概要
2020年、6月~12月の半年にかけてテレビ東京で放送された特撮ドラマ『ウルトラマンZ』。
2020年12月19日に最終回が放送され、惜しまれつつも完結したが、その完成度の高さからファンの間では所謂“Zロス”に陥る者が続出するようになった。
最終回放送の2日後の2020年12月21日、Twitterユーザーの1人であったinozi氏が、「#ウルトラマンZ全50話」のハッシュタグを考案し、フォロワーに本来あり得ない筈の全50話構成の『ウルトラマンZ』の内容と感想を語り合おうと呼びかけた(参照)。
恐らく、少しでもロス状態になったファンの慰めになれば…という配慮故の企画だったものと思われるが、いざ開始されると、inozi氏のフォロワーだけでなく、多くの『Z』ファンがこのハッシュタグをつけて思い思いの投稿を綴りはじめ、思いがけない盛り上がりを見せることになる。
とはいえ、所詮はTwitterでよく行われる大喜利のような側面が強く、そう経たないうちに下火になるだろうと思われていた……この時点では。
同日の午後2時58分に事態は大きく動くことになる。
なんと、『ウルトラマンZ』でメイン監督を務めていた田口清隆氏が自らのアカウントに「ちょっとこれから49.50話の脚本打ち合わせ行ってくる。」というツイートを投下したのである。
もちろんハッシュタグも添えて。
これに呼応する形で、製作スタッフや『Z』の出演者および過去に新世代ヒーローズに出演していた俳優たち等が次々にリプライを寄せるようになり(後述)、この企画は公式側の人間も巻き込んだ一大イベントへと発展していくことになったのである。
その結果、夕方には「#ウルトラマンZ全50話」が日本のトレンド上位に浮上、投稿数も日付が変わる直前に40000近くにまで膨れ上がるというとんでもないことになっていた。
この盛り上がりは円谷プロダクションの海外アカウントにも取り上げられ、海外向けとして“#UltramanZ50Episodes”というタグができるなど、海外でもちょっとした話題となっていた模様。
なお、inozi氏は当然ながら自分の発案した企画がここまで盛り上がるとは予想だにしておらず、後日非常に恐縮した旨をツイートしている。
いずれにせよ、この企画の盛り上がりが、『Z』という番組の人気の凄まじさを改めて証明することになったのは間違いない。
投稿内容の傾向
ゼットと共演の叶わなかった他のヒーローとの共闘もしくは敵キャラクターとの対決(他作品のものも含む)、ストレイジの隊員たちの描写の掘り下げ(中にはヨウコとユカの水着回なんていうとんでもないものも)、過去作品をオマージュしたストーリー、過去作に登場したロボット怪獣を改めて特空機に改造して活躍させるエピソード、地球を離れたゼットとハルキの冒険談等実にバラエティ豊か。
まあ、裏を返せば、『Z』はそれだけ色々なエピソードを描けるポテンシャルを秘めているということなのかもしれないが。
ウルトラシリーズ関係者の反応(抜粋・原文ママ)
スタッフ
「ちょっとこれから49.50話の脚本打ち合わせ行ってくる。」
後藤正行…デザイナー。『ウルトラマンZ』キャラクターデザイン担当。
「ウルトラマンZの最終パワーアップフォームのメダルはアレとアレとアレか!よし!わかったデザインを始めよう😎」
(田口監督の返信によると、アレとアレとアレとはこの人たちのことだったらしい…)
越知靖…『ウルトラマンZ』監督。
辻本貴則…『ウルトラマンZ』監督。
内田直之…『ウルトラマンZ』監督・特技助監督。
「第35.36話の合成打ちですが、本編坂本さんで特撮田口さんの組合せなんてやめてください、キャラクター多すぎてメンテの宮川さん泣いてます!辻本さんがBスタで素材撮りするから大丈夫とか言う話ではないです!」
足木淳一郎…脚本家。『ウルトラマンZ』コ・プロデューサー。総集編や『ギャラクシーファイト』等でお馴染み。
「ではコプロデューサー権限で46話にジョーニアス・エレク・ロトのウルトラフュージョンいれさせていただきます。変身バンク用にエレクとロトの新規スーツ作りますね。決定事項です。」
皐月彩…脚本家。新世代シリーズで脚本を担当。
「それだけムーブメントになってくれてる事も名残惜しんでくれてる事も嬉しいですね」
丸山浩…デザイナー。TDG三部作を始めとする平成ウルトラシリーズでキャラクターデザインを担当。
「最終回だけ参加することになりました。助手としてウチの黒猫が付きます。」
芦名みのる…アニメーター・獣医師。『怪獣娘~ウルトラ怪獣擬人化計画~』監督。
(恐らく「打ち合わせに遅れて申し訳ない」といった意味合いと思われる)
シリーズ出演者
松田リマ…『ウルトラマンZ』ナカシマ・ヨウコ役
青柳尊哉…『ウルトラマンZ』『ウルトラマンオーブ』ヘビクラ・ショウタ/ジャグラスジャグラー役
「さっき田口さんから聞いたけど、49.50話ヤベー面白い!!!!あー、誰かに話したい!!!!いや、観せたい!!!!!!!」
木村圭作…『ウルトラマンZ』タケカワ警備隊長役/『ウルトラゾーン』松原俊太郎役
(宇佐美探偵シリーズは『ウルトラゾーン』における短編ドラマ。木村の演じた松原俊太郎は同ドラマのレギュラーの1人)
