『彼が帰って来る。The Legend is back』
『最強とは何かーーー』
概要
2019年7月12日に公開された劇場版ポケットモンスターの新作。
劇場版ポケットモンスターとしては通算22作目、『キミにきめた!』から始まったリブートシリーズとしては3作品目に当たる。ただし、リブートシリーズで共通して用いられていたタイトルロゴは今作では用いられておらず、それどころかそもそも正式タイトルに『劇場版ポケットモンスター』がついていない異例の作品。また、元号が令和に変更されてから最初に公開される国産のポケモン映画でもある。
タイトルからもわかる通り、映画第1作として公開された『ミュウツーの逆襲』のリメイク作品。
1998年版の映画作品のリメイク作品かつポケモン映画としては初のフル3DCG映像作品にして、MX4Dおよび4DXでの上映が行われる作品となる。
台詞収録においてはシリーズ初のプレスコを採用。これにより2018年8月13日に逝去した石塚運昇氏も新録のナレーションとしての出演を果たしており、氏の遺作の一つとなる。
リメイクということで本作はミュウツーの逆襲当時健在だったスタッフ・キャストもクレジットされている(首藤剛志など)。そしてミュウツーは1998年版と同じく市村正親。ゲスト俳優が再び同じ役で起用されるのは史上初である。
また、ミュウツー以外の登場キャラクターも1998年版に準拠しており、当時のサトシの仲間であったカスミとタケシが再登場する(カスミは第5作以来17年ぶり、タケシは第13作以来9年ぶり)他、ゲストキャラクターは続投しているが、海賊風トレーナー・ボイジャー・ジュンサー以外の面々はキャストが変更されている。
主題歌は『ミュウツーの逆襲』の「風といっしょに」を担当した小林幸子に加え新たに中川翔子が担当する事になり、『神速のゲノセクト_ミュウツー覚醒』の主題歌「笑顔」のいきものがかりのプロデュースを担当した事がある亀田誠治がアレンジで名曲をコラボする事になった。
1998年版は、シリーズの記念すべき第1作であると同時に歴代最大の興行収入をマークし、今なおシリーズ最高傑作との呼び声も高い作品であるだけに、そのリメイクの本作にも大きな注目が集まっていたのだが……(後述)
2019年4月12日から発売された前売り券での配布ポケモンはピカブイで配信される最高Lvのミュウツー。
……正直『ピカブイ』は売り上げが芳しくなく、そもそもNintendoSwitchも品薄の時期だったため前売り券を買っても受け取れないという人も多くいたようだ。
また、この特典内容からある程度類推できた方もいたと思われるが、今作では前々作のマーシャドーや前作のゼラオラに相当する、完全新規の幻のポケモンは登場しない(強いて言えば、アーマードミュウツーがこれに該当するか)。
非伝説ポケモンも含め新規ポケモンが登場しないのは史上初。また、入場者特典もポケモンカードとガオーレディスクのみとなっており、第9作以来13年ぶりに劇場でのゲームデータ配信が行われない作品となっている。
なお、ストーリーは1998年版を忠実になぞったものになっており、大筋に変更はなし。
ただし時代やシリーズの変化に合わせて一部変更および追加が行われているシーンがある(下記参照)。
また劇場版公開と同時に、「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」の本編の他、その後のストーリーとなる「ミュウツー!我ハココニ在リ」のコミカライズ版が発売。
過去のテレビアニメ版の特別編が初のコミック化される稀な事象となった。
作画はPixivでも活動中の五味まちと氏。
スタッフ
登場人物
レギュラーキャラクター
キャラ | 声優 |
---|---|
サトシ | 松本梨香 |
ピカチュウ | 大谷育江 |
カスミ | 飯塚雅弓 |
トゲピー | こおろぎさとみ |
タケシ | うえだゆうじ※1 |
ロコン | 愛河里花子 |
ムサシ | 林原めぐみ |
コジロウ | 三木眞一郎 |
ニャース | 犬山イヌコ※2 |
サカキ | 三宅健太※3 |
ジョーイ | 藤村知可※4 |
ジュンサー | 西村ちなみ |
ナレーション | 石塚運昇 |
※1…『オリジナル版』では上田祐司名義で出演。
※2…『オリジナル版』では犬山犬子名義で出演。
※3…サカキを演じた鈴置洋孝氏から交代。
※4…ジョーイを演じた白石文子氏から交代。
ゲストキャラクター
キャラ | 声優 |
---|---|
ウミオ | 吉野裕行※5 |
ソラオ | 神谷浩史※6 |
スイート | 佐倉綾音※7 |
ボイジャー | 小林幸子 |
