関連記事誘導
- 作品そのもの→ゴブリンスレイヤー
- キャラクター→ゴブリンスレイヤーの登場人物一覧、及び個別記事。
概要
ゴブリンスレイヤーシリーズの舞台となる世界。神々の遊技盤。
剣と魔法のファンタジーの例に漏れず、中世のヨーロッパ風の文明になっている。
また、古代ローマ文明を意識した遺跡も存在し、その機構を利用した都市も築かれている。
さしあたって上下水道、下着、コンクリート、お風呂もサウナも大浴場もある。
考証補足
- 現実に現存する最古の下着は15世紀のものだが、古代ローマの壁画にも下着をつけているものもある。
- コンクリートについても紀元前から、果ては現代のそれより優れているローマン・コンクリートもある。
- 『あいすくりん』についても、アイスクリームの紀元が殷時代の中国と古代エジプトまで遡る。
- 古代ローマ時代には蒸気を利用した自動ドアやコインを入れれば一定時間水が出てくる自動販売機もあり、自動販売機については書籍8巻にて似たようなものが登場している。……ローマ万歳。
なお原作者がこの設定周りで「やらかした」ものとして、中世ヨーロッパではまだ乳製品、とりわけ牛乳が一般的ではなかった点を挙げ、なぜか有識者のツッコミが来なかったことに触れている。
あらすじ風要約
天上にて世界の支配権を巡り争った神々は、骰子(ダイス、さいころ)での勝負に飽きて“世界”という遊戯盤と駒である“様々な者達”を創造し、数多の歴史を紡ぐ彼らを見守り、そして愛した。
時に平和があり、時に戦乱が起こるその“世界”では、古代より2つの勢力が戦いを繰り返していた。
一方は光や秩序、宿命のもとに社会と文化をつくりあげた者達。
只人(ヒューム)、森人(エルフ)、鉱人(ドワーフ)、蜥蜴人(リザードマン)、圃人(レーア)などを代表とする『祈りの言葉持つ者(プレイヤー)』。
また一方は闇と混沌、偶然のもとにプレイヤー達と敵対する怪物達。
小鬼(ゴブリン)、人喰い鬼(オーガ)、巨人(トロル)、悪魔(デーモン)、竜(ドラゴン)などを代表とする『祈り持たぬ者(ノンプレイヤー)』。
国家を築き、救世の勇者を輩出してきた秩序の勢力と、邪教を広め、魔神王が脅威する混沌の勢力。
これらが相対立し歴史を刻んでゆく一方、“冒険者”達は財宝を見つけるために遺跡や迷宮を踏破し、武勲を得るために怪物を退治する。
各地のギルドが管理し、社会への貢献を成す“傭兵”として、武装した成らず者たる彼らは機能していた。
※Player(遊戯者)とPrayer(祈る者)を掛けたネタになっている。ただし、「祈る者」を意味するPrayerの発音は「プレイヤー」ではなく『プレアー』に近い。
西方辺境
物語の主な舞台。ゴブリンスレイヤーの主な活動地域。
四方世界のとある大陸にある、とある王国の、そのまた西のすみっこ。
現在の国王は王子時代の10年前に《死の迷宮》に冒険者として挑み、祈りし者たちを率いて魔物の軍勢との戦いで武勲を建てた。
戦乱の傷跡は未だ深く残っているが、若き王の手腕で着実に復旧しつつある。
- 辺境の街
王国の中でも北の端近くにある街。ゴブスレ一党の拠点。
下水道があり、新人冒険者向けの溝掃除や害獣・害虫駆除の依頼が出ている。
- 牧場
辺境の街南方にあるゴブリンスレイヤー個人の居候先。
牛飼娘が住んでいる、いわゆる帰るべき場所。
- 訓練場
魔神王討伐に伴い新設された新人冒険者の育成施設。
そのひとつはかつて小鬼禍で滅んだゴブリンスレイヤーと牛飼娘の故郷の跡地にある。
講師には現役の銀等級の他に引退した冒険者も招かれている。
ただし、ここで訓練したからといって、死ぬ時はやはり死ぬ。
また、早く宿賃を稼がねばならないなど理由があって訓練を受けない冒険者もいる。
故に、訓練場で訓練できるのは、学ぶための余裕がある者だけである。
- 水の街
辺境の街から東へ二日ほど行った場所にある、西方辺境の交易の中心となる都市。
多くの支流を従えた湖の中州にある神代の砦の跡に築かれており、水が豊富。
王国で最大の至高神の神殿が有り、魔神王討伐一党の一員・剣の乙女が大司教を務めている。
地下の遺跡を利用した下水道は沼竜が水路に徘徊しているため、ジャイアントラットやジャイアントローチの姿がない。が、代わりに喰屍鬼(グール)が住み着いている。
- 王都
辺境の街から歩いて数日程の王国の中心都市。現在はとある若き王が治める。
白亜の大理石を積み重ねて築き上げられた門と城壁に囲まれ数千年の歴史を誇る。
城壁の裏側には田園が広がり、続いて石畳と古代から建つ街並みを持つ街路が待っている。
街路にある街灯は魔術を学ぶ学徒達が火を入れる。
冒険者ギルド結成以前よりある古い酒場『黄金の騎士亭』、運動場やマッサージ等が備われている大浴場など、色々娯楽もある。
- 鉱人の地下都市
西方辺境の近隣にある、とある山の下に掘られた鉱人達の街。
- 森人の里
西方辺境の近隣にある、大密林の中にある森人達の集落。妖精弓手の故郷でもある。
レゴラス級の戦士がぞろぞろいるとか。……なにそれ怖い。
よって森人の里を襲撃しようとする奴は、よほどの馬鹿か、確かな実力と策があるかのどちらかである。なお、ゴブリンは確実に前者。
- 兎人の村
西方辺境の北方に連なる、雪深き山々の中にある兎人の集落。
尾根と尾根の狭間の、裂け目の様な谷間を巣穴としている。
