『余が、バーン・・・大魔王バーンだ!』
プロフィール
概要
魔界の神の異名を持つ、魔王軍の総支配者である。
強者が弱者を支配する魔界の頂点に立つだけあって、「弱肉強食」「力こそ正義」を信念として掲げる徹底した実力主義者。部下に対しては基本的に寛大だが、本性は深謀遠慮に長けた大悪党であり、冷酷非情な人物。
また人材マニアな部分もあり、あらゆる種族に声を掛けてスカウトを行う。
自身の地位を脅かす猛者を疎む人間とは異なり、力があり頭も賢ければどんな種族だろうと受け入れ尊重するが、逆を言えばそれ即ち、任務を頻繁に失敗したり力や頭脳が衰弱したりすれば、上記の目をかけた部下だろうと何時でも何処でも切り捨てるのを意味する(竜魔人バランとの戦闘で余力と戦闘能力がまだ充分に残っていたにも拘わらず、後述のハドラーを黒の核晶で躊躇なく爆殺させたエピソードもある)。
かつて神々は、人間が脆弱だからという理由で太陽の恩恵を与え、魔族と竜族は地底に存在する『暗黒の魔界』へと追いやった上で、地上という蓋で閉じ込めた。その神々を「我等を冷遇した」*と憎み、数千年も前から復讐を企て力を蓄え続け、魔界に太陽の光を差し込ませる『地上破滅計画』を進めていた。バーンはこれを「神々が犯した愚行の償い」と述べる(表向きは「神々が魔族のために魔界を与えた」という建前であり、これは『キルバーン』がバランに語っている)。
最終目的は新たな神となること。地上を消し飛ばし、魔界に太陽の恵みを与えた暁に、真に『魔界の神』を名乗ろうと考える。
もしそうならば『地上破滅計画』は神々に対する復讐の前奏曲に過ぎず、数千年も時間を掛ける辺りその憎悪の強さが計れる。
力を崇拝する背景には、こうした今の三界の秩序を神々が力によって形成したならば、自身も力で秩序を覆す神の模倣による部分もある。ちなみにチェスは神々が始めた遊びで、この部分からもバーンは意識していることが窺える。
加え「いかなる種族であろうとも強い奴に差別はせん」と述べ、自分は神々とは違うのを暗に主張している。
劇中には『バラン』や『ラーハルト』など種族的な差別を受けた者達が登場し、バーンも神々から差別された立場と言えるが、彼等とは違い、差別した者達(神々)だけではなく、その連中から恩恵を受け、神と同じく力ある者を差別する人間や地上まで憎悪する等恨みはかなり醸成されている。
長期連載作品でありながらも一貫してラスボスという立場が変わることはなかった。
人物像
「天地魔界に恐るる物なし」と自負する強さに加え、老獪な知略にも長け、純粋な力においては自分に及ばないバランも「予測しがたい面がある」理由で一目置き、「自分が信奉するものとは全く違う種類の強さを持つ者」として人間であるアバンを認めて、警戒、地上侵攻に際して真っ先に始末するようハドラーに命じる等、深い洞察力、戦略眼を持つ。
欠点としては、圧倒的な強さを持つが故にいざ戦闘となると相手を侮る。ダイとの初戦では、竜の騎士の力を警戒し「そろそろ我々3人で挑むべき」というミストバーンの進言を聞き入れず余所見までしてしまい、全身を黒焦げにされる痛手を負う。
一方で再戦時には自身の居城を吹き飛ばすほどの力を身に着けたダイを警戒し、「即時粉砕」として開幕から全力攻撃を仕掛けてきた。
バーンが相手を侮るのは100%勝てると確信しているからであり、そうでない場合は再戦時のダイのように手加減が一切無くなるなど、油断や慢心とは程遠い気質を持っている。
また、バーンの合理性は10の力で解決できる問題に普通は10~12くらいで効率よく解決しようとすることに対して、バーンは恵まれているから100の力を湯水の如く費やせばいい、に近い。また、バーンは寿命が長いために100回失敗しても101回目の挑戦をすれば良いとして、「100の力を持たず101回もチャンスがない他者」を弱者として歯牙にも掛けていない。
しかし、それ故に弱者の立ち位置に決して立たぬよう振る舞い続けており、強さという偶像に縛られていると言える。結果的に勝利・成功に至れば多少の遠回りや自身以外の犠牲を問題にしていない。と、同時にこの合理と効率の差異を気にしない事が、工夫という弱者の真似や理解や研究を怠り、自分以外の誰かに対処させるか、恵まれた力でゴリ押すしか対策がない。
