抑止力(TYPE-MOON)
よくしりょく
解説
別名『カウンターガーディアン』。
TYPE-MOONの作品世界において存在する、破滅の要因を排除して今ある世界を存続させようとする見えない力。
我々人間は"死にたくない平和でいたい"と願うし、我々のいる星も"死にたくない長生きしたい"という本能がある。
霊長という群体の誰もが持つ「自分達の世を存続させたいという願望」が収束し、カタチになったものが抑止力である。
集合的無意識によって生まれた世界の最終安全装置(セーフティ)であり、人類の持つ破滅回避の祈りである「アラヤ」と、星(地球)が願う生命延長の祈りである「ガイア」という優先順位の異なる二種類の抑止力が存在する。
アラヤは人類世界を存続させるためならば星を滅ぼすことも厭わず、逆にガイアは星の生存を存続させるためならば人類を滅ぼすことも厭わない。
しかし、それはあくまで究極的に言えばの話であり、現代では星の大部分を支配領域とする人類が崩壊する事はこの星の”成長の終わり(死)”に直結する可能性があり、また星が滅びれば現状人類も生存することができないため、結果的に相互に人類と星を守るべく連動することもある。
世界の破滅を察知すると発動し、何らかの形で事象に介入して滅びの要因を抹消する。カウンターの名の通り、自ら行動を起こすことはできず、起きた現象に対してのみ発動する。その分、抹消すべき対象に合わせて規模を変えて出現し、絶対に勝利できる数値で現れる。
介入の形は基本的に抑止力の媒体となりうる一般人を後押しする形であることが多い。後押しされた人間は対象である要因を消し去るだけの力を得るが、滅びの要因に取って代わる事のないように倒すため以外の力は持たされず、また当人にも自分が抑止力によって後押しされているという自覚はない。そういった結果的に滅びの要因を排除した人間が人々の目に留まると"英雄"と呼ばれるわけである。
その他にも代弁者となる"守護者"を遣わしたり、世界を滅ぼしかねない要因を孕む異常な聖杯戦争に対しては通常は召喚されない筈のサーヴァントの召喚といった形での介入も行う。
そして、もはや人間を後押しするだけでは手に負えないような事態の場合、大規模自然現象として発動し、滅びの要因を周囲ごと消し去ってしまう場合がある。蒼崎橙子によれば、どこぞの大陸を沈めたこともあるらしい。
近代以降の英雄の数が少ないのは、文明の発達により人類が人類自身や地球を滅ぼすのが簡単になり、抑止力により自分でも気づかぬ内に世界を救っている者(世界が滅びないよう行動させられている者)がごまんといるため。
このことから、「世界を救う」程度の事では現代では英雄とは呼ばれない状態となっている。蒼崎橙子の言葉で言うなら英雄というのは一世代に一人じゃないと、そう呼ばれない。
抑止力はあくまでも星の圏内のルールに基づく安全機構であるため、星の中で生まれた存在に対しては明確に作用するが、星の外部で発生した存在についてはそれが明確に滅びの要因になりうる存在であったとしても、抑止力が介入することはできない。
「約束された勝利の剣」を始めとする神造兵装(神や星によって鍛えられた武器)は、本来、こうした抑止力が直接介入できない星の外敵に備えて生み出されたとも。
歴史から完全に切り離され独立した特異点の場合についても、例え滅びたとしても正しい歴史には影響を及ぼさない故に抑止力が働かず、その中で生まれた存在はたとえその星に属していようと滅ぼすことが可能となる。
世界が滅亡しうる事態にあっても火急の危機ではない、或いは滅びが確定的ではないような状況では抑止力は働かない。
これらの欠陥から上手いこと工夫すれば抑止力の監視を掻い潜ることも可能ではあるらしいが、上述した通り抑止力は無意識が形になって現れるものであるため、その存在を知ることはできても、知覚することはできない。
アラヤ
霊長の抑止力。人類の無意識下の集合体であり、霊長の世界の存続を願う願望そのもの。
「霊長という群体の誰もが持つ統一された意識」「我を取り外してヒトという種の本能にある方向性が収束しカタチになったもの」とも言われる。
アラヤの由来は人の普遍的無意識である阿頼耶識から。
人類を守るために人類を縛る、人類の代表者であり最強の霊長。人類を監視・管理し、破滅もしくは自滅しそうになると現れて、その原因を抹消する。
