「ウルォーード!!」
基礎データ
図鑑番号 | No.888 |
---|---|
分類 | つわものポケモン |
タイプ | フェアリー(れきせんのゆうしゃ) / フェアリー / はがね(けんのおう) |
高さ | 2.8m |
重さ | 110.0kg(れきせんのゆうしゃ) / 355.0kg(けんのおう) |
特性 | ふとうのけん |
概要
初登場は『ポケモンソード・シールド』。
ガラル地方に存在する伝説のポケモンの1匹で、ソード版のパッケージを飾る。
古傷だらけのすらりとした身体を持つ青い狼の姿であり、黄金に輝く『剣』を咥え、騎士の鎧のような刃と、ツインテールのような首毛を生やしている神々しい出で立ち。
「盾」のような装甲を纏うザマゼンタとは対をなし、共に長い眠りについていたザマゼンタのライバルとも姉とも伝えられている。
人の王と力を合わせガラルを救った「伝説の英雄」と呼ばれる存在で、金属を取り込み武具に変化させて戦う力を有している。
咥えた剣の切れ味は凄まじく、あらゆるものを切り捨て、ドラゴンタイプのポケモンたちが持つ分厚い鱗も紙のように切り裂かれてしまうほど。
その斬撃は肉眼で捉えることが不可能なほどの速度を有し、疾風の如き速度で戦場を駆け抜け、その刃に討たれた者たちは、痛みも感じぬままに散っていくとされる。
そうして敵を倒す華麗な身のこなしは美しく、繰り出される攻撃は相対するものさえも魅了し、妖精の舞を見ているようとも比喩される。
この事から『妖精王の剣』の異名を持ち、味方はおろか敵からも崇められていたようだ。
特に剣を蒼く発光する大剣に変化させての斬撃は、ダイマックスポケモンの持つパワーに強い特効性を有し、海を真っ二つに切り裂くほどの破壊力だと云われている。
名前の由来は「The・シアン(色の一種)」から。
曰く「青いヤツに出会った」「蒼い騎士を見た」といった人間の目撃証言が言い伝えとなり,ザマゼンタ共々そのまま名前として定着していったらしい。
全身の色合いはザマゼンタと比べると淡いパステルカラー寄りの色調になっており、色違いは全身がよりはっきりしたシアン色に変化する。
鳴き声は「wolf(狼)」+「sword(剣)」を組み合わせたものと思われる。
フォルム
ザシアンは2種類の姿を持ち、普段の姿は「れきせんのゆうしゃ(歴戦の勇者)」というフォルムでフェアリー単タイプ。「くちたけん」の力により剣と鎧を装備した「けんのおう(剣の王)」となり、はがねタイプが追加される。
歴戦の勇者の姿は、首の毛(剣の王の際に逆立って鎧が付く部分)が下に垂れており、ツインテール状の首毛は三つ編みになっている他、左耳の半分が切れている。
ゲーム上での特徴
フォルム | H | A | B | C | D | S | T |
---|---|---|---|---|---|---|---|
歴戦の勇者 | 92 | 130→120(SV以降) | 115 | 80 | 115 | 138 | 670→660 |
剣の王 | 92 | 170→150(SV以降) | 115 | 80 | 115 | 148 | 720→700 |
上昇値 | 0 | 40 | 0 | 0 | 0 | 10 | 50 |
上述の設定から前作のルナアーラ同様メスであると思われるが、ゲームでは多くの伝説ポケモンの例に漏れず性別不明となっている。
第8世代
歴戦の勇者でも攻守共に優れた能力を持ち、このままでも十分強力。剣の王が苦手とするほのおタイプやじめんタイプのポケモンが増えて来たら此方の形態にするのも手だろう。
歴戦の勇者ではザマゼンタと全く同じ能力値であるが、くちたけんを装備してけんのおうになると攻撃と素早さが上昇してかなり攻撃的な配分となる。(因みに能力値上昇はゲンシカイキより低めだが、その分無駄が少ない)
攻撃170はブラックキュレムと同じ数値。加えて下記の特性で攻撃ランクが上昇するため、実質的な攻撃の種族値は最大281に達する。これはメガクチート(最大262)をも凌駕する(つるぎのまいを使う場合はこの限りではない)。
この状態から放つタイプ一致のじゃれつくは驚異。火力指数にして49410と1ターン目からデメリット無しで出せる火力としては最大級であり、生半可な耐久のポケモンなら軽く消し飛ぶ。
さらに素早さも148に上昇。フェアリータイプ・はがねタイプ共に最速のポケモンとなった。
