概要
7年前(1999年)に落下した渋谷隕石と共に地球へ襲来した謎の地球外生命体。
サナギ体(設定ではサリスという名が与えられているが、本編では未使用)から成虫形態へ二段階の成長を行う特性を持ち、何故か成虫は、地球に棲息する昆虫類・クモ類等の節足動物に似た外見・能力を持つ。
サナギ体では一般人の振るう武器でもどうにか対抗できる程度であるが、これが成長を遂げると成虫になり、クロックアップの使用が可能となる。また、成虫の各個体はクロックアップ能力以外にも、それぞれに(近縁の生物のそれと酷似した)固有の戦闘能力を有しており、サナギ体とは比較にならないほどの強さを発揮する。
更に特徴的な力が人間に擬態する能力であり、襲った人間の一切の記憶や人格・性癖・果ては内部構造や所持品まで完全にコピーし、コピー元の当人を殺害して入れ替わり、人間社会に紛れ込むという、非常に厄介な習性を持つ(ただしワームの体温は通常の人間よりかなり低いため、サーモグラフィーによるある程度の認識は可能。また、匂いや肌質といった部分まではコピーできない模様)。しかも、擬態した後も人間をひたすら襲い続けている。胎児すらコピーして繁殖に応用できるのだから繁殖力は群を抜いて高い。
尚、擬態された人間が生きていた場合、謂れの無い罪で周りから疑われる羽目になるケースが多く、食い逃げなどの軽犯罪ならまだ優しい方で、殺人などを犯された場合は無実やアリバイを証明するのは難しい。これを利用して悪事を張り巡らせるワームもしばしばいる他(アキャリナワームなど)、ワームの擬態能力を利用する人間も確認できる。(フォルミカアルビュスワームやレプトーフィスワーム)
ただし、擬態対象の人間の意志があまりに強い場合は自身がワームであることを忘れてしまうこともあり、この状態はある意味で、ワームの肉体が人間の意識に乗っ取られた状態となる。
人間達も終盤からは新たに開発したアンチミミック弾などで擬態を暴くなど、徐々に擬態対策が生まれつつある(ディケイドでは『光家秘伝笑いのツボ』で笑った方が本物、泣いた方が偽物という方法で区別されていた)。
人間と会話する際は、擬態した人間の姿が浮かび上がる事がある(オルフェノクが影を人間体に変化させて会話するような物と思っていただければ理解が早いだろう)。
成虫には様々な個体が存在し、番組後半では海に棲息する甲殻類や、節足動物とはかけ離れた軟体動物(貝類)に似た姿へ羽化した者も登場した。このことからモチーフはカエルや蛇などの脊椎動物を除いた『蟲』がモチーフになっている事が分かる。
ちなみに第12話「裏の裏の裏」では、シャドウのメンバー・井口浩二に擬態した突然変異種である白い蛹形態のワーム(通称『白サナギ』)が登場。他の蛹形態のワームと違って常にタキオン粒子が体内に流れており、成虫形態にならずともクロックアップを行うことやクロックアップの視認が可能。
異種類にネイティブが存在するが、人間との共存を望んでいる者もいるネイティブとは異なり、ワームの攻撃的本能は非常に強く、さながらウイルスの様に自分達以外の種族を根絶しようとする。その為、人間だと思い込んでしまった者の場合でも、やはり攻撃的本能に突き動かされ、暴走に近い形でワームの姿となり人間を襲ってしまう事になる。
外的要因で死亡すると、特徴的な爆音と共にワームと同じ色の炎を上げて爆死する。
なお、ワームのデザインは仮面ライダー剣でも名を馳せた、クリーチャーデザインに定評のある巨匠・韮沢靖氏が担当している。
セミや蝶などポピュラーな昆虫は意図的に外されている為、本作で初めて怪人のモチーフとなった生物も多い。
ちなみに共通の隠しモチーフとして髑髏が採用されており、これは擬態する人間のDNAをスキャンする際のエラーのイメージとして髑髏を採用したとのこと。仮面ライダーの没設定がスカルマンだというのもあるのかもしれない。
また、仮面ライダーカブトのレギュラーメンバーは日常的にワーム問題に携わってるせいか、ワームに擬態された、ワームやネイティブだった、ネイティブに改造された率は非常に高い。
レギュラーメンバーで上記の被害に逢っていないのは矢車想と加賀美陸くらいである。
ネイティブ
詳しくはネイティブ(仮面ライダーカブト)の記事へ
一覧
以下、()内は類似生物。
- アラクネアワーム(蜘蛛)
- ランピリスワーム(蛍)
- ベルクリケタスワーム(スズムシ)
- エピラクナワーム(テントウムシ)
- プレクスワーム(蚤)
- ベルバーワーム(ウデムシ)
- コレオプテラワーム(コガネムシ)
- ミュスカワーム(蠅)
- セクティオワーム(カマキリ)
- フォルミカアルビュスワーム(シロアリ)
- ビエラワーム(バイオリンムシ)
- セパルチュラワーム(シデムシ)
- ブラキペルマワーム(タランチュラの一種)
- タランテスワーム(タランチュラ?)
