ガンダムMk-Ⅱ
がんだむまーくつー
スペック
概要
型式番号RX-178。地球連邦軍の特殊部隊「ティターンズ」が開発した先行試作型モビルスーツであり、上二桁「17」はサイド7宙域コロニー・グリプスにおいて開発された事を、三桁目の「8」は同工廠において8番目に開発された機体である事を示す数字である。
宇宙世紀0083年のデラーズ紛争勃発後に、ジオン残党軍の脅威を背景に拡大を続けるティターンズが、連邦軍組織としての自らの正統性を知らしめる為の象徴として開発した機体であり、フランクリン・ビダン技術大尉を開発主任に据えて、宇宙世紀0085年に開発がスタートした。
開発に当たっては、同組織最初期の主力機であるジム・クゥエルがベースとなっており、主にスペースコロニー内での運用を想定しつつ、この当時の連邦軍における最新の技術が投入された。
一方で、装甲材は連邦軍内で新素材の研究が進んでいなかった為に、一年戦争後に普及しスタンダードとなっていたチタン合金セラミック複合材を用いる事となった(この装甲材の開発にはフランクリンの妻であり、カミーユの母であるヒルダ・ビダン技術中尉が関わっている)。その為に、宇宙世紀0087年1月20日のロールアウト直後は、カタログスペック通りの性能を発揮できず、量産も視野に入れる形で先行して製作された4機の内、4号機がグリーンノア1内で実施された高速機動試験中に墜落して大破し、パイロットも死亡するという事故を起こす。さらに1号機と3号機でも軽度の事故が発生しており(Zガンダム本編でも墜落事故を起こしている)、機体の安全性が欠ける事もあって量産は断念された(尤もティターンズ上層部はこの計画の裏で、MSをコアとした超大型決戦兵器の開発を推進しており、その過程でコアMSが本機に代わるフラッグシップ機として生まれている事からも、最初から本機の量産など本気で考慮していなかったとも考えられる)。
ティターンズ時代は、機体色はティターンズカラーの黒であり、肩やシールドに機体番号が振られていた。
残った3機は、引き続き次世代機開発に必要なデータ収集を行う為に、運用試験が行われていたのだが、宇宙世紀0087年3月2日に反連邦組織エゥーゴの発動した「新型ガンダム奪取作戦」によって2号機と3号機が強奪され、さらに1号機のパイロットであったエマ・シーン中尉がエゥーゴ側に協力した結果、残存していた3機全てが最終的にエゥーゴの手に渡る結果となった。
その後は、機体解析の為にアーガマ内で2号機を解体をした結果、フレーム構造の複雑さや強度が量産に向かないという事が発覚した為に、エゥーゴ側も量産を断念する。そして解体した2号機はそのまま予備パーツ用として利用され、3号機は初代ガンダムを彷彿とさせるメイン画像の白を基調とした機体色に塗り替えられた上で、エゥーゴ側の機体として実戦配備される事となり、同作の主人公であるカミーユ・ビダンの搭乗機となる(しかし、後に再びエマの機体になる)。
残りの1号機はムーバブルフレームの解析・開発参考用としてAE社に送られ、その後はAE社で補充パーツの製造を行い、素材も強度のあるガンダリウムに変更されている。
漫画『機動戦士ガンダムサンダーボルト』では、開発がティターンズ主導ではなくAE社製、U.C.0080年には既に完成しており4機のみならず相当数が量産されているなど大規模な設定改変のうえで登場した。
反面、外見の方は今までの登場MSのような大胆なアレンジは控えめになっており、原典に即したデザインとなっている。
パイロット
メインパイロットはカミーユ・ビダン、エマ・シーン(機動戦士Ζガンダム)。そしてエル・ビアンノ(機動戦士ガンダムΖΖ)。
加えてティターンズ時代にはエマ以外にジェリド・メサ、カクリコン・カクーラーがパイロットをしていた他、TVアニメ版のみリック・ディアスを失ったクワトロ・バジーナや、カツ・コバヤシも一時的に搭乗しており、エマの提案に乗ったフランクリン・ビダンもティターンズから脱走する際に使用している。
第一次ネオ・ジオン抗争期(ZZ時)にはビーチャ・オーレグ、モンド・アガケ、エルピー・プル、キャラ・スーンといったパイロット達も一時的に搭乗している。
さらに後の時代では、ユニコーンガンダムを封印せざるを得なくなったバナージ・リンクスの新たな搭乗機となっている。
そして漫画作品の方では、まさかのヤザン・ゲーブルの機体にもなる(詳細は後述)。
