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愛天使伝説ウェディングピーチの編集履歴

2019-05-12 20:37:44 バージョン

愛天使伝説ウェディングピーチ

あいてんしでんせつうぇでぃんぐぴーち

脚本家・富田祐弘が原案および原作を務めアサツーグループの企画会社テンユウによって企画された日本アドシステムズのメディアミックスプロジェクト作品。谷沢直の作画により小学館『ちゃお』に連載された。製作会社として名を連ねたKSSの外注によってOLMが実製作を務めた同社初のテレビアニメ担当作品としても知られる。

富田祐弘が原作・原案を務め、テンユウが企画したメディアミックスプロジェクト作品。基礎プロジェクトとして企画が組まれていたのはアニメ版だが、商業展開の関係から小学館ちゃお』で先行作品として連載された谷沢直作画による漫画版に原作権がある。


作品概要

美少女戦士セーラームーン』から派生したと言われる美少女戦士もの。


原作者の富田は『セーラームーン』シリーズでシリーズ構成とメイン脚本を務めた後に本作を作り上げた。また本作テレビアニメ版でキャラクターデザインを務めた只野和子も『セーラームーン』初期作において同様にキャラデザを務めている。その意味においては『セーラームーン』の実質(スタッフ)的な姉妹作品である。


『セーラームーン』から後の作品に至る直接的なミッシングリングを構成しているジャンル上の重要作品であり、後世に作られた多くのバトルヒロインアニメに(解釈次第では、その元祖とされるセーラームーン以上に)決して無視しえない重要な影響を数多く残した作品として知られている。


セーラームーンとの差別化として「過去から受け継がれ未来へと向けた愛情」と「戦うお嫁さん」を作品独自のコンセプトとして持ち、ムーン以上に「恋愛」を主テーマに押し出した。後半に「ロミオとジュリエットシステム」を用いることでロマンス性を増強させ、ウェディングドレスからバトルスーツの二段構え変身(現在で言うキャストオフ式の変身)を採り入れている。


メディア企画を作成したのはテンユウ。同社は日本アドシステムズ(NAS)の100%子会社で、現在ではニチアサキッズタイム8時枠でおなじみアサツーディ・ケイ(ADK)の孫会社である企画会社。メディア作品の企画展開を主業務とする。ぶっちゃけてしまえば「NASが抱えている企画部のひとつ」であり「NASが広告代理店の枠を超えて作品にかかわる時に使用する法人格持ちの名義」である。そしてテンユウのメンバーは親会社の社員が兼務する(NASにおいても所属社員はADKからの出向メンバーが中心)ため、実質上、人員的には「テンユウ=NAS=ADK」である。(余談になるが『セーラームーン』は広告代理店的にはADKではなく東映エージエンシーの作品)


原作として扱われる漫画版は「ちゃお」(小学館)にて連載。単行本は「小学館フラワーコミックス」より全6巻。作画者は上述の通り、本作以前に「ぴょんぴょん」看板作家の一人として東映不思議コメディーシリーズ(中華魔女シリーズ)のコミカライズを担当執筆していた谷沢直。のち派生作品として「小学館の学習雑誌」の各誌にそれぞれ異なる作画者による漫画版が連載された。(漫画版作者で『原作者』として扱われているのは谷沢一人であり、実際に谷沢自身もアニメ版キャラデザ統括である只野に対してアニメ用のキャラクターイメージボードを下ろすなど一部のキャラデザなどに関わっている)


源流企画であるテレビアニメ版はテンユウによる企画策定の元、KSSによって製作された。ただし実制作はOLM「TEAM OTA」が担当が務めており、のちの同社同チームの出世作でもある。湯山邦彦監督作品。

