「わたしの名は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん。ただのセールスマンじゃございません。
わたしの取り扱う品物は“ココロ”、“人間のココロ”でございます。」
概要
セールスマンの喪黒福造が、『ココロのスキマ、お埋めします』と称し、困っている人間を救済する話。
1968年の読み切り作品『黒ィせぇるすまん』が発表され、時代を先駆けしたブラックユーモアが好評につき1969年から2年間連載された(「愛…しりそめし頃に…」ほか参照)。これらの『黒ィせぇるすまん』が原点となっており(藤子不二雄名義)、当時の単行本もこの表記だった。後述する1989年のアニメ化をきっかけに『笑ゥせぇるすまん』に改題された。
特徴
喪黒は忠告するタブーを守ることを交換条件に客の願いを叶えるが、最終的には客が欲に溺れたり、自我に負けてタブーを破ってしまい、酷い目に遭うというオチがほとんどである。
そのブラックな内容は喪黒の不気味な容姿も相俟って読者にトラウマを植えつけた。
一見すると単なるブラックジョーク作品だが、セールスマンを扱っていることや、それに関わる人間の末路を描くことで「うまい話には裏がある」「自制心が薄れ欲に溺れると元よりかえって酷いことになる」というテーマを提示した寓話的な内容になっている。
彼との警告や約束を守らない人間の自業自得もあるとはいえ(中には上司の理不尽なパワハラや人間関係のトラブルに巻き込まれ、彼との約束を守りたくても守れなかったエピソードも多々あった)、彼と関わった人間は遅かれ早かれ全く碌な目に遭わず、最悪な場合社会的にも実質的にも死亡することも無きにしも非ずなので、彼は結果的に救世主や福の神どころか疫病神や死神にもなっている。それが上記のトラウマの最大な要因にもなっている。
彼が人間に対してやっている仕事(セールス)というのは、『ココロのスキマを埋めると称して、サービスや不思議アイテムを提供し、お金を貰う代わりに社会的地位や実質的生命を顧客から代償として頂戴している』ことである。
とどのつまり、彼にロックオンされた人間は、不幸になるまで彼にずっとストーキングされまくり、人生完全に詰んだと思ってほぼ間違いないだろう。
ストーリーとしては、「わたしがあなたの心の隙間を埋められるようにお手伝いします」と言ってサービスや不思議アイテムを提供し、顧客が彼のサービスに満足している時には「ただし、あなたはoooしてはいけません。わたしの忠告を破ると後でとんでもないことになってしまいますよ」と警告し顧客が欲に溺れて彼の忠告を案の定破ると、「あなたはXXXしましたね。惚けても駄目です。あなたはわたしとの約束を破りました。それなら行き着く処まで行ってもらいましょう。ダーーーーーーーーーーーン!」と顧客に催眠術をかけるというのがこの作品の一連の流れである。
そして最終的に不幸になったり、最悪社会的にも実質的にも死亡した後は、事の顚末をぶつくさ解説して「ホーホッホッホッホッ」と高笑いしてエピソードを締めくくるのがお約束である。
ただしワーストエンドなエピソードばかりが90%を優に超える当作品だが、彼のアドバイスを参考にして自らの利発や機転を利かして、今までの人生を捨てて新たな人生を模索した人間や、彼との約束をしっかりと守った無欲で誠実な人間はハッピーエンドで締めくくったというエピソードもごく僅かながらにしてある。
因みに、当作品が他作品と一線を画している最も大きな要因は、主人公の彼以外のキャラクターが全てゲストキャラクターやモブキャラクターであり、彼自身も人間に厄災を与える鬼畜キャラクター(ただし、ダークヒーロー及び鬼畜ヒーローでもある)であり、ヒーローとヒロインはおろか、彼以外に作品の顔とも呼べるレギュラーキャラクターが良くも悪くも全く存在しない最も稀有な作品だからである(同じ漫画家の作品でも、①②③④⑤⑥⑦⑧⑨には主人公以外にも作品の顔とも呼べるレギュラーキャラクターがしっかり存在している)。
アニメ化・実写化もされており、アニメ版では大平透が、実写版では伊東四朗が喪黒福造役を務めた。共に屈指なハマリ役とファンからも好評である。
因みに原作漫画も大好評ゆえに続編はモチロンの事。
赤塚不二夫の追悼ゆえかなんと『まんが道』のトキワ荘が舞台になる話がある。
他には喪黒を、少年に置き換え荒鷲を相棒に連れて歩く『クロベエ』
