「機動戦士ガンダム」第5話のサブタイトル。及び以降のガンダムシリーズで仮面の人・コロニー落としに並ぶ定番イベントである。
機動戦士ガンダム 第5話「大気圏突入」
ジオン軍から3機のザクⅡを受領したシャア・アズナブルは、ホワイトベースが大気圏突入するタイミングこそ連邦とガンダムを落とせるチャンスだとコム、ジェイキュー、クラウンと共に強襲を仕掛けた。
しかし新兵器ガンダムハンマーを受け取ったガンダムやホワイトベースの奮闘によって撃墜は失敗。コムとジェイキューは戦死、クラウンのザクはガンダムに気を取られているうちに大気圏内の重力に負けてガンダムごと地球へ降下してしまう。
クラウン「しょ、少佐!シャアー!!助けてください!げ、減速できません!シャア少佐!助けてください!!」
シャア「ク、クラウン。ザクには大気圏を突破する性能はない。気の毒だが…しかしクラウン、無駄死にではないぞ。お前が連邦軍のモビルスーツを引き付けてくれたおかげで、撃破することができるのだ!」
大気圏突破機能を持たないクラウンのザクⅡは熱にあっけなく燃え尽きたが、シャアはガンダムを相打ちに出来たと思っていた。だがガンダムには、大気圏突入専用オプションがあった。
アムロ「あった、大気圏突破の方法が!間に合うのか?姿勢制御、冷却シフト、全回路接続。耐熱フィルム!」
ガンダムはアムロ・レイの咄嗟の機転で大気圏突入用オプションを作動、フロントスカートから耐熱フィルムをまとわせる。
アムロ「…す、すごい、装甲板の温度が下がった。しかしどうやって着陸するんだ?」
ブライト「よーしアムロ!聞こえるか?アムロ!」
セイラ「アムロ、無線が使えるはずよ。アムロ!応答してください、アムロ!」
オスカ「映像回復します…ガンダムです!」
フラウ「アムロ!」
ブライト「奴め、あとで締め上げなければならんが、このモビルスーツがあれば連邦軍はジオンに勝てる!」
こうしてアムロとガンダムはホワイトベースの甲板に着地し、無事地球へ降り立った。
だがシャアはそれさえも計算済みで、ホワイトベースが誘導された場所はジオンの勢力圏内空域でガルマ・ザビの部隊が待ち伏せしていたのであった…。
ガンダムシリーズでの大気圏突入
「機動戦士ガンダム」では、それまでのSFアニメやロボットアニメ作品では曖昧にされていた、大気圏突入の危険度の高さと宇宙へと上がる事の困難さを描いており、後の作品の描写に大きな影響を及ぼしている。上述のクラウンの最期やシャアの台詞が象徴するように、大気圏突入のタイミングで戦闘をしかけるのは非常に危険な行為で、きわめて時間制限の厳しい戦いとなる。
そして、後のほとんどのガンダムシリーズでも大気圏突入は定番イベントとして登場する事となる。
なお、後の機動戦士Zガンダムにおいてはそのシャア(クワトロ)も後述通り敵の攻撃に弾かれモビルスーツで大気圏突入を経験することになる。
大半のMSには大気圏突入能力はなく、グリプス戦役時代などではフライングアーマーという装備を用いたり、バリュートと呼ばれるシステムを装着して大気圏突入を行っている。
Ζガンダムやウイングガンダムゼロ、ガンダムAGE-2のように、モビルアーマー形態が大気圏突入能力を持っている機体も珍しくない。
中にはビームシールドで大気圏突入を敢行した猛者もいる。
一方、大気圏突入に失敗し、機体諸共大気圏の塵になってしまうという描写もある。
「Gの影忍」では大気圏突入奥義としてイヅナ落としという技が登場する。敵のMSを背中から羽交い締めにし、それを大気との接触によって生じる摩擦熱に対しての盾にして大気圏に突入。断熱材代わりになった相手は燃え尽きてしまうが、自身は無事に地上へ降り立てる。
歴代映像作品での大気圏突入
機動戦士Zガンダム
クワトロ・バジーナ「えぇい!打ちどころが悪いとこんなものか!」
第35話でヤザン・ゲーブル隊のハンブラビの海ヘビを食らってコントロール不能になった百式がそのまま大気圏に落下してしまう。クワトロは大慌てだったが、すんでのところでカミーユ・ビダンのウェイブライダー(Ζガンダム)が救出したため事なきを得る。
機動戦士Vガンダム
第33話・49話。ウッソ・エヴィンはカテジナ・ルースやエンジェル・ハイロゥに固執するあまり大気圏内の重力に2度呑まれかけたが、V2ガンダムのミノフスキー・ドライブによる莫大な推進力とビームシールドで持ちこたえ、リーンホースJrに帰投している。
機動武闘伝Gガンダム
代表はコロニーから選ばれ、地球がリングであるガンダムファイトのルール上、大会の開幕は決まって各コロニーからモビルファイターが大気圏突入用カプセルを使って地球上に射出されるようになっている。そのため、開幕シーズンでは地球のあらゆる方向に向けて大気圏突入するポッドが見られる。さらに本編の開始前にもある人物がデビルガンダム(の本来の姿だったMF)に乗り地球へ逃げるために大気圏突入を試みている。
第24話ではドモン・カッシュが地球を取り囲んでいるビームロープの反動でゴッドガンダムを無理矢理ネオ・ホンコンへ急行させる荒業をやっているが、ビームロープの位置が曖昧なため大気圏突入かどうか判断が難しい所。さらに同機体は第46話で風雲再起を使って大気圏再突入をやってのけてしまっている。
新機動戦記ガンダムW
L1~L5コロニーから地球に各ガンダムを射出する計画オペレーション・メテオから物語が始まっている。このうちウイングガンダムはバード形態のまま単体で大気圏突入した。
