概要
東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線の1つで、幹線。日本貨物鉄道(JR貨物)が第2種鉄道事業者として貨物列車を運行している。
以下の線から成り立っている。
- 東京駅(東京都千代田区)と銚子駅(千葉県銚子市)を結ぶ「本線」
- 錦糸町駅(東京都墨田区)と御茶ノ水駅(千代田区)を結ぶ「支線」
- 小岩駅(江戸川区)と金町駅(葛飾区)を結ぶ貨物支線(新金線)
- 小岩駅と越中島貨物駅(江東区)を結ぶ貨物支線(越中島支線)
この他に銚子駅 - 新生駅間に貨物支線が存在した。一部で銚子電気鉄道と線路を共用していた名残で、現在も同線銚子 - 妙見堂踏切先の分岐器間はJR東日本が管理している。
途中錦糸町駅 - 千葉駅間は複々線となっており、東京駅で横須賀線と直通する快速(総武快速線)と各停(中央・総武緩行線)が並走している。又、佐倉駅・松岸駅から分岐する成田線と併せて成田国際空港へのアクセス路線としても機能している。そのため駅ナンバリングは千葉以東では佐倉まで横須賀・総武快速線からの連番として設定されている。
乗客案内上は「総武線」と呼ばれる場合は中央・総武緩行線の意味で、「総武本線」と呼ばれる場合は千葉以東の意味で使われる事の方が多い。
ここでは路線データ及び沿革を除き千葉駅以東の区間について記載する。千葉駅以西については総武快速線及び中央・総武緩行線を参照。
路線データ
本線
路線記号 |
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ラインカラー |
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区間 | 東京 - 銚子 |
路線距離 | 120.5㎞ |
軌間 | 1,067 mm |
駅数 | 42駅 |
信号場数 | 1箇所 |
電化区間 | 全線(直流1,500V) |
最高速度 |
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複々線区間 | 錦糸町 - 千葉※3 |
複線区間 |
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単線区間 | 佐倉 - 銚子 |
閉塞方式 | 複線自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-P |
運転指令所 |
|
列車運行管理システム | 東京圏輸送管理システム(ATOS)※4 |
大都市近郊区間 | 東京近郊区間:全線 |
電車特定区間 | 東京 - 千葉 |
特定都区市内区間 | 東京都区内:東京〜小岩 |
ICカード乗車券エリア | Suica首都圏エリア:全線 |
第1種鉄道事業者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本):全線 |
第2種鉄道事業者 | 日本貨物鉄道’JR貨物):新小岩信号場 - 佐倉 |
※1:錦糸町 - 千葉間は快速線の駅に設定
※2:錦糸町 - 千葉間は緩行線の駅に設定
※3:快速線・緩行線並走区間。新小岩信号場 - 小岩間は複々線と越中島支線(単線)の5線並列区間
※4:東京 - 千葉(千葉駅構内除く)
支線
路線記号 | JB |
---|---|
ラインカラー | 黄 |
区間 | 錦糸町 - 御茶ノ水 |
路線距離 | 4.3㎞ |
軌間 | 1,067 mm |
駅数 | 5駅 |
電化区間 | 全線(直流1,500V) |
最高速度 | 95km/h |
複線区間 | 全線 |
閉塞方式 | 複線自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-P |
運転指令所 | 東京総合指令室 |
列車運行管理システム | 東京圏輸送管理システム(ATOS) |
大都市近郊区間 | 東京近郊区間:全線 |
電車特定区間 | 全線 |
特定都区市内区間 | 東京都区内:全線※ |
ICカード乗車券エリア | Suica首都圏エリア:全線 |
第1種鉄道事業者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
※秋葉原 - 御茶ノ水間は東京山手線内と重複
貨物支線(新金線)
区間 | 小岩 - 金町※ |
---|---|
路線距離 | 8.9㎞ |
軌間 | 1,067 mm |
駅数 | 3駅 |
電化区間 | 全線(直流1,500V) |
最高速度 | 95km/h |
単線区間 | 全線(単独区間) |
閉塞方式 | 単線自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-SN |
