『君が 救けを求める顔してた』
『目の前の……小さな女の子一人救えないで─── 皆を救けるヒーローになれるかよ!!!』
『泣いていた君を見なかった事にはしない』
プロフィール
真の実力は未知数!?意外性No.1の候補生
"無個性"だった少年はNo.1ヒーローの後継者に
───僕のヒーローアカデミア 公式キャラクターブック2 Ultra Analysisより
ヒーロー名 | デク |
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受け継いだ個性 | ワン・フォー・オール |
発現した個性 | 黒鞭 / 浮遊 / 危機感知 / 煙幕 / 発勁 / 変速 |
学校・学年 | 雄英高校ヒーロー科1年A組18番 |
出身校 | 折寺(おるでら)中学校 |
誕生日 | 7月15日 |
身長 | 166cm |
血液型 | O型 |
出身地 | 静岡県あたり |
好きなもの | カツ丼 |
性格 | 行動派オタク |
入試実技 | 7位 |
個性把握テスト | 20位 |
ー年ー学期中間学力テスト | 4位 |
CV | 山下大輝、渡辺明乃(幼少期・TVアニメ) / 谷口夢奈(幼少期・VOMIC) |
概要
『僕のヒーローアカデミア』の主人公。通称「デク」。
ヒーローになることを夢見る心優しい少年で、雄英高校ヒーロー科1年A組の男子生徒。
生まれつき"無個性"だったが、内に秘めたヒ一ロ一としての資質を見出され、No.1ヒ一ロ一・オールマイトから"個性"「ワン・フォー・オール」を受け継いだ。小心者で泣き虫だが、人を救けようとする意志は人一倍強い。
ヒーローを目指す日々の中で、出久は一人前のヒーローとして戦う力や心構えを学んでいくと共に、夢や憧れだけでは超えられない厳しいヒーロー社会の現実とぶつかってゆき、悩み戸惑いながらも、自分自身にとっての「最高のヒ一ロ一」という理想への答えを見つけ出していく。
人物
一人称は「僕」。
性格は真面目で大人しく、ヒ一ロ一の卵とは思えないほど気弱な人柄の持ち主。人付き合いや自分の意見を相手に伝えることが苦手で、初めてお茶子と出会ったときは、顔が赤くなって何も話せなくなったこともあった。
勉強熱心で頭は良いが、考えすぎて逆に遠回りしてしまうこともしばしばあり、その度にオールマイトや爆豪を呆れさせている。
いわゆるヒーローオタクであり、日ごろからプロヒーローの観戦や情報集めを趣味にするほどの大のヒーロー好きである。バッグの中には、ありとあらゆるヒーローの戦い方や必殺技をまとめた「ヒーロー分析ノート」を持ち歩いている。
その中でもオールマイトの熱狂的なファンであり、自分の部屋の中には、ポスターやフィギュアなどのオールマイトグッズが所狭しと飾られている。
一見すると、どこにでもいるような目立たない少年だが、その内面には、他人の苦しみや心の傷に寄り添う素朴な優しさと、どんなに強大な敵に対しても立ち向かっていく勇気、そしてオールマイト譲りの強い正義感を秘めている。
No.1ヒーローへの情熱は同世代の誰よりも強く、幼い頃にオールマイトの『どんなに困っている人でも笑顔で救ける姿』を見たことで、ヒーローに対して強い憧れを抱くようになった。
どれだけ追い詰められた状況でも信念を決して曲げない強い精神力の持ち主であり、困っている人を放っておけず、目の前で誰かが危険に晒されていると、身の危険を顧みずに救け出そうとする人並外れた行動力を見せる。
オールマイトは、そんなデクの人柄や意志の強さに自身の後継者としての資質を見出したが、作中では他人を救け出そうとするあまり、自分自身が大怪我を負ってしまう場面も少なくなく、作品が進むにつれて、ヒ一ロ一としての強さと表裏一体の危うさを合わせ持っていることも徐々に明らかになる。
幼馴染の爆豪からは、「デクは根っこの部分で自分を勘定に入れていない」とも言われており、自己犠牲の精神の強さの裏側には、自分自身を守ろうとする意識の極端な低さがあることが指摘されている。
そんなデクの在り方は、周囲からは決して褒められたものではないが、それでも彼の直向きで揺るぎない行動は、知らず知らずの内に周りの人々の感情に強く訴えかけ、物語を大きく動かしていく原動力となっている。
外見
緑がかった癖毛とそばかす、大きく丸い目が特徴的な小柄な少年。
特に本作は"個性"的な外見の登場人物が多いこともあって、見た目だけで言えば、とても地味で目立たない印象を受ける。
赤いハイカットのスニーカーがトレードマークで、私服やヒ一ロ一コスチュームだけでなく、作品の扉絵等で特別な衣装を着た時等にも欠かさず身に着けている。
また、日々のトレーニングによって鍛えた逞しい肉体の持ち主であり、服の上からでは分かりにくいが、激しい訓練や実戦による傷跡が体中に付いている。
学生服以外ではシャツやロングTシャツ等のシンプルな服を着ていることが多い。あまり衣服にこだわりが無いのか、部屋着では「Tシャツ」や「シーツ」等の文字の入った絶望的にナンセンスな文字シャツをよく着ている。
クラスメイトとの関係
雄英高校に入学して以来、1年A組のクラスメイト達とは、様々な困難を共に乗り越えた仲間として強い絆を築いている。
出久自身はクラスの中心に立って周囲を引っ張っていくタイプではないが、ここぞという場面では、持ち前の鋭い分析力と判断力でチームをまとめ上げることもある。
クラスメイトの中では飯田や轟、峰田、お茶子等と過ごしていることが多い。秋の時期からは青山とも親しくなり、共に過ごすシーンが多く描かれている。
幼馴染の爆豪とは交わす言葉は少ないものの、互いの存在を強く意識しており、大きな影響を与え合っている。
元々は「デク」という呼び方は幼い頃に爆豪に付けられたものだったが、それをお茶子が好意的に受け取ったことで、今では自分のヒ一ロ一名として登録している。
「僕は"『頑張れ!!』って感じのデク"だ!」
担任の相澤先生からは、「出久と爆豪の二人の存在がA組に大きく作用している」とも評価されており、出久のがむしゃらにヒーローを目指す姿勢と、オールマイトから受け継いだヒーロー性は、本人すら意識しない内にクラスメイトに対して"熱"を与え、クラス全体のレベルを底上げしている。