このように、時代やその時の状況によって様々な人間が搭乗した機体であり、ガンダムシリーズの主人公機の中でも、これ程様々な人間に使われたガンダムはあまり例を見ない。しかし、多くのファンの中に根付いているのは、やはりZガンダム時代の獅子奮迅の活躍であり、ガンダムMk-Ⅱのパイロットと言われて殆どのファンが真っ先に連想するのは、やはりカミーユであろう。
機体解説
ティターンズ側にして『我々の、我々による、我々のためのガンダム』とまで称された機体だけあって、当時における最新鋭の技術が惜しみなく投入されている。また、開発にあたってかつてのガンダムの開発にも携わった人材が破格の待遇で集められ、ジオン系列の技術は完全に廃して作られた。
特に注目されるのが、「単独で稼働が可能なフレームに装甲を“着せる”」という思想の下に開発されたフレーム構造『ムーバブルフレーム』である。この構造を採用した結果、軽量化によって機動力を向上させると共に関節可動域を広く確保し、被弾率を低下させる為に脚部は可動部が露出する程に装甲面積が狭くなっている。
本機のムーバブルフレームは柔軟性には優れていたものの、装甲の材質や構造上の欠陥から剛性が不足しており、試験中に幾度も墜落事故を起こしていた。フレームは計6回の設計変更が行われたのだが、根本的な解決には至らなかった。また駆動制御システムが未熟であった為に、フレームの偏摩耗に伴う動作特性の変動が生じて、パイロットは常にそれを補正しながら機体を操縦しなければならなかった。その為に、開発者であるフランクリンをして「(データは十分に収集され、それを基にした新型機が既に開発中だったのもあり)あんなもの、もういらんでしょう」とまで貶されていた。
しかし、エゥーゴが奪取した後は制御システムが改善され、劇場版における「蹴り」のような複雑な動作が可能となった。
これはAE社が当時所持していたムーバブルフレームの初期形式の一種である「ブロックビルドアップ構造(アクシズのガザ系の機体構造である「ブロック構造」の発展型)」が、ムーバブルフレームとは正反対の観点で開発されていた技術の為、それに基づいた改善内容はティターンズで見落とされていた物であり、かつMk-Ⅱのムーバブルフレームの改善要求と合致していた為に功を奏したという説も有る。
バーニア系統はタキム重工のトップエンジニア達を招聘し開発されたもので、バックパックに搭載されたメインバーニア4発から繰り出される加速性能は、「所詮はMk-Ⅱだというのか」と本機の仕様に難色を示していたクワトロをも唸らせた。このバックパックの上部にはビームサーベルホルダーを兼ねた『フレキシブルバーニアスラスター』が装備されており、後発の第2世代機に採用されたもの程ではないものの簡易的なAMBAC稼働肢として機能する。この他にも一年戦争やデラーズ紛争時に試験的に運用された、全天周囲モニター及びリニアシ-トが本格的に採用されている。
以上の特長を合わせた結果、本機は量産を考慮した割には前述のムーバブルフレームやバーニア系統の生産性やコストに難があるという事から、ティターンズ側は本機を世論に対して自身の行いを正当化する為のプロパガンダ用の機体として開発したと言っても過言ではなく、機体そのものは全く評価されていなかった。
しかしAE社のΖ計画系エンジニア達は、AE系機体のブロックビルドアップ系のフレームとは異なる開発思想のムーバブルフレームの優秀性に気付き、上記の問題点を素材部分を中心に改善し、白のカラーリングに再塗装されて運用される事になる。そして、皮肉にも純連邦系技術と素材で作られた「ガンダム」は、その高いポテンシャルとガンダムの名を継ぐ正統性を、強奪先のエゥーゴで十二分に発揮し、製造元であるティターンズはそれに大いに手を焼かされる事となった。
世代分類的には第二世代に届かないとはいえ(技術的には第二世代級である)、そのムーバブルフレームは、開発が難航していたΖガンダムの開発にも大きく貢献し、その後に開発されるジムⅢやジェガンの設計に大きく影響を与える等、連邦軍のMS開発史に大きくその名を残す事となった。
ちなみに本機は、同時期開発のリック・ディアスと比べると、攻撃力(火力・加速力・運動性)により長けるとされている。特に加速力に関しては、上記の通り本編中で実際に双方の機体に搭乗したクワトロも、リック・ディアスと比較した上で高く評価している。