運転指令所 | 東京総合指令室 |
第1種鉄道事業者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
第2種鉄道事業者 | 日本貨物鉄道(JR貨物) |
※小岩 - 新小岩信号場間は本線との重複区間
貨物支線(越中島支線)
区間 | 小岩 - 越中島貨物※ |
---|---|
路線距離 | 8.9㎞ |
軌間 | 1,067 mm |
駅数 | 3駅 |
電化区間 | 小岩 - 新小岩信号場(直流1,500V) |
非電化区間 | 新小岩信号場 - 越中島貨物 |
最高速度 | 95km/h |
単線区間 | 全線 |
閉塞方式 | 単線自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-SN |
運転指令所 | 東京総合指令室 |
第1種鉄道事業者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
第2種鉄道事業者 | 日本貨物鉄道(JR貨物) |
※小岩 - 新小岩信号場間は本線との並列区間
沿革
開通 - 国有化まで
1894年(明治27年)7月20日、総武鉄道路線として市川駅 - 佐倉駅間が開通したのが始まり。
その後1904年(明治37年)4月5日に本所駅(現・錦糸町駅) - 両国橋駅(現・両国駅)間が延伸、以後東京延伸まで両国が総武本線起点となっていた。なお両国橋駅への延伸と同時に東武亀戸線との直通運行を開始したが、1910年(明治43年)3月27日に廃止された。
国有化以降
1907年(明治40年)9月1日に鉄道国有法により総武鉄道が買収され国有化。1909年(明治42年)10月12日には国有鉄道線路名称制定により、路線名が総武本線となる。
1926年(大正15年)7月1日に現在の新金線新小岩操車場 - 金町駅間が、1929年(昭和4年)3月20日には現在の越中島支線亀戸駅 - 小名木川駅(現・廃止)間がそれぞれ開通した。
1972年(昭和47年)3月28日には船橋駅構内で信号機故障により停止していた列車に、後続列車が追突する事故が発生。死者は出なかったものの、負傷者数は日本国内鉄道事故において最多となった。
同年7月15日に錦糸町 - 東京間延伸に伴い本線区間が全通、御茶ノ水 - 錦糸町間を支線として分離。以降は起点が東京へ変更された。なお横須賀線との直通運行は1980年(昭和55年)10月1日より行われている。
1978年(昭和53年)4月1日には貨物支線銚子 - 新生間が廃止された。
国鉄分割民営化以降
1987年(昭和62年)4月1日の国鉄分割民営化に伴い、東日本旅客鉄道(JR東日本)が第1種鉄道事業者、日本貨物鉄道(JR貨物)が第2種鉄道事業者として継承。
2001年(平成13年)11月18日に東京近郊区間で交通系ICカード乗車券「Suica」を導入し首都圏エリアへ設定。さらに2009年(平成21年)3月14日には東京近郊区間及びSuica首都圏エリアが成東駅 - 銚子駅間で拡大された。
運行形態
特急
定期列車では全線走破する「しおさい」と、成田線へ直通する「成田エクスプレス(NEX)」が運行されている。また繁忙期には臨時列車が運行される。詳細は各列車の記事を参照。
- しおさい
全線で運行される列車が下り5本・上り4本、成東・佐倉発着がそれぞれ1往復ずつ(土休日運休)設定されている。この他繁忙期には臨時列車が設定される。
以前は新宿駅着列車も設定されていた他、ラッシュ時の区間列車には「おはようしおさい」「ホームタウンしおさい」の愛称が付けられていた。
- 成田エクスプレス(NEX)
総武本線は東京 - 佐倉間を経由。概ね毎時2本運行され、特に日中は単独で新宿 - 成田空港間を結ぶ列車(東京駅 - 空港第2ビル駅間ノンストップ)と新宿発着及び大船駅発着編成が連結されている列車(千葉停車)が交互に運行されている。
朝上りと夜下りの数本は四街道駅、佐倉駅、成田駅にも停車する。
- 臨時列車
現在成田線成田以遠・鹿島線方面へは定期特急が存在しないが、繁忙期に臨時列車が設定される場合がある。
特に毎年5月 - 6月に千葉県香取市及び茨城県潮来市で行われる「あやめ祭り」の時期には新宿駅 - 鹿島神宮駅間に臨時特急「あやめ祭り」が設定されるが、この列車は廃止された定期特急「あやめ」の事実上の後継列車として運行されている。
快速
千葉駅以遠においては東京方面 - 成田空港駅間を結ぶ列車が毎時1本、ラッシュ時は佐倉・成田発着を含めて最大4本運行される。2018年(平成30年)3月16日ダイヤ改正まで成田空港行には「エアポート成田」の愛称が付けられていた。
