唯一王
ゆいいつおう
この記事を読む前に以下を理解し、冷やかしなどの目的でこの呼称を使うのは控えましょう。
- 「唯一王」と言う呼称はあくまでスラング、すなわち非公式。
- どのような意図で使われようと、ブースターが好きか興味ないかにかかわらず、この手のスラングを嫌う人はいる
- この記事はブースターがいかに不遇なのかの解説に重点を置いており、公式での扱われ方とは大きく異なる
もしかして→イム(ONEPIECE):存在が厳重に秘匿されている世界の王達の頂点。作中で唯一王とされている。
概要
『ポケットモンスター』シリーズの初代から登場し、人気カテゴリのブイズの一角たるブースター。「唯一王」とのアダ名がついた原因はありえないレベルの不遇さにあり、不遇ポケモンは数あれどブースターの不遇ぶりは常軌を逸していたほど。今でこそ不遇から卒業しているが(ただしこれに関しても様々な意見があり、不遇ポケモン扱いされることは依然として多い)、それまでの道のりはとても険しかった。卒業してもまだ課題は多々あるが。
その向かい風は初代『赤・緑・青・ピカチュウ』から既に始まっていた。世代ごとの強化策も焼け石に水、ライバルは増えるばかり、もはや競争にもならない。本項ではブースターが辿ってきた、その唯一王としての軌跡をふりかえる。
予備知識
炎ポケモンや炎技全体の特性・仕様についてはほのおタイプを参照。
- 世代ごとのハードとタイトル
世代 | ハード | タイトル |
---|---|---|
第1世代 | ゲームボーイ | 赤・緑・青・ピカチュウ |
第2世代 | ゲームボーイカラー | 金・銀・クリスタル |
第3世代 | ゲームボーイアドバンス | ルビー・サファイア・エメラルド |
〃 | 〃 | ファイアレッド・リーフグリーン |
第4世代 | ニンテンドーDS | ダイヤモンド・パール・プラチナ |
〃 | 〃 | ハートゴールド・ソウルシルバー |
第5世代 | ニンテンドーDS | ブラック・ホワイト |
〃 | 〃 | ブラック2・ホワイト2 |
第6世代 | ニンテンドー3DS | X・Y |
〃 | 〃 | オメガルビー・アルファサファイア |
第7世代 | ニンテンドー3DS | サン・ムーン |
〃 | 〃 | ウルトラサン・ウルトラムーン |
第8世代 | ニンテンドーSWITCH | ソード・シールド |
- 各世代の大まかな仕様変更
・第1世代の「とくしゅ」→第2世代の「とくこう・とくぼう」
・第2世代にて「はがね(鋼)タイプ」追加
・第3世代にて「とくせい」および「ダブルバトル」追加
・第3世代の「物理と特殊はタイプで判定」→第4世代で「技ごとに判定」
- ブースターの種族値(いわゆる能力値)
第1世代
HP | 65 | 攻撃 | 130 | 防御 | 60 | 特殊 | 110 | 素早さ | 65 |
---|
第2世代以降
HP | 65 | 攻撃 | 130 | 防御 | 60 | 特攻 | 95 | 特防 | 110 | 素早さ | 65 |
---|
- その他
・ポケモンと使う技が一致していると威力1.5倍
・物理技のダメージ判定には「攻撃・防御」を、特殊技なら「特攻・特防」の数値を使う
・「ほのお技」を「炎技」など、ここでは読みやすさのため漢字表記を優先
第1世代
当時の炎ポケモンは"氷耐性がなかった"。なので、この時代では優れた威力と命中率に加え、相手を高確率で状態異常「こおり」に変える、覚えられるモンスターは間違いなく取得している強力な技『ふぶき』でごり押しされていた。
また、第1世代のポケモンの中でも最高クラスの物理攻撃力にもかかわらず、物理技のレパートリーは乏しかった。それを活かせる技はノーマル技のほか、『ピカチュウ』で追加された「スモッグ」のみ。
タイプ一致で威力1.5倍となる炎技は全て特殊扱いだが、そちらの種族値は110もあり、火力が乏しいわけでは無かった。
当時はほのおのうずの仕様が「先制できる限りずっと自分のターン」という壊れ技で、ブースターも使うことができた。
しかし、素早さ種族値65では先手を取れるポケモンは限られており、同じ使い手としてはキュウコンやリザードンの方がずっと扱いやすかった。
氷ポケモンは炎技が弱点(威力2倍)で、それは今も変わらないのだが、第1世代でその法則が当てはまるのはルージュラとフリーザーのみ。
