概要
1982年に開業した東北・上越新幹線は、各停車駅ごとに異なる楽曲を車内チャイムに採用した。当時東海道・山陽新幹線の車内チャイムが無機質な4打音チャイムだったことからその反省から採用されたと言われている。
楽曲は地域ゆかりの民謡や歌謡曲であり乗客からも好評だったが、次第に「新幹線のイメージにそぐわない」、「田舎くさい」と敬遠されるようになっていった。
さらにカセットテープを交換する形で設定を変更していたため、列車の停車パターンが多様化するにつれて管理が複雑化していった。
このことから東京駅への延伸をきっかけに使用を終了し現行の車内チャイムに差し替えられたが、この取り組みは今日のご当地メロディ普及への第一歩となった。
各駅使用曲一覧
東北新幹線
駅 | 曲名 | 備考 |
---|---|---|
上野駅 | 花 | |
大宮駅 | 大宮をどり | |
小山駅 | 小山音頭 | |
宇都宮駅 | 宇都宮和楽踊り | |
那須塩原駅 | 機織り唄 | |
新白河駅 | 白河音頭 | |
郡山駅 | 会津磐梯山 | |
福島駅 | 飯坂小唄 | 飯坂電車乗換駅。 |
白石蔵王駅 | 白石音頭 | |
仙台駅 | 斉太郎節 | |
古川駅 | お立ち酒 | |
一ノ関駅 | くるくる節 | |
水沢江刺駅 | 宮城麦つき節 | |
北上駅 | 北上夜曲 | |
新花巻駅 | 星めぐりの歌 | |
盛岡駅 | 南部牛追い歌 |
※くりこま高原駅は「イメージに合致する曲がない」としてふるさとチャイムが設定されずに開業したため、同駅停車列車に限り、東京駅延伸に先駆けて現行の車内チャイムが採用された。
上越新幹線
駅 | 曲名 | 備考 |
---|---|---|
熊谷駅 | 秩父音頭 | 秩父鉄道乗換駅。 |
高崎駅 | 八木節 | 現在は桐生駅発車メロディ。両毛線乗換駅。 |
上毛高原駅 | 上州馬小唄 | |
越後湯沢駅 | 湯沢旅情 | |
浦佐駅 | はねおけさ | 上野駅開業まで使用 |
浦佐駅 | 浦佐サンヨ節 | 上野駅開業以降使用 |
長岡駅 | 長岡甚句 | |
燕三条駅 | 岩室甚句 | |
新潟駅 | 佐渡おけさ |
浦佐駅のみ上野駅開業を境に使用曲が変更されている。変更理由は不明。
また上野駅開業に前後して音源が丸ごと変更されている。
類似例
ふるさとチャイム採用後、他路線を走る列車でも同様に各駅毎に異なる車内チャイムを用いるものが登場した。
特急くろしお
1986年11月のダイヤ改正以降、381系に各駅毎に異なるメロディを採用していた。
くろしおミュージックチャイムという名称がある。
JR西日本化後の1989年の上位種別「スーパーくろしお」登場とともに楽曲が差し替えられ、1998年に最後の更新が行われた。
その後、放送装置(8トラック磁気テープ)の老朽化に伴い使用を終了した。
1998年
駅 | 曲名 | 選定理由 | 備考 |
---|---|---|---|
京都駅 | 祇園小唄 | 京都を舞台にした歌謡曲。 | |
新大阪駅 | 大阪ろまん | 大阪を舞台にした歌謡曲。 | |
天王寺駅 | 鉄道唱歌 | 汎用でオルゴールも搭載していた。 | |
鳳駅 | 歌の町 | 歌詞の中に含まれる鍛冶屋からと推測される。 | |
日根野駅 | オリジナル曲 | ||
和歌山駅 | 鞠と殿さま | 和歌山の民謡。 | |
海南駅 | おお牧場はみどり | ||
簑島駅 | みかんの花咲く丘 | 和歌山県名産有田みかんより。 | 伊東駅の発車メロディとしても採用されるが、こちらは温州みかんを意識している。 |
湯浅駅 | 港 | ||
御坊駅 | 海 | 「松原遠く 消ゆるところ」で始まる1913年の文部省唱歌。 | |
南部駅 | 梅は咲いたか | ||
紀伊田辺駅 | 牛若丸 | ||
白浜駅 | 潮騒のメロディ | ||
椿駅 | お猿のかごや | ||
周参見駅 | 五匹の子豚とチャールストン | 和歌山県畜産試験場で研究されているイノブタにちなむ。 | |
串本駅 | 串本節 | ||
古座駅 | われは海の子 | ||
太地駅 | 出船の港 | ||
紀伊勝浦駅 | いい湯だな | ||
新宮駅 | 鳩ぽっぽ | 作詞の東くめの出身地。 |
近鉄特急
22000系が導入された1992年以降採用された。なおこの例は本家東北新幹線でのふるさとチャイム使用終了後の採用例である。そのためか、一部を除いて各駅にちなんだご当地楽曲というわけでもない。
中央本線(中央東線)特急
国鉄民営化後、中央線特急用の183系にグレードアップ改造を施した際に車内チャイムが交換された。ちょっとだけストレンジャーを除き、民謡・唱歌であるのは東北・上越各新幹線を持つ本場ならではか。
自動放送装置ではなく、車掌が適宜ボタンを押し、チャイムを鳴動させるタイプのものであった。
また、在来線当時のあさまでも姉妹形式の189系が運用されていたが、そちらも車内チャイムに変更がなされた。
曲名 | 使用駅 | 楽曲概要 |
---|---|---|
雪山賛歌 | 松本駅 | 1959年にアメリカ民謡に独自の歌詞をつけた唱歌。 |
ちょっとだけストレンジャー | 新宿駅・上野駅 | 当時のJR東日本のCMソング。 |
信濃の国 | 松本駅・長野駅 | 長野県歌。現在は北陸新幹線長野駅発車メロディ。 |
武田節 | 甲府駅 | 山梨県の新民謡。183系に搭載。 |
ふるさと | 童謡。189系列車に搭載。 |
余談だが、183系を同じく使用する京葉線・総武線の特急も車内チャイムが変更されたがが、こちらは民営化後に製造された各形式と共通の汎用曲にされている。
JR九州九州新幹線
JR九州所属車に限り、熊本駅でおてもやん、鹿児島中央駅で鹿児島おはら節が鳴動する。
広島電鉄
厳密にはメロディではないが、原爆ドーム前駅到着時には鐘の音が鳴る。
沖縄都市モノレール(ゆいレール)
こちらも各駅毎に違う楽曲を使用。ご当地メロディの記事も参照。
まさかの復活
なお2022年6月より東北・上越新幹線開業40周年を記念し、E2系電車に200系電車の登場当時の塗装を施した編成が登場した。この編成ではふるさとチャイムが使用されたことのある停車駅に限り、車内チャイムをふるさとチャイムとしている。(なお浦佐駅は2曲存在するが、後発の浦佐サンヨ節が採用された。)
関連動画
当記事の曲名はこの動画を基準にしています。
東北新幹線編
上越新幹線編
浦佐旧メロディ