シン・アスカ「この間はジャスティスだったから負けたんだ!デスティニーなら、お前らなんかにっ!」
機体データ
型式番号 | ZGMF/A-42S2 |
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全高 | 18.08m |
重量 | ??? |
装甲材質 | ヴァリアブルフェイズシフト装甲 |
動力源 | ??? |
所属 | モルゲンレーテ社→世界平和監視機構コンパス |
パイロット | シン・アスカ |
概要
第二次連合・プラント大戦中にザフトが開発しシン・アスカが搭乗、同大戦の最終決戦「メサイア攻防戦」にてインフィニットジャスティスとの交戦の末大破、月面へ放棄されたZGMF-X42S デスティニーをターミナルが秘密裏に回収し、オーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハ経由でモルゲンレーテ社に預けられ、そこで修復と改修が施された機体。
新型融合炉と新装備の性能評価実験に使用するテスト用機体として修復・改修されたため、コントロールシステム(コクピット内装やM.O.S)が最新のものにアップデートされてはいるが、駆動系と武装は改修前と変わらない。さらに、装甲形状やスラスター等にも手が入っておらず、同列の改修機であるストライクフリーダム弐式やインフィニットジャスティス弐式と異なり形状は一切変化していない。そのため、改修を担当したエリカ・シモンズによればこれでもファウンデーションの新世代モビルスーツと戦うには心許ないと発言がなされていた。
ほんの1年前は最新鋭だった本機も旧式と評されてしまうほど、ファウンデーション側の技術力が高すぎることは否めない。それはそれとしてコズミック・イラの技術革新の早さは、やはり異常と言える(※)。
小説版ではシンが作中前半に搭乗していたイモータルジャスティスの方がデスティニーよりも火力では上とされる。
※:言ってしまえば宇宙世紀が30年掛けていた技術を僅か1年で達成してしまうようなもの。
とはいえ、元を正せばZGMF-Xシリーズのバリエーション機体であるストライクフリーダム弐式やインフィニットジャスティス弐式、セカンドステージシリーズであるインパルスSpecⅡに対して、政治的都合でセカンドステージ扱いではあったものの実際はサードステージシリーズに属する本機は依然として世界最強格を保っていると思われる。
経緯はどうであれ、シンのために用意され、前大戦から数々の戦場を共に駆け抜けてきたデスティニーに対して、シンにとっては「相棒」に近い愛着と信頼を持っていた様で、約1年ぶりの愛機との再会には「デスティニー!」と笑顔で声に出す程に喜んでおり、上記のエリカの発言に対しても、「いや…これさえあれば、あんな奴らなんかに!」と自信に満ち溢れた不敵な笑みを浮かべていた。
型式番号
型式番号は(ザフト正規軍の機体でなくなったにもかかわらず)ザフトの法則に則って整理され、対艦・対要塞用の高火力装備を持つことから任務記号に攻撃機を示す「/A」が追加された。一方、インパルスSpecⅡと同様に実戦想定の試作機に付けられる「X」は外され、末尾にはSpecⅡを示す「2」が足されている(額の刻印は改修前と変わらずに「X-42S」「DUE」となっている)。
所属
シンに引き渡された本機はストライクフリーダム弐式やインパルスSpec共々ミレニアムの艦載機となったことで、各種媒体では世界平和監視機構コンパスの所属機として扱われている。ただし、ミレニアム自体をアレクセイ・コノエが「今はコンパスではない、言わば海賊」(要約)と明言していたり、本機受領の時点で公的組織としてのコンパスは活動が凍結されていることからも、正式なコンパス所属機とは言い難い複雑な面を持つ。強いて言えば、コンパス構成員が私的に調達して乗り回した機体ということでコンパス所属となっている(かつての三隻同盟所属機に近い)。
機体構成
変化している部分を中心に記載。
カラーリング
ヴァリアブルフェイズシフト(VPS)装甲の電圧配分が調整され、頭部のブレードアンテナが黄色から本体と同様のグレーかかった白となった他、胸部のライトブルー部分が本体より明るい白に変更されている。
頭部
原型機はハイパーデュートリオンエンジンを搭載していた関係上額にデュートリオンビーム送電システムの受信機能を備えていたが、SpecⅡでは新たに無尽蔵のエネルギーを活かし友軍機へ向け額からデュートリオンビームを照射する機能が追加された。流石にミネルバほど長い距離での照射はできないようで、対象に最接近して行う必要こそあるものの、随伴機体であるインパルスSpecⅡをはじめとするデュートリオン対応機へ電力供給を行い数秒間でバッテリーを全快にして戦闘へ復帰させられるなど、強襲と補給のどちらもこなせる万能機としての役割を持つようになった。なお、デュートリオンビームを受信する機能が残されているかは不明である。
コクピット
最新型であるライジングフリーダムとイモータルジャスティスに採用されたタイプと同様の全天周囲モニターへと交換されており、視認性と機能が更に向上している。
動力
詳細は不明だが、VPS装甲色の変化、デュートリオンビーム照射システムの搭載、ストライクフリーダム弐式の武装の大半が更新されていること、劇中でのエネルギー消費描写(レクイエム破壊直前で半分程度)などから、新型融合炉のテスト機だったのは本機の可能性が高い。
フレーム
後述の戦闘中にはフレームが赤く発光する現象が確認されている。しかし、エリカの「駆動系(と武装)は昔のまま」という発言を考慮すると、発光中はストライクフリーダムと同様に超過駆動状態に至っていた可能性が考えられる。元々デスティニーのフレームは「VPS装甲の技術を応用した特殊素材」により製造されているため、色が変わっていても何ら不思議ではない。なお、ストライクフリーダムのようにフレーム全てが光っていたわけではなく、両手と首(襟のようなパーツ)、胸部ダクトは発光していない。