テレビ東京系列にて放映。1995年度水曜18時枠4クールの30分アニメ作品。全51話。後にOVAの『ウェディングピーチDX』が全4話で作られている。後期2クール時の同期作品(というか直後枠放映作品)にガイナックス制作の新世紀エヴァンゲリオンがある。リアルタイム視聴者の中にはエヴァついでに本作を見て逆にハマった(何かに目覚めた)ヤツも多かろう。(まぁテレ東系列なので絶対数は少ないだろうが) また、そのせいで1995年度下半期の毎週水曜夜18時代は、1時間丸々宮村優子三石琴乃の声を堪能できるという、両声優のファンにとっては夢のような時間であった。


トイ(玩具)およびグッズを担当したのはTOMY(トミー)(現・タカラトミー)で、本作はトミーブランドによる初の女児向けキャラクター玩具作品でもあり、タカラトミーの女児キャラクター玩具の展開における原点のひとつとして位置付けられている。


評価と影響

結論から言えば本作は『セーラームーン』以降の時代における、バトルヒロインアニメ中興の祖として、アニメ史上に名を残す名作のひとつである。(詳細はジャンルの項目を参照)


確かにバトルヒロインという概念を確立したのは『セーラームーン』だが『ウェディングピーチ』はその「概念」に対して「明確な鋳型(フォーマット)」を組み込み、後の作品へとつながるジャンル作品に含まれるべき共通基礎項目を与えて成立させた作品で、本作の登場により、このジャンルの狭定義となる基礎コンセプトが確立されたと言われる。(本作が登場するまでセーラームーン単体以外の「比較対象になりえる作品」が存在しなかったためである)


が、その評価に至るまでには長い変遷があり、それゆえに立場によって評価が変動する作品としても知られている。


リアルタイム放映時の評価

放映当時は「セーラームーンの派生作品」である事を理由に、ジャンル内で果たした重要な役割や、後のアニポケに繋げたハイクオリティにも関わらず、長らくにわたり不遇な評価を与えられていた作品であった。


当時は悪意のあるアニメファンらからアニメ雑誌に情報が出たその時点で「時代に逆行した二番煎じ」と揶揄され、たったそれだけを理由に、内容やクオリティに関してはマニア間での精査すら行われなかった。(つまり、この手の評価を行ってきた者は大抵の場合、作品をマトモに見ていなかったという事でもある)


当時、本作に関わった何名かのスタッフ(特に原作者や監督およびキャラデザ)のもとには、一部のアニメファンから「批評という名の敵意を隠さない(場合によっては刃物入りの)脅迫状」がひっきりなしに届いていたという逸話まである。


特にテレビ東京系列放映作品である事が影響し、アニメマニアの中で大多数を占めて結束が強かった『セーラームーン』のファンによって、上記の評価が作品と離れた場所で一人歩きして評価の場そのものを奪われていた感は否めない。(同様の評価現象は現在においても、視聴層が少ないテレ東系アニメにはよく見られる事である)


一方で「アンチムーン」「アンチエヴァ」の一部には放送当時より評価の高かった作品として知られ、それらのマニアの受け皿となっていた感がある。(それがまたムーンファンやエヴァファンの逆鱗に触れて低評価を呼んでいたのだが、それはもはや作品の本質そのものとは関係の無い評価である)だが、そういう層から評価が高かったという事は、当然の事ながら色眼鏡の無いアニメファンからも高評価を得られるだけの作品クオリティをきちんと保っていたという証左でもある。(クオリティに関しては後述。だが、このクオリティの高さが逆にアダになり地上波で見るOVAだ という揶揄も見られた。ただしこれは同期作であるエヴァに対しても言われていた事である)


もちろんセーラームーンとウェディングピーチの双方を評価していたファンは、この往時にも存在したが、上記のような社会的状況からピーチに対しては隠れファンとならざるをえなかった側面があった。

ちなみに、その「隠れファン」の筆頭こそ、実は本作の派生元作品原作者だった、という話もある。(まぁフツーに考えれば件の原作者にとってみれば本作は戦友が自らの元を離れつつも、自信をリスペクトして作り上げてくれた作品という側面も当然あるため、好反応を持っていても不思議ではなかったりする)

