CV:関根明良
概要
『ひろがるスカイ!プリキュア』の主人公。キュアスカイに変身する。
名前の由来は「空、晴れわたる」。
スカイランド出身の異世界人でヒーローへの憧れを勇気に変えてどんな恐怖にも立ち向かう、礼儀正しく快活な元気っ娘。
9月20日(乙女座)生まれのA型(この日は「空の日」に制定されている)。
青の護衛隊への入隊を夢見て裸一貫で田舎からスカイランド王都へとやって来たが、その矢先に、プリンセス・エルを狙ったアンダーグ帝国のカバトンによる王城急襲現場を目撃。
エル救出の為にカバトンと交戦し、時空の裂け目を開いて逃げ出したカバトンを追って自らもそこへ飛び込む。
その結果、地球のソラシド市上空へエルと2人で放り出され、現地人・虹ヶ丘ましろの真ん前に降って来る衝撃的ガールミーツガールズを果たす。
虹ヶ丘家の居候となったソラは、地球の文化や文明にカルチャーショックを受ける日々を過ごしながら、エルをスカイランドの両親の元へ帰す方法を探す為に奮闘する事になる。
実家には赤ちゃんの世話をした程度に歳の離れた弟がおり、その経験からエルの扱いにも手慣れている。
ヒーローを志す理由
10年前、まだ幼かった彼女は危険な禁断の森に1人迷い込み、自律行動する巨大植物のツタに捕まりそうになって泣き叫んでいた所を、何処からとも無く颯爽と現れた人物に救われた。
憧れのその人の様なヒーローになる為に、真面目に一生懸命に日々鍛錬し、理想とするヒーローとしての姿勢を「わたしのヒーロー手帳」に書き連ねている。
人物像
『デリシャスパーティ♡プリキュア』の最終回で和実ゆいからも評される通り、その溌溂とした言動は見る者に爽やかな印象を与える。
家族以外には誰にでも敬語で接し、呼称も家族や敵キャラクターを除いて年上や女子には「苗字・名前+さん」、同い年以下の男子には「苗字・名前+くん」など敬称を必ず使って呼称し、騒いだ腹の虫に赤面して謝る等かなり礼儀正しく、初対面時に夢の中の人物と思い込んでいたましろに対しても、率先して自己紹介する生真面目ぶり。
「ヒーローになりたい」という熱意は本物で、そのための鍛錬、精神的鍛錬なら惜しまない。
なにごとも「ヒーローは困難な道に向かうもの」と前向きにとらえる。
「相手がどんなに強くても、正しい事を最後までやり抜く。それがヒーロー!」というようなアツい台詞が多く、ソラが放つ「ヒーロー名言」の数々はさながら心を奮い立たせる「ヒーロー語録」のような趣がある。
ましろはプリキュアになれなくなったソラを見ても「わたしの中ではとっくの昔に、ヒーローなんだから」と言った。
感激屋なのか言動が大袈裟になりがちで、親身に世話を焼いてくれたましろを「姫」と仰いで跪き騎士の忠誠を誓おうとまでする程。
異文化ショックや美味しい物へのリアクションもかなりオーバー。
エルが立てるようになったりツバサがプリキュアになって飛べるようになったりした際は感極まって泣いてしまうなど、感受性も豊か。
その一方、馬鹿正直すぎてウソや隠し事が下手だったり(本人は第7話でコレを自覚)、相手に気遣いすぎて自分の本音を打ち明ける事に躊躇する等、後述する理由からか人付き合いにはやや不器用さも見せ、ましろ達にフォローされる事も多い。
また、ハロウィンの際は「お菓子をもらえるのは小さい子供だけ(自分はもらえない)」と思って拗ねたり、まだトリックオアトリートを言えないまま戦闘に入った事に怒りを覚えるという、年相応の子供っぽい一面も見せた。
他者に降り掛かった危険は見逃さず、率先して脅威に立ち向かう勇敢さと、必要性がない限りむやみやたらに腕力には訴えない優しさを持つが、それも彼女なりの「ヒーロー道」である。
一方で、恐怖や不安は人並みに感じており、震えを押し殺しながら戦っている。
また、鍛錬に明け暮れていた反動で長らく同年代の友達がいなかった他、おしゃれなどの女の子らしい事に疎いという短所もある。
身体能力・学習能力の高さが強調されるエピソードが多い中、精神面がそれらに追い付いておらず、未熟である事を指摘される事が多く、本人も自覚がある。
真面目で責任感が強過ぎるゆえせっかちでもあり、1人で全て背負い込もうとしたり、自己犠牲的になったりする一面を抱えており、大事な友達になったましろが傷つくのは嫌だと独りで戦おうとした事もある。
第8話でいきなり現れたツバサを誘拐犯と勘違いした際には冷静さを失い、ヨヨの仲介があっても、エルちゃんが泣いてしまう程の敵意を撒き散らしてしまったりもした。
その後も不注意さに責任を感じ、エルの面倒を見る為だけに学校を欠席してしまう等、"ヒーローに憧れる者"特有の危うさも散見される。
第22話でバッタモンダーの秘策により、一度はヒーローになることを断念、スカイミラージュは消滅し、スカイトーンも石化、絶望する程の精神的窮地に陥るが、ましろの手紙や仲間の奮闘を見て、復活を果たす。
スペック
第1話から変身せずとも、町中をパルクールさながら縦横無尽に翔け回り、身の丈を超す高所や建物間を軽々跳躍、壁走り、棒やロープで器械体操さながらの軽業等を披露した。
身軽さだけで無く力も強いためパワーも人並外れており、自身の何倍もある岩を正拳突き1発で割っている他、第4話ではキュアプリズムのサポートがあったとは言え変身前の状態でランボーグの拘束を自力で解いた上でミラージュペンを奪回している他、第7話では(恐らく利き手じゃない)左手で握力計を破壊している(握力計は100kgまでは耐えられるので描写を見る限り握力は100kg以上の可能性がある)。
OP映像や本編中では空手の正拳突きや回し蹴りの修業も行っており、この武術はプリキュア変身時にもしっかり活かされている。
- 第3話ではこれらが「スカイランド神拳」と呼ばれしスカイランドに古来から伝わる拳法である事がヨヨの口から語られた。
- 第5話では、ヒーローを志した幼少期のソラが春夏秋冬と鍛練に励む姿が描かれているが、ソラは1人で修行しており師匠らしき人物は登場していない。独学なのかは現時点では不明。
- 第12話ではカバトンとの決闘の為に山の主(エゾリス)に稽古を付けてもらっている。
また、第7話では明確に同年代の男女の身体能力とは明らかに掛け離れている描写もされている。
第35話では、運動部からの勧誘が絶えない様子も描かれた他、全く知らなかった野球にもすぐさま適応して投げては剛速球、打っては場外本塁打、守っては三角飛びで華麗なるファインプレイと、ピッチング・バッティング・フィールディングの全てで異次元なパフォーマンスを存分に披露し、遂には変身後にどこかで見たようなピッチングをしてキョーボーグを吹き飛ばす規格外な適応力の高さを見せた。
敵構成員であるカバトンやランボーグ相手に徒手格闘で応戦する事が可能(第44話では雨が降っている普段よりも動き辛い環境でありながらも1人で且つ無傷でランボーグを制圧している)、生身人間の拳を当然余裕で受け止める事も可能、当時不審者と思っていたツバサを建物の2階から追撃してそのまま制圧している他、(幼少期の時点で膝から下位ある岩を2つくっ付けた自作のバーベルを使う等)我流の修行のみで最強と言われている青の護衛隊の団員に殆ど徒手格闘(一瞬だけ地面に刺さっていた真剣を偶々取り扱った)のみで勝利する(尚、歴代プリキュア変身者が調理器具以外の真剣を変身前で取り扱ったのはコレが初)等、物語が進む毎に歴代変身者でも簡単に出来なかった事を成し遂げている。
