概要
詳細は『城塞』の記事を参照。
城塞都市を舞台とする物語は史実・創作ともに多数存在する。
なお『城砦都市』の表記はあまり一般的ではなく、タグ検索では部分一致で『城砦都市カーレ』のみがヒットする。
pixivでは『城塞都市(都市名)』のタグが使用されることが多いが、その多くが『御城プロジェクト:RE』の城娘を描いた作品に付与されている。
城塞都市リルガミン(Llylgamyn)
シナリオ#2『ダイヤモンドの騎士』、シナリオ#3『リルガミンの遺産』、シナリオ#5『災禍の中心』、および外伝I『女王の受難』の舞台である。
シナリオ#1『狂王の試練場』、シナリオ#4『ワードナの逆襲』についてはリルガミンを舞台とする解釈と、リルガミンとは別個に存在するトレボー城塞を舞台とする解釈(いわゆるウィザードリィ二都説)がある。
外伝Ⅲ『闇の聖典』作中には、舞台である城砦都市ダリアが「壊滅したリルガミン」であることを示唆する描写があり、外伝Ⅳ『胎魔の鼓動』ではほぼ確定事項となった。
逆に『ウィザードリィ エンパイア』シリーズの舞台であるカシナート帝国は、後の世でリルガミンと呼ばれることが仄めかされている。
また、リルガミン以外の土地が舞台とされている作品においても、アルマールやガイネス、ドゥーハンといった「冒険の拠点となる街」の(ゲームシステム上の)性質は、リルガミンと似通ったものになっている。
二都説
リルガミンという地名が設定されたのは#2が最初。
今日では「#1から#5までの物語はすべてリルガミンが舞台」であるとの解釈がさもオフィシャルのように扱われがちだが、一方で「#2、#3、#5の舞台はリルガミンで、#1と#4の舞台(トレボー城塞)は別の都市」であるとする解釈、いわゆる二都説も広く支持されてきた。
根拠としては、「#1と#2は(冒険者のデータを転送できることから)同時代の物語、#3は#2の百年後で#4は#1の百年後、#4における地上の描写は#3とは(同じ時代の同じ都市だとすれば)矛盾する」「ワードナの地下迷宮が地上の街の真下に存在する(#4)のに対し、ダバルプスの呪い穴は倒壊した王城の跡地に出現した(#2)。二つのダンジョンがぶつからないのは、二つの都市が一定の距離を置いて別個に存在する証拠」等が挙げられている。
特にこの説を支持している(提唱した?)のが他でもない、日本に『ウィザードリィ』シリーズを浸透させた立役者の一人であるベニー松山その人である。
そのため、ドラマCD『ハースニール異聞』や小説『風よ。龍に届いているか』などの作品は二都説が前提となっている。
一方で、#1から#5までの各タイトルが新機種に移植される際には、ゲームシステムが大幅に変化した#6・#7・#8や外伝シリーズと区別する意味も含め、地名として明言されている「リルガミン」がシリーズを象徴する語句として使用される例が多い。
- 『リルガミンサーガ』#1、#2、#3、ボーナスダンジョン(サターン版限定)を収録
- 『ストーリーオブリルガミン』FC版準拠のⅠ、Ⅱ、Ⅲを収録
- 『ニューエイジオブリルガミン』#4クラシック版、#4アレンジ版、#5を収録
これらは#1と#4を含めリルガミンを舞台とするため、歴史年表に修正を加えるなどして辻褄を合わせている。
小説版『アラビクとマルグダの物語』(後述)では、ダバルプスとアラビクの決戦を#1から60年前とし、トレボーの治世も含め杖は失われたままだったとしている。
そもそも#4の位置づけはかなり特殊であり、設定の整合性を求めること自体が無意味であるとする意見もある。
提供側がそんな具合なので、例えば狂王トレボーを「リルガミンの王」としている記述があったとしても、間違いと決め付けられるものではない。今でも解釈の幅があり、議論の余地は残されているのである。
クラシックスタイル
#1、#2、#3は基本的に同一のゲームシステムを共有しており、以降のタイトルと区別・比較する意味で「クラシック」あるいは「クラシックスタイル」と呼ばれることもある。
キャラクター
主人公ともいうべき冒険者に関しては、その人物像等について、ゲーム側では全く何も用意していない。
プラットフォームによっては初心者への救済措置として、初期状態でLv5程度に達している何人かの冒険者が登録されているが、それぞれの経歴なり物語なりがあるわけでもない。
#1から#5まではキャラクターの容姿を現すグラフィックすら存在しないのだ。
ゲーム上に存在するのは『名前』『種族』『性格(戒律)』『職業』、あとは能力等を示す数値があるのみ。
容姿、性別、冒険に挑む動機や目的などは、全てプレイヤーの想像力(妄想力)で賄わなければならない。
#6以降と和製wizに関しては冒険者の顔グラフィックが用意されているものもあるが、これらに対して『非表示に切り替えられるようにして欲しい』という人もいるのである!