しかも件の「隠れファン」は本作の展開時、同人誌即売会を駆けずり回り、自作の印税で本作の同人誌を大量にドカ買いし(まぁ自作の影響の資料としての側面もあったろうが)自身の代表作の前日譚では自作のセリフパロを兼ねた本作(ウェディングピーチ)オマージュの劇中劇を仕立てるという先生何やってんすかレベルの公式が病気を演じていたという裏話がある。

ぶっちゃけ「某特撮の原作者ファンが作ったパロドラマを笑って楽しんで見ていたのと同じ感覚」と言えば解りやすいだろうか。

しかし、その話が伝わるにつれ過剰反応を起こすファンが増加し、結果として件の「隠れファン」は自身のファンへの失望を招かないために、あえて本作に対する好評価を撤回せざるを得なくなり話題に出すこともはばかられたという。

このあたりは某特撮主演ファンが作ったパロドラマに「子どもたちが喜んでくれるから出たい」と公式に土下座したのにそれを許してもらえなかった事情に似ているだろうか。


セーラームーン終了後における評価

そもそも本作はノークレジットながら、現在ではアニポケで名を轟かせているアニメ制作会社OLM(しかもアニポケの原点にして頂点である伝説のTEAM OTA)の実質的なテレビアニメ初仕事となった作品(そもそもKSSはアニメの製作設備はあっても製作部門を持っていないため、同社名義の製作アニメは全て外注で、外注先のスタッフがKSSの設備を利用する体裁をとっていた)であり、それゆえに当時のアニメバブルの中でも頭ひとつ抜けた高い、言うなればテレビ本放送時にOVA(現代的に言うならば円盤)クラスの画像クオリティを持っていた作品として知られており、それ自体は放映当時より業界各所に評価されていた。(OLMは元々、KSSのOVA製作を外注で下請け製作していた会社だった)

ゆえに、作者もスタッフもテレビ局もスポンサーも、大多数の声に負けることなく志を貫き見事に本作を完走させてみせ、のちに業界や一部ファンの熱意に推されてオリジナルストーリーによる続編OVAが制作されるまでに至っている。


その現実が時を置いて認められるにつれて、業界を中心に本作に対する評価は好転を見せて行く。アニメとしての動画クオリティの精査が行われ、ストーリー上のギミックラインの評価が行われ、本作が単なるセーラームーンの二番煎じではない、子ども向けの基本に忠実(そもそも「時代遅れ」の批判がコレの裏返しであり逆に言えば、そこにしか批判点が存在しなかった作品であったとも言える)にして独自のロマンス性を持つ作品である事が、徐々にではあるが認められていく。


その意味では一時期において アニメやマンガのプロフェッショナルからの評価は非常に高いが、アニヲタからの評価は異常に低い作品 として知られており、放映当時の両者の着眼点の違いを示す好例としても取り上げられやすい作品である。(現在では、こうしたアニヲタ側の評価についてはプロ側の評価がアニヲタ側に知られていくにつれて緩和されつつある)


現在では、この事を理由に「セーラームーン人気の陰に埋没してしまった隠れた名作」ないしは「偏向的な価値観を持ってしまった当時のアニメファンのせいで正当な評価が与えられなかった悲劇の名作」という呼ばれ方をする事もある。


やがてCS放送を中心としたアニメ視聴体制が整ってくるとキッズステーションAT-Xあたりで再放送が行われるようになって多くの人の目に触れるようになっていき、改めての再評価が行われていくようになる。その結果として、後述する後世への影響も踏まえて、出てきた評価が上述した結論である。


海外での評価

日本では『セーラームーン』の競合作として上記のように賛否両論が入り乱れ、長らく評価が安定せずに散々であった本作だが、それでも後にいくつかの国でメディア展開が成された。国によってはセーラームーンよりも本作の放映のほうが早かったため、日本におけるセーラームーンと本作の評価関係が逆転しているケースが多少ではあるが見られることがある。


一方、セーラームーンが先行放送された地域においても、ムーン終了後に本作が放映された地域では、同じ只野キャラデザの作品であることから「競合策」ではなく「後継作」とみなされて、現代的に言う「せらむんロス」に陥った子どもたちが本作で救われたというケースも多少ながら見られた。


