概要
『Fateシリーズ』における英霊召喚に必要となる物体のこと。
普通、聖杯戦争では聖杯がマスターに近い性質を持つサーヴァントが選出されて召喚される性質があるが、この触媒はソシャゲでいう星5配布チケットのような役割を果たし、目的の英霊をしやすくする役割がある。ただし、バーサーカークラスを除き、クラスの指定は不可能。
また、召喚しても無くなる事はないが、作中では様々な理由で破損や紛失が起こっている。
ただし、物体によって縁の強弱が決まっており、その英霊に縁があるからといって必ずしも目的の英霊が召喚されるわけではないし、縁があったとしてもその触媒では呼べないと明言されている英霊もいる。
例え話をすると、ナポレオンを召喚するとなれば、単にナポレオンを描いた肖像画の贋作やナポレオンが登場するゲームソフト程度では召喚されにくい。なので、この場合はナポレオンが直々にジャック=ルイ・ダヴィッド(フランス古典主義の画家)に依頼した『サン=ベルナール峠を越えるボナパルト』のオリジナルが触媒として適しているといった具合である。
複数の英霊に縁ある触媒だった場合、マスターに一番相性のいい英霊が呼ばれる。縁の薄い触媒で触媒に関する英霊が召喚されるというケースもあるが、これは「マスターとの共通点が多い」から召喚されたなどの理由付けをされる。
触媒の入手方法にも色々あり、有力な魔術師がサーヴァント所縁の地から回収しているケース(『Staynight』、『Zero』など)、聖杯戦争参加に際して魔術協会から配布されるケース(『Apocrypha』)、盗品(『Zero』、『蒼銀のフラグメンツ』など)、果ては店で購入するという方法まである(『Requiem』)。
触媒は生き物や概念であっても対象となり、自分自身を触媒にしたケースすらある。
一方で、『StrangeFake』のシグマは触媒を用意されたにも関わらず、あえて触媒なしで召喚に臨むというケースまである。
亜種聖杯戦争の起こっている世界では触媒を探す所から既に聖杯戦争が始まっており、開催地でアドバンテージを発揮できる英霊の触媒を求めて争奪戦が繰り広げられ、争奪戦の時点で魔術師が全滅というパターンも確認されている。
例えるなら、ギリシャで亜種聖杯戦争が起こると知名度が突出しているヘラクレスやアキレウスの触媒の人気が高くなるという具合。
『EXTRA』世界での聖杯戦争は形式が異なる為、触媒の有無はそこまで重要視されない。
『プリズマ☆イリヤ』における聖杯戦争で使用される「クラスカード」にも触媒による召喚は適用され、英霊の座にアクセスしてその英霊の力を行使できる。
また触媒とは英霊の聖遺物のみを指す言葉ではなく、魔術・降霊術を行使する上で必要な物品を指す用語である
例を挙げればロード・エルメロイⅡ世の事件簿にてマーベリー工房の妖精を現界させる触媒として、ライネスの魔眼をウィルズの妖精眼と照応させる事で呼び出している。
触媒一覧
『Fate/Staynight』
全て遠き理想郷
衛宮切嗣が第4次聖杯戦争の終盤に衛宮士郎少年に埋め込んだもの。
アーサー王の宝具であるエクスカリバーの鞘そのものだが、召喚に際して持ち込まれたものではなく、コーンウォール地方に埋まっていたものをアインツベルンが回収した現存する宝具である(なぜコーンウォールに埋まっていたかは定かではないが、アーサー王伝説を参照するにモルガンが絡んでいると思われる)。
宝具としての性能は該当記事にて。
『帝都聖杯奇譚』では琥珀さんが所持していて、アーサー王が召喚されかけたが、手違いで別人が召喚された。リメイク版の『Fate/typeRedline』では精巧な偽物ということになっている。
凛のペンダント
遠坂の魔術師が代々魔術を込めた赤い宝石で作られたペンダント。
ランサーによって致命傷を負った士郎を助ける為に遠坂凛が使用した礼装。なので、特定の英霊に縁があるアイテムなどではなかったはずだが、実はある事情からとある英霊の触媒になっていた。
『Fate/Grandorder』では星3概念礼装として登場している。
イヤリング
