概要
大映・角川のガメラシリーズの怪獣たちを指す。
ゴジラシリーズに比べて全体的に「イロモノ」が多いとされるのも当シリーズの怪獣たちの特徴であり、その攻撃方法も多彩である。
昭和シリーズは、ガメラと子供との関係を強調している事もあり、ゴジラシリーズよりも「子供向け」という印象が強いが、子供にとってトラウマを植え付けやすいのはむしろこちらというギャップがある。
ゴジラシリーズと違い、ガメラの味方になった他の怪獣は、下記のガラシャープの子供達をのぞけば存在しない。
邪神イリスのみは一部の媒体で「超獣」に区分される場合がある。
また、平成ガメラ3部作の敵はメスしかいないという意見があるが、真偽は不明である。
- イリスの祠の内部は「子宮」に基づいてデザインされたと判明しているものの、イリス自体は比良坂綾奈との関係から「男根」をイメージしてデザインされており、イリスの勾玉も「精子」に基づいた形状でデザインされている(『平成ガメラパーフェクション』より)。
攻撃能力
「傷つき血を流しながらも立ち向かう」というガメラのヒーロー像がコンセプトにあるゆえか、敵の肉体を貫通したり切断する様な能力を持つ怪獣が目立つ。
また、バルゴン、ギロン、ジャイガー、ジグラ、マザーレギオン、イリスなどがとくに顕著だが、個性的で多彩な能力を持つ怪獣も少なくない。中には非常に凶悪な能力も散見される。
昭和シリーズの敵には四足歩行の怪獣が目立ち、バルゴン、ジャイガー、ギロンは四足歩行ながら高い跳躍力やジェット噴射に該当する能力を持ち、ガメラなどへの対抗手段としている。
また、バルゴンの冷凍液や昭和ギャオスの「消化液」、バイラスとギロンの頭部、呼応した出自を持つジャイガー、ジグラの背びれ、ガメラの熱エネルギーを奪うガラシャープなど、ガメラへのアンチテーゼとしての能力や特徴を持つキャラクターが、とくに昭和シリーズには散見された。
耐久力
基本的に人類側にゴジラシリーズのメーサー殺獣光線車の様な超兵器が登場しない為か、怪獣の耐久力は(あくまでゴジラ怪獣やウルトラ怪獣に比べれば)低めである。
昭和ではそれ程でもないが、平成三部作以降の怪獣達は当たりさえすれば、普通のミサイルや戦車砲でも大なり小なりダメージを与える事が可能である。ギロンも、宇宙人由来の技術とは言えミサイルが原因で死亡しており、ガラシャープも爆弾を呑み込んで絶命する予定だった。
なお、シリーズの本編には直接に架空兵器が登場したことはないものの、上記のガラシャープが飲み込む予定だった爆弾は架空兵器であった。また、『ガメラ2』のスピンオフ漫画である穂波碧の弟を主人公にした作品では、映画で養老孟司が演じた大学教授が活躍しており、その中で「拡散イオン砲」という対レギオン用の兵器を開発したことがあった。その他、『小さき勇者たち』では「冷却ミサイル」の登場が検討されていたこともある。
体重
大きな特徴として、平均して設定体重が極端に軽いというものがある。
ほぼ同じ背丈のゴジラ怪獣やウルトラ怪獣と比べると1/1000ぐらいしかないことも少なくない。
ガメラ怪獣とゴジラ怪獣やウルトラ怪獣の極端な体重差の背景には、実は明確な理由がある。
ゴジラ怪獣やウルトラ怪獣は、「身長50m超えの怪獣が体当たりでビルを破壊するために必要となる重量」の観点から体重が設定されている。
一方のガメラ怪獣は、実在する爬虫類の体重と体積の比率を元に、「身長60mの巨大亀が実在したらどれくらいの重さになるか」を計算した結果が体重として設定されている。
要するに、リアルさの捉え方とその表現方法がゴジラとガメラでは異なっているという事であり、優劣の問題ではないので、ありがちな「強さ議論」の際にはマナーを守るべきである。
なお、過去に発売された児童向け書籍でも「ちょっと軽すぎると思うだろ」と、体重について指摘していたが、当時最大クラスと言われていたブラキオサウルスを例に挙げ(体長34m、体重78t)、「ガメラの体重は恐竜と同じくらいなんだね」と解説していた。
残虐性
ウルトラ怪獣やゴジラ怪獣に比べ、「怪獣による人間の殺害・捕食シーン」が強調されることが多いのが特徴である。厳密には人喰いでない昭和のバルゴンも、なりゆきで人間を捕食している。