更に、青の護衛隊のベリィベリーの電撃を直撃しても殆どダメージが無かった上に直撃後の追撃を回避してベリィベリーに一突き入れる(尚、拳は直撃前に寸止めしている)等、耐久面も人並み外れている。
等々、後述の水泳の件も含めて1クール毎に何かしらの伝説を残している。
プリキュアは基本的に変身後の優劣は殆ど無いが、変身前に関しては変身前の時点でプリキュアの領域に入りつつある超人レベルな為、「歴代最強」との呼び声も多いが、コレらは彼女が地球人と違う特異体質でも、魔法や神秘的アイテムの恩恵を受けている訳でも無く、弛まぬ鍛錬によって身に付けた彼女自身の純粋な技量である。
その影響なのか、人間・敵怪人問わず歴代変身者の中でも変身前の戦闘描写が歴代と比較しても序盤の時点で既にブッチギリで多いが、プリキュアエナジーを出来るだけ安易に頼らない変身無しでの格闘戦を高確率で披露している。
但し蛮勇を決して奮わず、自身の力量が不足してピンチに陥ったり怪物を浄化する時等は、プリキュアに素直に変身する柔軟性もしっかりと持ち合わせている。
運動神経が抜群なプリキュアには珍しく頭脳派な一面も窺え、戦闘の際にも相手を冷静に分析して戦う事が多い。
また、毎日コツコツと努力する事は得意なタイプで、平仮名を毎日5文字ずつ覚える事で習得、第7話では「子」「旅」等の漢字を書ける様になっており、学習能力も高く、更に家事スキルも高い。
しかし、真面目且つお人好しであるが故に見聞きした事をそのまま鵜呑みにして行動してしまう癖があり、カバトンが仕掛けた茶番レベルに見え見えな罠へまんまと引っ掛かってしまった事もある(一緒にいたましろは罠だと速攻で気付いており、その際のソラとカバトンのやり取りに対して「コントかな?」と突っ込んでいる)。
学習能力に関しても得手不得手があり、「ジェットエンジン」を「ジェットにんじん」と間違えて覚えてしまったり、苦手な化粧を独りで余儀無くされた際はギャグみたいにヒドい出来になってしまい一度は音を上げてしまっている。
スポーツ万能と言って良いソラだが、カナヅチだった弱点も持っていた。
しかし、対策はキチンと考えており、スカイランドで池や湖(スカイランドに海は無い)の向こう岸まで泳ぐ必要がある場合は、息を止めて湖の底を歩いて渡る力技をしていたので泳ぎを習得する必要性を感じていなかったとの事。
第30話では人間界で海の深さと広大さを知って泳ぎを習得しなくてはと焦りに駆られるが、何事もまっすぐに取り込む故に「力を抜く」事が不得手らしく水に浮くことにさえ四苦八苦していた(最終的には水泳術も無事会得している)。
容姿
前髪は斜めぱっつんで左側にのみモミアゲがあり、後ろ髪は頭部黄色いリボンで右側にサイドテールに纏めている。
頭頂部にアホ毛が1本ある。
リボンは私服共々ましろからもらったもので、第2話以降大抵の場面で身につけており、変身バンクにもしっかり反映されている。
スカイランド服:V字ネックの半袖の白とだんだら模様のある水色の服と灰色のズボンを身に纏い、地下足袋風の白いショートブーツを素足履きしている。
家族構成
弟:レッド・ハレワタール(CV:藤原夏海)
スカイランドの田舎出身であり、青の護衛隊に入隊するためにスカイランド王都へ上京して来た事が第14話で語られている。
人間関係
地球に迷い込んで初めて出来た友達で、彼女の家に住まわせてもらったり、ソラ自身の知らない地球の事を色々教えてくれたり、親身になってくれたりと、そんなましろに対してソラは特別な感情を抱いている。
ましろ自身も、そんなソラに特別な感情を抱いており、お互いに「ずっと一緒に居たい」や「ソラちゃんが居ないと時間がゆっくり感じる」とも発言していた。(第6話より)
同じスカイランド出身の友達の1人。
当初ツバサはソラを信用していなくて姿を隠していたり、ソラもツバサを発見した時すぐには信じられなくて激怒したりとお互いに相容れない時が続いていたが、しばらくすると同じ叶えたい夢を持つ者同士として意気投合し、友達になった。
同じ出身地で感性が似ているのか、たまに表情や行動が一致する事が多く、視聴者からは「姉弟」と言われる事もしばしば。
プリキュア仲間であり、虹ヶ丘邸の同居人。ましろの幼馴染と言う事もあり、出会ってから数日で打ち解けた。
時折悩みを打ち明けたり、アドバイスを貰ったりする。地球人ながら本当の姉のように慕っている。
カバトンによって誘拐された所を救出し、彼女をスカイランドにいる両親の元へ帰す事を第一目標とした。
その後、ソラシド市とスカイランドを繋ぐトンネルが開通し、両親と再会させた。
しかし、カバトンの後任として現れたバッタモンダーの策略により、両親は昏睡状態に陥ってしまう。
昏睡状態から目覚めさせるにはランボーグを浄化した際に出るキラキラエナジーを集めなければならないとの事で、再びエルを保護する立場になった。
ましろの祖母。
ましろの両親が海外赴任中につき、その代わりに孫の面倒を見ている。
実は数十年前にソラシド市に移住してきた元スカイランド人で、ソラとエルを居候として自宅に住まわせている。
その後、正体を明かした夕凪ツバサやプリキュアに変身出来るようになった聖あげはも正式に居候として暮らしている。
幼いときにシャララ隊長に助けられ、そのかっこよい姿を見たことで、ソラは「ヒーロー」になることを志す。
ソラにとってはためになる助言を与えられる先輩でもあり、自分の目指すべき道を指し示してくれた「憧れの人」である。
後にシャララ隊長からは、「わたしを追う必要はない。ソラはソラなりのヒーローになれ」と諭される。
余談
- 「ドキドキ!プリキュア」の相田マナ/キュアハート以来10年ぶりとなる、名前がカタカナの主人公。主人公の出身地が異世界なのは初。
- 主人公プリキュアとしては(本作は「空」がテーマである為か)初の青キュア且つ異世界出身でもあり、地球人以外の初期メンバーは歴代4人目となる。
- 「トロピカル〜ジュ!プリキュア」の夏海まなつ/キュアサマー以来の桃キュアでない主人公である。累計では4人目である。内2人は黎明期であり、原点回帰とも言える。その同期に主人公でもセンターでも無いピンクが居るのは史上初。
- 歴代主人公が自宅に異世界出身のプリキュアを居候させるのが殆どで、残りは主人公以外のプリキュアかおやっさんポジションの家に居候だったが、その逆の立場になる事はプリキュアでは初である。もっとも黎明期の魔法少女は、異世界出身の主人公が居候する事が多く、原点回帰と言えなくもない。
- プロデューサー曰く、本作は「当たり前からの脱却」を掲げている様で、今までは総じて主人公以外が持っていた要素を敢えて纏めてあてがった事になる。
- 前作では初代チーム以来、転校生キュアがいなかった為、彼女が一昨年のローラ・ラメール(キュアラメール)以来の転校生キュアとなり、主役キュアとしては3作前の花寺のどか(キュアグレース)以来となる。