村の中央の広場には、至高神のシンボルの意匠を持つ杖が柱の様に立てられている。
- 山間の小領
「NF」の舞台となる王国北方の山間に位置する小さな領地。
元は独立した小王国であったが、魔神王との戦争を契機に王国に自ら併合された。
その経緯から王国領でありながら後述の他の国々同様に冒険者に馴染みがなく
ギルドも設立されたばかりとなっている。
それにもかかわらず神代の遺跡を始めとする古代の厄ネタが満載な土地のため
元国王は冒険者の概念を広めるべく領主務めの傍らで自ら冒険に飛び回っていた。
その他の地域
- 城塞都市
鍔鳴の太刀の舞台。北の最果て、霊峰の近くにある。
その地下には元は練兵場だった《死の迷宮》があり、10年前に剣の乙女達は地下10階に潜む魔神を討伐した。
現在は冒険者や人々が離れたために廃墟となっているが、死の迷宮の陰惨な気配は健在である。
- 砂漠の国
西方の王国の東にある、砂漠の広がる隣国。西方の王国とは仲が良くない。
当然文化も西方の王国と異なる。
流砂や、一晩で生物を塵の塊にしてしまう砂嵐、砂海鷂魚(サンドマンタ)などの特有のモンスターといった危険が多く、特筆すべきは、この国には冒険者ギルドが存在しない事と、
この国の冒険者は冒険者を自称する非公式な冒険者である。
すなわち、この国では認識票が役に立たない。
先代の王が健在の頃は人の行き来も盛んだったが、宰相のクーデターにより王が殺害され、外国人への締め付けが強くなり、戦力増強など不穏な動きを見せている。
更には民を護るはずの騎士達も犯罪者や人攫いと結託していたり、因縁をつけては荷物を確認するフリをして金品を奪うなど汚職に手を染めており、かなりマッポーめいている。
描写としてはゲヘナやプリンスオブペルシャを意識している他、肌に合うのかシャドウランの要素もある。
- 北方辺境
兎人の村がある山を越えた先にある、荒涼とした物寂しい土地に横たわる、暗い夜の国。
ヴァイキングを彷彿させる北の蛮人達の英雄譚の舞台であり、ゴブリンスレイヤーも含めた多くの人々の間で知れ渡っている。
作中では、北方の言葉は日本東北地方の方言で表現されており、嫁取りや嗜虐神への信仰など、砂漠の国と同様に西方辺境の国とは文化が違う。
冒険者ギルドもないため砂漠の国と同じく認識票が役に立たない。
かつては西方辺境の国と争っていた事もあったが、『死の迷宮』の魔神による被害復興のために同盟を結ぶ事になり、ゴブリンスレイヤー一党が視察に赴く事になる。
描写として、英雄コナンを始めとした蛮人の英雄譚を意識している。
種族
- 只人(ヒューム)
種族名は『どこにでもいる人』という意味。外見は我々人間そのもの。
言葉を持つ者の中で、最も大きな勢力圏を作っている種族。
そのため中には只人至上主義を掲げて他種族を差別し、酷い時には混沌側と結託して殺害も躊躇わない只人も存在する。
寿命は50歳から80歳ほどであり、中世時代を意識してか15歳から成人となる。
我々と同様に人種が異なるものがいる(アマゾネス、褐色肌人など)が、全部ひっくるめて只人と一括りにされている。
「特徴のない平凡な種族」ではなく「長所と短所を持ち合わせた種族」。
特徴的な能力に関して各種族に劣ってはいるがどの能力もそれなりに備えており、身体の構造上、投擲能力や持久力においては他種の追随を許さない。
また、組織や集団を作って他人を従える事に優れている。
四方世界の何処へでも行ける上に、何処でも生き抜く手段を持つのも特徴であり、他の種族より行動範囲が広い。長時間の徒歩移動にも優れる。
- 半
ハーフ。
主に只人と他種族の間に産まれた者を指す。場合によっては、迫害の対象になる事もある。
- 鉱人(ドワーフ)
種族名は『鉱(あらがね)を鍛える人』という意味。
言葉を持つ者の中で、只人に次いで勢力を広げている。
山の下に掘られた地下都市や、朋友たる只人の街を拠点とする。
只人とは朋友、圃人とも友好的だが、森人とは古来より仲が悪い。
また蜥蜴人とは、そもそも彼らが武具を好まない為にあまり交流がない。
主に鍛冶神を信仰し、生前の戦女神が鉱人と友であるため、戦女神の信者も多い。
一方で彼らにとって技術は秘匿して受け継いでいくもののため、知識神とは相性が悪い。
30歳から成人であり、寿命は800年から900年ほど。性格は概ね無骨で頑固。
身の丈150センチ程の樽のような体型で女性であっても髭が生えるが、最近は只人に被れて髭を剃る鉱人の女性もいる。
酒と飲食をこよなく愛し、彼らと飲み比べを挑むのは無謀である。
力においては只人に勝るが、手足が短いため機動力に劣る。
冒険者や戦士以外では職人気質の腕と観察眼を活かし、鍛冶職人や細工物の製作者、鉱夫になるものが多い。
鉱人の戦士の中には、手鉤を用いて敵の盾を剥がして屠る、『盾砕き』という称号を与えられた熟練の戦士がおり、自らの勇気を証明するためにこの道に歩もうとする鉱人の若者は多い。少数ながら他種族にも『盾砕き』の称号を得んとする者がいる。
- 森人(エルフ)
言葉を持つ者の中では最も少なく、しかし最も古くから存在する種族。
種族名は『森に住まう人』という意味。只人同様、複数の人種が存在する。
賢いが、故に慎重。聡明であるが、故に誇り高い。