彼の実弟が活躍する『喪黒福次郎の仕事』なる外伝作品がある。
ファンの間での評判
上記のような黒い内容から、みんなのトラウマとして記憶している読者が多い。
ただ、最近では喪黒福造の容姿に対し「可愛い(キモかわいい?)」と思っているユーザーも多いようで、一部では「モグタン」の愛称で親しまれている。
登場人物
- 主人公:喪黒福造(CV:大平透(昭和版)/玄田哲章(2017年版)/演:伊東四朗)
- モブ:バー「魔の巣」マスター(演:藤村俊二)
- ゲスト:白金(CV:大木民夫)
- 同上:鬼田(CV:加藤精三)
- 同上:茂手内蛾次郎(CV:山口勝平)
アニメ
1989年10月17日~1990年9月25日、1991年3月12日~1992年3月24日、同年7月7日~9月29日まで全103話が放送された。
TBS系列で放送された2時間バラエティ番組『ギミア・ぶれいく』の番組内ミニアニメというスタイルで放送された。ちなみに、毎回ゲストキャラクターの声優も豪華だった。
単体ではTBSチャンネル1・2、TOKYO MX、チューリップテレビで再放送されたことがある。
なお、TOKYO MXおよびチューリップテレビにおける単体再放送は、後述の再アニメ化絡み。
TBS版では、100話以上を放送した関係上、原作エピソードのストック枯渇を避けるためか、アニメオリジナルストーリーに加えて、別作品からのストーリーを転用するという工夫がなされた。また、作者が『プロゴルファー猿』という作品を書いていた事に因んでか、ゴルフの描写がやたら多い。
上述したワニオ&今仁見手郎らは、元は『クロベエ』なるマンガ作品に登場するキャラクターである。
2017年4月-6月期作品として、『笑ゥせぇるすまんNEW』というタイトルで再アニメ化。
喪黒の声は大平氏が生前に後任として指名していた玄田哲章氏が務めた。大平氏に比べるとやや高い声だったがさほどの違和感は無く、概ね好評だった。
TOKYO MX、読売テレビ、BS11、アニマックス、チューリップテレビで放送。また、ミヤギテレビでも他のネット局とは約1ヶ月遅れで放送。
なお、TOKYO MX、読売テレビ、BS11では「あにめのめ」枠で放送。
おまけにチューリップテレビではミニアニメ版を1991年3月12日放送分から放送していた実績がある。
TV放送の他にはニコニコ動画、GYAO!、バンダイチャンネル、abemaTVなどでも配信された。
現在、各配信サイトでは第1話のみ無料配信中である。また昭和版も配信されている。
主題歌
ギミア・ぶれいく版(ミニアニメ版)
ただし特番・再放送時のみしか放送されていない。
オープニングテーマ「孤独の唄」
作詞 - 藤子不二雄Ⓐ / 作曲 - 伊藤薫 / 編曲 - 桜庭伸幸 / 歌 - 梅沢富美男
エンディングテーマ「ココロの唄」
作詞 - 藤子不二雄Ⓐ / 作曲 - 伊藤薫 / 歌 - 梅沢富美男
リメイク版「笑ゥせぇるすまんNEW」
オープニングテーマ「Don't」
作詞・作曲・歌 - NakamuraEmi / 編曲 - カワムラヒロシ
エンディングテーマ「ドーン!やられちゃった節」
作詞 - マイクスギヤマ / 作曲・編曲 - 前田憲男 / 歌 - 高田純次
ゲストで出演したことのある声優
1989年版
※エピソード数上ゲストキャストの数が多いため、喪黒の顧客のCVを務めた声優のみを記載(順不同)。
柴田秀勝、堀内賢雄、関俊彦、松本保典、結城比呂、田原アルノ、橋本晃一(顧客役では一番の出演)、水島裕、冬馬由美、佐久間レイ、日高のり子、渕崎ゆり子、桜井敏治、沼田祐介、難波圭一、堀川亮、大塚芳忠、小林清志、藤本譲、田口昂、山口勝平、増岡弘、麦人、鈴木清信、北村弘一、野本礼三、内海賢二、石森達幸、池水通洋、納谷六朗、塩屋翼、塩屋浩三、広瀬正志、速水奨、島香裕、富田耕生、田中秀幸、屋良有作、幹本雄之、江原正士、土師孝也、徳丸完、高木渉、上田敏也、二又一成、阪脩、キートン山田、肝付兼太、西村智博、石丸博也、津久井教生、菅原淳一、宮内幸平、塚田正昭、竹村拓、中村大樹、西川幾雄、青森伸、島田彰、中庸助、松井菜桜子、田中真弓、松岡洋子、島津冴子、荘真由美、浦和めぐみ、速水圭、青野武、吉村よう、田中和実、塩沢兼人、平野正人、目黒光祐、柏倉つとむ、拡森信吾、巻島直樹、藤原啓治、堀之紀、荒川太郎、村松康雄、西尾徳、岸野一彦、菊池英博...etc.