- これまでのシリーズの一部のプリキュア達は、基本的に最終決戦で正体を明かしたりあるいはバレてしまう、途中でバレるとしてもそれを目撃した人物は後にプリキュアになったり、プリキュアをサポートする立場の人物になるパターンであったが、ソラは第一話で変身から戦闘までの一部始終を多くの一般人に目撃されており、シリーズ最速の正体バレが危惧されていた(とは言え、2話でましろと買い物に行った時の様子を見るに、今のところプリキュアについて他の一般人の話題に触れられている様子は見られないので大丈夫ではあると思われるが…)。ただ、第35話での描写を見る限り、正体バレを全く気にしていないという訳ではない様子。
- 1話の身のこなしがあまりに人間離れしていたので変身前から何かしら魔力や異能が作用してるのではないかと疑惑が持たれていたが、『アニメージュ』2023年3月号の記事では「ソラの故郷のスカイランドはファンタジックな王国だが、ソラ自身は普通の人間で、不思議な力が使えるわけではない。」と述べられている。
- 22話で一時変身能力を失ってしまったが、過去作だと変身能力が失われた場合、変身しようとしてもできない事が多く、今回のように変身アイテムが消滅・機能停止するパターンは珍しい。
声優について
演じる関根明良氏は、本作がプリキュアシリーズ初出演となる。
それ以前にCM「うきうきぬりえ カラーワンダー スイートプリキュア」のナレーションを担当していた。また後述の『わんだふるぷりきゅあ!』ではコンゴウインコの声も兼任している。
関根氏はキャスト発表時のコメントで
「マネージャーさんから「受かったよ」と言って頂いたとき、頭が真っ白で「え?」としか言葉がでませんでした。驚きでなかなか冷静になれない日々でしたが、事務所のスタッフの方々にも良かったね!頑張って!とたくさん応援を頂き、徐々にプリキュアシリーズに関われるのだと実感していきました。
ソラちゃんの第一印象は「真面目でフレッシュなヒーロー」でした。身体能力もとってもすごい子ですが、自分の中にしっかりと目標を持ち、その目標に向かって全力で努力をし続けることができる女の子。プレッシャーで不安になる度にソラちゃんの輝きに勇気をもらって笑顔になり、そうだ!わたしも頑張らねばと前を向ける。わたしにとってもソラちゃんはヒーローです!
初めてプリキュアシリーズのオーディションを受けにいく際に、駅のホームでプリキュアのバッグとノートを笑顔でおばあちゃんに見せている女の子がいました。一生懸命おばあちゃんにプリキュアの説明をしている姿や目がとってもキラキラ輝いていて、プリキュアはこんなにも人を笑顔にそしてキラキラと輝かす事が出来るんだと改めて実感し、気持ちを引き締めてオーディションに臨んだ事を覚えています。プリキュアは憧れと一歩を踏み出す勇気をくれる、わたしにとってそんな存在です。
プリキュアに携わった先輩の皆さまから受け取らせて頂いたこのバトンを大切にし、ソラちゃんと共に皆さまに勇気と元気をひろげていけるよう精一杯取り組んでまいります!皆様どうぞ宜しくお願いいたします!」と語った。
各話での活躍
『デリシャスパーティ♡プリキュア』第45話
(最終話、初回放送版&TVer版)
- 毎年恒例となる先行ゲスト出演。
- おいしーなタウンの広場にてランニングをしている最中に、クッキングダムへのお土産にメッセージを添えようとした所、ペンが無く困っていたゆいたちに偶然出会い、ミラージュペンを貸す。その後腹の虫がなった途端、ゆいから貰ったおむすびを食べ「ごはんは笑顔」という言葉に感銘を受けながら手帳にメモすると、その場を立ち去って行った。この時使用している手帳が『Pretty Holic』のものである事から時系列は第2話以降、もしくはデパプリ時空におけるソラで、本編とはよく似た別人の可能性も考えられる。因みに『デパプリ』では上記の通りに初代チーム以来の転校生キュアが登場をしなかったが、後称の『ひろプリ』の第7話でソラシド中学校に通う事から先行登場とはいえ、『デパプリ』に唯一登場をした転校生キュアで有る事も言え無くも無いはず。
本編
■第1話
- 空の王国・スカイランドの王城ではプリンセス・エルの誕生祝いが行われていたが、そこに乱入したカバトンによってエルは攫われてしまう。それを目撃したソラは、尻込みする遊覧鳥を現場に急がせる。「見て見ぬふりはできません───ヒーローの出番です!」
- 逃走するカバトンは異空間へ続くゲートに飛び込んで姿を消すが、ソラもすかさず後を追う。「ヒーローは!泣いている子供を絶対に見捨てない!!」エルを奪回したソラは出口の一つから外へ出られたが、足元には地面が…無い!?
- ソラとエルは、遥か高空から見知らぬ街へと落下してゆく。ぐんぐん近づく地上には一人の女の子が立ち尽くしていており、プリキュア恒例おでこごっつんこは遂に大惨事に…はならず、エルの力でソラは軟着陸できた。
- 見た事もない鉄の箱(自動車)や奇妙な瓶(化粧品)が溢れる街の有り様にすっかり混乱を来たし、「も…もしかしてここって魔法の世界~!?」と絶叫。そこで女の子が「ターーイム!!」と叫び、落ち着きを取り戻した二人は、「これ…夢だぁ」と自分を納得させる。
- 「初めまして、夢の中の人。わたし、ソラ・ハレワタールです」「わたしはましろ。虹ヶ丘ましろだよ」改めて挨拶を交わしていると、今度は上空からカバトンが落下してきた。
- カバトンは、ショベルカーから怪物ランボーグを誕生させる。ランボーグに突っ込んでゆくが、カバトンの魔法で視界を塞がれた隙に、吹っ飛ばされてしまった。
- それでもソラが落とした手帳をカバトンが拾い上げると、その「わたしのヒーロー手帳」の中には、幼い頃からソラが書き連ねてきたヒーローの心構えや憧れが綴られていた。だがカバトンは手帳を無慈悲に引き裂いて罵倒する。「力の無いヤツは!ガタガタ震えて!メソメソ泣いてればいいのねん!」
- しかし、ソラは懸命に立ち上がる。「相手がどんなに強くても、正しい事を最後までやり抜く────それがヒーロー!!」そのソラの勇気からミラージュペンが生み出された。さらにエルが「ぷいきゅあ~!」と叫ぶと、ソラの手にはスカイミラージュとスカイトーンが出現。「ヒーローの出番です!」ソラはキュアスカイへと変身を遂げる。「無限に広がる青い空!キュアスカイ!」
- 「わたし、どうしちゃったんですか!?」驚くスカイにランボーグが襲い掛かるが、大ジャンプで華麗に躱し、肉弾戦でも圧倒。最後はヒーローガールスカイパンチで浄化した。カバトンは慌てふためきながら逃げ去って行く。
- 変身を解き、ましろに「あなたって…ヒーローなの?」と尋ねられ、「わたしにもわかりません!」とにっこり。なぜソラシド市に飛ばされたのか、なぜプリキュアに変身できたのか、今はわからないことだらけだが、ソラがヒーローとしての第一歩を踏み出した事だけは確かなのであった。
■第2話