パーティ
迷宮の探索は最大六人のパーティで行う。五人以下でも、なんなら一人でも迷宮に潜ることは可能。
隊列の1、2、3人目は前衛として前列に立ち、4、5、6人目は後衛として後列に立つ。前衛二名・後衛一名などの隊列は組めない(後代の一部作品では可能に)。
後衛は呪文詠唱やアイテム使用でしか戦闘に参加できず、敵が呪文やブレスを使用してきた場合はダメージを受けることも。
こうした理由から、実戦に対応できるパーティ編成はおのずと決まってくる。
種族
人間(ヒューマン) / エルフ / ドワーフ / ノーム / ホビット の五種族。詳細は各記事にて。
#6では新種族の追加と共に、種族ごとの装備制限も設けられるが、#5までは後述の特性値以外に種族による違いはない。
もともと『D&DやMERPをコンピュータ上で行うもの』という側面があるだけに、選べる種族もそれらの作品に近いものになっている。
性格(戒律)
悪といっても辻斬り強盗を生業にしているような悪党のことではなく(そういうイメージでプレイすることも可能ではあるが)、実際には『善=理想主義』『中立=現実主義もしくは日和見主義』『悪=利己主義』程度が一般的な解釈。
説明書では「通りのはげしい道を通ろうとしているおばあさんを見つけた場合どうするか」と言う例を挙げ
善:本当の善人ですから、わざわざ行って助けるという、近頃珍しいタイプです。
中立:自分が同じ道を渡っているなら助けてあげます。普通の人ですね。
悪:自己の利益になるなら助けてあげるという、自分に正直な人です。
と説明しているが、本当にその程度の違いである。
基本的に善の者と悪の者は同じパーティには参加できず、善悪混成のパーティを作るには一定の手間が必要になる。
下記の職業に対する制約になる他、一部の装備品は性格限定。
また迷宮内での特定の行動により、善は悪に、悪は善に変化することもある。
職業
装備できる武具と、習得できる呪文、罠の識別・解除、成長の速度(レベルアップに必要な経験値)に関わってくる。詳細は各記事と、ジョブ(RPG) / クラス(RPG)も参照。
就職条件は特性値と性格で、これを満たしていれば転職も可能。ただし転職を行うと、習得した呪文とHPは継続されるがLv1(経験値0)になり、特性値は種族の初期値に低下、さらに数年分加齢(後述)というオマケがつく。
特性値等
能力を示す特性値は力・知恵・信仰心・生命力・敏捷性・運の六つ。
種族ごとの初期値に、キャラクター作成時のボーナスを加算して、いずれかの職業の最低基準を満たすところから始める。
ボーナスポイントの算出法については移植によって変化しているともいわれるが、#1に関しては通常5~9、稀に出る29が上限とする説が一般的。
これとは別に年齢が設定されている。宿屋に宿泊していると『誕生日』がやってくる他、寺院での蘇生、訓練場での転職でも加齢が発生する。
若いうちはレベルアップによって各特性値が上昇するが、齢をとると上昇しづらくなり、五十路ともなれば逆に減少し始める。
特に生命力が一定値を下回るとお迎えが来てしまう(後述)…。
これはキャラクターごとに設定されているので、冒険を開始した頃は同年齢だったのに、一人は子供のままで他のメンバーだけ十数年も年上になってしまう…なんてことも普通に起こりうる。
その他の数値としてはHPと呪文使用回数がある。
呪文
魔術師系と僧侶系の二系統があり、習得できる職業が異なる。
どちらもLv1からLv7まで七段階の位階があり、キャラクターのレベルが一定以上でなければ高位階の呪文は習得できない。
二系統七位階のそれぞれに呪文使用回数が存在し、例えば魔術師系Lv4の呪文を使い切ってしまうと、(それ以外の回数がどれだけ残っていても)魔術師系Lv4の呪文は使えない。