NEW
第2話『温泉奇行』関俊彦/『マボロシガイシャ』斉藤壮馬
第3話『弁当戦争』宮田幸季/『ああ、愛しの583系』金谷ヒデユキ
第4話『プラットホームの女』羽多野渉/『歩行者天国』三木眞一郎
第6話『かいぶつかします』三宅健太/『今夜も最高』西山宏太朗
第9話『懐かしの銭湯ツアー』杉田智和/『研究者はユウウツ』子安武人
第10話『拾ったフィルムのヒト』杉山紀彰/『ウソ孫』中尾隆聖
第11話『破滅症患者』津田健次郎/『私はアイドル』井上喜久子&井上ほの花
第12話『チャットルームの王様』鈴木達央/『ニッポン海外旅行』水樹奈々
なおNEWでは、1~11話まではAパートは原作もしくは旧アニメのエピソードのリメイクで、Bパートは新作となっている、新作は現在の時事ネタ等が多い。最終話である12話だけ逆になっている。
エピソード一覧
※記事の存在するエピソードのみ記載
原作 | 旧アニメ | NEW | ドラマ | サブタイトル |
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SALE1 | 第3話 | - | - | ともだち屋 |
SALE3 | 第4話 | 第7話 | SALE3 | 化けた男 |
SALE6 | 第17話 | - | - | チ漢さん |
SALE9 | 第1話 | - | SALE10 | たのもしい顔 |
SALE10 | 第9話 | 第4話 | - | プラットホームの女 |
SALE11 | 第11話 | - | - | 押入れ男 |
SALE14 | 第12話 | 第1話 | - | 白昼夢 |
SALE33 | - | 第8話 | - | 夢に追われる男 |
- | 第70話 | - | - | はしご酒 |
SALE34 | 第79話 | 第5話 | - | 日曜クラブ |
SALE35 | 第81話 | - | SALE8 | マンガニア |
- | 第86話 | - | - | 妖しいアンティーク1 MIRROR |
SALE38 | 第87話 | - | - | 妖しいアンティーク2 DOLL |
SALE45 | 第105話 | - | - | 社長幼稚園 |
SALE50 | 第125話 | - | - | オールド・シネマ・パラダイス |
ドラマ
1999年6月24日~9月18日まで、土曜20:00-20:54に、テレビ朝日系列24局で放送された。
関連イラスト
笑ゥせぇるすまん
笑ゥせぇるすまんとのコラボ絵
関連動画
プロローグ
関連タグ
みんなのトラウマ 嫌な予感しかしない ハッピーエンド ワーストエンド ビターエンド
ダークヒーロー 鬼畜ヒーロー 世にも奇妙な物語 犬時間 赤い箱のお兄さん 2017年春アニメ
安元洋貴:ソロでやっているラジオ番組の中に『安元洋貴の笑われるセールスマン(仮)』という本作を意識していると思われるタイトルの番組がある。
関連類似作品
- 謎の老婆(週刊ストーリーランド)
- シリーズの作風が類似している。ちなみにこちらの出演者の中には、昭和版でゲスト出演した事のある声優や後にリメイク版にゲスト出演する事となる声優もいる。
- 魔石商ラピス・ラズリ
- 謎の魔石商ラピス・ラズリに、対価と引き換えに自分の欲望をかなえるすべを与えられた人間たちが次々と破滅していく」というプロットで、対価を必要とする点以外は「笑うせぇるすまん」をほぼ踏襲した作品。
- 一方、こちらの場合、主人公は最初から客の破滅を目的として動いているため、客がどんな悲惨な目に合おうと救いの手を差し伸べることは一切しない。そればかりか、バッドエンドを迎えて絶望真っただ中な客の目の前にここぞとばかりに現れて絶望を煽り立てるという外道な行為に及ぶあたり、喪黒より鬼畜。
- ただし、その所業の根底には決して悪と断じきれない重い過去があり、最終回で意外な結末を迎えることになる。
- ショコラの魔法&極楽!!めちゃモテ委員長&ブラックアリス&蜘蛛女
- 人間回収車
- 不要な人間として回収された者の末路を見届ける謎の運転者さんの立場が、喪黒とどこか類似している。
- 魔法少女サイト
- 不幸な少女が謎のWebサイトから与えられる魔法のステッキを手にして魔法少女となるが、その能力と使い方次第で更なる不幸が待ち構えることになる。寧ろ『DEATH NOTE』と類似しているところがあるものの、ステッキを与えるサイト管理人はおかめやひょっとこ等と喪黒のように不気味な風貌をした者達が多い。
- おねがいマイメロディ
- クロミの悪夢魔法によって夢や願いを叶えてもらうものの、その殆どが悲惨な形になってしまう。それが満足か不満なのかは魔法をかけられた当人によるが、マイメロディの魔法がクロミの魔法を解いて解決することになる。
- 遊戯王
- ふしぎ駄菓子屋_銭天堂
- 幸運な人だけが辿り着ける不思議な駄菓子屋「銭天堂」が舞台の児童文学。店主の紅子のポジションは喪黒と類似。「本日の駄菓子」を正しく使えば客の悩みを解決させられるが、食べ方や使い方を間違えたり客が悪人だったりした場合は酷い目に遭ってしまう。基本的にハッピーエンドを辿るので本作品とは対照的だが、稀に本作品並みのトラウマエンドで終わる事も…。
- 魔女の旅々
- こちらは主人公がゲストから依頼を受けて魔法を使い基本的にハッピーエンドに導いたりするのだが、逆に五味が悪いワーストエンドも迎え本作のようなルールを破った「しっぺ返し」によるものであり、一方で『遡る嘆き』のようなこれとは別の本作同様の救いが無いトラウマ回も存在。