しかし、概念の存在であるが故に人間としての感情は無く、たとえ万人を幸福にする行為であっても、それが今ある世界を壊してしまうのならば容赦なく排除する。また、人を守る者ではなく種の存続を守る者であるため、人類という種を守れるのであれば、最低限の人間を切り捨てることも厭わない。
そのため例えば「この世から一切の戦争がなくなった恒久和平」が成された世界が完成するとしてもそれを妨害するために現れるので、決して人類の味方では無い。
アラヤ側の抑止力に"後押し"されて英雄になった人間は、その死後に"霊長の守護者"としてアラヤに組み込まれるとも言われる。
超能力
純粋な人間としての異能。自然干渉法・陰陽の理を無視した、自然から独立した人間種が持つに至った最果ての能力。
ヒトという種が無意識から生み出した抑止力であり、その抑止する対象は、霊長類として頂点に立つヒトに仇なすモノ達である。
霊長の守護者
"人類の自滅"が起ころうとすると現界し、その場にいる全ての人間を殺戮し尽くすことで全人類の破滅という結果を回避させる役目を担う英霊。
自由意志を持たず単純な『力』として世界に使役される者であり、人類の滅亡を加速させる害悪が現れた場合、これを成立させる要素をすべて消去する目的で守護者は現れ、人知れず仕事をこなす。またエミヤや村正によると、守護者として召喚された者は人格を持たないらしい。
この存在となった人物の一人の弁を借りれば、世界を守るための"体のいい掃除屋"といったところだが、この抑止力が働かなくなると滅びは速やかに進行し、人々はもう取り返しのつかない“終わり”に直面することになる。
「守護者」として該当するのは、英霊を英霊たらしめている信仰心が薄い(つまり知名度の低い)英霊、あるいは前に『世界の意思』と契約を交わし、死後の自身を売り渡した元人間である。知名度が低い英雄でなければならないのは、名のある英霊は神性が高いなどの理由で、アラヤではなくガイア寄りの存在になっている為。
抑止力によって人類の継続の役に立つと判断された者が己の無力を嘆くと、抑止力がその願望を叶える事の代償にその者の死後を買い上げることで契約は成され、守護者となった者は永久に人類史を継続させるための道具として使役され続ける事になる。
ある魔術師は、奇跡を詐称する御遣い、限度額のない高利貸し等と称した。
エミヤ曰く、守護者は事態を未然に防げる状況で喚ばれることはなく、何もかも取り返しがつかなくなった状況に召喚され後始末だけをやらされる。この在り方から掃除屋とも呼ばれる。
ギルガメッシュも『Fate/unlimited codes』でエミヤが聖杯の間引きを防ぎに来たことを「掃除屋が汚れる前にやってくるとは、阿呆の極み」としている。
ぐだぐだ時空を除くと、守護者は今のところエミヤ系しかいない。なぜだ...
余談だが、どういうわけか赤系統の衣装を着た人物が多い(該当するのはエミヤ、エミヤ(アサシン)、沖田総司(オルタ))。
『魔法使いの夜』でも蒼崎青子が魔法を行使した際に赤い外套を羽織った何か(「赤い死」とも表現されている)と遭遇しており、「赤い色」には何か特別な意味があるのかもしれない。
アラヤの怪物
ミハイル・ロア・バルダムヨォンによって存在が語られた抑止力の一種。詳細不明。
グランドクラス
人類と人類が築いた文明を滅亡させる大災害たる『七つの人類悪』を滅ぼすため、天の御使いとして遣わされる、人類史上最高峰の七騎の守護者。
人類存続を守り、霊長の世を救うための抑止力の召喚であり、決戦魔術である降霊儀式・英霊召喚によって召喚される、通常のサーヴァントよりも一段階上の器を持って顕現した英霊である。
ちなみにコレを人間の都合で使えるように格落ちさせたものが、聖杯戦争に用いられる召喚システムである。
詳細は該当記事を参照。
濾過人理補正現象
人類が宇宙に進出しようとすると、『人類はこのままで良い』という理由で発展を阻害する澱んだ集合無意識が、物理的な強制力を持ってカタチとなったモノ。
地球で生まれた生命としての帰巣本能、発展による自滅を防ぐ無意識、という見方もできるが、逆に言えば人類全体の総意が未来を拒む破滅願望に傾いた結果ともいえるので、そのまま願い通りに世界を滅ぼしてしまう結末も多い模様。
