キャラクターとしてのウルトラマンメビウス→メビウス(ウルトラマン)
「今からちょうど40年前。地球は怪獣や侵略者の脅威にさらされていた。人々の笑顔が奪われそうになった時、遥か遠く、光の国から彼らはやって来た。ウルトラ兄弟と呼ばれる頼もしいヒーローたちが。そして今、ウルトラの父は一人の若き勇者を地球へと送った。その名は――」
概要
ウルトラシリーズ誕生の記念すべき40周年作品。
円谷プロが制作した巨大変身ヒーロー及び特撮テレビドラマで、2006年(平成18年)4月8日から2007年(平成19年)3月31日までCBC、TBS、MBS、北海道放送、RKB毎日放送ほかにて全50話が放送された。2022年現在、4クールで制作・放送された最後のウルトラマンシリーズでもある。ちなみに本作が放送開始された11年前の同じ放送時間帯の4月8日は、『ウルトラマンパワード』が放送開始の日でもあった。
キャッチコピーは「未来は無限大(メビウス)だ!」(前期) 「ともに戦え!未来のために!!」(後期)。
『ウルトラマン80』以来となる、M78星雲光の国の続編作品でもあり、昭和に登場したウルトラ戦士や怪獣・宇宙人の客演が最大の特徴である(前作『ウルトラマンマックス』にも過去の怪獣が登場していたが、他のウルトラシリーズと関連性のない作品であるため、オリジナル怪獣としての性格が強かった)。
平成ウルトラマンに昭和ウルトラマンが客演するのは、平成第1作目の『ウルトラマンティガ』の第49話以来である。
その一方で、デザインの変わるパワーアップ描写(M78星雲出身のウルトラマンとしては初)、青いウルトラマンの登場、連続ドラマ性を持たせたストーリーなど、平成ウルトラシリーズの要素も含まれている。また、ストーリー中盤で自分の正体がバレるという、 それまでのウルトラシリーズではタブーとされてきたことを初めて破った作品でもある(この案は1クール終了時に検討されていた)。
平成ウルトラシリーズで4月に放送が開始されたのは初めてであり、唯一である。
BGMは『ウルトラマンガイア』以来7年ぶりの参加である佐橋俊彦が担当した。佐橋は、『ガイア』よりも対象年齢を低くしているためシンプルでわかりやすい音楽を要望されたという(現時点で佐橋氏が関わった最後のウルトラマンでもある)。
ウルトラシリーズとして4:3サイズで放送された最後の作品でもある。
世界観
ウルトラマンにおいて最も有名な世界観である、M78星雲光の国が存在する世界の話である。
つまり、『ウルトラマン』(厳密にはその前の『ウルトラQ』も含まれる)~『ウルトラマン80』までの昭和のウルトラ兄弟やウルトラの父・ウルトラの母などが登場する(世界観が異なるウルトラマンティガやウルトラマンマックスなどは登場しない)。ちなみに『ウルトラマンX』では対照的に一部のウルトラマンを除き平成ウルトラマンが客演している。
この作品では「過去にウルトラマンが地球に訪れた」という点が意識されたドラマ作りがなされており、『ウルトラマン80』最終回において「冷凍怪獣マーゴドン」が倒されてから25年と2週間(『80』最終回の放送日からメビウス第1話の放送日までの実際の日数に合わせている)の間、怪獣が現れていないことが語られている。劇中では、『Q』~『80』までの怪獣が出現した時期のことを「怪獣頻出期」と呼称しており、対処に当たった歴代防衛チームの残した怪獣のデータが「アーカイブ・ドキュメント」として保存されている。ちなみに初期案の一つでは、過去にウルトラマンが存在していた世界観であるがどのウルトラマンが活躍したかを徐々に明かしていく謎解き型の展開も検討されていた。また、銀河連邦も導入して『ジャンボーグA』のような他の円谷ヒーローの登場も検討されており、企画時の段階では、地球は銀河連邦に加盟する資格がないと判断されてメビウスは光の国への帰還を余儀なくされる結末が考えられていた。
このことから、「昭和ウルトラマンについて一気に知ることができる」という意見がある一方で、「昭和作品を理解していないと難しい」「昭和を見てからのほうが楽しめる」という意見も多く、実際に劇中でも過去の出来事が語られるなど過去作との繋がりの強さを示すことも多い。そのため、ティガの続編となった『ウルトラマンダイナ』、ベリアルの最終章である『ウルトラマンジード』同様、人気や評価こそ高いものの、初心者に進められるかという観点から見ればかなり意見の分かれる作品となっている。
