「我慢は終わり、悲しみは終わり、見せかけの幸せも終わりだぁぁぁッ!!」
「アギレラ様、スマ〜イル……」
演:八条院蔵人
概要
『仮面ライダーリバイス』に登場する敵対組織・デッドマンズの幹部。デッドマンズの頭首・アギレラのボディガードを務める。悪魔の始祖・ギフの生贄たるギフテクスの1人でもある。
骸骨の意匠がある赤い装飾の派手な紫色の衣装を身に纏っており、頭に被ったソンブレロがトレードマーク。
デッドマンズに入る前の本名は「玉置豪」で、聖風会館に潜入していた際もこの名前を用いていた。
人物像
血気盛んで、同じ幹部のオルテカが理知的な性格であるのに対し、フリオは本能で動く好戦的なタイプ。派手で陽気な衣装とは裏腹にその言葉遣いや表情は荒々しく、動作も1つ1つが大きく威圧的。また、左手を右肩に置いてから首の関節を鳴らす癖があり、戦闘時には狂気染みた笑みを見せる。
第三者に対しては力尽くの行動を取るが、首領のアギレラとギフに対しては恭しく接しており忠誠心が高い。アギレラが不機嫌な際には「スマイルです」とアドバイスする等、その姿は「飼い主に懐く忠犬」のようでもある。
また、裏切りを異常なまでに憎悪しており、本性を露にしたオルテカの発言に我を見失う程に激昂、何度もアギレラへの謝罪を怒りの叫びで訴えている。
基本的にはアギレラの護衛が主な仕事だが、オルテカが参謀的ポジションで組織への勧誘を主に行うのに対し、フリオは生贄となる人間を拉致したり、バイスタンプを奪い取るべく自ら前線に出る等、幹部陣営の中では専ら荒事を引き受けている。
生贄候補の基準としては目に見えるほどの悪意や、負の感情を抱えた人間……凶悪犯やデッドマンズに入団希望の人間が多い。
古参の幹部でありながら、アギレラが生贄の1人であるのを知らず驚いていた。アギレラに懐いている姿がオルテカに警戒されたためだろう。
その後オルテカらに抗議したが逆に取り押さえられ、アギレラを生贄にする儀式の際には不本意な様子を見せ、仮面ライダー達の乱入に乗じてアギレラを救出しようとしたが、オルテカに昏倒させられる。その後、デッドマンズベースの崩壊直前にバイスによってアギレラ共々救出された。その時点で彼女にまともな忠誠心があったのはフリオのみで、他の幹部はアギレラに何かしらの暴行を働いている。
尚、ここまで彼がアギレラに忠誠を誓っている理由が第16話で断片的に語られており、それによれば何やら絶望のどん底に落ちていた時に彼女に救われたらしいが……。
ウルフ・デッドマン
フリオがウルフプロトバイスタンプを使って変身した、デッドマンとしての姿。詳細はリンク先を参照。
余談
- 名前の由来は恐らく、テキーラの銘柄の1つ『ドン・フリオ』かと思われる。
- また、「フリオ」の名前自体はスペイン語系の男性名の1つとして存在する。
- 初期設定では元警察官と言う設定であったが没になった。
- 怪人態のモチーフの狼とカブトムシの組み合わせは、ギリシャ神話におけるデウカリオーンの話を連想させる。この神話はゼウスがノアの大洪水宜しく、人間に嫌気が差して洪水で一掃する伝承だが、切っ掛けとしてゼウスが旅人に化けた自身に息子を料理してもてなした人物・リュカオーンを狼に変えている(※リュカオーンが上記の暴挙を行ったのは、旅人がゼウスだと知った上で「さしものゼウスも料理の素材が分からずに食らうだろう」と愚弄する為とされる。尚、リュカオーンは洪水から生き残った)。また、洪水から生き残った者の中にはニュンペーにカブトムシに変えられ、飛んで逃げて難を逃れたケラムポスがいる。
- 尤も、神話中のカブトムシはツノの生えたあのカブトムシではなく、クワガタムシや糞虫、カミキリムシ等の甲虫系を指す言葉だと思われるが(甲虫類全般の和訳として、カブトムシが充てがわれている為)。
- また他にも一部の視聴者からは「警察戦隊パトレンジャーの朝加圭一郎にも見える」とも。
- アギレラに「スマ~イル」と促す場面が妙に印象的な為か、一部視聴者から同じような口癖を持つ同時期放送の某光の巨人の主人公と結び付ける視聴者も。
- フリオや八条院に憧れて髪型をフリオと同様パッツン前髪にしたという視聴者からのメッセージがSNSやファンレターに書かれた。また、八条院はフリオを演じるに当たり、アギレラへの忠誠心や、悪役でありながら親しみやすさをエッセンスとして加えることを意識した。「アギレラ様、スマ~イル」というセリフはそれらを意識したゆえの産物であり、その台詞を元に逆に「フリオ、スマ〜イル!」とアギレラから励まされたことに、自分の心掛けていたことが後の展開につながり八条院氏はとても感動したとのこと(『GRACIAS!暗黒本』pp.42-43より)。
