「行くよキバット!」
「いつか…父さんを超えるようなヴァイオリンを作る…それが僕の夢なんです。」
「僕は僕の音楽を見つけたい…。そうすればもっと強くなれると思うから…。そして、僕の音楽でみんなを幸せにしたい……。」
演:瀬戸康史
大石達也:(クライマックスヒーローズ、ライダージェネレーション)
増尾興佑:(バトライド・ウォー創生、ライダーレボリューション)
戸松拳也:(クライマックスファイターズ、クライマックススクランブルジオウ)
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダーキバ』現代(2008年)パートの主人公。年齢20歳。亜麻色の髪(くせ毛)を持つ。
バイオリン職人にして、仮面ライダーキバの変身者であり、「ライダーとなる運命を背負った男」でもある。
父である紅音也に憧れの念を抱いており、彼の遺した名器「ブラッディ・ローズ」を超えるバイオリンを作るために試行錯誤を繰り返す日々を送っている。特に色にこだわりを持っており、ニスの材料として様々なモノを蒐集している(カタツムリ、魚の骨、木の板、ムカデ、だし汁など)。他にも壊れたバイオリンの修理も(当人は嫌がっているものの)行っており、その筋の人間の中では名前が知られているらしい。バイオリン演奏に関してもかなりの腕前を誇る。
多才な音也を父に持つだけあり、イケメンズでは高い歌唱力を発揮した他、鈴木深央に告白された際には嬉しさのあまりパスタを作り上げ、好評を得ている(しかしザリガニを素材にしている辺り、独特なセンスは料理にも現れるようだ)。
東京都武蔵野市吉祥寺桜町2-1-3の洋館で暮らしており、気弱で人見知りが激しいため普段は洋館に引きこもっている(本編開始まで「この世アレルギー」だと思い込んできたせいもある)。人と接する機会や経験に乏しいため、外部の些細な出来事で感情が浮き沈みすることも多く、相手への気を使った発言が裏目に出てしまうことも多かった。このことから近隣住民から「お化け太郎」なるあだ名で噂になっていた。
変身すると普段の気弱さが一転し、掛け声を発しながら果敢な立ち回りを見せるが(キバフォームの時がわかりやすい)、当初は音也がブラッディ・ローズに込めた祈りの力で本能的に戦っているだけであった。
また、優しい心故にそれをファンガイアに利用されたりするとキバの力を十分に発揮出来ずにピンチになる事もある。
普段の身体能力は十人並でさほど強くは無かったが、過去で音也と出会った後では精神的に大きな成長を遂げ、生身でもファンガイアを撃退させる等の強さを披露した。
キバットに手を噛ませて魔皇力を注入することでパワーを引き出し、キバの鎧を身に付ける。この際には顔に紋章が浮かんでいる(漫画『仮面ライダー』の本郷猛がマジギレした際に浮かぶ手術跡に似ていなくもない)。
「人の心の音楽」を聞き取って居場所を突き止めるなど様々な潜在能力を秘めている。外の世界と関わることでその厳しさ、ファンガイアとの戦いや他者との交流を通して人間的に少しずつ成長していき、「人の音楽を守りたい」という自身の望みと父の思いを信念にしてゆく。
キバットとは、同居人や戦いのサポートの他にも、一緒にお風呂に入る程の仲で、落ち込んだ時や嬉しい事があった時の相談相手になってもらっている。渡が深央に振られた際に、野村静香が「渡の運命の人は意外と近くにいたりする」と言った時には「運命の人…?キバットとか?」と呟いていた。
母親とその血筋 (ネタバレ注意!)