神を軽んじている訳ではないが、共に生きてきた自然を信仰する傾向があり神官職とは相性が悪い。特に、金銭の概念を理解しにくい気質から、交易神とも相性が悪い。
ただし若い世代の中には世俗と交流した末、比較的只人寄りの思想を持つようになった者も存在する。
笹葉のような長耳を持ち、彫像のような細身で華奢な体格を持つ。
非常に長命であり、上森人(ハイ・エルフ)ともなるとその年齢は4桁からそれ以上に及び、寿命の概念が無い事を匂わせる描写がある。そのため成人の概念は無く、弓矢など各種技能の試験に合格したなら、年齢に関わらずその分野での発言権が認められる。
弓の扱いに非常に秀でている。また知力や詩は只人より優れているが、投擲能力はからっきしである。更に、移動力は高いが、体力と持久力は劣っている。
上記の金銭の概念のせいか「税金を払わない上、森を開拓しようとすると出て来て文句を言う」といった問題もあり、只人の中には『森人耳税』を作るなど森人を極端に嫌う領主もいるらしい。
そのため人里へ下った森人は狩人や野伏、役者や詩人、冒険者になる事が少なくない。
多くのファンタジー作品同様に獣肉食の文化を持たないが、本作においては生態系におけるコストパフォーマンスの問題であり蛋白源として繁殖力に優れた昆虫類を食している。それに合わせて絹織物を始めとした、虫を活用した独自の工業技術も発展させている。
ただし、生態系のバランスを調整する目的で、獣を狩る習慣は残っている。
- 闇人(ダークエルフ)
その名の通り、夜闇のような肌を持ち、森人より体格が良い。医学的な知識や闇の魔術に精通し、魔術師や斥候、野伏としての技量にも優れている。
基本的には里で陰謀を巡らせて勢力争いを楽しんでいるが、森人と同様に出奔する若者もいる。森人同様に寿命の概念は無く、成人の基準も森人と同じである。
稀に善なる心を持って秩序の勢力側に与する者もおり、行商や冒険者になる者もいる。身分を隠すために、白粉を塗って森人に扮する者もいる。
また、嗜虐神を信仰している者が多い。
- 圃人(レーア)
個別記事参照。
『圃(畑)を耕す人』を意味する、只人の子供程度の背丈の小人種族。
元ネタは断じて圃(ホ)人(ビト)では無い。いいね?
言葉を持つ者の中で最も千差万別な種族。
鳥や犬、猫、鼠、馬など獣の容貌を持った多くの種族・部族の総称。
どの部族が主導権を握るかで揉めているらしく、政治には向かず、良くも悪くも傭兵気質。
四肢や耳だけだったり、直立した獣のような姿だったりする。『肉球持ち(パットフット)』とも呼ばれるが、ケンタウロスなどにとってはそんなものが無いため蔑称にあたる。後述の獣憑きと同一視することも侮蔑にあたる。
寿命は人間と同じく80歳までであり、15歳から成人となる。
蜥蜴人と同じく父祖信仰だが(蜥蜴人ほど極致に至ったものではなく、祖先を大事にする程度ではあるが)、旅先で出会った巡回神官から教えを説かれて信者になる事もあり、特に至高神や戦女神と相性が良い。
なお地母神は殺生を好まない性質上、個々による選り好みが激しく、狩猟を生業とする部族とは相容れない一方、穏やかな気質の獣人と相性が良いという傾向がある。
なお、香辛料の類いが苦手で、カカオや玉ねぎなどといった、摂取すると中毒を起こす食物も存在する(ただし、気付けのためにあえて少量摂取することもある)。
なお、獣人の中には鳥の特徴を持つ鳥人(ハルピュイア)や、昆虫の特徴を持つ蟲人(ミュルミドン)などもいる。数が多すぎるため、詳しい種類についてはTRPGサプリメントを参照。
- 獣憑き
ビーストバインド。
獣の姿に転じる力を持った人間、あるいは人間の姿に転じる力を持った動物を指す。人狼もこの一種であり、狼だけでなく虎などの肉食獣に転じる獣憑きもいる。
ほとんどは混沌の勢力に与しているが、中には人として生きようとする個体もいる。しかし、基本的にモンスターとして恐れられる立場であるため、正体を隠している。
祝福を受けた銀製品を苦手としている。
- 蜥蜴人(リザードマン)
とてつもない蛮族である。
碧き叡智の海に滅ぼされるどころかスカウトされそうなぐらいには。
蜥蜴僧侶は比較的知的且つ温厚で常識的な性格なのだ。
言葉を持つ者の中で、最も武力に長け、最も猛々しき種族。
獣人の一種で、外見は直立した蜥蜴のようなもの。
あらゆる者が神に作られた世界において、海の塵芥が魚となり、陸に上がって竜となったその末裔を主張し、かつて地上を支配した恐るべき竜たる祖の子孫を自称する。
戦いを好み、武力から謀略まで全てを是とする。勝つためなら、手段も選ばない。
強き者を倒し、心臓を抉り出して食らう事でさらなる高みに赴けると信じており、強者と戦うためならば、秩序勢力につく部族もあれば、混沌勢力につく部族も存在する。
蛮族らしく奴隷制を採用しているが、強者だけでなく「懸命に生きようとする者」にも敬意を持つ性分ゆえ、恭順する意志があれば待遇は良いらしい。
手段も選ばないので、更なる高みを目指せると判断すれば改宗することもある。
特に戦いを尊ぶ戦女神と、旅による生存域拡大を是とする交易神とは相性が良い。
勝者こそ正義と捉えているため、至高神とは相性が悪い。
また、性的魅力も『強さ』と捉えているため、子宝目当てに地母神を信仰する者もいる。
上記の通り強者に敬意を払うため、異教徒との決闘に負けた場合も改宗することがある。
