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東京メトロの編集履歴

2023-08-10 02:29:35 バージョン

東京メトロ

とうきょうめとろ

首都圏を走る地下鉄の一つ。

概要

東京地下鉄株式会社」の公式愛称。地下鉄事業者としては珍しく私鉄大手私鉄)扱いされている。他に私鉄扱いされている地下鉄事業者には、大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro/大阪メトロ)がある(こちらは中小私鉄扱い)。


東京都地下鉄路線のうち、帝都高速度交通営団営団地下鉄から承継した8路線(銀座線丸ノ内線日比谷線東西線千代田線有楽町線半蔵門線南北線)と民営化後に開業した1路線(副都心線)の合計9路線を管理・運営する。営団時代から丸ノ内線の支線に方南町支線、千代田線の支線に北綾瀬支線が存在する他、副都心線の一部を有楽町新線として運営していた過去もある。2023年時点での総営業キロは195.1km。


歴史

2004年4月1日、それまで東京都の地下鉄事業を担ってきた帝都高速度交通営団(営団地下鉄)が行政改革の一環として民営化・特殊法人化する形で誕生した。地下鉄の運営には莫大な資本が必要なため、民営の地下鉄事業者は世界的にかなり珍しい。ただし、現在も東京都が大株主であり、事実上の第三セクター路線とも言える。

これはもともと営団地下鉄の前身(東京地下鉄道と東京高速鉄道)が民間資本だったためである。昭和初期の日本はインフレ経済とは無縁で人件費が低く、人海戦術を使っても建設費が安かったため民間資本でも比較的容易に地下鉄事業に参入することができた。


都営地下鉄との関係

東京都交通局が運営する都営地下鉄とは古くから事業提携をしており、路線図デザインの統一や駅ナンバリング制度などの同時実施、南北線と都営三田線における線路共用など連携がみられる。しかし料金体系は異なっているため、原則として両者路線間の乗り換えには改札を通る必要があり、乗り換えすると初乗り料金がかかる。

東京都は東京メトロ側に対し、都の財政健全化、利用者への経済的・物理的負担の低減を目的として都営地下鉄線を東京メトロに移管することを求めているが、東京メトロ側は都営路線の不採算性を理由にこれを拒否しており、実現の見通しは立っていない。


トリビア

  • 銀座線は日本最初の地下鉄であるが、鉄道要覧における東京都地下鉄路線番号では3号線である。これは、同路線が純粋に民間によって計画されたもので、東京都の都市計画に基づかない路線であったためである。関東大震災の発生とその復興のために都市計画が制定された際、1〜5号線は皇居から見た位置関係で割り振られ、結果として銀座線はたまたま3号線に割り当てられたが、土地も資金も確保済みであったため、最初に完成した。
  • 日比谷線以降に建設された路線では、地上線規格の大型の車両を使用し、私鉄やJRなどの他社線と広範囲な乗り入れを行っているが、既存地上線との直通運転を前提とした地下鉄システムは世界的にはかなり珍しい。海外では、日本の技術を導入した韓国などでのみみられる。これは東京都(東京市)がかつて都電のテリトリーだった山手線の内側に私鉄を入れなかったからという事情がある。
  • 銀座線と丸ノ内線は地上鉄道との乗り入れを考えていないため他の路線とはシステムが根本的に異なり、運転系統は全く分断されている。また、この2路線は受電方式が第三軌条式で、1990年代まで使用されていた古い車両では駅間に1つ以上あるデッドセクション(給電の途切れる地点)通過時に室内灯が消灯し、一時的に非常灯に切り替えられていた。他の地域の地下鉄では発生しないものであったため、地元でない利用者が驚くこともあった(同じく第三軌条式の大阪市営地下鉄では開業当初から電動発電機の搭載でこのような問題を解決していた)。このことは漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」でも「東京人かどうかを見分ける方法」としてネタにされた。現在の銀座線1000系の特別編成は、機構上本来発生しない(編成内主回路引き通しがあるため)このデッドセクションでの瞬間消灯を、わざわざ再現させるというギミックを有している。
  • 発車メロディー導入に積極的で、かつてのシンボル営団ブザーはどんどん廃止されている。その駅に合わせてオリジナル曲をつくる手の込みようだが、逆に様々な場所で使いまわしをするJR東の発メロのような知名度が無いという欠点もある。