活躍
エゥーゴに強奪された後は、奪取作戦に協力したカミーユの乗機として活躍。ジャブロー侵攻作戦では、本機に合わせて試験的に開発されたフライングアーマーとの連携で、大気圏突入前のティターンズ側のMSを多数撃墜している。ニューホンコンでの戦闘後、再び宇宙へと上がった際にガブスレイと交戦して小破、修復後はカミーユがΖガンダムに乗り換えた事で本機は再びエマに譲られる。この頃になると性能不足が指摘されるようになるものの、新たにGディフェンサーが配備されて、火力支援形態「スーパーガンダム」となる事によって、グリプス戦役終盤まで主力として戦い抜く事となる(なお劇場版ではグリプス2の照射で、パイロットであるエマの遺体共々機体は失われている)。
続く第一次ネオ・ジオン抗争では、アーガマがラビアンローズと合流した時に再配備され、主にエルの搭乗機となった(この再配備された機体は、装甲材をガンダリウムγに変更してある説やAE社で新規に製造した機体という説など複数説ある)。同時期のMSの恐竜的進化もあって相も変わらず性能不足ではあったものの、短期間で習熟できる操作性や新型のサブフライトシステム「メガライダー」と連携もあって、グレミー軍のクィン・マンサの攻撃で中破するまで各戦線を戦い抜いている。
その後、連邦政府の意向もあり他のガンダムタイプ同様、どこかに封印されたとされているが、完全に消されたというよりは他のガンダムタイプがそうであったようにロンド・ベルに秘匿していたという面が大きいようで宇宙世紀0090年や0097年等に、カラーリングや一部仕様が変更された本機が登場する姿が確認されている。
武装
バルカンポッド・システム
ガンダムやその派生型の多くが備えていた頭部バルカン砲をオプション兵装化したものであり、頭部スペースを考慮する必要がない為に、内蔵されるタイプと違い装弾数が多い。
ヘッドホンのように頭部を左右で挟み込む形状をしており、左側が砲門、右側が弾倉となっている。
本機は頭部にフレームを最適駆動させる為のコ・プロセッサーを搭載した結果、バルカンを内蔵するスペースを確保できなくなった為に、このような形で装備されている。
似たような理由で頭部バルカン砲が外装式になったMSには過去にレッドライダーに端を発する一部ペイルライダー計画機が存在していたが、あちらのモデルは上下に旋回するターレット式で着脱不能となっている。
内装火器としての頭部バルカン砲は連邦系MSの標準固定装備であり、これを内蔵していない機種は連邦内でも希少であるが、この外装ポッド・システムは後に開発されたバーザムやジェガン系にも継承されている。
ビームサーベル
バックパックのフレキシブルバーニアスラスターに各1基を装備しており、出力0.45MWと当時としては高出力の部類に入る。これは本機がムーバブルフレーム採用の実験機であり、一般的な当時のMSの様に手部のエネルギー供給経路を持っておらず、サーベルに独自動力を有している。
同型のバックパックを装備するジムⅢも、これの簡易型(手部供給経路復活による動力部の削除など)を採用している。
ビームライフル
型式番号XBR-87-D。
Eパック方式を採用しており、またそのEパックにライフル自体の駆動動力供給機能を持たせた独特な仕様で、ライフル本体のスイッチコンソールでの出力の切り替え機能が初めて採用されたビームライフルでもある。ただし本ライフルに採用されている変更機能はあくまで、「粒子使用量の変更による出力調整」であり、ヴェスバーの様に射出されるビームの性質が変わる物ではない。弾数はパック1つに付き通常出力2.6MWで7発、最大出力6.07MWで3発撃てる。
取り回しを重視したやや小ぶりなサイズのビームライフルでもあり、フォアグリップや照準補佐用のセンサーも小型な物が採用されている。不使用時は照準センサーやフォアグリップを折り畳み収納したコンパクトな状態となって、右サイドアーマーにマウントされる。
ハイパーバズーカ
ジム改などが運用したものと同型モデル。
一年戦争時のものとは違い、マガジンが固定弾倉式からカートリッジ式になっている為に、継戦能力が向上しており、通常弾と散弾の撃ち分けが可能。不使用時はリアアーマーにマウントされる。
予備マガジンはライフルと反対の左サイドアーマーに装着される。
ロングライフル
Gディフェンサーの主兵装である狙撃用ビームライフル。