武装
デスティニーより引き継いでいる武装は本体の出力向上に伴って各武装も幾分か出力が上がっているようだが、武装自体に変化は見られないため簡潔な解説のみとする。詳細はデスティニーの記事を参照。
MMI-GAU26 17.5mmCIWS
両側頭部に内蔵された近接防御機関砲。
本機の標準装備で唯一の実体弾兵装であり、数少ない固定武装だが旧デスティニー時と同様に劇中未使用。
MA-BAR73/S 高エネルギービームライフル
固有のビームライフル。
SpecⅡへの改修後も用意こそされていたが、相対するブラックナイトスコードのフェムテク装甲にビーム射撃が通じないため後述のレールガンが手持ち武装として代わりに装備され、劇中未使用な上に登場すらしていない(キットには付属)。
RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン
両肩に装備されているビームサーベル兼用の簡易ドラグーン式のビームブーメラン。
MMI-714 アロンダイト ビームソード
右ウェポンラックに装備されている大型ビームソード(対艦刀)。
本装備のみカラーリングに変更があり、水色から明るめの白色に変更されている。
M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲
左ウェポンラックに装備されている大型ビームランチャー。
MMI-X340 パルマフィオキーナ 掌部ビーム砲
両手に装備されている高出力ビーム砲。
接射時の威力は依然としてMS用ビーム兵器としては破格の火力であり、VPS装甲製のマニピュレーターによる手刀をはじめとする物理攻撃と同時に使用できることから、実質的にビーム兵器無効のフェムテク装甲を貫通できる。
MX2351 ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置
両手甲に装備されているビームシールド。
劇中未使用。
対ビームシールド
左腕に装備されている実体シールド。
劇中では装備こそされているがシールドとしては未使用。
ヴォワチュール・リュミエール
背部ウイングに搭載されている、レーザー光を推進力(光圧)に変換する自発的なレーザー推進システム。使用時には桃色の光の翼(量子被膜)が発生し、本機の機動性を高める。
この機能自体は上記の武装と同じくデスティニーの時と変わらないが、最大出力によって発揮される機動力は、同じ原理を扱うブラックナイトスコードすら凌駕しており、実際ルドラ4機がかりですら捉え切れず傷一つ付けられなかった。
劇中ではミラージュコロイドの光線屈曲技術との併用で瞬間移動とも評せるような機動を見せており、更に残像形成とは別に、「DUPE粒子」と呼ばれる粒子によって静止状態からでも分身を形成している(恐らくは劇中で分身時にデスティニーの周りに見られた金色の粒子を指す)。
オプション装備
試製35式改レールガン
フェムテク装甲対策として採用された追加武装で、「MA-BAR73/S 高エネルギービームライフル」の代わりに2挺装備。1挺は手持ち、もう1挺は予備としてリアスカートに装備して出撃している(発進シーンでは手持ちの個体しか確認できないが、後のシーンでは一貫してリアスカートにもマウントされていたため発進シーンの方が作画ミスと思われる)。
A-GXQ754/V2 ゼウスシルエット
C.E.73年にデスティニーと同時期に開発・完成していたとされる追加武装。シルエットシステムの一種と思われる代物で、事実上のデスティニー用ミーティアと言っていい程の大型大火力装備。
本編公開当初は当時の関連書籍でも特に呼称されておらず、この名称はMETAL ROBOT魂での情報解禁により判明した。
劇中の活躍
アカツキ島の地下格納庫でストライクフリーダム弐式、インパルスSpecⅡと共に改修・保管されていたことが明らかとなる。先の戦闘でイモータルジャスティスを失ったシン・アスカにエリカ・シモンズの手で宛がわれ、保管されていた2機と共にファウンデーション側の監視衛星を誤魔化すためにシートにて上半身を覆った状態でミレニアムに積み込まれる。
ミレニアムがファウンデーション軍と会敵、その陣形を強行突破して背後を突いたと同時に、先発隊としてルナマリア・ホークが搭乗するインパルスSpecⅡ、ヒルダ・ハーケンが搭乗するゲルググメナースと共にミレニアムから発進、両機と共にミレニアム防衛を担当する。
当初はアコードらブラックナイトスコード(以下ブラックナイツ)はシンを一度撃破している上に前大戦の代物である旧式のデスティニーを今更駆り出してきたシンを完全に格下と見くびっており、「ふざけた連中」「少しは殺し甲斐がある」「兵隊どもの訓練には丁度良い」とウォーミングアップ程度の認識であった(小説版ではシュラ・サーペンタインが戦闘映像を幾度にも分析してアスラン・ザラを最強とみなしたとあるため、同様にシンの戦闘映像も分析していた可能性もある)。
しかし、ブラックナイツの認識とは裏腹にシンと本機は鬼神の如く大暴れを見せる。
艦隊と会敵した本機はブラストインパルスSpecⅡと共にこれを攻撃する。大量のジン-Fによるミサイル弾幕を物ともせずに高エネルギー長射程ビーム砲の一発でジン-Fを3機撃墜、さらに遠方からファウンデーション軍戦艦のブリッジ部分を的確にビーム砲で薙ぎ払って無力化、そこに持ち前の機動力で接近してエンジン部を的確に撃ち抜いて爆散させた。