一方で「生きることを諦めた者」は躊躇いなく早々に殺し、より強い生命に循環させるべきだと考える。
常に戦場を求む性分からか戦死する者がほとんどのため、寿命は不明(成人は13歳)。
一応、当人達は「殺されない限り成長する」と述べているが、年齢の件で言い争う妖精弓手と鉱人道士に蜥蜴僧侶が「定命の拙僧らには肩身が狭い」と発言しており、少なくとも森人や鉱人より短い事は確かのようである。
毒素に強く部族次第だが寒さに弱い。ただし恒温動物であり、弱い方でも行動不能までには至らない。
己の爪、牙、尾をそのものを得物とし、自身が武器を使う事は軟弱の証と捉えている。
武術を極めた蜥蜴人の勇者が行き着く先はアレの化身なのだとか。
とはいえ祖竜術で牙から生成した蛮刀を使うし、「手段を選ばない」のかNFでは普通に武器を使う連中も出てくる。
イメージとしては人間と共存可能なプレデターと称するのが近く、
現に祖竜術の中には透明化や電撃など再現可能なものもある。
- 昼歩く者
デイウォーカー。
吸血鬼に弄ばれて吸血鬼にされた人、またはダンピールの事を指す。
吸血鬼のハーフである「ダンピール」、吸血鬼と戦う宿命を与えられた「クルースニク」、そして生ける風という霊体を操る「ズドゥハチ」の3タイプがいる。
只人だけでなく、鉱人や森人など、どんな種族でも昼歩く者として生まれる可能性はある。
- 吸血鬼(貴種)
「NF」の殲血姫が該当。
吸血鬼そのものだが、日光への耐性は不快に感じるだけですむ程度に高い。
一方で招かれないと家に入れない弱点は健在。
冒険者
ギルドに管理された『武装した無頼漢たち』。
ある程度読み書きができるのならチンピラでも冒険者になることができるが、昇格するには昇級審査にて社会貢献度・獲得報酬金総額・人格査定を合格しなければならない。
そのため、実力があっても人格に問題があれば昇格できない上に、違反行為を犯せば降格、更には街から追い出される場合もある。
昇級審査には偽証対策に《看破》の奇跡を使える監察官と、立会人としてベテランの冒険者も控えている(元冒険者の受付嬢が立会人を兼ねている場合もある)。
中にはギルドに属さず、非合法の依頼を請け負う冒険者もいるが、当然騙して悪いがされる確率が上がり、身ぐるみ剥がされて路地裏に転がされても文句が言えないなど、まっとうな冒険者以上の自己責任が付きまとう事になる。
また、冒険者は皆、冒険記録用紙に体力点・技量点・運勢点・呪文・技能・持ち物・金貨・宝石・食料・怪物遭遇表を書いて登録し、ギルド職員達によって管理・維持されている。
そのため、昨今の『なろう系主人公』の様に、真の実力を隠して、後で『これが自分の本当の力です』とやらかすと、管理・処理が面倒になるため叱られる羽目になる(TRPGでキャラシートを複数持っているマンチキンがよくやる手段でもある)。
ただし超勇者ちゃんの様に、あとから力に覚醒したりする例外もある。
ハーレム一党を作る様な冒険者は査定に影響が出ると言われるが、邪な理由で意図的に異性を侍らせている冒険者はともかく、公私をしっかり分けて冒険に支障が出なければ問題なく昇格できる。
または、ハッタリや言い方を変えて「嘘は言っていない」という方法でやり過ごすことも可能(主に獣憑きや昼歩く者など、正体がバレると困る種族がこの方法を使う)。
冒険者になる理由は千差万別だが、貧乏すぎて冒険者以外だと農奴や娼婦になるしかないほど追い詰められていたり、政略結婚を嫌った貴族の御子息だったりと、色々と複雑な事情を持つ者達もいる。
女性冒険者が多いのも同様の理由である。
冒険者ギルド
冒険者を管理し、仕事を斡旋する組織。
史実のギルドやライトノベルに多く見られる、或は四方世界に存在する職業組合とは違い、国の政策によって作られた国営組織。そのため務めている者は公務員であり、多くの町・都市に支部を有する。
酒場や武器・防具店、宿屋も完備しており、受付にて冒険に役立つポーションの販売も行われている。ただし、これらは冒険者を一ヶ所に纏めて管理するのと同時に、彼らが不正な金(例として、仲間に黙ってダンジョン内の宝をネコババしたもの)を所持してないか監視するためでもある。
十段等級
冒険者にとっての「身分」であり、格付けによる社会的な評価。
上から白金・金・銀・銅・紅玉・翠玉・青玉・鋼鉄・黒曜・白磁の十段階に分かれている。駆け出しの冒険者は、それが誰であれ白磁等級から始める。
等級の高さはそのままその冒険者の信用具合に直結しており、上の等級になれば、それだけハイリスクハイリターンの依頼を斡旋してもらえる様になる。
在野のほとんどは第三位の銀等級が事実上の最高ランクであり、それより上は後発の作品のように歩く決戦兵器や規格外…要は勇者を隔離する等級となる。
ギルドに登録した冒険者には認識票…身分証明書が支給される。
等級に合わせた素材で作られており、名前、種族、外見的特徴、年齢(生年月日?)、職種などが刻まれている。
偽造品も出回っており、ならず者を中心に使用されている。ただし、品質が低いと刻まれている情報がいい加減であり(森人なのに認識票では只人になっている。など)、こういった物は調べられると直ぐに偽物と分かる。
元ネタはそのままドッグタグ。偽造品はシャドウランの偽造SIN(システム登録番号 ※行き過ぎたマイナンバーみたいなもの)か。