これは昭和作品からの特徴であるが、特に平成三部作においてはそれが顕著であり、『ガメラ3』での渋谷壊滅やイリスによって仲間由紀恵がミイラ化されるシーンは当時の子どもたちを阿鼻叫喚のトラウマ地獄に叩き込んだ。
作中では詳しく描写されていない部分もあるが、ジャイガー、ジグラ、宇宙ギャオス、スーパーギャオス、ギャオスハイパー、オリジナルギャオス、レギオンの同族などは地球上や他の星々において大殺戮を行ってきたと思われ、『大怪獣ガメラ』や『ガメラ3』では、他ならないガメラたち自身も(後者では意図せずとはいえ)大量の犠牲者を生み出してしまった。
ガメラ
世代ごとに、主に昭和ガメラ、宇宙怪獣ガメラ、徳間ガメラ、トト(アヴァンガメラ)、ガメラ2015、リバースガメラに区分される。
ギャオス
シリーズを代表する敵であるが、当初のライバルはギャオスではなくてバルゴンだった。
世代ごとに、昭和ギャオス(地球産ギャオス、宇宙ギャオス)、平成ギャオス(スーパーギャオス、ギャオスハイパー)、オリジナルギャオス、ギャオス2015、リバースギャオスなどに区分される。
ギャオス系怪獣
「ゴジラ細胞(G細胞)」や「ゴーデス細胞」などに類似する概念として「ギャオス細胞(G細胞)」または「ギャオスDNA」が存在しており、ギャオスの亜種や派生、ギャオス細胞を摂取して怪獣化した生物などが、関連媒体も含めれば多数見られる。
- ギャオス幼虫、イリス、アルビノギャオス、水棲型ギャオス、ネオ・ギャオス、ギャオス3、バイオニック・ギャオス、ギャオスマン、ギャオスアルマジロ、ギャオスドッグ、ギャオスレイ、ギャオスソルジャー(A型、G型)、パワードギャオス、ジーダスなどの「G-怪獣」などが該当する。
歴代怪獣
『大怪獣激闘ガメラ対バルゴン-COMIC VERSION-』や『ともだち:小さき勇者たち -ガメラ-』や『聖獣戦記 白い影』や『ガメラ:宇宙の守護神』やマット・フランクによるグラフィックノベルなどの関連作品を含む。
昭和・平成・令和共通
昭和・平成共通
平成シリーズ
徳間系列
角川系列
- G-怪獣軍団
G-バルゴン、G-バイラス、G-ギロン、G-ジャイガー、G-ジグラが該当する。
- 謎の怪獣
生誕50周年記念作品『GAMERA』に登場。四足歩行の怪獣で、ジーダスの初期アイディアの意匠のほか、ギロンやレギオンのような質感と攻撃、バイラスやイリスを思わせる触手を持つ。触手から重力波のようなものを発射してビルを破壊する描写あり。ノイズの混じった人の声を思わせる特徴的な鳴き声を上げる。
シリーズ未登場
関連怪獣としてフタコブカラッパとマルガラッパが存在する。
ガラシャープの前身である。
シリーズでも珍しい哺乳類型怪獣。その名前の通り、モモンガまたはムササビを思わせるデザインをしている。
昭和シリーズ二作目『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』企画時に、ガメラと戦う予定だった怪獣。下記の「大魔神」の項目も参照。
その他
モンスターバースの前身の企画の一つである『ガメラ 3D』には、ガメラの味方になる予定だった孫悟空、敵にガイラ(同名の東宝怪獣とは別だが、本作の監督はゴジラ作品の監督だった)と公害怪獣ナマゴン、それとは別に自然を守る女神が登場する予定だった。
外伝作品
昭和シリーズ二作目の企画時に、宇宙氷人としてデザインされていたヒューマノイド型怪獣が没になり、「冷気・氷を武器とする」などの点がバルゴンに受け継がれ、氷人自身は「大魔神」こと阿羅羯磨のモチーフとなった。
その後、『妖怪大戦争』でガメラと共に言及されていたり、『妖怪大戦争 ガーディアンズ:平安百鬼譚』では玄武(ガメラ)と共に悪の軍勢から世界を守る存在として召喚され、京都を守った玄武と東国を守った大魔神として活躍している。
『虚実妖怪百物語』でも、共に実体のない存在ではあるが、ガメラと共演している。
本編では未登場だが、マット・フランクによるグラフィックノベルに登場、ただし、公式の時系列に含まれる作品ではない。その他に、関連怪獣としてガランシャープが存在する。
昭和シリーズの脚本家だった、高橋二三氏による小説『ガメラVS不死鳥』に登場。全身が溶岩で構成された巨大な鳥の怪獣。
- 『ガメラ2000』の敵
