副都心線
ふくとしんせん
路線データ
概要
小竹向原駅(東京都練馬区)と渋谷駅(東京都渋谷区)を結ぶ東京メトロの地下鉄路線。
運行系統上は有楽町線との共用区間を含む和光市駅(埼玉県和光市)〜渋谷駅の路線として案内される。小竹向原駅〜池袋駅間は地下鉄では珍しい複々線区間【上下二段式】。共用区間の和光市駅〜小竹向原駅間は両線のナンバリングが施されている。和光市駅以外の全駅が東京都に位置する。
池袋駅〜渋谷駅間は東京メトロが保有する全路線で唯一営団地下鉄が民営化された後に開業した区間である。平成後期の開業であるため、当初からバリアフリー設備やホームドアは完備されており、線内では都市型ワンマン運転及びATOによる自動運転が行われている。全線開通の4か月後に地下鉄成増駅〜小竹向原駅間の各駅にホームドアが導入された。これにより全駅がホームドアとなった。
詳細は後述するが、複数路線との相互直通運転や路線ごとに種別が変わる等、非常に運行形態が複雑な路線である。そのため、当線内から遠方へ利用する場合は行先や種別等に注意を要する。
沿革
- 有楽町新線開業
都市高速鉄道13号線として建設され、1994年(平成6年)12月7日に小竹向原駅〜新線池袋駅(当時の旅客案内上の名称で、正式名称は池袋駅)間が有楽町新線として開業した。また当時は千川駅・要町駅は構造物は設置されていたものの有楽町新線の駅としては未開業で、両駅の開業は副都心線としての開業まで待つ事となる。
長らく有楽町線の別線として目立たない存在であり、例として当時の新線池袋駅は現在のように丸ノ内線とはまだ繋がっておらず、池袋駅西口の端にポツンと乗り場が設置されている様な状態であった。
- 副都心線誕生
最初の転機が訪れたのは2008年(平成20年)6月14日。池袋駅〜渋谷駅間が開業し、有楽町新線区間も含めて「副都心線」の名称の使用を開始。千川・要町の両駅も開業した。また優等列車の運行及び副都心線単独区間でワンマン運転が開始された。
これにより東武東上線・西武池袋線方面と新宿・渋谷の二大副都心が乗り換え無しで結ばれ、利便性が向上した。
とはいえ、新規開業区間はJR東日本山手線・埼京線・湘南新宿ラインと並走しており、また渋谷駅ホームが地下5階と非常に深い位置にあったため、使いにくい路線という印象はまだ払拭しきれていなかった。
- 5社直通開始以降
次に転機が訪れたのは2013年(平成25年)3月16日。東急渋谷駅の地下化・東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線との相互直通運転開始に伴い、神奈川県横浜市や川崎市と埼玉県西部を結ぶ5社直通ネットワークが誕生した。
2015年(平成27年)3月28日に和光市駅〜小竹向原駅間も有楽町線と共にワンマン化し、全線でのワンマン運転を開始。
2023年(令和5年)3月18日には東急新横浜線経由で相鉄線との直通運転を開始した。
元・最後の新線
現時点では東京メトロ最後の新規開業路線。東京メトロは当初、副都心線の開通をもって新線建設を終了するとしていたが、後年に有楽町線豊洲駅と半蔵門線住吉駅を結ぶ「地下鉄8号線(通称「豊住線」)」及び、南北線白金高輪駅とJR品川駅を結ぶ「南北線分岐線」の建設が決定し、どちらも東京メトロによる整備となるために、副都心線は同社最後の新線では無くなる予定である。
駅ナンバリング
副都心線は開業時点で導入済みだったが、後に直通他社でも順次導入した。その為ホームにある路線図は駅番号だらけになってスペース不足気味。東京スカイツリー開業に合わせて案内類が更新された半蔵門線よりも多い。相鉄直通に伴いそちらも表記した為、更にスペース不足に拍車がかかった。
駅の位置
平成後期に開業した後発の路線という事もあり、副都心を通ってはいるのだが、他の路線よりもやや外れの位置にホームと改札が位置している場合が多い。特にターミナルの各駅は場所の確保に苦労したような跡がうかがえる位置にあり、新宿副都心に関しては新宿駅はなく新宿三丁目駅だが、それ以上に池袋駅が池袋副都心中心部の外れに位置している(立教大学生にはありがたい配置ではあるが…)。渋谷は離れすぎている訳ではないが地下5階とかなり深い階層にあるので地上に出るまでが遠い上に、京王井の頭線と銀座線はその地上からさらに上がった高架上に駅がある(井の頭線は地上2階、地下鉄銀座線は地上3階)。尤もこれは渋谷の地形に起因しているので解消は難しい面がある。一応池袋・新宿・渋谷いずれも中心部へ地上に出らずに行くことが可能な地下ルートは確保されている。