また、GUYSメンバーがウルトラ兄弟に変身するという案も有力だったが、それは別の形で実現することとなる。
あらすじ
怪獣頻出期と呼ばれ、ウルトラ兄弟が地球を守っていた時代の終幕から25年。
何者かが呼び寄せたかの如く、怪獣ディノゾールが宇宙より飛来。出動した対怪獣防衛チーム・CREW GUYSは既に怪獣が出現しなくなって久しかったために、組織・武装が形骸化していたこともあってまったく歯が立たず、隊員のアイハラ・リュウだけを残して全滅してしまった。
街を蹂躙するディノゾールの前に、ウルトラマンメビウスが立ち塞がった。彼こそ、ウルトラマンの故郷・M78星雲光の国から、ウルトラの父の命を受けて地球に降り立った宇宙警備隊のルーキーである。メビウスはディノゾールを倒したが、周囲の被害を顧みない荒削りな戦いぶりをリュウに非難される。
メビウスの人間態ヒビノ・ミライは、新生クルー第1号としてGUYSに入隊し、新隊長のサコミズ・シンゴとともにリュウと対面する。そして、ミライがディノゾール襲来時に出会っていたカザマ・マリナ、イカルガ・ジョージ、アマガイ・コノミ、クゼ・テッペイらの素質を見抜き、彼らをGUYSにスカウトしたことで新生GUYSが誕生。ルーキー同士のメビウスと新生GUYSの成長物語は、こうして幕を開けた。
主な登場人物
⇒ウルトラマンメビウスの登場人物一覧を参照。
主な怪獣・宇宙人
主題歌
テレビシリーズでは前作『マックス』や昭和シリーズ(一部例外あり)同様にEDなし。
- ウルトラマンメビウス
作詞:松井五郎/作曲:鈴木キサブロー/編曲:京田誠一/歌:Project DMM with ウルトラ防衛隊
OP曲。中期からは怪獣の影絵が動き出すようになり、後期からはラストにウルトラ兄弟が集合するようになった。最終回はOPを省略し、ED曲として使用。
「ウルトラ防衛隊」に参加したのは佐原健二(ウルトラQ)、黒部進(ウルトラマン)、桜井浩子(ウルトラマン)、二瓶正也(ウルトラマン)、ひし美ゆり子(ウルトラセブン)、団時朗(帰ってきたウルトラマン)、高峰圭二(ウルトラマンA)、杉浦太陽(ウルトラマンコスモス)、五藤圭子(ウルトラマンネクサス)、青山草太(ウルトラマンマックス)と過去作の出演者となっている。
『ウルトラゾーン』では高田里穂、『ゴーストリバース』ではボイジャーがカバーを担当した。
挿入歌
- Run through!〜ワンダバ「CREW GUYS」
作詞:満田かずほ/作曲・編曲:冬木透/歌:Project DMM with TMC
GUYSのテーマソング。新世代ヒーローズ以前の平成ウルトラマンでは最後のワンダバとなる。
- Radiance〜ウルトラマンヒカリのテーマ〜
作詞・作曲:高取ヒデアキ/編曲:籠島裕昌/歌:Project DMM
「ヒカリサーガ」主題歌。劇中ではインストゥルメンタル版が使用された。
- 誓いを君に
作詞・作曲・編曲:大門一也 / 歌:Project DMM
- ウルトラの奇跡
作詞・作曲:大門一也/歌:Project DMM
ウルトラ戦士共通の戦闘テーマ。作中ではウルトラの父のテーマソングとしての側面も持つ。
関連イラスト
ネタ
ヒーローメモリアルイヤー
本作が放送された2006年は、仮面ライダーやスーパー戦隊のメモリアルイヤーであり、当時放送されていた『仮面ライダーカブト』は仮面ライダーシリーズ生誕35周年記念作品、『轟轟戦隊ボウケンジャー』はスーパー戦隊シリーズ30作記念作品だった(ちなみに40周年記念作品は、仮面ライダーシリーズでは5年後の『仮面ライダーフォーゼ』、戦隊シリーズではさらにその5年後の『動物戦隊ジュウオウジャー』が該当する)。
10年後の2016年もウルトラシリーズ50周年記念にして、仮面ライダー8スーパー戦隊のメモリアルイヤーでもあり、多くの特撮関連の映像作品が公開されたり、企画が展開されるなどしている。そして、やはりその記念すべき年を記念して新たなヒーローが降誕することも判明しており、メビウスも間接的にその後輩ウルトラマンと関わることになる。
