一ノ瀬宝太郎
いちのせほうたろう
「けったいとは失礼な!俺は最高のガッチャを探し求めてるんだ!」
「俺は見たいんだ!未来を……人とケミーが一緒に自由に生きられる未来を!!」
「皆の声がある限り、仮面ライダーは負けない…!誰かを守りたい気持ちがあるから、何度でも立ち上がれるんだ!!」
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダーガッチャード』の主人公。
富良洲高校に通う、17歳の普通の高校2年生(第30話で高校3年生に進級)。加治木涼とメインヒロインの九堂りんねはクラスメイト。勉強はできないが、運動は得意(冬映画では、期末テストで全教科赤点レベルの点数を叩き出してしまい、その件で母・珠美と喧嘩してしまった)。
第34話で補習を受けていたため、冬映画での2学期の期末テストの点数を含めても進級はとてもギリギリだったようである。
難しい単語(特に長いカタカナの名称)を覚えることも苦手なようで、タイクーンケミーを「たくあんケミー」、ホムンクルスを「ハムのくんせい」、ハンドレッドを「パンナコッタかナンノコッタか知らないけど…!」と間違えていた。さすがにハンドレッドは覚えておいてほしいところだが…。
ガッチャードライバーとライドケミーカードを使い、仮面ライダーガッチャードに変身する。
口癖は「ガッチャ!」(動詞のように「ガッチャする」と言うこともある)。何かやらかしたときや上手く行かないときは「ノーガッチャ」、「オーマイガッチャ」と言っている。
銀杏蓮華からは「お宝ちゃん」と呼ばれている。
人物像
定食屋を女手一つで切り盛りする母・珠美の手伝いを最優先する孝行者の好青年。
「自分だけの何か=ガッチャ」を探し求めており、本当にやりたいことをまだ見つけられていない。店の厨房を利用して創作料理を作るなど毎日「ガッチャ」を探し続けている。そのためクラスメイトからも「変わり者」と思われている。
平和な日常を送っていたが、ある日バッタのケミー・ホッパー1と出会い、そしてホッパー1とスチームライナーにウロボロス界へと連れられ九堂風雅からガッチャードライバーとライドケミーカードを託されたことで、「仮面ライダー」となった。
そして錬金術へガッチャを見出し、錬金アカデミーへ入学。「全てのケミーと仲良くできる世界」と「大物錬金術師」を夢にマルガム退治へと参加していく。
『ガッチャ大作戦』での夢の世界では白いスーツを身に纏い大物錬金術師となった姿が描かれている(あくまでもこれは宝太郎のイメージによる物だが)。
性格
好奇心旺盛かつ明るく前向きな性格でテンションは高め。それに加え人を思いやる優しさも持ち合わせているため、他人に対して壁がある人物や子供ともすぐに仲良くなれる。
そんな優しさと共に自分の信じることを貫く姿勢や型破りな一面もあり、納得のいかないルールや掟に関しては疑問を呈したり、誰かのために破ってしまうこともある。
しかし、修学旅行に向かう際ケミー達を留守番させるなど変なところで真面目。
「ガッチャ」を探すことに関して本人は至って真剣だが、周囲からはやる気がなくフワフワしているように見られることも多く、クラスメイトからはからかわれることもあり、りんねからは度々呆れられている。
また、意外と根に持つタイプなのか馬鹿にされた相手(主に黒鉄スパナや英寿など)に対しては「一言文句言ってやらなきゃ!」と後をつけたりする一面もある。
自分に冷たい態度をとった人や先程までマルガムだった悪人であっても命の危険が迫った際には、身を呈して庇ったり、必死に助けようとする上、自分を散々痛めつけた相手であってもその人物を躊躇無く消し去るような行為に対しては「命をなんだと思ってるんだよ!」と激昂するなど、ライダー主人公に相応しい、どんな相手や命も大切に思う確かな正義の精神の持ち主であるとも言える。