ネオ・ギャオス、ギャオス3、バイオニック・ギャオス、ギャオスマン、ギャオスアルマジロ、ギャオスドッグ、ギャオスレイ、ギャオスソルジャー(A型、G型)、など多数の亜種や派生が考案された。
その他にも、それ以外の生体機械兵器も登場する。
- ギャオス水棲型
島村英靖『ガメラ外伝Ver2.5』に登場、飛行能力を持つジグラのようなフォルムをしている。
- 『漫画ボーイズ:大怪獣ガメラ』の敵
ハリネズラ、モルフォス(偽ガメラ)、フタコブカラッパ、マルガラッパ、ゲボラス、ガランシャープ、ダブリュース、パワード・ギャオスなど。
- その他
『大怪獣激闘ガメラ対バルゴン-COMIC VERSION-』や『ガメラ:宇宙の守護神』では、古代人やマッドサイエンティストによって造られていた人造の怪獣が数種類登場しており、前者では東洋竜と麒麟と鳳凰の様な鳥が見られ、後者では爬虫類やドラゴンの様な姿をした個体が複数登場していた。
また、とあるゲーム作品では、上記のモルフォスの変身体の偽ガメラとは別の「偽ガメラ」も登場した。『ガメラ3』でも、トラウマガメラの前身と思われる「悪のガメラ」の登場も企画されていた。
メカガメラとでもいうべきロボットは、『牙滅羅』で予定されていたり書籍でもみられた他、完全なる別の海外のアニメ・特撮作品にいくつか登場している。
その他
『妖怪大戦争』シリーズは昭和ガメラとタイアップして公開されたことが目立ち、ダイモン自体が大魔神に影響を受けている。『小さき勇者たち』でもダイモンの人形が登場したりガメラと大魔神が直接的または間接的に登場や言及がされたり、『虚実妖怪百物語』でもクロスオーバーを果たしている。
ガメラの前身とも言えるキャラクターたち。アニマルライツに抵触する封印作品。ただし、ネズラをイメージした描写が、『GAMERA-Rebirth-コードテルソス』などガメラの関連作品で描かれることもある。
大映初の巨大生物。とある書籍ではガメラと鯨神が共闘するストーリーが掲載されている他、『ガメラ3』の最終稿の一つでは、ガメラがセミクジラの親子と共にいるというシーンが予定されていた。また、『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズの大海獣(鯨神)に影響を与えたと思わしい部分もある(参照)が、大映特撮と水木しげる作品は親戚みたいな関係であり、ガメラや大魔神を意識した描写は『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』で何度か見られたり、『虚実妖怪百物語』で共演したり、マンモス・フラワーと草体みたいな場合も存在する。
関連イラスト
外部リンク
関連タグ
虚実妖怪百物語:極めて節操のないほどの大量のクロスオーバーが発生した作品。
ガメル - メガトーキョーに登場した怪獣で、「ガメラの子孫」と明確に設定されている。
ギルモン・レナモン・テリアモン:『デジモンテイマーズ』は『ガメラ大怪獣空中決戦』および『小さき勇者たち』との関わりが強く、初期におけるパートナーデジモン達の描写も、『ガメラ大怪獣空中決戦』の前身となるプロット「小中ガメラ」におけるガメラからの影響を受けている。
ウルトラマンティガ:同じく「小中ガメラ」の設定を応用している。
ヨンガリ(ヤンガリー):ある意味で親戚。『D-Wars』も親戚の親戚にあたる。『パシフィック・リム:アップライジング』では、討伐された怪獣のリストにガメラ、ヨンガリ、ギャオス、ジャイガー、ギロンがふくまれている。
電波少年:「小中ガメラ」時代のプロットでは、公式コラボレーションとしてバウバウが映画にマスコット怪獣として登場することが予定されていた。
スタジオジブリ:宮崎駿が子供時代にガメラ作品を劇場で鑑賞していたと著書で明かしている他、共に徳間書店時代に繋がりがあり、配給面で関連していたともされる。マザーレギオンのマイクロ波シェルが巨神兵のプロトンビームに影響を受けたことも判明しているだけでなく、『ガメラ大怪獣空中決戦』における破壊された東京タワーのモデルを『巨神兵東京に現わる』の公開劇場に展示したこともあった。『平成狸合戦ぽんぽこ』では、大映妖怪シリーズと水木しげるが関連付けられている。