他は全て水タイプとの混合であり炎は等倍。さらに水技で返り討ちにされたことから、炎タイプの肩身は狭かった。鈍足で「ほのおのうず」が活かしにくいブースターは、その中でもかなり不遇であった。
同期のブイズ進化系と比べてみても、前述通り壊れ技の「ふぶき」が使えるシャワーズ、公式大会で驚異の使用率を誇ったサンダースには既にこの時点で圧倒的大差を付けられていた。ほのおタイプが不遇な環境でもブースターが唯一王と言われていたのはこの同期の2匹がブイズの優等生として初代から君臨していたことによる相対評価という面が大きい。
おまけにとある攻略本の『間違いだらけのポケモン選び』では、『避けたほうがいい炎属性の進化。炎ポケモンマニアでもない限りはこんな苦行じみた進化はさせるべきではないだろう。』と書かれる始末だった。
第2世代
鋼タイプや天気技「にほんばれ」の登場などもあり、炎の相対的な強化が行われたこの時代。「特殊」が「特攻・特防」に分かれたのだが、ブースターの特攻は15低くなり、炎技の威力が大幅ダウン。
そこそこ高威力なノーマル物理技「おんがえし」、初代で隆盛を誇ったエスパータイプを狩るゴースト物理技「シャドーボール(※)」を得たが、タイプ不一致であるため決定打の無さは変わらず。
そもそもこの時期はエスパーの弱体化で使用率は減ったので、シャドーボールは大してありがたくない。「のろい」で攻撃力を上げても、水タイプが出てきたらそこで終了。
※第2世代当時はタイプの性質上シャドーボールは物理技なので、現在の仕様と混同しないように。
ただ、当時シャドーボールを覚えるポケモンは特攻寄りのステータスばかりだった為、攻撃の高いブースターは当時最もシャドーボールを使いこなしていたポケモンだった。今にして思えば、ブースターの最も輝いていた時期だったのは言うまでもない…
第3世代
ジュペッタの登場により、シャドーボールの使い手No.1の座を追われることになる。
強ポケとして名高いメタグロスにはタイプ上有利だが、ここでも素早さ種族値“5の差”が仇となり、素早さを強化しなければ地面技「じしん」で返り討ちにされるケースが多かった。
一方、『ファイアレッド・リーフグリーン』の攻略においては、物理扱いのシャドーボールでキクコのゴーストやゲンガーに突っ張れるので使えなくはない。
この世代からは、新たに『とくせい』というものが追加された。
が、ブースターが得た特性は「炎技を受けると自身の炎技の威力が高まる」という『もらいび』。シャワーズとサンダースに合わせたのだろうか?
この時期はまだ炎タイプの需要が少なく、そもそも特攻依存である炎技の威力が上がった所で、攻撃の高さが売りのブースターにはあまり関係なく、活かす機会はほぼ無かった。
さらにダブルバトルという新ルールができたが、ブースターの弱点属性で高威力、しかも使用者以外全てが攻撃対象の物理技『じしん』が幅を利かせていたこの時代、防御の低いブースターが活躍していたという話はあまり聞かない……
第4世代(ダイヤモンド・パール)
物理・特殊の分類が技毎になり、同じ炎技でも物理扱いの場合も出てきた。
技のバリエーションが狭かった炎タイプだったが
- 120という高威力な物理炎技「フレアドライブ」の追加
- 相手をやけどにする「おにび」が技マシン化
- 炎ポケモンの最終進化系は軒並み「ソーラービーム」を習得
さらに前作でオーバーヒートを使えなかったエンテイやブーバー(ブーバーン)も使えるようになり、初代での不遇振りなどどこ吹く風といわんばかりのテコ入れが行われた。
ではそんな時代のブースターはというと・・・
覚える技の問題
まず第一に、ブースターはフレアドライブを覚えない。結果、タイプ一致な物理技は、威力65の「ほのおのキバ」のみという涙目な状況に陥る。
高い攻撃種族値が売りなのに、その威力は進化前であるイーブイ+特性「てきおうりょく」+最高威力「おんがえし」にも大きく劣っている。実はリーフィアのリーフブレードもこれに劣るが、それでも1%あるかないかの僅差。
さらに、決定打の一つであったシャドーボールが特殊依存となってしまった。特攻がそんなに高くないブースターにとって、実質これは没収同然の仕打ち。
ちなみにブースターがフレアドライブを貰えなかった理由は恐らくメタ的な事情が関わっている。