因みに料理の腕に関しては、見た目こそ非常に美味しそうだが、りんねには「微妙」と評価をされたり、スパナには「まずい」「食えたもんじゃない」と酷評され(と言いつつもスパナはなんだかんだ完食した)、果てには、クロスウィザードやケルベロスマルガムにも微妙な反応をされる始末で特に後者は微妙な反応をされた挙げ句に雑に捨てられる等、あまり味の評価はよろしくない模様。
父親は冒険家として海外を渡り歩いており、全く帰ってこない。元々は定食屋も彼が始めたものだが、新しい夢を見つけて旅立ってしまったため、自分勝手にも見える父親には悪感情こそないものの、流石に思うところがある様子。
新米錬金術師兼仮面ライダーとして
ケミーへのスタンスは一緒に戦う仲間や対等の友達であり、そのため危険であることは理解しつつも、彼らと一緒に進む未来を目指すようになる。
その理想が先行する様子を見て、枝見鏡花は「お気楽ボーイ」と評しているが、彼自身の理想そのものは否定していない。
錬金術師としては日が浅く、錬金アカデミー入学試験の際にカマンティスとオドリッパの「質量の違う2枚のライドケミーカードの重さを釣り合わせる」という課題に対して、カマンティスには太ってもらいオドリッパには痩せてもらうという理論ガン無視の規格外なやり方で通る、仮面ライダーになって日も浅いため荒事には慣れておらず、生身でスパナに押される、ケミーと仲良くなるために錬金アカデミーへ入学したは良いが舞い上がってしまい、そのせいで自分はおろか一般市民も危険に晒してしまうなど、まだまだ未熟な面が散見される。
なお、ニジゴンによれば本来特別な錬金術師の家系でもない宝太郎にはたまたま風雅からベルトを授けられただけで特別な錬金術の才能はないと言及されており、劇中ではガッチャーイグナイターまでドライバーの力なしで何かを錬成したことがなかったことからもそれは見受けられる。
実際、指輪を用いたアカデミー生の錬金術という点に限っては独自にアイテムを開発して見せた錆丸や武器をその場で錬成できる蓮華らには一歩劣る模様。
第42話では決戦兵器としてウゴケナクナール溶液をビーカーで錬成するも、錆丸と蓮華の喧嘩に巻き込まれて溶液がりんねにかかってしまうという最悪な形でその成果を見せてしまう。後に最終決戦で、先輩ズが一般人に襲いかかっているドレットルーパー軍式に対してバズーカの弾として応用したことで結果を出している。
しかし、上記の入学試験時のような既存のルールに囚われない発想力、マルガムとの初敗北で己を顧みてアッパレブシドーに認められるために道場で竹刀を素振りしたりするなど、努力家な一面を見せており、決して遊び半分ではなく、自分のやりたいことに妥協せず真剣に取り組んでいる。総じて成長の余地がある未完成の少年と評価される。
スパナには料理の腕も錬金術師としても全部負けてる事は本人としては不覚ながらも認めており、いつの日か追い越して見返すことを新たな目標として定める。
ちなみに肝心の戦闘能力に関してはベルトとりんねの人質交換でケミーライザーにカードを挿入した状態で渡したり、戦う相手が同情の余地のない悪人なので、基本的に敵を圧倒するのに躊躇や容赦が無かったり(対峙したマルガムは三姉妹含め反撃すらさせずに撃破まで追い込んでいる)と未経験の割には異様に力を使いこなしており、上記の柔軟な発想力と合わせることで足りない戦闘経験を補っている(この部分はスパナも不本意ながら認めている様子)。
特にケミーの力を状況に合わせて使う判断力は極めて優れており、戦闘経験のない序盤においても複数のケミーを瞬時に判断して使い分けることで多くのマルガムを返り討ちにしてきた。特にプラチナガッチャードの力を手に入れてからは更に磨きがかかり、本人の戦闘経験の蓄積も相まってか錬金術師としても熟練の域にまで達している。