クラスメイトの多くは出久の存在に一目置いている反面、どれだけボロボロになっても自分を貫こうとする出久をどこか放って置けない存在にも感じているようで、出久が傷ついたり落ち込んだりしているときは、さり気無く彼を支えようとしているシーンも多い。
ナイトアイ事務所へのヒ一ロ一インターン期間中、飯田と轟が出久に対して掛けた何気ない言葉は、彼が先の見通せない困難に対して立ち向かっていく大きな力となった。
出久自身も家族や友達といった身の回りの人々に恵まれていることを強く自覚しており、共に歩む仲間達の存在が出久自身を大きく成長させている。
こうした点が孤高の存在として戦い続けたオールマイトのヒーロー像と対比的なものとして表現されており、作中を通して描かれる「最高のヒーロー」という問いかけに対する大きな手掛かりになっている。
個性
"個性"は『ワン・フォー・オール』。
かつては無個性だったが、彼の中学生時にとある事件をきっかけにオールマイトから引き継がれて獲得した。
特別な個性であり、そのルーツについての詳細は個別項目を参照。出久は歴代で九代目の継承者にあたる。
他人に継承できることを除けば、「身体能力の強化」というだけのシンプルな個性だが、極めればオールマイトのように腕一本で天候を変え、あらゆる敵を力づくで捻じ伏せられる。まさに作中最強と言っても過言ではない強力な"個性"である。
ただしいくら強い個性と言っても、出久の場合は個性のパワーに身体の強度が追い付いていないため、全力で発動すると自分自身が大きなダメージを負ってしまうことになる。
譲渡されたばかりの頃は、一度発動しただけで手足の骨が粉砕してしまう始末だったので、まずは"個性"をどのようにコントロールするかを学ばなければならなかった。
現在でも地道なトレーニングと基礎訓練の反復を続けており、物語が進むにつれて徐々に大きなパワーを引き出すことが可能となっている。
また肉体が個性に多少見合ってきたことに加え、サポートアイテム『ミッドガントレット』やOFA5代目の個性『黒鞭』による補強によって、終盤では100%かそれ以上の力を使っても骨が砕ける事は無くなり、短時間ならばフルパワーで戦えるようになった。
また、出久の場合は筋トレや制御訓練の他にも、"個性"を発動する際のイメージ修行にも力を入れている。
これはそもそもOFAの制御の難しさ以前に、15歳になって初めて個性を受け継いだ出久は幼少期から個性を使ってきた同年代の生徒と比べると、「個性を使う」ということに対する感覚が養われていないためでもある。
例えば同年代でこういった感覚が特に優れているのが爆豪や物間等であり、彼らは自分の手足を動かすのと同じように自由自在に個性を操ることができるのだが、出久の場合は、個性を発動するイメージを固めた上で出力をコントロールし、個性の発動とひとつひとつの身体の動作をリンクさせるという段階を丁寧に踏まなければならない。
なお、「個性を発動するイメージ」というのも「卵を電子レンジに入れて爆発したような感覚」「中まで熱の通ったタイ焼き」等と、どこかナンセンスで回りくどいものが多く、度々オールマイト達を呆れさせている。
師匠であるオールマイトとは対照的に、その戦闘スタイルは頭脳型で、敵や味方、現場の状況を把握した上で適切な判断を下す際に高い能力を発揮する。
長年、多くのヒ一ロ一の戦い方や個性の対抗策などの知識を蓄積してきたことに加えて、深い洞察力と状況分析が彼の柔軟な戦闘スタイルを作り上げている。
彼の根本的な性格は「考える前に体が動く溢れる正義感」ではあるものの、実は少年漫画の主人公にありがちな「考え無しに突っ走って状況を悪くしてしまう」ことはほとんどない。これも上述した頭脳型の立ち回りを弁えている点が功を奏しているからである。
戦闘スタイル
- フルカウル
グラントリノとの訓練を通して編み出した自己強化技。
全身に一定の出力の『OFA』のエネルギーを張り巡らせることで身体能力(防御力やパワー、スピードなど)を強化する技術であり、『OFA』の本来の使い方であるとも言える。
発動時には全身に血管のような赤いラインが入り、緑色のプラズマのようなオーラを纏う演出が加えられる。
オールマイトほどの強烈なパワーは無いが、その真価は小回りの利いた素早い立ち回りにあり、持ち前の機転を生かした攻撃によってプロヒーロー級の強敵とも渡り合えるほどの進化を遂げた。
ちなみに、「フルカウル」の「カウル」とはバイクなどの外装のことで、空気抵抗を考えた流線型のボディカバーで鎧のように車体を覆ったもの。「フルカウル」とは文字通り車体全てを覆い隠したものである。
- フルカウル・シュートスタイル
林間合宿後、マスキュラーとの戦いで「OFA」の出力を限界まで出したことで腕に過剰な負荷を与えてしまったことで、度重なる腕や腕の靭帯の負傷が限界に達し、これ以上腕を負傷し続けると腕の関節が機能しなくなり、腕が使用出来なくなるという現実から腕を多用しない戦い方を身につける必要があったことで編み出した蹴り技主体の戦闘スタイル。
これまで出久はオールマイトが己の拳のみで戦うのを見てきた事から、心の中で九代目である自身も「腕で戦わなければならない」と無意識の内に決め付けてしまっていた。
しかし、オールマイトから「君はまだ、私に習おうとしているぞ」と一言だけアドバイスされ、飯田と発目のやり取りから『腕に不安があるなら足で』という着想を得た。これにより腕の負担を抑えつつ戦えるようになったが、爆豪からは予備動作の大きさや動きの単調さが指摘されており、まだまだ改良の余地は大きいようだ。
必殺技
- デトロイトスマッシュ(DETROIT SMASH)
オールマイトと同名の技。強力なストレートパンチを放つ。
拳圧だけでビル3階分の床を粉砕する。
- テキサススマッシュ(TEXAS SMASH)
こちらもオールマイトと同名の技。猛烈な衝撃波を伴ったパンチを繰り出し、二重にダメージを与えて吹き飛ばす。
- デラウェアスマッシュ(DELAWARE SMASH)
"OFA"を指に込めて放ついわゆる"デコピン"。
主に風圧(衝撃波)での遠距離攻撃に用いる。
- マンチェスタースマッシュ(MANCHESTER SMASH)