部下の失敗も「三度までは許す」と公言し、ハドラーに対しては「次はない」と追い詰めた上で温情を与え、化ける契機を作るムチとアメに優れた統率者としての器も端々に見せる(と同時に「殺すのはいつでもできる」という『保険』もしっかり掛けている)。
地上を消滅せんとした「悪魔」だが、目的はあくまでも「故郷である魔界に太陽の恵みを降り注がせる」ことで、彼自身の私情や欲望で動くのは劇中一度も無い。その意味では無私の人とも言える人物であり、己の欲望から地上を欲したヴェルザーとは好対照である(最終決戦終盤でバーンは「天地魔界を支配するも一興」と言っているが、この時のバーンはダイへの勝利の執念以外の己の全てを捨てており魔獣として生きる覚悟を決めた自棄になっての虚言に近い)。
弱者に対して一切容赦せず、圧倒的な力による蹂躙を「楽しい」と言って憚らない。一方で強い者に対しては種族を問わずそれなりの敬意を払うとも述べ、種族として軽蔑する人間であってもヒュンケルのように軍団長にまで取り立て、敵であるダイも部下に勧誘。逆に同族であろうとも、その強さが目に留まらない者は自軍にも入れないようであり、魔王軍の魔族出身の構成員はバーン以外では幹部に僅か数人しか確認されていない(本編ではバーンを入れても5人前後で、勧誘されたが拒絶した者やアニメ版の外伝のみの登場人物を全て含めても10人にすら満たない。尚、その全員がバーンの力を借りずとも単身で魔界から地上に出ることに成功した者達である。バーンにしてみれば、それくらいの者でなければ同族でも端から相手にしないようだ)。
ヒュンケルのアバンに対する復讐心と尊敬の念を見抜き、ロン・ベルクが最強の武器を求める理由も見抜く等、相手の心情を見抜く確かな目を持つと同時に『超魔生物』化する前のハドラ-の失態続きでも明らかだが、ザボエラのようにいかに強かろうとも「出世や保身以外考えない」、「何ら成果を見せようともしない、あるいはできない」場合には処刑する冷徹さは持ち合わせる。最も、ザボエラの場合は成り上がりだけを目当てに取り入る味方をすぐに変える性根の悪さが原因で勝手に信用を無くしたのが正しい。
しかし「敬意を払う」と言っても、相手の心情を考慮しない独り善がりで、反感を抱かれることも少なくない。バーン自身も自覚しているようだが、自身の力が強大過ぎて不意打ちでもない限りほとんど単独で物事をごり押しで解決できて、まず他者との協調を重んじる必要がないのである。
また、ダイとバランに命を賭けた勝負を挑むハドラーに対し、敗色が濃いと判断した場合、ハドラーに告げず反逆に備え仕込んでおいた黒の核晶を爆発させるつもりでいた。
平然と捨て駒にしておきながらバーン自身は「最初から捨て駒にするつもりはなく、(生き返らせた後で)万が一のことを考えて(黒の核晶を)埋め込んでおいた」「結果の見えた勝負はつまらない。だが可愛い片腕の最後の晴れ舞台は見届ける」「ハドラーに勝ち目がない以上、爆発させてやるのが情け」と述べており、これが「彼なりの強者に払う敬意」なのだろう。
技能・能力・道具
ロン・ベルクが制作した大魔王お気に入りの道具である杖。持ち主の魔力を吸収し際限なく攻撃力を上昇していく。詳細は項目参照。
勇者アバンと獄炎の魔王の魔王ハドラー時代に魔界の神を名乗り、凍れる時間の秘法の後遺症で魔王城に引きこもったハドラーに送った物。魔王ハドラーは魔界の神が送った魔法の筒を魔王ですら恐れる魔物が入っていると魔王ハドラーの新参幹部であった鬼面同士ブラスに押し付け厄介払いされた。
魔王ハドラーが倒され魔力の凶暴化が解けたブラスはデルムリン島で静かに暮らす決意を固め、後にダイに魔王ハドラーから与えられた魔法の筒をダイに渡して偽勇者を倒すのに使われた。
つまり、魔界の神を名乗ったバーンは魔王ハドラーの為に魔界のモンスターを入れていた模様でアバンとハドラーのギリギリの闘いを見る限り、魔界のモンスターを使用されていたら当時の勇者アバンは多勢に無勢で勝てなかった可能性があった。2020年アニメ版では魔界のモンスターではないが強力なモンスター(ドラゴン)が入っていた。
- 魔界の神の像(仮)