宇野あゆみ…元子役。『ウルトラマンコスモス』劇場版1作目 マリ役
斉藤麻衣…『ウルトラマンコスモス』劇場版 ギャシー星人シャウ役
長谷部瞳…『ウルトラマンマックス』コイシカワ・ミズキ役/『ウルトラマンジード』伊賀栗ルミナ役
「もう、みーんなまとめて伊賀栗家でご飯食べてったらいいよ🍚」
南翔太…『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』『~NEO』レイ役(主演)
「第30話で「ウルトラマンフェスティバル〜子供達と触れ合うZとハルキ〜」の姿が見たい。」
根岸拓哉…『ウルトラマンギンガ』『ウルトラマンギンガS』礼堂ヒカル役(主演)
「飛び蹴りと皆率いて「行こうぜぇ〜」言わせてください。あとスピンオフで「激撮!UPG密着24時」をお願いします。」
(ただし、田口監督からは尺の確保のために特訓シーンを削ると言われてしまった)
滝裕可里…『ウルトラマンギンガS』杉田アリサ役
「はーい🙋♀️アリサもバッチリ日々鍛えておりますのでいつでも集まれまーす!ガレット!!」
「ウルトラマンXとウルトラマンZの敵として出て来て いずれ仲間になるウルトラマンY 宜しくお願いします。最終的にはウルトラマンX Y Zっていう最強のウルトラマンが誕生します。」
(田口監督「Yって、なんか締まらないね…。」)
坂ノ上茜…『ウルトラマンX』山瀬アスナ役
百川春香…『ウルトラマンX』高田ルイ役
濱田龍臣…『超決戦!ベリアル銀河帝国』ナオ役/『ウルトラマンジード』朝倉リク役(主演)
「朝倉リクによく似た少年がジャンボットに乗って出る回お待ちしてます😊😊」
この後、これとは別に、根岸拓哉氏が勝手に「♯龍臣プロ全50話」なる企画を立ち上げる(濱田氏本人も乗っかった)。
「2話跨ぎでホワイトベアーズの紅白戦お願いします🤽♂️笑」
「就活中のイサミがストレイジに会社見学する話お願いします😀その際、ロボットの操縦席にも座らせてください😏」
(田口監督からは、「ストレイジは会社じゃなくて地球防衛軍だ」とツッコまれた)
湯浅かえで…声優。『ウルトラマンR/B』ダーリン役/『怪獣娘~ウルトラ怪獣擬人化計画~』道理サチコ/ザンドリアス役
「ノイズラーとザンドリアスが岩船山で大爆発する回はありますかねぇ🤔(ある)」
諒太郎…『ウルトラマンタイガ』宗谷ホマレ役
ブースカ…おなじみ円谷プロのマスコット
…なんというか、皆さんノリノリである。
余談
世の中には「嘘を信じ込ませるには真実8割、嘘2割」という言葉があるように、実は公式関係者のツイートの中に真実が混じっていたり、これから実現する(若しくはさせようとしている)内容もあるのでは?という予想もあったりする。実際、近年のウルトラシリーズは(予算の都合で全50話を放映する事はまだまだ厳しい、時期尚早な状況にあるが、)本編に相当する特撮ドラマ以外にも、超全集収録の長編小説やボイスドラマ・WEBドラマの配信と、徐々に展開媒体を広げつつある為、強ち実現不可能とも言いきれないのが恐ろしいところである。
内田直之氏や後藤正行氏のツイートには、スタッフと思われる人物の名前や、製作者の間で使われている業界用語などが記されているものがあり、実際に打ち合わせを行っているかのようリアルな形式で書かれている。このため、ネタツイではあるが、一方で製作にあたっての打ち合わせが普段どのように行われるのかを知ることができる、ある種貴重な資料としての側面も持っている。
次回作『ウルトラマントリガー』およびその劇場版作品『エピソードZ』では、ナツカワ・ハルキとウルトラマンゼットが客演する。
そして『ウルトラギャラクシーファイト運命の衝突』では上記の発言者達にオーブとトライスクワッドを加えた新世代ヒーローズ達と肩を並べて、ウルトラマントレギアを相手に戦うゼットの姿があった。
ファンが望んでいた「『Z』のその後のエピソードが観たい」という思いがある程度実現したと言えるかもしれない。
関連項目
ブルトン メトロン星人 - 一部では、一連の集団幻覚はこいつらの仕業では?と言われたりもしたとか(1年後にはこいつの仕業である可能性も浮上した)。
モルカー13話 - 3ヶ月後に発生した同様の集団幻覚。こちらは数週間にわたって続き、ファンの熱意が届いたのか、翌年に本当に続編が製作・放送されることが決まった。同じテレ東繋がりでもある。
水星の魔女25話 - 3年後の6月に完結したガンダムシリーズ最新作『水星の魔女』の完結を惜しんで発生した集団幻覚。
シン・ウルトラマン全39話 - およそ1年半後に発生した同様の集団幻覚。
ウルトラマンタイガ全50話 - およそ1年前に発生した同様の集団幻覚。
ウルトラマントリガー全50話 - およそ1年後に発生した同様の集団幻覚。
存在したいダーゴンさん回 - 同じく1年後に発生した同様の集団幻覚。
ウルトラマンブレーザー全50話 - およそ3年と1ヶ月後に発生した同様の集団幻覚。ちなみに『ブレーザー』も田口監督がメイン監督を務めた作品であった。
思い出の先生 - こちらは27年後に本当に放送された、ウルトラマン80・教師編の完結編となるエピソード。