金等級・白金等級
第二位たる金等級はその多くが国家規模の難事に携わる者たち。
第一位の白金等級には史上数人しかいない。
白金等級は当初存在しなかったが、後になって規格外の存在が現れた事により、
国が支援する手前、新たに制定されたという経緯がある。
原作者曰く、『白金等級ができたのはもょもとがやらかしたから』、『こいつとかゼルダじゃない方とかも白金等級』。
職業
冒険者の職業技能は大まかに戦士系と魔法系の技能4種ずつ計8種類に分類されている。
- 戦士
剣や斧、槍などの武器の扱いに優れる前衛タイプ。強固な鎧を身に付けられるため、攻撃や防御に安定した力を発揮できる。
- 武道家
己の肉体を武器に戦い、時には椅子などの周囲の物を武器として扱う。極めればこの人やこの人みたいになれるらしい。武器や防具に大きな制限がかかるが、その分身軽に動けるのが利点である。TRPG版は武道家だが、本文では武闘家と表記されているのがほとんどである。
- 斥候
云わば盗賊職。罠の察知・解除、偵察で情報を集める。主に短剣などの軽い武器を用いる。
宝箱に仕掛けられた罠を解除するのも役目であるため、パーティ生存と金銭稼ぎに関して重要な職業でもある。
中には先行して仲間に内緒で宝をネコババする斥候がいるが、ギルドの査定に響く上に他の斥候職冒険者の信用問題になるため、リスクが大きい行為である。
- 野伏
斥候と同様に偵察と罠解除を使えるが、こちらは弓や投擲武器などの飛び道具の扱いに長けている。また、森などの自然環境での立ち回りに優れている。
- 神官
後述する無名神を信仰する聖職者。奇跡を扱う。
信仰する神によって使用する奇跡の傾向や、各方面の知識が異なる(例えば、至高神の信徒は法律に詳しく、裁判官や審問官になるものが多い)。
奇跡の傾向からサポート向けの職業であり、彼らの御業で助けられた冒険者も多いことから、彼らを邪険に扱うのは少なくとも冒険者ギルド内では良い顔をされない。
また、呪文職だが場合によっては前衛に出て、杖やメイス、フレイルなどを振るって接近戦する事もある。
本作の世界では複数の神を同時に信仰する事はできず、改宗するなどがなければ信仰する神は1柱のみ。
ただし、同じ陣営の神を信仰しているのであれば、異教徒同士仲が良いようである(特に地母神と至高神)。
- 竜司祭
祖先である恐るべき竜を信仰する聖職者。『祖竜術』なる奇跡を扱う。
基本的に蜥蜴人が就くことが多いが、恐るべき竜を信仰する心があれば他種族でも竜司祭になれる。
神官より戦闘に優れ、前衛で暴れまわることが多い。もちろん回復などのサポートも行える。
別枠とはいえ同じ神官職であるため、神官技能と竜司祭技能の同時取得は不可能。
- 魔術師
「真言魔法」なる魔法を扱う、いわば魔法使い。
この職に就く者は頭が良いのが多く、学者という側面を持って様々な知識に通ずるインテリ職である。
戦士とのハイブリッドである「魔法戦士」だけでなく、神官職とのハイブリッドで「奇跡」も使用できる「司教」などの上位職もいる。
今作の世界では「侍」も、Wizardyよろしくの魔法戦士という扱いである。
- 精霊使い
精霊達を使役する「精霊魔法」なる魔法を扱う、いわばシャーマンや祈祷師、巫女というべき魔法職。
触媒を消費する他、精霊が提示する条件を対価にする(例えば、ザントマンは詩を作るなど)。
精霊たちが警告してくれるため、第六感に優れている。
ならず者の集まり(ローグ・ギルド)
街の影を走る、闇の仕掛人が集う溜まり場。ギルドと名乗っているが、あくまでも体裁である。
酒場もあるが、騒がしい正式ギルドのものと異なり、静寂でお洒落なバーに近い。
仕掛人は皆、ギルドに登録していないモグリの冒険者であり、冒険者ギルドを信用できずにこちらに流れる者もいる。
金さえ払えば公にできない非合法の依頼を請け負うし、ご禁制の武具やアイテムも扱う(呪的強化された義肢、岩喰怪蟲の幼虫、フリントロック式拳銃、雨馬が引く馬車など)。
雇い主は貴族や商人、祈り持たぬ者、または街を護る衛視長など。依頼によっては善玉にも悪玉にもなる。
しかし、前述の通り非合法故に正式な冒険者より更に過酷な自己責任が付き纏う。
ならず者といえど、依頼するにも請け負うにも礼儀作法は必須であり、裏取りせずに出された情報だけを鵜呑みにして騙して悪いがされても文句も言う事ができない。
ましてや、仕掛け中に失敗しても責任を取ってもらえない上に、濡れ衣を着せられて汚名を背負う羽目になる場合もある。
自由に生きるという事は、どこかで野垂れ死ぬ覚悟もしなければならないのだ。
また、請け負う依頼もヤバい案件なものもあり、あまり深入りや余計な詮索をしないようにしている。
表向きは別の職業を営んだり、冒険者に偽装して身分を隠している(中にはカッコつけて殺し屋の姿をする者もいるが、当然目立ってしまうので通報されるのがオチである)。
元ネタは『シャドウラン』だが、一部の専門用語の日本語表記(「起こり(依頼人)」「蔓(元締)」「仕掛人」)は池波正太郎の時代小説が元ネタと思われる。
術
この世界における呪文や奇跡の行使については、マジック・ポイントのような専用のコストを持たず、体力を直接消費するソーサリーのシステムを意識したものとなっている。
