「『我が物と思えば軽し笠の雪』。どんなハードなトレーニングも私自身のためですから。」
プロフィール
キャッチコピー | 清楚可憐。アメリカ帰りの大和撫子 |
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誕生日 | 2月18日 |
身長 | 152cm |
体重 | 増減なし |
スリーサイズ | B77・W53・H84 |
靴のサイズ | 左:23.0cm 右:23.5cm |
学年 | 中等部 |
所属寮 | 美浦寮 |
得意なこと | 和菓子、日本文化全般、競技かるた |
苦手なこと | 虫、歴史や伝統を軽んじた行い |
耳のこと | お茶を点てる時は微動だにしない |
尻尾のこと | 振り返らずに背後の虫を落とせる |
家族のこと | 日本好きは親の影響。実家には和室もある |
ヒミツ | ①スカート丈にひそかなこだわりがある / ②抹茶ラテは『和』としてアリかナシかで悩んでいる |
自己紹介 | グラスワンダーと申します。ウマ娘として生まれたからには、その“道”を果てまで窮めたいものですね。ふふっ♪ |
CV | 前田玲奈 |
アメリカ生まれの帰国子女。両親ともども和の文化に憧れて育ったため、生粋の大和撫子になった。
物言いはほのぼのと柔らかいが、芯は強く、心の奥底には何事にも負けまいとする確固たる意志を持つ。
親友エルコンドルパサーとはルームメイト。
(リニューアル前)
アメリカ生まれの帰国子女。しかし流暢な日本語と温和な物腰で、中身は完璧な大和撫子。
何事にも落ち着きはらった態度でいて、ほんわかとした独特のペースで話す。
ソロ曲
この先はどんな色に満ちるでしょう?
『 Secret GRADUATION 』
作詞:真崎エリカ 作曲・編曲:渡邉俊彦 歌:前田玲奈
概要
グラスワンダーは、クロスメディアコンテンツ『ウマ娘プリティーダービー』に登場するウマ娘。実在の競走馬「グラスワンダー」号をモチーフとする。
「黄金世代」の一人に数えられる、おっとりしたウマ娘。アメリカで生まれ育ちながらも日本の文化に魅せられた、風流を愛し礼節を重んじる少女。トレセン学園では早くから才能を見出されており、見た目にそぐわない「怪物」の異名を頂く。
人当たりが良く親切で、万事卒無くこなす優等生ながら、柔和な態度の裏には頑固で負けず嫌いな本性を秘めており、遊びであっても勝負事となると手を抜けないタイプ。
普段から泰然としている分、「怒らせると怖い」というのは同期にとっては共通認識らしく、静かに笑っている時ほど危険信号。
『うまよん』では枕投げで集中砲火を浴びながらもセイウンスカイとキングヘイローを瞬殺、エルコンドルパサーに枕を投げつけながらもう片方の腕でスペシャルウィークに狙いを定めるという神業を見せている。
和食が好みらしく、納豆にホットソースをぶちまけるエルを目にして「あんな文化を踏みにじる行為は許せない」と憤り、ゲーム内の一コマ漫画では隣席のエルから自分の食事にまで飛んでくるソースに恐ろしい笑顔を浮かべている。
故郷のアメリカに勝ち気な妹がおり、「いつか絶対負かす」とメールを送って来るなど姉に負けず劣らず闘志に溢れているようだ(グラスワンダーは「可愛いですよね~♪」と微塵も負けるつもりはないらしい)。
※ グラスワンダー号の全妹(同じ父母から生まれた妹)にあたるワンダーアゲイン号は、アメリカでGⅠを2勝した名馬。ワンダーアゲインの主戦を務めたエドガー・プラード騎手(ペルー出身)は、2002年と2004年に米国クラシック三冠の第3戦・ベルモントステークスを、三冠を阻止する形で勝利しており、グラスワンダーの主戦・的場均にも通ずるレコードブレイカーぶりを発揮している。
容姿・デザイン