- ましろの家に案内され、その立派な大邸宅に圧倒されて「もしかしてましろさんって、この世界のプリンセス…ましろ姫ですか!?」と口走る。出迎えたましろの祖母・ヨヨの計らいで、元の世界に戻る手段が見つかるまで空き部屋に住まわせてもらう事になるも、敷居が高く、恐縮しきりのソラに、「大丈夫だよ」とましろは答えるが、ソラは恭しく片膝を突いてこう述べた。「ましろさん、今日のご恩は決して忘れません。今よりわたしソラ・ハレワタールはましろさんを守る騎士となり、全身全霊忠義を尽くし、貴女をお守りする事を…」
- 翌朝、ましろのジャージを借りて朝食を御馳走になる。目の前に並ぶ未知の食べ物の数々。おっかなびっくり塩鮭に箸をつけてみたところ、「う…う…う~…うま~!何ですかこの魚!?臭みがなくて歯応えプリプリ!甘味がぶわーっと口の中に広がって、目の前に大海原が広がるようです!」と先代の黄色先輩さながらの食レポ。しかし立て続けに口に運んだのが梅干しで、酸っぱさに悶絶。
- 買い物に出かけたが、スマホの着信音に思わず身構えるわ、ショッピングモールで「た…建物の中に市場が!?」、エスカレーターを見て「階段が動いてる!?」、案内ロボットに「人形が喋ってる!?」とカルチャーショックの連続で狼狽えまくる。
- ましろに「どうしてそんなにまでしてヒーローになりたいって思ったの?」と問われ、「本物のヒーローを見てしまったから…でしょうか」と答える。小さい頃、行ってはいけないと言われていた森に迷い込んで悪霊に襲われた時、突如現れた謎の人物に助けられた事がソラの原点だった。
- その時、カバトンがハンバーガーショップを襲っていた。「未熟です…憧れのあの人の背中は遥かに遠い…でも!でも今は…ヒーローの出番です!」ソラは決然と叫び、キュアスカイに変身してランボーグを倒した。
- ましろがソラの手を引っ張って連れてきたのは『Pretty Holic』だった。そしてましろは「これ、ヒーロー手帳の代わりにならないかな?」と、先日自分が見とれていた手帳を差し出した。理由を問われ「本物のヒーローを見ちゃったから…かな?」と答えるましろ。たとえ怖くても悪と戦う勇気を持ったソラは、ましろにとっては紛れもなくヒーローだった。そしてそんな二人の姿を魔法の鏡越しに眺めるヨヨは「物語の始まりね」と謎めいた微笑を浮かべるのだった。
■第3話
- エルちゃんがホームシックに。せめて両親の顔だけでも見せてあげられないかと思案していると、ヨヨがミラーパッドを持ってきて「これで通信できる」とあっさり解決案を提示。さらに自分がスカイランド人だという事もあっさりバラす。
- ミラーパッドの動力源となるスカイジュエルは裏山にいくらでも転がっているという事で、ましろ・エルちゃんと3人でお出かけ。ましろがタンポポの綿毛を飛ばして、ぐずるエルちゃんをあやした手並みに感服し、「よ~し、わたしも何かエルちゃんのために…」と周りを見回して、明らかに危なそうな毒キノコに手を出そうとしてましろに止められる。
- ミラージュペンが導く方向には巨大な岩が。ソラは真剣な顔で「やってみましょう!」と、拳法らしき構えを取り始める。ヨヨ「これは…スカイランドに古くから伝わるスカイランド神拳!」そして正拳一突きで見事巨岩は真っ二つに。
- 川の中からスカイジュエルを発見したところでカバトンと鉢合わせ。変身してランボーグを一蹴するが、カバトンは手近に生えていたキノコを食べ、まさかの2体目のランボーグを召喚……しようとしたところで強烈な腹痛に見舞われる。さっきソラがましろに注意された毒キノコだったのだ。カバトンはそのまま退散していった。ソラ「もう!無闇に山にある物を取ったり食べたりしちゃ駄目なんですよ!めっ!」
- ソラは自身がつけた名前があっていたことと、エルがスカイランドの王女であることを知り、ましろと共に驚く。
■第4話
- ましろと一緒に朝のランニングに出かけたソラ。休憩がてら「千里の道も一歩から」ということわざをましろから教わり、平仮名でメモをとる。ソラがいつの間に平仮名が書けるようになっていたたことに驚くましろだったが、「一日5文字ずつ覚えていた」とのこと。
- 「わたしも毎朝ランニングして体を鍛えたら、ソラちゃんみたいに強くなれるかな…?」と吐露するましろに、ソラは優しく答える。「ましろさんはましろさんのままでいいんです。」
- ましろの幼馴染の聖あげはが遊びに来る。秘密であったはずのスカイランドのことを話してしまう。「今話した事は忘れてください!」とあたふたするソラ。
- あげはが「ソラシド福祉保育専門学校」を訪問している際にましろ・エルとともにベンチで座って待っていると、ぬいぐるみサイズの「豚さん」が毒キノコの罠にかかろうとしているところを目撃。「豚さん」を助け出すと…なんと、その「豚さん」の正体はカバトンだったのだ。
- カバトンは「豚さん」に変身することでソラに近づき、ミラージュペンを奪ったのだ。ソラがプリキュアに変身できない中、カバトンは毒キノコ型のランボーグを召喚。
- ましろとエルを守ろうとした時にキノコ型のランボーグに捕らえられてしまう。絶体絶命の中、ましろにもミラージュペンとスカイトーンが出現する。ソラはキュアプリズムに変身したましろに救い出され、自身もキュアスカイに変身。ランボーグを2人で浄化した。
■第5話
- ソラは悪夢にうなされていた。ランボーグの猛攻から逃げ惑うスカイとプリズム。吹き飛ばされたスカイの前には鉄格子が降りてきて、残されたプリズムはビームの直撃を喰らい、変身解除して倒れ伏した……。「ましろさん!!!」絶叫して目を覚ましたソラは、額の汗を拭い、震える手を見つめる。「また同じ夢…」
- ヨヨから「伝説の戦士プリキュア」について聞かされるが、ソラは苛立ったかのように、「そんな事より、この世界とスカイランドを繋ぐトンネルは何時開いて貰えるんでしょうか?」と険しい表情で詰め寄る。簡単な作業ではないと説明されても「カバトンは簡単にトンネルを開いたじゃありませんか!?」と語気荒く返したところで我に返り、謝りながら部屋を飛び出してしまう。明らかにソラの挙動はおかしかった。
- この事から察するに、カバトンがここ数日しばらく出現しなかったとは言え自分達がソラシド市に迷い込んだ事が、既にソラシド市にとっての災いになっていると言う自覚がある模様。
- 買い物中も険しい表情で何かをずっと考え込んでいるソラは、ましろがあれこれ話し掛けても無言のまま。そして「ましろさん、プリキュアにはもう変身しないで欲しいんです」と切り出した。連日の悪夢を打ち明け、ましろに「エルちゃんを守るには一人よりも二人の方がよくない?」と窘められても、「一人でやります。わたしがもっと強くなればいいだけの話です!」と頑として譲らない。そこへカバトンと電車型ランボーグが襲来し、ソラはエルちゃんをましろに託して、単独で変身する。
- 一人きりである事をカバトンに嘲笑されても、「一人ぼっちを恐れない!───それがヒーロー!」と言い放ったスカイは、いきなりヒーローガール・スカイパンチを繰り出す。案の定、カバトンが身を削るカロリー消費で生み出したランボーグのパワーは凄まじく、パンチの打ち合いで押し負けてしまう。