1日ごとに使える回数に限りがあり、休息を取る事で消耗分を回復出来る反面、限度を超えての使用には生命の危険が伴う。
下記四系統以外にもある事が示唆されており、いずれにおいても多彩な能力を持つ。
- 奇跡
聖職者が祈りと嘆願によって神と魂を繋ぐことで賜る御業。
信仰する神によって授かる奇跡の傾向が異なり、例として相手を傷つける事を善しとしない地母神からは直接攻撃の奇跡を授かる事はない。
加えて、教義に反する形で奇跡を行使した場合、神が直々に信徒を戒めるケースも存在する。
現在確認される範囲では、攻撃よりも味方をサポートするものが多い。
- 奇跡(邪神)
祈り持たぬ者達が祈祷によって邪神から奇跡を授かる事もある。
自分達が信仰している邪神こそが『聖』であるという理屈から、
邪神に仕える『聖騎士』もいないわけではない。
- 祖竜術
恐るべき竜を信仰する竜司祭版の奇跡。
TRPGでは「祖竜術」として別カテゴリに分けられている。
神官が使用する奇跡に比べると、攻撃に関わる術が多い。
- 真言呪文
真に力を持つ文言を組み合わせ、杖などの発動体を通して世界の法則を改変する。
- 精霊術
触媒と祈祷を用いて精霊の力を使役する事で、超常現象を起こす。場所によって術の効能が変化する。
TRPGでは
6面ダイス2つを3回振って、その数値を生命力・素早さ・呪文の使用回数(数値によって0~3回に決まる)に振り分ける。すなわち、呪文の使用回数を増やしたい時、生命力か素早さのどちらかを犠牲にすることになる(後から回数を増やす方法はある)。
白磁等級においては1日に付き1、2回使えればいい方で、3回使える者は物凄く優秀である。
神々
「盤」の外にいる「創造神」、創造神含む「高名神」、「盤」の中で信仰されている「無名神」の3種と「外なる神」がいる。
神様なので例外はある。
創造神
- 《幻想》 《真実》
創造神にして黒幕二名。ゴブリンスレイヤーの登場人物一覧を参照。
- 《豊穣》
第三の黒幕。
“盤”である『世界』と、そこに住まう“駒”である『様々な者達』を愛する創造神の1人。
“混沌”の勢力を大いに広げた張本人であり、果敢に立ち向かってくる“秩序”の者たちを返り討ちにするのが楽しくてしょうがないらしい。はしゃぐ際には触手をのたくらせる。
名前と触手を持つ姿から、この御方を彷彿させる。
その他の高名神
- 《太陽》
盤のなかの太陽神と同一人物(神物)。
太陽そのものであり、信徒には「《太陽》に恥じぬように生きよ、《太陽》たれ」とシンプルな教えを与えている。
蜥蜴人の間では蛇の神として信じられている。
なお、太陽神の奇跡の呪文は「太陽礼賛!光あれ!」で統一されている。太陽万歳!
- 《光》、《星》、《時》、《死》、《病》、その他
他にも多くの神々が存在する。
無名神(秩序)
- 地母神
上記の高名な神々に作られた、人々へ力を与える役割を担う無名神の1柱。
農業と豊穣、慈悲や治癒を司る女神であり、心優しい翼人の姿だとされている。
『守り、癒し、救え』を三聖句とし、傷付いた人々を癒す事を教えとしている。地母神を模した、翼を広げた女性をシンボルとする。
慈悲深い性格で、彼女の信徒は主に癒しや補助の奇跡を授かる。女神官が信仰しており、彼女が持つ錫杖はこの神様のシンボルを模している。
ただし相手が怪物であっても、自衛目的以外で相手を殺傷する事を忌避する傾向があり、奇跡を悪用して相手を直接殺害しようとする信徒に釘を刺したりする(例外として、アンデッドを攻撃・浄化させる事に使ってもお咎めなし。大地を汚すイメージがあるからなのだろうか?)。
豊穣を司るため、農民を始めとした地に足をつけて生活する人々からも信仰されている。そのため、地母神を信仰する聖職者には農業関係の知識に明るい。
辺境の街で行われる秋の収穫祭はこの神様の神事である。奉納演舞に出場する踊り手の衣装はかなり扇情的。
地母神の神殿は小さな礼拝所であっても側に必ず畑がある。辺境の街の神殿では葡萄園を栽培しており、毎年夏頃に早摘みの葡萄で御神酒を作り(なお製造方法は女性神官や誘われた娘による足踏みである)、秋の収穫祭にて振る舞われる。
また、生命の観点から性愛も司り、子宝に恵まれたい異種族からも信仰されている。
神殿は都会より辺境の方が多く、孤児院を兼ねているものが多い。
下記の至高神とは横の繋がりがあり、実際に両信徒とも仲がいい様子が見られる。
- 至高神
無名神の1柱。天秤と剣を組み合わせたものをシンボルとする、法と正義を司る女神。剣の乙女や監督官、女騎士、見習聖女はこの神様を信仰している。
剣の乙女の名声もあるが、王国内では一番信徒が多い。
法は道具であり、秩序はより良く生きるためのものであるため、この神様が啓示をもたらす事はほとんどない。故に信徒達には、神からの御言葉ではなく、自らの意思で考えて判断する事を求められる。
攻撃を強化する《聖断》や、相手の呪文系統を1つ封じる《審問》といった相手を裁く事に長けた奇跡を習得しやすい。また、物の真価を見破る観察眼によって、武具の鑑定も行える。
彼の神の神殿は裁判所でもある。そのため至高神を信仰する聖職者は法律関係の知識に明るい者が多く、裁判員として働く者もいる。
白いワニを使徒として使役している(実際、ワニを神の獣として信仰する地域が、現実に存在している)。
- 知識神