また、メビウス自身も2007年に横浜ベイスターズ対オリックスバファローズ始球式で仮面ライダー電王をバッターに迎え夢の対決を実現した(ちなみに両ヒーローを演じた役者は後に野球をテーマにしたドラマで共演していたりする)。また、横浜ベイスターズは本作の放送開始直後の始球式のゲストとしてメビウスを登場させたり、その後の作品でタイアップ(劇中の選手として登場したのは何と…!)したりとウルトラマンに縁の深い球団である。実はメビウスが宇宙警備隊野球部のエースだったという設定が明かされたのも、このタイアップが初出だったりする。
余談
大人の事情に泣かされる。そして暗黒期へ…
前作『マックス』を最後にCBC全国ネット子供番組枠が廃枠となったため、本作はローカル枠での放送を余儀なくされ、関東ローカルは本来ならTBS担当の土曜夕方5時半をCBCに貸借して放送した。
その結果、この作品は日本テレビ系列である秋田放送でも放送された一方、長崎放送、大分放送、テレビ山口では放送枠確保困難などの理由から放送を断念した。また、この3局以外でも同様の理由から放送開始時期を遅らせたり、その遅れを取り戻すべく夏休みや冬休みの時期に一部エピソードの集中放送を実施したり、既に平日夕方は帯情報番組が編成されていたり、土日ローカル枠も既に少なくなり、早朝か昼3時台などに放送と半ば無理な編成を組まざるを得なくなったテレビ局が少なからず存在した。
これらの事情に配慮してか、放送できた一部系列局ではCMの放送は勿論、県内向けの朝のニュース番組でも特集を組むなど、積極的に宣伝が行われていた。中には、初回や最終回などでないにもかかわらずメビウス本人や客演した先輩ウルトラ戦士まで登場し大々的に特集が組まれたケースもあり、当時のテレビ局や円谷プロが視聴者獲得にかなり苦心していたことがうかがえる。
だが、それでもローカル枠での放送となった影響は大きく、スポンサードネット扱いでの放送も同時・遅れを問わず主要都市圏に限られ、さらには前々作『ウルトラマンネクサス』から名古屋地方局発となったことで首都圏では十分に宣伝されずに視聴率不振となり、スポンサー獲得も困難となって番組提供枠として売れなくなってしまった。
こうした事情も相まって、本作はCBC子供番組の最終作となり、2007年秋の深夜特撮ドラマ『ULTRASEVENX』を最後にTBSでのウルトラシリーズの放送は終止符を打った。
また少子化や上述の放送枠問題が原因となり、特に作品序盤では視聴者も激減し(『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』公開が功を為したのか、後半は視聴率が上がったが、それでも多くて3%程度が当たり前だったという)、商業的にも成功を収められず、この結果2007年に円谷プロは負債総額30億もの累積赤字を抱えた末にTYOに買収されることとなった。
これらの大人の事情が重なった結果、今作以後、ウルトラシリーズは2013年に『ウルトラマンギンガ』が放送されるまでの間、長い暗黒期に突入することとなる。
しかし、本作はテレビシリーズ終了後もメディアミックスによる作品展開が盛んに行われており、大怪獣バトルシリーズとともにウルトラマンゼロシリーズ始動までの数年間を繋いだ。
『ウルトラマンジード』で主演を務めた朝倉リク役の濱田龍臣は、幼少時代に本作をリアルタイムで見ていたとのこと。また、『ウルトラマントリガー』で主演を務めたマナカ・ケンゴ役の寺坂頼我も小学校1年生の時にリアルタイムで見ていたとインタビューで語っている。ちなみに『トリガー』で劇伴音楽を担当した坂部剛氏は、佐橋氏のアシスタントを担当しており、佐橋氏のBGMと似ているのはそのためである。
関連タグ
ウルトラマン ウルトラマンタロウ ウルトラセブン ゾフィー GUYS
ウルトラマンヒカリ ウルトラマンA ウルトラマンレオ ウルトラマン80
ウルトラマンG:コンパチシリーズにおける先輩
ウルトラマンダイナ:野球繋がり、また、平成作品では最も過去作要素が多く、世界観もそのまま継承した作品繋がり。
ウルトラマンマックス→ウルトラマンメビウス→大怪獣バトル
アンデレスホリゾント…メビウスの小説作品。詳しい話の内容は該当ページを参照
機動戦士ガンダムUC…コンパチヒーローで平成に入り、久々に制作された初代作品の世界観の続編繋がり