まず、初代ブイズであるサンダース、シャワーズ、ブースターは覚える技が連動している特徴がある、例えばレベル50ではサンダースはかみなり、ブースターはだいもんじ、シャワーズはハイドロポンプのような形、しかしレベル30では三色牙が与えられるのだが、こおりのキバの初登場が第四世代のDPtであることから代用としてシャワーズはオーロラビームを与えられている
このように基本的にほのお、でんき、みず(こおり)で似たような技を与えられる法則があるのだ。
では仮にブースターにフレアドライブをあたえるとどうなるか、当然他の二匹にもタイプ固有の反動技かその代用を与える事となる。
それに該当する技がないのならば何も問題はなかったのだ、シャワーズのオーロラビームのように違う技を与えれば良い、最悪新しくでっちあげてしまえばいい。
しかし該当する技が存在してしまった事が話をややこしくした。
「威力120」「命中100」「PP15」「与えたダメージの10%(BWからは1/3)の反動を受け」「10%でタイプ準拠の状態異常」………
そう、ポケモン界の超大御所の一族の専用技とタイプ以外完全に一致してしまっていた…
ポケモン世界の大重鎮の特権を(当時の優先順位的に)たかがブイズの法則のためだけに奪う訳にはいかなかったのだ。
…という噂である。あくまで噂である。
また、おなじくフレアドライブを覚えないポケモンとしてエンテイもネタにされていたが、それについては後ほど。
第二に、多くの炎ポケモンはソーラービームを覚えられるようになったのに、ブースターは覚えない。これは炎ポケモン最終進化系ではブースターのみ。
そのくせ、ファッキン鳥野郎や唯一神と共に、「あまごい」が覚えられるという謎仕様。これはブイズ共通の仕様だが、ブースターに求められているのはそういうことではない。ここで「かみなり」が覚えられれば天敵の水タイプに対抗できるが、そんなことはなかった。
その他の問題
このころ、素早さの低い(鈍足)ポケモンから早く行動できる新技「トリックルーム」が実装された。鈍足なブースターとは相性がいいように思えるが、素早さ65というのは意外と微妙な数値だったりする。
仮にトリックルームを成功させたとしても、致命的に技のレパートリーが無い。また、より鈍足で強力な技をガンガン使えるバクーダやコータスという適役がいるため、ブースターにお呼びはかからない。
これなら攻撃を捨てて特攻依存で育てたほうがマシであるが、特攻の種族値95も微妙な値で、同期のウインディに5負けている。
さらにはブーバーがブーバーンに進化して高火力の特攻を手に入れたうえ多くの技を覚えるようになり、ここにも立場はない。
…どうしろと?
第4世代(プラチナ・HGSS)
『プラチナ』にてイーブイ進化系には新技が追加。遂にフレアドライブを覚える日が来たか?と思いきや「ふんえん」であった。火炎放射より威力が低く、よりによって特殊依存。一応3割の確率で火傷という状態異常にできるが、正直微妙としかいえない追加技であった。ただし物理サブウェポンの「ばかぢから」で待遇はやや改善されたとの見解もある。
などなど、何かと悲惨な目で見られがちだが、特殊耐久型としてはそこそこ優秀な部類だったりする。
せっかくの高い攻撃力を活かせないのが悲しいものの、恐らくそれが現状としては一番強いかもしれない。微妙視されてる「ふんえん」についても、耐久型なら攻撃と状態異常のばら撒きが同時にできて、技スペースが一つ空けられるのは悪くなかった。
第5世代
第4世代と技構成は大して変わらず。新たに追加されたタマゴ技も補助技ばかり。
使うごとに一段階ずつ素早さが上がる「ニトロチャージ」なる炎物理技が登場するも、威力50なので決定打になり得ず、ブースターの素早さでは特化しても一回撃った程度では130族を抜けない。
ちなみに素早さ一段階アップで130族を抜ける最低種族値ラインは70。たった5の差が哀愁を誘う。
(とはいえ、最速であれば所謂素早さ100族やガブリアス(素早さ種族値102)くらいなら抜ける)
だが、これだけならまだよい。ついに最悪の事態が起きてしまう。
手ごわすぎるライバル
新ポケモン・ヒヒダルマ。ブースターを超える攻撃種族値140、素早さやHPも上回り、フレアドライブも覚えるというスペックであり、炎タイプ最強の攻撃力というアイデンティティを奪われてしまった。