- ようやく変身したプリズムが共闘を申し出ても、スカイは意固地なまでにそれを拒む。「できません……友達だから……ましろさんはわたしの初めての友達だから!!」そしてスカイは自分の過去を打ち明けた。「謎のヒーロー」に助けられたあの日から、ヒーローになるためのトレーニングを始めた事、春夏秋冬分かたず鍛錬に明け暮れ、同年代の少女達が楽しく遊んでいるのを横目に見ながらも「自分で決めた事だから、自分で受け止めるしかない」と己に言い聞かせた事、ヒーロー手帳に「一人ぼっちを恐れない、それがヒーロー」と書き留めて淋しさに耐えて来た事……。
- 「───でも……友達が出来ました。我儘です。わかってます!でも怖いんです!ましろさんが傷つくなんて、そんなの絶対に嫌だ!!だったら一人の方がいい……わたし、一人で戦います!!」先日来の悪夢も、スカイランドとのトンネル接続を急かしたのもこれが原因だった。ましろを戦わせたくない、傷つく姿を見たくない。そんな思いをするくらいなら一人の方が……。
- しかしプリズムは「友達が傷つくのが怖いって言うなら、わたし友達やめる!友達じゃなくてパートナー!」「じゃあ相棒、パートナー、コンビ、ペア!」と言い出した。その間にランボーグに強襲されスカイは吹っ飛ばされるが、プリズムは閃光の目晦ましでスカイとエルちゃんを守りながら言った。「───ダメだ、『友達』以外の言い方見つからないや…。パートナーとか相棒とかそうじゃなくて、あなたはわたしの『友達』。あなたが心配だよ、助けたいよ。気持ちは同じ。それって一緒に戦う理由にならないかな?」その台詞でようやくスカイの目が覚めた。
- 「やろう──スカイ!」「はい、プリズム!」スカイの力強い返事を聞いたプリズムは「やっとその名前で呼んでくれたね」と微笑む。無意識に「ましろさん」ではなく「プリズム」と呼んでいた事に気付いたスカイも笑顔を返した。そしてエルちゃんが生み出した新たなスカイトーンを手にした二人は、新必殺技、プリキュア・アップドラフト・シャイニングで勝利する。
- 夕陽を見つめながら、「もうちょっとだけ手を繋いでいてもいいですか?」と言うスカイに、プリズムも笑顔で手を握り返した。そして手帳にそのイラストを描いたソラは、横に「ふたりはプリキュア」と大きく書くのだった。
■第6話
- 冒頭のナレーションでこれまでを振り返るが、「追ってソラシド市に落っこちてきた」を慌てて「恰好良く舞い降りた」と訂正した。
- ましろは今日から新学期で学校へ。自身もスカイランドでは学校に通っていたことを話し、そのままましろの通学路に同伴する。その際の会話から、スカイランドには無かっただろうテレビというものにもすっかり馴染んでいる様子を見せた。
- だがそのままましろと一緒に学校の中にまで入ってしまい、教師から部外者立入禁止を注意されてしまう。「え!?学校は誰でも入れる場所っていうのがスカイランドじゃ常識…」と例によって口を滑らせ、ましろを慌てさせる。
- ならば自分のやるべき事をやるだけと、帰宅して掃除・自主勉・エルちゃんのお世話・トレーニングとハッスルしたものの、それも終わって手持無沙汰に。ヨヨに願い出て、トンネル開通に用いる秘薬の調合を手伝いながら、ましろの学校の話になり、「あなたも行きたい?」と尋ねられたソラは「家の中でやる事がありますし」と遠慮するが、その心に迷いがある事を見抜いたヨヨは一計を案じ、ソラに買い出しを頼む。渡された買い物リストはすっかり魔女のレシピ。
- 「Pretty Holic」の店頭の商品に見とれ、「こういうのましろさん好きそう!ねえ、ましろさん…」といつものように話し掛けたが、もちろん横には誰もおらず、ソラはしゅんとなる。いつの間にか、傍にましろがいる事が当たり前になっていたのだ。
- そこに抱き着いて来たのはあげは。ソラが何やら浮かない顔をしているのを見た彼女は、大まかなソラの説明を聞いて、「つまりソラちゃんは、ましろんと一緒じゃなくて淋しいんだ」と指摘する。自分自身でもよくわからなかったもやもやの正体を言い当てられたソラは「そうなんです!今日は何かいつもと違うな~って思ってたけどそれはズバリ!ましろさんと一緒に居ないから──だったんです!!」と勢いよく叫ぶ。
- ましろに直接伝えればと言われるが、「言えません……ましろさんに言うのは何だか照れくさいですし……」とモジモジ。あげははそんなソラにメークを施し、「メークはちょっとの勇気が足りない時、力を貸してくれる」と後押しする。勇気が出たソラは、ましろの元へと走り出した。「伝える!……わたしの気持ちを───!」
- 重荷を背負ったおばあさんを助けたり、不良の喧嘩の仲裁をしたりと、持ち前の正義感を発揮しながらソラはひた走る。「通せんぼ中」の看板も軽く飛び越えて学校に辿り着くと、ちょうど出て来たましろとばったり。息を整えたソラは…「あの……ましろさんにどうしても伝えたい事が……!わたし、今日ずっと変な感じがしてたんです。でもやっと、それが何なのかわかりました。わたしはましろさんと一緒に……」
- 「だーっ!!ストップ!!ストーップ!!」そこへ空気を読めないにも程があるカバトンが乱入。先程の「通せんぼ中」の看板で何かの罠にかけようとしていたのに思い切りスルーされてしまったカバトンは立腹するも、ソラは「尺の無駄です!と言うか、あなたの出る幕は1秒だってありません!」と、水を差された視聴者の怒りを代弁するかのようにバッサリ。
- メタなツッコミを入れられて激怒したカバトンは前回の反省を踏まえ、高カロリーのパフェを平らげてヘルメット型ランボーグを生み出すが、スカイとプリズムにあっさり倒された。帰り道、同時に「あの───」と言いかけて譲り合う二人。ソラは「ましろさん……わたしはましろさんともっと一緒にいたいです!」と気持ちを打ち明ける。それはましろも同じ思いだった。そしてヨヨが根回しをしてくれたおかげで、ソラも学校に通える事に。「ましろさんと学校、すっごく楽しみです!」笑顔がはじけるソラだった。
■第7話
- 自分の制服姿に見とれ、ましろにも「似合ってるよ」と褒められて、頬を赤く染める。連れていって欲しそうなエルちゃんはヨヨに託し、元気に登校。
- 担任の雑木林おさむから「外国生活が長かった海外からの転校生」という、ヨヨ考案の設定で紹介される。緊張しながら挨拶し、ましろから「きっとみんなともすぐ友達になれるよ」と言われて目を輝かせたまではよかったが、吉井るいにどこの国出身か聞かれて、「はい、スカイランドです!」「それってどこ?」「別の世界です!」と早速ボロが出る。
- 先生が「虹ヶ丘さんのおばあさんの話では、スカンディナビア半島の方の国だと」と助け舟を出してくれたお陰で、「あっ、はい!確かそのスカ…スカイランディナビアの方の国です」としどろもどろで何とか切り抜けた。しかし仲田つむぎが「恥ずかしがり屋なのかな?」と言うのを聞いて、「そうです!わたしはもう滅茶苦茶恥ずかしがり屋です!」と握り拳で強調するソラに、ましろはひやひやしっ放し。
- 「わたしはとんでもない事に気付いてしまいました。どうやらわたしは、何でも正直に話してしまう所がある様です!」今更のように気付いたソラは、「早くクラスに馴染むには目立たない方がよさそうです」と斜め上の結論に達した。分かる質問にも敢えて挙手しない等でやり過ごそうとしたが、体力テストでは何だかんだで全種目学園新記録を出す結果に。
