概要
ICカードの電子マネー機能を公共交通機関の乗車券として利用するシステム。
日本ではシステム方式としてFeliCa方式が大半。FeliCaは日本より先に香港の「八達通」(オクトパスカード)で導入されている実績がある。日本における最初の交通系ICカードは2001年にJR東日本が導入したSuicaである。
基本的に、利用の際は事前に一定の金額を入金(チャージ)し、自動改札にタッチすることで列車に乗車できる。地方のローカル線を中心にICカードでの乗車ができない路線は少なくないが、JRではその場合も券売機で乗車券の購入や精算にICカードが利用できることがある。
上記にある様に電子マネー機能の一部を利用したシステムであり、コンビニや自販機などでの支払いに使える電子マネーとしての機能ももちろん備えている。
pixivにおいては、各社のICカードマスコットキャラクターを描いたものや、擬人化のネタなどに用いられている。
Litbi氏のICカード擬人化作品「IC's!」が最も有名である。
相互利用
各カードはそれぞれの会社間毎に通用区間等の制限があるが、日本では大半はソニーのFeliCa技術をベースとしているため、設定により相互に利用できるようにすることが可能である。
2004年にSuicaとICOCAの乗車券機能が相互利用可能となったのを皮切りに電子マネー機能も含めた相互利用化が進み、2013年3月23日にKitaca、Suica、PASMO、TOICA、manaca、ICOCA、PiTaPa、SUGOCA、nimoca、はやかけんの相互利用が開始された(PiTaPaの電子マネー機能を除く)。これら相互利用が可能なカードを10カード(IC10カード)と呼ぶ。
ただし日本においては10カード(後述)において日本鉄道技術協会のサイバネティクス協議会が開発し提唱するサイバネ規格(CJRC規格)が導入されているため、同じFeliCaでも規格違いにより設定ができず相互利用が事実上不可能な路線も多い。
サイバネ規格の利用には協議会への加入が必須であり、その会費などのランニングコスト(継続費用)が鉄道会社の運営を圧迫しやすく、また独自にICカードを導入した会社がサイバネ規格を導入する場合には現状としてシステム機器の総交換や大規模な書き換え等が必要となり、そのための改修費用も大きな負担となる。
ただし、ICカード乗車券自体「磁気カードの代替」として都市鉄道での利用を前提に開発された経緯があるため、その手のシステムと無縁だった地方路線への導入は当初想定していなかったことも留意する必要がある。
2024年5月には熊本県を走る熊本電気鉄道および熊本市電では収益の悪化及びICカードのシステム改修に多額な費用が掛かることから、2026年春までに全国相互利用サービスから離脱することを表明した。
これは2020年代以降は日本でもクレジットカードのタッチ決済を使った乗車システムが徐々に実用化されるようになり、熊本市電ではいち早くこれを導入していることも理由の一つである。ただし、熊本市電は交通系ICカードの利用比率が高く、反対のクレームが殺到していることから熊本市長は全国相互利用サービス離脱を一旦保留扱いすることを改めて発表した。
また、広島電鉄を中心として広島県の私鉄・バスが導入しているPASPYもシステム改修費用の半額以上を広電が出費し、経営を圧迫していることを理由に2025年3月いっぱいで廃止し、QRコードを活用したモビリーデイズを導入することを発表。ただし、アストラムラインとJRバス中国、広島交通などは広電に反旗を翻す形でICOCAへの完全移行を発表した。アストラムラインはクレジットカードやQRコードのタッチ決済はICカードより処理能力が半分以下に劣ると導入に否定的な見解を示している。
一方ICカード側もこの現状を把握しており、導入コストを大幅に削減し、独自のICカードとSuicaの機能を1枚のICカードに両存させた「地域連携ICカード」を2021年から導入を開始した。こちらはJR東日本管内の交通事業者で導入されている。
鉄道での利用
全国相互利用サービス対応(IC10カード)
プリペイド
- Kitaca(JR北海道)
- Suica(JR東日本・JRバス関東・JRバス東北)
- モノレールSuica(東京モノレール)
- りんかいSuica(東京臨海高速鉄道)
- Welcome Suica(JR東日本)
- 地域連携ICカード(Suica一体型の各地域の乗車カード)
- totra(関東自動車・JRバス関東【栃木県宇都宮・那須エリア限定】・宇都宮ライトレール)
- Iwate green pass(岩手県交通)
- IGUCA(岩手県北自動車・JRバス東北【岩手県一般路線バス限定】)
- Odeca(気仙沼線・大船渡線BRT)
- ハチカ(八戸市交通部・南部バス)
- AOPASS(青森市交通部)
- cherica(山交バス・庄内交通)
- nolbé(群馬バス、群馬中央バス、日本中央バス、日本中央交通、永井運輸、矢島タクシー、上信電鉄)