『伝承保菌者』(ゴッズホルダー)と称されるルーン魔術の大家フラガ家に代々伝わるイヤリングで、バゼット・フラガ・マクレミッツがクー・フーリンの召喚に使用した。バゼットにとってクー・フーリンは憧れの存在であり、彼女にとっても大切な品となっている。
エトルリアの神殿から発掘された鏡
エトルリアとはイタリア半島に栄えた都市国家群の事。イタリアという地域自体がギリシャの影響を多分に受けている為、触媒として機能したと思われる。おそらく間桐臓硯が所持していたもの。
しかしながら、メドゥーサが召喚された理由は召喚者の「被害者でありながら加害者になりうる性質」などの共通点からである。
メディアゆかりの文献
メディアを召喚する触媒。
召喚者であるアトラム・ガリアスタはコルキスの竜に縁あるメディアは竜召喚できるのではないか?という想定の下、召喚に使用したが、実際の所は見当違いもいい所であった。
もし、竜を召喚したければ彼の触媒を用意すべきだったのかもしれない。
柳洞寺の山門
メディアが佐々木小次郎の召喚に使用した。
佐々木小次郎本人の伝承に柳洞寺を訪れたという伝承はないが、小次郎の皮を被っている無銘の剣士はこの寺を訪れたという縁があった為に召喚された。また、彼の依り代として機能しているせいで、小次郎は柳洞寺の敷地から出ることは不可能である。
ヘラクレス神殿の柱
ヘラクレスの召喚に使用。
アインツベルン家の所持品で、武器を持ち込まなかったヘラクレスが斧剣に加工している。
以降のバーサーカークラスでの召喚ではこの斧剣を武器として持参している。
『アサシン』という名詞
基本的に冬木の聖杯戦争でアサシンクラスのサーヴァントが召喚される場合、一部の例外を除き、ハサン・サッバーハが召喚される。これは彼らが『アサシン』の語源になった存在だから。
といっても、召喚されるハサンは一人だけではなく、召喚者によって各時代で活躍したハサンが召喚される形になる。これは第四次ハサン、第五次ハサン共通の触媒である。また、『Strangefake』の聖杯戦争も触媒は同様だが、召喚されたのは…。
『Fate/Zero』
ディルムッド・オディナの触媒
ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが急場凌ぎに仕入れた品であるらしいが、詳細不明。
わざわざこのような触媒を用意する羽目になった理由については後述。
この世で最初に脱皮した蛇の抜け殻の化石
『ギルガメッシュ叙事詩』においてギルガメッシュの手に入れた不死の薬草を飲み込み、脱皮を会得した蛇の抜け殻である。
一応、時臣の死後もこの触媒は残っており、もし、ギルガメッシュが召喚されていたら、凛との相性はかなり良かったと考えられる。
イスカンダルのマントの切れ端
ケイネスが仕入れた触媒だったが、ウェイバー・ベルベットが横領し、イスカンダル召喚用の触媒に使用した。これが原因となってウェイバーはケイネスの破滅を招いただけでなく、数々の厄介ごとを背負うことに…。
『Apocrypha』の世界でもウェイバーがこの触媒を手に入れて、亜種聖杯戦争に参加したので、こちらでもこの触媒が縁となってエルメロイ家の当主となったと思われる。
どの世界でも聖杯戦争後にウェイバーによって厳重に管理されているが、『StrangeFake』では聖杯戦争に参加したがるフラット・エスカルドスに貸し与えることも考えていたという。
ランスロットの触媒
アニメ版『Zero』にて間桐臓硯が間桐雁夜用に用意したとされる触媒。
詳細は不明。
『Fate/Apocrypha』
円卓の欠片
魔術協会に雇われた獅子劫界離が降霊科のロード代理を務めるロッコ・ベルフェバンから授けられた触媒。かつて円卓の騎士達が座していた円卓の破片であり、アーサー王とギャラハッド(英霊の座に登録されていなかったベディヴィエールもか)以外の円卓の騎士を召喚できる。つまり、これ一つで宝具を奪える最強の騎士やもう一振りの星の聖剣を持つ騎士、聖槍を持つ騎士、弓矢の名手などのチート騎士のどれかが必ず呼べちゃうトンデモな触媒なのである。作中で呼ばれたのはなんと叛逆の騎士モードレッドであった。