- 「これでは皆さんと友達になれない」と嘆き落ち込むソラを、ましろは満開の桜が見える屋上に連れてゆく。ましろも入学当初友達が出来ず、この桜から元気を貰った事でみんなと打ち解けた事を明かし、「ソラちゃんは今のままでいいと思う」と励まされたソラは、昼休みに改めて自己紹介に挑む。
- 「転校の挨拶をもう1度やらせてください!」皆に呼び掛けた上で、自分の名前を黒板に大書し、ヒーローを目指している事、慣れない生活に四苦八苦しながらも毎日が楽しい事、そしてみんなと友達になりたいという思いを真摯に打ち明ける。クラスメート達も拍手で応え、ソラの心配は杞憂に終わった。
- そこに、モヒカン頭の不良が購買のパンを買い占めたり、学食のカレーを飲み干したりしているとの情報が。案の定、正体はカバトンで、先述の桜の木をランボーグに変えて襲ってきた。怒った二人は変身し、「わたし達の学校で!」「あなたの好きにはさせません!」と返り討ちにする。転校初日はあっと言う間に終わってしまったが、つむぎ達とも仲良くなれて、満足の1日だった。
■第8話
- ベッドの上に置いていたはずのガラガラを、ちょっと目を離した隙にエルちゃんが手にしていた事を怪しむソラ。「部屋に人の気配が…」と訴えるも、「エルちゃんも成長したんだね」と呑気なましろには取り合ってもらえず、『カライライス』に話が逸れていった為うやむやに。
- 寝る前に「宿題よし!学校の準備よし!」と指差し呼称確認し、「後はましろさんに、おーやーすーみーさーさーいーをー」とわざとらしく言いながら部屋の外をうかがっていると、見知らぬ少年が入り込んでいた。窓から飛び出した少年の後を追い、捕まえたが、その姿は鳥に変わっていた。
- 彼は人語を話し、人間にも変身できるスカイランドのプニバード族・ツバサだった。1年前、この世界に落下して来て以来、ヨヨに世話になっているという彼の話を途中で遮ったソラは、「ターイム!!話を逸らさないで下さい!わたしとエルちゃんがこっちに来た後なら、いつだってスカイランドの事を話せた筈です!なのに黙ってた。どうしてですか!!」不信感丸出しで突っかかり、挙句に「ワン!」と吠える始末。そう揉めているうちにエルちゃんは泣き出してまい、我に返って喧嘩を中断。
- ツバサの事を信用できず、「仮に彼がカバトンとグルだったら、エルちゃんは連れ去られていた」と己の油断を反省したソラは、学校も休んでエルちゃんの近くに居る事に(ヨヨ曰く、多分彼女も理解しており、怖くなったとのことだから無理もないか)。うずくまっている途端にエルちゃんを見失い、急いで探すが、ツバサに「シッ」と呼び止められる。エルちゃんは、ソラとツバサの見守る前でつかまり立ちができるようになり、倒れそうなった所をツバサと共に受け止めた。「頑張ったね!諦めなかったね!偉いね!」と感激して大粒の涙を零した。
- 因みにこのツバサを誘拐犯と疑ってた発言、第3話で国王夫妻に説明をしていなければ自分自身にも当てはまるものであるとブーメラン発言になっていたりもする。
- ツバサはスカイランドに帰らない理由は、航空力学の勉強するためだと言う。翔べない鳥であるプニバード族でありながら、かつて父のカケルは息子を助けるために偶然空を翔んだ事があり、それ以来ツバサも空を飛ぶ事に憧れて、ソラシド市に落ちて来てからもずっと勉強を続けていた。正体を明かさなかったのも、鳥のくせに飛べないのを嗤われるのを恐れての事だったが、ソラは嗤うどころか「かーっこいい!!一度やると心に決めた事は絶対に諦めない!それがヒーロー!」と絶賛して、疑いを謝罪し、仲直りした。こうしてソラには二人目の友達が出来た。
- 失態続きで焦りだしたカバトンが駆るUFO型ランボーグが出現し、変身して戦うが、エルちゃんが空飛ぶゆりかごに乗って戦場へ向かっている事、ツバサがその後を追った事は知る由もなかった。
■第9話
- 上空にいるUFO型ランボーグには、普通の跳躍では届きそうにない。そこでプリズムが発射台となってスカイラブハリケーンを繰り出すも、到達寸前で逃げられる。
- 2人はランボーグのビーム攻撃で気を失ってしまう。駆け付けたあげはに起こされた時に見た物は、ランボーグに連れ去られようとするエルちゃんとツバサの姿だった。2度目のスカイラブハリケーンに臨み、プリズムがスカイを蹴り上げた後、光球を放って押し上げる作戦に出たが、これも失敗に終わる。しかしそれでもスカイとプリズムは諦めない。
- 3度目のチャレンジでようやく成功し、パンチがランボーグに突き刺さって動きを止めた隙に、ツバサはキュアウィングに覚醒する。その雄姿を見て、「ツバサくん、頑張ったね!」とスカイは感涙。そしてプリズムと3人でランボーグを撃退した。
- またつかまり立ちの練習をするエルちゃんを見守るソラとツバサ。転びそうになったのをすかさず支えたツバサを「さすがはナイトです!」とソラは褒めるが、「ありがとうございます」と返されて、「え?わたしは何も…」ときょとん。彼女が、空を飛ぶ夢を嗤わず、「一度やると心に決めた事は絶対に諦めない──それがヒーロー」と励ましてくれたおかげで、ツバサは勇気を持ってはばたく事ができたのだ。ともあれ二人は固く握手を交わす。頼もしい仲間がまた一人増えた。
■第10話
- ましろの発案でツバサの歓迎会をする事に。彼の好物はソラもよく知らないプニバード族の料理・ヤーキターイ。ツバサ自身もレシピがわからなかったが、「そこは諦めずにチャレンジです!『一度やると心に決めた事は絶対に諦めない、それがヒーロー』ですよね、ツバサくん!」と後押しして、みんなで製作開始。
- 買い物の道中で、ましろが「蜂蜜とカスタード、オレンジとか果物もいいかも」と具材の候補を上げたところで、「シャケです!」と猛プッシュ。
- ツバサが本当に食べたい物を言いかけた時、焼き芋屋に変装したつもりのカバトンがスピーカーで呼び掛けてくるが、「今、大事なところなので、後にしてください!カバトンなんて気にしないで話を続けて」と完全スルー。
- 戦闘では、飛行能力も身軽さも持たないプリズムを侮辱するカバトンに対し、「それは違います!プリズムはその優しさで、いつもわたしを照らしてくれます!それがどんなに心強い事か!プリズムは周りのみんなを照らしてくれる輝きを持ってるんです!」と反論しながら、ウィングと共に猛攻を加えた。
■第11話
- あげは発案で、みんなでらそ山へ。彼女が運転するハマー(愛称・ピヨちゃん)の車中では、「一体なんて速さですか!木や建物がビュンビュンです!」と興奮。異世界人勢は車に乗るのは初めてだったらしい
- 山登りしながら謎を解く「ソラ吾郎のらそ山クエスト」に「面白そうですね!」と食いつく。コースの一つは歩きやすくてゆったりなのに対し、もう一つは急斜面のきつそうな道だったが、「とっても登り甲斐のありそうな道!」と目を輝かせて喜び、「ましろさん、行きますよ!」とましろの手を引いてレッツスタート。艱難辛苦をあえて選ぶ、それがヒーロー!