韓国

韓国では『セーラームーン』に先んじて放映され(しかもセラムンは放送コード的な事情でカットされた部分や話数が多かった)、韓国の少女達の間で大ブレイクしていたらしい(要出展)。

なにしろ1996年にトゥーニバース(ケーブルテレビのアニメチャンネル)でアニメ放映された事を皮切りに、同年MBCで地上波進出、1999年にSBSで再放送と定期的に放送が繰り返された(ただし、この時にはセラムン同様に放送コード的な事情でカットされた部分があった)挙句、2013年にトゥーニバースで改めてフルスペックノーカットという日本放映同様の仕様による「完全版」が放送された。(1996年の本放送に加えて都合3回再放送、計4回も放送が為された事になる。これは国産外国製を含めた韓国アニメ放映史上において初の出来事であり、同国放映の日本製アニメとしても快挙と言える)


そして2016年には韓国のコスメメーカー「ETUDE HOUSE」がウェディングピーチコラボレーションのコスメセットを発表。また2019年には同じく韓国のジュエリーメーカーである「CLUE」がウェディングピーチコラボレーションのジュエリーアクセサリーを発表している。


欧米圏

欧米(キリスト教圏)においてはフェミニズム団体から「結婚が女の子の幸せなんて前時代的」という批判は些少なりともあったものの、保守層に対しては、かなり暖かく迎え入れられた。

特にその中でも代表格に挙げられるのがドイツでの展開である。なんと同国では人気が日本におけるセーラームーンクラスにまでブレイクした果てに、その人気に押されて日本では実現しなかった「谷沢学年誌(雑誌『小学三年生』連載)版をまとめた単行本」が「ちゃお版に続く第7巻」として発売されている。(ISBN 978-3898853071)

そして、このウェディングピーチの欧米における人気により、谷沢はのち、日本の漫画界を離れてドイツやアメリカのペーパーバックを中心に活躍する漫画家となった。そのため彼女の知名度は日本よりも海外での方が比較的高い。(ただし、同時に武内直子と人違い・勘違いをされて対応に苦慮したとも、後に語っている)

同域においては「服装が職業や身分を示す」という文化が日本よりも確固としているため、セーラームーンに対しては「なんで普通の学生が水兵の服を着ているんだ? 彼女らは海軍士官候補生か?」という疑問が沸いた事で定着が遅れて上述した逆転評価に結びついていると指摘される場合もある。(花嫁さんが家庭を守るため脅威に立ち向かう、という方向性のほうがしっくりきたらしい。いわば「家庭を担う奥様(母親)」と「恋する乙女」が最強なのは世界共通なのである。その両属性が階乗状態ともなれば、そりゃあもう説得力が違う

余談ではあるが、こうした文化や意識の違いによる逆転現象は、のちの『明日のナージャ』などでも見られている事象ではある。

ちなみに余談になるが、同域で発刊された漫画単行本に関しては、絶版後である現在、1冊5000円近く、海外限定の第7巻になると条件にもよるが日本円にして10000円を超えるという日本のオタクからしてみれば信じられないレベルのトンデモプレミアがついている場合がある。


後に日本のファンによって「セーラームーンとウェディングピーチの関係性」や「日本的Kawaii価値観」が海外に知られ広まるようになると、そうした現象も沈静化を見せていくが、それでも海外における人気は根強く、むしろ、そちらにおいては「子どものころは『ウェディングピーチ』で学び、大人になったら『セーラームーン』を楽しむ」という、いわゆる「棲み分け」が明確化されていることが多い。(これ自体は、富田や湯山が『ウェディングピーチ』の制作当初に考えていた方針と合致する)


後世への影響

上述の通り「バトルヒロイン」という概念に「共通コンセプト」となる「フォーマット」を与えた作品とされている。セーラームーン終了後に作られた同ジャンル作においては、むしろセーラームーンよりも本作の影響の方が強いと言われている。(セーラームーンというコンテンツそのものが「シンプルかつ強力すぎてリスペクトのしようがない」という事情もあるが)