キャラクターのレベルアップによって最大値が9まで増える。
蘇生失敗
wizardryというゲームを強烈に印象付ける最大の特徴、それが蘇生失敗という悪夢である。
HPの残量が0になる、もしくは一部モンスターの特殊能力や呪文による『一撃死』の効果によって、キャラクターは『死亡』という行動不能の状態に陥る…まぁここまでは普通のゲームと同じ。
寺院にお布施を払う、あるいはパーティメンバーが蘇生呪文を詠唱することで『死亡』状態から蘇生できるが、これらはけっこうな確率で失敗する(特性値等で成功率が変化)。
すると『死亡』状態から『灰』状態に進行してしまうのだ。ここからでも復活は可能だが、より高額なお布施、あるいはより高位階の復活呪文が必要になる。
そして『灰』状態からの復活に失敗してしまうと…そのキャラクターは『消失』する。大事なことなのでもう一度いうが、どんなに経験をつんだキャラクターであろうと『消失』するのだ。既に灰なので火葬の手間は要らない。老衰による死も同様で、装備・所持品ともども埋葬されます。
こうなるとゲームのシステム上において、このキャラクターを再登場させる手段はない。訓練場の冒険者名簿も空欄となる。
HPにして僅か1だけのダメージが、積もり積もればキャラクターの本当の意味での死に直結しているという事実が、ゲームの緊張感をいやというほど高めているのだッ!
…まぁたいていのプレイヤーはリセット(後述)を用いてこの事態を回避するわけだが。
蘇生失敗も恐ろしいが、さらに悲劇的なのが『全滅』。冒険中にパーティ全員が『麻痺』『石化』『死亡』『灰』のいずれかに陥った場合は全滅となり、地上に戻され…ない。
全滅したパーティは現場に倒れたままで、地上に連れ戻すためには新たに救助隊を編成し、現場まで回収に行かなければならないのだ。
さらに救助隊がたどり着いた頃には所持品等が減っていたり、場合によっては『消失』していたりもする。
冒険の拠点は地上の街
迷宮と城下町を行ったり来たりするのが、wizardryの冒険の形態である。
ギルガメッシュの酒場
パーティの結成、メンバーの入れ替え、所持品・所持金の受け渡しが行える他、一部プラットフォームでは酒場でしかキャラクターのステータスを確認できない。
善悪混成のパーティは酒場では結成できず、迷宮内で冒険を中断してから別のパーティと合流する必要がある。
冒険者の宿
レベルアップは迷宮内では発生せず、必要な分の経験値が貯まった状態で宿に泊まると発生する。
部屋の格付けは『簡易寝台』『エコノミールーム』『スイートルーム』『ロイヤルスイート』の四段階があり、一週間ごとの宿泊費とHP回復量が異なる。
これらとは別に『馬小屋』で寝ることも可能で、呪文使用回数しか回復できないが宿泊費はタダ、なにより一晩だけなので誕生日を迎えるのが遅くなる(※)。このため、ベテラン冒険者はほとんど馬小屋生活者と化している。
※正確には「日数計算がされない」か「1/7の確率で1週間が経過する」のどちらかの処理がされる(プラットフォームなどで変わる)。その為に前者はいつまで経っても誕生日が来ない。後者の場合は何度利用しても歳を取らない可能性があるが、反対に50回程度利用しただけで加齢する事もある。なおHP全快の状態では他の部屋に泊まっても内部的には馬小屋に泊まった処理がされる(料金も取られない)。
ボルタック商店
アイテムの売買を行う他、正体不明のアイテムを鑑定し、また呪いが発動して手放せなくなったアイテムを解呪してくれる。
プレイヤーが売ったアイテムは買い戻すことも可能だが、それ以外に商材が増えることはほとんどなく、ある程度ゲームが進むと下取り専門の施設、あるいは有料(買い戻しの差額が必要になる)の倉庫と化す。
