マジンガーZ(巨大ロボット)
くろがねのしろ
概要
マジンガーZはアニメ・漫画作品「[マジンガーシリーズ」に登場する主役ロボットの名称。
また、「鉄(くろがね)の城」の二つ名を持つ搭乗型巨大ロボットであり、スーパーロボットの元祖。
本機だけでは起動せずホバーパイルダー、またはジェットパイルダーと言う小型戦闘機が頭部に合体(パイルダーオン)しコクピットとなる事で起動する。
掛け声とレバーアクションにより機動する事が出来る。
開発経緯として、兜十蔵博士がDr.ヘルの脅威を察知し、その対抗手段として秘密裏に開発した。博士曰く「神にも悪魔にもなれる」戦闘用ロボット。
その後、幾度となく現れる機械獣や凶悪な敵相手に戦う事となった。
「超合金Z」は富士火山帯のみ産出される新元素「ジャパニューム」には合金用と燃料用の2種類が存在する。核分裂を使用しない合金用ジャパニュームは他合金と混合させる事で、格子欠陥の無い合金になる性質を持ち、その特異な性質からジャパニューム合金は、「超合金」と呼ばれる。更にこれにある合金と混合させ精製したのが「超合金Z」となる。
エネルギーは「光子力エネルギー」が用いられ、このエネルギーは燃料用ジャパニュームが臨界量に達し、核分裂を起こす過程に於いて抽出された光エネルギーである。
超合金Zには耐用時間が存在し、限界を超えると光子力の発生・放出に支障が生じる為に、定期的なオーバーホールがと交換が必要となる。
度重なる超合金Zの耐久力と光子力エンジンの出力強化により、その戦闘力や武器の威力は物語によって変化する。
この2つを利用したビーム兵器や強力なミサイル等により全身が武器となっている。
また、口からは消火液や酸に暴風、指先からは電磁波の放出、バリアーで超音波攻撃を防ぐ事も可能で、機動性にも優れている。
その戦闘能力はアメリカ海軍第7艦隊に匹敵するとされる。
レーダーカメラが内蔵されており、機械獣の戦闘の最中記録を行い光子力研究所で分析が行える。
しかし、陸戦を主体に置いている為、飛行能力・水中能力は装備されておらず、中盤からは飛行型や水中型の機械獣相手には苦戦を強いられる場面が見られた。事実、劇場版マジンガーZ対デビルマンでは不動明/デビルマンに空が飛べない事を見抜かれていた。
後に、この対策としてゴードン博士の協力を得て、足裏に水中航行用の光子力ロケットを装備。更に飛行強化として、スミス博士との共同開発による新装備ジェットスクランダーで飛行能力を獲得した事で、マジンガーZは陸・海・空とフィールドを選ぶ事無く戦闘を展開する事が可能となった。
しかし、TV版最終回で、新勢力ミケーネ帝国が送り込んだ2体の戦闘獣の圧倒的な力に完膚なきまでに叩きのめされ破壊されてしまう。これまでかと思われた時、【マジンガーZそっくりなロボット】が現れマジンガーZを救った。
その後、続編のグレートマジンガーの作品にて再登場。装甲を超合金NZに換装し、新型光子力エンジンを積んだ事でグレートマジンガーに匹敵する性能を得る。これにより、戦闘獣との闘いも可能となった。
劇場版マジンガーZ対暗黒大将軍では、マジンガーZはグレートマジンガーとの協力で、獣魔将軍と7代将軍のハーディアス、ライガーン、ドレイドウのトドメを刺した。
マジンガーZ/INFINITYではマジンガーミュージアムに展示されており、INFINITYの攻撃で消失されたかに思われたが、消失したのはレプリカで、本物は旧光子力研究所に保管されていた。
誕生経緯と影響
デビルマンの後作品として始まったのが事の発端。原作者永井豪氏が、車の渋滞を目の当たりにした際、「車の底から足が出て、いきなり立ち上がり、前の車を跨いでいったら面白いのになぁ~。」と思い立つ。
そこから着想を得て、初期構想で【アイアンZ】が誕生。この時既に、【ブレストファイヤー】等のマジンガーZの初期武装が設定されていた。主人公は、【風進(かぜすすむ)】で、マフラーを靡かせながらバイクに乗り、バイクに乗ったままアイアンZとドッキングする。と言う設定が出来る。
その後デザイン変更等を経て、Zは西洋甲冑をイメージして、頭部を守るとして兜が硬いから【兜甲児】と完成するに至る。また、機体の名称も光子力の凄いエネルギーで稼働する【エネルガーZ】に変更するが、インパクトに欠けると言う事で、マシン(機械)と魔神(魔人)、エネルガーの「ガー」、究極を意味するZを足して、【マジンガーZ】が誕生する事となった。
アクション面では、甲児がバイクで敵と戦い、ピンチとなった際にロボットに搭乗するという【アクションの連続性】を永井豪氏は思い描いていた。