特に本作はバトルヒロインアニメの中でもピンクヒロインをメインの主人公に据えた最初の作品である。これは後の作品でも完全に定番化しプリキュアにおけるピンクチーム桃キュア)の原点となった。当然これを中の人ネタ(本作で花咲ももこを演じた氷上恭子の定番ネタ)に絡めたpixivタグも存在する。(ピーチ母娘ラブ&ピースなど)


また同様にバトルヒロインにおける黄色は属性ネタ枠という概念も本作で確立されている。いわゆるあざとイエローを最初にやらかした作品でもある。本作では恋愛をテーマに「少女らしい少女」をメインに据えている中、唯一異質であるオレっ娘属性を持つ珠野ひなぎくに黄色枠を与えている。あざとい! あざといぞ富田祐弘! もっとやってほしかった


実は「ドレス」「ファイター」の2モード(原作漫画版では「ファイタードレス」と呼ばれるアニメには出ていない必殺技発動専用モードも存在するため実は3モード)を持つ、バトルヒロインアニメ史上初のパワーアップフォームとは異なる、機能的フォームチェンジ能力を持っているバトルヒロインでもある。(作劇の都合上あまり前に出てこなかったが)これに関しても平成ライダーなどの影響もあるが時を置いて後の作品にも受け継がれている。

ちなみに設定上「ドレス」は愛のウェーブを高める「守り」のフォームで、ドレスで高めた愛のウェーブを攻撃に転じるためのフォームがお色直し後の「ファイターエンジェル」のフォーム。現代的に例えるならば某最強ライダーマスクドフォームが本作での「ドレス」に相当しライダーフォームが「ファイターエンジェル」に相当する。設定上では、ファイターエンジェルまで変身を完了させてしまえば、この2つのフォームは可逆変身ができる。(やっぱりあまり出てこなかったが)


本作でメインを張った、ほとんどの出演者がプリキュアシリーズ初期から出演しシリーズを支えた。そもそもが本作で谷間ゆりを演じたゆかなからして、初代プリキュアキュアホワイトを演じている。当然、コラボpixivタグが量産されている。詳細はキュアリリィピーチ母娘ママキュアのタグを参照。


本作によってOLMの「作品のクオリティ」と「同社の体制による作品制作の管理力」という双方の高さが業界に広く知られ、関係各社より評価されて後のアニポケシリーズの発注に繋がった。そのため共通点は無いが『アニポケ第0作』と言われる事もある。(ただしピーチは設定上、敵は倒しておらず「悪魔たちを浄化して人間界から追い返す」のであり「浄化した悪魔たちは悪魔界に戻った後、密かに愛天使たちの味方となっている」という設定になっているため、戦ったモンスターを味方・友達にするポケモンと完全に共通項が無いわけではない)

また上述した「一部マニアのピーチへの批判」を理由として「OLMのトラブル対応力」を鍛えた作品と指摘される。これは「どんな非難を浴びても信じた仕事を全うしてくれる会社」として、のちにOLMが業界から高い評価を得た一因となっている。この経験を持つOLMでなければ、後のポケモンショック時に作品そのものをすらも守れなかったかもしれない、とも言われている。


上述の通り、トミーブランドによる初の女児向けキャラクター玩具の作品であり、この事から本作はトミー発の女児向けキャラクター展開の原点作品として位置付けられる。

本作で培われたトミーと小学館の連携関係は『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』にて大きく花開き、さらにOLMとの連携関係も『ポケットモンスター』で維持された。この体制はトミーがタカラと合併してタカラトミーとなった後も維持され、2010年に『プリティーシリーズ』を、2018年に「ガールズ×ヒロイン!シリーズ」を生み出すに至っている。


欧米の結婚式ではメジャーな存在であったが、日本での欧米式を真似た結婚式においてはマイナーな存在であった「サムシングフォー」を最初にアニメで取り上げて広めた作品でもある。本作で、これを知った人間も少なくない。以降、サムシングフォーの着用は日本の結婚式においても定番化されていく。その結果として『ハピネスチャージプリキュア!』でも「結婚式に必要なもの」だとして取り上げられた。