- 「フィギュア王No.297」によると、当初はデッドマンズ崩壊とともにオルテカとの激闘の末退場する予定だったが、視聴者からの人気が思いのほか高かったことやシリーズ構成を務める木下半太氏が「唯一の居場所を無くし、罪を抱えながら生きている時点で既に『報い』を受けている。」と提言したことから、「彼がいかにして罪を償っていくのか」ということにフォーカスを当て、退場させなかったらしい。
関連タグ
仮面ライダーリバイス デッドマンズ(仮面ライダーリバイス) ギフテクス
ゾル大佐/黄金狼男:デッドマン形態から、恐らくモチーフと思われる。
立神吼/レオ・ゾディアーツ:仮面ライダーフォーゼに登場する幹部怪人。こちらも主君に異常極まりない忠誠心を持ち、それが原因で暴走する場面もある。
メディック/メディック・ロイミュード:仮面ライダードライブに登場する幹部怪人。こちらも主君に対する強い忠誠心を持っており、その深さはフリオと同等と評してもよいだろう。
ザミーゴ・デルマ:3年前の戦隊における、人間態の際にはソンブレロがトレードマークの敵幹部繫がりで、制作発表会見の際に彼を思い出した視聴者が続出した。だが性格はダウナーな冷めたそれでフリオと対照的。
フリオ・リベラ/ビーファイターゲンジ:25年前のメタルヒーローにおける同名の人物で、演者は後に平成ライダーで主役ライダーのスーツアクターを多く務めた高岩成二氏。但し、こちらはヒーローサイドのキャラ。ちなみにこちらの作品の主人公が変身する戦士もカブトムシモチーフである。またリバイスにもリベラの名を関するドライバーがある。
明かされる過去(第17話以降のネタバレ注意!)
第17話でしあわせ湯を訪れ、自身をフリオ=玉置豪の学生時代の友人だったと名乗る男性・奥田陽介の口から彼の過去が語られた。
かつての彼はデッドマンズとしての好戦的な姿とは真逆の、内気な性格の少年だった。
クラスメイト達からは陰口を叩かれいじめを受けており、その度に陽介から「スマ〜イル!」と励まされていた。
しかしある日、クラスメイトの指示に逆らえなかった陽介が、親友の証として渡したトレカのカードを破いてしまったことで、「彼から裏切られた」と解釈し絶望。アギレラに心の闇を見出され、デッドマンズに所属するに至ってしまった。
彼のアギレラに対する強い忠誠心や裏切りに対する嫌悪は、こうした過去のトラウマに起因していると思われる。一方でアギレラへ「スマイルです」と頻繁に口にする辺り、その口癖の主だった陽介を憎み切れなかったように取れる。
新生デッドマンズとフェニックスの戦闘発生時に、オルテカを「裏切者」と罵りながら襲い掛かったところ、居合わせたさくらや陽介の説得を受け、過去の記憶がフラッシュバックし苦しむものの「そんな奴は知らない!」と拒絶し、再びオルテカに食らい付くも力及ばず、「裏切ったのはお前だ」と一蹴されてしまった。
第18話では刺し違えてでもオルテカを倒す覚悟を決め、さくらの許を訪れ「自分が死んだらアギレラ様を頼む」と懇願。彼女はその覚悟を汲みつつ、条件として陽介との会合を要求し2人は再会。
彼の謝罪を聞きながら、引っ越し先へ向かう車内から目撃した光景を思い出すフリオ。それは同級生たちから暴行を受ける陽介の姿だった。彼はフリオ=豪を孤立させた事を後悔して反発したために、袋叩きに遭っていた。だが自分は車を止めさせる事もなく、そのまま見て見ぬふりをしたのだった……。
「裏切り者は俺の方だったんだ……」
そうした気付きを経て仲直りしようとした矢先に、オルテカの奇襲を受け、止める間も無く陽介はギフスタンプを押印されてしまう。「スマ〜イル……」の言葉と共に陽介は消滅、ギフテリアンと化した。
オルテカ「次はアギレラにでも押してあげましょうか?フリオくん」
いつもの余裕でフリオを煽り、その場を立ち去ろうとしたオルテカだった。しかし
「……って言うな…」
「フリオって言うなあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
怒りに呑み込まれたフリオは暴走し、ギフテリアンを一撃で消し去った勢いのまま、ウルフ・デッドマンライオットへと変貌し、ダイオウイカ・デッドマンの体の三分の一を一撃で抉る。
そのまま街を破壊しながら暴れ回り、説得するジャンヌや助けに来たライブを容赦なく蹴散らし変身解除まで追い込むが、駆け付けた一輝に止められる。
そしてボルケーノレックスゲノムを使いこなしたリバイスを相手に、最初こそ善戦するも瞬く間に劣勢に追い込まれ、最終的に「ボルケーノフェスティバル」を受け分離・撃破された。
膝を着くフリオ。謝罪時に受け取り、図らずも陽介の形見となってしまったカードを見つめるが、言葉は出ず……。