- Towada Skyblue Pass(十和田観光電鉄)
- Shuhoku Orange Pass(秋北バス)
- Akica(秋田中央交通)
- Mgoica(弘南バス)
- LOCOCA(新常磐交通)
- PASMO(首都圏の私鉄・路線バス事業者)
- PASMOパスポート(首都圏の私鉄・路線バス事業者)
- TOICA(JR東海)
- manaca(中京圏の私鉄)
- ICOCA(JR西日本・関西の私鉄・山陽バス)
- SUGOCA(JR九州)
- mono SUGOCA(北九州モノレール)
- nimoca(西日本鉄道・ジェイアール九州バス・昭和バスなど)
- はやかけん(福岡市交通局)
ポストペイ
- PiTaPa(関西の私鉄・路線バス事業者および西日本ジェイアールバス、静岡鉄道・両備グループ・下津井電鉄バス・中鉄バス)
- OSAKA PiTaPa(OsakaMetro)
- KIPS PiTaPa(近畿日本鉄道。KIPSポイント機能付き)
- STACIA PiTaPa(阪急阪神グループ)
全国相互利用不可
全国相互対応カードの使用が可能
下記カードを全国相互対応カードのエリアで利用することは基本的に不可能だが、エリアが隣接するカード間での相互利用は可能なものもある(例えばicscaはSuicaの仙台エリアにおいて相互利用できる)。
- SAPICA(札幌市交通局・ジェイ・アール北海道バス・札幌圏民間路線バス各社)
- PASPY(広島電鉄・中国JRバス等の広島県の路線バス・鉄軌道・船舶各社)※2025年3月末をもって利用終了予定
- icsca(仙台市交通局・宮城交通)
- EX-ICカード(東海道新幹線・山陽新幹線)
- りゅーと(新潟交通)
- ecomyca(富山地方鉄道)※相互利用は路面電車のみ
- LuLuCa(静岡鉄道)
- CI-CA(奈良交通・エヌシーバス)
- Hareca(両備グループ・下津井電鉄バス・宇野自動車)
- IruCa(ことでんグループ・小豆島オリーブバス・大川自動車・四国フェリー高松小豆島航路・高松市営レンタサイクル)※相互利用はことでん(鉄道)およびことでんバスのみ
- ICい~カード(伊予鉄道)※相互利用は路面電車と松山空港リムジンバスのみ。近郊電車と松山空港リムジンバス以外のバス路線は2025年春にICOCAを導入し、同年9月いっぱいで利用終了予定。
- エヌタスTカード(長崎バス)
- くまモンのIC CARD(熊本電鉄・熊本県の路線バス)
- OKICA(沖縄県の沖縄本島エリアの全ての鉄道および路線バス)※相互利用はゆいレールのみ
全国相互対応カードの使用は不可能
- RapiCa(ジェイアール九州バス、鹿児島県の路面電車・バス・軌道・船舶。いわさきICカードと相互利用可能【鹿児島商船・垂水フェリーを除く】)
- いわさきICカード(鹿児島県のバス・船舶。RapiCaと相互利用可能)
- ナイスパス(遠州鉄道)
- ICa(北陸鉄道)
- ですか(とさでん交通・県交北部交通・高知東部交通・高知西南交通・高知高陵交通・高知駅前観光・四万十交通【貸切・高速バスは除く】・ジェイアール四国バス大栃線・土佐市ドラゴンバス・いの町営バス伊野循環線)
- ayuca(アユカ)(岐阜バス)※2024年manaca導入、2026年をめどに廃止予定。
- NORUCA(福島交通)
運用終了
船での利用
全国相互ICカード対応
- 東京湾フェリー
- 宮島航路(JR西日本宮島フェリー・松大汽船) - PASPYも利用可能
PiTaPaが明記されていない
- 佐渡汽船【フェリー航路二等に限る】
- 小豆島航路(国際両備フェリー、四国フェリー)- 新岡山~土庄、高松~池田の2系統
- 福岡市営渡船
- 桜島フェリー - RapicaといわさきICカードも利用可能
全国相互対応カードの使用は不可能
- 石崎汽船 - ICい~カードが使用可能
- 小豆島航路(四国フェリー)- 高松~土庄航路のみIruCaが使用可能
海外の交通系ICカード
関連イラスト
関連タグ
日本のカードに描かれているキャラクター
モモンガ Suicaのペンギン ヒヨコ イコちゃん ことちゃん カエル フェレット
任天堂:2022年1月18日まで、Wii UやNew3DS(LL)・New2DSLLのeショップでも、全国相互利用サービス対応のカードを使用できた(PiTaPaを除く)。
エスコンフィールドHOKKAIDO:、球場内での飲食物・グッズの販売店など全店舗における商品の販売・取引は原則的に交通系ICカードを含む電子マネー、クレジットカードやデビットカード、QRコード決済など場内では全てキャッシュレス決済とし、現金での取り扱いは行われない。なお、最寄り駅から当球場までのシャトルバスは当初「現金払いorVISAカードタッチ決済」で、前記の決済は一切使えなかったが、23年7月下旬以降より交通系ICカード(前述の10カード)での乗車に対応している(→参考)。
仮面ライダー電王:「ライダーパス・ライダーチケット」という使い方が酷似したアイテムを使って変身する。