「魔界の神」ことバーンが(正体を明かさず)、魔王時代のハドラーに「贈り物」として与えたアイテム。贈った時は膨大な魔力が込められており、ハドラーの傷をたちまち癒した。また監視装置的な意味合いもあり、これを介してハドラーの動向を観察していた。後に魔王ハドラーに強い肉体を与えて蘇生させる為に必要なアイテムだった事が判明。アバンに敗れ死に瀕したハドラーの魂を神像に入れることで死から逃れさせ、肉体はバーンが強化することになった。万が一、勇者に敗れた場合でもハドラーを死なせず、部下にするためにバーンが用意した「保険」といえる。魔族ハドラーの蘇生のために使うアイテムだったため、ハドラーが超魔生物になってしまうことで効果が無くなってしまった事が窺える。
主にミストバーンとの交信に使用。テレパシーと言っても「遠くの人間と会話する能力」に近いようである(実際、自身の意図を一瞬にして相手の意識に伝えるわけではなく言葉で伝えている)。
- 魔力による凶暴化
その名の通り、魔力の影響で地上の魔物達を凶暴化させる。かつてはハドラーもやっていたが現代においてはバーンが実行している。
この大魔王の行動によりダイがデルムリン島のモンスターが操られずに穏やかに暮らせるようにする為にも勇者として旅立つきっかけになっているが、バーンはダイが人間を護る為だけに行動していると最後まで思い込んでいた。
呪文
火炎呪文を得意とし、下記にある通り代名詞とも言える必殺呪文もメラ系呪文である。
またバーンの大きな特徴として、魔法力の高さが桁外れであるため、溜め無しで高威力の呪文を放つ。人間その他の生物では十分な威力の呪文を撃つには「魔力を溜めて増幅する」過程が必要でもあり、どうしても連射することができない。
しかしバーンに限ってはこれを無視しても余りあるほどの魔力があり魔力を溜めずにそのまま呪文を撃っても十分な威力が出るため、大呪文を一発撃った直後に間髪入れずに同規模の呪文を連発するような芸当が可能。
作者曰く、本編ゲームでよくある「ボスキャラの1ターン2回行動」をモチーフにした行為。
- 火炎呪文(メラ、カイザーフェニックス※)
火炎を放つ攻撃呪文。最下級呪文のメラでさえマトリフに師事して大きく成長したポップのメラゾーマを上回る威力。メラは竜の騎士の亡骸を焼き払えるほどの火力を持つが、カイザーフェニックスの火力はそれを更に上回る。ちなみに炎熱の精密なコントロールも自由自在なようで『大きな岩棘をメラの炎熱で削るように溶かして(鬼岩城の頭を模した)頭像…即ち魔界の神の像(仮)を作る』『フレイザードの氷の半身を溶かす程の灼熱の火柱ではあるが、その火柱の中心にあった暴魔のメダルには一切の影響を与えない』といった芸当も可能である。
※大魔王のメラゾーマ、詳細は項目参照。
- 爆裂呪文(イオラ)
爆発を起こす光球を放つ攻撃呪文。バーンの絶大な魔法量により連続で放つ事が可能、ヒュンケルは1発1発が極大爆裂呪文級の威力だと評していた。ちなみにイオラの描写は原作とアニメでは異なり、原作では手から連続で放っていたが、アニメ版では虚空に無数のイオラを出現させて次々と放つというものに変わっている。
- 反射呪文(マホカンタ)
魔法を跳ね返す障壁を展開する防御魔法。ポップのメドローアを反射するのに使用。
相手の呪文が先に放たれてからでも、バーンは障壁を一瞬で展開させることができるので、後出しでも効果を発揮する。
本作では使い手がほとんどいない極めて珍しい呪文らしく、バーン以外の使用者はいなかった(ただしオフィシャルファンブックによればマトリフも使用可能とのこと。とはいえ、ポップへの実演含め一度も見せていないのは確実なため、高齢などで使用が限定されていた可能性が大きい)。
- 回復呪文(ベホマ)
生体組織を活性化させる回復呪文。アバンストラッシュが直撃して黒焦げとなったが一瞬のうちに回復した。バーンの技量が高いからなのか、ボロボロになった衣服も同時に再生させるほどのパワーを持つ(バーンの衣服は後に本人の状態によっても形状等が大きく変化していることから、魔法力に反応する一種のアイテムの可能性もある)。
技
- 闘気弾
圧縮した闘気を弾丸の如く発射する攻撃方法。軽く闘気を放っただけでダイやクロコダインをダウンさせる(ダイに関しては負傷箇所に当たったのが大きい)。
