- 『ポケットモンスター』シリーズに登場するウルトラビーストの一種。本稿で詳述。
- 音楽用語(feroce)。「野生的に激しく」という曲想を表す標語。元は「荒々しい」「狂暴な」「残酷な」などを意味するイタリア語。
「かぶりん」
基礎データ
全国図鑑 | No.0795 |
---|---|
アローラ図鑑 | No.395 |
ローマ字表記 | Pheroache |
UBコードネーム | UB02 BEAUTY |
分類 | えんびポケモン |
タイプ | むし/かくとう |
高さ | 1.8m |
重さ | 25.0kg |
特性 | ビーストブースト |
せいべつ | 不明 |
タマゴグループ | タマゴみはっけん |
各言語版での名称と由来
言語 | 名称 | 由来 |
---|---|---|
日本語 | フェローチェ | pheromone(英語でフェロモン)+feroce(イタリア語で激しい)+cockroach(英語でゴキブリ) |
英語・スペイン語・イタリア語 | Pheromosa | pheromone(フェロモン)+hermosa(スペイン語で美しい)+formosa(ポルトガル語で美しい) |
ドイツ語 | Schabelle | Schabe(ゴキブリ)+belle(美女) |
フランス語 | Cancrelove | cancrelat(ゴキブリ)+love(英語で愛) |
韓国語 | 페로코체 | 日本語名に同じ |
中国語(簡体字) | 费洛美螂 | 费洛蒙(フェロモン)+美+蟑螂(ゴキブリ) |
中国語(繁体字) | 費洛美螂 | 費洛蒙(フェロモン)+美+蟑螂(ゴキブリ) |
コードネーム
言語 | 名称 | 由来 |
---|---|---|
日本語 | UB02 BEAUTY | beauty(英語で美しさ) |
英語 | UB-02 BEAUTY | 日本語名に同じ |
ドイツ語 | UB-02 Schönheit | Schönheit(美しさ) |
スペイン語 | UE-02 Elegancia | elegancia(優雅) |
フランス語 | UC-02 Beauté | beauté(美しさ) |
イタリア語 | UC 02 Elegantia | elegantia(優雅) |
韓国語 | UB02 뷰티 | 日本語名に同じ |
中国語(簡体字) | UB02:美丽 | 美丽(美麗) |
中国語(繁体字) | UB02:美麗 | 美麗 |
概要
初登場は「ポケモンSM」。アローラ地方を脅かす謎の存在ウルトラビーストの一種。
UB02BEAUTY(ビューティー)というコードネームで呼ばれている。
華奢な人間の女性と脱皮直後の白く透き通ったGをかけ合わせたような、半人半虫の容姿を持ち、どんな生物も魅了するフェロモンで相手を虜にするという能力と、落雷すら回避する圧倒的な瞬足が特徴。
細くしなやかな脚で生み出した爆発的な加速は瞬間200km/hを超えるとされ、現在発見されたどんな生物よりも速いと言われている。
これよりも高い最高時速を出せるポケモンはギャロップ、ピジョット、カイリューと多く存在するものの、最高時速にたどり着くまでの加速にある程度時間を要することを考えると、一瞬で200キロオーバーという瞬発力がいかに恐ろしいかが分かるだろう。
その瞬間の重力もかなりのものとなるはずだが、負担を抑えるため極限まで細い身体になったという考え方もできる。
実際フェローチェは高さ1.8mに反して僅か25kgしかない。人間なら餓死では済まない。
ただゲームでのステータス上ではもっと早い虫タイプの先輩であるテッカニンがいるのだが(火力についてはフェローチェが格段に上)。
剣盾の「冠の雪原」にてフェローチェが追加された際は、キャンプで作るカレーの食べる量もひと匙程度しか食べないことが判明した。
また、対峙したあらゆる生物を魅了させ、まごつかせて戦意を失わせる力も持っており、この事から「未知のフェロモンを生成する器官を持っているのではないか」と考えられ、現在専門家たちが研究を進めている。
姿に違わず立ち振る舞いは気品に溢れ女性的だが、従来のポケモンの生態に当てはまらないUB故、ゲーム上の扱いは性別不明。
内面も冷静で知能の高さが窺えるものの、気高く冷酷な気質でもあり、「こちらの世界のものに汚れを感じるのか一切触ろうとしない」とされ、実際他の生命体に対しては無関心にも近い見下した態度を見せる。