ちなみに、店名は本家・合衆国でも"Boltac's Trading Post"だが、カナ表記の『ボルタック』は『ボッタくる』のアナグラムとも読める。あたかも店主の経営哲学が現れているかのような偶然の一致…まぁ、カント寺院に較べればずっと良心的なお店なワケだが。
カント寺院
キャラクターの状態異常を治癒してくれる寺院。シナリオ#4で御本尊が『カドルト神』と判明する("KADORTO"は僧侶系Lv7の復活呪文)。
継続する状態異常のうち『毒』は地上に出ると自然に回復するため、寺院のお世話になるのは『麻痺』『石化』の治癒と、『死亡』『灰』からの蘇生である。
ささやき - えいしょう - いのり - ねんじろ!
対象者のレベルに応じたお布施が必要になるのだが、所持金が足りないと『ケチな背教者め!出て行け!』と叩き出されてしまうのだ。
さらに、上述の通り死亡者の蘇生はけっこうな確率で失敗するのだが、ちょっとでも済まなそうにするとか、一言でも謝罪するとか、そんなことは全くない。少なくともプレイヤーの目に見える範囲では全くそうした態度をとらない。
そして失敗した場合でもお布施は返ってこない。仲間が帰ってこない事実のほうが遥かに重大なのはもちろんだが、カント寺院の悪辣さはある意味ワードナやトレボー以上である。
町外れの訓練場
冒険者の新規登録、ステータス確認、改名、転職、および登録抹消を行う。
迷宮でパーティが全滅し、救助が困難と判断した場合、回収を諦めて意図的に消失させることも可能なのである…実際にやるかどうかはさておき。
また何らかの状況でキャラクターが消失した場合、ここで同名のキャラクターを新たに登録して、『生前の経験で得た能力は全部失ったけど、若い身体で転生した』と思い込むことも可能…実際にやるかどうかはさておき。
戦闘と戦利品
武器と防具
装備品には呪いの有無と特殊効果が設定されており、武器はダメージ計算式とSTR修正値・攻撃回数、防具はACが設定されている。
片手武器と両手武器の区別はなく、全て盾との併用が可能。防具は鎧・盾・兜・篭手・その他の五箇所にそれぞれ装備できる。
モンスター
詳細は『モンスター(wizardry)』の記事を参照。
FC版で、不確定状態を含むグラフィックが末弥純により作成されたことで、シリーズ全体のイメージが大きく変化した。
これ以前のプラットフォームでは非常にシンプルな画像で種類も少なく、また冒険者やアイテムにはFC版以降も長い間公式なデザインがなかったため、(pixiv上でも)wizardry関係のイラスト作品はFC版由来のデザインによるモンスターをモチーフにしたものが多い。
宝箱
危険な戦闘を乗り越えた者へのご褒美、そして戦闘以上に危険なデストラップである。
宝箱には基本的に何かしらの罠が仕掛けられている。『毒針』『ガス爆弾』『石弓の矢』『爆弾』『スタナー』『テレポータ』『メイジブラスター』『プリーストブラスター』『警報』の九種類が存在し、解析・解除しなければ中身を手に入れることは出来ないのだ。実際、安全を重視して放置してしまうのも、状況次第では正しい選択といえる。
宝箱を見つけたら、まずは生存者のうち誰かが罠の解析を試みる。職業が盗賊で、敏捷性が高ければかなりの確率で見破れる。職業がニンジャだとやや心もとなく、敏捷性が高くてもたかだか七割程度。その他の職業では二割にも満たない。僧侶系Lv2呪文"CALFO"でも解析可能(これも100%ではないが)。
次は罠の解除。罠の種類ごとに手順が異なるので、解析が間違っていると解除は失敗してしまう。解除能力はキャラクターのレベルから算出され、盗賊・ニンジャは修正値が加算される。
また解除に失敗しても、敏捷性が高ければ、罠が作動する前に開けることが可能。