飛び上がりから急降下し、かかと落としで相手の脳天を蹴りつける。後述の覚醒した五代目の個性『黒鞭』と三代目の個性『発勁』を組み合わせ、速度や威力を格段に跳ね上げた「擬似100% マンチェスタースマッシュ」も編み出している。
- セントルイススマッシュ(St. Louis SMASH)
跳び上段蹴りで相手を刈り取るように蹴りつけ、大地に叩き伏せる。ナイン戦やバトロワ形式対戦ゲーム「ウルトラランブル」では飛び蹴りで放っていた。
- デラウェア・デトロイトスマッシュ(DELAWARE DETROIT SMASH)
対マスキュラー戦で使用され、デラウェアスマッシュの風圧で筋肉繊維を吹き飛ばし、すかさず右腕で渾身の一撃を放った。
- エアフォース(AIR FORCE)
『OFA』の出力が15%を超えることで動作時に風圧が発生するようになり、衝撃波による遠距離攻撃が可能となった。
主にデコピン(デラウェアスマッシュ)で使用することが多く、発目作のグローブ型サポートアイテムによって、狙った場所にピンポイントで発射することができる。
初期は相手を多少のけぞらせる程度の威力だったが、エンデヴァーのインターン以降は並のヴィランならば気絶させられる程に強化された。
さらに『OFA45%』の蹴り(セントルイススマッシュ)で放った際には、死柄木弔のフルパワーの崩壊によって発生した瓦礫を吹き飛ばす程の威力を見せた。
- ワイオミングスマッシュ(WYOMING SMASH)
『OFA』100%を解放して、渾身の縦拳を放つ
- ユナイテッド・ステイツ・オブ・ワールドスマッシュ(UNITED STATES OF WORLD SMASH)
映画『ワールドヒーローズミッション』にて使用。おそらくオールマイトの「ユナイテッド・ステイツ・オブスマッシュ」が名前の由来。
フレクト・ターンの個性に対抗して彼の反射の限度を超える程の攻撃を浴びせるために、オラオラやゴムゴムの銃乱打よろしく際限なくパンチを繰り出した後に、超高速移動とともに渾身の蹴りを放つ。
6つの個性
ワン・フォー・オールの精神世界で先代の継承者により、ワンフォーオールの起源を聴く。
- 時が来たのか『OFA』の急速な成長により、デクは『OFA』の個性因子の中にずっと眠っていた歴代継承者達の"個性"が使えるようになる。
- デクにはこれから6つの"個性"が順次発現して行き、6つの個性は、ワン・フォー・オールの力が上乗せされているため発現する個性は当時のものより大幅に強化されている。
『全面戦争』後は死柄木弔によって『AFO』の力に引っ張られたことで歴代の継承者達とも意識のある状態でコミュニケーションが出来る様になり、歴代継承者全員の協力が得られた事により、『OFA』の力の全開放が行われたことで、6つの個性が全て使えるようになり、個性の出力の制御が可能になった。
- 『黒鞭』
五代目継承者・万縄大悟郎の個性。
『A組・B組合同戦闘訓練』の際に発現した。
腕から黒い鞭状のエネルギーを発し、遠くの物体を掴み取ることができる。
『OFA』に蓄積された力の影響で先代の頃より遥かにパワーアップしており、暴走して発動した際には個性のコントロールが出来ず周囲の建物を破壊してしまった。
個性のコントロール方法が『OFA』とは違うことから出力のコントロールが桁違いに難しく、発現したての当初は暴走しない出力での発動の際にはごく僅かな鞭状のエネルギーしか出せず実戦レベルには程遠かったものの、エンデヴァー事務所インターンでの指導と実戦経験によって、ごく短い時間であれば、『OFA20%』の出力で黒鞭の制御を行えるようになった。
更に『全面戦争』後には出力のコントロールも出来る様になっており、黒鞭の使用時間の制限が無くなった。
万縄も『最初に発動したのが俺で良かった』『良い個性』と言うように非常に汎用性が高く、「敵の捕縛」「物体を掴む」「ワイヤーアクションによる空中機動」「デコイ」「遠距離攻撃」「手足の補強」とあらゆる場面で活躍しており、最初に発現したこともあって出久が様々な場面で多用している個性となっている。
また、全面戦争時には応用として蛙吹の長舌から着想を得て、口から黒鞭を出す『フロッピースタイル』を編み出したり、後述の覚醒した個性達の補助にも使われるなど利便性や、応用力に関してはトップクラスと言っても過言ではない。
- 『浮遊』
七代目継承者・志村菜奈の個性。
明確な発現時期は不明だが、『冬のインターン』~『全面戦争』に発現したと思われる。
空中に『浮遊』できる。
しかし『浮遊』のみではスムーズな移動は難しいらしく、出久は他の個性と併用で使用している。
出久は走り幅跳びをしながら発動して長距離を滑空、『黒鞭』や「エアフォース」を方向転換に利用しており、この個性によって場所を問わない超高速移動を可能としている。
- 『危機感知』
四代目継承者・四ノ森避影の個性。
『全面戦争』の際に発現した。
危機に際し文字どおり警鐘を鳴らす個性と思われ、出久の意思で任意にON/OFFが出来ず『全面戦争』後マスキュラーと再度対峙した際には『危機感知』が止まないと表現している。
また発現当初の描写を見る限り、頭痛など大きな負荷が生じている。
危機の具体的な内容までは分からないものの、「強敵の居場所を探る」「攻撃のタイミングを先読みする」事が出来るため、回避率の向上と不意打ちへの対策や予測の補強に活用している。
欠点として、相手に害意が無ければ発動しないため、自身への敵意や殺気のこもっていない行動には対応できず、個性が反応しない。
しかし逆に言うと相手の真意を探れるため、疑似的に嘘発見器の機能も備えている。
- 『煙幕』
六代目継承者・煙の個性。
『全面戦争』後、マスキュラー戦から使用。
体から『煙幕』を発する。
この手の個性は多くが指向性を持たせたり操作可能な事が多いが、『煙幕』は猛烈な勢いで煙を出す事しかできない。
六代目曰く『OFA』の影響で煙を出すための弁が緩んでいるため、一瞬で広範囲を覆ってしまう。
一方で身体への負担は他の個性と比べて比較的少ないのか、煙を全開で出しても身体への反動の描写はない。
「姿を隠しながらの移動」「視界の制限」「攻撃の誘導」「位置の割り出し」「撤退時」等に効果を発揮するが、出しすぎると逆手に取られるリスクもあるため使い所は限られる。