漫画版クロスブレイドでは地面に倒れたバランへのトドメに使用したが、ダイによって防がれている。それでもダイの両手に火傷を負わせるなどかなりの威力だった。
闘気に近いエネルギー波による障壁を相手に放つ攻撃。光魔の杖を薙ぎ払って発生させる。
- 空圧(掌圧・息を吐く)
漫画版クロスブレイドでの技。身体が膨らむほど息を吸い込み、口から放つ空圧で相手を吹き飛ばす。バーンからすれば息を吐いただけであり、“戦う”必要がない相手にしか使わない。
コンセプト的には、素顔を晒したミストバーンが使用する掌圧と同じ。
呪法
- 鏡通信呪法
鏡を用いた通信呪法。魔族が自身の血液で鏡に文字を書いて、任意の相手の身辺の鏡に届ける。
絶大な魔力を持つ者が発動できる高度な呪法。物体を時間を止めた状態に出来、対象は完全に硬化固定された状態になる。生物にかけるとその魂は凍結時の精神状態を長期間維持してしまうため、解呪後も大きな精神的影響が残る。詳細はリンク先を参照。
その他の能力
- 鬼眼
バーンの額にある第三の眼で魔力の源。竜の紋章と同様に様々な能力を持つ。
- 魔力結界
鬼眼から放つ魔力によって結界を展開する能力。近づく者を押し返し、逆に出ようとする者を弾き返す性質を持つ。バーンパレスに結界を張っているが、侵入防止のためというよりは地上を消し飛ばす際の爆発から守るために使っていた。魔力結界はミナカトールで無効化できる。
- 自己再生
魔族の能力の一つだが、バーンのそれは桁違いであり片腕が崩れ落ちても瞬時に超速再生させる事ができる。作中では左腕をあえて再生せずに挑発しマァムの攻撃を誘い超速再生して騙し討ちした。
- 分身
肉体を二つに分ける術。単に分けるだけでなく、一つに叡智と魔力、一つに若さと力を分離できるように、それぞれの肉体に己の要素を偏らせることが可能。上述の「凍れる時間の秘法」と併用することで、永遠に近い寿命を得るために使用していた。「凍れる時間の秘法」同様に術者の任意で解除し肉体を統合することが可能なようである。
パラレルワールドでは大魔王との戦いに勝利した主人公に分身を預ける形で仲間に加えさせるという分身の術のような形式で使用されている。
- 肉体から魂を引き剥がす術
アバンに負け、死中にあるハドラーへ新たな肉体を与えるために肉体と魂を分離させるなど、限りなく永遠に近い時間を生きるべく、バーンが持っている術。ミストバーンも作中で使用してハドラーを蘇生させている。
「魔界の神の像(仮)」に触れた魔王ハドラーは勇者アバンに倒された時に魔界の神バーンによって蘇生された。
なお、ハドラーが超魔生物になるためバーンから授かった魔族の肉体を大改造したことで事実上、従来の身体を捨てた上、暗黒闘気が魔炎気になった影響で、暗黒闘気による蘇生が不可能になってしまった。
不死身の魂により何度でも復活するヴェルザーの能力や、一部では最終話でダイの剣が光を失っていない理由とも関連して考察される術だが、謎が多い。
他にも老体でありながらヒュンケルのブラッディースクライドを指一本で止める等、列挙するだけで恐ろしい圧倒的な強さを誇る。
作中での動向
本編開始以前
数百年前までは魔界を二分していた冥竜王ヴェルザーと対立関係にあったが、神々を憎む考えが一致し、バーンの方から休戦協定を持ち掛ける。ただし条件付きであり、それは「互いに神になるための戦略を進め、成功した方に従う」というもの。その際にヴェルザーから友情の証としてキルバーンを派遣されるが、キルバーンの素性は自身の監視役兼暗殺者。バーンはすぐに真意を見抜き、「そんな物騒な死神を買うのも一興」とあえて重用する。
ロン・ベルクに対しては名工にして剣術の名手として気にかけ、武具の作成という名目で呼び出し厚遇する。そして鎧の魔剣、鎧の魔槍、光魔の杖を渡されると魔軍司令の誘いを掛けるが、向上心がなくなり堕落するという理由で断られ決別している。