その他のネタ

前述のとおり湯山邦彦監督作品であるため、監督の以前の代表作である『魔法のプリンセス ミンキーモモ』に絡めて、一部のファンから『ミンキーモモ第2.5作』ないしは『空モモ』『海モモ』に対応して『嫁モモ』(これはいわば「ウェディングピーチ」の日本語化でもある)や『戦モモ』と呼ばれる事がある。実際主人公の名前も『モモ』と「『もも』こ」であり、双方ともピンク髪や「お供」を持つヒロインである事も考えれば『ピーチ』は紛れも無く『ミンキーモモ』のプロンプトを継承した作品と解釈でき、当たらずとも遠からずとも言える。(実際、ミンキーモモは「空・海・大地」の3部作構成を念頭に置いた作品である事は当時から知られており『セーラームーン』の登場による少女向けにおける主流作品の変節さえ無ければ『地モモ』が作られていたかもしれないと言われている。また、それがあってなお、モモおよびアニポケでメイン脚本家を務めていた首藤剛志氏の逝去さえ無ければ『ピーチ』のリベンジおよびステップとしての『地モモ』制作の可能性は残されていた)


KSS製作OLM実製作の体制は本作以降も続けられたため、後のKSS作品にも本作を思わせるネタは、ある程度登場している。KSS版アニメこみっくパーティーにもエンジェルデイジーのコスプレをしたモブが登場する。


上記の通り、業界を中心に評価のある作品なので、内輪のギャグネタのパロディーとしては拾い上げられやすく、らき☆すたアニメ版3話でもネタに拾われている。


あらすじ

聖花園学園の中等部に通い、学園の新聞部に所属している花咲ももこは、ビデオで見た母のような幸せな花嫁に憧れている、父子家庭に育つ少し夢見がちな中学生。そのために彼女は、今は亡き母から受け継いだ指輪を宝物にしていた。


今日も今日とて新聞部の活動のため、同じく部員であり幼馴染谷間ゆり珠野ひなぎくとともに、学園のヒーロー集団サッカー部の取材に赴く。だが取材先で受けた扱いは優秀選手である柳葉和也先輩への個人取材のダメ出しという憂き目。さらに、ももこたちはそれを伝えて自分たちを追い払った補欠キーパー風摩ようすけの対応に怒りを募らせる。

だが、その帰り道でももこたちはプリュイと名乗る怪しい男から、指輪を渡すように迫られる。母の形見の指輪を渡したくないももこは拒否するが、その途端プリュイは怪しい力でももこたちを攻撃する。彼は悪魔界からやって来た女王レインデビラ配下の悪魔だったのだ。

プリュイの攻撃に気絶する、ゆりとひなぎく。慌てて2人に駆け寄るももこだったが、プリュイは逆に彼女らに使い魔を憑依させ、指輪を奪わんと操る。

追い詰められたももこだったが、その窮地に女神アフロディーテによって遣わされた天使リモーネが降臨。リモーネに聖なる手鏡(ミラーコンパクト)「セントミロワール」を渡され「愛天使ウェディングピーチ」に変身するように促されて、導きのまま愛天使となったももこは、ゆりとひなぎくを悪魔から解放。そのまま世界の愛を司る「聖サムシング・フォー」を巡る、探索戦と争奪戦に巻き込まれていく。


悪魔たちに「聖サムシング・フォー」が奪われれば、世の愛は消え去り世界は絶望の闇に閉ざされるとリモーネらに教えられたももこは、その事実を胸に戦う。のちに、ゆりとひなぎくも愛天使となって共に戦う事になるが、その過程で、ももこは自身の出自にまつわる、母・さくらの秘密とその生存を知る。だが、それとともに、全く関係の無い第三者であるはずの、ようすけまで巻き添えにしてしまう。状況に巻き込まれる中にあっても必死にももこをかばおうとする、ようすけの素の優しさや、自身に似た彼の母子家庭の子という境遇に、ももこは柳葉やリモーネに憧れながらも、次第に少しずつ、ようすけに惹かれるようになっていく。