『OFA』によって個性そのものが過剰に強化されている事で、煙の総量も増幅し更に煙を出すための弁が緩んでしまっていることから、煙を出す為の出力のコントロールが難しいピーキーな個性となってしまっているため、元々の持ち主である煙も使用時には「出しすぎないよう気をつけろ」と出久に度々注意している。
- 『発勁』
三代目継承者の個性。
『全面戦争』後、個性の習得訓練をしていない未使用状態だったが、レディ・ナガン戦時にぶっつけ本番で使用。
初使用時には後述の理由から三代目と六代目からは使用を推奨されていなかった。
一定の動作を繰り返して運動エネルギーを一時的に身体に蓄積し、任意のタイミングで放出できる。
初使用時には『煙幕』の最大出力による煙で自身の姿を隠した状態でスクワットを繰り返すことで、跳躍力を飛躍的に高めた。
出久は蓄積した運動エネルギーを『OFA』の出力に上乗せし、『黒鞭』と併用して身体に遠心力や反動をつける事で身体が自壊せずに耐えられる限界である『OFA45%』の出力でも、一度の動作に限り擬似的に、鉄砲よりも速く駆けつけるオールマイトの頃の『OFA100%』と同等のパワーとスピードを身体が自壊せずに使用できる『擬似100%』を編み出した。
出久は『発勁』で両脚に蓄積した運動エネルギーを片脚ずつ放出することで、連続して2回の動作を『擬似100%』で行い、レディ・ナガンを倒した。
死柄木との最終決戦では防御に徹して身動きが取れない間に『黒鞭』で右腕の筋肉を内側から伸縮、それにより限界まで蓄積した『発勁』を乗せたデラウェアスマッシュを繰り出し、死柄木の崩壊の予測範囲を丸ごと抉り飛ばす規模の衝撃波を放った。
三代目の頃は力を溜め、それを少ない動きで発することができる個性であった。
使用前に運動エネルギーを蓄積するために同じ動作をある程度繰り返す必要があり、そこから次の動作を読まれ易くなるので戦闘特化としては、決して強くは無い個性であるが、歴代の継承者達の個性が発現した『OFA』ならば『煙幕』で隠れながらチャージの為の動作を繰り返したり、『危機感知』で相手の攻撃を予測しながら『黒鞭』や『浮遊』で空中を高速移動しつつ動作を繰り返すことで、行動しながらの運動エネルギーのチャージもできるので、チャージを戦闘中でも比較的楽に行え、『OFA』の出力に上乗せしても自壊のリスクも無いので、『OFA』とは非常に相性の良い個性となっている。
ただし出久が現状では『OFA』にある複数個性の同時使用や連続使用による並列処理の難易度の高さとまだこの個性に馴れてない事もあり、初使用の時には三代目から「その域に達して無い」と言われた通り、『OFA』を含めた、六つの個性を矢継ぎ早に使用したことによって個性の処理が追いつかずに動きが止まってしまっており、まだ習熟度や並列処理の技術は浅いが、出久は連続して使う個性や同時に使用する個性の数を少なくすることで、慣れてない並列処理の技術を補っている。
OFAの強化に伴い、力を付与する範囲が広がったのか、他の個性の強化にも使用可能。
劇中では『黒鞭』に『発勁』を蓄積させる事で『黒鞭』を強化した『黒鎖』に発展させた。
- 『変速』
二代目継承者の個性。
最終決戦での死柄木戦で使用。
特徴的な構えを取りつつ「トランスミッション」の掛け声にて発動し、マニュアル車のギアチェンジのように、物体の速度を段階的に操作することが出来る。
ただの加速ではなく、加速減速を超えた慣性に依らない速度変更(スピードチェンジ)である。
そのため、常識ではありえない「急制動」「急加速」をかけることが可能で、ギアを落とせばそこで即座に遅くなり、上げれば瞬時に最高速度となる。
操作出来るギアは「一速(ロー)」「二速(セカンド)」「三速(サード)」「四速(トップ)」「五速(オーバードライブ)」の5段階。
また、他の個性にも影響を与えられる。
出久は『発勁』に作用させて運動エネルギーのチャージ時間を大幅に短縮させ、たった一撃で『発勁』の使用に必要な運動エネルギーのフルチャージを可能にしていた。
二代目が使ってた時は小さな物体に作用して操作できる程度であり、対峙したAFOは「ちんけな豆鉄砲」「足掻きと呼ぶことすら烏滸がましい」と見下したが、二代目が自身の頃とはワケが違うと語っているように、最初に『OFA』に混じった個性でもあり、『OFA』の成長に伴って個性が強化されたことで、効力が増大され、物体の操作の付与の解釈が拡大されたことで身体の細胞の1つ1つに作用するまでに成長した上に、『OFA』自体に蓄積された純粋な「力」と重なることで、音を置き去りにする『世の理すら歪ませられる』攻撃を行える凄まじい個性となった(アニメ版ではソニックブームが発生していた)。
出久はこの性能を活かすことで敵にギリギリまで急接近し、デトロイトスマッシュ5連撃を一度に纏めて叩き込む新技「五重(クインティプル)」を披露した。
物理法則を無視した急制動を行えるが、その反面『OFA』に順応しつつある出久ですら個性の制御が困難で、出久は変速の速度操作を腕を自動車のシフトレバーに見立てて速度のギアコントロールをしている。
受けた攻撃の軌道から敵が次の攻撃のタイミングや角度を予測して、敵にカウンターで迎撃されるリスクもあるが、出久は『OFA』に内蔵されている他の個性を同時に使うことで、そのリスクを回避している。
上記のように、OFAの中でも凄まじい効力を持った個性なのだが、反動も非常に大きい。
『変速』によって作用された細胞への反動から、5分ほど使用すると呼吸が出来なくなる致命的なデメリットがある。
呼吸を出来るようにするには細胞を休ませる必要があるのでその間は当然身動きが一切取れなくなるため、発動したら制限時間内に戦闘を終わらせねばならない、まさに切り札と呼ぶべき力である。
緑谷出久:オリジン
『―――人は生まれながらに平等じゃない。これは齢四歳にして知った社会の現実』
『そして僕の最初で最後の挫折だ』
この世界の大部分の人間が先天的な超常能力"個性"を持つ超人社会。
そんな時代に生まれた出久は、幼い頃からNo.1ヒーロー・オールマイトに憧れ、彼のようなヒーローになることを夢見ていた。