宝箱の中身は、これを持ち歩いていたモンスターがなんであるかで決定される。複数のグループがいた場合、遭遇時点で先頭にいたグループが宝箱を持っていたことになる。
アイテムは基本的に不確定の状態で入手し、店舗での鑑定は買い取り価格と同額の手間賃がかかる。職業が司教であれば鑑定を行えるが、場合によっては恐慌状態に陥り行動不能になり、また呪いのかかった品物であった場合は強制的に装備状態になってしまうことも。
神のイカズチ
プラットフォームによって事情は異なるが、初期のwizardryはゲーム内の状況が自動的に記録される、オートセーブが標準装備されている。…つうか、基本的にオートセーブをオフに出来ない。
上述のような『蘇生失敗』『迷宮内で全滅』といった破滅的状況が確定してしまうと、例え電源を落としてもなかったことには出来ないのだ。
が、オートセーブがどのタイミングで行われるかを理解していれば、これを逆手にとってゲーム内の状況をある程度制御下におく方法がある。そう、『リセット技』である。
『不利な状況』が見えてから『オートセーブがなされる』前にハードウェアによるリセットを行うことで、『不利な状況』になる前の『オートセーブがなされた』時点に状況を戻すことが出来るのだ。
本来のルールからは外れる手段だが、このゲームでは『必要悪』と見なされてもいて、『ノーリセット』は『縛りプレイ』の一種であり、リルガミンサーガに到ってはコントローラー操作によるソフトリセットが可能になっている。
というのも、プラットフォームによってはハードリセットという行為がゲームのデータに負担をかけ、不利な状況どころかセーブデータそのものが消滅するという状況もそれなりの確率で発生したのである。
ルール外の行動だけに代償も高くつく諸刃の刃、世界そのものを破壊しかねない神のイカズチ、それがwizardryの『リセット技』である。
システムの変遷
とはいえ1981年のAppleⅡ版の時点でゲームシステムが完成していたわけではなく、別のプラットフォームに移植され続編が発表される過程において大小の様々な変更があり、試行錯誤の末に確立されたのが『wizardry』のクラシックスタイルなのである。
日本のゲームスタジオが制作しアスキーが販売したファミリーコンピュータ版もその試行錯誤の範疇にあるため、それ以前の日本語PC(NEC・富士通・シャープ)版をベースとした『リルガミンサーガ』(1998年)と、FC版をベースとした『ストーリーオブリルガミン』(1999年)とでは、同じクラシックスタイルでありながら多くの相違点がある。
#4(1987年)は#1を逆転したシステムであり、単一のゲームとしてのバランスよりは公式によるパロディとしての要素を優先したものと評されており、合衆国の市場ではシリーズ全体に対する評価がかなり厳しいものになってしまったようである(要出典)。
#5(1988年)は原点回帰を志し、クラシックスタイルをベースとしつつ多くの変更点があるものの、シリーズの評価を好転させることはできず(要出典)、次作以降はより大規模なテコ入れがなされることになる。
BCF(1990年)、CDS(1993年)、wizardry8(2001年)はストーリーがつながっているため後期三部作とも呼ばれるが、システム面ではそれぞれの発表時期に合わせたものになっているため、特に最終作であるwizardry8とそれ以前の間で乖離が著しく、日本でもwizardry8の家庭用ゲーム機への移植は実現しなかった。
ⅥⅦⅧの完全移植を、末弥純のグラフィックと羽田健太郎の楽曲で…というのは多くのファンが共有する夢であったが、2007年に羽田が没してしまい、夢は夢のまま終わってしまった。