- ジオフィリドワーム(ムカデ)
- ジェノミアスワーム(アリジゴク)※ウスバカゲロウの幼虫
- アキャリナワーム(ダニ)
- キュレックスワーム(蚊)
- フォリアタスワーム(コノハムシ)
- キャマラスワーム(海老)
- コキリアワーム(カタツムリ)
- レプトーフィスワーム(キリギリス)
- サブストワーム(ザリガニ)
※上記の個体以外に『小説仮面ライダーディケイド』には蝉の姿をしたワームと黒と白のストライプ状の模様と異様に長い触角が特徴のワームが登場しており、どちらもカブトの『ライダーキック』を受け倒されている。
その後の登場
別世界が舞台の『仮面ライダーG』では、犯罪組織シェードによって非人道的に改造された改造人間という設定で登場する。
また、平成ライダー最終作の『仮面ライダージオウ』カブト編では、かつて渋谷に出現した時と同様、地球に無数に飛来するようになった隕石から新たなワームの勢力が登場するようになり、元ZECTメンバー達とジオウとの共闘が描かれる。
ワームを乗せた隕石が次々と飛来するようになったのには、カブト編より前のキバ編で宇宙からやって来た謎の仮面ライダーと何か関係しているのではないかと推測されているが…?
こちらでは色が黒ずんだ個体が散見されている(単にスーツの劣化か画面映りの問題かもしれないが)。ネイティブの個体としてのみ確認されているグリラスワームがこの種から羽化した事から、通常種とネイティブの成虫態は共通しているのかもしれない。なお、カブト編において登場した成虫態はこれだけ。
終盤でリーダー格と思われる擬態影山により、山ほどの大きさがある赤い超巨大隕石の中に、何千何万ものサナギ体が眠っていることが明かされる。擬態影山によればこの隕石をぶつけて地球に壊滅的被害を齎し、破滅した地上をワームが人間に変わって支配することを目論んでいたらしい。
しかしジオウビルドアーマーとウォズギンガファイナリーが隕石内部に突入し、ウォズギンガタイヨウフォームにより隕石が内部から熱せられてサナギ体は全滅。残った隕石もツクヨミの能力で時間を停止させられ、降下が遅れた所をジオウトリニティが完全に破壊、野望は潰える事となった。
なお、サナギ体はシアゴーストやダークローチと並んで平成1期の怪人の中では数少ない戦闘員ポジションの怪人だが、何故かその2種共々平成ジェネレーションズFOREVERには登場しなかった。
また、ジオウ最終回目前においては隕石の落下が確認できるため、おそらくワームもカブトライドウォッチが壊れたことにより出現したと思われる。
余談
『仮面ライダーカブト』は仮面ライダー誕生35周年を記録して創られた作品だが、石ノ森章太郎による漫画版の『仮面ライダー』では、ショッカー怪人がバッタの改造人間であるライダーを「虫けら(ワーム)」と吐き捨てるシーンがある。
なお、この漫画版ライダーを原作とした実写映画『仮面ライダー THE FIRST』も『カブト』と同時期に放映されており、『カブト』第14話では『FIRST』の主人公が1シーンだけカメオ出演している。
なぜ地球外生命体であるワームが地球の節足動物に似た姿をしているのかについては、昆虫が宇宙から飛来したとする昆虫宇宙起源説から来ていると推測するファンもいる。
関連タグ
ファントム ロイミュード:仮面ライダーウィザード、仮面ライダードライブに登場する怪人。人間の姿と記憶をコピーし成り変わる点が似ているが、ワームのようにコピー元の自我の影響を受けることは少ない。
T-1000:こちらも同じく、姿、声などをコピーし、コピーした人を殺害すると言った点では共通している。ただしこちらは本人の記憶・知識まではコピーする事は不可能。
エボルト:こちらも地球外生命体。『ジオウ』で隕石突撃の際にビルドアーマーが使用されたのも恐らくコイツへのオマージュ。
ダークフォール、ネガティブシンジケート:ニチアサ同期の敵対勢力。