更に、スポンサーだった東映の意見として、当時大ヒットしていた【仮面ライダー】とバイクが被る為、回避案として【パイルダー】が生まれる事となる。漫画版ではその名残で操縦桿がバイクのハンドルの様になっている。
ロボットアニメはこれ以前には存在していたが、【人が搭乗しアクションを促す巨大ロボット】は前例が無い全く新しい世界観で、以降のロボットアニメに多大な影響を与えた。
また、度重なる強化改造や新アイテムの追加は、後続のロボット作品のみならず他作品にも受け継がれる事となる。
だが、この時期、ロボット作品のブームは下火となっていた事もありマジンガーZもスポンサーから冷遇される扱いを受けていた。メインスポンサーである【万創】が倒産、後任として【ポピー】がスポンサーに就任。また、東映が制作した仮面ライダーの付き合いで、最初の3ヶ月だけと言う条件付きでスポンサーとなった。「ロボットアニメの玩具は売れない。」と言われてしまうが、いざ放送すると高視聴率をたたき出し、スポンサー側も急遽玩具の製造を進める。そして【ジャンボマシンダー】、【超合金マジンガーZ】が大ヒットとなる。
この大ヒットを受け、玩具メーカーが前向きにスポンサーになった為、様々なロボットアニメが制作されるようになった。
また、マジンガーZが他作品のロボットと比較して特異と言われた原因として、マジンガーZが【純粋な機械として描かれていた】点が挙げられる。この当時ロボットは心を持った人類の友達と言う描き方がオーソドックスであった。
マジンガーZでは乗る人の意志によって善にも悪にもなると言う事が描かれた。この事は漫画、アニメでも色濃くメッセージとして取り入れられている。
デザインについて
漫画版
- 眼部の縁取りが赤くなる。
- 胸の胸部高熱板が緩いカーブを描いている。
基本スペック
全長 | 約18m(INFINITYでは25m) |
体重 | 約20t |
握力 | 約150t |
歩幅 | 約6.8m |
歩行速度 | 約50km/h |
走行速度 | 約360km/h |
ジャンプ力 | 約20m |
動力 | 光子力エネルギー |
材質 | 超合金Z |
所属 | 光子力研究所 |
武器
飛ばせ、鉄拳ロケットパンチ!
飛行速度:マッハ2、射程:2km。
第2話から使用。マジンガーZと言えばこの技。握り拳を作り前腕部を光子力利用ロケットの噴射で飛ばすマジンガーの代名詞とも言える必殺技。
遠隔操作で戻ってくる事も可能。戻ってくる際は指先のブースターで逆噴射するが、序盤だけで逆噴射で戻ってくる事は以降の回ではしなくなる。第73話で指の噴射を利用している為、機能自体は残存している模様。ロケットパンチは射出後、マニピュレーターとしても機能を果たす。
第19話の対デビラーX1の一度だけ鎖で繋がった物を使用した事がある。
版権作品・バンプレストオリジナル問わず、人型機動兵器に同様の武装が取り入れられる事がしばしばあり、後世の作品に多大な影響を与えた武装である。
余談だか、このロケットパンチの元ネタとなったのは『デビルマン』のシレーヌ戦との事である。
また、ロケットパンチはマジンガーZが元祖では無く、漫画版『ジャイアントロボ』第二部に登場したGR2の「強力プレス手」である。
- 強化ロケットパンチ
第54話のみ使用。3博士がジェイサーJ1に対抗する為に開発した新型ロケットパンチ。
時間差攻撃として片腕の通常のロケットパンチ射出後に発射した。本来ならば両腕に実装されるはずだったが、焦る甲児が迫る機械獣に立ち向かう為に、片腕だけ強化された状態で出撃した。
飛行速度:マッハ3。
第72話から使用。3博士がロケットパンチを新造した。予備動作として腕をぐるぐると回して大車輪を発動し、敵目掛けて撃つと攻撃を可能にした。デメリットとして使用時は全動力を止め、エネルギーを集中させる必要がある。
空中・水中問わず使用出来、通常のロケットパンチの3倍の威力がある。ドッキング時は横回転か主翼を立てて回転させることがある。(第76、78話)
使用してから、第92話まで最もトドメを刺した必殺技である。
飛行速度:マッハ2、厚さ:20cm。
第59話から使用。ロケットパンチの強化型。前腕部に仕込まれたカッターを左右から展開し、敵を切り裂く。
実は作中、このアイアンカッターが直撃して斬れなかったものは存在しない。
『グレートマジンガー』最終回では、最後の戦闘獣グレート・マンモスのトドメを刺した。
『INFINITY』版では、腕を発射せずにカッターだけを展開し、近接斬撃武器として使用するシーンもある。『小説版INFINITY』では操作性がロケットパンチに劣るとされている。また発射しないで展開したままで、グレートマジンガーのアトミックパンチのように回転させながら攻撃する場面も存在する。