この現象について、地球がどう思っているかは、はっきりと明言されている訳ではないが、様々な作品にて、地球で生まれた知性体がいつか宇宙に旅立つことを望んでいることが示唆されている事、奏章Ⅲにて、シエルが人類が他の霊長が現れる事を阻害するのは地球にとって悪であるという趣旨の発言している事から、地球にとっても許しがたい現象ではないかと推測される。
IFの未来に登場した月の暈(ムーン・キャンサー)、EXTRA世界にてある医者が治療法を発見した病「アムネジア・シンドローム」が該当する。
また『月の珊瑚』においても、遺伝子操作によって生まれたデザインベビーが、その直後に「もういい。そこまでして続けたくない」という人類の総意によって自ら呼吸を止め永眠するという、コレと類似した現象が起きている。
アラヤの抑止力に関連すると明言されていないが、同じく人類の集合無意識に由来する概念なので便宜上ここに記載。
ガイア
星(地球)の抑止力、世界の抑止力とも言われる、星の意思の無意識部分。言わば地球の生存本能。
精霊種
自然現象が自我を持った自然霊であり、星(自然)の触覚と言われる存在。
ガイアの抑止力の一つとされるが、基本的に星の意思に関係無く自然発生的に生まれた存在である。
人間に知覚できないほど規模の小さいものは『妖精』と呼ばれ、人間に知覚できるまで規模が大きくなると『精霊』と呼ばれる。
ただし、先天的に受肉している生物としての幻想種や、人間の想念が後天的に生み出した悪魔とされる者なども存在しており、全てが抑止力というわけではない。また、神霊(ヒトの信仰によって神性を得て神となった事象)が極度に信仰を失うと神秘の力が弱まり、精霊にまで格落ちするケースもある。
逆に極度に信仰とも畏怖とも言えるまでの信仰を集めた場合、恐るべき力を所有しているサーヴァントも存在する。ガイア側かつ、この最たる例がペイルライダーである。
彼/彼等はジェスター・カルトゥーレによれば『星の従僕』と呼ばれる存在であり明確にガイア側である事を示唆している。ただし彼の場合は"星の従僕"と呼ばれる『彼』をマスターである椿に友好的に接するのとは別に強い敵愾心を向けている。
文明の黎明期など神代には多く存在したが、大気中のマナやエーテルが薄れるにつれて、その殆どが神秘の力がより強い世界の外(裏)側へ去ってしまった。
近代以降ではせいぜい齢100年単位の魔獣が見つかる程度で、強大な精霊(及び幻想)種はまず現世には出てられず、仮にどうにか現界出来たとしても、元の状態と比較して遥かに小さく弱体化した状態でしか顕現できない。
ペイルライダーの場合は極めてレアなケースかつ特殊な例であり、弱体化どころかガイア側の意図によるものなのか様々な要因が積み重なった結果、マスターである椿の運命を弄ぶかのように本来よりさらに強化された形で顕現してしまっている。
天の楔と天の鎖
神代の時代、当時の星そのものだった神霊達が、いずれ神という自然現象から人格を奪うことになるであろう人間を諌め地上に繋ぎ止めるための「天の楔」として、すなわち抑止力の代行者として生み出したのがギルガメッシュである。
彼が神とヒトの混血なのも、神とヒトの両方の視点を持ちながらも、神の立場からヒトを律して裁定を行うことを期待されてデザインされたため。
しかし、ギルガメッシュは神々の思惑を無視して人と星の未来を見定めて守護する立場に回ったため、今度は新たにその監視役として楔を縛る「天の鎖」としてエルキドゥを遣わした。
が、壮絶な戦いの果てにギルガメッシュとエルキドゥはそのまま仲良く親友になってしまい、二人揃って神々の意思なぞそっちのけで自由気ままに動き回る存在と化してしまった。
命令無視の粛清の意味も兼ねて神々はエルキドゥを処分するが、友を亡くしたショックから旅に出たギルガメッシュはそこで人生観を改め、帰還してからは人の世の繁栄の基礎作りを行い、それまで神秘が支配していた星の理に終止符を打った。
楔として生み出された筈が、神を旧時代のものと一蹴しとどめを刺す存在となってしまったのである。その後、星の理は神々の権能から人理へと移行していく。
エルキドゥは神々の最高傑作となるべく作られた被造物であり、自然と調和・一体化する大地の分身でもある、意志持つ神造兵装。
理性を得ていくなかで力の大半を失ったが、アラヤとガイア両方に接続する力を今でも有しており、聖杯の真似事をすることすら可能。
真祖
星が人類を律するべく、ある存在をモデルとして作り出した霊長の敵対者。
受肉した自然霊であり、妖精・精霊の一種。星の代弁者にしてヒトと自然との調停者。発生に人の想念が関わっていない点で、神霊とは異なる。
