万丈は変身時に強烈な苦痛にさらされていた。変身者の闘争本能を上昇させるためにアドレナリンを過剰分泌させるので体にも大きな負担があり、元格闘家で相当鍛えているであろう万丈でもたった数回の変身で戦兎に「もう限界」と言われるほど体がボロボロになっている。
スクラッシュドライバー性能として、ボトル・ゼリーの成分をフルに使える代償としてネビュラガスの影響をより強く受けてしまうというデメリットがあり、変身するとパンドラボックスの光を浴びた人間と同じように好戦的な気質を剥き出しにされ、変身を続けていくにつれ精神が汚染されてしまい、最終的には変身者諸共戦闘兵器へと変貌してしまうという極めて危険な代物。
第22話で暴走したビルドホークガトリングハザードフォームを止めるために戦っている最中、戦兎を助けたいという思いから遂に力をコントロールすることができるようになり、無事に暴走のリスクを克服することができた。
グリスブリザードナックルをビルドドライバーに装填して変身する強化形態。
装備されている「フロストラグルグローブ」や「フロストラグルシューズ」は、変身者の決死の覚悟に応えるように攻撃の威力が上昇する仕様となっている。
また、変身アイテムである「ノースブリザードフルボトル」は、ハザードレベルを一気に上げる働きを持つが、登場直前の第46話の時点で、変身者の一海は二度に亘る人体実験でネビュラガスを注入され、危険な状態にあった。このまま一海が変身すればハザードレベルが限界値を超え消滅してしまう恐れがあったため、事前に「ブリザードナックルは武器として使うように」と戦兎から忠告されていたのだが、結果的に変身してしまい、戦闘後に消滅するに至ってしまった。
『仮面ライダージオウ』
ゲイツリバイブライドウォッチで変身する強化形態。
攻撃力と防御力に特化したゲイツリバイブ剛烈、スピードに特化したゲイツリバイブ疾風の二形態を自在に使い分けて戦う。「時間を圧縮したり、引き伸ばしたりすることでパワーやスピードを上げている」ことから、本質的には圧倒的なパワー・スピードによるゴリ押しとも言えるスタイルでもある。
圧倒的な能力を引き出す一方で、その原理が原理なだけにゲイツ自身にもかなりの負担がかかっており、作中では1度戦闘するだけでに既にフラフラ、鼻や眼からは出血する症状が出ている。
もっとも、作中では特に言及されていないが、変身する度に慣れて克服しているようで、物語が進むに連れて前述した症状もあまり見られなくなっていった。
令和ライダー
『仮面ライダーゼロワン』
シャイニングホッパープログライズキーで変身する強化形態。
最大の特徴として、額に備わった演算処理装置「シャイニングアリスマテック」の働きにより、敵をラーニングすることでその行動を予測して約25000通りの対処パターンを算出、約0.01秒という速さで最適解を導き出すことができる。
変身者の潜在能力を強制的に引き出す能力も備わっているため(イズ曰く「力の前借り」とのことである)、必要に応じて敵を上回る戦力を発揮出来るが、その分戦闘後は強烈な負荷に見舞われてしまい、実際に戦闘後の或人は強烈な筋肉痛に襲われていた。
後にアサルトグリップとの併用で、より上位のフォームであるシャイニングアサルトホッパーへの変身が可能となり、上記したデメリットも事実上克服する格好となった。
アサルトウルフプログライズキーで変身する強化形態。
胸部中央の「オービタルバインダー」は、各種センサーからの情報を元に捜索から戦闘までの一連の動作効率を最大化する補助を行うが、一方で安全装置や生命維持装置などは一切廃されている。
そのため使用者への負担は極めて大きく、初変身後の不破は吐血し立つこともままならなかった。連続使用でのダメージが重なり「次変身したら死ぬ」と警告されてもなお使用を強行したため、見かねた唯阿が戦闘中に無理矢理キーを外して変身解除させる程だった。
しかし、こちらも変身を重ねていくにつれて徐々に慣れ始め、苦痛に苛まれることもなくなっていった・・・かに思われていたのだが、その慣れ(と、そもそもこの形態に変身できたこと)には、不破自身も知らないとあるカラクリが仕組まれていたことが後に判明する。
『仮面ライダーセイバー』
使用する聖剣と同系色のワンダーライドブック3冊で変身するワンダーコンボ形態。