- スペシャルダブル攻撃
第74話のみ使用。ハルピアΠ7戦にて披露したロケットパンチ+アイアンカッターの連携攻撃。トドメに光子力ビームを浴びせた。トリプルな筈なのにダブルと言うのは不明。
今だ、出すんだ!ブレストファイヤー
温度:約3万(30000)℃、射程:1km。
第5話から使用。光子力反応炉の熱エネルギーを胸部高熱板から放射する必殺技。発射する際はマスキュラーポーズを取り胸を突き出す。
どの技よりも強力で、最もエネルギー消費が激しく乱用や長時間の連続使用は故障やオーバーヒートとなる。第91話で最後の機械獣ハリビューンV6とサイガO3を倒した技。『グレートマジンガー』最終回でマジンガーZが最後に使ったのもこの必殺技。
甲児が初めて技名を叫んだのが、このブレストファイヤーである。
威力:TNT約10t分、射程:約500m。
第2話から使用。両目から発射する貫通力に優れるレーザービーム。設定上の威力はミサイルパンチより下だが、原作ではブレストファイヤーの次にトドメとして活躍している。基本的に黄色の光線状だが、第2、6、9、13話では赤色、アニメOPではピンク色のリング状で描かれていた。
風速:80m、射程:4km。
第2話から使用。頭部の左右にある吸い込み口から大気を吸い、正面の放射口から強酸を纏った突風を放ち、対象物を高速で劣化・風化させる必殺技。序盤では吸い込み口からも放つシーンが見られた。
原作では何度か反射された事があり、その際は主にロケットパンチが被害を受けていた。つまり、超合金Zですら劣化・風化できる事になるが、その一方で放出口が影響を受けた事は無い。
余談ながら、ルストとは「錆」の意を持つ英単語「rust」に由来し、本来ならば「ラスト」と発音する…のだが、マジンガー系の必殺武器名では必ず「ルスト」と呼称するのが、お約束である。
飛行速度:マッハ3、毎秒:2万(20000)回転、威力:TNT300t分。
第60話から使用。3博士が極秘で実装した新兵器。腕が展開し肘部の各六門の発射口から回転しながら射出するドリル型ミサイル。敵の装甲を貫通させる事が主目的のため火薬は搭載されていない。劇場版や『グレートマジンガー』では発射口が回転しながら発射されるシーンが存在する。
『INFINITY』ではロケットパンチ時の基部と肘部を分離させて行う構図になっている。
OVA版では使用しない。漫画版ではドリルではない普通の小型ミサイルのアームミサイルという武装が搭載されていた。
- 冷凍ビーム(冷凍光線)
第71話から使用。側頭部横の耳にあたるレーダーアンテナから発射する-180度の冷凍光線。
真夏の湖を一瞬にしてスケートリンクに変えられる程の威力がある。ジェットパイルダーの開発と同時に行われたマジンガー強化計画にて搭載されるが、飽くまで戦況を有利にする為の補助的兵装に過ぎず劇中では決め手に成った事が無い。OVA版では使用しない。
消火としても利用され第71話ではボスボロット、第83話ではダイアナンAを氷漬けにした。
威力:TNT100t分。
第4話から使用。腹部から発射。体内でミサイルを製造が可能で、10秒間に連続40発が出来る。
『INFINITY』では3Dプリンターによる製造となっている。
第39話で弾切れを起こしていた事から限りがある様子。
スクランダーとドッキング時はベルトを外すか、ベルト中心が開口して発射する。
- フィンガーミサイル
第10話のみの使用。
指先をミサイルとして発射する。対ダイアンN4戦で使われ、トドメを刺した技。
ロケットパンチの指先はブースターでもあるので、辻褄が合わないと判断されたのか一度しか使われておらず、マジンガーZの殆どの武器を使用した『INFINITY』でも使われなかった。
- ブレストファイヤーバリヤー
第3話のみ使用。胸部の高熱板から発したバリアーで、グロマゼンR9のイオン光線を跳ね返した技。
- 消火液
第7話のみ使用。対オゾネスB3戦で使用した消火液。口から発射する構成となっている。
- ハンマーパンチ
第28話のみ使用。百裂拳の様に連続で打つ。
- 巨大スコップ
第55話のみ使用。雪かきの時に使ったスコップ。甲児のやる気が無くなったので1000円でボスボロットに交代してもらった。
- スキー板とパラシュート
第55話のみ使用。大雪の富士山を大直滑降する為に3博士が開発したマジンガーZ専用のアイテム。
- マジンジャンプ
ジャンプ力:500m(光子力ロケット使用時)
- マジンパワー