出力は6.8MW。原則はスーパーガンダムの状態で使用するが、TV版ではGディフェンサーから切り離して使用するシーンがある(劇場版では装備のみ)。
劇中ではラムサス・ハサが乗るハンブラビの下半身を一瞬で消し飛ばし、隕石越しにダンケル機を真っ二つにする程の出力を発揮し、アレキサンドリアの艦橋を一撃で大破させるなど、Mk-Ⅱが使用する火器としては最大級の威力を持つ。
出力に比したロングバレルではあるがバレル直径はスマートであり、片腕かつ前腕のみで支持可能な形状の為に、Ζガンダムのハイパーメガランチャー等と比較して取り回しに優れる。
シールド
GP01で試験運用されたスライド伸縮機能付きのシールド。
表面に耐ビームコーティングが施されており、ビームライフルの直撃にも数発程度ならば耐えられる。裏面にミサイルランチャーを装備する事も可能な他、予備のEパックをシールド上面裏に2基マウントし、継戦能力を高める為にも使用される。また、スライドして短縮化した状態ならばサイドアーマーへのマウントも可能である。
メールシュトローム作戦時にハンブラビとの戦闘で左腕を失った際には、クワトロ・バジーナの指示でアーガマ内で応急修理が行われ、左肩に直接本兵装を装備して再出撃を行っている。
フライングアーマー
地球降下からのジャブロー侵攻の間限定で試験運用されたMk-Ⅱ専用オプション。
バリュートとサブフライトシステムを兼ねた高性能ユニットで、水上でもホバー走行が可能となっている。結果的に非常に優秀な戦果を得られたため、この運用データを経てΖガンダム完成へと漕ぎ着けた。
関連動画
バリエーション
ヘイズル・ケルデルク
Web企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』で描かれたジム・クゥエルをベースにガンダムMk-Ⅱのパーツを組み込んだ量産向けデータ収集用試作機。当初は次世代試作機という抽象的な名称だったが『A.O.Z Re-Boot』において正式名称と詳細設定が明かされた。
詳細はジム・クゥエルを参照。
ガンダムMk-Ⅱ試作0号機
ゲーム『ギレンの野望』シリーズに登場するオリジナル機体。
ガンダムMk-Ⅱの先行型として、コストを度外視して開発されており、正史では抹消された筈のガンダム試作1号機と同一の形状のパーツが随所に見られる。
開発ツリーではガンダムMk-Ⅱを開発するのに必ずしも必要ではなく、フラグにガンダム試作1号機が絡んでいることもあるなどガンダム開発計画が凍結されなかったIFとも取れるユニットとなっている。
詳細はガンダムMk-Ⅱ試作0号機を参照。
フルアーマーガンダムMk-Ⅱ
ガンダムMk-Ⅱに追加装甲「FXA-03」を装着し火力と装甲を強化するプラン。
Gディフェンサーとのコンペに敗れ実際に運用されることは無かったが、3年後に意外な形で日の目を見る。
詳細はフルアーマーガンダムMk-Ⅱを参照。
バーザム改
ガンダムMk-Ⅱの簡易量産型。
元のバーザムとガンダムMk-Ⅱの関係が後付け設定によるもので媒体によるぶれが激しく、作品によってはガンダムMk-Ⅱ以上に強い繋がりを持つMSがいたりもするが、このバーザムは明確にガンダムMk-Ⅱがベース機となっており、体格の他にも腕部、バックパックなどにガンダムMk-Ⅱと同様の意匠が用いられている。
詳細はバーザム改を参照。
ガンダムMk-Ⅱ×Ⅱ
TV版のコミカライズ作品のひとつ『機動戦士Ζガンダム Define』に登場。「Mk-Ⅱ×Ⅱ」と書いて「マークスクェア」と読む。
ヤザン・ゲーブルのマラサイとの戦闘で損傷したエマのMk-Ⅱを改修した機体。
以前から指摘されていた機動性の不足を補う(作中でマラサイに対してドッグファイトでは勝てないと言われていた)為に、ふくらはぎ後方やリアスカート等機体各所にスラスターが追加された。
肩部装甲もスラスターの開口部が増え、特に肩部先端のスラスターノズルは斜め上下の2方向に開口されており、後のジェガンを彷彿とさせる形状になっている。
ティターンズが月にコロニー落としを行った際にヤザン隊と交戦し、数の不利を強化された機動性で翻弄した末に、ヤザン機の左腕を破壊して汚名返上を果たした。
ガンダムMk-Ⅱ(ヴァースキ大尉機)
漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に登場。