剣士の持つ力を最大限に引き出すことができるとされるワンダーコンボであるが、その一方で剣士への負担も通常の3冊で変身した時以上であるため、使いこなすには相応の修練が必要になる。
初変身の際には、ソードオブロゴスの剣士ではない普通の小説家の飛羽真が、変身解除後フラフラになっていた程である。
やはり何度かの変身である程度慣れたのか、次第に疲労に見舞われる描写もなくなっていった。後に別の強化形態が登場した後も、飛行能力を持つという便利さからか複数回に亘って登場し、そこそこの戦績を残している。また、後に登場した完全上位互換版は上記した負担もなく使用できる。
『仮面ライダーリバイス』
デモンズドライバーとスパイダーバイスタンプで変身する仮面ライダー。
このドライバーは、悪魔を内部に幽閉し、システムの中枢としている。五十嵐三兄妹と異なり、悪魔獣と成る様な普通の悪魔しか持たず、かつ第1話の時点でその悪魔も既に倒されていたヒロミが変身できたのはこのためである。
意思が現れる時は、「オーインジェクター」にバイスタンプを押印した時に表示されるのと同じ紫色の目が浮かび上がる。幽閉されている悪魔は片言でしか喋れないが、装着者にとって危険な変身を促す貪欲かつ凶悪な人格である。
この事実が明るみに出たのは、ヒロミの身体の変調が深刻化して大分経ってからのことであり、加えて本来ヒロミとは別の人物のために作られた存在であるらしく、変身する度に使用者の命を食らうという危険すぎる代物であったことが判明した。
その後、幽閉されていた悪魔の脱走や、これに代わる人体強化エンジンの搭載などを経て、前述した危険性の解消のみならず量産化までも実現。さらにこれを応用し、ヒロミのデモンズも完全進化を遂げるに至った。
牛島光が特訓の成果として、4つのゲノミクスチェンジを連続で行った形態。この時はオルテカのデモンズが披露した「クワッドゲノミクス」を超えたバッタ、コンドル、スコーピオン、アノマロカリスバイスタンプの4重ゲノミクスを披露している。
オーバーデモンズは、ドライバーにベイルが入っていない都合上ゲノミクスチェンジの連続稼働時間が通常のデモンズの3分の1に抑えられていることに加えて、オルテカや五十嵐家と違い、変身者本人がギフの遺伝子を持たない常人であったりと非常に制約が多い中、光は対赤石のための猛特訓の末に、短時間ながらこれらの制約を克服してみせた。
一方で、デモンズドライバーにバイスタンプでの押印を重ねるにつれて、キャパシティーオーバーとなった安全装置が段階的に解除されるようにもなっている。そのため、最大出力を発揮する代償として変身者への負荷が激増するリスクが伴っており、また完成するまでに非常に時間が掛かるリスクもある。
作中でも、赤石が変身したギガデモスを追い詰めるなど、その実力をいかんなく発揮してみせたものの、その反動で光自身も多大なダメージを負い、戦線離脱を余儀なくされた。
『仮面ライダーギーツ』
ブーストレイズバックルに、飛来した4つのブーストバックルが合体して誕生したブーストマークⅡレイズバックルする強化形態。
強力だが、使用後の肉体への負荷が想定以上だったらしく、「英寿が人前で眠る」「変身解除後反動で倒れる」など、変身を重ねる度にその影響も徐々にひどくなってきている。これについて、ギーツのサポーターであるジーンは「極限のスピードに身体が慣れていない」と評している。 また、変身中でも眠気は襲って来るため長時間の変身は困難となっている。
サポーターが持つレーザーレイズライザーをセットすることで、より強力なレーザーブーストフォームに変身することも可能で、これによって前述のリスクも制御出来るようになった。
もっとも、ブーストフォームマークⅡの副作用そのものは克服できておらず、レーザーブーストフォームの登場後に、ブーストフォームマークⅡを使用する機会が度々あったものの、やはり上記のリスクが生じている。
ジャマトバックルを使用して変身する形態。
全能力がかつて愛用していたゾンビフォーム、および元となったジャマトライダーよりも高い破格のスペックを有する。
本来、人間用ではないジャマトバックルを無理に使っている悪影響で、使い手にも大きい反動が残り、一度変身しただけで解除後には歩くのがやっとという程に憔悴してしまう。
しかも、ジャマトバックルを使用している影響は、肉体がジャマト化するという形でも現れており、道長の場合たった一度変身した段階で、左腕が植物化(=ジャマト化)するという現象に見舞われた。