それから数百年後(ロン・ベルクとの決別からは約90年後)、密かに地上破壊計画を進める中で勇者アバンとの戦いで負傷した魔王ハドラーに「魔界の神」を称して声のみで接触。その後アバンとの戦いで敗北したハドラーを復活させ、傷を癒すため地下に潜伏させる。同時に魔軍司令の地位を与え、地上を征服した暁にはその支配を任せると告げる(バーンの目的は地上の破壊なのでこれはウソである)。また同時期に凍れる時間の秘法を使い己ごとハドラーを封印した地上の勇者アバンにも注目するようになる。ちなみに約1年間でハドラーの封印がアバンごと解除されたのもバーンの差し金であった。
15年後、多くの強者を集め、新生魔王軍を旗揚げすると、邪悪な魔力で各地の魔物を凶暴化させ、真っ先にアバンの始末をハドラーに命じ、六団長には各地の国々を陥落させていった。
この頃のバーンは表舞台には現れず、常にヴェールの向こうの玉座に姿を隠していたため、彼の素顔を知る者はミストバーンとキルバーンぐらいしかいなかった(当時のキャラクタープロフィールはほとんどの項目が「不明」)。バーンはヒュンケルの眼つきを気に入って軍団長に登用したが、常にヴェール越しだったことを考えるとあくまのめだまを通して見ていた可能性がある。実際アバンとハドラーの決戦をあくまのめだまを使い余興として見ていた。
アバンの使徒編~竜の騎士編
アバンを倒したハドラーの功績を讃え、新たな肉体と閃熱系最強呪文ベギラゴンを与えたものの、以降のハドラーは失敗が相次ぎ、六大軍団の戦力が半分に減少。
さらに、ハドラーがダイが竜の騎士の血を引いていることをバランはおろか主であるバーンにも隠匿していたことが発覚する。
これにはバーンも
「愚か者! お前のつまらぬ小細工が見抜けぬ余だと思ったか! バランの失態は余にすらダイの正体が竜の騎士であることを明かさなかったお前の罪だ!!!」
とご立腹。指を三本立てヒュンケルとクロコダインの軍団離脱、バルジ島での総力戦の敗北、そして竜の騎士の隠匿と仏の顔も三度までとハドラーに失敗を追及し指を折っていくが、それでもアバンを倒した実績を鑑み、指を1本戻し温情としてハドラーに最後のチャンスを与え「今度自分の前に現れる時までに勇者たちを倒していなければ次はない」とハドラーに最終通告を告げた。
死の大地編
ザボエラと組み夜襲を仕掛けたハドラーは敗れはしたものの、今までのプライドを捨て超魔生物に改造され復活し、ダイを打ち倒す。
しかし、死体を確認していないこと、そして死体が確認できてない以上ダイは十中八九生きているとしたうえで「次までに勇者を倒す事ができていない」事から死刑を覚悟でバーンに謁見しに行くが、ヴェールの奥にいないことに気づく。
バーンは見事武人として成長したハドラーに対する評価の証として素顔を見せることを決意したのである。
「…どうした? あまりに枯れた年寄りなので拍子抜けしたか…?」
「余がバーン。大魔王バーンだ」
実際、ハドラーからは本当に強いのか疑問を持たれたが、その思考を見破り「試してみるか」の一言で器の違いを見せつけ、頭を下げさせた。
また、処刑の件についても宣告当時と今ではハドラーの心持ちや実力も格段に変化している事や、死体の確認はできていないとはいえダイに勝利していることから不問とした。
そして、チェスで用いたオリハルコンの駒をハドラーに与え、禁呪法を用いて新たな軍団を作ることを提案。一方で、ダイに敗北して姿を消したバランをキルバーンに始末させようとしたが失敗し、バラン叛逆のきっかけを作ってしまう。
バーンパレスに乗り込んだダイとバランの2人の竜の騎士とハドラーの戦いぶりを水晶玉から監視し、ダイが深手を負い戦闘離脱した後に竜魔人と化したバランに圧倒されるハドラーを見て彼に仕掛けていた黒の核晶を起動させ相打ちに持ち込もうとするが、企みに気づいたバランの竜闘気に阻止される。
自らハドラーの下へ行き核晶を起動させようとするが、ミストバーンが代わりに起動させ、死の大地は消滅。全力の竜闘気で爆発を抑えたバランは死亡した。また、この一件でハドラーから決別される。
バーンパレス突入
バーンパレスにてアバンの使徒と対面。非力な身でありながら自らの下に来たことを褒め称え、その褒美としてミストバーンとキルバーンに手を出させずに1対5で戦ってやると宣言する。
戦いの前にバランの遺体をメラで焼き尽くし、その圧倒的な実力を印象付けた。