特徴的な形の白い星が入った短めの前髪に、栗毛のロングヘアーを腰まで伸ばしており、おっとりした印象の垂れ目は深い青色。
右耳のリボンには、勝負服の胸当てと同じデザインのエンブレムがあしらわれている。
モデル馬は馬体重500kg前後と比較的大柄だったが、身長は150㎝台前半とやや小柄で、黄金世代の中では最も背が低い。
ゲーム版では「岩穿つ青」と称される。
グラスワンダー号の勝負服(馬主は半沢信彌氏。白・赤たすき・青袖)をモチーフにした、セーラーカラーのフォーマルなデザイン。“G”を記した胸当てのエンブレムや、スカート部分のベルトを除けば概ねシンメトリーになっているものの、袖周りの意匠は左右で異なっている。
鮮やかなトリコロールカラーの衣装に対して、足元はダークブラウンのタイツに黒っぽいショートパンツ。右脛のサポーターのような装飾は、グラスワンダー号がクラシック期に負った骨折をデザインに落とし込んだものと推測されている。
右後肢の小白を意識して、ショートブーツは左右色違い。駆け抜けていく後ろ姿に赤色の靴裏が映える。
ちなみに、決定稿以前にはブレザー型の勝負服も公開されていたが、配色や意匠の多くは現デザインに引き継がれている。この時はスカートがグレーのチェック柄、タイツではなくニーソックスといった出で立ち。pixivでもこの初期原案姿のイラストが少数ながら投稿されている。
イベントストーリー第4弾『幻想世界ウマネスト』に登場する仮想ファンタジー世界に入ってしまい、治癒士(ヒーラー)として召喚された姿。
- 和服
イベント第20弾『Illuminate the Heart』に登場した衣装。キタサンブラックとサトノダイヤモンドの祭りをフォローするために着替えた。
- うまゆる衣装
アニメ『うまゆる』第13話のラップバトルの衣装。それまでのグラスとは打って変わった黒を基調とした服装となっている。
- 私服(ゲーム版)
バルーンスリーブのフリル付きブラウスに、膝上丈のスカート。サポートSSR[千紫万紅にまぎれぬ一凛]でも楚々とした洋装を見せている。
アニメ版
アメリカ生まれの帰国子女。トレセン学園最強チーム<リギル>所属のジュニアチャンピオン。クラスはスペシャルウィークやエルコンドルパサーらと同じC組。
しかし流暢な日本語と温和な物腰なので、あまり闘争心がないように思われがちだが、レースで驚くような走りを見せる。
クラスメイト達の良き相談相手であり、しっかりと相手の意見を聞き、やさしく諭すように意見を言う。
そのあまりに的確な発言から「実は腹黒いのでは?」という疑惑も(?)
アニメ公式サイトより
Season1
グラスワンダー号の主戦騎手・的場均が得意とする徹底マーク戦法を意識したのか、落ち着いた雰囲気だが腹黒いというか、やや執着心の強い(二次創作ではここを誇張したヤンデレ化も多い)性格になっている。怪我でクラシックを全休していることから、アニメシーズン1では当初レースシーンが描かれなかったが、第6話(98年毎日王冠)より本格復帰、初めてレースシーンが描かれた。
第8話(99年宝塚記念)は実質グラスワンダーのメイン回。
スペシャルウィークとの初対戦となる宝塚記念に向けて、一層力を入れてトレーニングに励むグラスワンダーをよそに、当のスペシャルウィークは故障からの復帰を目指すサイレンススズカのリハビリに付きっきりで、レースに全く集中できていなかった。
迎えたレース当日。同期との戦いを前にかつてない闘気を纏って挑むグラスワンダーは、ゲートが開くやスペシャルウィークの背後につける。前年のレースでサイレンススズカが勝利したことに思いを馳せながら走るスペシャルウィークだったが、それを打ち消すほどの気迫が背後から迫っていた。4コーナーで引き離しにかかるもグラスワンダーの徹底的なマークを振り切れず、直線であっという間に抜き去られたスペシャルウィークは3バ身差の2着に甘んじる。終始レースへの集中を欠いていたスペシャルウィークに、グラスワンダーは問いかける。