ちなみ元になったであろうGも実はきれい好きな生物であり、野生下での彼らは森の掃除屋として枯れた草木や生き物の死骸を土へと返すために必要不可欠な存在である。
嫌われ者としてのイメージが強すぎるが、各国や地域に根差した在来種たちは人里へは滅多に降りてこない。逆に家に来るタイプの種は人間のいる環境に適応しすぎて生まれてからずっと病原菌まみれであり、本当の意味で汚い。また、そうした連中の9割以上がかつて他の国からやってきた外来種であるというのはフェローチェ達UBの真の元ネタともいえる。
名前の由来は、フェロモン+ローチ(G)とイタリア語で『速い・荒々しい』を意味する「ベローチェ」。英語表記の「Pheromosa」の由来はpheromone(フェロモン)とhermasa(スペイン語で美しい)、 formosa(イタリア語で格好のいい女性)から来ていると思われる。
分類のえんびポケモンは艶美の事だと思われるが、頭部の形状から「燕尾」を指しているとも解釈可能。
色違いは下半身が黒く、よりセクシーな外見になっている。
ウルトラデザート
ウルトラムーンのみ、ウルトラワープライドで白いホールを通ると行くことができるフェローチェの世界。
辺り一面が白い砂漠で、そのあちこちに青緑色に輝く宝石のような鉱物が入り混じっている。これほど綺麗な景色が広がっている世界に生息しているのなら、フェローチェが慣れない世界の物に触れようとしないのも頷けるかもしれない。
なお、道中はゴツゴツした地面や大きな岩などが多く、先へ進む場合はライドポケモンの力が必要不可欠。最後の大きな岩をカイリキーで押したその先にフェローチェがおり、話しかける事で戦闘に突入する。
ここで戦うフェローチェのレベルは60。
一見、フェローチェのモチーフであるゴキブリからは砂漠を連想しづらいが、エジプトには砂漠地帯に生息するエジプトサバクゴキブリという種がおり、そこからウルトラデザートに生息しているという設定ができたのだと推測される。
ゲーム上での特徴
相方の「UB02 EXPANSION」ことマッシブーンとは対に、ムーンバージョンでのみ出現する。
初登場はストーリー中、メレメレ島に出現しカプ・コケコと対決するシーン。
が、実際にプレイヤーが遭遇・捕獲できるのはエンディング後となる。
ウツロイドがリーリエと姿が似ているのに対して、こちらはルザミーネと非常によく似ているが、この点についてゲーム内での具体的な説明はなされていない。
『ポケモンマスターズ』ではこの点が反映されたのか、ルザミーネとバディーズを組んでいる。
種族値
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
71 | 137 | 37 | 137 | 37 | 151 | 570 |
マッシブーンと同様、これまでヘラクロス固有であったむし・かくとうの複合タイプ。
相方が物理特化の種族値配分に対し、こちらは特殊寄り…かと思えば、特攻のみならず攻撃にも相当なステータスを割いた尖った配分となっている。禁止級の外れたデオキシス(ノーマル)を想像するとわかりやすい。
特筆すべきこととして、その素早さは種族値だけで見ればレジエレキ、スピードフォルムデオキシス、テッカニンに次ぐ全ポケモン中第4位。ウルトラビーストの中では最速を誇る。たった1の差だが、メガフーディンやマルマイン、メガプテラやデオキシス(ノーマルフォルム、アタックフォルム)より速い。
HPはデオキシスよりはあるものの、防御・特防ともにそのノーマルフォルムよりも低く、弱点・耐性関わらず、ちょっとでも攻撃されれば致命傷と考えてよい。4倍弱点の飛行タイプは何とつつかれるだけで倒れることも。
さすがに先制技の1発くらいなら大丈夫であるが。この辺はどこか同じく紙耐久の鮫に似ている。
その代わり、攻撃能力はとんでもない水準なので、『やられる前にやる』という戦闘スタイルが必然的に主流となる。持ち物もきあいのタスキやいのちのたまに絞られていくだろう。
マッシブーンがパンチ技を多く覚えるのに対し、こちらは「けたぐり」・「トリプルキック」・「とびひざげり」など多くのキック技を覚えるのが特徴。
「むしのさざめき」や「きあいだま」のようにメインウェポンになり得る特殊技もあるが、それ以外のサブウェポンとなると種類が乏しいため、物理技をメインとして「れいとうビーム」だけ仕込む等の両刀型で運用する人が多い。