人のカタチをしているのは、人を律するのだから人を雛形にしようと星が考えたためで、仮に他の生物が霊長として繁栄した世界なら、その種族に応じた姿で生み出される。
詳細は該当記事を参照。
ガイアの怪物
“霊長の殺人者”であり、"人類に対する絶対的殺戮権"を有するとされる存在。
現在登場しているものは死徒二十七祖第一位であったプライミッツ・マーダー。
(月姫リメイク版では現在名前が確認できていないため、現在は不明。)
その使役・制御には霊長の守護者7騎がかりで行うのが妥当だとされる。
抑止力発動の対象となる事象の一例
- 地球的規模での人類の大量殺戮
一番わかりやすい形で現在の人間の世界を破壊してしまうため、当然ながら抑止力の対象になる。この場合はアラヤ側の抑止力が発動し、排除対象に相性のいい英霊や幻霊をサーヴァントとして召喚して対応させる傾向にある。
主な該当者は『Fate/stay night』及び『Fate/Zero』のアンリマユ。絶対悪である彼が完全顕現すると全人類が滅んでしまうので、当然排除対象である。ただし、本編中では受肉の確率が五分五分程度であったために抑止力が発動していなかったという(受肉が確定的になった時点で発動するとのこと)。
また『Fate/Grand Order』では、全ての並行世界の破壊を目論む妖術師も該当しており、彼の能力を打破する宝具を持った千子村正が送り込まれた。
- 根源への到達
全ての魔術師が目指す「根源」への到達は、抑止力が発現する対象となりうる。これは人間の手にしてはいけない力、無への回帰への要因であるため。
人間が生き、発展していくことは"完成することを目指す"行為だが、「根源」に到達すると本当に存在として完成してしまい、その時点で生きる意味が無くなってしまう。つまり、生物が本能で持っている"生きたい"という無意識下の欲求が、完成を拒んでもいるという矛盾である。
ただし、過去には「根源」に到達した、或いは意図せず「根源」と接触したにもかかわらず抑止力に排除されていない例も存在するので、「根源」に到達すること自体は抑止力の対象ではなく、それを求める者の在り様で判断されているとも言われる。
そう言う意味では「根源を求めていない者こそが根源にたどり着ける」その上で「当人がそれを求めていないからこそ根源に到達したことが何の意味も持たない(粛清する必要がない)」様に出来ているとも言える。
これまで何度も抑止力によって根源への到達を阻まれていた荒耶は、抑止力の介入を掻い潜る隠れ蓑として、小川マンション内部に自らの心象風景を投影した人工的な固有結界『奉納殿六十四層』を構築し、両儀式の身体を介して根源に至る計画を画策した。
荒耶は両儀式や臙条巴を後押しする形で抑止力の介入が行われ、計画を崩壊させたと考えていたが、蒼崎橙子はそれを否定している。
- 人理の破壊
物理法則が確定した現在の星の理でもある"人理"を破壊したり、大きくかき乱すことも抑止力の対象となる。
簡単に言えば、歴史が丸ごとひっくり返ってしまうような重要な過去を改変しようとすれば、抑止力の対象になる。ただ、歴史の総体に与える影響が殆ど無い微々たる改変については見逃されることもある模様。
主な該当者は『蒼銀のフラグメンツ』及び、『Fate/prototype』の沙条愛歌。自らの想い人のために人理定礎を破壊し、歴史を改変する気満々で大暴れしていたことで、当然ながら排除対象に入っており、北欧の大神または抑止力によってランサーが遣わされたが、ランサーの宝具が彼女を倒すにはあまりに相性が悪すぎたため直接的に排除するには至らず、結局、彼女を止めたのは別の要因であった。
『プリズマ☆イリヤ』では、今ある世界を根本から作り直そうとするダリウス・エインズワースが該当。ガイアの抑止力によって、クラスカードに対抗できる田中が送り込まれた。
上記にあるように、特異点においては抑止力が働かず、地球の破壊のようなことも可能であるとされる。
『Fate/Grand Order』では、ゲーティアが、計画のために聖杯を使って特異点を発生させることで、七つの人理定礎を破壊。強度が無(ゼロ)になった3000年分の人類史を凝視によって火を放ち、人理焼却を引き起こした。