ウイングの原型機であるウイングガンダムゼロのネオバード形態にも大気圏突入能力があり、第36話でゼクス・マーキスが乗る本機がサンクキングダムを守るために地球へ降下している。
最終回である第49話でもウイングゼロが大気圏から宇宙戦艦リーブラの残骸を撃ち抜いたが、層が浅かったためか無事宇宙に引返している。
新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
ウイングガンダムゼロとアルトロンガンダムが交戦したまま地球へ降下。ウイングゼロは大気圏の熱気から左肩アーマーを破損したがその後大気圏突入用形態に入り、アルトロンは前もって用意していたパラシュートパックで大気圏突破している。
その後遅れてガンダムデスサイズヘル・ガンダムサンドロック改・ガンダムヘビーアームズ改も地球へ降下。デスサイズヘルはアクティブクローク、サンドロック改は耐ビームコーティングマントが大気圏突入用オプションとなっていたがヘビーアームズ改だけはそういったものがなくどうやって突破できたのか不明。
機動戦士ガンダムSEED
PHASE-13のアークエンジェルの地球降下作戦でエールストライクガンダムが大気圏の重力に呑まれてしまうが、シールドを構えた態勢を取りつつAAに戻ったため地球降下自体は成功している。しかしそのタイミングが遅れたためシールドは溶解、キラ・ヤマトは地球降下後しばらくは高熱にうなされることとなってしまった。その様子は直接ではなく次のPHASE-15(PHASE-14は総集編でHDリマスター版では欠番扱い)で回想として描かれたという珍しい例である。また、同じくデュエルガンダムアサルトシュラウドとバスターガンダムも大気圏の重力に呑まれたはずだがPHASE-17で何事もなかったかのようにジブラルタル基地に回収されており、こちらはディアッカ・エルスマンの「死にそうになった」という発言以外情報がなくどうやって突破出来たのかは不明。
PHASE-35でも同じくキラがアラスカでオペレーション・スピットブレイクに巻き込まれたAAを救済するためフリーダムガンダムで大気圏突入を決行。こちらは背部バインダーが放熱機構を持っていたためシールドとバインダーの展開で無事に地球へ降下している。
機動戦士ガンダムSEEDDESTINY
PHASE-6~7でブレイク・ザ・ワールド事件で最後までユニウスセブンの残骸を破壊しようとしたフォースインパルスガンダムとブレイズザクウォーリアがサトー一味の妨害により大気圏に呑まれる。インパルスはパイロットが軍が認定した正規の軍人だったため、即刻大気圏突入用プログラムを起動し機体からラッピングが剥がれたかのように熱が放射される様子が描かれていたが、ザクウォーリアは摩擦熱でボディの一部が外れては爆発、何も出来ない鉄の棺桶化し最後は肩のシールドも外れ、インパルスが助けなければ成層圏で堕落する他ないほど危険な状態だった。それらより型遅れのサトー一味のジンハイマニューバ2型はユニウスセブンに激突した衝撃だけでパイロットごと機体が爆発している。
終盤のPHASE-42でもエターナルからストライクフリーダムガンダムを受領したキラがインフィニットジャスティスガンダムと共に地球へ降下(アスランは地球にいたため代わりにラクスが乗っていた)。こちらはビームシールドで大気圏を突破している。
機動戦士ガンダム00
ソレスタルビーイングが少数精鋭で大量の正規軍に武力介入するというコンセプトのため、当然大気圏突入も何度か行っている。GN粒子が万能過ぎるのもあり、大抵は機体にGNフィールドを一定時間発生させることでクリアできてしまう。
おそらくは非ガンダムでもGN-X以降の擬似太陽炉搭載機でも同様のことは可能だと思われる。
機動戦士ガンダムUC
バナージ・リンクス「アンタだけは…堕とす!」
OVA第3~4巻、RE:0096第9~10話でダグザ・マックールの死に激昂したバナージがユニコーンガンダムのNT-Dを発動。シナンジュに猛攻の勢いで襲いかかったまま大気圏空域に入ってしまう。しかしシナンジュをビームマグナムの攻撃から庇ったギラ・ズールのパイロットが一時期自分の面倒を見てくれたギルボア・サントだった事に激しく動揺し、放心状態のまま地球へ落下、そこをスベロア・ジンネマンの部隊に拾われ砂漠に不時着した。
機動戦士ガンダムAGE
アセム編終盤の第27話で登場。地球にダウネスが落ちるのを防ぐためにアセム・アスノとゼハート・ガレットが共闘、その際アセムを助けるためにゼハートのゼイドラが大気圏に突入してしまう。しかしドール・フロストのゼダスMがゼハートを庇い断熱材代わりになったため無事地球へ降下している。
Gのレコンギスタ
第25話。初代同様耐熱フィルムの存在が登場。
ベルリ・ゼナムのG-セルフがパーフェクトパックのコピペシールドで大気圏を突破。その他ネームドキャラが次々と男女で石破ラブラブ大気圏突入している。
機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ
第19話で上述した『Gの影忍』と同じ方法で撃墜したグレイズリッターを断熱材代わりにガンダムバルバトスが大気圏突入に成功している。
関連リンク
関連タグ
コロニー落とし:同じく宇宙と地球間が関係することから時期的に重複するシリーズもある