ブラックナイトスコード ルドラ4機が現れると、レールガンを左手に持ち替え、フェムテク装甲に対して最も有効打となるアロンダイトを片手で展開、有効打となる武装2種を手にして全機を単機で相手取る。
全身のスラスターを吹かした状態にて、サファイア(ダニエル機)の重斬刀をアロンダイトで受け止め、すぐに弾いて左脚で蹴り飛ばす。サファイアを踏み台にする形で加速してスピネル(リュー機)からのビームを回避しながら接近、即座にビームライフルを斬り飛ばし、一瞬で反転してガーネット(リデラード機)からのビームを避けると同時にそのビームライフルをレールガンで破壊する。そこに斬りかかってきたエメラルド(グリフィン機)の重斬刀もアロンダイトで弾き、レールガンでこれを破壊する。このように、イモータルジャスティスを撃墜したグリフィンですら驚愕する速度で動き反撃を許さずダメージを与えていった。なお、この時の本機はヴォワチュール・リュミエール展開前である。
シン「この間はジャスティスだから負けたんだ! デスティニーなら、お前らなんかにっ!」
更にシンは上記の台詞と共に感情の高ぶりからSEEDを発動、それと同時にヴォワチュール・リュミエールを展開(この直前に左手に持っていたレールガンは投棄されている)して突貫する。背後からのスピネルによるビーム射撃を持ち前の機動力で振り切り、そのままサファイアに斬りかかり一度はシールドにて往なされるが、そこからアロンダイトによる計4回の回転斬りに移行してシールドを破壊、後ろから重斬刀で斬りかかってきたスピネルの攻撃を寸でのところで回避して背後をとり、パルマフィオキーナで振り向きざまに右肘関節を撃ち抜いて重斬刀ごと失わせている(この後サファイアからスピネルにライフルが譲渡された)。
リュー「思考が見えない……!」
ダニエル「コイツ、考えていないのか!?」
対峙した2人はこのように驚愕しているが、これは思考を読んでくるブラックナイツに対して「SEEDを発現させ、思考を遮断して反射能力のみで戦う」シンにしか為し得ない戦術で対抗(小説版では思考の先読みが追い付かない反射速度で、逆にブラックナイツ側の射線が読まれているような動きと表現され、この時点でブラックナイツを半ば恐怖に陥れている)していると説明されている。
その後はビームマントによる残像を解禁したルドラ4機と武器を持ち換えながらのドックファイトを繰り広げていたが、その最中にインパルスSpecⅡがアグネス・ギーベンラートのギャンシュトロームとの激闘の末にフェイズシフトダウンを起こし、ルナマリアからの呼び出しを受けて即座にインパルスSpecⅡの下へ急行する。干渉防止のためアロンダイトを一旦格納して2挺目のレールガンに持ち替え、後ろからのビーム射撃を振り切って合流に成功、脚部のスラスター群を全開にして急制動をかけウイングを閉じつつ、左手にてインパルスSpecⅡの左手をとってその頭部を捕捉、シンの合図と共に額からデュートリオンビームを照射して急速充電を行う。完了直後に追ってきたルドラからのビーム射撃に襲われるが、インパルスSpecⅡと別れるようにしてギリギリ回避する(言い換えれば、総合機体性能だけで言えば遅れを取る最新鋭機4機を相手にしながら、こちらは無傷で的確にダメージを与えつつも僚機の補給ができるほどエネルギーに余裕があったという事でもある)。
再度ルドラ4機とのドックファイトに移行した際は、対峙した本機は右手にレールガン、左手に高エネルギー長射程ビーム砲を装備して応戦した。
ブラックナイツがリューの号令でシンクロアタックを仕掛け、グリフィンがシンの精神に干渉してくるも、これまでの戦争で生まれた深い心の闇と、その中でシンが肯定し続けてきた愛によって彼の精神は守られ、逆にブラックナイツ側はシンクロアタックによる精神同調が仇となって冷静さを失わせる程の恐怖に陥った。
これによりシンクロアタックが乱れて突貫してきたブラックナイツが散開したと同時に関節部が赤色に発光するほどの負荷をかけた超高機動を発揮、ミラージュコロイドの残像効果も合わさった瞬間移動の如き挙動によりルドラを完全に翻弄する。
リュー「奴が消えた!?ありえない!」
シン「そんな寝惚けた分身が、通用するかぁ!」
ダニエル「知らないよ、こんな武器!?」
お返しとばかりにシンは最大出力の分身を繰り出す。しかし、それは「機体の背後に分身が追従する」ブラックナイトスコードや旧デスティニーが行っていた「寝惚けた」芸当ではなかった。
シン「分身はッ!こうやるんだぁぁぁーーッ!」
DUPE粒子によって、シンの咆哮と共に本機から複数の分身が生み出される。各分身は本体とは独立して動きながら、更にミラージュコロイドによる残像を形成し、結果として相手視点では数十機単位のデスティニーSpecⅡが前方から群れを成して襲い掛かるという凄まじい光景が生み出されていた。
ヒルダ「あいつらの、仇ぃぃぃ!」
分身の群れが通り抜けていった衝撃により足を止めてしまったルドラ4機の内、一番孤立していたガーネットを、アコードらによって葬られたマーズとヘルベルトの仇討ちとして虎視眈々と狙っていたヒルダのゲルググメナースを分身でアシストしつつ撃墜を譲る(奇しくもヒルダ・マーズ・ヘルベルトがドムトルーパー隊時代に行っていたジェットストリームアタックを彷彿とさせる構図となった)。この際、ゲルググメナースはいつの間にか本機の分身に紛れており、アコードですら見切ることができなかった。
リュー「リデルーッ!」
グリフィン「うわあああああ!」
ダニエル「いやだあああああ!」
そのガーネットと共に爆散するリデラードから伝番した死の恐怖を生きたまま味わったことで恐慌状態に陥り連携が完全に崩れた所を逃さず───
スピネルを4体の分身に紛れたアロンダイトによる刺突攻撃で──
エメラルドを2体の分身と共に投擲した計6基のビームブーメランでフェムテク装甲を損壊させ、そこをピンポイントで狙った高エネルギー長射程ビーム砲によるゼロ距離砲撃で──