将来的には池袋~雑司が谷間に東池袋駅の新設も予定されており、すでに用地は確保されている。
実現すれば東横線方面や小田急小田原線方面の客は池袋駅に向かうことすらなくサンシャインシティに大幅に時間を短縮して行くことが出来るようになる。
上述の通り走行ルートが山手線とほぼ並行している事もあり他の鉄道路線との乗り換え駅が非常に多く、副都心線としての単独駅はわずか2駅(西早稲田駅・北参道駅)だけである。なお西早稲田駅は近隣に高田馬場駅があり、振替輸送時の代替ルートとしても利用される。
ちなみに池袋駅〜渋谷駅間の所要時間は普通列車の場合、山手線とほぼ変わらない(16分)。
なお、かつて東京メトロがラブライブ!のミニユニットとコラボレーションした際は、各々のパーソナルカラーやそれに近い色がμ'sメンバーに割り振られたが、ピンク系統は都営地下鉄(東京都交通局)が独占しているため、矢澤にこだけはμ'sにも唯一該当メンバーが存在しないブラウンのこの路線を割り当てられることになった。
運行形態
運行系統は東武/西武〜副都心線〜東急・みなとみらい線系統と、東武・副都心線〜東急〜相鉄系統に大別される。
東急線とは一体のダイヤが組まれており、渋谷駅発着の列車は一部の各駅停車などごく僅かしかない。
なお東急東横線及びみなとみらい線の急行通過駅のホームが10両編成に対応していない為、10両編成の列車は必ず東急線・みなとみらい線内は急行以上の種別で運行する。また8両編成は原則東急線・みなとみらい線を特急・通勤特急として運行する列車には使用しない。
緩急接続が可能な駅は小竹向原駅及び渋谷駅。待避駅は東新宿駅のみ。この為副都心線内に限っては優等列車の二本前の各駅停車に乗車した方が早く到着可能。なお小竹向原駅での緩急接続は有楽町線からの列車も含まれる。
ここでは各種別毎に記載する。
座席指定制の有料列車。副都心線では土休日に運行される。
なお池袋駅はA線(渋谷方面)・B線(小竹向原方面)共に降車専用の為乗車出来ない。
詳細は当該記事を参照。
停車駅
西武秩父 - 飯能 - 入間市 - 所沢 - 石神井公園 - 池袋 - 新宿三丁目 - 渋谷 - 自由が丘 - 横浜 - みなとみらい - 元町・中華街
西武秩父間~元町・中華街の走行距離は113.8kmであり、デュアルシート使用の座席指定列車としては比較的長距離を走る列車として知られている。
無料の最速達種別。10両編成。一部を除き後述の通勤急行が運行される平日朝・夜間以外の全時間帯で運行される。
A・B線共に東新宿駅で先行する各駅停車を追い抜く。運行開始時は明治神宮前駅を通過していたが、2010年(平成22年)3月6日ダイヤ改正で土休日限定で停車するようになり、2016年(平成28年)3月26日ダイヤ改正で終日停車となった。
また同改正でみなとみらい線・東横線内特急〜副都心線内急行〜東上線内急行/西武線内快速急行で運行される列車に「Fライナー」の列車愛称が与えられ、「F急行」と種別表示される。日中の急行は全てFライナーで運行される。2023年3月18日ダイヤ改正以降東上線内は快速急行として運行している。
Fライナー以外は列車によって直通先での種別がバラバラだが、東横線・みなとみらい線内は必ず急行以上の種別で運行される。これは渋谷駅以南の急行通過駅が8両編成までしか対応していない為。
Fライナーについては当該項目も参照。
・東武東上線直通
森林公園駅〜元町・中華街駅間の運行を主とし、一部小川町駅・川越市駅発着及び東横線菊名・相鉄本線海老名発がある。Fライナーと小川町行は東上線内を快速急行、小川町発の一部は急行、それ以外は普通として運行する。
通勤急行が運行される時間帯には運行されない。日中はFライナーが毎時2本設定されている。
車輌運用の都合で土休日ダイヤの早朝に海老名発小川町行きという私鉄通勤型としては異例の長距離列車が設定されている。(相鉄線内は特急、東急線内は急行、東武線内は快速急行)こちらの走行距離は115.4km、上記のS-TRAINよりも長い。
・西武線直通
小手指駅〜元町・中華街駅間の運行を主とし、一部飯能駅・所沢駅・清瀬駅発着及び菊名発。Fライナーと一部の急行は西武線内を快速急行、その他は快速、準急、各駅停車のいずれかで運行する。また臨時でFライナーから西武球場前行に変更された列車は西武線内快速として運行する為、通常の急行として運行する。