後に道長がジャマ神となり、さらなる力を手にしてからは変身しておらず、その際に腕の植物化も治まっている。Vシネではその後もジャマト因子は体内に残っていたことが明らかとなり、ベロバの横槍により究極のジャマトの覚醒に使われかける事態となったものの、道長の信念とそれに呼応した英寿の創世の力によりジャマト因子が完全に体外に排出されて新たな力へと姿を変え、道長の体内からジャマト因子は消滅した。
『仮面ライダーガッチャード』
「過去の宝太郎が錬金術で作り上げた、この世にたった一つの宝物」から錬成したガッチャーイグナイターを用いて変身した強化形態。
普通に戦う分には問題ないのだが、必殺技を連発するとガッチャーイグナイターがオーバーヒートをしてしまう。実際にオーバーヒートした際に宝太郎が「熱い!熱い!」と言っていたことからオーバーヒートしてしまった状態のまま変身し続けると身体中に熱による激痛が走る。劇中ではイグナイターをすぐに外しスーパーガッチャードになったせいか、やけどを負っている描写はない。
スチームライナーを再錬成したテンライナーを用いて変身した強化形態。
禁断とも称される古の錬金術を用い、人間とケミーとが完全融合することで実現した形態であり、耐久性に優れる上に後述のドレッドと同様に、フォームチェンジを伴わずに他のケミーの能力を攻撃に上乗せできるという利点を持つ。
一方で、2体のケミーの合成と調和で成り立っていたそれまでの各種形態とは異なり、ケミー1体のみと完全融合したアイアンガッチャードは、ある種マルガムに近い状態であるとも言える。そのため持久力の面で著しい難があり、さらに変身者に命に関わるレベルでの体力の消耗を強いる、というリスクも孕んでおり、一定の限界を超えると死亡する可能性もある。
そもそも、禁術を使用しなければならないアイアンガッチャードの力が必要になったのはグリオン陣営にスチームライナーを除く全てのケミーを奪われていたためであり、宝太郎が変身するにはアイアンガッチャードにならざるを得ないという状況に陥ってしまっていた。幸い致命傷に至る戦闘はなかったものの、変身を繰り返していたために普段は溌溂としている宝太郎の疲労がみるみるうちに蓄積してしまう結果となった。
後に、ホッパー1がクロスウィザードらレベルナンバー10の力を受けて進化したクロスホッパーと組み合わせて変身することでプラチナガッチャードが誕生、事実上の解決を見た。ただし、単体での克服はできていない。
九堂りんねがアルケミスドライバーで変身する仮面ライダー。
ウィザードマルガムの魔法の力に対抗するために誕生したライダーだが、変身および戦闘の際に高度な錬金術を使用するが故に、劇場版での初変身からしばらくの間は錬金術が使用不可能になるというデメリットが生じていた(劇場版の後の出来事に当たる、TVシリーズ第16話にてそのことが言及された)。
後に第19話にて、それまで自身を縛っていた「錬金術師としてのルール」ではなく「自分の決めたルール」に従うことを決意し、それによって再度の変身を可能とした。ただし消耗は変わらず激しいようで、力の充填用にアルケミスチャージャーという装置も開発されている。平時は自然回復とアルケミスチャージャーで事足りるが、強敵との連戦が続けばそれだけ力の消耗も大きくなり充填が追いつかず変身できなくなる場合がある。
後に登場する強化形態であるトワイライトマジェードはサンユニコーン以上の膨大な錬金術を消費する模様。
ドレッドライバーとレプリケミーカードを使用して変身する仮面ライダー。
レプリケミーカード使用を含めた通常の戦闘の範疇では、錆丸と違い変身しても特に体力が極端に消耗することもなかった。
・・・とはいえ、冥黒の三姉妹であっても負荷に耐えられる限界はあるらしく、クロトーが変身した際にレプリアントルーパーのレプリケミーカードを、一度に何枚もドレインし続けた際には、アトロポスやラケシスから警告を受けており、またクロトー自身も負荷に苦しみを見せていた。
また、三重錬成による強化形態のドレッド参式はそれだけ負荷も大きいためグリオンのような強力な存在でなければまともに維持できず、クロトーが変身した際は戦闘中に維持が困難になり遥かに格下の仮面ライダーヴァルバラドに敗北してしまっている。