サファイアを2機の分身に紛れた突貫による胴体部への手刀を交えたパルマフィオキーナで──
…と、持ちうる武装と機動力をフル活用して同時に撃墜する。これら一瞬の間に起きた超高速強襲戦法の後には、爆発するブラックナイツを背に佇む本機の姿があった…。
コーディネイターを超えた種であるアコードのパイロットらからすれば、自分達が他者を蔑むまでに誇示していた特殊能力が通じない上に、逆にその特殊能力が仇となってシンが抱え込む「深い闇」を垣間見たため、トラウマ級の恐怖から「コイツの闇は深すぎる!」と恐れ慄く事態となってしまう。それでいて格下と見下していた相手に翻弄された結果、それまでの余裕も完全に失い動揺と隙が一気に伝播したこともあり、迷い無き鬼神と化し本機の性能を限界まで引き出したシンの猛攻から逃れる事は出来なかったのだ。
相手が次世代MSであり且つパイロットも高い技量と特殊能力まで備えていたブラックナイトスコード戦において、本機には元からフェムテク装甲にも有効な武装が多い上にシンは元々感覚派であり、その上尊敬する上司のキラ・ヤマトから頼られてメンタル面も絶好調のシンが搭乗する本機にはアコード4人ですら全くと言っていい程歯が立たない結果となり、旧世代MSでありながら新装備や追加装備無しでほぼ1対4の圧倒的不利な戦況を物ともせずに無傷で圧倒するという、前作の主人公に相応しい超人的な戦果を叩き出した。しかもこれだけの戦闘をしたにも拘わらず、戦闘後のシンは息切れ1つしていなかった。
また、本機もエネルギー残量と推進剤を6割ほど消費したものの、冷却材とHi-CAPACITOR(コンデンサ)は満タンであり、余力を残している状態だった。
その後はレクイエム破壊の為に月面のダイダロス基地へ向かい、途中でムウ・ラ・フラガのアカツキからゼウスシルエットを受け取りドッキング(干渉するため背部のアロンダイトと高エネルギー長射程ビーム砲をパージ、さらに砲身を両腕で保持するためレールガンも投棄されている)。ミーティア装備のインパルスSpecⅡ、キャバリアーアイフリッド-0に搭乗したインフィニットジャスティス弐式と共にミサイルでファウンデーション軍やザフトクーデター軍を撃破してレクイエムへ接近、発射寸前だったレクイエムの砲門に真正面から実体弾を発射、その超高火力をもってレクイエムの完全破壊に成功、仲間達と共に急速離脱した。
シンはかつては家族の仇として憎んでいた祖国オーブをその手で守り抜き、運命を切り拓いたのであった。
ムウ「坊主!」
シン「おっさん!」
ムウ「おっさんじゃない!」
ラストはルナマリアが乗るインパルスSpecⅡと共に月面に不時着したアグネスを迎えに行くシーンでインパルスSpecⅡの後ろでゼウスシルエットと共にいる姿が確認できる。その後、ミレニアムへ帰還している。
立体物
ガンプラ
総じてHGCEデスティニーガンダムのカラーバリエーションであるためSEEDアクションシステムの表示はないが、HGCEデスティニーガンダムの時点で既にSEEDアクションシステムに相当する関節が採用されている(特に上半身は肩アーマーが腕関節と同軸可動なことと手首接続がポリキャップな事を除けばほぼHGCEのライジングフリーダムやイモータルジャスティスとほぼ同構造である)ため、本機のHGCEもSEEDアクションシステム採用キットと比べても劣らないプロポーションと可動範囲を有している(そもそもデスティニーガンダムのガンプラ自体、アニメでの派手なポージングを再現できるよう可動範囲に力を入れたガンプラになり易い特徴がある)。つまりガンプラとしても『新装備の性能評価実験におけるテスト用機体』だったと言えよう。
最初は劇場限定販売でHGCEがクリアカラーで登場。後にプレミアムバンダイでも発売された。
同シリーズで発売したマイティーストライクフリーダムやインフィニットジャスティス弐式と違い、本体形状に変化が無いので過去に発売されたHGCEデスティニーガンダムの流用キットだが、各部のカラー変更に対応し一部成形色が更新されている。
なお、Aランナーでカラー変更の必要ないパーツである手甲のビームシールド発生装置と対ビームシールドのパーツもアンテナの巻き添えを食い変更されているが、こちらはシール対応となった。
黄色部分はデスティニーガンダム(ハイネ機)とも共通のため、ガンダムベース圏内住まいのファン(主に関東首都圏や福岡市圏)からは今や通常版より入手が容易になってしまったHGCEデスティニーガンダム(ハイネ機)のクリアカラー版から手甲とシールド部分のパーツを拝借する者も出てきている。
通常、ガンプラのクリアカラーは本編とは関係の無い限定品として発売されることが多いが、デスティニーSpecⅡの場合は忍者顔負けの分身攻撃を披露したからか、その再現を目的としたファンに大人気で劇場での発売日初日は各地で売り切れが相次いだらしく、残念ながら手に入らなかった人の中には旧デスティニーのガンプラを再塗装してSpecⅡを再現する者もいたとか。
これは2014年のガンプラEXPOで発売されたHGUC F91のクリアカラー版に(残像イメージクリアーVer.)と名付けられて以降、クリアカラー版=分身の代用として複数買いするモデラーが増えた影響といえよう。
プレミアムバンダイでの販売は同年2月20日に受注開始。…しかしながら案の定一瞬で売り切れた。さらに26日に二次受注、翌月18日に三次受注が始まったがどちらも瞬殺となっており、同時受注のHG ライジングフリーダムのクリアカラー以上の争奪戦となっている(もっともライジングフリーダムの方もあくまでデスティニーに比べればマシなだけで、こちらも即完売になっている)。ただ三次受注はライジングフリーダムと比べてもかなり膨大な個数を用意していたようで、幾度か在庫復活と売り切れを繰り返す状態が続いていた。