27,28話にて、名護啓介が過去のイクサの行動を修正する為にキャッスルドランの時の扉で1986年に渡った際、ファンガイアのクイーンと対面。名護はクイーンに好意を寄せて、別れ際に自身が初めてバウンティハンターとして手に入れたボタンを渡した。
そして2008年に戻った際、ふと渡が落とした財布の中から過去で名護がクイーンに渡したはずのボタンが出て来る。驚く名護に対し渡は「母親から貰った」と語った。
一方1986年では、麻生ゆりと仲が縮まり同棲を開始した紅音也。しかしそんな中で音也は、”真夜”と名乗るクイーンと出会う。真夜は音也の音楽、心を理解し、ブラッディ・ローズの完成に貢献。距離が近付く2人を見てゆりは身を引いた。
そして真夜は正体がファンガイアであり、キングの妻という高潔な立場でありながら、禁忌である人間との恋の道を進み、音也と惹かれ合う。
そんな中で音也と真夜の間の子供として誕生したのが渡である。つまり紅渡の産みの親は、クイーン/真夜。同時に、キングとクイーンの間に生まれた正式なファンガイアの王の血を引く登太牙とは異父兄弟ということとなる。
そして渡は本来生まれるべきでない人間とファンガイアのハーフ。
渡は、物語開始前(真夜と暮らしていた幼少期、青年期頃か)に「黄金のキバの鎧」を託されたと思われる。経緯としては、真夜に直接渡された、又はキバットバットⅢ世に適格者として認められた等だろう。キバへの変身・キバの鎧の使用が可能なのは、ファンガイアの血を持ち、常人とは違った身体の強さを持つからであると考えられる。
渡は、あってはならない異種族間の子供である為 存在を隠され、幼少期まで真夜と共に生活した後、真夜は突如姿を消し、渡は人間として人間界に暮らすこととなった。その為、渡自身を含め彼が混血児である事は誰も知らず、太牙すら真実を知るまでは いち友人として接していた。
幼少時代に両親が自身の元を離れ、1人で生きる事になったという経緯が、渡の内気な性格を形成したと言える。
また渡は物語中盤まで、自身が戦う真の意味を知らずに目の前のファンガイアを倒していた。それは、いずれ追われる身になるであろう禁忌の子である渡が、自らで身を護れるように託されたからである。しかしながら、自身が混血児であるとも、キバの鎧を持つ事の重みも知らぬままに変身能力を託されてしまったため、漠然とした使命感だけで戦っていたと考えられる。
ハーフである事が発覚して以降の渡は、自身の存在意義の葛藤に苛まれ、それにより太牙や深央との関係が拗れてしまうが、最終的には自分の運命を受け入れて、自分らしく、自分にしか歩めない道を進む覚悟を決めた。
なお真夜は、人間との恋という禁忌を犯したために身を追われてクイーンの力を失い、後に山奥の洞窟に闇のキバの鎧と共に身を隠していた。
本編外の作品
『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』
TV本編とはパラレルであり、こちらでは渡は最初から「素晴らしき青空の会」に正体が知られている。
この世界では民生委員からの勧告を受け、森羅学園高校に通っている。隣の席になった机なつきと仲良くなるも、
部活選びではサッカーボールと間違えて靴をシュートしてしまったりとトラブルも多い。
レジェンドルガの復活を阻止すべく1986年へと向かうが、榊原とわの誘拐容疑で刑務所へ贈られ、杉村隆を鎮圧させてなんとか現代へと帰ってくるが、結局のところ、レジェンドルガの復活は阻止できず、現代で彼らを討伐することとなる。
ちなみにこの映画では音也が女性の気持ちを理解させるべく、渡を女装させている。
『仮面ライダーディケイド』
第1話にて、ディケイドこと門矢士のことを「全てを破壊する者」と呼び、世界を救わなければならないとして、9つの仮面ライダーの世界の旅へ誘う。テレビ本編最終話、『MOVIE大戦2010』にも登場。
士の1つ前である渡に旅への誘いが充てられたようで原典と比べて、大人びた人物(演者の瀬戸康史曰く「数年後の渡をイメージした」)になっている。
彼の言動から目的はディケイドを利用し、各シリーズの記号化であるリマジ世界を破壊して原典のライダーの確かな記憶を視聴者に刻み付ける事が目的だったともシリーズのクロスオーバーを円滑にする為に行動していたとも解釈できるが詳しいことはよくわかっていない。だが、彼の「創造は破壊からしか生まれない」と言う言葉は10年後の作品でもある『仮面ライダージオウ』に置いて、非常に重大な役割を果たす事となる。
ちなみに渡とは別の仮面ライダーキバ/ワタルもキバの世界に登場しており、彼は家族構成が渡とは逆。
『仮面ライダージオウ』
瀬戸康史氏のスケジュールが押さえられなかった為か、残念ながら未登場。
アナザーキバが出現したことから、それ以前にオーラに力を奪われたと思われるが、この話ではキバサイドの状況が全く描かれなかったため、渡やキバットバットⅢ世が現在どうなっているのかは不明。
アームズモンスターの三体は渡のもとを離れてアナザーキバに付き従っているが、ガルルの言動(「キバの僕としてアナザーキバを守っている」)を信じれば、「本物のキバ」である渡よりも紛い物であるアナザーライダーを優先する理由があった=「本物のキバ」が存在していない可能性も否めない。
一方でそのガルルはキバライドウォッチを所持しており、こちらも過去のレジェンドを踏まえれば渡がガルルに託したものと考察することもできる。
これらの不明瞭な点について、公式からも今のところは明確な解答は出されていない。
余談
ライダーとしての力を体内に取り込んだ・何らかの要因で普通の人間ではなくなった(またはなくなりかけた)平成ライダー主人公は多いが、渡は平成ライダー20作で唯一の先天的な人外主人公である(ニチアサ外も含めれば彼らもいるが)。
ライダーゲームでの本人ボイスはガンバライド(及びその後継作品)のみ。他のゲームでは代役である。渡の代役は四人も変わっているが、これは渡を担当した声優が青二を離れて別の所属になったりフリーになったりする為である。
関連タグ
野村静香 麻生恵 名護啓介 襟立健吾 鈴木深央 登太牙 嶋護
ワタル(仮面ライダーディケイド):別世界のキバ。
平成ライダー主人公