耐久力と合計種族値はブースターの方が勝っているが、先に書いた通り素早さの点でほぼ先手を取れるうえに反動もそこまで怖くはない。フレアドライブの使い手として必要な能力が全てそろっている。
非常に脆いという点も、ひたすら殴る戦法上特に懸念することではない。むしろ無駄がない種族値と見る人もいる。
炎技以外の習得技も、ストーンエッジ、じしん、とんぼがえり、と中々のもの。レベルアップに限定してもアームハンマーに加え、なんとブースターの数少ない取柄だった「ばかぢから」まで覚えてしまう器用っぷり。
まさにブースターが夢見ていた種族値や技のレパートリーを現代版アレンジしたようなスペックをヒヒダルマは有していたのだ。
さらには特性の「ちからずく」がかなり強力で、「ほのおのパンチ」ですら威力147になり、フレアドライブに至っては威力234という不一致「だいばくはつ」級の威力になる。これによりヒヒダルマは炎物理アタッカー担当としてのブースターの立場を完全に抹消してしまった(ただしある程度耐久のあるブースターと本当に役割が被っていたのかは人によって解釈が別れるところである)。
その他にも、素早さこそブースターと同じなものの、ラグラージ以上のHPを誇り、ゴウカザルと同等かそれ以上の技のデパートと言われるエンブオーの存在も痛い所。
特攻に関してもブーバーン以上の火力を持つシャンデラやウルガモスと言ったポケモンが続々登場しており、ますますブースターの立場が抹消されている。
さらにさらに、ウインディが格闘物理技インファイトと電気物理技ワイルドボルトを、バシャーモが威力を130にパワーアップさせたとびひざげりを新たに習得してしまった事、そしてもっと涙目なのはブースターがばかぢからを覚えなくなった事である。
新作で強化されるどころか、他の炎タイプ達にどんどん差を付けられていくばかりである。
新たな道具と夢特性
また、今作では「しんかのきせき」という道具が登場。
これは進化前のポケモンに持たせると防御・特防が1.5倍になるという優れもので、
この道具によりポリゴン2やらサマヨールやら進化前のポケモン達が猛威をふるっている。
この時点でもうお気付きかもしれない。そう、そのまさかである。
実は進化前のイーブイがしんかのきせきを持つとブースターの特防とほぼ並んでしまう。
ダメージ計算だとその差は僅か1~2%。当然防御の方は圧勝。
あくまで数値上で半ばネタとはいえ、攻撃に次いで取り柄だった特殊耐久面でも立場が危うくなってしまった。
そうでなくても特防110はともかくHPが65しかなく、同じ型ではウインディと殆ど変らないのが現状。
実数値ではブースターの勝ちなのだが、ウインディは前述したようにあさのひざしが使えるので明らかに使いやすい。
さらに第5世代にはPGLで夢の中で出会ったポケモンをゲーム本編に持ってくることができ、
その夢の中で出会ったポケモンは通常とは違う特性(いわゆる夢特性)を持っている。
この夢特性により、他のブイズであるシャワーズは「うるおいボディ」(天気が雨のとき状態異常が治る)、
グレイシアは「アイスボディ」(天気があられのとき体力を微回復する)という中々強い特性が与えられた。
では、ブースターに与えられた夢特性はというと…
「こんじょう」
こんじょうは状態異常になれば攻撃が1.5倍になるという特性で、一見すると攻撃力の高いブースターと相性がよさそうに見えるが、正直ただでさえ鈍足で物理耐久のないブースターに状態異常のリスクが加わるのを考えればかなり使い勝手は悪い。せめてもうちょっと素早さがあるか、防御面が硬ければ実用的だったのだが…
さらに自身がほのおタイプである都合上やけど出来ないため、他のこんじょう持ちと違いかえんだまが使えず、
どくどくだまを選ぶしかないのも地味に辛い(今回の状態異常玉はサブウェイの景品でしか入手できないのでそっちでも手間がかかる)。
そしてもっと酷いのはこんじょう持ちは第5世代限定の特性なので、旧作技のばかぢからとの併用は不可能な事。
一応、どくどく+こんじょう+からげんきで攻めるコンボはありだが、
それならタイプ一致で出来るリングマやオオスバメでやった方が効率が良いという始末である。
そもそも「こんじょう」込みの火力ですらヒヒダルマに勝てない。哀れ。
後輩?