プレバンでここまで売り切れが早いのは転売屋が紛れていることも想像に難くないが、劇場現地もプレバンも共通して一人(入場券1枚)につき1個の購入制限があるため、在庫が同じ顧客に複数わたりにくくむしろ大量の在庫を売って儲けを取る転売にはハイリスクな商品となっている。
むしろ、上述の分身再現からすでに1個所持している顧客までもが次の受注でもさらに新たな在庫を求めてしまう事がこのような過酷な争奪戦の元凶と言える。そのため、HG ドアンザクのように短いスパンで定期的に受注を繰り返さないと供給が追い付かない可能性も危惧されている。バンダイ側もこれを理解しているのか、三次受注以降はライジングフリーダム共々定期的に抽選販売を行っている。
そして、5月8日に行われた「第62回 静岡ホビーショー」にて「HG 1/144 デスティニーガンダムSpecⅡ&ゼウスシルエット」の発売が発表された。2024年11月発売予定で価格は7,920円(税10%込)。
元のHGCEとの差別化のためか本体カラーが濃い目のグレーとなっており、かつてファンの間で言われていたレジェンドの色合いに近いグレーになっている。
光の翼やパルマフィオキーナのエフェクトといったHGCEにあったものは付属する。ただしHGCEデスティニーに付属していなかった(旧HGには長短ともに付属していたが、なぜかHGCEにはない)ビームブーメランの長いビームエフェクトは今回も付属せず。自作するか旧HGから拝借するしかないのが残念。ただしSpecⅡは今回ビームの延長を用いていないため、劇中再現という面では問題はない。
アクションフィギュア
2024年2月にはMETALROBOT魂が発売。同年7月発送。
造形は2019年に発売されたデスティニーと同様だが、アンテナと胸部のカラーが本作仕様になっている他、全身のカラーも再コーディネートされ、マーキングもコンパス仕様に変更されている。武装も新規にレールガンが付属する(通常のビームライフルも付属)。
光の翼&エフェクトセットもカラーリングを一部刷新して再版され、またデスティニーSpecⅡが装備可能なゼウスシルエットも別売りで販売される。
結構なお値段(デスティニー自体は18,700円でゼウスシルエットは19,800円、光の翼エフェクトは7,150円)なのだが、プレミアムバンダイで予約開始が始まると即在庫切れになっており、即日二次受注開始が告知される程の人気を叩き出した(ただしこちらもオプションセット共々転売屋が紛れていたことは間違いなく、即日定価の数倍の値段で予約を受け付けている販売サイトが続出した)。
余談
- 作品公開前の公式サイトではインパルスSpecⅡは掲載されていたが、本機は掲載されていなかった。キラ、アスランの終盤の機体と併せてネタバレ回避の為の措置が取られた結果となった。(公式からの正式発表は公開から3日後の1月29日となった)
- その為、放映前には「もしかしたら、デスティニーの発展機体とか出るのでは?」と考察する者たちが多数いたので、まさに視聴者達にとってはサプライズ演出となった。
- しかし、映画公開日と同日発売・サブスク解禁された同映画サウンドトラックのDISC2 13曲目に「出撃!デスティニー」というものがあったため、サントラがデスティニーが登場する事を最速でネタばらししてしまっていた。なお、この「出撃!デスティニー」はDESTINY時代に使われた「出撃!インパルス」のアレンジ版で、大活躍した本機の出撃シーン時に流れたBGMというのもあって、同サントラでも例のズゴックで有名な「援軍」や最終局面で流れた「対決の刻」に並ぶ人気BGMとなっている。
- 機体色が白色からグレーに近い色となった点について、旧デスティニーの随伴機体の一つにレジェンドが存在していた。この機体はシンの親友であるレイ・ザ・バレルの機体であり機体色がグレーである。その親友の機体色を受け継いだと解釈ができるため、胸熱な気持ちとなった視聴者が多数存在する。
- ただしレジェンドのグレーはSpecⅡよりもさらに濃いので、あくまでレジェンドの色に近づけただけと思っていい。
- と言われているが、スタッフの射尾卓弥氏の発言より、実際にはデスティニーの時点でグレーかがった白であり、SpecⅡがレジェンドに近付いたグレーかがった白というのは印象補正であるとのこと。該当ツイート
- 実際TVシリーズでもストライクフリーダムとの戦闘シーンで比較すればあちらよりも暗めの白であることが明白であり、実際のところはハイライトの追加で色味が変わったように見えることと、作画の進化でより設定の色合いに近づいたということなのだろう。
- ただし立体物ではMGなど一部を除いてカラーがほぼ白となっている場合が多かったので、それらの印象が強い人ほどSpecⅡでカラーが変わったとという認識を持った人が多かったと思われる。
- 前述の通り、HGCEでは既存のデスティニーとの差別化を図る為か、劇中よりも濃いグレー色となり、レジェンドに近いカラーリングになっている。
- 前作では、旧デスティニーがシンに渡された前後に様々な問題(ステラ・ルーシェの死、家族が間接的に死んでしまった原因であるオーブへの復讐、ザフトに復帰してきたアスランとの複雑な仲違い、脱走したアスランとメイリン・ホークの乗るグフイグナイテッドの処刑、倒したはずが復活したフリーダムの介入、死んだと思われていたアスランからの説得、知ってしまった親友レイの生存限界)がシンに降り掛かったことによるメンタル面の不調が大きく、旧デスティニーはその真価を発揮が出来ていたとは言い難い内容だった。