そこへ高見の見物をしていたオルテカが、すかさずトドメを刺さんと襲い掛かるが、フリオはそれに気付いても尚動こうとしない。自ら陽介の許に行きたいかのようにも見える彼は、無抵抗のまま死を受け入れようとしたが、間一髪アギレラが介入し、オルテカは即座に撤退。
そして背を向けたまま、アギレラは静かに語り掛ける。
「フリオ、私を独りにするの?」
「アギレラ様……俺……!」
「フリオ、スマ〜イル!」
かつての唯一の親友と同じ言葉を、自分の命を捨ててでも守りたかった人から掛けられたフリオ。
更には知ってか知らずか、アギレラが髪をくしゃくしゃに撫でる仕草までもが、かつての陽介とピタリと一致していた。溢れる友への想いを抑え切れず、フリオは堪える間もなく慟哭した………。
その後、アギレラが変身したクイーンビー・デッドマンに手を取られ、その場を飛び去っていくフリオ。
バイスは「行かせて良かったのかよ?」と問うが……
一輝「ああ……フリオは裏切らないよ」
だが、フリオの知らぬところで、契約を解除されたウルフ・デッドマンの力はギフへと吸収されてしまった。
続く19話では『玉置豪』として道場を訪れ、さくらに対して「五十嵐家は命の恩人であり敵対する意思がない」旨を伝え、更に「アギレラの話し相手になってほしい」と頼んでいる。
その19話以降から『フリオ』としての狂暴な面は鳴りを潜め、『玉置豪』本来の穏やかな言動へと変わった(というよりはデッドマンから解放され戻ったと言う方が正しいか)。それと同時に『フリオとしてのアギレラへの忠義』と『玉置豪としての五十嵐三兄妹への恩義』のジレンマに悩まされるシーンが、多々見られるようになる。
しあわせ湯での住み込み
22話にて、フリオはアギレラと共に街へ行くが、そこでアギレラから「クビ」を宣告される。
同じ場所で同級生と話していた五十嵐さくらに泣きついた結果、なんとしあわせ湯に居住場所が見つかるまで、泊まらせてもらう事態に……。
因みに、この時は「折府 環(おりふ たまき=おりふ→フリオ 環→玉置のアナグラム)」を名乗っている。
それ以降の活躍は玉置豪を参照
真の関連タグ
門田ヒロミ/仮面ライダーデモンズ:同じくいじめられていたキャラクター。助けがなかったからこそ正義を志した彼と、助けがあったからこそ悪に墜ちたフリオは、正反対と言えるだろう。
Promise(ビヨンド・ジェネレーションズ):冬映画の主題歌で、彼の過去、陽介を救えなかったこと、アギレラへの思い、そして彼女に励まされているシーン等境遇がいくつか歌詞と共通している。
新田文博/ユニコーン・ゾディアーツ:仮面ライダーフォーゼに登場する怪人で、同じく学校の同級生とのトラブルによる恨みが原因で、怪人になってしまった人物。こちらは後にその相手と和解している。尚、演じた人はこの作品に参加している
住田スマイル:仮面ライダーゼロワンに登場するキャラクター。こちらはポジティブなスマイルである。
矢車想/仮面ライダーキックホッパー:エリートコースから転落し悪も正義も無くなった男。14年後に怪人として再登場し……。「笑えよ。誰か俺を…笑ってくれよ……」
野乃はな/キュアエール:4年前のニチアサの主人公で、こちらもいじめが原因で仲の良かった同級生と袂を分かち、そのまま転校と言う良く似た過去を持つ。話が進んで同級生が謝罪に現れた点も一緒だが、迎えた結末は正反対であった。
ウッドワス:女王に対し絶対的な忠誠を誓った狼のキャラクター繋がり。
武藤遊戯/闇遊戯:同じく目の前でトレカのカードを破られた繋がり(こっちは本人の悪意で破られた)。なおこちらは激昂した挙げ句に···
また、偶然にも彼が登場する作品に(現時点フリオとは直接対面していないが)ベイルと中の人が同じキャラがおり、ベイルが宿るベルトで変身する仮面ライダーの変身音がベイルと中の人が同じキャラとこれまた中の人が同じ使い魔(?)の迷台詞を思わせるものになっている等リバイスと類似点が多い。
ダーゴン:同時期の円谷特撮のパワーファイター系の幹部繋がり。三幹部の中では最もまともな点も共通している。ただし、こちらは女性リーダーのやり方に疑問を抱くようになった点は異なる。また、女性リーダーのもとに居られなくなったため、主人公たちから迎え入れられる点も共通するがこちらは自ら離反しており、さらにケジメとして主人公との決着をつけることを望んだ為、戦闘中に女性リーダーに操られて暴走、大切な人を傷つけないように自らを倒すように頼み、それを聞き入れた好敵手によって倒されるという悲劇の最期を遂げてしまっている。
尾村豪/ドクター・オブラー:敵組織の幹部だったが、後に怪人の能力を失い普通の人間に戻り、組織を離れたキャラクター繋がり。
高見沢アリサ:こちらも過去に虐められていた過去を持つ。しかしこちらは虐められていた同級生をかばった事で、逆に虐められていた同級生にも無視されるという、フリオとは似ているようで境遇は異なる。