無名神の1柱で、知識を司る学問の神様。蝋燭や灯りをシンボルとする。
『自ら闇の中を歩き、学問の灯を掲げる者』を是とし、真実に行き着くための知識や道標を与えるという。故に自分の意思で学び、知恵を身に付ける事を教えとする。
また、四方世界の『文字』は、交易神から頼まれた知識神が試行錯誤の末に作られたとされている。
神殿や修道院は学舎や多くの書画が蓄えられた文庫となっている。彼の神の信徒は文献調査や歴史関係に豊富な知識を持つ者が多い。
あくまでも「知識を得る過程」を尊ぶため、「答えを授ける」わけではない事に留意。
- 交易神
無名神の1柱で、旅と交易の無事を守る風の神様。風車、もしくは車輪をシンボルとしている。魔神王討伐一党の一員、蟲人僧侶が信仰している神。
巡り廻る風の様に財貨も人の間でめぐらせる事を教えとする。そのため、交易神を信仰する聖職者は商業関係の知識に明るい者が多い。
また、博打が好きな神様であるらしく、彼の神の信徒は金にうるさかったり、賭け事が好きだったりする。
旅の安全と幸運を司る他、ダイスの目を覆す《幸運》の奇跡を与えられるため、この神様を好む冒険者もいる。
- 戦女神
槍を携えた、戦いを司る女神。シンボルは槍。
元は剣奴だったが、大冒険を果てに名を轟かせ、ついには神の座に上り詰めた英雄である。生前は鉱人族と交流があった。
剣奴時代にビキニアーマーを身に付けていたと謂われており、彼の神を信仰する冒険者(神官も含む)はビキニアーマーを装備する者が多い。
戦いを司るため、戦女神を信仰する聖職者は戦争関係の知識に明るく、蜥蜴人や獣人などの戦闘民族からも信仰されている。生前は鍛冶神の信徒であった事から、鉱人や鍛冶師達から鍛冶神と共に信仰されている。
また、戦乙女の奇跡の呪文は、実用を重視したのか非常に短い。
- 浴槽神
風呂場を司る、男と女の二つの顔を持つ両性具有の神様。
浴場やサウナ等に像が建ててあり、サウナでは浴槽神の像を温石として水や香油をかけるものも存在する。
- 酒造神
秩序側の無名神。シンボルは2つの杯。
主に恰幅のいい男性の姿とされているが、酔いどれた美女とされる事がある。
名前から察するに酒造りを司る神様と思われる。
地母神の神殿も葡萄酒を作るが、この神様の事を挙げて謙遜している。
「酒は美味しく飲め」「飯は旨く食べろ」の教えの元、「みんなで楽しく笑い合う」事を是とする。
- 鍛冶神
鍛冶と勇気を司る神。シンボルは金槌か銅の剣。
四方世界にとっては重要な役目を持った神であり、最初に白き金に息吹を込めた兵隊を作った神である。
偏屈で無口で職人気質の気難しい性格であり、助けを乞うても決して答えず、戦うための勇気を与える。
戦女神が生前に信仰していた神であり、鍛冶工房や鉱人、戦士や兵隊達に信仰されている。
- 正道(ルタ)神
より良き未来、より良き答えを目指して奔走する事を是とする神。姿は千差万別だが、奪掠神と並んで描かれる際は短い銀髪の女神の姿とされる。シンボルは真円や真球。
もっとも、「最良が1つの手段であり、正解以外は認めない」という訳ではなく、より良い未来がきっとあるはずという信念の下、前へと走り続ける事を尊ぶ。しかし、そのため信徒に過酷な試練を課すため、挫折者も少なくない。
……要するに、この神を信仰する信徒はRTA走者のようになる。
至高神や知識神、戦女神とは良好な関係である。
無名神(混沌)
- 嗜虐神
闇の慈母とも呼ばれる、闇人達が崇める混沌側の神。邪悪までとは言わないが、苦痛を尊び、人を傷つける混沌の女神。シンボルは九尾のムチ。
しかし、北方辺境の蛮族の間では、『辛いことがあるからこそ、良いことは尊い』という教えを持つ善良な神として信仰されている。また、北方の蛮族の間では、戦女神がかつて仕えたのは鍛冶神ではなく、こちらであると信じられている。
実際、国によって設定が異なる神は現実においても少なくもない。
- 奪掠神(タスカリャ)
かつて《時》を拐って自分の物にしようとし、四方世界を引っ掻き回した神話を持つ、混沌側の神。正道神とは兄弟、または姉妹である。
長い銀髪の幼女の姿をしていると言われている。
目立ちたがり屋で派手好きであり、自分の俊足を自慢するのが好き。
「自分のやりたいようにやる」という教えから混沌の神扱いされているが、盗賊や芸人から信仰されており、混沌側の神の中ではマシな方である。
RTAの化身である正道神の兄弟という事から察する事ができるが、元ネタはTASさんである。
外なる神
- 覚知神
秩序とも混沌とも異なる、人々の意志をねじ曲げて嘲笑う外なる神の1柱。
祈り持たぬ者どもが信仰する邪神の1柱。シンボルは緑の瞳。
知識神と似ているが、こちらは邪な考えを抱いている者に、無差別かつ学もへったくれもなくいきなり『答え』を与えてくる。例えば、冗談で世界の滅亡を考えた者にその方法を閃かせ、行動させるように仕向けるなどを行う。
知識神と違って答えだけを教えるため、この神が与えた知識を鵜呑みにすると考える事を放棄し、どこか詰めが甘くなる(特に祈り持たぬ者の邪教徒)。そして自分の考えが絶対に正しいと盲信するため、最期まで不都合を他人のせいにして自分の落ち度に気付かない。
そして、覚知神の危険性を知ってもなお、『自分なら上手くやれる』と根拠の無い自信で信仰する者が後を絶たない。