- 劇場版の前半ではシンはキラに認められたい想いがあり、戦闘時にキラが行っている相手のコクピットを狙わず機体の武装を破壊する不殺戦法を行っていたが、福田監督曰く「シンの得意な戦法はコクピットを狙う一撃必殺の強襲」(最初から意図していた訳では無いだろうが、『DESTINY』放送当時にてシンの戦闘シーンのみ敵兵の断末魔が映っていた)だった。
- だが今作ではそれらを全て乗り越えた上で、劇中前半で抱いていた「慕っているキラに頼りにされていないのでは?」と抱えていた不安もそのキラからミレニアム護衛を直々に任された影響で解消された。またお互いに言い分のあった前作とは違い、ファウンデーション軍はそういったしがらみも一切考慮する必要のない相手であった。結果的にデスティニーSpecⅡ搭乗時点でシンのメンタルは史上最大級の最高潮にあり、デスティニーの性能を最大限に発揮して前作での鬱憤を存分に晴らすかの如き怒涛の暴れっぷりまで見せ付けた結果、文句無しで今作のMVPと言っても過言では無い大活躍を成し遂げた。
- 劇中終盤までのブラックナイツの面々の傲慢さややりたい放題振りに辟易していた視聴者も多く、このデスティニーSpecⅡの無双振りを見て「スッキリした」と感想を抱いた人も多い。
- その圧倒的な活躍ぶりから公式人気投票の中間結果(2024年2月18日時点))で歴代のフリーダムシリーズを抑えて見事MSランキングの1位に輝いた。該当ツイート
- そして2024年3月24日に最終結果が発表され、1位のフリーダム、2位のマイティーストライクフリーダムに次ぐ3位という結果となった。
- デスティニーの弱点としてよく挙げられていた「両腕を破壊されると何も出来なくなる」点だが、そもそもシンの乗ったデスティニー相手に「両腕を取れる」相手がアスランくらいしか居ない上、取れた時点で機体スペック不足かメンタルに致命的な消耗を抱えている事が明白であり他の機体でも同じである事や、彼等が絶好調で組み合わされば相手が複数の次世代機でもまず被弾しないことが今作で実証されたのだった。
- 冷静に考えれば腕部喪失による戦闘能力喪失は大抵のMSに言えることであり、デスティニーでなくても先人の「たかがメインカメラをやられただけだ!」のような常人なら戦闘不能と判断して撤退するのが当たり前の事態である。
- こう言われ続けた理由としては、デスティニーロールアウト当時の機体の多くが内蔵・搭載火器持ちばかりだったためにデスティニーの武器を使うために腕部に内蔵火器を搭載していたりいちいち武器を持ち替えたり構える際に腕部を無視できない点が目についた、という話である。
- 実際、この仮定の状況になってもまともに交戦できたのはプロヴィデンスぐらいであり、そちらはドラグーンという初見殺しかつ汎用性の高い砲塔を山積みした上で、その複雑な制御をこなせる優れたパイロット(ラウ・ル・クルーゼ)でという状況である。
- 『DESTINY』本編のシンはメンタルの問題で絶不調であったこと、かつアスランとインフィニットジャスティスが純粋な化け物だったのもあって、シンとデスティニーのポテンシャルが存分に発揮できなかったのではないか?と評されている。
- 後付け設定ではあるが、デスティニーの内部フレームが『DESTINY』本編では発光しなかったのは性能を完全に引き出せていなかったからと見ることもできる。
- また、ゼウスシルエットを受け取るシーンでモニターを見ると半分を切ったエネルギー残量が確認できるが、これは改良された動力でである。この描写からデスティニーは全力稼働をすると核動力でも供給が追いつかない程に燃費の悪い機体であることも証明された。
- これでもストライクフリーダムやインフィニットジャスティスなどのZGMF-Xシリーズとは違い最新の動力とセカンドステージシリーズからのフィードバックにより武装の燃費は最高水準であり、デスティニーのほぼ全ての兵装がC.E.世界全体を通してもMS単体としてはかなりの高出力装備であることに起因するものと思われる。
- とはいえ全力稼働時「VPS装甲・PS関節・光の翼・ミラージュコロイド・高火力武装」これだけのエネルギー喰い機能を同時稼働させているMSであることやフェイズシフトダウンを起こしエネルギーが切れかけていたインパルスにエネルギーが満タンになるほど給電していたことを考えると妥当だとも思える(武装については殆どの機能が従来のバッテリー機では一つか二つ搭載するのがやっとの代物。特に光の翼はバッテリー機には搭載できないくらい燃費が悪い)。
- コミックボンボン版のコミカライズではシンもデスティニーの真価を引き出せていないことを自覚している描写があり、幾度ものOSの調整やシミュレーションで特訓した結果、最終決戦でアスランをも翻弄するような超スピードによる高機動戦闘を展開している。
- 本作で敵から「旧式」と罵られたり新世代の機体を相手にほぼ1対4の数的不利な状況に置かれながらも、機体の性能をフルに活用して新装備抜きでほぼ無傷で撃破している戦果から、「対MA向きの機体」と言われていた本機は設定通りの対MS戦もしっかり可能な文字通りの万能機だと証明された。
- また、今回は相手MSがビーム射撃を無効化して接近戦を強要してくる機体だったのだが、対艦刀やパルマフィオキーナ、ビームブーメランなど有効打を与えられる武装を豊富に持ち合わせ、更に元より超高機動による一撃離脱こそが本懐なので「接近戦を強要される」ことが実質的にディスアドバンテージとして機能しないデスティニーはメタユニットと言っても差し支えがない程相性が良かった。「武装が大振りすぎる」という点もシンの技量ならば通常の武装と遜色ない感覚で扱える為完全に解決しており(特に劇中ではアロンダイトをビームサーベルを扱うかの如く片手で振り回している)、これらは結果的に複数の格上MSの撃破という大戦果に繋がった。そして、『DESTINY』では本当に戦う相手とシンのメンタルが悪過ぎただけだったのも20年越しに証明された。