乗機の宇宙用ジム・ナイトシーカーが大破したヴァースキ・バジャック大尉に補充された機体。
AE社がゴップからの依頼により1号機のデータから新造して提供された模様。
追加装備としてAE社に作らせたグリプス戦役時に設計・開発されていたフルアーマーユニットも生産され配備されている。機体のカラーはハンブラビのカラーに塗装されており、さらに海ヘビまで装備している。
なおヴァースキ自身は当初、Mk-Ⅱ受領については0090年代では既に最新鋭の機体では無く既に旧型の機体でもある事や、自身が思うところがあったらしく、「冗談が過ぎる」と流石に難色を示したものの、前の戦闘でMSを1機潰して、ゴップにMSをおねだりしている手前である事と、早急の事態であった事などから「やむを得ない」と断れずに受領する事となった。
ガンダムMk-Ⅱ(バナージ機)
脚本、およびそれを原作とした漫画作品『機動戦士ガンダムUC episode EX2 獅子の帰還』に登場。
サイド3に秘匿されたメガラニカに配備された機体であり、宇宙世紀0096年12月にある人物の帰還を確かめる為に、MSで領空侵犯を行ったリディ・マーセナスの前に姿を現わす。
右肩から先がドーベン・ウルフのものになっており、さらに同機の腕の改造品と思しきショックアブソーバーが並列して接続されている現地改修型の機体である。
カラーリングについてはカラーでは明確に示されてはいないものの、コミカライズを担当した玉越博幸がTwitterで明かしたものとしてはユニコーンカラー。
他には本機の出自がサイド3に残っていた機体、腕はシルヴァ・バレトのもの(形状はドーベン・ウルフのものと相違ない)でありビームマグナムは腕を使い捨てにして二発までということが明かされている。
この発言通りだとすると恐らくエル機が回収されていたものと思われる。
ビームマグナムの運用に特化したバナージ機という共通点のあるシルヴァ・バレト・サプレッサーとの関係は不明(こちらも玉越博幸がTwitterで明かしているが前述のものと違い個人の感想と明言している)。
ガンダムMk-Ⅱ(サンダーボルト)
機動戦士ガンダムサンダーボルトの世界線におけるMk-Ⅱ。
外装と内部フレームを独立させた新機構ムーバブルフレームの採用により生産性が向上した他、試作ガンダムから回収された戦闘データがフィードバックされている為高い汎用性も実現している。
これだけ聞けば正史のMk-Ⅱとの違いが分からないが大きな違いが二点ある。
まず一点目がアナハイム・エレクトロニクス製MSであること。本作のMk-Ⅱは同社が誇る次世代型MSの筆頭機種であり、現時点ではティターンズとの関係性はほぼ無い。
そして二点目が量産型MSであること。正史では3機(設定上は4機)しか存在しなかったMk-Ⅱだが本作ではZ本編の年代であるU.C.0087以前の時点で既に30機以上は確実に存在し、月のフォン・ブラウンにある工場には生産途中、或いは完成済みのMk-Ⅱが所狭しと並べられている。
また量産機でありながら中身も全て試作型ガンダムと同等となる史上初のMSであり、複数の試作機を経て完成された言わば「ガンダムの正式採用型」とも言える。
その為性能もガンダムと同等以上であり、これまでの顔だけの偽物とは一線を画すまさしく量産型ガンダムである。
「ガンダム」の強力さをよく知るイオは現状の主力機であるジムやボールに乗るパイロットの生存率に大きな不満を抱いており、そんな彼の「強力なMSが量産され全てのパイロットの元に配備される」と言う悲願を叶えうる可能性を持った本機と、工場の更に奥に存在する更なる最新鋭機の存在を知ったイオは文字通り狂喜乱舞している。
ただし今現時点で存在するこれらのMk-Ⅱがテストを終えて実戦配備されるまであと5、6年はかかる(Mk-Ⅱ以外の新型機群に至っては実機ですらないモックアップ)との事であり、これら新型機を擁する月のアナハイムと、そこにかけられた彼自身の願いを守る為にイオは南洋同盟との決戦に身を投じる事となる。
バリエーション(宇宙世紀作品外)
余談