しかし出久が4歳の頃、彼は自分が先天的に何の"個性"も持たない人間、いわゆる"無個性"というハンディキャップを抱えていることを知ることになる。
本作における「プロヒ一ロ一」とは、単なる正義の味方ではなく、「超常能力"個性"を世の中のために使う仕事」を意味している。ヒーロー免許とは、公の場での"個性"の使用の免許証であり、つまり、何の特別な能力も持たない"無個性"の人間は、どれだけ努力してもプロヒ一ロ一にはなれないのである。
自分が"無個性"であることを知った出久は、母親に対して涙を浮かべながら「ぼくもヒーローになれるのかな?」と尋ねた。しかし、人の生まれ持った"個性"は、誰にも変えることができないものであり、母親はただ泣きながら出久を優しく慰めることしかできなかった。
こうした母親の優しさや、オールマイトへの憧れ、そして"無個性"であったことによる強い劣等感が、現在の出久の人格の大部分を作り上げていると言える。
自分では夢を叶えることができないと理解していても、それでもヒ一ロ一への憧れを捨てることもできない。
そんな幼少期を過ごした出久であったが、中学生になってとある人生の転機が訪れる。
中学時代
「"個性"のない人間でも あなたみたいになれますか?」
自らの進路に思い悩んでいた中学2年生の冬、出久は偶然にも憧れのヒーロー・オールマイトとの運命的な出会いを果たす。
出久は"無個性"ではヒーローになれないことをオールマイトに諭されるが、その後、ヘドロヴィランに囚われた爆豪を救けようとした生来の正義感をオールマイトに見込まれ、弟子入りすることになった。
オールマイトにヒ一ロ一としての資質を認められてからは、受験勉強を継続しながらハードトレーニングに取り組み、「海浜公園をゴミ一つないきれいな砂浜にする」というオールマイトの提示した課題を見事に完遂させた。
出久はオールマイトの正式な後継者として"個性"ワン・フォー・オールを譲渡され、ついに憧れであったヒーロー育成の登竜門・雄英高校への合格を果たした。
雄英高校入学
プロヒーローの登竜門・雄英高校へ入学した出久は、同じくヒーローを目指すライバル・クラスメートとの出会いを経て日々成長していく。
しかし継承されたNo.1ヒ一ロ一の力は、身体的にはごく普通の少年である彼にとって余りにも強大だった。人並外れた努力によって徐々に頭角を現していった出久だが、そこにヴィランの襲撃など度重なるアクシデントもあり、当初は身に余る力を半ば暴走に近い形で使わざるを得ない状況が続いていた。結果として、彼は全力で戦う度に自分の体を動かせなくなるほどの重傷を負い続ける。
その度に学生でありながら自分の身を滅ぼしかねない出久の振る舞いは、雄英の教師達からも度々叱咤され、母親・クラスメートには心配をかけた。
出久にとってオールマイトは単なる憧れではなく、現在の自分を形作った恩人、まさに神に等しい存在でもある。彼のそうした「身を滅ぼす戦い方」は、オールマイトへの強すぎる憧れの現れでもあった。
だが、オールマイトの下で日々切磋琢磨する中で出久は、どんな時でも笑顔で人々を救い出すNo.1ヒーロー・オールマイトの肩にのしかかる途方もない重圧、そしてそのために彼がどれだけ多くのものを犠牲にしてきたのかという現実を目の当たりにしていく。
オールマイトの引退や母の願い、ミリオとの出会いなどを経て、今一度自分の原点を見つめ直した出久は、自分にとっての『最高のヒーローとは何か』を、自分自身の未来像として徐々に現実的に考え始めるようになる。
またそうした変化は行動面にも現れており、以前は嬉しいときも悲しいときもとにかく泣いていたが、その頃からは辛いときにもぐっと涙を押し殺す姿を人前で見せるようになった。クラスメイトにも自信を持って作戦を提案するようになるなど、前述の対人面での気後れも改善されつつあるようだ。
幼馴染である爆豪との付き合い方も、入学以後、数々の衝突と事件を経て、現在は明確なライバル関係と共に、頼れる協力者と言う関係性を築き上げており、長年の二人の確執に決着をつけつつある。
A組・B組の合同訓練では、OFAの暴走と言う予期せぬ事態が発生しつつも、決して戦闘向きでは無い『個性』を持つチームメンバーの中心となって完封勝利を収めており、これは爆豪チーム以外では出久チームしかなせなかったことから、無個性だった彼は、多くの人々に支えられ、様々な失敗や反省を積み重ねながらも、少しずつオールマイトの言う『救けて勝てるヒ一ロ一』への道を進めている。
活躍
USJ襲撃の際は、蛙吹、峰田と共に黒霧の個性で飛ばされる。その後合流した爆豪、轟、切島と共にオ一ルマイトのサポ一トに動く。
雄英体育祭は、第1種目障害物競走では1位でクリアし、第2種目騎馬戦では常闇、麗日、発目とチームを組み4位通過する。
最終種目ガチバトルト一ナメント、1回戦では心操と戦い心操の個性に苦戦するが勝利する。2回戦ではと轟と戦い全力を尽くすが敗退する。詳細はこちらへ。
職場体験にて、オールマイトの恩師であるグラントリノに指名され、彼の下で"OFA"を使いこなす技術を磨き上げる。3日目で実戦として敵退治を行うべく移動してた際に保須市襲撃事件に遭遇する。先にステインと戦っていた飯田の元に轟と駆けつけ、ステインと対峙し三人で協力し撃破するが、三人はまだまだ未熟さを知り共に強くなる事を改めて誓い合った。
期末試験では爆豪と共にオールマイトに挑み、コミュニケーション不能状態でスタート。試験クリアの為の方向性を決めるどころか協力体制すら取れなかった。しかしオールマイトに強襲されその強さを実感。逃げた路地裏で出久が爆豪を説得し、協力体制を得ることに成功。爆豪に作戦を立ててもらう。戦闘と逃走の折衷作戦は成功。一時逃げる時間を稼ぐことができたが途中追いつかれる。爆豪が出久を出口に逃し、オールマイトを足止めに掛かるがそれも抑え込まれる。その様子を見て、逃げに徹していた出久がオールマイトを殴り飛ばし、その隙に気絶した爆豪を連れて出口へ。ミッションクリア。
林間合宿襲撃の際は、洸汰くんがいないことに気付き探し動き、洸汰くんとマスキュラーを発見し大怪我をしながらもマスキュラーを倒し、洸汰くんを相澤先生に託し敵の狙いが爆豪と伝え、爆豪救助に動く。