第48話では、冥黒王ガエリヤの作り出した部屋に入るためにガエリヤが用意したゲームに必要な道具しか干渉できないという盲点を突いてニジゴンのレインボーブレスで突破すると見せかけてバレットチョウチョワイルドになってゲームに使う銃に擬態して風雅を救い出すという上級錬金術師の域にまで到達している。
ハイパーバトルビデオにてホッパー1の写真が貼られた錬金術ノートに自分が出会ったケミー達の特性を詳しく纏めていることが判明した。
転機
自分なりのガッチャを求め、描いた夢や理想に向かって走り続ける純粋な姿勢はケミーだけでなく、りんねたちにも良い影響を与えていたが、第12話にて恐るべき試練が立ちはだかる。
これまでの人間とは違う、力に魅入られた人間の狂気。錆丸が変身させられてしまった仮面ライダードレッドから向けられる無機質な殺意。
生まれて初めて死を意識するほど心身共に完膚なきまで傷付いた上に敗走し、スパナから錬金術師の厳しい現実を叩き付けられたことでやり場のない怒りと後悔に打ちひしがれるも、これまでの日常や夢を諦めない宝太郎は錆丸の救出を改めて決意するのだった。
しかし、ユーフォーエックスから授かったエクスガッチャリバーの真の使用方法が分からず、英語の授業中に居眠りをして「エクスガッチャリバーで錆丸ごとドレッドを斬ってしまい錆丸が消滅してしまう」悪夢を見る、キッチンいちのせの常連客がいつも頼むメニューを忘れてしまい別の客の所に置いてしまうなどその憔悴っぷりは目に見えて明らかだった。
そんな状態の中でも宝太郎はエクスガッチャリバーの真価が錆丸を救う鍵だと信じ、その方法を見つけるため、直接ユーフォーエックスと接触して聞き出そうとし、りんね、加治木、蓮華、ミナト先生の協力を得てついにユーフォーエックスと接触。相互理解を経てユーフォーエックスからその使用方法を教えてもらいレベルナンバー10のケミーを仲間にすることに成功し、ユーフォーエックスの力を借りて仮面ライダースーパーガッチャード・クロスユーフォーエックスへと変身。
その力でドレッドを撃破し、錆丸の救出を果たしたのだった。そして、レベルナンバー10のケミーを仲間にしたことで自信がついた宝太郎は改めて全てのケミーと仲間になる決意を固めた。
続く第14話、第15話ではエックスレックスと相互理解を経て仲間となり、クロスエックスレックスに変身。りんね達錬金アカデミーの仲間や交流を深めた人たちの想いを受け取り、仮面ライダーガッチャードの真価を理解すると敵であるクロトーをも救い出してドレッドを撃破した。
しかし、エックスレックスから覗かれた記憶にはホッパー1と仲良く遊んでいる幼い頃の自分が映っていたが果たして…。
『最強ケミー★ガッチャ大作戦』では、前代未聞とも言える複数のレベルナンバー10による多重錬成を果たし、仮面ライダースターガッチャードに変身。ギーツと共に黒幕へ挑む(第16話での前回のあらすじにも登場)。
第16話では、オロチマルガムによって仲間や街の人々が石化され自身も追い詰められる中、見たことの無いオレンジ色のガッチャード、仮面ライダーガッチャードデイブレイクが現れ、「俺に全てを任せるか、お前が未来を掴むか」と突然選択を迫られる。宝太郎は立ち上がり「自分の力で未来をガッチャする」と決意を固め再変身。オロチマルガムを撃破して石化した仲間や街の人々を元に戻した。
続く第17話では、ムーンマルガムに苦戦していたところを再びデイブレイクに助けられ、今の宝太郎ではムーンマルガムを倒せないことを突きつけられ、同時にこれから起こりうる未来を宣告される。その言葉通り恩師として信じていたミナトが裏切り、錬金アカデミーも冥黒の三姉妹に占拠されてしまった。