第29話から使用。この能力は一度全動力をシャットダウンしその後再起動させ、蓄積していた全エネルギーを放出させて発動する。緊急時の対策として利用した。
第87話にてエネルギーを集中させた光子力ビームでピグマン子爵を撃破した。
- マジンキック(マジンガーキック)
マジンキックは第58話から使用。マジンガーキックは第35話から使用。
この攻撃、マジンキックとマジンガーキックの2パターンがあるが違いは不明。
呼称的にはマジンキックの方が多く、続編の『グレートマジンガー』第54話でも使用された。
- 光子力ロケット噴射装置
水中速度:約20ノット。
第18話から使用。海中で機械獣に対抗する為にゴードン博士とその娘リサの協力で実装された装置。後にジェットスクランダーにドッキングする為に補助ロケットとしても使用された。因みに、最初にマジンガーZに追加された新兵器である。
- 赤外線サーチライト
対バルカンP5戦で使われた際、パイルダーから発射して対象を探し当てた。
- 高圧電流
第46話のみ使用。ブラザスS1とブラザスS2戦で使った技。身体全体から放電する。高圧電流はアフロダイAや機械獣も使っている。
- 電磁波
第77話のみ使用。研究所地下に潜りこんだ自爆が目的のブラスターA7を地上へ追い出す為に使用した電磁波。指先から放出する。
- アンチウェーブバリアー
第85話のみの使用。せわし博士が対レイヤスD5開発した超音波防御装置。
マジンガーZに実装された最後の新兵器。
TV版では無く、劇場版『マジンガーZ対暗黒大将軍』にて使用。グレートマジンガーの両大腿部から射出される超合金NZ製の剣。この時だけ柄の赤いマジンガーブレードが登場。
飛行ユニット
翼長:18m、重量:1t、最高速度:マッハ3、最高高度:2万(20000)m
劇場版『マジンガー対デビルマン』、TV版では第34話から使用。
スミス博士の協力の元で完成されたオプション装備。パイルダー号の誘導装置が作動すると無線誘導で光子力研究所から飛行し、マジンガーZとドッキングする。この時、十字架の様な姿になる為「スクランダークロス」と呼称されている。ドッキング後も遠隔操作でマジンガーZからパージが可能。
合体時はアンテナが畳まれている事が多く、スピードに応じて主翼が前後に可動する。
第62話では誘導装置がOFFの時はコントロールタワーで遠隔操作が出来る様にプログラムされている。第73話で尾翼を変更し、最高速度がマッハ3より高くなっている。
第82話では地球が丸く見える高さまで上昇している。深海でも活動は可能だが、ドッキングは不可能とされている。(第84話)
第85話ではドッキングの際にレイヤスD5とぶつかり偶然、トドメを刺した。
分離時のジェットスクランダーは合体時と比べ10倍の能力を発揮が出来る。(第57話にて。)
- スクランダーカット
スクランダーの主翼で敵を切り裂く。
- スクランダージャンプ
第65話、第84話で使用。この技、2回とも機械獣に阻止されて失敗している。
- サザンクロスナイフ
第73話から使用。スクランダーの主翼から射出される十字手裏剣型ミサイル。
これを発射・内蔵する為に主翼が改造され、断面の色も青色へと変化した。
スクランダー分離時も発射が出来る。
余談
- 「神にも悪魔にもなれる」と言うセリフ、鉄人28号のOPにもあった「良いも悪いもリモコン次第」を操縦者に置きかけた表現となっている。事実、永井豪氏は鉄人28号の影響もあり本機が生まれたと言う。
- よく「左手を右の二の腕に添え、右の握り拳をこちらに向けて構えているマジンガーZ」という、ロケットパンチの発射直前をイメージしたイラストが様々な媒体で公式・非公式問わず描かれ、Zを象徴するポーズとしてマスキュラーポーズ(所謂ブレストファイヤーの発射姿勢)と並ぶほどに認知されているが、実は、劇中でこのポーズを取ったことは一度も無い。またこの構えからロケットパンチを発射したことも一度も無い。しかし、後に真マジンガー版のZがこの構えから実際にロケットパンチを放っており、スパロボでも再現されている。
- 本機だけでは無いが、マジンガーシリーズの味方機体は、機械獣などの敵機体に対して非常に重量が軽く、設定上は1/10ほどしかない。それでも難なく格闘戦が出来る事から、凄まじい力を有している。
- プロトタイプガンダムの配色は、マジンガーZからのオマージュ。
- スーパー戦隊の『激走戦隊カーレンジャー』に、本機ソックリの敵ロボット「バリンガーZ」が登場する予定だったが、上層部の自主規制によって急遽ノリシロンに差し替えられている。尚、この件についてダイナミックプロは、一切関与していない。