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三国志の編集履歴2020/02/07 13:02:41 版
編集者:たぬきやま
編集内容:モチーフ作品追加、一部編集。

三国志

さんごくし

①中国の三国時代についての史書『正史三国志』 ②正史を元にした古典小説『三国志演義』 ③それらを元にした創作全般( 例:横山光輝の漫画『三国志』など)

三国志とは

狭義では陳寿によって書かれた中国三国時代の歴史書『正史三国志』のことを指し、

広義では三国時代をテーマにした創作物全般を指す。

特に後世の中国で伝承や講談をもとに作られた小説『三国志演義』が有名で、現代の三国志創作に多大な影響を与えている。

そのため、一般的に「三国志」といえば『三国志演義』のことであるが、

『正史三国志』と『三国志演義』の両者はしばしば混同される。(違いについては後述)

三国志創作の流れ

正史三国志』:公式の歴史書。故に簡潔で淡白。物語性は無い。

(『三国志平話』:初めてのまとまった三国志創作。絵物語。荒唐無稽な要素が多い。)

三国志演義』:史実を基にしてリアリティのあるフィクションを盛り込んだ歴史物語として成立。故に史実との矛盾も含まれる。主人公格など目立つ登場人物が決まっている。

創作三国志』:多くが演義の設定に基づく。しかし特に近年では正史の要素も取り入れる作品が目立つ。漫画、アニメ、ゲームの他にpixivでは【pixiv三国志】のタグで個人での創作作品もある。

正史三国志

歴史書の三国志(正史)については、元々は陳寿が個人的に編纂していた物であり、それが晋の皇族である司馬氏の目に留まり国家事業になったという特殊な成立をした史書である。また彼のポリシーが「不確かな資料はとりあえず切る」であったため、その記述は非常に簡潔な内容であった。

一方で陳寿は晋に滅ぼされた亡国の遺臣であるため、限られた条件下で故国を称揚しようともした。を正統王朝、世界の支配者である皇帝を輩出した政権としつつも、蜀と呉で用語の使い方に差を付けたり、劉備劉禅の妻を皇后と呼ぶことで、劉備・劉禅が実質的に皇帝であったことを控えめにアピールしている。控えめだったせいか、後世の蜀贔屓には逆に叩かれてしまったのだが。

三国志演義

三国志演義は後世になって伝承や講談を基に作られたものである。そのため儒教文化や後漢王朝を正統としたい民衆の立場から、王朝を正統とする正史三国志は対照的に、後漢を継承する王朝を「主人公」として贔屓する傾向が強い。

具体的には、蜀の君主である劉備とその義兄弟である関羽張飛、参謀である諸葛亮が英雄視されている。

その反面、彼等に敵対する立場のの人物は酷い扱いだったり、味方でも手柄を有名な人物に持っていかれたりといった事もある(主要な被害者は前者では曹真など、後者では張嶷など)。

つまり民衆にとって分かりやすい物語にするために、対立構造や主要な人物をはっきりさせているのが三国志演義なのだ。

よく言われるのは「史実7割創作3割」との事。

あんだけ化け物てんこ盛りで3割だけ創作……どういうことなの?

もっとも、演義のプロトタイプである三国志平話は全編が演義の南蛮征伐編(演義の中ではファンタジー色の強い異色の章)をエスカレートさせたようなノリだったそうなので、それをまとめて史実と整合性を取って一つの話にしてるのを考えれば、あながち間違ってはいない。平話では匈奴族の劉淵・劉聡の親子がラスボスを滅ぼしたという史実を元に、「劉淵は実は主人公劉備の外孫だったのだ!(ただし、劉淵が「漢の甥」と主張したという話は正史『晋書』にある事実)」と強引にハッピーエンドにして終わらせているが、演義ではもちろんそんなことはしていない。

蜀が敗れ、天下を統一するのは魏・呉・蜀のどの国でもない晋という史実の大枠は守りつつ、正義のはずの蜀が滅んで行く「滅びの美学」が演義にはあると評されている。

拡大する三国志の世界

陳寿版には100年ほど後に裴松之のまとめた「注釈」が入れられている。この注釈では事実関係を補ったり、不確かな資料と前置いた上で異説が紹介されたりしている。この注釈は編纂した裴松之の名を取り「裴注」と呼ばれる事もある。