新学期も始まるが、記憶改変の影響かミナトが学校に居ないことになっており、新しい世界史の先生の言葉がミナトの声に聴こえる等錆丸がドレッドにされた時以上に憔悴していた。白紙に戻った進路調査票を眺めて立ち尽くしている時にムーンマルガムが現れ、錆丸達が影に囚われていたことに動揺している間にりんねも囚われてしまう。乱入したデイブレイクと共に交戦するも撃破には至らずまたもや取り逃がしてしまう。状況を打破するためにデイブレイクからガッチャーイグナイターを託されるもそれを拒否し「助けられるだけでなく自分の力は自分の手でガッチャしたい」という意志を宣言する。
そして、ガッチャーイグナイターの錬成の鍵となる「宝物」を手にするためデイブレイクタイムロードの力で過去の世界に送られる。
紆余曲折を経て過去の自分が錬金術で生み出したゴーグルを譲渡してもらうが、過去の自分と接触したことでデイブレイクタイムロードが限界に近づいていたようで現代に戻される。現代に戻ると、自身とケミーの友情を再確認すると共にグリオンを止めるべく覚悟を決め、宝物のゴーグルを媒介にガッチャーイグナイターを錬成する。
「いつでもみんなを助けられる、希望を照らすメラメラのガッチャードに俺はなりたい!...いや、なってやる!!」
そして、デイブレイクも知らない新たな姿ファイヤーガッチャードに変身し、ムーンマルガムを撃破することに成功した。
デイブレイクが帰還した後、戦いが終わって救出されたりんね、錆丸、蓮華と共にミナトや錬金連合と関係ない新たな組織「キッチンいちのせ連合」を結成。再び大物錬金術師となる夢を掲げ、グリオンを倒すため再始動した。
プテラノドンマルガムによってスチームライナー以外のカードが奪われたことでガッチャードに変身出来なくなってしまい、対処をスパナとりんねに任せ一時撤退。鏡花にスチームライナーだけで戦えないか相談したところ禁術を使う事を提案されるも、宝太郎の身体にとてつもない負担がかかる為に他の方法を模索する中、宝太郎達の目の前に九堂風雅が現れる。
風雅の助けも借りて何とかスチームライナーをテンライナーに再錬成させることに成功し、仮面ライダーアイアンガッチャードに変身。古代錬金術による驚異の力でプテラノドンマルガムを撃破したが、禁術の力に体がついていけずテンライナーもスチームライナーに戻ったことで変身が解け気絶してしまう。
その後、自宅で休養する中で風雅と鏡花からミナトの過去を知り、安静を言い渡されたにもかかわらずボロボロの体に鞭を打って戦場に向かい、ミナトを止めるために説得を試みた。宝太郎達の言葉で迷いを見せたミナトの一瞬のスキをついてワープテラの力も借りた「アイアンナックルフィーバー」でミナトを撃破。技の反動で倒れかけた所をりんねとスパナに支えられミナトに戻ってくるよう諭すも、過去の事が頭によぎりミナトはその場から去ってしまった。
前回の戦いで連戦でアイアンガッチャードに変身した反動でまともに動けずにいたため自室で休んでいたが、「今はやるべきことをやっていたい」と自身を心配する蓮華達に告げて食堂の手伝いに乗り出し、一通り落ち着いたタイミングで眠るように休んだ。
直後、鏡花からドラゴンマルガムが現れたと連絡を受けて現場に向かい、苦戦するスパナに加勢しようとしたがりんねに「一ノ瀬は最後の切り札だから」と制止されしばらく静観していた。しかし、始祖のケミーであるドラゴナロスの力を持つドラゴンマルガムに苦戦を強いられてる二人を見て焦ったのか変身して加勢するも、まだ体力が回復しきっていない上にレベルナンバー10ケミーとしての格の差を見せつけられ変身解除に追い込まれる。絶体絶命に陥ったその時、仮面ライダーウインドに変身した風雅の加勢により難を逃れる。
ウインドによってドラゴンマルガムは撃破されるが、変身解除した隙を狙ったグリオンの手で風雅は致命傷を負い。グリオンの真の目的を宝太郎達に伝えると共に消滅してしまった(尚、消滅したのは本体ではなく錬金術で造った義体である)。