「 私はスペちゃんだからこそ全力でした。
スペちゃんは、私に全力で来てくれましたか? 」
目標を見失っていたことに気付かされたスペシャルウィークは、日本一のウマ娘になる夢のために復活を誓うのだった。
ちなみにこのレース以降、二人の関係がギクシャクし始めた――ということは無く、サイドストーリーでは一緒にスイーツバイキングに行っていることが明かされた。
第13話の有馬記念では史実通りスペシャルウィークとの大接戦の末に勝利、思わず感涙する姿が描かれている(勝利を確信していたスペは呆然としていた)。ウィンタードリームトロフィーにも出場。
Season2
端々に登場する程度だったが、第8話でメジロマックイーンを追跡するライスシャワーにシンパシーを感じていた。明らかに同じ主戦騎手繋がりである。
ついでに、史実を反映してか食事量もスペに負けず劣らずの量となっていた。1期で主立ったエピソードをほぼ消化したスペがネタ要員に転じている一方で、史実ネタを存分に描いた結果、ネタキャラ化した模様。
第8話の終盤ではチームスピカのメンバーがマックイーンのために用意した宴会にもちゃっかり参加していた。
Season3
第10話のトレセン学園地域共同イベントで催されたチームスピカの執事喫茶に来店し、ゴールドシップと談笑、その直後にゴールドシップが引き入れた白髪の男性を紹介する様子を見て喜んでいた(実は史実ネタ。「関連人物」項で説明)。
ゲーム版
リリース初期より☆2の育成ウマ娘[岩穿つ青]とRのサポートカード[トレセン学園]、SSRのサポートカード[千紫万紅にまぎれぬ一凛]として登場。
両親の影響で日本文化に造詣が深く、茶道・華道・書道・日本舞踊・百人一首・居合に薙刀まで修めているという大和撫子見習い。今でこそ流麗な日本語を使いこなしているが、日本に来て間もない頃は流石に英語訛りが混じっていたらしい。
野点を趣味にしており、学園では友人を誘って日常的にお茶会を開いている。
温厚で優等生然としていながらも、強烈な闘争心を秘めており、己が走りで頂点を極めんとする武人めいた覚悟でトゥインクル・シリーズに挑む。
靴のサイズは右が0.5cm大きく設定されており、これは獲ったGⅠがすべて右回りだったことに由来する。
イベント「幻想世界ウマネスト」では諸事情で仮想ファンタジー世界に入ってしまい、治癒士(ヒーラー)として召喚された姿で登場。
同イベントではゲーム知識がほぼゼロのエルコンドルパサーとは対照的に、ファンタジー世界の解説どころかゲームのお約束や攻略法まで披露する程に詳しく、ゲーマーなのではという疑惑も出ている。
2021年11月29日にはテレビCM「Rivals」で主役に抜擢。
「あなただからこそ、勝ちたい!真剣勝負…いざ参ります!」
メインストーリー
「相手がどれだけ強豪と言われていても、私はその上に……!」
スペシャルウィークが「日本総大将」へと至る軌跡を辿った第1部最終章に登場。不調や故障に苦しめられながらも、ライバルと駆ける舞台を目指してもがく姿と、不死鳥にも喩えられた不屈の激走が印象的。
特に、アニメ版ではどこか不完全燃焼だった宝塚記念が、こちらでは両者ともに充実した状態での真っ向勝負として描かれており、“未知なる栗毛”へのオマージュや、土煙を上げるグラスワンダーの豪脚、ライスシャワーと通じる「運命的な何か」など、あらゆる文脈を詰め込んだムービーは圧巻の出来栄えとなっている。
ウマ娘ストーリー
「 ……つまりは、私のわがままです。」