どこか、クトゥルフ神話の外なる神を連想させる描写が多い。
知識神と覚知神の違いの例として、農地の害虫をどうにかしたいという問題を例に挙げる。
知識神はそれに対する毒物劇物の知識や技術を研究し農薬の製造に漕ぎつけようとする過程を重視するのに対し、覚知神は害虫に確実に効く農薬の製造法(=結論)をいきなり伝授する。
一見覚知神の方が手っ取り早くてスゲエと思われるかもしれないが、だがちょっと待ってほしい。その農薬は安全なのか。確かに害虫は一掃されるかもしれないが、残留農薬の影響で数年で農地が不毛になるかもしれないし、農作物に農薬が残留して食べた人に害を及ぼすかもしれない。その害虫が一掃した代わりにそれが天敵だった別の害虫が大発生するかもしれない。
基礎と実績を積み重ねた知識神信者はそれが農薬が原因だと察して使用を中止するなり別の手段を考えるかもしれないが、覚知神信者は過程をすっ飛ばしたために何が原因かわからないかもしれないし神から授けられた知識に間違いはないと信じ切り他人に責任転嫁するかもしれない。
そしてそういう時に覚知神が手を差し伸べるかというと……
覚知神も含め、外なる神は四方世界を自分の思うがままに引っ掻き回す事しか考えておらず、彼の神の言葉は単なる思いつきであり、そこに正しさは無い。
- 死灰神
覚知神と同じ外なる神。
彼の神の言葉は「弱き者を救え」「悪しきものを滅ぼせ」「不正を糺し、正義をもたらせ」と一見正しいように感じるが、実際は「自分にとって都合のいい完璧で綺麗で美しい世界」という独善的な思考をもたらす邪神である。
この神の言葉に捕らわれた人は「自分の正しさを認めない者は悪であり、殲滅しなければならない」「自分の正義のためなら何を犠牲にしてでも必ず行うべし」という危険思想が芽生え、そこに矛盾があろうとも、めちゃくちゃな理屈でねじ曲げる性質の悪さを見せる。分かりやすい例で言うと自治厨、無敵の人。
至高神と行動は似ているが、至高神は信徒に善悪の判断を委ねる神であり、思想を押し付ける神ではない。覚知神と同じく、過程もへったくれもなく、いきなり「自分は絶対に正しい」という思想を植え付けるのが死灰神である。
また、死灰神は善意を煽るものの善行を勧める事はせず、彼の神の言葉は秩序も混沌ももたらさないただの「思いつき」である。死灰神の使徒の怒りは四方世界のすべてを焼き尽くし、灰にするまで止まらないのである。
その他の用語
- 魔法のアイテム
この世界には他のファンタジー作品と同様、魔法の武具や魔法の力そのものを封じ込めたアイテムが数多く遺されている。ただし、その製法は失われて久しい為に(高位の魔術師ならば、既製品に細工する程度の事は出来る)入手手段は限られており、いずれも高値で取引されるのが常である。
ゴブリンスレイヤーはゴブリンに武具を奪われるという最悪の状況を想定した結果として魔剣の類を所持しようとしないが、代わりに魔法の巻物などの品物を馴染みの工房に取り置きしてもらうなどして調達しており、いざという時の切り札として用いている(特に《転移》の巻物は転移先を海底やはるか上空に繋げておけば、万が一ゴブリンに奪われても勝手に自滅するだろうし、使い切りの性質上悪用が出来ないだろうという考え方もできる)。
乳房と股関節のみ装甲があり、申し訳程度に肩当てのある鎧。
当然、腹や背中が露出しているため防御力は皆無に等しく、こんな物を身に付けて公の場で出歩けば痴女扱いされても文句は言えないだろう。
少なくとも、防御力が命の盾役が着用していい装備ではない。
主に、恋愛に焦った女冒険者の最終手段として着られる事が多い。または闘技場で戦う女剣闘士が興行を盛り上げるために着用され、元剣奴である戦女神を信仰する女性冒険者も装備する者が多い。
もしくは、他の衣装や鎖帷子を併用し、部分鎧にする使い方もある。……普通の鎧を買った方がいいかもしれないが。
なお、イメージ的に女性専用と思われがちだが、胸部装甲がない所謂グラディエータースタイルの男性用ビキニアーマーも存在する。
- 卓上演習(テーブルゲーム)
一枚の盤面といくつかの駒、カードやサイコロなどを使って遊ぶ冒険者ごっこ。要はTRPG。
ギルドの采配を鍛えたり、冒険者達に各々の行動と役割を再認識させるなどの目的で遊ばれる事もある。
しかし、メタ的に見るとTRPGの世界でTRPGを遊ぶという何だか変な感じである。
なお、劇中での描写では、だいたいパーティーが全滅して終了する。
- 核撃(フュージョンブラスト)
同名の魔法と同じ名が付けられたカードゲーム。
中央の札から真言が書かれたカードを手札と交換し、役を作って競う。ポーカーに似ている。
劇中の描写から一番強い役が《核撃》で、一番弱いのは《着火》と思われる。
元ネタはティルトウェイトというカードゲームで、こちらはルールとしてはウノ。
- 輝ける鎖帷子の血統(ロードモナーク)
TRPGの世界でSRPGを行なう、ようは超勇者ちゃんと同様「自分だけ別ゲー」できる権能。
詳細は所有者であるギルドマスター(ゴブリンスレイヤー)の記事を参照。
祈らぬ者
所謂モンスター、敵キャラクター。該当記事参照。
ネーミングは「Non Player」と「Non P“r”ayer」の英語的ダジャレ。
ゴブリンについてはゴブリン(ゴブリンスレイヤー)の記事を参照。