そしてグリオンの野望を止めるべく、一同はテンライナーに乗ってウロボロス界に向かうのだった。
ウロボロス界にて、スパナ、りんねとともにグリオンが変身した仮面ライダードレッド弐式に立ち向かい、互角の戦いを繰り広げるが、本気を出したグリオンが仮面ライダードレッド参式へと変身したことで圧倒され、変身解除に追い込まれただけでなく、「暗黒の扉」を開く鍵となるガッチャードライバーを奪われてしまう。
しかし、それでも諦めない宝太郎はグリオンの野望を 「ちっぽけだな。そんなものがグリオン、お前のガッチャかよ!」と一蹴、その発言に怒ったグリオンが錬成した剣でトドメを刺そうとしたが、それを間一髪ミナトが阻止。りんね、スパナもそれに加わり、宝太郎はケミー達の元へ向かう。
「しっかりしろぉぉぉっ!!俺は知ってる!お前達には無限の可能性があることを!」
この決死の叫びにより、その想いに応えたホッパー1がクロスウィザードらレベルナンバー10のケミー達の力を借りてクロスホッパーへと覚醒。儀式を強制的に終了させることに成功した。
自身の予想外の事態に動揺し怒りが頂点に達したグリオンに対し、仮面ライダープラチナガッチャードへと変身しドレッド参式を圧倒、撃破した。
過去
エックスレックスに覗かれた記憶の正体…それは10年前に何らかの形でウロボロス界に迷い込んでしまいケミー達と遊んでいたこと、その際にグリオンと風雅の戦いに巻き込まれ、その被害からケミー達を守るため果敢に身を呈して守ろうとしたこと、その姿を見た風雅からこれ以上戦いに巻き込まないように記憶を消去されたという彼の失われた記憶だった。
更なる試練
- 第36,37,38話
りんねや錆丸から「黄金の丘」に関するおとぎ話を聞いた事で創作料理の意欲が湧き、食材調達へと出かけた。その道中、八百屋で偶然タイムロードを発見し封印した。その際にタイムロードが何かを伝えようとしているのに気づいたが、ギギストの空間転移に巻き込まれると同時に体内に手を差し込まれる。ギギストの狙いは宝太郎の体内に眠る謎の卵でそれを強引に奪い取ろうとしたものの、拒絶されたことで事なきを得た。
しかし、その衝撃で散乱したケミーカードのうち、スケボーズとアントルーパーを奪われ、スケボーズはそのままカードごと握りつぶされてスケボーズマルガムへと変貌してしまう。
「なんだ、この違和感… このまま戦っていいのか……?」
変身して交戦する最中、いつもの戦闘とは異なる違和感を直感で感じ取っていたが、追い詰められた錆丸や蓮華を守るため咄嗟にゴキゲンメテオンの能力を使用した「プラチナシュートフィーバー」でスケボーズマルガムを撃破した。いつものようにカードをかざして再封印しようとするが反応はなく、スケボーズは白色化し生体反応を失ってしまった…。
そんなスケボーズを錬金アカデミーへと運び鏡花に診てもらおうとしたが、鏡花は「撃破したケミーを滅ぼす」特殊な錬金術の跡があることを知らせ、手を尽くせないと告げた。スケボーズを手にかけてしまったことを後悔する自身を心配し駆け寄るホッパー1に対しては「今は遊んでやれそうにない…」と静かに返し、そのまま帰宅。落ち込んだ様子を見た母・珠美はパンケーキを食べさせて、彼を励ました。その言葉を受けてホッパー1に謝罪しようとしたが、リュックを探しても見当たらない。実はホッパー1は既にリュックから抜け出し旅に出ていた。