禁止伝説の中でも抜きん出た高さであり、これを上回るのは禁伝ではデオキシスと黒バドレックスのみ、無振りでも伝説の大半が属する100族の特化まで抜くことが可能。
突出した攻撃に目がいきがちだが、何気に耐久面も優秀。
元のフェアリータイプにはがねタイプが加わり、弱点2、半減9、無効2となる。
HPはそこまで高くないが、防御特防も115と数値だけで見ればスイクンと同等ほどにあり、
無振りで大半の伝説を拔ける事と、他の高火力伝説の攻撃を耐えるため耐久振りされている事も多い。
ゲンシグラードンとは致命的に相性が悪いものの、剣盾ではゲンシカイキが廃止された為少なくとも現在の所は心配は無用だろう。
ただし、ゲンシカイキが無くてもグラードン相手はソーラーブレードを覚えていない限り基本的に不利。つるぎのまいを積まない限りはきょじゅうざんはもちろんじゃれつくもインファイトも大方確定2発に抑えられ、返しのだんがいのつるぎやじしんで落とされる、しかしダブルでは威力減衰が起きるため特化だんがいのつるぎでもH振りザシアンを落とす事ができない。
専用特性は「ふとうのけん」(不撓の剣)で、場に出た瞬間に自分の攻撃ランクを1段階上げる。
シンプルに強い効果であり、物理アタッカーの天敵いかくと相殺し合えるのが大きな利点。
ザマゼンタの特性とは不撓不屈(ふとうふくつ)で対となる。
専用技の「きょじゅうざん(巨獣斬)」は、けんのおうの姿の時「アイアンヘッド」から変化するはがねタイプの物理技。
威力100、命中100とはがね技の中でも最高峰の性能を誇り、
さらに対象がダイマックス状態のときはダメージが2倍になる追加効果がある。
これによりダイマックスしたポケモンを相手にするマックスレイドバトルでは無類の強さを誇り、
ムゲンダイナ共々レイドのお供として日々駆り出されている。ただし、PPが5しかないのが難点。
技ラインナップは鋼・フェアリー以外はホウオウやカイオーガ等に弱点をつけるワイルドボルト、格闘高火力技インファイト、3色キバ、かみくだく、サイコファング等十分な広さを持つ、何気にでんこうせっかも覚えるためスカーフで上をとっても油断はできない。
リーフブレード、ストーンエッジ等は覚えず地面・炎対策は使いにくいソーラーブレード・あなをほる位しかないのは最期の良心か。
上述の通りこおりのキバは覚えられるので複合次第ではじめんタイプに一応打点を持てるが、ほのおタイプにはどう頑張ってもマトモな技がないので素直に引いた方が良い。
これでほのお対策の技も覚えたらとんでもないバランスブレイカーと化したのは言うまでもないだろう(既に十分バランスブレイカーだという声も多いが)。
圧倒的な火力と素早さに高水準の防御、優秀なタイプと特性、習得技のラインナップと、どの点を取っても文句の付けようが無い凄まじいポケモン。
デメリットはダイマックスできないこと。これは本ポケモン独自の設定ならびに仕様によるもの。耐久は耐性も考慮すれば禁伝基準で見ても高めな方だがダイマックスで耐久が底上げできないため、「きょじゅうざん」を耐えられるポケモンにダイマックスされるとそのまま撃ち負けることもある。
また、持ち物がくちたけんに固定されることもネックだが、そもそも型のレパートリーが少ないザシアンにとっては大した弱点ではない。…が、どうしてもほかの道具を試したいのなら歴戦の勇者で使ってみるのも良いだろう(剣の王形態と違いこの形態なら選出してもバレない)。
その他、「積んで上から超火力で叩く」という戦術を極めた反動なのか、意外と搦め手への耐性が低め。アイテムが固定されるためにみがわり以外で対策できない状態異常を始め、襷カウンター、スカーフによる奇襲など、穴と言える部分はしっかり存在している。意外なところでは、かみくだくやほのおのキバを採用しない場合ヌケニンで詰む…なんてことも。
また物理一本のポケモンである以上おにびには弱く、行動阻害がある上素早さを落とされるでんじはも危険。イレギュラーだがこんらんも自身のあまりにも高い攻撃力でそのまま自分を殴ることになるためかなり怖い。
禁止伝説使用可能の対戦ルールでは、ザシアンへの対抗策として隠れ特性のメタモンが重宝されている。変身は使用した瞬間の相手の姿をコピーできるため、くちたけんを持っていなくてもけんのおうの姿になることが可能。