- 帰りの車中では、疲れたのかましろと寄り添ってうとうと。
■第12話
- 街を歩いているとカバトンがいきなり現れ、今までソラに散々邪魔された逆恨みをまくし立て、「3日後に1対1で勝負しろ」と決闘を挑んできた。ましろとツバサは引き留めたが、「もし負けたら、もうプリンセス・エルには手を出さない」という条件を聞き、ソラは決闘を受け入れる事を決める。
- あげはの車で山へ行き、特訓開始。「特訓って何するの?やっぱ滝に打たれたり?山の主と戦ったり?山の頂上で必殺技の修行したりする感じ!?」と聞かれ、「はい!それです!」とノリノリ。早速滝に打たれて精神統一。
- ツバサが探してきたオジロワシに尋ねたところ、紹介された山の主は、何と拳法使いのエゾリス。意思疎通はできたらしく、この1匹と1羽が見守る中、2日間特訓は続いた。
- ましろと2人で夜空を見上げていると、カバトンがどんな手を使ってくるか心配だというツバサが加わるが、あげはやヨヨ、エルちゃんもみんな応援してくれる事で心強さを感じたソラは、「皆さんのお陰で心の曇りが晴れました!」と晴れ晴れとした気分で一騎打ちに臨む。
- カバトンは、貯め込んだアンダーグエナジーを自らに注入し、巨大化して襲い掛かってきた。しかし集中力を高めたスカイは拳のラッシュをかわし、土手っ腹に正拳突きをお見舞い。ならばとカバトンは両手でスカイを押し潰そうとしてきた。さすがにパワーではかなわないかと思われたが……。
- 「ソラちゃん!」「ソラさん!」「えるぅ~!」みんなの声援を聞いたスカイは、渾身の力でカバトンの両手を押し返してゆく。カバトン「パワーじゃオレが圧倒的に上なのねん!こんな事ぜってーあり得ねえ!」スカイ「みんなの応援がわたしに力をくれます!」そして拳と拳の真っ向勝負で吹っ飛ばし、ヒーローガール・スカイパンチで遂にカバトンに勝利した。
- 敗北が信じられぬカバトンの目に、空の一角に出現した黒雲が映る。青醒めたカバトンは約束を破ってエルちゃんを捕まえようとした。「そっちがその気なら」とプリズムとウィングも参戦し、アップドラフト・シャイニングでカバトンは浄化された。
- 「あなたの負けです」スカイに宣告されても、カバトンは往生際悪く認めようとしない。するとたちまち空は黒雲に覆われ、稲妻が走り始めた。「アンダーグ帝国じゃYOEEE奴に価値は無え。だからオレは必死にTUEEE奴になろうと…」と口走ったカバトンの台詞を聞いたスカイやプリズムの間に緊張が走る。彼の背後にはアンダーグ帝国なる謎の組織が控えていたのだ。「オレはまだ役に立ちます!どうかお許しを!」怯えて命乞いをするカバトンの体は、上空へ浮かび上がって行く。雷はますます激しくなってきた。アンダーグ帝国はこれでカバトンを処刑するつもりらしい。
- その有り様をしばし見つめていたスカイは、「今助けます!」と高々とジャンプする。カバトン「オレはお前の敵なのねん!な…なぜ…」スカイ「わかりません!でも──こうする事が正しいと思ったからです!」そう叫びながら飛び込んでゆき、特大の稲妻から間一髪でカバトンを救った。
- 「これが…本当の強さ……オレの負けだ…お前はTUEEE……。オレなんかよりずっとな……あばよ…」敗北を認めたカバトンは川に落下していった…。
- 黒雲はいつの間にか消えており、元の青空に戻っていった。巨大な敵の影にソラ達は「どんな相手が来てもエルちゃんを守り抜くだけです!」と決意を新たにした。
■第13話
- エルちゃんが歩けるようになった。記念のファーストシューズを買いに行くが、どれもエルちゃんのお気に召さずそっぽを向かれる。「せっかくのファーストシューズ、妥協は許されません。エルちゃんのお気に入りが見つかるまで、この街の靴屋さん全部を…いいえ!この世界の靴屋さん全部を回りましょう!」と、必要以上に燃えていたところ、突如エルちゃんが何かに興味を示した。
- どうやら、他の客が購入しようとしていた靴が気に入ったらしく、ソラ達が「あれは人のだから」と窘めても聞き入れない。すると、その初老の女性客がエルちゃんの声を聞きつけ、自分が買おうとしていた靴を快く譲ってくれた。「こないだ気に入ってもらって、靴も喜んでるわ」と言われて感激したソラは、「ヒーローです!!ヒーロー発見です!!靴の気持ちまで考える優しさ──それがヒーロー!!」と目を輝かせて手帳にメモするが、去り際の彼女の「これで良かったんや…」という淋しげな一言が、ソラの心に引っ掛かっていた。
- 帰宅してからもそれが気になり、「未熟でした……。断るべきでした。きっと何か事情があったんです。今すぐあの人を探しに行って、靴を返しましょう!」と言い出していると、ヨヨの部屋の方から奇妙な音と気配が。行ってみると、ミラーパッドからスカイランドへのトンネルがつながっていた。ようやく完成したらしい。これでエルちゃんを両親の元へ帰せる。しかし一緒に戻るのはソラとツバサだけ。こちらの世界出身で生活もあるましろは残らなくてはいけない。一つ屋根の下で暮らすのは今夜が最後なのだ。
- あげはも呼んで夕食会の後、ソラとましろは並んでベッドに入るが、あげはのいびきがうるさくて眠れず、外の空気を吸いに出かける。ソラ「初めて来た時には魔法の世界かと…」ましろ「フフッ、そんな事言ってたね」ソラ「でも、今は何だか此処がもう一つの故郷みたいに思えます。そんなに長い間暮らした訳じゃないのに…あっ!ご…ごめんなさい!またすぐに遊びに来ますから!え…えっと…明日!靴を譲ってくれた人を探しに行きませんか?」ましろ「そうしよう、そうしよう!」その様子を窓から見守っていたあげはは「泣いたっていいのに…いい子達過ぎるよ」と呟いていた。傍から見れば、お互いを気遣って無理に明るく振る舞うソラとましろの気持ちが痛いほどわかるから……。
- 翌日、街中の靴屋で聞いて探し回った末に、ようやく昨日の女性・宮田緑を発見する。事情を聴くと、孫にファーストシューズを買おうと思っていて、息子夫婦は仕事の都合で外国に引っ越すため、空港まで見送りに行ってそこで渡そうと思っていたが、きっと自分は泣いてしまうし息子達も辛くなってしまうから、見送りはやめて電話だけで別れを告げたのだという。「別れは涙で汚さん方がええ。ニコニコ笑って明るくお別れした方がええ」と、努めて明るく振る舞おうとする緑に、「そんなのダメだよ!」「駄目です!」ましろとソラの声が重なった。
- 「ほんとの気持ちを言わないと駄目です!」「『嫌だ』って、『淋しい』って、『ずっと一緒に暮らしたい』って!」「泣いたっていい」「駄々をこねたって…」「そしたらきっと───」「きっとその後は本当に笑ってお別れできる。そう思います」代わる代わるに言葉を繋ぎながら、ソラとましろは緑を説得する。それは彼女に対してと共に、自分達自身への訴えでもあった。
- しかし「気持ちは有難いが、出発の時間にはもう間に合わない」と、緑はソラ達が持ってきた靴を受け取らずに去って行く。だが二人は諦めず、敵も出現していないのにプリキュアに変身。「通りすがりのヒーローガールです!」と彼女を呼び止めて背負い、プリキュアタクシーで空港へと急ぐ。驚いていた緑も、二人が差し出した靴を見て正体を察し、その申し出を受け入れた。
- 空港で息子夫婦を見つけるも躊躇する緑を、「行って下さい」と勇気づけるソラ。孫娘へファーストシューズを贈り、やはりこらえきれず嗚咽する緑の姿を見つめるソラとましろも、いつしか大粒の涙を流していた。彼女の気持ちがよくわかる。別れは淋しく、悲しい。でもひとしきり泣いたら笑顔で送り出そう。心はいつも一緒だから……。二人は、お互いの心を確かめるかのように手を繋いでいた。
- 空港からの帰り、靴屋を全部チェックして同じ靴を見つける事もできた。そしていよいよ出発の時がやってくる。もう涙は見せない。溌剌とした笑顔で、ソラ達はいざスカイランドへ!