裴注の分量は、20世紀になって楊翼驤という学者が「本文20万字、裴注54万字」と、本文の3倍近い内容であると主張した。しかし王廷洽と呉金華が数え直したところ、正史本文の方が若干多いことが判明した。呉金華によれば、正史本文は約368,000字、裴注は約322,000字であった。お疲れ様でした

裴注には眉唾でも面白い話が満載なので、民間伝承や講談、三国志演義、後世の三国志をモチーフにした作品など、どこでも格好のネタに使われている。

そしてこれまた20世紀になって、盧弼がそれまでの注釈の集大成となる『三国志集解』を上梓した。陳寿の本文や裴松之の注釈はもちろん、裴松之がフォローしきれなかった文献や注釈、前後の時代の正史で三国時代に触れられた記述、後世の学者の論争などを収録している。邦訳はされていないのでハードルは高いが、熱心なファンは同書にすら飽き足らず、自分で文献をあさっている。深い世界である。

このように正史の追求により、以前は演義中心であった三国志関連作品にも変化が起きており、従来のイメージから脱却している登場人物も少なくない。近年では演義に登場しないマイナーな女性人物がキャラクターとして取り上げられることも目立つ。

様々な面で三国志の世界は拡大していると言える。

主な登場人物

※正史・演義などは考慮せず列挙。

蜀漢

流浪の英雄劉備が建国。天然の要害に囲われているものの国力としては弱い。

君主

  • 劉備:仁徳の君として民の人気を集める。近年ではというアウトローのリーダーとしての一面も強調される。
  • 劉禅:劉備の息子。後世では七光りの暗君と罵られ、近年では有能説が上がるなど毀誉褒貶が激しい。糸のように周りの色に染まる人物だと言われる。

軍師

  • 諸葛亮:多くの作品で若き天才軍師として描かれる。劉備と水魚の交わりを結ぶ。史実では参謀というよりも官僚。
  • 龐統:諸葛亮が龍ならば龐統は鳳凰と並び称された。冴えない見た目に反した知略を見せ、蜀取りに貢献。
  • 法正:蜀の地を取った際に劉備に降った軍師。劉備が最も心を許したとも言われる。恨み深い性格。
  • 馬謖:諸葛亮の愛弟子。後に致命的な失敗を引き起こす。

武将

  • 五虎大将軍
    • 関羽:劉備に旗揚げから付き従う義弟。長く美しい髭と偃月刀が目印。義に厚く敵からも敬われ、後世では崇められ神となった。
    • 張飛:劉備に旗揚げから付き従う義弟。酒を愛する豪傑。
    • 趙雲:演義では白馬の若武者で最強の槍使いとして描かれる。無双シリーズでは主人公格。実は正史ではほぼ描写がない。
    • 馬超:異民族の血を引く若武者。
    • 黄忠:老将。剛弓の使い手。
  • 魏延:五虎将に匹敵する猛将。諸葛亮と対立する。
  • 姜維諸葛亮の後継者で最後の勇将。と果てのない戦いを繰り広げていくが……。

曹魏

破格の人曹操がその基礎を築く。中華の北部を支配する強国。

君主

  • 曹操:優れた将軍であり政治家であり詩人。しかし近年の再評価を待つまでは冷酷な暴君として描かれることが多かった。劉備と天下を巡り争う。
  • 曹丕:曹操の息子。内政で辣腕を振るい、後漢を終わらせ魏の初代皇帝となる。しばしば父以上に冷血な面を見せる。

軍師

  • 司馬懿:諸葛亮の好敵手。曹操に警戒されていたが、その死後頭角を表しの地盤を築く。
  • 荀彧:名門出身の清廉な美男子。曹操の右腕で政治面でも支える。後に曹操との関係は悪化したというが、その原因は未だ謎に包まれている。
  • 荀攸:魏の筆頭軍師に列なる戦術家の一人、大人しく自己主張の少ない性格。
  • 賈詡:乱世を生きる知謀と処世術に定評がある軍師。
  • 郭嘉:曹操に愛された軍師。酒色を好み素行は悪いが、天才的な戦略家。