グラスワンダーは馴染みの店で野点に必要な品々を注文した帰り道で、うっかり迷子になっていた学園のトレーナーを発見する。のんびりと徒歩で学園へ連れ帰る道すがら、長距離の移動でお腹を鳴らしたトレーナーを野点に誘いながら、自身の生い立ちを語ったグラスワンダーは、後日開催された選抜レースで“迷子のトレーナー”と再会する。
彼女がレースで見せた前評判通りの素質に多くのトレーナーが関心を示すものの、一身上の都合で数多のスカウトを断ってしまう姿は「闘争心の欠如」という噂と共に広まっていった。しかし、トレーニング中のグラスワンダーの瞳になおも燃え盛る闘志を見た“迷子のトレーナー”は、彼女に「次の選抜レースまで待つ」と宣言。戸惑いながらも申し出を受けたグラスワンダーは、数ヶ月越しの先約に応えるのだった――。
育成ストーリー
「マルゼンスキーの再来」と称されたことをきっかけに、彼女を超えることが大きな目標となっていくのだが、意識しすぎて他のウマ娘が眼中になくなる……というアニメ版での誰かさんのような描写がなされている。
その克服の仕方が「芯が強い」というには余りにも漢らしすぎたり、優雅な言葉の節々から凄まじいほどに負けず嫌いな本質を覗かせたり、あるイベントでは柔らかな物腰のまま、周りに迷惑をかける不作法者に「とっとと失せろ(要約)」と言い放ったりとトレーナー達に強烈なインパクトを与え、ツイッターでは一時期「グラスワンダー」のサジェストに「武士」が出てくる有様だった。
彼女の紹介動画内に付けられたコメントの中には某ハジケリストになぞらえて「立てば撫子、中身は武士(もののふ)、走る姿は不退転」なんてものも。納得。
育成ウマ娘
- ☆2[岩穿つ青]グラスワンダー
- 精神一到(★2)
最終直線で後ろの方から追い抜くと末脚を使って速度が少し上がる。
- 精神一到何事か成らざらん(★3~)
最終直線で後ろの方から追い抜くと末脚を使って速度が上がる。
真剣勝負、いざ参ります!
- とあるレースでのみ使用する特殊な固有スキル。彼女の意思は運命をも味方につけ、その身を最強の頂へと押し上げる。
距離適性で中距離がBとなっているが、クリアしないといけないレースには中距離も多く含まれるため、因子継承でフォローする必要がある。
また、短距離適性が最低ランクのGであるため、目標レースではないが史実に沿ったレースを選んで走る場合、1400mの京王杯ジュニアS(当時の京成杯3歳S)と京王杯SCが鬼門となる。(史実では両方とも1着を取っているのだが…)なお、史実では当時1400mであったアイビーSは現在1800mに距離が変更されているので問題なく走れる。この史実と噛み合わない距離適性を捩ってガバガバ(GABA GABA)査定と言われることもあるが、現時点では初期の距離適性に3箇所以上Aのある育成ウマ娘がいないため、バランス調整によるところもあるのだろう。(育成ウマ娘でなければハッピーミークが全距離適性Aである)
固有スキルは最終直線で後ろの方から追い抜くと速度が少し上がるというもの。厳密には最終直線で4位以下から追い抜くことで発動する。
発動演出では薙刀を振るうという凛々しい姿を見せたことで話題となった。
- ☆3[セイントジェード・ヒーラー]グラスワンダー
固有スキル
- ゲインヒール・スペリアー
中盤に後ろの方で順位を下げた時に優しい光で持久力をすごく回復する。
固有二つ名
不死鳥
やる気「好調」以下で朝日杯FS、有馬記念(クラシック級)、宝塚記念(シニア級)、有馬記念(シニア級)を勝利する。
- 順風満帆とは言い難かった現役時代を反映したものだが、特に意識しなくとも種々のイベントで「絶好調」を維持してしまうことがままあるため、3ターン連続出走やトレーニングでの失敗誘発などでやる気を下げる必要があり、難しいというより面倒。