リアルロボット物の嚆矢とされながらも、それ以前の所謂スーパーロボット的要素を持っていた初代ガンダムに対して、最初はヒーロー的なトリコロール配色を廃した黒い塗装で初登場する(第一話のサブタイトルは「黒いガンダム」だった)、最初から3機登場する(聖戦士ダンバインの主役機ダンバインも最初から3機登場していた)、同時代の他機種に対してそれ程抜きんでた性能を持っている訳ではない事が劇中で度々語られる(装甲騎兵ボトムズの主人公が乗る機体は特別な物では無く一般的な量産機であるスコープドッグ)、主人公だけでなくシリーズを通して様々な人間が搭乗する等、後続のリアルロボット物やMSVで培われた要素を盛り込んで生まれた、ある意味「初めてリアルロボットとして映像作品で描かれたガンダム」であり、現在でも非常に人気の高い機体である。
また、額アンテナ部の赤と黄の配色や、カメラアイ部の緑系の配色は本機のデザインで確立されており、後にデザインされた宇宙世紀以外も含めた様々なガンダムにも受け継がれている。
歴代の主役ガンダムの中でも唯一劇中での塗り替え描写がある純粋な意味でのカラーバリエーションを持っている機体であり、元祖SDガンダムの頃から商品化される際には、エゥーゴ仕様とティターンズ仕様の2種が発売されるのが常となっている。
また、SDガンダムでも上記の設定などから、カラーリングや機体数を活かして様々な設定で登場する。カラーリングはほぼティターンズベースでありながら、れっきとしたガンダムの仲間であったり(SD戦国伝)、白黒が兄弟として敵味方に分かれて戦った後に和解し2人の子女がイトコ婚した結果ヘイズルが二人の孫娘(!!)として生を受けたり(SDガンダム外伝)、最初は仲間だったのに裏切って他のガンダムと敵対したり(G-ARMS)、はたまた白黒共に主人公陣営として登場したり(三国伝)…
正式採用前の準備稿とも呼べるデザインが存在し、作品への期待値の高さから放映前時点ではこのデザインのカラーイラストがアニメ雑誌等で公開されていた。地味にガンダムの顔に「への字型スリットが無い」公式認定イラストは、Ζガンダムではなくこの準備稿が初だったりする。
立体物
放送当時の商品展開で発売されたガンプラ(1/100、1/144、1/220。所謂旧キット。1/220スケールのものは当時としては画期的なスナップフィットである)においてはエゥーゴ仕様が商品化されるのみで、ティターンズ仕様は塗装で再現必須となっており、モデラーにとっては塗装で再現する定番ネタでもあった(説明書にカラーレシピが掲載すらされていた)。最初期BB戦士でもティターンズ仕様は懸賞プレゼントのみのものだった。
ティターンズ仕様が商品化されるようになったのは元祖SDガンダムの頃からであり、ガンプラではMG以降、それ以降になるとフィギュア等の玩具でエゥーゴ仕様とティターンズ仕様が必ず発売されるようになり、ハイコンプリートモデルでは劇場版Z上映に連動してハイザック連邦カラー同様に遅れて発売されている。
リアルBB戦士やHGUCの様に単独販売がティターンズ仕様のみで、エゥーゴ仕様はフライングアーマー付属、スーパーガンダム名義、グリプス戦役セットなど単品販売がなされなかった時期もあった。単品版リリースが再開したのはRG及びREVIVE版で、これらはエゥーゴ版とティターンズ版両方発売している。
初代HGUCではヘイズル系列やジムⅡ、ジムⅢとバックパックの互換性が存在したが、REVIVE版ではHGBF以降主流となった二軸ピンの共通規格に変更されており、バルカン・ポッド・システムのヘイズルとの互換性も失われている(取り付けられないことはないがバルカン・ポッド・システムの接続ピンの位置が上がったため鎖骨部に干渉し正面を向けなくなった)が、Gディフェンサーとの互換性は維持している。
初代HGUCのリデコとしてはHGBFビルドガンダムMk-Ⅱが発売されている。REVIVE版で再現するには若干改造を施さなければいけない(本体の変更点はアンテナと胸部、前腕のみだが、形状が異なっているためそのまま取り付けることができない)が、バックパックのみ無改造で取り付けることができる。
SDガンダムフルカラーシリーズにもティターンズ/エゥーゴの双方がラインナップ。 ティターンズはライフルとシールドが装備され、エゥーゴはハイパーバズーカが装備された固定モデルになっている※現在、入手困難
食玩「ザ・ガンダム」シリーズにティターンズ/エゥーゴの双方がラインナップ。ティターンズにはハイパーバズーカ、エゥーゴにはビームライフルが同梱されている。※現在、入手困難
現状ではガンプラが作品の枠を超えた新たなカテゴリーを作った場合には、短命な物や特殊な枠を除けば初代ガンダムやザクに次ぐ商品化鉄板枠の座に君臨している。