武将

  • 夏侯惇:曹操の従兄弟で眼帯の猛将。一方で正史では統治に優れた将としての顔を見せる。
  • 夏侯淵:同じく曹操の従兄弟。神速の傭兵を得意とし、弓に優れる。
  • 曹仁:曹操軍の将軍の筆頭。若い頃は無頼漢であった。
  • 許褚:怪力の持ち主。曹操の信頼厚く護衛を任せられている。
  • 魏軍五大将
    • 張遼:かつて最強の武人・呂布に従っていた。統率・武勇共に優れる名将。合肥の戦いでは呉にその名を恐怖と共に刻む。
    • 張郃:かつて曹操の因縁の相手・袁紹に従っていた。長く魏を支え、しばしば蜀の趙雲と相見える。
    • 楽進:一兵卒から将軍となった叩き上げ。
    • 于禁:古参であり軍紀に厳格な性格。しかしその最後は……。
    • 徐晃:戦斧を愛用する。戦においてはほぼ不敗を誇る。

孫呉

長江流域からを窺う第三の国。孫家の三代が統治する豪族たちの連合政権。

君主

  • 孫権:偉大な父と兄の後継ぎとしてを建国。茶色の髪と紫の瞳を持つ。巧みな外交で自勢力を維持。
  • 孫策:孫権の兄。若くして呉の基礎を築いた「小覇王」。
  • 孫堅:孫策・孫権の父。「江東の虎」と恐れられた傑物であった。

軍師

  • 周瑜:孫策と義兄弟の契りを結んだ智謀の将軍。「美周郎」と称される美男子で、音楽にも優れる。
  • 陸遜:孫権に重用された参謀。周瑜と同様に美男。初めて軍師を務めた夷陵の戦いでは火刑を用いて蜀軍を圧倒。

武将

  • 甘寧:海賊出身。呉を代表する猛将。鈴を身につけており「鈴の甘寧」と呼ばれる。
  • 周泰:海賊出身。無数の傷を受けながらも孫権を守る。

  • 大喬小喬:「江東の二名花」と名高い美人姉妹。姉は孫策、妹は周瑜に嫁ぐ。
  • 孫尚香劉備に嫁ぐことになる孫策・孫権の妹。女の身ながら武芸に通じる。

その他の群雄

  • 呂布:最強の武人。方天画戟と赤兎馬を操る。その生涯は裏切りに彩られている。
  • 董卓:統一王朝である後漢の息の根を止めた男。残虐の限りを尽くす。
  • 貂蝉:傾国の美女。董卓と呂布を籠絡し互いを争わせる。
  • 袁紹:曹操の元親友。曹操と後に河北の覇権を巡りぶつかり合う。
  • 陳宮:曹操を裏切り呂布を動かす軍師。
  • 袁術:名族・袁家の当主。袁紹とは腹違いの兄弟。皇帝を自称。
  • 孟獲:南蛮を統べる大王。後に妻祝融らと共に諸葛亮に心服。

西晋

の司馬兄弟が興す第四の勢力にして、三国を統べた国。

主君

  • 司馬師:魏の軍師司馬懿の長男。才智・容姿共に優れ頭角を表す。彼の代から司馬一族は魏を牛耳るようになった。
  • 司馬昭司馬懿の次男で司馬師の弟。を滅ぼす。魔王董卓以来の罪「皇帝殺し」を犯した。
  • 司馬炎司馬昭の息子。王朝を興し、三国を統一するも後継者は著しく暗愚であった。結果、毒婦賈南風の手によりもまた動乱に巻き込まれ、歴史は繰り返す。

部下

  • 鄧艾:司馬一族に仕える知将。文官出身で地理に詳しい。
  • 鍾会:司馬一族に仕える知将。才走った性格から周囲に警戒される。
  • 文鴦:蜀の趙雲の再来と謳われた猛将。鉄鞭と槍の使い手。乱世に翻弄され、魏・呉・晋と主人を転々とする。最後は賈南風による反乱の際に命を落とす。

三国志をモチーフとした作品

小説

他作品

有名処では吉川英治氏による小説版か横山光輝氏による漫画版だろうか。

他にはゲームではシミュレーションゲームである「三國志」や「××無双」という言い回しを定着せしめた『真・三國無双シリーズ』などがある。どちらとも基本的に正史と演義のいい所どりをしている(真・三國無双シリーズはそれに加え、オリジナル要素もある)。

近年では武将を女体化獣人化させたり恋愛ゲームとかの題材にもなっている。

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