というより、元々極端に脆いせいで性格補正のマイナスを耐久面にかけても大したデメリットにはならないという理由から、さみしがりややんちゃといった防御・特防下降の性格が基本となっている。
さらに性格補正を素早さにかけなくてもサンダース等より速い上、ビーストブーストでは自分のいちばん高い能力値が上がるのでそれを活かすため、高速アタッカーでありながら必ずしも素早さ上昇系の性格が選ばれないケースもある、とかなり特異な存在。
分かりやすい高速アタッカーとしてトレーナーの使用率が高いため、先手を取った「とびひざげり」は読まれやすいことに注意。
特に技の都合上、ゴーストタイプ相手だと不利になりやすく、タイプ一致技がゴースト以外にフェアリー、どく、ひこうにも半減以下にされる。フェアリーには「どくづき」、ひこうには「れいとうビーム」で弱点を突けるが、ゴースト・どくにはどうしようにもない。
こういった理由から、めざめるパワーのタイプに滅多に選ばれないゴーストタイプが挙がることもある。
…と思ったが、ウルトラサン/ウルトラムーンでは教え技としてドリルライナーとじごくづきを習得できるようになり、めざめるパワーに頼らずともゴーストやどくタイプに弱点を突けるようになった。
物理系の積み技は一切習得できない為、火力の底上げはいのちのたまや「ビーストブースト」頼りである点には注意が必要(そもそも耐久面が弱いので積んでる暇は無いと思うが)。
因みに第7世代黎明期の対戦準備に各プレイヤーが追われる段階では、火力と速度だけに有効なVが入った妥協個体が対戦施設攻略によるBP稼ぎに使われることもあった。
第8世代
第8世代では待望の命中安定の格闘技、「インファイト」と物理氷技、「トリプルアクセル」を習得。物理一辺倒でもひこうタイプに勝てるように。またトリプルアクセルは連続攻撃のため特性マルチスケイルのカイリュー相手にも強気に出られる(フェローチェは最速ならりゅうのまいを一回積んだカイリューよりも速い)。
また特性ビーストブーストとダイマックスの相性は高く、ダイナックルで相手を倒せば攻撃と素早さが一段階上昇し、実質りゅうのまいを積むのと同じだけの強化ができる。またとびはねるを覚えるのでダイジェットでさらにすばやさをあげることもできる。
しかしフェローチェよりも圧倒的に速く、火力もあるレジエレキには手も足も出ずやられてしまう事もあるので注意。また基本的に有利なカイリューもA特化でこだわりハチマキ持ちのしんそくだとBに振っていないと確1になるため、場合によっては返り討ちに合う。
元々の耐久が非常に低いのでダイマックスでHPが倍加しても耐久力はあまり向上しないため、切り所を間違えると逆に窮地を招きかねない。
余談だが「こうそくいどう」は勿論、何故か「ちょうのまい」まで習得できてしまう。
Gモチーフのポケモンにまで覚えさせてしまうとはこれいかに。…まぁ、虫でも何でもないドレディアも覚えるため、そこは大した問題ではないのかもしれないが。
ちなみに第8世代の時点ではモチーフ的にピッタリなダストシュートも覚えないがどくづきは覚えられる。
使用トレーナー
ゲーム版
※『ポケモンマスターズ』でのバディ
番外作品
ポケモンGO
初登場は2022年7月1日~3日に開催された「Pokemon Go Fest 2022 Berlin」。ドイツ・ベルリンの時間帯で受け取れるフィールドリサーチから入手できる。
その後、同年8月27日に開催された「GO Fest フィナーレ」にて、ウツロイド、マッシブーン、デンジュモクと共にレイドボスとして登場し、事実上の一般配布が行われた。
性能
原作同様、高い攻撃に紙耐久という極めて極端なもの。原作ではそこを素早さの高さである程度カバーできていたのだが、生憎本作には素早さの概念がない。さらに、バトルもジム・レイド戦・PvP共に常に技の激しい応酬となる仕様であるため、耐久の低いフェローチェにはこれもまた不利となっている。
要するに、ステータスの極端な割り振りが本作のバトルの仕様と全く噛み合っていないのである。
そんなわけで、残念ながらこれといった活用の為所がなく、コレクション用のキャラとしての立場に甘んじてしまっているのが現状である。
ポケモンマスターズ
ルザミーネ&フェローチェ
エピソードイベント「団結!リーリエ一家!」から、ルザミーネのバディとして参戦。原作において、プレイヤー達から似ていると言われながらも接点がなかったが、本作でついに実現した。