- クライマックスシナリオではやる気を下げられるロイヤルビタージュースで調整は可能。
特殊実況
シニア級の宝塚記念でグラスワンダーとスペシャルウィークでワンツーフィニッシュする。
- グラス本人が1着を取ることは言わずもがな、スペシャルウィークが2着に入らなければ聞けないため、幾らか運が絡む(特に、スペの戦法・差しはどんなにステータスが高くてもバ群に呑まれた時には事故る運要素が高いものであるため)。
サポートカード
- SSR[千紫万紅にまぎれぬ一凛]グラスワンダー
リリース初期からサポートカードガチャにて入手可能なSSRサポート。タイプは根性。
- SSR[遥か流るる冬夏青青]グラスワンダー
ストーリーイベント「Happy new future ~朝焼けの絆~」にて報酬での配布として登場したSSRサポート。タイプはパワー。
関連人物
同期のライバル。ウマ娘としては普通に仲が良いクラスメイトだが、史実での対決において徹底的なマーク戦法で勝利したことからかアニメなどでは少々距離が近すぎるような描写も見られる。
寮でのルームメイトで親友かつ同期のライバル。史実ではどちらも外国産馬でクラシック戦線に出られなかった・的場均繋がり。
ライバルとしても良い関係を築いており、基本的に仲は良いが、ラテン系な彼女が日本文化をブチ壊す行いをしたり、同室故に誰よりも知っている裏の顔を暴露されたりすると笑顔でマジギレする。
彼女が部屋でこっそり猛禽類を飼っている事は内緒にしている。なお、自身はコケリウムを育てているらしく、ホーム画面では花がついたことを嬉しそうに教えてくれる。
史実でグラスは「マルゼンスキーの再来」と期待された。
ゲーム版でも同様に評価され、彼女を目標としてトゥインクル・シリーズに挑むことになる。
靴のサイズが違う仲間(左右は逆)。また、モデル馬が現役時代「英国競馬史上屈指の悪役」と称された名馬・ロベルト号の血筋を継いでいるという共通点もある。
初期PVにおいて、エルの相方を務めていたウマ娘。グラスの登場により相方ポジションは現在のグラスへと代わった。
的場均繋がり。彼が騎手時代に騎乗し、GⅠを制した競走馬でウマ娘化された馬は、グラスワンダー・エルコンドルパサーを含めて4頭。
ライスについては、モデル馬がロベルト系同志であり、日本競馬史における「ヒール」的な扱いを受けることが多いという共通点もある。
モデル馬がロベルト系同士である繋がり。なお、ブライアンについては、ケガにより休養中であった主戦の南井克巳騎手の代打として、天皇賞(秋)出走時に的場騎手が騎乗したことがある。
こちらは「ワンダー」が冠名。
ウマ娘ではグラスが年下になっているが、史実ではグラスが14歳年上。史実では種牡馬時代に4年間だけ同じ種牡馬繁養牧場(ビッグレッドファーム)にいたことがあり、馬房が隣同士だった。ボス馬気質のゴールドシップ号が珍しく敬意を払うボス馬的存在であり、グラスワンダー号の馬房の前を通る時は必ず立ち止まり挨拶し、その度グラスワンダー号が喜んだというエピソードが残っている。ウマ娘でもこのネタが度々拾われている。
競走馬『グラスワンダー』
99年、宝塚記念。
標的はただ一人、同期のダービー馬だった。
今行くか。いや、まだか。いや、今か。
一瞬の判断で未来を変えた、未知なる栗毛。その馬の名は…
「選ばれた夢。」
歴戦のジョッキーが選んだのは、骨折を克服した3歳チャンピオンだった。
傷は癒えた。しかし、走りを取り戻せない日々が続く。
そして迎えた、冬のドリームレース。1年ぶりに点火されたターボエンジンが爆発した。
グラスワンダーは、夢のように勝ち、夢のようなレースを見せる。 /> 7年ぶりにレコードを更新した朝日杯3歳ステークス。
外国産馬初の優勝、復活の有馬記念。