セミラミスの触媒
シロウ・コトミネ神父がセミラミスを召喚する為に用意した触媒。詳細不明。
ブラム・ヌァザレ・ソフィアリから入手したものの他に、3つの触媒を20年もの歳月を費やして入手している。
赤の陣営の触媒
時計塔が緊急事態であるにも関わらず、一級品の英霊を召喚できるように選別した触媒の数々。
この陣営に属する魔術師ジーン・ラムは当初これらの触媒でマクベスを召喚するつもりだったが、召喚されたのは作者であるシェイクスピアであった。
血に染まった菩提樹の葉
『ニーベルンゲンの歌』曰く、ジークフリートがファヴニールを倒した際に血を浴びて不死身となったが、菩提樹の葉が張り付いた背中にだけは不死身にならなかったという。その背中に張り付いた菩提樹の葉がこの触媒である。
ゴルド・ムジーク・ユグドミレニアがジークフリート召喚に使用した。
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』では蒼崎橙子が灰かぶりの魔術をカリーナに掛ける際に焼失してしまった。なんてことを…。
青黒い血が付いた一本の矢
フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアによってケイローン召喚の触媒となった。
恐らく、ケイローンの死因となったヒュドラの毒が塗られた矢だと思われる(持ち主であるヘラクレスが呼ばれる可能性も0ではない)。
染みの残ったガラス瓶
セレニケ・アイスコル・ユグドミレニアがアストルフォ召喚に使用したガラス瓶。シミといっても別にやらしい意味とかはない。
アストルフォが月世界に旅立った際に手に入れた自分の理性が入った瓶か、ローランの理性が入った瓶のどちらかだと思われる。
『Fate/EXTRA』系列の世界観ではシャルルマーニュ伝説は全くの架空の物語とされているが、冬木の聖杯が存在する世界ではこれが触媒として機能した辺り、シャルルマーニュ伝説に相当する出来事があったのかもしれない。
アヴィケブロンの触媒
ロシェ・フレイン・ユグドミレニアがアヴィケブロンの召喚に触媒を使用したという設定が存在するが、詳細は明かされず。
ジャック・ザ・リッパーの使っていた刃物
四本の短刀と二本の肉切り包丁の合計6本。相良豹馬によってジャック・ザ・リッパーの召喚に利用されたが、召喚者はサーヴァントによって殺されてしまった。理由については該当記事にて。
『理想の人間』と書かれた人体図
カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアがフランケンシュタインの召喚に使用したフランケンシュタインの人体図。
『Fate/strangefake』
ギルガメッシュの蔵の鍵
本作におけるギルガメッシュ召喚の触媒。
ギルガメッシュが使っている鍵剣の実物で、最初の召喚者が召喚の触媒に使用したが、マスターがティーネ・チェルクに殺害されてマスター権が移った。
作ったはいいが、蔵を荒らす賊が一人もいなかったことに気付き、召喚直後によってギルガメッシュに捨てられた。
合成獣
エジプトで神と呼ばれた英雄を召喚する為に作られた合成獣が触媒となった。
しかし、実際に召喚されたのは『ギルガメッシュ叙事詩』の英雄であるエルキドゥであった。
人物像については該当項目にて。
『ジャック・ザ・リッパー』の銘入りナイフ
ジャック・ザ・リッパー召喚の触媒となったナイフ。
しかし、その実態は先述したナイフのような実物ではなく、TVゲーム「大英帝国ナイトウォーズ」の感想ハガキの懸賞品として送られてきたレプリカ。概要でも述べたようにこれでは英霊召喚の触媒にすらなり得ないものなのだが…。フラットは紆余曲折の末に召喚に成功してしまった。
エクスカリバーの鞘を収めていた石箱
先述の『全て遠き理想郷』が収められていた石箱。アーサー王が召喚されるものと思いきや、召喚されたのは何とアーサー王ファンであるリチャード1世であった。
おそらく『全て遠き理想郷』を回収し、大事に保管していたのだろう。
アルケイデスの触媒
詳細不明。バズディロット・コーデリオンのセリフによれば、使用した事は確実らしい。