だが、そんな唯一王に新たな親友が登場した。
それは新・唯一王ことクイタランである。
クイタランはほのおタイプであるという点、鈍足・低耐久であるという点でブースターと共通である。他にも「オーバーヒート」や「ニトロチャージ」などを覚えられず主力技不足で高い攻撃・特攻種族値を活かしきれない、などブースターとクイタランには何かと共通点が目立つ。そしてクイタランの図鑑番号『631』をそのまんま逆さにすると、ブースターの図鑑番号『136』になる。…狙っているのかゲーフリ?
しかしそんなブースターもまだ見放されていなかった。BW2で満を持して教え技が復活、これにより再びばかぢからを覚えられるようになった。夢特性のこんじょうと合わせるとやや活躍できる可能性がある。
…こらそこ「レントラーでやったほうがいい」とか言わない。
散々配分が悪いといわれているブースターの種族値だが、実は特防と素早さの数値を入れ替えるとこの世代で登場したあのコジョンドの完全上位互換だったりする。
もちろんあちらはタイプや技、特性がそろってるが故の使用率の高さであるが、配分の重要さを思い知らされる。
結論
彼が不遇と呼ばれる原因は、低物理耐久・鈍足という種族値バランスの悪さと、攻撃技の貧相さが相乗効果を生み出したのだと見て差し支えない。
実のところ、ヘルガーやファイヤーなどフレアドライブを覚えられないほのおタイプは結構いる。
だが、彼(彼女)らのステータスは特攻>攻撃。ヘルガーに至っては複合属性のおかげで、高威力の物理先制技ふいうちがタイプ一致で使えるので、両刀としても生かせる。
ホウオウも覚えないのだが、フレアドライブの代わりに威力100の固有物理技のせいなるほのおがあるので問題はない(ついでにブレイブバードも覚える)。
現在のところ、攻撃種族値130以上で威力80以上のタイプ一致物理技が使えないのはこのポケモンのみである。
さらに、攻撃>特攻のステータスを持つほのおタイプで威力100以上のタイプ一致物理技を覚えないのもこのポケモンのみである。
まさに唯一王……
現実問題、ブースターが問題なのは、物理耐久力が低く、素早さも半端、且つメジャーなタイプにも弱いという点である。
合計種族値は高いところにありながら、ブースター以下の素早さと物理耐久を併せ持つ最終進化系はパッチール、コロトック、アゲハント等、本当に数えるほどしか存在しない。
HPと素早さが高めなエンテイ様と違い、HPが低くて素早さも無いブースターにとって、
攻撃後に反動を受けてしまうフレアドライブは相性が悪く、仮に覚えたとしても正直使い難いという始末。
あっても一発食らって耐えてドライブして反動で死ぬ。
まぁ火力だけはそこそこだが多分特性や素早さの関係上炎の御三家でやったほうが強い。
特にバシャーモの存在はかなり大きく、ブースターができる芸当のほとんどが出来てしまう。
せっかくのばかぢからもタイプ一致で撃てるバシャーモの方が効率がいいという事実。
素早さも鈍足なブースターと違い、特化してこだわりスカーフを持たせれば130族を抜かせる位の数値はある。
さらにバシャーモはブラックホワイトの夢特性に「かそく」が追加されたため、欠点だった鈍足すら克服してしまった。そもそもBWで「とびひざげり」の強化が施された為、バシャーモには「ばかぢから」さえ不要になってしまった。
現状、仮に強化されてもバシャーモの劣化になる可能性が高いという悲しい未来が待っている。
故に、どちらかというと炎タイプの物理の先制技や、使い勝手のよい固有技が欲しい今日この頃。
…とここまでが第1~第5世代の話である。
第6世代以降では…
そんなこんなで酷い待遇を受け続けていたブースターであったがXYで遂にフレアドライブを習得できるようになった。
今まで散々ネタにしていた者たちへの逆襲と復讐が今、始まる…かと思われたが、上記のとおり現実問題としてHPと素早さは依然低めなので、フレアドライブの反動ダメージの克服またはサポートをしっかり行わなければならない。それなら極論他のポケモンでいいというのも結局変わらず。
せめて、ブレイズキックを覚えればまだよかったのかもしれない。ブイズだけに。