さらに能力変化をコピーできるため「ふとうのけん」による相手の攻撃ランク上昇にタダ乗りしつつ、メタモン側も「ふとうのけん」が発動しもう1段階攻撃が上昇することで、攻撃が2段階上昇かつ持ち物も持てるザシアンが誕生する。
ザシアン側もこれに対し、攻撃が2段階上昇のきょじゅうざんを耐えるように努力値を調整したり、みがわりを張ることで特性「かわりもの」を発動させないようにするという対抗策を講じている、またメタモン側も受け出しはできないため選出順番も重要である。
また、メタモン以外にはヌオーも対策として使用されている。こちらは特性てんねんによりふとうのけんの攻撃上昇を無効化してしまい、しかもザシアン側からの有効打がほとんど存在しない(抜群を突ける技がほぼソーラーブレードのみ、他はかみくだくで防御ダウンを祈るくらい)、がそれでも圧倒的な攻撃力を持っているため、削られていたり急所が出たりすると突破されてしまう事もままある、事実ヌオーを倒したポケモン1位がザシアンだった時期も。
高火力範囲技を持たないため制圧能力ではグラカイバドレックスに劣るが単体攻撃能力は最高峰なためダブルでも高い戦闘力を誇る。
総じて非常に強力なポケモンだが、何も考えずに使って勝てるようなポケモンというわけでもない。現実的な範疇で可能な対策も少なくないため、適当に扱うとあっさりと止められ、処理されてしまう危険性も大きい。ザシアン対策への対策や、ザシアンが止められてしまったり、ザシアンを選出したくない場合の別の勝ち筋の用意など、パーティメンバー全体の構築が重要になるという点は変わらないといえる。
その性能の高さから、シングル・ダブルの両ルールで伝説のポケモンとしては使用率トップに君臨している。シングルではシーズン開始当初から変わらず、ダブルでは例のかいていポケモンの下の2位についていたが、そちらは環境面での逆風が響いたためかついに使用率が逆転した。
そして剣盾初の世界大会、WCS2022にて全階級をザシアン入りパーティが制覇することとなった、マスターではGSルール常連のグラードンパーティを黒バドレックスと共に下している。
第9世代
かの暴れっぷりが見逃されているはずがなく、第9世代では
- 各形態でそれぞれ攻撃種族値が20も下げられる
- 特性の発動に1回までの回数制限が付く
- ダイマックスの廃止により、きょじゅうざんの威力が100に変更になった。
と大幅な弱体化を受けた。
また物理耐久に優れたてんねん持ちポケモンも増えている。
しかし優れた耐久や素早さはそのままで、すばやさ積みを兼ねた新攻撃技くさわけを習得。新システムテラスタルによる役割破壊も可能になったため、完全に弱体化・劣化したとも言い難く、解禁が期待・警戒されている。
外部出演
スマブラ
期間限定のコラボイベントにおいて、スピリッツボードにザマゼンタとセットのアタッカースピリット(無属性)として登場。階級は伝説に相応しい「LEGEND」級。
余談だが、パッケージデザインの伝説ポケモンが最高クラスのスピリットに設定されるのはホウオウ以来である。(マイナーチェンジも含めるならばギラティナ(超化)以来)。
対戦では、キルソード持ちのフォックスとバックシールド装備のウルフを相手に、終点化したテンガン山やりのはしらをステージに戦う。
特別なステージギミックは無い為、気軽に戦えると思えるが、攻撃力の高いウルフに加え、10000超えの強さもあるので、油断はせずに1体ずつ倒してクリアする事を薦める。
ポケモンGO
ザマゼンタ共々、企画「ウルトラアンロック」の第三弾として、2021年8月下旬より第7世代を通り越してのまさかの実装が決定し、プレイヤーを騒然とさせた(設定上はあるポケモンのイタズラにより呼び寄せられたとされている)。
勿論★5のレイドボスおよびGOバトルリーグの報酬限定で、こちらは2021年8月20日~8月26日までの間出現する。
なお、今回登場するのは「れきせんのゆうしゃ」の姿のみで、「けんのおう」の姿での実装は当面先になる模様。
れきせんのゆうしゃ
原作同様、すべてのステータスが高水準でまとまっており、非常に強力。
技は通常技が「でんこうせっか」「ほのおのキバ」「バークアウト」「メタルクロー」の4つ、ゲージ技が「じゃれつく」「インファイト」「アイアンヘッド」「ワイルドボルト」の4つと非常に多彩。
惜しむらくは通常技でタイプ一致技がないところか。