障子、そして個性が暴走している常闇に会い、そしてその後合流した爆豪、轟と協力し常闇の暴走を鎮めた。 施設に向かう途中に麗日と蛙吹と合流するも、気づかないうちに常闇と爆豪をMr.コンプレスに奪われる。
麗日と蛙吹の協力もあり轟、障子とMr.コンプレスを追跡し開闢行動隊と交戦する。Mr.コンプレスのポケットから二人が圧縮されたと思われる球体を奪い返すも、それは偽物であったことが判明。黒霧のワープにより逃げられそうになるも青山のレーザーを受け本物の球体が露出し常闇を助けるが爆豪は連れ去られてしまった。
その後轟、切島、ブレーキ役となるための飯田、八百万と共に爆豪救助に動き、出久の機転と爆豪と切島の信頼により、辛くも救出と離脱に成功する。
ヒーロー仮免試験一次試験では、スタート早々に傑物学園高校の攻撃で1年A組皆バラバラになる。士傑高校の現見ケミィ?と遭遇し戦闘になるが、他の受験生が集まりだしケミィ?が引く。その後、麗日、瀬呂と合流でき3人で協力し一次試験通過できた。
二次試験では、個性などを使い救助活動を続けていた所に、敵役のギャングオルカらとの戦闘になり、轟と士傑高校の夜嵐が衝突した時は一括を入れる場面も。そんなこともありつつも無事ヒーロー仮免許を取得する。
インターンでは、ミリオを介してオールマイトの元サイドキックのサー・ナイトアイの元で活動しようとするが、ナイトアイに「雇うメリットがない」と言われてしまう。それでもナイトアイの出す採用試験を受けさせてもらい、試験自体は不合格だったが受け入れてもらえることになった。
インターン初日にミリオとパトロール中に死穢八斎會の若頭・オーバホールと壊理と遭遇したことにより事件が動き出す。ナイトアイが追っていた事件の中心にエリちゃんが関わっていると知り、パトロール中に保護できなかったことを後悔するがミリオと今度こそ助け出すと誓う。
死穢八斎會潜入捜査の際は、構成員の激しい抵抗に遭うも、オーバーホール元に辿り着き交戦。オーバーホールの“個性”に苦戦を強いられるも最終的に壊理の暴走した“個性”の影響を受けたOFAの100%の力でオーバホールと戦闘不能に追い込んだ。
雄英文化祭では、ダンスチームとして参加する予定が、演出班の人手不足(ダンスが下手)で配置転換される。実際はダンスチームにも参加する。それと合わせてオールマイトと遠距離攻撃の方法に着手する。
文化祭当日の朝、朝練後に演出の道具を買いに街に出たところで偶然に雄英高校に不法侵入と目論むジェントル・クリミナルとラブラバに遭遇し、文化祭の開催そしてエリちゃんの笑顔を見るためジェントル戦う。お互いの想いをぶつけながらも決着がつき、形上はジェントルが自首することになった。出久は慌てて文化祭に戻り皆に心配されるも、ステージを披露しエリちゃんに笑顔を届ける。ジェントルと戦ったことはハウンドドッグらにバレて、注意を受ける。
とある秋の夜に寝てる間に"OFA"が暴走し、無意識(ワン・フォー・オールの精神世界)の中で歴代の継承者に出会う。
A組・B組合同戦闘訓練では、第五試合に登場。出場者は、A組から出久・麗日・芦戸・峰田、B組から物間・小大・庄田・柳・心操。
物間、心操との心理戦をしている最中に"OFA"が暴走し一時的に試合が止まる。出久は意識の失っている中、ワン・フォー・オールの精神世界の中で歴代の継承者の万縄に会い"OFA"について色々と聴く。麗日、心操のおかげで暴走が鎮まり正気に戻り、物間の強襲により試合が再開する。心操と対峙し新しく発現した個性などを使い確保した。第五試合はA組の勝利になった。
冬のインターンでは、爆豪、轟と共にエンデヴァーの元で活動した。
インターン期間中の目標として「"個性"の並列使用」を掲げた出久は、エンデヴァーの実戦形式の指導によって着実に成長し、『黒鞭』を自身のコントロール下に置くことに成功する。
夏雄を襲ったエンディングとの戦いでは、エンデヴァーに提示されたヒーローの基本三項である「避難・救助・撃退」の「避難」を担い、見事三人の連係プレーで完全勝利を果たした。
全面戦争編
翌春に訪れた超常解放戦線との全面戦争では最後方部隊に配置され、蛇腔総合病院の近隣市街地の避難誘導を行った。
バーニンらプロヒーローの指揮の下、一般市民達を戦闘区域外へ誘導している最中、出久はOFAの共鳴現象により、遠く離れた山中から死柄木弔の気配を感じていた。
その直後、死柄木の"個性"伝播する『崩壊』による無差別破壊が始まり、閑静な街並みは突如として崩壊へと飲み込まれていく。
現場が混乱する中、死柄木の狙いが『ワン・フォー・オール』であることを悟った出久は、死柄木との戦いへの参戦を決意する。
出久はこの時点で歴代継承者の"個性"である『黒鞭』、『浮遊』の2つを制御し、OFAのパワーを瞬間的に45%まで引き上げることが可能となっていた。
出久がトップクラスのプロヒーローと比較しても遜色ないレベルまで成長していたのに対し、迎え撃つ死柄木弔は、ドクターによる人体改造手術によって、それを上回る異次元の進化を遂げていた。
超人的な力を得た死柄木の前に歴戦のヒーロー達が次々と敗れていく中、ここが正念場と踏んだ出久は、自分自身の命を投げ打つ覚悟で100%スマッシュを連発し、死柄木を追い込んでいく。
激しい戦いの最中、出久の隙を突いた死柄木が『オール・フォー・ワン』の"個性"を発動したことで、2人の意識は精神世界へと引きずり込まれ、そこで出久は死柄木弔、そして"個性"『オール・フォ・ワン』に内在したAFOの精神と対面する。
出久は"個性"『ワン・フォー・オール』の中に残された与一、志村菜奈らの意識の残滓(作中では「面影」と呼ばれる)の助力によって、死柄木の"個性"強奪を退けることに成功したものの、100%スマッシュを連発した反動によって戦闘続行が不可能となり、同時に死柄木弔もまた、戦闘によるダメージとAFOの継承に伴う負荷によって肉体が崩壊を始めており、傷を癒すために撤退を余儀なくされていた。
死柄木弔を退けたヒーロー陣営だったが、ヒーローと超常解放戦線の戦いは各地に大きな被害の爪痕を残し、均衡の失われた社会は急速に混乱を深めていくこととなる。
そして死柄木弔の心の中で幼少時代の志村転弧の原点「救けを求め泣いている少年の心」を見つけ出した出久は、遠のいていく死柄木の背中を見つめながら、彼を闇の中から救い出すことを心に誓うのだった。
