あらすじ
突如、宇宙牢獄にて謎の歪みを見つけたウルトラマンベリアルは脱獄し、光の国を破壊して復讐を果たし、姿を消した。
光の国の欠片は宇宙にばら撒かれ、その一つが地球人の兵士『ブラスト』の体に入り込む。
それによって、彼(ら)の運命が狂わされてしまった。
作品解説
以上が正史との大きな違いであり特徴である。
よって、本作はウルトラ銀河伝説のパラレルワールド作品である。内容は極めてハードなものとなっている。
ウルトラマンゼロも登場していない。メディアワークスの相変わらずの世界の破壊者っぷりを見せつけてくれている。
登場人物
ブラスト
主人公。『ブラスト』とは本名ではなく、爆弾みたいな奴という意味のあだ名である。
彼の時代の地球はすでに他の星との戦争によって侵略者と化しており、ブラストも本意ではなかったが、他星侵略の兵士として借り出されている。
ベリアルによって破壊された光の国の欠片が体内に入り込んだことで、半超人と化し、自我を失って仲間を皆殺しにしてしまう。
変身当初は自身の力を制御し切れなかった。
最初は等身大だったが、その後はウルトラ戦士と変わらないほどの巨体に成長し、宇宙をさまよいながら数千年以上もの時代を生き続ける。
理性『ルナ』と本能『コロナ』に分かれている自分の力を制御し、光の国の欠片の謎を追って宇宙を飛び回るようになり、キング星へ。
しかし、最終話にて……
赤と青に彩られた戦士であるが、その姿が明確に描かれることが実は少ない。ウルトラ戦士に近い姿となっても、頭髪が残っているほか、胸のカラータイマー状の器官(光の国の欠片)は稲妻型をしている。その姿はまるで…。
これよりネタバレ注意!!!
ウルトラマンベリアル
自分を閉じ込めていた宇宙牢獄にわずかな空間の歪みが発生し、それを利用して脱獄、ウルトラの星の核にエネルギー弾を叩き込むことで光の国を破壊し、宇宙の闇に姿を消した。
口調が狂ったようになり、姿形が正史の姿より怪物染みている。例えるなら、キメラベロスからベリアルの要素のみを残したようなもの。
ウルトラマン
第2話から登場した、ご存知我らのヒーロー…だったウルトラ戦士であり、おそらく本作で最も運命が狂ってしまった悲しきウルトラ戦士である。
故郷と共に死ねなかったことを悔やみ、光の国にもう一度会いたいという純粋な願いのために光の国の欠片を収集する。
その容姿は正史と比べて凶悪になっていき、最終的にはレオがベリアルと一瞬見間違えたほどに変貌し、目的のためなら悪人でなくても、かつての同胞にさえも攻撃する危険な存在となってしまった。イラストでは、「目が青く全身銀一色のベリアル」とでもいうべきものとなっており、後年の映像作品の主役である『ウルトラマンジードプリミティブ』および同作品で登場した『ウルトラマンベリアルアトロシアス』と似ている。
なお、王の眷属がいわゆる『ウルトラ兄弟』の事であれば、彼に対応する十二星座があるはずなのだが、外見的な特徴からは星座を特定できない。
ウルトラセブン
第3話に登場した赤い巨人。正史と異なり、全身が筋肉質で装甲を纏うなど、騎士を意識した姿となっている。また、アイスラッガーに似た大剣を武器としている。
光の国の滅亡後、光の国の欠片を監視するものとして活動している。
暴走したブラストを食い止めて理性を取り戻させる。その後、光の国の欠片を追うようブラストに伝え、もし再び暴走した際は、容赦せずに斬るとも警告する。
最終的に自分の力を制御したブラストを認めた。
後述のレオ同様に「王の眷族」の一人の「天秤」であることが示唆されているが、真偽のほどは不明。鎧に天秤の要素は少ないが、肩に天秤の皿らしき物は見られる。
ジャック
本作の帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャック。
初代ウルトラマンと似ていた容姿から一転してケンタウロスのような姿をしている。正史で一体化した郷が元レーサーだったからだろうか?