第8世代で新要素としてダイマックスが導入されたが、ブースターの場合、ダイマックスできれば上記のフレアドライブを反動ダメージ無しのダイバーンとして繰り出すことができるようになることに加え、耐久性の低さもダイマックスするとHPが一時的に底上げされる(最大2倍)こともあって、ある程度自身の欠点を底上げしつつ、持ち前の物理火力の高さを存分に生かして戦うことができるようになった。
一方で、素早さの低さは相変わらずなので、このあたりをどうケアするかは相変わらず大きな課題となっている他、エースバーン、ウインディ、ガオガエン、ヒヒダルマ等、ほのおタイプ自体がかなりの激戦区な為、依然としてブースターに割ける枠が無いのが現状である。
その結果、ポケモンホームの集計によると鎧の孤島解禁前まで使用率は常にブイズ最下位というあまりに悲惨な結果となってしまった。鎧の孤島以降はランクインすらしていない為、使用率は不明。ちなみに使用率1位はアシレーヌ解禁前はニンフィア、それ以降はブラッキーとなっている。
ポケモン人気投票企画ポケモン・オブ・ザ・イヤーでは、他のブイズ全員、地方ランキング30位以内にランクインしているにもかかわらず、ブースターのみランクインしていない。悲しい…
なお上記のクイタランは、第7世代で「ほのおのムチ」を習得したことで不遇脱出を果たした。
第8世代では強力なライバルとなるマルヤクデが登場したことで評価が戻ってしまった部分はあるが、差別化自体は可能。
第9世代
まだまだ課題が残っているにもかかわらず、「ばかぢから」「マジカルフレイム」「アイアンテール」を覚えられなくなり、物理技のサブウェポンはノーマル技と「かみつく」、「くさわけ」、「あなをほる」のみとなった。特にばかぢからに至っては2度目の没収である。
しかしながら今作はタイプ変更が可能なテラスタルがあるため、かくとうタイプに変化した「テラバースト」はばかぢからのデバフを打ち消しつつ同等の威力を放てるため策がなくなったわけではない。
又、くさわけは威力こそ低めだが確実に素早さを上げられるので、素早さ面ではむしろ強化されている。
よってプラマイゼロの調整と言えるか。
なお、フレアドライブはリストラされなかった。良かった…
総評
ぶっちゃけると「フレアドライブさえもらえれば前線で使える」とは散々言われていたが、「実際貰ったところで言うほど強くない」という意見も同じくらい聞かれており、強化を遂げて不遇は脱したと同時に、後者が事実だったと証明されたとも言える。
使えなくもないのだがただでさえ脆いのに自傷して、しかも鈍足となるとどうしても使用感は悪くなってしまう。何よりこだわりがないのなら、ほのおタイプの物理アタッカーがブースターでなければならない理由はない。
結果として「フレアドライブが貰えたらと言っていた時代が一番ブースターが輝いていた」と評されることもあるなど、今なおブイズ・ほのおポケモン最弱の地位を欲しいままにしている。
「ブイズパをガチで使うならほのおタイプは相性補完として必須」という評価もあり、それは確かに事実なのだが、そちらではばかぢからも同じくらい重要視されており、フレアドライブだけでは惜しいと共に、もし仮に今後新たなブイズが登場すれば、性能次第であっさりその役を奪われてしまう可能性はある。
それでも愛用する人はともかく、相当なテコ入れを貰わないと現況を脱することは出来ないだろう…
余談だが、レジェンドから追加された連れ歩き機能だが、SVではほのおタイプの運命か、ブイズでは唯一泳ぐことができない。
余談
2023年WBCの中国代表には「王 唯一(ワン ウェイイ)」という名前の投手がおり、彼の後に継投として「孫 海竜(スン ハイロン)」という選手が続いたため、ポケモンファンの間で「ブースターからカイリューに交替した」と話題になった。
王唯一選手はポケモンでいえば例の二刀流をはじめ600族だらけのガチパ編成だった侍ジャパン相手に何度もピンチになるも2失点で抑え、続く孫海竜選手も2イニングを無失点と好投してマルチスケイルカイリューさながらの活躍を見せた。一時は逆転する可能性すら見せた粘り強さもあり、試合後インタビューでは大谷も「素晴らしい試合だった。中盤は勝敗が分からなかった」と彼らの活躍を称えた。
なお、偶然にもブースターのカラーは中国代表のユニフォームカラーと同じ赤と黄の配色である。