権利的な意味でも技術的な意味でも困難で、2021年現在でも後期三部作の完全移植は実現していない。
本家Sir-techの『wizardry』はそんな流れで、#5のシステムはそれ一作でしか用いられていないのだが、日本では本家#2をアレンジしたFC版Ⅲ(1990年)が部分的に#5の要素を採用。
さらに外伝Ⅰ(1991年)以降のいわゆる和製wizはその多くが#5のシステムをベースとし、部分的に後期三部作の要素を採用しているため、その完成度の高さと影響力の強さからも、『wizardry』の「オーソドックススタイル」と見なせるかもしれない。
ボーナスダンジョン
SS版リルガミンサーガ限定の追加要素。
シナリオ#2を更に上回る高難度ダンジョンで、出現する敵・入手できるアイテムも強烈なものが揃っている。
普通に進んでいくとB6までしか探索できないが、実は隠しフロアB10への道が隠されている(攻略情報無しで見つけた人がどれだけいるのやら)。なおB6の隠しエリアにあるシュートはB9まで直結、降り立った先にはB10への下り階段があるだけで、B9で敵と遭遇することはない。B7とB8に至っては立ち入ることすらできない。
敵の顔ぶれはシナリオ#1・#2・#3の混成軍だが、『リルガミンの遺産』でソウルトラッパーとフェイトスピナーに出番を奪われたエンジェルとアークエンジェル、『ダイヤモンドの騎士』FC版での追加要素だったゴールドドラゴンとデーモンロードが参戦しており、リルガミンサーガでこれらと戦えるのはボーナスダンジョンのみの特典である。
なおどの敵も他のシナリオで出現したときより力を増しており、大群を成す傾向がある。アークエンジェルにいたってはデーモンロードとほぼ同格の強さになっている。
それよりなにより、このダンジョンにはイベントがない。
会話するようなNPCはいないし、特定箇所を通過するためのキーアイテムもなし、当然アイテムを交換して回るお使いイベントもなし。
なぜか伝説の「ダイヤモンドの騎士」の武具を複数入手出来てしまうが(低確率だが通常の戦利品と同列扱い)、その理由についても説明はない。
中ボス的なものもおらず、ランダム遭遇のやたら強い雑魚敵がひしめいているだけ。
B10では上述のアークエンジェルやデーモンロードを含むラスボス級の実力者と戦えるが、彼らとて固定出現のボスではない。
そう、これはボーナスシナリオでなく、あくまでボーナスダンジョンなのである。
クリアによって得られる称号もない(そもそもクリア条件がない)。強いて言うなら、モンスター博物館とアイテム博物館をコンプリート出来たとき、このダンジョンの攻略も成し遂げたといえるだろう。
リルガミン戦記
双葉社ファンタジーノベルシリーズで刊行された「小説ウィザードリィ」全八巻
- ①狂王の試練場(大出光貴・1992年)
- ②アラビクとマルグダの物語(安藤君平・1992年)
- ③ダイヤモンドの騎士(後藤信二・1992年)
- ④リルガミンの遺産(井上尚美・1992年)
- ⑤ハート オブ メイルストローム(大出光貴・1992年)
- ⑥女王の受難(吉本正彦・1992年)
- ⑦リルガミン戦記 鳴動篇(後藤信二・1993年)
- ⑧リルガミン戦記 飛翔篇(大出光貴・1993年)
のうち、第七巻と第八巻で展開したオリジナルストーリー。
歴戦の英雄たちを巻き込み、聖都リルガミンをめぐる壮大な攻防戦が描かれる。
当時の双葉社はゲーム攻略本事業に注力しており、ウィザードリィシリーズ各作品の攻略本の他
- ゲームボーイ冒険ゲームブックシリーズ
- 女王の受難(山崎和緒・1991年)
- アクションコミックス
- ウィザードリィ4コマまんが王国①~③(1991年~1992年)
等も刊行している。