妻を失い、彼女を生き返らせるために、光の国の欠片をめぐってエースやタロウと共に対立し、戦いの舞台となった世界を滅亡寸前に追いやってしまう。
最終的に自分たちの過ちに気づき、世界の怒りを静めるためにエースとタロウと共に火口へ身投げした。
そのいきさつはブラストがその世界を訪れる数千年前の伝説として語り継がれている。
モチーフは外見的な特徴からおそらく射手座だと思われる。
エース
本作のウルトラマンエースだが、正史と異なり女性である。さらに翼の生えた女神のような姿をしている。
もしかしたら中身は北斗星司ではなく、南夕子かもしれないが、実際のところは一切語られていない。
光の国壊滅によって夫を失う。彼を復活させるため、光の国の欠片をめぐってジャックとタロウと戦う。
武器は持っていなかったが、天女アプラサールの羽衣を身にまとっている。
モチーフはアプラサールが乙女座出身である為、乙女座である事が推測される。
タロウ
本作のウルトラマンタロウ。
スマートな体系の正史と異なり、筋骨隆々で髭を生やしており、両足が魚のようになった半魚人のような姿をしている。恐らく正史で戦ったバルキー星人やサメクジラを意識しての姿なのだろう。
光の国の消滅で死んだ母を復活させるために、かつての兄弟たちと争う。
手にしている銛にはタガールの毒墨が塗られているとされる。(原作では三叉鉾は使用しなかったが、ブレスレットランサーという投槍ならば使用している。)
モチーフはおそらく外見的な特徴から魚座だと思われる。
ジャンボット
正史ではエスメラルダ王家の守護騎士ロボットだったが、本作ではブラストと同じ経緯で機械の怪物と化した存在として登場。
人間だったころは『ジャン』という名前で、ブラストとは固い友情を結んでいた。
デザインは概ねジャンボットと同じだが、カラーリングはエメラルド色になっている。ジャンボットが敵として登場する展開は後に公式作品でも実現している。
キングジョー
人間だった頃の名前は『ジョー』。人殺しを楽しんでいたらしく、ブラストは彼を好きではなかった。
アイアンロックス
人間だった頃のブラストの上官で、当時の名前は『ロックス』。彼もカラーリングが赤になっているなど、正史とは差異がある。
ティガ
本作のウルトラマンティガ。
本作では珍しく、設定と容姿が正史のティガとかなり近くなっているキャラで、かつては数え切れない罪を犯していた。
ブラストが理性と本能の二つの力を制御したことに対し、彼は理性の力を掴み、過去の罪の贖罪のために戦う。
原典となるウルトラ銀河伝説で活躍するネオフロンティアスペースのウルトラマンはティガではなくダイナとなっている。
ミラーマスター
鏡の破壊神で、今作におけるミラーナイトと思われる存在。
ティガを惑わし、鏡の世界に彼を永劫に閉じ込めてしまう。
本来は鏡の世界の住民である結晶状の生命体だったが、それがベリアルの手によって歪められ、顔に赤い十字を持つ、黒い結晶の怪物のような姿になる。
ミラーマスターはミラーナイトの企画段階での名称。なお、ウルティメイトフォースゼロを元ネタとしたキャラクターの中で唯一元ネタと名前が異なる。
グレンファイヤー
本作のグレンファイヤーだが、炎の海賊の一員ではない。
なんと必殺技に『ウルトラダイナマイト』を使った。無類の男はそれを見て、彼が転生したのではと確信した。
オリジナルのグレンファイヤーと比べてファイヤーマンに近いデザインとなっている。
ちなみにファイヤーマン、グレンファイヤー、ウルトラマンタロウの三者は共通点として『ファイヤーダッシュ』を使う事が出来たりする他、元ネタのファイヤーマンとウルトラマンタロウは円谷プロ10周年記念作品として制作された。
無頼の漢(メイン画像)
本作のウルトラの父。かつての友によって故郷と妻を失い、さらに息子も兄弟たちとの争いの果てに死んだ悲しみを抱いている。
宇宙海賊を率いて光の国の欠片を集め、ベリアルを倒して光の国を再建するために動き、ブラストを襲撃する。
角が片方折れており、髭が有機的な他ビスの入ったジャケットなど、正史とは風貌がかなり異なる。
獅子『レオ』
本作のウルトラマンレオ。光の国の生き残りの一人。今作では故郷を2度も失ったことになる。
キング星に着いたブラストを案内する。その姿は原作よりも獅子を意識したような姿となっている。
十二星座になぞらえた「王の眷族」と呼ばれるものの一人。おそらく出身から「獅子」に相当するものと思われる。モチーフも「獅子座」だと思われる。
王
本作のウルトラマンキングと思われる。
彼の崩御…つまり死が宇宙牢獄崩壊の原因となったため、ベリアルの脱獄と光の国崩壊を許してしまう。最終話にて登場しブラストを見下ろす。
ウルトラマンキングが亡くなっているという事実を描いた作品は、おそらくこれが初で、現時点で唯一だろう。
王の眷属
十二星座に対応した12の巨人達。キングの崩御を知り、光の国の欠片の監視を開始した。
セブンが7番目という事で「天秤」、獅子座生まれという事でレオが「獅子」に相当しており、この事から、ウルトラ兄弟が元ネタである事が窺える…のだが、ウルトラ兄弟の数はゾフィーからウルトラマンヒカリまでの11戦士である為、一人だけ空白ができてしまう。
獅子の招集に応じたのは、金牛・巨蟹・処女・天秤・天羯・宝瓶の7人のみ。ちなみに過去のウルトラシリーズには天秤座を除いた各星座を出身またはモチーフとした怪獣が登場している。
なお、ジャック、エース、タロウも外見的な特徴から王の眷属に該当している節がある。
サブタイトル
タイトルは『ウルトラマンメビウス』と同じく「〇〇の✕✕」で統一。
No. | サブタイトル |
---|---|
1 | 絶望の流星 |
2 | 殉教の巨人 |
3 | 歴戦の使者 |
4 | 無機の邂逅 |
5 | 悠久の神典 |
6 | 螺旋の倫理 |
7 | 暗黒の鏡神 |
8 | 紅炎の連環 |
9 | 異界の創世 |
第2部
2012年5月号に掲載された第9話を持って第1部は完結した。しかし第2部についての情報は今のところまったく無い。
衝撃の結末を迎えていただけに、続報に期待させられるが、もう10年ほど音沙汰がない為、頓挫したのではないかという可能性が考えられる。その為なのか、ウルトラゼロファイト、ウルトラマンジードなどの近年の作品には本作を思わせる設定が度々登場しているものの、関連性は全くの不明である。
しかし、2021年に公式サブスク「TSUBURAYAIMAGINATION」でプレミアムプラン限定で閲覧が可能になっていたり、挿絵を担当した後藤正行氏のデザインワークスに挿絵が掲載されているあたり、公式から存在を忘れられていなかった事が判明している。