自分自身
フランソワ・プレラーティ召喚の触媒になったのは、何と自分自身=フランチェスカである(英霊になった以上、どこかの時間軸で彼が死んでいることになる)。
召喚詠唱も第四次聖杯戦争のキャスターのマスター同様に適当なもので、ジル・ド・レェが召喚される期待もあったという。
マズダ
詳細不明。ハルリ・ボルザークがバーサーカーの触媒に利用した。
アメリカ合衆国でマズダというとゾロアスター教の光明神アフラ=マズダに由来する電球を指すが、召喚されたのは電球で有名なエジソンでもなんでも無い奇怪なサーヴァントであった。
『Fate/Prototype_蒼銀のフラグメンツ』
炭化した古い館の破片
ナイジェル・セイワードがブリュンヒルデの召喚に使用した触媒。
北欧神話に伝えられるヒンダルフィヤル山頂にある炎の館の欠片だと目される。また、炎の館は北欧異聞帯にも存在する。
ネフェルタリが最後に身につけていた首飾り
召喚されるのはネフェルタリではなく、その夫であるオジマンディアスである。というのもオジマンディアスは自分のミイラなどの自分に縁深い品程度では召喚に応じず(人理が緊急事態に陥っている場合は別)、愛妻家であるが故にネフェルタリの遺物でのみ召喚が出来る。
しかし、彼をこのような方法で召喚しようものなら、よほどのイレギュラーが起こらない限り、不興を買って殺されるだろう。
複数の「石」
ただの石程度では触媒足り得ない為、生前に彼が作ったとされる、賢者の石ではないかと思われる。
『Fate/typeRedline』
ライトノベル「帝都戦記」
本来は召喚に先述の『全て遠き理想郷』が使われる予定だったが、レプリカであった為、現代からタイムスリップしてきた赤城奏丈が持っていたラノベがどういうわけか触媒になってしまった。
普通なら触媒として機能しないはずなのだが、このライトノベルに書かれていた事と似た出来事が現実に起こっている辺り、何らかの関わりがあると思われる。
『Fate/Grandorder』
本作の英霊召喚自体が特殊なものである為、基本的に触媒は使用されない…が、以下のものが触媒として登場している(触媒とは明言されていないが、それに類するものもここで取り上げる)。
アキレウス
ギリシャ異聞帯にてアキレウスが消滅し、それが呼び水となって最大のライバルであるヘクトールが召喚された。
ちなみに本章には他にもヘクトールに縁深い英雄が、多数登場しており、そちらとの縁も少なからず影響しているのかもしれない。
ゴールデン・ヒュージ・ベアー号&カリギュラ帝
大召喚器アイテールを用いた「破神術式・冠位英霊指定召喚」にて坂田金時の宝具『摂津式大具足・熊野』(ゴールデン・ヒュージ・ベアー号)を触媒にギリシャ神話の戦神アレスがギリシャ異聞帯召喚された事に加え、アレスとカリギュラに纏わる英雄としてグランドランサーロムルス=クィリヌスが召喚された。
なお、一見無関係な『摂津式大具足・熊野』(ゴールデン・ヒュージ・ベアー号)でアレスが召喚された理由はこの宝具がオリュンポス十二機神の欠片から作られた事が示唆されている為だろう。
コーンウォール地方
ブリテン異聞帯が人類史自体がない場所である為、汎人類史のサーヴァントも召喚できないはずであったが、コーンウォール地方では出身者であるトリスタン卿が召喚され、獣の厄災との戦いではランスロット卿とガウェイン卿が召喚されている。これは円卓の騎士がブリテン島に縁深い存在である為である事がわかるが、それだけでは召喚が成立するとは思えず、召喚された本当の理由は妖精騎士に円卓の騎士の名前が与えられたからではないかと思われる。
余談
転じてサブカル界隈では特定のキャラクターを引き当てる為に用意するアイテムやイラストの事を指すようになった。わざわざこの為にキャラクターの聖地に赴いたというファンもいたりする。
特にpixivでは『Fate/Grandorder』で引き当てたいキャラを描いたイラストに付けられるタグとなっている。しかし、Fateの世界と違ってソシャゲである為、触媒を用意したからと言って当たる保証はない。