バトルで使用することを考えた場合、ゲージ回収効率に優れた「バークアウト」がおすすめ。ゲージ技は一致技の「じゃれつく」でまず確定。サブ技として相性補完として有用な「インファイト」を習得させておくのが良いだろう。
若しくは、通常・ゲージ技共にはがね技で固められるという点を活かして、疑似はがねタイプとして運用すると言う手もある。はがねタイプは強力なアタッカーが意外と少なめであるため、レイドバトルにおけるはがねポケモンのサポートアタッカーとしては申し分のない働きをしてくれるだろう。
けんのおう
2021年現在、図鑑にも記載がなく、そもそもデータそのものがまだ追加されていない可能性が高い。
本作ではポケモンにアイテムを持たせる仕様がない為、今後登場するとすれば別のポケモンという形か、アメや専用アイテムを消費してのフォルムチェンジになると思われる。
仮に原作を忠実に踏襲した性能になるとすれば、非常に強力なポケモンになることが予想されるため、そういった点からもファンからは早くも注目の対象となっている。
元ネタ考察
ガラル地方がイギリスをモデルにしていることや、「剣の王」「狼」というキーワードからアーサー王伝説にまつわる要素を複合してデザインされているとの考察が有力。
聖剣エクスカリバーを操るアーサー王がデザインの中心と思われ、ザマゼンタと比較して頭部の装飾がより王冠らしい意匠であることもこの説を補強している。
また、湖で眠りについていたこと、タイプがフェアリー(妖精)であること、女性であると仄めかされていることなどから、精霊王とも呼ばれアーサー王に聖剣エクスカリバーを授けた湖の貴婦人・ヴィヴィアン(エレインやニムエとも呼ばれる)もモチーフとして含まれている可能性が高い。
他にも、湖の貴婦人に育てられたことから湖の騎士の異名をとる剣士「ランスロット」(ザマゼンタのモチーフとされる白盾の騎士「ガラハッド」の父でもある)や、アーサー王伝説に影響を与えたケルト神話の英雄「クー・フーリン」(王の番犬の代わりを務めた逸話があり、その名は『クランの猛犬』を意味する)などが考察されている。
「狼」モチーフである理由については、前作(第7世代)タイトルがサン・ムーンであることからザマゼンタと併せて北欧神話に登場する双子の狼「スコルとハティ」(それぞれ日食・月食を引き起こすとされる)をモデルに採ったとする説や、先述のアーサー王が飼っていた狼「ゴルラゴン」ではないかとする説もある。
青い狼を象徴とする歴史上の偉人としてはモンゴル帝国のチンギス・ハンも挙げられ、人類史上最も広い面積を傘下に収めた強大な皇帝ではあるが、英国周辺までは支配が及んでおらず基本的には無関係ではないかとの声が優勢。
余談
これまで「自然物を切断武器にする」(カモネギ、ミジュマル系統など)、「体の一部に切断武器が付いている」(ジュカイン、コマタナ系統など)、「体自体が切断武器」(ヒトツキ系統、カミツルギ)など、剣や刃物をモチーフとするポケモンは多数登場したが、「兵器としての剣を武器に持って」登場したのはこのポケモンが初。
金属を武器に加工する力で以て行ったのが鋼の外殻や角の形成などではなく明らかに人間の使用する道具である剣の作成だった辺り、この姉弟は人間の営みに極めて近い場所にいたものと推測される。
同じく「剣を持った人間の戦士」がモチーフの伝説のポケモンである聖剣士たちが、ポケモンを護り人間を誅するポジションだったことを考えると面白い差異だと言える。
『剣を咥えて武器とする狼(犬)のキャラクター』は以外と存在し、灰色の大狼シフやアマテラス(大神)、ヘシアン・ロボ、ラピードなど、ピクシブに記事のあるキャラクターだけでもそれなりに挙がる。
Fateシリーズのセイバーとは「元ネタがアーサー王」「メインカラーが青」「女性」と言った点が共通しており、このためかニックネームに「セイバー」「アルトリア」と付けたプレイヤーもそれなりにいた模様。
関連タグ
禁止級・対になるポケモン
世代 | ポケモン | ポケモン |
---|---|---|
第2世代 | ルギア | ホウオウ |
第3世代 | カイオーガ | グラードン |
第4世代 | ディアルガ | パルキア |
第5世代 | レシラム | ゼクロム |
第6世代 | ゼルネアス | イベルタル |
第7世代 | ソルガレオ | ルナアーラ |
第8世代 | ザシアン | ザマゼンタ |
第9世代 | コライドン | ミライドン |