- 相対したブラックナイトスコード ルドラの武装は、全体的にデスティニーのそれを参考に癖の強い武装は除いて取り回しを良くしたような構成となっていた。その意味ではより洗練された機体だったと評することが出来るが、デスティニーの性能を完璧に引き出したシンの前では実質的に劣化デスティニーにしかなっておらず、「個人の資質に合わせて造られた」デスティニーと、「高性能ではあっても画一化されている」ルドラの差がここで大きく出たと言えよう。
- もう片方の大振り装備である「M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲」もその高火力を活かして敵艦隊の殲滅に大いに活躍しており、シンの高い判断力と技量によって武装の適材適所の活用が上手く働いた結果と言える。
- もっとも、その長射程ビーム砲ですらグリフィン機を屠る際に零距離射撃で使用しているため、メンタル絶好調のシンにとっては取り回しの悪さなど関係ないのだろう。結局パイロットのメンタルに左右される部分は大きいのだろう。
- また、今回は相手MSがビーム射撃を無効化して接近戦を強要してくる機体だったのだが、対艦刀やパルマフィオキーナ、ビームブーメランなど有効打を与えられる武装を豊富に持ち合わせ、更に元より超高機動による一撃離脱こそが本懐なので「接近戦を強要される」ことが実質的にディスアドバンテージとして機能しないデスティニーはメタユニットと言っても差し支えがない程相性が良かった。「武装が大振りすぎる」という点もシンの技量ならば通常の武装と遜色ない感覚で扱える為完全に解決しており(特に劇中ではアロンダイトをビームサーベルを扱うかの如く片手で振り回している)、これらは結果的に複数の格上MSの撃破という大戦果に繋がった。そして、『DESTINY』では本当に戦う相手とシンのメンタルが悪過ぎただけだったのも20年越しに証明された。
- 劇中で見せた分身機能に関しては、ミラージュコロイドによる残像とは別にDUPE粒子によって生み出されたものであることが小説版にて明かされたが、そのDUPE粒子に関する説明は無い。ちなみにDUPEとは「複製」や「騙されやすい人」といった意味がある。
- 機体自体には特に手を加えられていないため、分身機能は改修前から使用できた可能性もあるが、恐らくは出力不足で使用できなかったということなのだろう(上記のように動力系を改修したSpecⅡであっても戦闘後はエネルギー残量が半分を切っている)。
- ちなみにこの分身機構を見たTVシリーズからの視聴者は、ダニエルの「知らないよ、こんな武器!?」というセリフを受けて「こっちもこんな武器知らないよ」という感想が散見されたという(なお、勘違いされがちだがダニエルのこのセリフは分身機能を見てのものではなく、その直前の瞬間移動のごとき挙動を見てのものである)。
- このセリフは、高い能力を持ち最新鋭の機体に乗った自分達が格下の人種が操縦する型落ちの機体ごときに純粋な技量で遅れをとるはずがない=何か特殊な装備を使っているに決まっているという、アコードの慢心・自己の過大評価の表れでもある。
- アウラがグルヴェイグ艦橋のモニター越しでルドラ3機が同時に撃墜される瞬間を確認している。しかし、よく見るとモニター上ではデスティニーSpecⅡの姿が映っていない。
- ルドラ側の動揺やゲルググメナースとの連携から、分身は観測できるはずだが、現場から遠いグルヴェイグのモニターに映らないということは、分身はデスティニーSpecⅡを中心とした一定の空間に作用するものと思われる。
- 戦闘中の動きをよく見ると、実は闇雲に4機を相手取るのではなく、相手の武装を優先して狙いながら囲まれないように大きく動き回り、相手にとにかく連携を取らせないような戦い方を行っている(距離を取る際も敵機を蹴りつけて体勢を大きく崩すなどの小技も見せている)。
- グリフィンは「学習しない馬鹿」とシンを見下していたが、シンはかつてのエンジェルダウン作戦時の対フリーダム戦のように相手のことを「学習した」対ブラックナイツを想定した戦い方を行い、結果的に無傷で圧倒することとなった。
- 前作ではデスティニープランの切り札として開発された旧デスティニーだったが、今作ではそのデスティニープランを真っ向から否定する切り札として活躍し、デスティニープランによって世界を自分達の手中に収めようとしていたファウンデーション側からすればこの上無い皮肉の効いた結末を迎えてしまった。ファウンデーション側の切り札だったレクイエムを前作で護衛していた旧デスティニーが、今作では逆に最後の一撃を加えてトドメを刺した事もそれに拍車を掛けている。
- ファウンデーション陣営はデスティニープランの「持って生まれた素質に準じて生きる幸福な世界」を求めており旧式機であるデスティニーとパイロットのシンを侮っていた。しかし、実際には「ビームが効かない装甲にも対抗可能な武装で追い込まれる」、「精神干渉能力が逆手に取られる」、「失敗や挫折、大切な人との死別等の経験がほぼ皆無な温室育ちのパイロットが持つメンタルの脆弱さ」と欠点が露呈してしまう事態となった。その結果、徹底的に不利な相性ゲーに持ち込まれ、その上で自軍の残像能力を凌駕する分身によって全滅させられる散々たる結果を招いてしまった。アコード、ひいては傲慢な考えを持つ人類全てに対するアンチテーゼになっている。