ダイの一撃により(直後にベホマで回復したものの)手傷を負わされ、素手では勝てないと悟り、光魔の杖を使用。ダイの剣と正面から打ち合い、これを折ることでダイを戦意喪失させる。
本来、ダイの剣は作品中でも一二を争う強さの武器であり、製作者のロン・ベルク曰く「光魔の杖とは比べ物にならないほど強いはずなのだが、その力関係を逆転させたのは、バーンの魔力によるもの」であった。
今は敵わないと判断し、全滅を防ぐため冷静にルーラでの撤退を試みたポップの行動を阻止。「知らなかったのか…? 大魔王からは逃げられない…!!!」と告げ、一行を再び絶望させたところでとどめを刺すべく必殺技カラミティウォールを放つも、黒の核晶での爆発から生き延びていたハドラーに阻まれ戦闘に突入。
当初は互角の戦いをするも、光魔の杖の魔力吸収の影響で魔力が弱まり、ハドラー自身が飛躍的な成長を遂げ次第に押されていき、ハドラーの必殺技・超魔爆炎覇を受けそうになったが、ザボエラがハドラーを拘束する援護によって形勢は逆転。
ハドラーを裏切り者として処刑すべく杖を投げつけるものの、ハドラー親衛騎団のブロックがキャスリング(チェスの手の一種。キングとルークの位置を一手で入れ替え、攻撃を円滑にしたりキングを守ったりできる。王手がかかった後にこれを使うと反則)を行い、ダイとハドラーを逃がすものの、この戦いでは勝利に終わる。
勇者との決闘、大魔王の決断
その後は各地にピラァ・オブ・バーンを投下して地上に攻撃を開始。更に捕らえたヒュンケルとクロコダインの処刑を宣言し、地上の戦士たちを誘き出しに掛かる。魔力結界に絶対の自信を持っていたバーンはダイ達がバーンパレスに来れるはずがないと見ていたが、ミナカトールという誤算によって突入を許す。これによってバーンは、魔力をパレスに送る機能をマヒさせられ結界の維持が不可能となる。
そして迎えたダイとの二度目の戦い。修行と死闘の末に双竜紋を発動させたダイとは互角の戦いとなり、その実力を見込んだバーンは「……余の部下にならぬか……?」と勧誘。
「…人間は最低だぞダイ。おまえほどの男が、力を貸してやる、価値などない連中だ」
「…賭けてもいい。余に勝って帰っても、おまえは、必ず迫害される…!」
「……だが余は違う! 余はいかなる種族であろうとも強い奴に差別はせん!」
「……さあ! どうするダイ! 無益と判っている勝利のために生命を賭けるか? おまえの価値を判っている者のために働くか…」
「いくらおまえが子供でも…この二択は迷うまい!?」
さらに人間の愚かさを的確に指摘し「おまえの父親はYESと答えた」と告げる。否定するレオナに対しても「それはダイに対する個人的感情に過ぎない」と返し、「一国を束ねる者が、私情に流されては ならぬだろう?」と同じ巨大な組織を束ねる者としての鉄則を付け加え沈黙させた。
この時、バーンは『純粋な人間でないダイが英雄になるのを人間共は認めない』という異なるものへの恐怖や不信感を根拠に勝った後の迫害を説いていた。
尚、バーンも凍れる時間の秘法を使用したアバンと魔王ハドラーの戦いからその後の様子を見ていたのかもしれないが、『かつてのアバンすらその才能を疎んだ家臣達に濡れ衣を着せられて国を追われた』(※勇者アバンと獄炎の魔王で正式にはアバンが問題が発生する前に自ら祖国を出た事が判明)、『同じアバンの仲間のマトリフも国王の相談役になった後に他の家臣達に嫌がらせを受けて、それ故人間不信になり世捨て人になった』という出来事が起きていた。つまり、バーンが言う迫害というのは「人間同士でも並外れた能力を持っていれば起こりうる」ということなのである。この経緯を見て、凍れる時間の秘法を人間でありながら発動させた天才的な切れ者を、同じ人間でありながら邪険に扱う人間という種族は自分と根本的に相容れないとして、「人間は最低だぞ」と地上ごと消し去っても問題ないという侮蔑をますます強めたのかもしれない。
悩んだ末にダイは「おまえの言う事も嘘じゃないと思う」とバーンの発言を一部認めながらも「それでも、人間たちが好きだ!」と誘いを跳ねのけ、その上で「オマエを倒して地上を去る」と決意、勇者としての使命を遂行するべく戦闘が再開。「人間などに心惹かれた事を後悔させる」と受けて立ったバーンだが、レオナと協力して放たれたダイの二連続ドルオーラをまともに受け、消滅した。