現役最強の座を争い、力を見せつけた夏のドリームレース・宝塚記念。
驚異の爆発力を持つ夢の馬、グラスワンダー。いまだその底を見たものはいない。
- JRA『ヒーロー列伝コレクション』No.47「グラスワンダー」
Wonder Boy
その日、私たちは
歴史的な瞬間を
確かに目撃した。
それほど速かった。
ひたすら強かった。
この若き俊傑なら
苦境やライバルに
行く手を阻まれても
さらなる驚きを
積み重ねていくだろう。
《「名馬の肖像」2017年朝日杯フューチュリティステークス》
1995年生まれの栗毛の牡馬(98世代)。アメリカ・ケンタッキー州生産の外国産馬で、スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、セイウンスカイ、キングヘイローなどと同い年。
父シルヴァーホーク、母アメリフローラ、母父ダンジグという血統の持ち主。
父シルヴァーホークは祖父に先述したロベルトを持ち、現役時代こそエプソムダービー・アイリッシュダービーそれぞれで2着という善戦ホースだったが、種牡馬入り後はその無念を晴らすが如く数々の活躍馬を輩出した。このいわゆる「ロベルト系」と呼ばれる血統は、当時日本でリアルシャダイ・ブライアンズタイムなどが成功を収めている。母アメリフローラは不出走だが伯母に複数の重賞制覇馬を持ち、その父ダンジグはサドラーズウェルズと並ぶノーザンダンサー後継種牡馬として知られる。
なお、全妹として1999年生まれのワンダーアゲインを持つ。彼女もガーデンシティブリーダーズカップハンデキャップ(現ベルモントオークスインビテーショナルステークス)、ダイアナハンデキャップと2つのアメリカ芝GⅠを含む重賞5勝を挙げた名馬で、現在はGⅢ「ワンダーアゲインステークス」(ベルモントパーク競馬場・3歳牝馬限定芝1600m戦)としてその名を残している。
的場均騎手を鞍上に迎え、1997年9月の新馬戦でデビューすると、一気に朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス)まで4連勝。かつて2歳馬として最高評価を与えられたマルゼンスキーの「再来」と称えられたものの、翌1998年春に骨折、春季シーズンを棒に振る。
10月の毎日王冠で復帰するも、サイレンススズカの圧倒的な逃げに屈し5着、次戦のアルゼンチン共和国杯でも6着と、復帰直後は不振にあえいだが、12月の有馬記念で勝利。
1999年、安田記念こそ2着に敗れるも、アニメでも取り上げられた宝塚記念にて、的場均の徹底マーク戦法から恐ろしい脚を繰り出してスペシャルウィーク(鞍上・武豊)を完封。
1999年7月11日 阪神競馬場 / 実況:杉本清(関西テレビ)
※この年より宝塚記念専用ファンファーレの使用が開始された。
12月の有馬記念でも、同レースが引退レースとなるスペシャルウィークに引導を渡し、有馬2連覇を飾った。
1999年12月26日 中山競馬場 / 実況:堺正幸(フジテレビ)
ところが2000年に入ると、厩務員の交代や歴戦の疲労により調教が上手くいかず、立て続けに大敗。更には宝塚記念(このレースのみ蛯名正義が騎乗)で故障。これが原因となり引退、種牡馬入りした。
産駒は、初年度のマルカラスカルが、中山大障害(2006年)・中山グランドジャンプ(2008年)と、二大障害GI競走を制覇。平地でもスクリーンヒーロー(ジャパンカップ)、セイウンワンダー(朝日杯フューチュリティステークス)、アーネストリー(宝塚記念)の3頭がGⅠを勝利した。
母父としてはメイショウマンボが牝馬二冠を含むGⅠ3勝を挙げた。さらにスクリーンヒーロー産駒からモーリス(安田記念などGⅠ6勝)とゴールドアクター(有馬記念)の2頭のGⅠ馬が誕生した。