また夜間に成東/鹿島神宮行列車が成田空港行へ併結されて運行されるが、どちらも佐倉で分離以降は普通列車として運転される。なお朝の成東発快速は11両で運行されるため、成東行と異なり東京まで快速として運行される。
普通
千葉駅発着を基本とし、東京駅方面には直通しない。
千葉駅〜銚子駅間を走行する列車が毎時1本程度設定される他、千葉駅〜成東駅間の区間列車や成田線経由の列車も存在する。これらに加えてラッシュ時は四街道・佐倉発着列車、1往復のみ千葉駅 - 八街駅・横芝駅間・旭駅 - 銚子駅間区間列車が設定されている。
貨物
千葉駅以東へは成田・鹿島線経由鹿島臨海鉄道鹿島臨港線への高速貨物列車が東京貨物ターミナル駅・越谷貨物ターミナル駅発着で1往復ずつ運行されている。
駅一覧
●:停車 ○:一部停車 レ:通過
駅番号 | 駅名 | 特急 | 快速 | 乗換路線 | 備考 |
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↑横須賀線久里浜まで直通運転 | |||||
JO28 | 千葉 | ○ | ● | 普通列車は当駅発着 | |
JO29 | 東千葉 | レ | レ | ||
JO30 | 都賀 | レ | ● | 千葉都市モノレール2号線(CM11) | |
JO31 | 四街道 | ○ | ● | 当駅発着あり | |
JO32 | 物井 | レ | ● | ||
JO33 | 佐倉 | ○ | ● | 成田線(JO33) | 当駅発着あり |
南酒々井 | レ | レ | |||
榎戸 | レ | レ | |||
八街 | ● | ● | 当駅発着あり | ||
日向 | レ | レ | |||
成東 | ● | ● | 東金線 | 当駅発着あり | |
松尾 | レ | ||||
横芝 | ● | 当駅発着あり | |||
飯倉 | レ | ||||
八日市場 | ● | ||||
干潟 | レ | ||||
旭 | ● | 当駅発着あり | |||
飯岡 | ● | ||||
倉橋 | レ | ||||
猿田 | レ | ||||
松岸 | レ | 成田線 | |||
銚子 | ● | 銚子電鉄(CD01) |
使用車両
現在の使用車両
自社車両
- E257系500番台
幕張車両センター所属特急形電車で5両編成。
佐倉駅発着特急「しおさい4・11号」で運用されているが、以前は銚子まで直通し末端区間で普通列車に変わる列車運用も担当した。
- E257系5500番台
大宮総合車両センター東大宮センター所属特急形電車で5両編成。
臨時列車で使用される。
鎌倉車両センター所属特急形電車で6両編成。
特急「成田エクスプレス」「しおさい」で運用中。
- 209系2000・2100・2200番台(B.B.BASE)
幕張車両センター所属の普通列車用電車。2000・2100番台は東京直通以外の全普通列車で使用される。2200番台は臨時列車で運用。
鎌倉車両センター所属近郊形電車。基本編成は11両で4・5号車はグリーン車。付属編成は4両。快速で使用される他、付属編成は佐倉で基本編成と分離し成東まで普通として運用される。
JR貨物所属
- EF210形0・100・300番台
新鶴見機関区所属電気機関車。現在の千葉以東の貨物列車牽引機。
過去の使用車両
自社車両
幕張車両センター所属特急形電車。
183系は総武本線・成田線特急で使用され、定期運用離脱後も189系と共に臨時列車で使用された。
- 253系0・200番台
鎌倉車両センター所属特急形電車。
特急「成田エクスプレス」で使用された。
幕張車両センター所属特急形電車で9両編成。
特急「しおさい」で運用されていたが、2024年3月16日ダイヤ改正で総武本線定期運用より離脱した。
- E257系5000番台
大宮総合車両センター東大宮センター所属特急形電車で9両編成。
千葉駅以東では特急「しおさい」臨時便で運用されていた。
青森運転所(現・盛岡車両センター青森派出所)所属交直流両用特急形寝台電車。
成田線空港支線開通時に臨時寝台特急「ウイングはくつる」として運用された。
大船電車区(現・鎌倉車両センター)・幕張車両センター所属近郊形電車。
かつての主力車両。E217系登場まで特急型車両による運用以外は全て113系が担当していた。
- 211系3000番台
幕張車両センター所属の近郊形電車。
209系に置換えられるまで千葉以東の普通列車で使用された。置換後は中央本線へ転属。
JR貨物所属
- EF64形1000番台
愛知機関区所属電気機関車。EF210形置換のために導入されたが、同形式復帰に伴い運用を離脱した。
- EF65形1000番台
新鶴見機関区所属電気機関車。かつての総武本線貨物列車主力機関車。
千葉機関区所属ディーゼル機関車。鹿島線直通貨物列車を牽引していた。