登場キャラクター

メインキャラクター


愛天使を巡る運命の少年たち


聖花園学園


愛天使達の家族


その他の人物


天使界


悪魔界の悪魔族


おじゃ魔族


悪魔族の使い魔


アニメ

1995年4月から1996年3月まで全51話が放送された。同年11月から翌3月までOVA『ウェディングピーチDX』が発売されている。


テレビ各話リスト

話数表題各話のトピック
第1話祝! 愛天使誕生第1話。新聞部3人娘登場、ももこ変身、ウェディングピーチ誕生
第2話あっぱれ! お色直しファイターエンジェルお披露目
第3話ねらわれた花嫁ようもも接近開始
第4話エンジェルリリィ誕生ゆり変身、エンジェルリリィ誕生
第5話3人目の愛天使ひなぎく変身、エンジェルデイジー誕生
第6話じゃ魔ピーの逆襲じゃ魔ピープリュイに捨てられピーチに救われ愛天使陣営に
第7話食べすぎにご用心
第8話パジャ魔と眠り姫
第9話奪われたサムシングフォー
第10話お見事! 友情お色直しひなぎく変身不能回
第11話時をかけるひなぎく連続ひなぎく回
第12話美人悪魔の恋占いアクエルダ登場
第13話勝負! 悪魔のPK戦
第14話奪われた愛の指輪アクエルダ退場
第15話潜入! 悪魔の森ようすけ誘拐事件。ノクチューンの悲劇
第16話悪魔族の誇りプリュイ編完結。プリュイ死亡
第17話聖花園学園の秘密サンドラ編(サムシングフォー顕現編)スタート。反愛天使チーム(ノイーズ・ブリッツ・クラウド)3人娘登場
第18話愛天使、夏休みでも戦うわ!サムシングオールド顕現、ノイーズ退場
第19話真夏の夜の神秘サムシングブルー顕現、ブリッツ退場
第20話海辺のペンダントサムシングボロー顕現、クラウド退場
第21話ピアノよ響け星空に
第22話ねらわれたじゃ魔ピーサンドラ編完結
第23話初キスが奪われる!イグニス編(たくろう編)スタート
第24話ドキドキ学園祭
第25話悪魔のキスは甘くない
第26話いつわりの結婚式悪魔リュックの能力で愛天使が3人とも戦闘不能になる
第27話ウソ! 柳葉さまに恋人?
第28話恋する少女は最強よ!
第29話ハロウィンな魔女ポタモス登場。たくろうがピーチに変装
第30話グッバイ悪魔さまイグニス編完結。イグニスがポタモスに誅殺される
第31話乱入! 恋のライバルポタモス編スタート。ポタモスが川浪ひろみとして潜伏開始
第32話マフラーに愛をこめて
第33話戦場に咲いた恋リモゆり確定回。ゆりの前世・純天使リリィの存在が明かされる
第34話恋のあやつり人形
第35話四人目の愛天使サムシングニュー顕現。サルビア登場
第36話一人ぼっちの愛天使スカーレット登場
第37話サルビアの涙純天使フリージアの悲劇。四人の愛天使、和解集結。聖唱箱出現
第38話お別れの熱いキスポタモス編完結。ポタモス(ひろみ)生存の上で退場
第39話先生は悪魔?ペトラー編スタート
第40話愛が吸われちゃう!リモーネの正体が柳葉と判明
第41話恋愛ごっこ大スキー
第42話ゆりのく・ち・び・るペトラー編完結。ペトラー、リモーネを道連れに消滅
第43話レインデビラの真実ヴィエント編開始。ようすけが強制的に半覚醒させられる
第44話じゃ魔ピーの初恋
第45話帰ってきたママ花咲さくら(セレーソ)人間界に帰還。ももこがヴィエントの正体を知る
第46話私の恋人は悪魔ももこの苦しみの果ての決意。ようすけへの揺らがぬ愛への自覚
第47話よみがえれ、愛の記憶ヴィエント編完結。ヴィエントとようすけの記憶が同一化
第48話愛すれどせつなくて最終決戦編スタート。レインデビラの分身が人間界を急襲
第49話2人だけの夜ウラガーノの残留思念登場。息子ヴィエントに悪魔界の真実を明かす
第50話離れない心レインデビラ総攻撃。最終決戦開始。リモーネ復活
第51話ラスト・ウェディング最終回。ようすけとももこの結婚式。レインデビラ完全浄化