全面戦争の終結後、出久は長い眠りの中で、自身の精神世界に宿るOFAの歴代継承者達の面影と対話をしていた。
出久は歴代継承者達から、『ワン・フォー・オール』がすでに普通の人間には受け継ぐことができないほど強大な力へと成長していること、そして出久はOFAの最後の継承者として、オール・フォー・ワンを必ずや討ち取らなければならない使命を背負っていることを告げられた。
彼らはOFAの継承者として「死柄木弔を殺すことができるのか」という覚悟を出久に問うが、『ワン・フォー・オール』という力の持つ意義について、出久は彼らとは異なる想いを抱いていた。
超人社会の長い歴史の裏側で、歴代継承者達は人々を苦しめるAFOに立ち向かうために戦い続け、その想いを次の継承者へと託してきた。
歴代継承者達が紡いでいく中で、やがてその力は人々を照らす希望となってゆき、いつしかOFAは『討つための力』ではなく、人々を『救けるための力』というもうひとつの意義を持つようになっていた。
だからこそ出久は、OFAを受け継いだ自分自身の使命として、死柄木弔───その内側で泣いていた志村転弧を「救けたい」という想いを歴代継承者達に示した。
目が覚めたとき、出久はOFAの反動によって確実にダメージを負っていたものの、彼はすでに自分の体が以前のような致命的な怪我を負うことは無いほどに成長していたことを知ることとなる。
出久はグラントリノ・歴代継承者から打倒AFOの使命を託されると共に、母の前で必ず生きて帰ることを約束した。
その小さな背中に多くのものを背負い、再び出久は戦いへと赴くのだった。
黒いヒーロー編
全面戦争から5日後、出久はクラスメイト達への置き手紙を残して雄英高校を去る。
行方を眩ませたAFOを捜索するために、出久はエンデヴァー、ホークス、ベストジーニスト、そしてオールマイトとチームアップ体制を取り、その中で彼はAFOに誘き寄せるための囮役という役割を買って出た。
出立にあたって、出久はオールマイトがアメリカから取り寄せた新アイテム『ミッドガンドレッド』を装備、更に3代目の『発勁』、4代目の『危機感値』、6代目の『煙』という3つの"個性"を解禁した。
出久は瞬間的な動作に限れば、在りし日のオールマイトに匹敵するほどの力を発揮できるようになり、新しく手に入れた力を駆使して並み居るダツゴク達と戦っていく。
ただし、この作戦はヒーロー陣営にとっては苦肉の策とも言えるものであり、人員が限られる中での敵連合の捜索は難航を極めた。
その役割上、エンデヴァー達が出久に対して与えられる支援は限られており、何よりも捜索に時間を掛けることは、それだけ多くの準備期間をAFOに与えてしまうことを意味していた。
出久は避難に遅れた人々の救助活動を続ける中で、マスキュラー、レディ・ナガンといった強敵を打倒する活躍を見せたものの、昼夜を問わない孤独な戦いの中で自身の心身を摩耗させていくこととなる。
一度は自身の背負う使命の重さに押し潰されかけた出久だったが、クラスメイト達の真摯な説得によって心を開き、再び雄英高校への帰還を果たすこととなる(詳細は黒デク、未成年の主張に記載)。
出久が雄英高校に帰還した頃、すでに全面戦争の終結から一か月が過ぎようとしていた。
未だ各地の混乱は収まらないものの、残されたプロヒーローや警察、出久たちヒーロー科学生の尽力の甲斐もあって、ほとんどの民間人の避難所への誘導が完了し、状況は幾分か整理されつつあった。
未だAFOの行方を掴むことができないまま、ステインがオールマイトに与えたAFOの手がかりや、スターアンドストライプと死柄木弔の交戦によって生じた猶予期間を頼りに、各方面が敵との第二次決戦に向けての準備を進める中、事態は思いがけない形で急展開を迎えることとなる。
雄英高校に帰還して以降、出久はずっと浮かない顔をしていた青山に対して声を掛ける機会を窺っていたところ、偶然にも青山と両親の密会を目撃してしまい、青山がAFOの内通者であることが発覚することとなる。
青山親子はすぐさま拘束され、警察による尋問が行われた。
尋問の中で、出久は青山が自身と同じ"無個性"だったこと、オール・フォー・ワンによって"個性"を与えられたこと、オール・フォー・ワンに家族を人質にされていたこと、クラスメイト達と日々を過ごす中で、彼がずっと罪悪感を抱き続けていたことを知ることとなる。
青山の計り知れない苦悩、彼の心の奥底に秘めた想いを知ったクラスメイト達は、彼の罪を責めることよりも、彼と再び手を取り合って困難に立ち向かうことを願った。
このときオール・フォー・ワンとの戦いは、もはや出久だけの孤独な戦いではなく、A組のクラスメイト達は戦いに向けての決意を新たにし、全ての元凶であるオール・フォー・ワンを打倒することを共に誓うのだった。
コスチュームの変遷
- コスチュームα
最初期のヒーローコスチューム。
出久の母が入学祝に買ってくれたジャンプスーツを元に制作した。子供の頃のヒーローノートに似たような姿の落書きが描かれており、これがイメージの元になっていると思われる。
薄緑色の生地に白いラインが入ったシンプルなデザイン。二本の角と歯のような形のマスクが特徴的だが、これは憧れのオールマイトの前髪と笑顔をモチーフとしたものである。
他の生徒達が一流のサポート会社の制作した最新鋭のコスチュームを身に着ける中、出久は母の気持ちが詰まった手作りコスチュームでの初陣となった。見た目は「超カッコいい」とはさすがに言えないが、周りの生徒達からの印象はそれほど悪くなかったようである。ちなみに制作費は40,380円。
- コスチュームβ
初代のデザインを元に、雄英専属のサポート会社によって改良された二代目コスチューム。
戦闘訓練で爆豪に初代コスチュームを破壊されたため、雄英体育祭後に新調された。
デザインや材質に変更が加えられ、濃緑を基調に黒のラインの入ったカラーリングに。オールマイトの前髪を模した頭巾はフードに。笑顔を模したマスクはメッシュから硬質な材質に変更された。
以降はこのデザインをベースとして新しい装備を付け足す形でバージョンアップを続けている。