考察
明らかな失策として見做されている暗殺者キルバーンをバランへの暗殺に差し向けるという作戦だが、「強者には敬意を払う」というバーンの目線だと実は筋を通した手順と見ることができる。
バーンは親子の情に目覚めたバランを魔王軍に引き戻すことは絶望的と見ていたので、ハドラーの黒の結晶を利用してバランを始末することは、あの時点でほぼ決定事項だった。
だがいきなりそれをやると、卑劣な掌返し(バーンの軽蔑する『最低な人間』のやり方)になってしまうので、あくまでも『任務に失敗したこと(或いは彼と同罪の職務放棄)によるペナルティの処刑』という体裁で宣戦布告を行い、バランを完全に敵対させるという段階を踏んだ、と見ることができる。
あの時点でのバランの落ち度はあくまでも『任務の失敗』であり、バラン自身も戦意喪失したどっちつかずの状態になっていたため、『敗軍の将の無様な処刑』ではなく『竜の騎士としての名誉の戦死』を与えてやることがバーンなりの敬意だったのだろう。
もっとも、老獪なバーンとしてはそれすらも建前で、単にルーラで退避できないバーンパレスの内部に竜の騎士の親子を誘き出し、黒の結晶の直撃によって同時にチェックメイトを掛けようとしただけの可能性もある(作中で竜の騎士2人を同時に相手にした敵はハドラーとフェンブレンの2名のみ)。
外部作品
パラレルワールドのバーンは原作のバーンと環境が違う為、性格が変わっている。
ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3プロフェッショナル
コラボイベントで部下たちと共に追加された。勝てば誰でも仲間に出来る。
「ここでは自分の方が来訪者なのでそちらが負けても命までは取らない」と言いつつ「全力でかかってこなければこの世界をいただく」とブレイクワールドを奪う気も満々だったりする。
2周目以降の前口上では「こうも何度も来るとは簡単に勝てる相手だと思っているのか」「お前は余の恐ろしさを知らぬ」などと言うが、勝利後には「余の世界であれば部下にしたいくらいだ」と改めてこちらの実力を評価してくれる。
シナリオクリア後のイベントバトルで勝利すると貰えるアイテムを使うと、老人の姿の「大魔王バーン」としてバトルを仕掛けてくる。部下たちの後の3日ごとに登場し、勝てば彼の「分身」を仲間にすることが出来る。
ジョーカー世界の大魔王バーンは賢さが最高値で火属性が得意なので、構成次第でメラゾーマはおろかメラガイアー並みのメラを打つ。メドローアも得意だったりする。
漫画版クロスブレイド
3巻から登場。
原作では弱者をいたぶることに愉悦を感じていたが、本作では強者に立ち向かって来る弱者の強さに興味を抱く。また強敵との戦いも欲するなど人材マニア(強者を勧誘する)とは逆方向のキャラ付けがされている。世界設定が異なるためか、魔界に幽閉されていない為、地上を破壊しようと目論んだりはせず、神々に対する恨みなどは特に感じさせていない為、性格が原作よりは良い方向に変わっている。
ただし主人公たちに興味を抱いたのは、ミストバーン曰く「暇潰し」とのこと。
常にミストバーンとキルバーンを伴て行動しており、超越大魔王ロラドムドの下へ前進している途中に主人公ユウキたちと遭遇する。バーンは前進しているが故に道を変える気などはなく、岩や町などがあれば障害物として配下に破壊させていた。それを見咎めたユウキとダイから勝負を挑まれる。
バーンは身体が膨らむほどの空気を吸い込み、空気弾として吐き出すことで二人を寄せ付けない実力を見せる。
ユウキ「空圧で吹き飛ばされた…!? バギ系の呪文…!!!」
ユウキ「バギでこんな威力が出せるのか…!!? 大魔王バーン!!!」
バーン「…バギ…? 何を言っている…?」
バーン「息を吐いただけだが?」
バーンからすれば“戦う”という行為に出る必要もない。それだけの実力差があるのだと二人を絶望させる。それでも立ち向かって来る二人を理解することが出来ず問い掛ける。「絶対に勝てないのになぜ挑んで来るのか?」と。