車内広告

都内を縦横無尽に走る影響からか出版社、特に講談社の広告の割合が非常に多い(メトロ車両には週刊現代や講談社の新刊の広告が多い)。

路線によっても異なるが、週刊現代や週刊誌の広告、新刊の観光する割合も多い。

自社広告も意外と多く、東京の名所広告も多くみられる。


路線一覧

路線番号(※1)路線名記号区間営業キロ相互直通運転(※2)軌間集電方式
2号線日比谷線シルバーH中目黒駅北千住駅20.3km東武伊勢崎線/日光線1,067mm直流1,500V(架空電車線方式
3号線銀座線オレンジG渋谷駅浅草駅14.3km-1,435mm直流600V(第三軌条方式)(※3)
4号線丸ノ内線本線スカーレットM荻窪駅池袋駅24.2km-同上同上
同上丸ノ内線分岐線(方南町支線同上Mb方南町駅中野坂上駅3.2km-同上同上
5号線東西線スカイブルーT中野駅西船橋駅30.8kmJR中央・総武緩行線(両端接続)・東葉高速鉄道1,067mm直流1,500V(架空電車線方式)
7号線南北線エメラルドN目黒駅赤羽岩淵駅21.3km東急目黒線/東急新横浜線埼玉高速鉄道相鉄新横浜線/相鉄本線/いずみ野線同上同上
8号線有楽町線ゴールドY和光市駅新木場駅間(※4)28.3km(※4)西武池袋線/狭山線/西武有楽町線東武東上線同上同上
9号線千代田線本線グリーンC代々木上原駅綾瀬駅24.0kmJR常磐緩行線小田急小田原線(/江ノ島線箱根登山鉄道)同上同上
同上千代田線支線(北綾瀬支線)同上同上綾瀬駅~北綾瀬駅2.1km-同上同上
11号線半蔵門線パープルZ渋谷駅〜押上駅16.8km東急田園都市線・東武伊勢崎線/日光線同上同上
13号線副都心線ブラウンF和光市駅〜渋谷駅間(※4)20.2km(※4)西武池袋線/狭山線/西武有楽町線(/西武秩父線)・東武東上線・東急東横線/東急新横浜線・横浜高速鉄道みなとみらい線・相鉄新横浜線/相鉄本線/いずみ野線同上同上

(※1)国土交通省監修の『鉄道要覧』における東京都の都市計画上の地下鉄路線番号で、都営地下鉄と共通。

(※2)()内は座席指定列車のみの直通。

(※3)銀座線・丸ノ内線の電気方式は数年内に750Vに昇圧される予定である。

(※4)和光市駅〜小竹向原駅間(8.3km)は8号線(有楽町線)と13号線(副都心線)が線路・駅・施設を共用しており、東京メトロは有楽町線・副都心線の起点駅を共に和光市駅としている。副都心線が開業する前は、先行開業していた小竹向原駅〜新線池袋駅(現・池袋駅)間を「有楽町新線」として営業していた。都市交通審議会における路線番号の区間は、小竹向原駅〜新木場駅間(20.0km)が「8号線(有楽町線)」、和光市駅〜小竹向原駅間(8.3km)および小竹向原駅〜渋谷駅間(11.9km)が「13号線(副都心線)」であるが、『鉄道要覧』では和光市駅〜新木場駅間(28.3km)が「8号線有楽町線」、小竹向原駅〜渋谷駅間(11.9km)が「13号線副都心線」と記載されている。


車両

全路線合計でおよそ2,700両もの車両を保有している。

各路線の規格や接続する他の鉄道事業者の都合もあり、路線ごとにラインカラーのほか構造や機能が異なっているのが大きな特徴。また、同じ路線でも製造時期によって設計思想が大きく異なっている。

このため、多種多様な車両は東京メトロの大きな魅力と言え、鉄道ファンに人気の要素である。

車両番号には、営団時代から独自のフォントが用いられている。


営団時代から車両技術開発に積極的であり、他の鉄道会社と比べて先進的なものや初採用、初の車上試験・量産が多く見られる。また、運用の上で合理性があると判断されれば、どんな技術でも積極的に設計に採り入れる傾向が強い。軽量化へのこだわりも強く、アルミ車体やボルスタレス台車の早期採用からも窺える。

車両製造や機器類はあらゆるメーカーに発注されており、設計も様々だが、台車や車両制御伝送装置など一部機器はメーカー指定がなされている。


代表例としては、

  • 世界初の回生ブレーキ付き電機子チョッパ制御方式を実用化した6000系
  • 初の高速電車用軽量ボルスタレス台車の量産採用8000系
  • 走行機器・ワイドドア・変則ドア配置・車体構造など時代に合わせ設計変更を繰り返した05系
  • 高周波分巻チョッパ・IGBT適用VVVFインバータの実用化・永久磁石同期電動機の量産採用など走行機器の技術革新
  • 急曲線を静かに通過できる自己操舵台車の採用(1000系・2000系・13000系)

営団時代の6000系登場時、車両設計において「耐用年数40年以上」「10年で小規模更新、20年で大規模更新、30年で小規模更新、40年で廃車」という目標を掲げていた。そのため、古い車両を時には大規模な改造を行い、長く使うことで定評があった。