2020年4月、種牡馬を引退。NPO法人引退馬協会に引き取られ、北海道新冠郡新冠町にて余生を過ごしている。コロナ禍で移動直後は見学できない状態だったが、競馬番組「馬好王国」にて繫養のロケ企画が行われ、25歳でも元気な姿が放送された。
そして2021年スプリンターズステークスをモーリス産駒(つまりグラスワンダーの曽孫)ピクシーナイトが勝利。これにより中央競馬史上初の父子4代GI制覇を成し遂げた。ちなみにピクシーナイトの母父はキングヘイローで、他にウマ娘化されている馬だとサクラバクシンオーの血も入っている。
この馬については「非常に落ち着いた性格の持ち主であったが、日常的にも大人しい馬であり、競走前にも闘志を表に出さない馬であったが、茫洋として映るときの方が気合が乗っているのだともされた」(Wikipediaより)とあり、これがアニメ・ゲーム内の性格に反映されたのだろう。
※参考動画(お手入れ中のゴールドシップとグラスワンダー(とNHKマイルC勝ち馬ジョーカプチーノ))
2023年現在も存命(28歳)で、2018年には担当声優の前田玲奈がグラスワンダー号に会いに行ったそう(同じ種牡馬繁養牧場にいたゴールドシップや当時は存命だったアグネスデジタルにも会ったとのこと)。
2023年に入り、ウイニングチケット、ナイスネイチャ、シンコウウインディといったウマ娘のモデルとなった高齢牡馬が相次いで天寿を全うしたことにより2023年9月現在で本馬がウマ娘のモデルとなった牡馬の中で存命最高齢となった(牝馬を含めた場合の最高齢は1歳年上のメジロドーベル。牡馬の長寿次点はグラスワンダーより生まれが約1ヶ月遅いツルマルツヨシ)※。
※実名登場に限る。
余談
太り気味の馬
「グラスワンダー」と検索するとサジェストにて「豚」と出ることがある。余生を過ごしているうちに少し太ったようだ(外部リンク)。その姿は、さながら馬というよりは牛のようである。
とにかく動かず、ただじっと突っ立っていることが殆どである事が原因とされる。
あんまりにも動かないため、健康の為に動く歩道(ウォーキングマシーン)に入れられて無理矢理歩かされている。(誰が呼んだか不退転マシーン)
また、現役時代から体重の上下動が激しく、現役時代の15戦中、最高体重と最低体重の差は50kgもあった。
???「豚デェェェェス!!」
こうなると馬は一気に老け込み弱るものなのだが彼の場合タンポポが好き(食べるという意味で)なようで見つけては食べてしまう=食欲は旺盛、後タンポポを発見し次第急行するため単純に好きでジッとしている模様。
ちなみに、彼の周りで一輪でもタンポポが顔を出した瞬間食べられるため、顔の届かないところにはたくさん咲いているのに届くところのタンポポは全滅という事態に。
ちなみに寝ながらタンポポ(実際はシロツメクサ)を食べているグラスワンダーとして動画が出回っているが人違いならぬ馬違いで、動画の馬はイギリスの障害馬シャカラカブンブン(Shakalakaboomboom)である。
抹茶ラテ
グラスワンダーのヒミツ②に「抹茶ラテは『和』としてアリかナシか悩んでいる」というものがあるが、実は現実でオーストラリアの競走馬として活躍するモーリス産駒(つまりグラスの曾孫)にマッチャラテ(Matcha Latte)という馬がいる。
名は体を現す?
欧米の2歳戦で凄まじい戦績を収めた競走馬アラジが「ワンダーホース」の異名を持ったが、グラスワンダー自身も2(3)歳戦で傑出した成績を残し、その名の通りの「ワンダーホース」だった。なお、アラジが3歳以降GⅡ1勝止まりだったものの、こちらは3歳以降も度重なる故障やライバルとの戦いで、GⅠ3勝を挙げた「不死鳥」でもあった。(両者とも通算でのGⅠは4勝という共通点もあったりする)