海賊風トレーナー | レイモンド・ジョンソン |
トレーナー | 小松昌平 |
フジ博士 | 稲葉実※8 |
発掘隊員 | 大隈健太 |
研究員 | 古島清孝、福西勝也※9 |
ミュウ | 山寺宏一 |
ミュウツー | 市村正親 |
※5…ウミオを演じた高木渉氏から交代。
※6…ソラオを演じた古谷徹氏から交代。
※7…スイートを演じた佐藤藍子氏から交代。
※8…フジ博士を演じた秋元羊介氏から交代。
※9…研究員を演じた宇垣秀成、鈴木琢磨、陶山章央氏達から交代。
中川翔子は今作では声優として出演しておらず、連続出演記録が11年間連続で途切れることとなった。
主な変更点
- OPのバトルにおいて、ピカチュウの電撃で一掃される面子のゴローニャがスリープに変更されている(当時は相性無視の描写が多かった)。
- こおりのつぶてやリーフストームといった、以降の世代で追加されたわざが使用されている。
- ボイジャーの台詞「波止場のカモメ」が「波止場のキャモメ」に変更されており、当時登場しなかったポケモンの名前が出ている。
- 船乗りを装ったロケット団の変装がヴァイキング風からセーラー服にサングラスといった水兵風に、船もラプラス型のスワンボート(本作の公開と同時期に宮城県内で展開された実物と同型)に変更されており、1998年版では女神をモチーフにした船首像に変装していたニャースも本作では船乗りに変装している。
- タケシがナンパしてカスミに耳を引っ張られる、お馴染みのシーンも追加されている。
- 金銀編で発覚した、カスミはギャラドスが苦手という描写が追加されている(現在はメガシンカ出来る程に克服済み)。
- サトシとリザードンの関係性が改善済みとなっており、一緒に食事したり、サトシの言う事も素直に聞いており、時系列は金銀編の最初の頃と思われる(但し、ミュウツーとの最初のバトルで欠伸をした後不意打ちを仕掛けた事で、「躾がなってない」と指摘された部分はそのまま)。
- OVAがメインであるアイツー関連の描写は行われていない。
- 1998年版では誰一人としてミュウのことを知らなかったが本作ではタケシとジョーイは本で存在を知っているに変更された。
……等々、その他細かい描写は現在の設定に合わせて修正が加えられている。
評価
名作のリメイクということで、「あの頃の感動が蘇る」「主要キャストを同じにしただけでなく時代に合わせてブラッシュアップされた良作」として高く評価する声もある一方、
「モデリングが気持ち悪い」「最新世代のキャラクターを出し惜しみしてまでわざわざ過去作品を作り直す意味があるのか?」
「『名探偵ピカチュウ』のミュウツーと真反対の性格をしていて混乱する」「何がどうEVOLUTIONしたのか分からない」など否定的な意見も多い。
そもそも『ミュウツーの逆襲』自体、前日譚『ミュウツーの誕生』がなければ何故ミュウツーが逆襲を決意したのかよく分からない作品であり、また後日譚『ミュウツー!我ハココニ在リ』の放映も行われていないため、「映画公開当時に見に行ったお客さんしか喜ばない」コンテンツ展開になってしまったことは否めない。その影響か、興行収入も29.8億円と前作『みんなの物語』の30.9億円から下回ってしまった。
2022年に同様1998年版の復活上映があったが、このときはリメイクではなくリバイバル(当時の内容をそのまま上映)という形式をとっている。
余談
ミュウツーが劇場版のメインキャラクターに選ばれたのは、『ミュウツーの逆襲』『神速のゲノセクトミュウツー覚醒』に続き、これで3度目。今のところ、劇場版で3回以上メインを張ったのはミュウツーが唯一である。
2019年5月(日本ではGW中の5月3日、それ以外の国・地域では5月10日)には、レジェンダリー・ピクチャーズ製作、ワーナー・ブラザーズ配給(日本では東宝が配給)の実写映画『名探偵ピカチュウ』が公開された(さらに言うと、こちらにもミュウツーが重要な役どころで登場してくる)。このため、2019年は実質ポケモンの長編映画が2作公開されるというポケモンファンにとってはかなり豪華な年になっていると言えよう。
2019年4月21日以降、長年アニポケを含むテレビ東京のアニメ作品でプロデューサーを務めていた細谷伸之氏の名前がクレジットから外され、代わりに關口彩香氏の名前がクレジットされるという措置が取られている(これと前後する形で細谷氏もアニメ関連の部署から一時的に外されていた。現在は復帰)。
これに関する公式からの見解は今のところ示されていないが、ファンの間では、細谷氏が当時制作に関わっていたあるアニメに纏わる一連のトラブルが原因ではないかとする見方が有力視されている。