ちなみにこのコスチュームになって以降は、フードやマスクは降ろしたままにしていることが多い。一見分かりにくいが、フードは後頭部に穴が開いており、被ると後ろ髪が出るデザインとなっている。
- コスチュームγ
シュートスタイルへの転向を機に改良を加えたコスチューム。
腕への負担を抑える保護サポーターと、つま先パーツをバネ仕掛けで射出し、瞬間的に蹴りを強化する足部装甲『アイアンソール』を装着した。
林間合宿の戦いで両腕に大きなダメージが残った反省を生かし、全体的に身体への負担を抑えるための工夫がされている。
- コスチュームδ
エアフォースの習得を機に更に改良を加えたマイナーチェンジ版。
新たなサポートアイテムとして、発目明の開発したグローブを装着。このグローブはエアフォースを放つ瞬間に銃身のように変形することで、衝撃波の狙いを安定させる機能を持つ。
この辺りから「己の身ひとつで戦い続けるオールマイト」に対して、「様々なサポートアイテムや小技を駆使して戦うデク」という形での路線が明確になったと言える。
- コスチュームε
超常解放戦線との全面戦争後のコスチューム。
背中に大きなリュックサックを背負い、グラントリノから受け継いだ黄色いマントを身に着けている。また、人前では正体を隠すためにフードマスクを装着する。
エアフォース用のグローブの代わりに、アメリカから取り寄せた最新装備『ミッドガントレット』を装着。高出力のワン・フォー・オ一ルに耐える強度と最新鋭の圧縮技術が搭載されており、戦闘時に出久の腕に巻き付くように展開し、両腕を保護する。
休みなく戦い続けられる持久性に特化した装備であり、戦闘では「ダツゴク(タルタロスに収監された超一級ヴィラン)」を圧倒するほどの力を発揮した。
- コスチュームΖ
最終決戦時のコスチューム。製作者は発目明。
ダツゴクとの連戦によってコスチュームεの装備の大部分が破損したため、コスチュームβ以来、二度目のモデルチェンジが行われた。
ほぼ黒に近い緑色にオレンジ色のラインの入ったカラーリングで、グラントリノのマントに加えて、首元を隠すような立襟が付いているのが特徴。腕部にはミッドガントレットに近い性能を持つ装甲と、エアフォース用のグローブを再装着した。
これまでの出久の歩みの集大成とも呼べる装備であり、様々な状況に対応できるオールラウンドな立ち回りが可能となっている。
番外編
- フルガントレット
劇場版第一弾・2人の英雄で使用した試作品サポートアイテム。製作者はメリッサ・シールド。
超圧縮機構を備えた赤い金属質のバンテージのような装備で、ワン・フォー・オール100%の衝撃に3度まで耐える破格の強度を誇る。
本編では明言されていないが、コスチュームεで装着したミッドガントレットにデザインが類似しているため、こちらはその前段階の試作品であると思われる。
劇中、出久の腕の負荷を抑えるためにメリッサが気前よく提供してくれた装備だが、最新鋭の技術を搭載した一品物であることを考えると、実はとんでもなく高額な品だったのかもしれない。
- ステルススーツ
劇場版第三弾・ワールドヒーローズミッションの限定コスチューム。
海外派遣、夜間での奇襲という特殊な状況下での作戦のために、インターン先のエンデヴァーによって配備された。
最終話にて登場したコスチューム。
余談
- 緑谷出久はいわゆるジャンプ主人公としては珍しく、父親との関係性が全く描かれないキャラクターとなっている。彼の父親は現在のところ全く作中に登場しておらず、幼少時や雄英高校に関する会話にすら一度も登場していない。作中僅かに確認できる父の書斎には、デザイン関連の本が並んでいる。単行本11巻によれば「海外へ単身赴任」中とのことだが、どのような仕事をしているのかは明らかになっていない。
- 作中で彼の文字Tシャツについて特に触れられることは無く、周りのクラスメイト達からは「ツッコんだら負け」と思われているらしい。ただしそのシュールさから一部のファンから根強い人気を博しており、何点かは実際に商品化されている。
- 劇中の時代において、個性を持つ人間の割合は80%ほどとされている。これは世代を重ねる毎に個性を持つ人間の割合が高くなっていることを示しており、出久の世代では無個性の人間は絶滅危惧種と例えられる程非常に珍しく、明確に無個性と語られている人物は出久を含めて五人もいない。"無個性"に対する制度上の差別は行われていないものの、一般的な学校では基本的に個性があることを前提としたカリキュラムが組まれているため、"無個性"の子供はとても肩身の狭い思いをすることになる。
- 出久の両親に関しては、母親は「ものを引き寄せる」、父親は「火を吹く」という個性を持つ、この世界では「普通の人」である。しかし個性持ちの両親から子供に個性が引き継がれない事は稀らしい。
- 人気投票結果のカラーぺージで描かれてきたファンタジー世界観のデク達は、デク達が違う世界にいたらこんな感じというイメージで描いてると堀越先生が明かしている。
- 第8回人気投票結果でのジャンプ本誌巻末コメントにて「村人デクは幼馴染の盗賊団に入団しました」と明かしている。
- また、累計発行部数1億部記念の47都道府県をデク達が回るイベントにて、東京新聞上でデクが爆豪に「いつかヒーロー事務所を設立するとしたら六本木かな、かっちゃん(オールマイトと同じ)」という問いに爆豪が答えたところ、轟が「ん?お前ら一緒に立ち上げるのか?」と突っ込み、デクと爆豪が「!!!?」と、反応する内容が掲載されている。
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- モンスターストライク:コラボ参戦。コラボ先での活躍は該当項目を参照のこと。
- 五十嵐一輝:仮面ライダーリバイスの主人公で仮面ライダーリバイに変身する。性格は出久と同じくお節介な性分であり、その確固たる意志で何度も困難を乗り越えてきた上、そのお節介が多くの人に影響を与えた。現に一輝役の前田拳太郎氏も「一輝を演じる際には僕のヒーローアカデミアの緑谷出久くんを演技の土台としています」とインタビューで語っていた。
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