ホッパー1を捜索していた最中、りんねの悲鳴を聞いてその場に駆けつけると、アントルーパーが変貌したアントルーパーマルガムに苦戦する仲間達の姿を目の当たりにした。りんね達を助けようとドライバーを構えるも、スケボーズの一件がフラッシュバックしてしまい一度は戦いを躊躇してしまう。その間にりんねが変身解除に追い込まれるのを見て覚悟を決め、ライトニングジャングルで応戦。しかし、再び仲間を失いたくない思いから手を出せず防戦一方となってしまうが、スパナとミナトの救援によりアントルーパーマルガムは撃破され、アントルーパーは回収されたもののやはり白色化し生体反応を失ってしまった。
その直後、ホッパー1が黄色い花を携えて駆け寄ろうとしたがそこにギギストが降臨、ホッパー1の抵抗も空しくマルガムへと変貌させてしまう。
病み上がりのスパナを圧倒したホッパー1マルガムを止めようと生身で立ち向かい説得を試みたところ、一度は攻撃を止めることに成功した。しかし、避難し損ねた親子にホッパー1マルガムが襲いかかったため、やむを得ずアイアンガッチャードに変身してホッパー1マルガムを撃破。
図らずも自分の相棒にして最高の友達を手にかけてしまった(それもかつてホッパー1達を取り戻すために得たアイアンガッチャードの力で)。動かなくなったホッパー1を抱えた時、落ちた黄色い花を見て、おとぎ話を聞いたホッパー1が自分を励まそうとしていたことを悟った。
「黄色い花…もしかして、俺を笑わせるために………?あっ…あ……ああっ…!!うわああああーっ!!!」
同時に今までの思い出が次々と駆け巡り、自身が招いてしまった深い絶望と親友を失った悲しみに心が押し潰され、慟哭を上げる。ギギストによって禍々しい冥黒のオーラに包まれるが、その直後突如として彼を包むように卵が現れ何処かへと消えてしまった。
卵の中で失意に暮れる中、その卵が自身の名前を呼んでいるのを耳にする。
「ごめん………ホッパー1…ごめん…!ごめん…!!」
「宝太郎!」
卵は宝太郎に対し「ここは安全だ」「君もケミー達も十分頑張った」と慰め、ドライバーを託されただけの高校生である彼が先頭を切って傷つく必要はないと語る。
だが、その本音は、同胞であるケミーがマルガムと化し、命を踏み躙られて傷つく様を見て来たことで、自分も同じようになるのが怖い、だから生まれたくないという弱音だった。
そんな卵に、宝太郎は自分の心象風景を映し出した自宅の中、得意料理を作りながら卵ことタマゴンに語る。
「外の世界には、怖いことや悲しいこともある。でも、こうやってオムライス作るみたいに、色んな人とケミーが混ざり合って、最高のガッチャが生まれることだってある」
「俺は、ホッパー1達のことだって諦めない。まだ誰も知らない錬金術を見つけて、復活させてみせるよ。例え何万回失敗したって、いつか必ずガッチャする」
「次は、俺が君のガッチャを叶える番だ」
これまで、ガッチャードライバーの中から自分を守ってくれた名も知らぬケミーに、今度は自分が守る番だと宣言する。
「今度こそ……ケミーも人も誰も傷つかない、皆の心が大空みたいに晴れ渡る、未来のガッチャを俺が作ってみせる! だから、一緒にいこう!」
タマゴン「……いいだろう、一ノ瀬宝太郎。君を信じる!」
その意志に応えることを決めた卵はライドケミーカードに変化し、外界に出ると同時に孵化。ニジゴンとして誕生した。
そして宝太郎は仮面ライダーレインボーガッチャードへの変身を成し遂げ、ファンタスティックマルガムと交戦。卵の中での対話を経て「錬金術は料理と同じ」とコツを掴んだようで、あらゆる物体を再錬成させる術を駆使して優位に立ち、最後はレインボーフィーバーでファンタスティックマルガムを撃破。取り込まれたケミー達も活動停止することなく救出することに成功した。
そして、レインボーガッチャード変身時に発した光を受けて復活したホッパー1達と再会。黄色い花を新しい宝物として受け取り、喜びを嚙み締めるのだった。