しかし、海外観光客増加、東京五輪開催に伴いイメージアップ、ホームドア整備による車両側の対応、将来の第三軌条路線の昇圧などといった事情が重なったことで、2010年代になるとゼロシリーズ車両は急速に淘汰された。旧型車両の記録・乗車は早めに行うことが推奨される。


現行車両

導入年は1次車のもの。

運用路線形式導入所属数備考
半蔵門線8000系1981年10両編成8本(撤退中)東西線での使用実績あり
丸ノ内線02系1988年6両編成11本(撤退中)3両編成(80番台)は撤退済
東西線/北綾瀬支線05系1988年10両編成30本/3両編成4本初期車一部撤退済
南北線9000系1991年8両編成1本/6両編成22本一部8両へ増結中
東西線07系1993年10両編成6本元有楽町線車両
半蔵門線08系2003年10両編成6本
有楽町・副都心線10000系2006年10両編成36本一部8両化可能
東西線15000系2010年10両編成16本全車ワイドドア
千代田線16000系2010年10両編成37本
銀座線1000系2012年6両編成40本一部特別仕様車
日比谷線13000系2017年7両編成44本
丸ノ内線2000系2019年6両編成44本(増備中)
有楽町・副都心線17000系2021年10両編成6本/8両編成15本
半蔵門線18000系2021年10両編成11本(増備中)

過去の車両

ここでは東京メトロ移管後に運用された車両のみ記載。営団時代に引退した車両はこちらを参照。

元運用路線形式導入年引退年最大所属数
東西線/北綾瀬支線5000系1964年2014年10両編成8本/3両編成2本
千代田線6000系1971年2018年10両編成35本/3両編成1本
有楽町・副都心線7000系1974年2022年10両編成34本
銀座線01系1984年2017年6両編成38本
日比谷線03系1988年2020年8両編成42本
千代田線06系1993年2015年10両編成1本

保存車両

東京メトロでは引退した車両の一部を保存しており、それぞれの形で大切に保管されている。

技術継承の役割を持つ他、乗務員訓練に使用される場合もある。


ここでは東京メトロ管内で保存されている車両のみ記載。

元運用路線形式・編成運用期間保存場所状態備考
銀座線1000形1001号車1927年~1968年地下鉄博物館1両・静態重要文化財
銀座線100形129号車1938年~1968年地下鉄博物館1両・静態ドアのみ可動
丸ノ内線300形301号車1954年~1995年地下鉄博物館1両・静態
丸ノ内線500形771,734,584,752号車1958年~1995年中野検車区
  • 3両・動態
  • 1両・静態(752号)
752号は予備車
日比谷線3000系3001,3002号車1961年~1994年千住検車区2両・動態
東西線/北綾瀬支線5000系5951編成1967年~2014年綾瀬車両基地3両・動態
北綾瀬支線6000系ハイフン車1968年~2014年和光検車区新木場分室3両・動態訓練センターの車両として稼働中
千代田線6000系6102編成1971年~2018年和光検車区新木場分室10両・動態ラストラン仕様のまま
有楽町・副都心線7000系7101編成1974年~2021年和光検車区新木場分室10両・動態10号車の一部のみ営団仕様へ復元
銀座線01系01-101編成1984年~2017年中野検車区3両・動態
銀座線01系01-129号車1991年~2016年地下鉄博物館カットモデル前面のみ
日比谷線03系03-101編成1988年~2020年和光検車区新木場分室3両・自走不能機器類はそのままだがパンタグラフ車がない

関連タグ

地下鉄

東京地下鉄…正式名称。

帝都高速度交通営団/営団/営団地下鉄…前身

東京地下鉄道東京高速鉄道…そのまた前身


直通会社・路線

()内は直通するメトロ線。


JR東日本 中央・総武緩行線(東西線) 常磐緩行線(千代田線)

東武鉄道 伊勢崎線/日光線(日比谷線/半蔵門線) 東上線(有楽町線/副都心線)

小田急電鉄 小田原線(千代田線) 江ノ島線(千代田線・ロマンスカーのみ)

西武鉄道 池袋線/西武有楽町線/狭山線(有楽町線/副都心線) 西武秩父線(副都心線・S-TRAINのみ)

東急電鉄 田園都市線(半蔵門線) 目黒線(南北線) 東横線(副都心線) 東急新横浜線(南北線・副都心線)

相模鉄道 相鉄新横浜線/相鉄本線/いずみ野線(南北線・副都心線)

横浜高速鉄道 みなとみらい線(副都心線)

東葉高速鉄道 東葉高速線(東西線)

埼玉高速鉄道(南北線)

箱根登山鉄道(千代田線・ロマンスカーのみ)


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