ルザミーネはフェローチェがある日突然現れて以来行動を共にしているらしく、フェローチェを「女王様みたい」と感じるなどバディとして大切に思っている様子。
性能としてはこうげき・とくこう共にLv.135時点では502と、全バディーズの中でもトップクラスの高いステータスを誇るむしタイプの強力な両刀特殊アタッカー。
技
むしのさざめき | 10%の確率で相手の特防を1段階さげる |
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とびかかる | 相手の攻撃を1段階さげる |
ふぶき | 天気があられのときは攻撃が必ず命中する。10%の確率で相手をこおり状態にする |
安心なさい | 自分の回避率と急所率を1段階あげる。自分がピンチのときは自分のHPを最大HPの約40%回復+自分のわざゲージを2増やす |
バディーズ技
深い 深い 愛の ぜったいほしょくかいてんざん |
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追加効果なし |
パッシブスキル
無傷登場時こらえる | HPが満タンで登場したときに自分をこらえる状態にする |
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技後技ゲージ増加4 | 技が成功したときに50%の確率で自分のわざゲージを1増やす |
とどめ時攻撃特攻↑3 | 技をつかって相手を倒したときに自分の攻撃と特攻を3段階あげる |
アニメ版
『アニポケ・サトシの旅シリーズ』
- サン&ムーン114話
- 登場直後にGを彷彿させる動きで高速移動しあてどなくさまよっていたところハラの家に到着。突然の来訪にハラはハリテヤマで応戦するも難なく撃破されZクリスタルを奪われてしまう。
- どうやらZクリスタルに惹かれたようで各地のトレーナーのZクリスタルを強奪しまくる。もちろんサトシ達のZクリスタルも強奪し、サトシ達は応戦するも俊足に翻弄され手も足も出ないまま去られてしまう。また、サトシ達はZクリスタルを囮にしてフェローチェを捕獲しようとするが、どう見てもゴキブリホイホイである。
- そんな折、ロケット団の元にも訪れたがここでニャースを魅了してしまう。Zクリスタル欲しさにをあれやこれやと振り回すが、最終的に献身的に尽くしたニャースを一顧だにせず切り捨て、うちひしがれた彼を見たキテルグマが大激怒。
- サトシのピカチュウすら寄せ付けぬ俊足を以てしてもキテルグマの不意を突くこともできず一方的に攻撃されダウンする。棚ボタの形となったサトシ達に捕獲された。
- ウルトラホールに帰される際は不服そうにあっかんべーをしていた。
漫画版
『ポケットモンスターSPECIAL』
第14章に登場。アローラ地方の各島のキャプテン達が「いかがわしきやしき」に乗り込んだ際にウルトラホールから現れ、キャプテン達だけでなくスカル団の下っ端達も見境なく襲う。
カキのアローラガラガラやマオのアママイコを倒し、サンがジーナから貰ったばかりの通信用メカヤヤコマを破壊。壁の外に出るとアーカラ島へと上陸。
半年後には複数の個体がエーテル財団に利用されてラナキラマウンテンの警備を行っていたが、特訓を積んだカキとマオに撃破された。
余談
魅了
相手を魅了するという設定だが、別に特性が「メロメロボディ」でもなければ「メロメロ」や「ゆうわく」などの性別に関わる技を覚えるわけでもなく、初めて姿を現すカプ・コケコとの戦闘シーンでも特に魅了している様子はない。
そもそもフェローチェは性別不明で、ポケモンの技にも「メロメロ」があるが、効果があるのは異性のみ。その辺はポケモン世界ではよくあることである。
触れ合い
触れ合いを嫌うとも書かれているが、撫でたら喜ぶし、ポケマメをあげると食べてくれるのも、ゲームの仕様だから仕方がない。
個体差や性格もあるため、もしかしたらデレデレに懐いてくる個体も居るかもしれない。
まさかの……
2023年3月9日、シンガポールの自然保護区で発見された新種のゴキブリにこのポケモンの名前が名付けられた。
その名も「Nocticola pheromosa」。名付け親の昆虫学者フー・マオ氏曰く『自分も共同研究者もみんなポケモンファンなので、ゴキブリにインスパイアされたポケモンの名前を付けようと考えた』とのこと。
関連イラスト
関連タグ
ポケットモンスター ポケモン ポケモンSM ポケモンUSUM
0794.マッシブーン→0795.フェローチェ→0796.デンジュモク