『ザ・フューチャー・デイブレイク』では突如来襲してきたドレットルーパー軍式との戦いでかつて自分を何度も窮地から救ってくれたデイブレイク(未来の自分)がピンチに陥っていることを知り、かつて自身を助けてくれた恩を返すため、りんね(とちゃっかり付いてきた加治木)と共にギガントライナーの力で未来世界へと移動する。
未来世界で既に内心勝つことを諦めていたデイブレイクに必死に呼びかけを行うも度々衝突するが、最終的にはかつての夢と志を取り戻した未来の自分と共に未来の世界で暴虐の限りを尽くしたグリオンの変身する仮面ライダードラドや冥黒王と激突、「仮面ライダーミラクルガッチャード」へと変身した宝太郎は、見事未来世界をデイブレイク達と共に救出するのだった。
無限の未来へ(最終話ネタバレ注意)
グリオンが冥黒の力を結集したエルドラドライバーで変身する仮面ライダーエルドが現れ、全世界黄金郷化計画が始動。先んじて殺害された姉妹の復讐に失敗し力尽きたクロトーの激励を聞き届けた宝太郎は、最後の決戦に挑む。
しかし、エルドのあまりの力には、ガッチャードの全戦力を持ってしても全く敵わず次々とケミー達が黄金化されていく。レインボーガッチャード、スーパーガッチャード、バットキングロボ、ニードルホーク、プラチナガッチャードと様々なフォームにして果敢に食らいつくガッチャードだったが、遂にテンライナーとクロスホッパーも黄金化された挙げ句ガッチャードライバーすら破壊されてしまう。
最終的には地上を埋め尽くすかの様に現れたドレットルーパー軍式の攻撃を受け、宝太郎も含めた全世界が黄金へと変えられてしまった…。
だが、宝太郎はその強い意思で黄金化された身体でも動き出しなんと自ら黄金化を破って脱出に成功する。そして宝太郎はバラバラになった黄金から新しいドライバーを再錬成し、再び仮面ライダーへと変身する。
『HOPPER1! アルティマ!』
『STEAMLINER! アルティマ!』
「ハアァァァァッ……変身ッ!!」
『ガッチャーンコ!』
『スチームホッパー! アルティマ!』
変身したのは全てのケミーたちの力を結集した新たなるガッチャード、「アルティマスチームホッパー」。土壇場で新たな力を手に入れた宝太郎は、なんとその場で全世界の黄金やドレットルーパーなどを素材に新しい地球を錬成。そのスケールの違いすぎる発想と行動に驚きを隠せないグリオンだったが、宝太郎は改めてその永遠に続く黄金郷を否定する。
グリオン「なんだこれはっ……!?錬金術の歴史にこんな事象は…!!」
「グリオン、お前の錬金術は凄いよ。でもそれは、誰も幸せにならない。だよね?皆!!」
「永遠なんていらない、止まってちゃダメなんだ。どんなことがあったって前に進まなきゃ、未来のガッチャは作れない!」
相容れぬ理想を持つ2人の錬金術師はもう一つの地球で再び熾烈な激戦を繰り広げ、最後には「アルティマフィーバー」と「エル・アブソリュート」のライダーキック対決となる。結果はケミー達が力を貸したガッチャードが勝利した。1人の若き素人錬金術師が、遂に巨悪の根源の野望を打ち砕き大物錬金術師へと相成ったのだ。
数か月後、宝太郎はケミー達が暮らす新たなる地球で、再びケミー達が共に歩める未来を夢見て立ち上がる。人類とケミーが共に歩める未来が来るかはまだ分からない。だが、宝太郎達は決して諦めることなく仲間達と「ガッチャ」を掴むため、これからも進み続けるだろう。
その後、カグヤと共にどこかの建物の屋上を走っていた青年と邂逅。用意したプレゼントの手柄を巡って軽い口論が起きるも、青年が変身したおカシな仮面ライダーが仲裁に入りグミを渡した後去っていった。その後ろ姿を見届け、グミを変身した状態で食べる形で物語は締めくくられた。
本作では遂にりんねや加治木達と共に富良洲高校を卒業(時系列的にはTVシリーズ最終回から数カ月後と思われる)。
学生生活も大詰めになる中、何やら彼女から宝太郎に伝えたいことがあるらしく…?