DX各話リスト

第1話愛天使復活! ~海に行っても戦うわ~ピーチ復活、はぐれ悪魔の存在の露呈
第2話サルビアの恋 ~豪華客船でも戦うわ~堕天使の存在の露呈
第3話再会 ~クリスマスでも戦うわ~川浪ひろみ登場。光落ちしても相変わらずのトラブルメーカーぶりを発揮
第4話偽りの愛天使 ~バレンタインでも戦うわ~最終話。はぐれ悪魔ベルフェゴール登場。未完結

スタッフ

  • 原作:富田祐弘・谷沢直(企画:テンユウ)
  • シリーズ構成:富田祐弘(DXシリーズは湯山邦彦)
  • 脚本:富田祐弘(メイン)・寺田憲史・園田英樹・大橋志吉(DXシリーズは全編湯山邦彦)
  • キャラクターデザイン:只野和子(DXシリーズでは一石小百合が加わる)
  • 作画監督(チーフアニメーター):一石小百合
  • 美術:金村勝義、松本真奈美
  • 音楽:長谷川智樹、神津裕之
  • 音響:飯塚康一(音響監督:三間雅文)
  • 制作:テレビ東京・日本アドシステムズ(NAS)・ケイエスエス(KSS)
  • 実制作(ノンクレジット):OLM(TEAM OTA)
  • 監督:湯山邦彦

主題歌

オープニングテーマ

OP1『夢見る愛天使』

作詞 - 松葉美保 作曲 - 岡崎律子 編曲 - 岩本正樹 歌 - FURIL(氷上恭子・宮村優子・野上ゆかな)


OP2『Wedding Wars〜愛は炎〜』

作詞 - 佐藤ありす 作曲 - 斎藤かんじ、大和朗 編曲 - 関根安里 歌 - 中島えりな


DXOP『Merry Angel』

作詞 - 佐藤ありす 作編曲 - 斎藤かんじ 歌 - FURIL’(氷上恭子・宮村優子・野上ゆかな・今井由香)



エンディングテーマ

ED1『21世紀のジュリエット』

作詞 - 織田ゆり子 作曲 - 工藤崇 編曲 - 岩本正樹 歌 - FURIL


ED2『ヴァージンラブ』

作詞 - 佐藤ありす 作曲 - 斎藤かんじ、大和 朗 編曲 - 関根安里 歌 - FURIL


DXED『Sweet Little Love』

作詞 - 佐藤ありす、作曲・編曲 - 山本はるきち、歌 - FURIL'(氷上恭子・宮村優子・野上ゆかな・今井由香)



関連イラスト

ウェディングピーチウェディングチェンジ!


関連タグ

富田祐弘 谷沢直 ちゃお

変身ヒロイン スーパーヒロイン バトルヒロイン


ポケットモンスター - スタッフがほぼ共通。というかTEAM OTAにとっての次作

美少女戦士セーラームーン - 先行競合作。というかスタッフ的には姉妹作品である。そのため上記したファンの反応の事も含めて因縁深い。

ハピネスチャージプリキュア! - サムシングフォーを作中で取り上げた回がある

ガールズ×ヒロイン!シリーズガールズ×戦士シリーズ)- 本作と同じ、OLM制作、小学館メディア展開、テレ東放映、タカラトミー玩具担当の女児向け特撮バトルヒロイン。ぶっちゃけ後輩格

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