それは二人が勇者という“生き方”をしているからだと返答されるが理解できず、今度はメイロを殺すことで揺さぶりを掛けようとする。それによって力を引き出したユウキの接近を許してしまい反射的にメラで反撃してしまう。自分に“攻撃”をさせたことで興味を抱き、このまま強くなれば暇潰しくらいにはなるとして見逃した。
5巻ではユウキたちが時空の武術大会で優勝したと聞き、ミストバーンに命じて実力を測らせる(あまりにも弱ければ殺しても構わないと告げている)。
ミストバーンは左手だけでユウキ、ポップ、マトリフを圧倒するが、師弟で放たれた“ギガメドローア”の前に実力を認め撤退する。
6巻では突然ユウキたちの前に現れ一向に襲い掛かろうとする。そこへバランが現れ、ダイの捨て駒になるつもりで勝負を挑まれる。真魔剛竜剣と素手で打ち合い、バランを殴り倒すという芸当を見せた。更にミストバーンとキルバーンがバランの背後から攻撃したことで優位に立つ。
そのまま倒れ伏したバランにトドメを刺そうとするがダイによって阻まれる。しかもこれによって親子の絆を深めさせてしまい、竜魔人となったダイ&バランの親子かめはめ波ならぬ親子ドルオーラを撃たれる。
ミストバーンとキルバーンを含めた3人掛かりで堪え凌ぎ「この世界での戦いには満足した。次は別世界で戦おう」と告げて姿を消した。以降は物語に絡まず、バーンたちとの決着は付かずじまいとなった。
ちなみにザボエラをクロスブレイドの異世界に置き去りにした事が7巻で明らかになった。実はザボエラの事が嫌いだったのかもしれない。
ネタ余談
劇中では圧倒的な力とカリスマ感溢れる言動でダイ達と読者を絶望に叩き落したが、ネット上ではコラ画像やそれを基にしたネタで親しまれているキャラクターでもある。有名なのが「ハドラーや六大団長におすすめアニメを尋ねる」というシリーズである。プレゼンされた作品はほのぼの作品と見せかけて不穏な空気が漂うことが多く、「どうなってんの?」とハドラーを叱責するのがお約束。
コラ画像の一つに光魔の杖の初使用シーンを改変して「これが余の武器、どんな時でもポジティブハート」と言う画像がある。
一見すれば単なるネタ画像なのだが、ダイの大冒険と言う作品にとって最大の武器とも言えるのは、最後まで諦めない心である。
そして実際、バーン自身も自分の目的あるいは信念に対して「諦める」と言う選択肢を持つことだけは絶対になかった。
また、自身の保有するオリハルコンの駒について語る際、かつてはこの駒を使い対局する相手がいたらしく、その相手が後の魔界編でダイが新たに対峙する敵の首魁の予定だったのかもしれない(あるいはこのチェスの駒の本来の役割から、「対局する相手=自分の居城への侵入者」という意味で、長い間こいつの出番がなかったことを示しているのかもしれない)。
チェスのほかには酒が趣味である。盃を重ねるシーンが何度も描かれたり、酒に物事を喩えて話すこともあった。ほとんどもっぱら一人のみで、手酌(あるいはミストバーンの酌)で飲んでいるようで、代わりを欲する時もミストバーンに命じて用意させていた。酒の相手がいたのは回想シーン(90年前)でのロン・ベルクのみ。この時は、本編で唯一、女性魔族数人が給仕として登場している(原作漫画では薄衣の際どい姿。2020年アニメ版では放送コードもあるため、大分、おとなしめの恰好になっている)。一人酒を楽しみ、かつ劇中でまるで異性の気配を感じさせないというバーンの普段の姿、趣味とは全く異なるため、恐らくはロンを懐柔するために、敢えてこうした趣向の酒宴を開いていたのだろう。
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ダイの二連続ドルオーラによって消滅したと思われたが、虫の息で生存。
凌ぐ処か連闘により崩壊した杖を目の当たりにし、現状では勝てぬと悟り、ミストバーンに預けていたものを返却させて全盛期の力を取り戻す。
「………余は…!限りなく永遠に近い生命を得るために自らの肉体を二つに分けた…!」
「叡智と魔力のみを残したこの肉体を本体に…!若さと力をもう一つの肉体に分離させた…!」
「そして、皆既日食が来るたびに凍れる時間の秘法をかけ、全盛期の肉体を封印し続けてきたのだ…!!」
「今、それが一つに戻る…!!」
「何千年ぶりだか…とうに忘れてしまったがな!!!」