先行登場
ライドケミーカードの状態のまま跳び回るホッパー1を追いかけていた。そんな彼の姿を見た神様は「幸せになれよ」と呟き、温かく見守っていた。
外伝作品での活躍
ハイパーバトルビデオ
ファイヤマルスとインフェニックスの力でりんねと身体が入れ替わってしまいファイヤマルス達から課せられた2人の心をひとつにして変身という試練をクリアするためにバレーボールやアルプス一万尺等様々な特訓を行うもなかなか息が合わずにいた。
その日もりんねの自宅に帰ろうとしたが部屋に入れたくないと錬金アカデミーで外泊する羽目に。ホッパー1がりんねのかばんを漁った際に落ちた荷物を拾うと、護身術やプロレスの雑誌を見つけ、りんねが裏で努力してることを知る。そして、彼女のことをよく分かってなかったと感じると、その直後、雑誌の中に丁寧に書かれた紙を見つけて「ガッチャ!」と呟いた。
2日目の特訓で息を合わせられるようになると、取りこぼした魔法使いジャマトが合体して誕生したウィザードマルガム(の形をした紛い物)を倒すためりんねと息を合わせて変身。すると、元の体に戻り宝太郎を認めたファイヤマルスとインフェニックスがガッチャンコしたマーズフェニックスに変身。マジェードと息のあった連携を見せ、ダブルライダーキックでウィザードマルガムを撃破。
闘いが終わった後、りんねが紙に書いていたことを見た事をうっかり言ってしまい、ビンタを食らった。
ガッチャニメ
ズキュンパイアに憑依されたときは子犬系男子になっておりスパナとミナトがズッキュンしたときにはツッコミ役にてっししまいにはりんねまで憑依されてぶりっこになってしまいズッキュンされた他の生徒や情緒が壊れたスパナとミナトの反応から事態の収集が追い付かなくなってしまったためりんねを引っ張り出して音楽室から出ている。
最終話ではなんと一部のケミーの名前を覚えてないことが判明。まあ101匹居るから全員覚えろと言うのは難しい話だが……
我ら3年G組
本編と異なりひ弱な学級委員長でクロトーから気にかけられている。
余談
- 最近のライダー作品では珍しく、登場人物から名前だけでなく苗字でも呼ばれることが多い主人公。
- 前作『仮面ライダーギーツ』の主人公浮世英寿や同時期のスーパー戦隊である『王様戦隊キングオージャー』の主人公ギラ・ハスティーのとの差別化を図るため、本作の一ノ瀬宝太郎は「等身大の少年」というキャラ付けがなされた。
- 幼少の時の宝太郎がウロボロス界にいたのはとなりのトトロと同じようなものであると語られている。
- 高校生主人公のライダー変身者は如月弦太朗、天空寺タケル、常磐ソウゴに続いて4人目だが、令和ライダーでは初である(過去にも、ライダーに変身する高校生キャラは存在していたが、何れもサブライダーである)。
- 宝太郎の創作料理作りに関しては、オーディションの際に料理審査を設けるなど最初から設定されていたものであり、第1話の「きゅうりハンバーグ柚子胡椒マヨ」は本島氏がオーディションの際に作った「きゅうりハンバーグ明太マヨ」をさらに発展させたものである。
- 劇中ではりんねやスパナ含め周囲から微妙な反応をされているが、りんね役の松本麗世女史は「美味しい」「全部食べたいくらい」と絶賛している。
- 宝太郎の独特な錬金術と強さは、「AでもBでもなく一休さんのようにCを作り出す"とんち"に近いもの」ということが公式サイトで明かされている。
- 第1話で宝太郎が創作料理を作る際に唄っている鼻歌は渡辺美里の『My Revolution』。第15話のキッチンいちのせでのクリスマス会では、ついに鼻歌の域を超えてカラオケで堂々と歌い上げた。第40話では、ホッパー1とニジゴンにこの歌を教えており、2匹も終始ノリノリだった(ニジゴンに至っては歌詞を理解していた)。'80年代の懐メロという2000年代生まれの高校生の選曲にしては時代錯誤だが、母親の影響だろうか?
- 本当に彼の願う『ケミーと人間の共存』は出来るのか?
宝太郎自身はケミーと人間は共存できると信じているが、それはケミーを知り尽くした仮面ライダー視点の話であり、何も知らない市民からしたら悪人と出会えば化け物になり、自分らの平穏を脅かす存在であり、さらに錬金術師や連勤連合も市民からしたら人の記憶を操るヤバい組織と錬金術師同士のマッチポンプである。また宝太郎自身はこれまでの間にケミーと現代社会が共存できるように活動していたか?と思われるが、彼は何もしてないのである。
しかし、これには根拠がある。これまで宝太郎達が、旭光一郎、砂山理玖、間辺譲、山下結逢や一部の市民達など彼らのようなケミーと信頼関係を築けてる人間がいたからで、宝太郎たちはケミーと人間が共存できるかもと自然に思ってしまったからである。
最終的に、錬成した地球にひとまず隔離し、段階的に共存を模索していくという形で現状は落ち着いており、ここから先が宝太郎達にとっての正念場と言える。
- 最終話でグリオンの錬金術を喰らい固められながらも動けた理由については、公式サイトで「彼の錬金術は金メッキをコーティングしただけのもの」と言われている。