しかし、様々な要因が重なり人理焼却から逃れた「人理継続保障機関フィニス・カルデア」と人類最後のマスターが訪れる各特異点では、土地によって喚ばれた「はぐれサーヴァント」や、それぞれの理由で彼らに手を貸す人物が現れており、人理定礎の復元の手助けとなってきた。
第2部においても、異聞帯に上書きされた『本来の土地』の最後の断末魔で「はぐれサーヴァント」が召喚されている。
- 神霊クラスの降臨
物理法則が確定した現代で神霊クラスの存在を降臨させることも人理の崩壊を招きかねない危険な事態であるため、抑止力の対象となる。
ただし、本来は神霊クラスの存在であっても、何らかの手段(人間に憑依する等)で霊基を格落ちさせて弱体化した状態ならば問題なく顕現できるようだ。
該当者は『帝都聖杯奇譚』のマックスウェルの悪魔。彼の目論見で復活した『人造の神(ネオ・フューラー)』が神霊クラスであったため、EXランクの宝具を持つ坂本龍馬が送り込まれた。しかし彼が倒されてしまったため、次は沖田総司〔オルタ〕の召喚により『人造の神』を撃破した。
- 地球上での「権能」の行使
神霊クラスの降臨同様、物理法則の確定した現代の世界で、それ以前の神代の時代の理であった神霊の力、すなわち理屈や過程をすっ飛ばし事象変動レベルの結果をもたらす"権能"を行使することも抑止される。
なお、一部の宝具やスキルにも権能クラスの力を持つモノが存在する。一例を挙げるとギルガメッシュの「天地乖離す開闢の星」は権能に相当するモノらしく、地球上で本気の全力全開最大最高出力で行使すると世界に致命的なダメージを与えかねないため、抑止力による排除の対象になりかねないとのこと。
ちなみにランサーの「刺し穿つ死棘の槍」も「因果律逆転の呪い」という限定的ながら世界法則をひっくり返す性質上、権能一歩手前なんだとか。
固有結界は術者の心象風景という異世界で世界(のごく一部分)を塗りつぶす(破壊する)魔術であるため、発動中は抑止力による修正を受け続けることになる。
これによって固有結界の維持は莫大な魔力を要し、その上で短時間しか維持できない。
衛宮切嗣の固有時制御(Time Alter)も、範囲を体内に限定している固有結界の一種であるが、この場合は解除時に修正を受けるが、発動中は修正を受けない。
何故これだけ修正を受けるタイミングが異なるのかは不明だが、発動している間は抑止力側も認知できない、或いは効果範囲が限定的であるために発動中は修正対象にならないが、解除時に世界と発動者の時間にズレが生じているためにそちらの方が修正対象になっていると思われる。
なお、抑止力の代行者となった彼の場合は修正を受けない。
これが「宝具化の恩恵」なのか、或いは彼自身が抑止力の代行者であるために世界からのバックアップにより修正を受けなくなっているからなのかは不明。星側の存在である精霊や悪魔、真祖が使う固有結界は5~6時間は維持可能らしい。
- 人類の救済
一件すると人類にとって有益に見えるが、救済と引き換えに人類が精神性を捨て去り星に縛り付けられ文明文化が発展しなくなる可能性が極めて高いため、上記の「たとえ万人を幸福にする行為であっても、それが今ある世界をダメにしてしまうなら容赦なく排除する」に該当する。
それを実行しようとしたシロウ・コトミネこと天草四郎のカウンターとしてジャンヌ・ダルクが召喚された。
彼女も彼の救済を
- 人類への不信。これまで積み重ねてきた全てを台無しにするもの
- 人類進化の尊厳の侮辱
- 我々は死者サーヴァント。約定を持って生者に協力するものであり、それ以上を行ってはならない。死者が生者を導くなど、まして人類の救済など烏滸がましいにも程がある。
- あなた(天草)とて理解しているはず、人類が救済を奇跡として与えられれば人類が自分たちの可能性を信じられなくなり、与えた者を敬うだけの無意味な生命体になる。
- (そうはならないと否定した天草に対して)それは変わらない世界に存在しているだけであり、争わない、傷つけ合わない、その代わり善も悪もなすこともできない世界になる
等々、人類の可能性と不可分な悪性を漂泊する"恒久平和"を完全否定していた。
最終的に彼女が彼の救済を止める事は出来なかったが、彼の救済は別の要因で止められることとなる。なお、後に出て来た設定から、彼の救済が叶っても剪定事象となってしまうのではないか?という推測も多い。
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