東上線直通や和光市駅発着と違い通勤急行が運行される時間帯にも設定されている。これは2016年3月16日から2023年3月17日まで小竹向原駅以南で急行と通勤急行の停車駅に差が生じていた為急行が運転されない時間帯が存在したが、3月18日ダイヤ改正で再び停車駅に差が無くなったことで西武線直通の通勤急行を急行に戻した為である。
日中はFライナーが毎時2本運行される。
・和光市駅発着
主に土休日に設定されている。平日にも僅かながら存在するが、大部分は通勤急行として運行されている。
停車駅
和光市 - 小竹向原 - 池袋 - 新宿三丁目 - 明治神宮前 - 渋谷
- 通勤急行
平日の朝と夕方以降に運行される種別。10両編成。前述の期間を除き、急行との停車駅の違いは小竹向原駅以北の全駅に停車するか否かのみ。予々毎時2〜4本設定されており、東新宿駅で先行する各駅停車を追い抜く。
運行区間は森林公園駅・川越市駅・和光市駅〜元町・中華街駅間を主とし、一部途中駅発着や相鉄線直通も設定されている。以前は西武線直通も存在したが2023年3月18日ダイヤ改正で明治神宮前駅への停車を開始した事で小竹向原駅以南での急行と停車駅に差が無くなった為、以降は設定されていない。
東上線内は普通として運転するが一部は快速急行となる。東急線・みなとみらい線内は急行同様優等列車で運行。
停車駅
(和光市〜小竹向原間の各駅) - 池袋 - 新宿三丁目 - 明治神宮前 - 渋谷
- 各駅停車
10両編成または8両編成で運行。日中は毎時10本設定されている。原則東急線内急行となる列車は東新宿駅で優等列車の通過待ちを行う。
東急東横線及びみなとみらい線のホーム有効長の関係で10両編成は必ず東急線内は急行以上で運行される。8両編成は東急線・みなとみらい線内は急行または各駅停車で運行。
・東武東上線直通
8両編成は朝夕に数本志木駅まで乗り入れる列車のみで、川越市・森林公園の両駅を発着するのは10両編成のみ。
日中は毎時1本湘南台駅〜川越市駅(一部志木駅)間で運行され、東新宿駅でFライナー急行の通過待ちを行う。
朝・夕方以降はみなとみらい線からの直通も加わる。
・西武線直通
日中は8両編成の列車が毎時2本元町・中華街駅〜石神井公園駅間で運行され、そのうちB線の1本は西武線内準急として運行する。
朝・夕以降は10両編成や飯能駅・所沢駅・清瀬駅・保谷駅発着が加わる。
10両・8両共に西武線内準急以上の種別で運行される列車がある他、8両については東急東横線・みなとみらい線内を急行として運行する列車も存在する。
・副都心線内発着
日中は毎時5本が和光市駅発着、2本が池袋駅発着で設定されている。
和光市駅発着のうち3本が東急線内急行運転を行う。2本は10両編成または8両編成の元町・中華街駅発着、1本は10両編成の湘南台駅発着。いずれも東新宿駅でFライナー急行の通過待ちを行う。
他の2本は全区間各駅停車の為8両編成で運行する。
因みに、前述の東上線直通列車を含めた相鉄直通の2本は2022年(令和4年)3月12日ダイヤ改正で消滅した日中の菊名駅発着の列車のスジを利用したもので、さらに遡ると2013年3月15日まで運行していた東横線〜日比谷線直通列車のスジを踏襲している。
池袋駅発着の列車は8両編成で元町・中華街駅〜池袋駅間の全区間を各駅停車として運行。この列車は池袋駅到着後、同駅では折り返さずに回送として小竹向原駅構内の中線まで運転。そこで折り返し回送として池袋駅まで運転した後、同駅で始発の営業列車として運行される。
朝夕には東急線内通勤特急となる列車や新宿三丁目駅・西谷駅・海老名駅発着・渋谷始発・大和行の列車も加わる他、A線の最終列車として渋谷行が運行される。
駅一覧
和光市駅~小竹向原駅間は有楽町線とホーム・線路を共有し、その先要町駅までは二層構造となっている。
●:停車 ◯:停車(降車専用) ▲:運転停車 レ:通過
現在の使用車両
西武鉄道所属
小手指車両基地所属の地下鉄直通対応車で10両編成。50番台は「6050系」とも称される。東武・相鉄直通は非対応。
0番台は小手指車両基地、50番台は武蔵丘車両基地所属の地下鉄直通対応車で10両編成。50番台は「40050系」とも称される。東武・相鉄直通は非対応。
0番台は「S-TRAIN」用だが、稀にロングシート状態ての通常運用で使用される事がある。
東急電鉄・横浜高速鉄道所属
いずれも元住吉検車区所属。
8両編成。共通運用で相鉄直通は非対応。5050系のみ試運転で東急新横浜線に入線したが、定期運用では使用しない。
- 5050系4000番台
10両編成で「4000系」とも称される。副都心線の使用車両で唯一直通区間全線に乗り入れが可能な車両。