- また、デスティニープランは「誰もが己の持つ素質を最大限に活かすことでより人類がそれぞれ役割を見出せる幸福な世界を目指すこと」が目的があり、その本質は「適材適所」、「個性の尊重」である。しかし、ファウンデーション側は「能力至上主義」や「選民思想」と捉えてしまい、ブラックナイツの面々を筆頭に「自分達は統治者であり上位の存在」と認識して明らかに他の人々を見下す態度を取るなど、デスティニープランの本来あるべき形とは程遠い言動をしていた。デスティニーは彼らを相手に機体特性とシンのポテンシャルを最大限に活かした戦い方で彼らに勝利したことで、ファウンデーションが目指したデスティニープランを否定しつつもギルバート・デュランダルの望んだデスティニープランの体現者にして、守護者として本来求められた在り方を体現したとも解釈ができる。
- とはいえ福田監督によるとそんな大層な意図は全く無く、たまたまレクイエムを壊せる武装があのゼウスシルエットという装備しかなく、あれを使えるのはフリーダム・ジャスティス・デスティニーといったクラスのMSだけで、ストライクフリーダムは未だ戦闘中でジャスティスは片腕を損傷している状態だったため、結果的に無傷だったデスティニーが使うしかなかったとのこと。
- 「MS戦向けの機体のはずなのにMA戦向けの様な大振りの武器ばかり積んでいる」とファンから指摘がなされ度々疑問視されていたデスティニーの武装構成も、今回の戦闘結果がデスティニープランの「不可能に無理に挑戦はしないが、可能な事は最大効率を目指す」思想の最終到達点としての形だったからである事を遺憾無く発揮した。
- デスティニーがロールアウトされた当時の機体は武装変更や変形機構によって「状況に応じて特性を切り替える事で状況に対応する」戦い方をしていた。要は機体構成の変更でどこに割り振るかを組み替えていく」運用思想となっていた。インパルスを筆頭にデュランダルが可変・換装機を積極的に用意したのも単なる流行やユニウス条約対応だけで無く彼の理想を実現させる発想だった。
- そんな中で作られたデスティニーは「全てのパラメータを同時に100まで引き上げて戦える機体」と「それを実現出来るパイロット」の組み合わせを目指した結果作られた機体であり、ミラージュコロイドによる分身からアロンダイトを筆頭とした武装を同時に使った一斉攻撃は、その形が実現したからこそ為せる技である。
- スパロボ等のゲーム作品に参戦した時のデスティニーは概ね全部の武装を連続して使った「フルウェポン・コンビネーション/武装一斉攻撃(第3次スパロボZ以降から)」を必殺技として用いる傾向があったが、まさか「文字通り全部纏めて放つ」攻撃まで可能な機体だと想像できた人間はどれだけ居ただろうか…?(奇しくも別作品で議長と同じ声をした剣豪の必殺技を連想する人も居たとか)
- 高エネルギー長射程ビーム砲が改修前と色が変化していない一方でアロンダイトのみ色が塗り替えられているのは、恐らくガンプラでパーツが胸部ライトブルーと同じランナーに配置される影響であると思われる。
- 胸部はVPS装甲なので変更が容易である一方、アロンダイトは通常装甲材であるため作中ではわざわざ塗り直した(というよりは、改修前の時点ですでに失われていたため新規で製作した際に色を変えたと言っていい)ことになるが、特に深い意味はないと思われる。
- 劇場にて本編開始前にCMとしてアーセナルベースが流れた際にライジングフリーダムと共にガンダムXとガンダムF91が登場するのだが、ガンダムXは「月」でF91は「質量を持った残像」とたまたまデスティニーSpecⅡと関係がありそうな機体がセレクトされていた。
- レクイエムの設置場所が月面である。
- キラもそうだが、「主人公が前主人公機より旧世代の機体に乗り換える」というのはガンダムシリーズでもかなり珍しい。このあたりの詳細はストライクフリーダム弐式の記事を参照。
- 映画公開前の2024年1月18日にデスティニーインパルスの再販予約が始まった事から、先に公開されていたインパルスSpecⅡの存在や先の大戦でデスティニーが大破していた事情から、視聴者からは「デスティニーインパルスが劇場版に登場するのでは?」と予想されていたが、実態はデスティニーそのものが改修されて再登場する形となった(後のインタビューでデスティニーインパルスの登場も案にはあったものの、インパルスは装備換装をしてこそという考えがあったことと武装構成から戦闘シーンがデスティニーと被ることが容易に想定されたために没案となったようだ)。
- 本編の大活躍に隠れて忘れられがちだが、本機はモルゲンレーテにおいてテストベッドとして使用されていたことになる。つまりモルゲンレーテは本機のデータを有していることになり、新型機の開発に流用されている可能性も少なからず存在している。
- 本編での大暴れ、活躍ぶりは20年間不遇と言われ続けていた本機とそのパイロットの汚名を返上し、そして彼らのことをずっと推し続けてたファン達から「俺達が20年間ずっと見たかったデスティニーとシン・アスカ」、「この活躍だけでこの映画を見た価値があった」という最上級の賛辞がSNS等で散見される。
- サブスク配信が始まってからは、デスティニー出撃からブラックナイツ殲滅までを何度もループ視聴するファンもいるとか。
- スロー及びループ視聴した有志によるとデスティニーの分身は複数種類あり、少なくても2種類あることがわかっている。
関連タグ
登場作品
関連組織
世界平和監視機構コンパス:現所属組織。
ザフト:前所属組織。
オーブ連合首長国:本機をサポートしている国家。
分類
関連機体
前駆型
関連人物
外部作品
ガンダムF91:「MEPE効果」により装甲表面が剥離して発現した現象。あたかもF91が分身したように見える。質量を持った残像
ゴッドガンダム:分身殺法ゴッドシャドーを駆使して、自身の分身を発生させ敵を翻弄する元ネタ
魔法使い(ガンダム):戦闘中にナノマシンの微粒子を散布し、自身の分身、幻影の蝙蝠などを出現させ敵機体を翻弄する。