■第14話
- スカイランドに到着。エルちゃんと国王夫妻が再会を果たし、王妃から「貴方達はスカイランドのヒーローです」との言葉を賜り、感激しきり。エルちゃんを狙うアンダーグ帝国の存在を伝えると、国王には「この件は私が預かる。其方達は安心して家に帰るが良い」と労われるが、「プリキュアの力、お貸しします!!相手がどんなに強くても、正しい事を最後までやり抜く。──それがヒーローです!」と、引き続きエルちゃんの護衛を願い出る。
- そこへ、辺境の任務から戻ってきた青の護衛隊隊長・シャララが現われる。するとソラはいきなり彼女の背中に、甘えるかのようにしがみついた。シャララ「大きくなったな、ソラ。あれからもう10年になるか」彼女こそが、幼い日のソラを助け、ヒーローを目指すオリジンとなった憧れの人だったのだ。
- ソラは見習いとして青の護衛隊に加入する事に。ところが隊員の一人ベリィベリーが難癖をつけてきた。「別の世界に行ってプリンセスを助けたなど本当なのか?それに弱い奴を仲間に入れても邪魔なだけ」そこまで言われてはソラも黙っておれず、「だったらわたしの力をテストしてください!」と懇願。シャララ隊長が認めたため、二人の勝負が始まった。
- 電撃を発するグローブを武器とするベリィベリーに対し、ソラは徒手空拳で立ち向かう。互角の攻防戦の中、ましろの声に気を取られたソラに猛攻を加えたベリィベリーは、「青の護衛隊は最強のチームだ!弱い奴に居場所は無い!」と叫びながらトドメを刺そうとするが、逆に紙一重で見切ったソラは、彼女の顔面に拳を寸止めで勝負あり。「弱いとか強いとか…大事なのは正しい事をしたいって気持ち───そうですよね?あなたは間違っています!」痛烈な言葉を浴びせられたベリィベリーは、悔し涙を流しながら去って行った。
- 青の護衛隊の制服に着替え、改めて一同に挨拶した後、ソラはましろに対してこれまでの経緯を説明する。青の護衛隊に入りたくて田舎から出て来た事、そこでエルちゃん誘拐の現場に出くわした事、偶然ソラシド市に落下してましろに出会った事……しかしそれらは決して偶然ではなく、ヨヨ曰く「人と人とが巡り会う事、それはいつだって必然、運命、物語の始まり」。「出会いから物語は無限に広がっていく───ましろさん、出会ってくれてありがとう。これからもずっと友達でいてくれますか?」手を差し出し、ソラとましろは固い友情の握手を交わす。
- シャララ隊長から、「ベリィベリーは小さい頃、腕に重傷を負ったせいで3年間試験に落ち続けたが、誰よりも努力して強くなった。だからあのように強さに拘る」という事情を聞かされ、思いの外彼女の尊厳を傷つけてしまったとソラは後悔する。さらに隊長は「『正しい事を最後までやり抜く───それがヒーロー』ソラ、君の言う通りだ。でもだからこそ、正しいとは何なのか、ヒーローは考え続けなければいけない。ベリィベリーには彼女なりの正しさがある。ヒーローというものは難しい」と続けてソラを諭した。居ても立ってもいられなくなったソラは、ベリィベリーに謝るべく彼女を探しに飛び出してゆく。
- その頃、一人悔し涙に暮れるベリィベリーの前に、アンダーグ帝国の新幹部バッタモンダーが現われ、彼女のグローブからランボーグを誕生させる。ソラはましろ・ツバサと共に変身して戦闘開始。ランボーグのパンチで押し潰されたベリィベリーを眺め、「悲しいね、弱いって」とバッタモンダーは嘲笑うが、スカイが間一髪でパンチを受け止めていた。「弱くなんか…ベリィベリーさんは弱くなんかない!」「───ごめんなさい…。一人で苦しんでいた事、でもずっと頑張ってた事…わたし、何も知らないのに『間違っています』なんて……」真摯に謝罪するスカイの言葉はベリィベリーの胸を打った。
- 戦いが終わった後、グローブを奪われた上にランボーグに対して何もできなかったベリィベリーは涙が止まらなかった。ソラはましろに「今はそっとしておいてあげよう」と引き留められ、その場を去ろうとするが、ベリィベリーの方がソラを呼び止めて「ありがとう、ごめんね」と声を掛けてきた。気持ちが通じたのだ。ソラは嬉し涙と共に彼女に抱き着き、二人は和解する。その夜、ソラはヒーロー手帳に隊長の言葉を書き留めながら、疲れて寝入っていた。「正しいとは何なのか、ヒーローはずっと考え続けなければいけない」
■第15話
- 次々とバッタモンダーが送り込んでくるランボーグを討伐するスカイと青の護衛隊。任務はそれだけにとどまらず、辺境の村で暴れる野生動物を何とかしてほしいという依頼にも、シャララ隊長と共に対処するなど、ソラは多くのな経験を積む。シャララ曰く「都を襲う敵と戦うのも大事だが、パトロールや辺境の地の人々を助けるのも大事な仕事だ」。ソラは初めて彼女と出会った時の事を回想する。
- 森に入り込んで魔物に襲われたところを隊長に助けてもらい、幸運のお守りとして大切にしていたスカイジュエルの欠片を、お礼にプレゼントしたあの日。その出会いがソラがヒーローを目指す原点だった。「あんなスカイジュエルの欠片、どこにだってあるのに」と照れ臭そうに笑うソラに、隊長は身につけていたペンダントを見せる。それはあの時ソラがプレゼントしたスカイジュエルだった。隊長はそれをペンダントに加工して、ずっと肌身につけていてくれたのだ。シャララ「君とこうして再び出会えたのは、このジュエルの導きかも知れない」ソラ「はい!」やっぱりシャララ隊長は自分の憧れのヒーローだった。
- その頃都では、バッタモンダーが超巨大ランボーグを誕生させていた。彼は無策に10体ものランボーグをただ送り込んでいたのではなく、キュアスカイ以外の隊長や護衛隊の面々では倒せても浄化はできないのを計算の上で、倒されたランボーグ達のアンダーグエナジーを密かに都の中に留まらせていたのだ。更にバッタモンダーは、「1時間後にランボーグが爆発すればスカイランドの全てはアンダーグの闇に呑まれる。プリンセスを差し出せば爆発は中止する」と脅迫してきた。
- 急遽遠征任務から帰還した隊長は「プリキュアの必殺技であれを浄化出来ないか?」と問い掛け、もちろん引き受けたソラはましろと共に変身して出陣。二人はアップドラフト・シャイニングを発動するが、ランボーグは浄化サークルに大人しく吸い込まれず、触手を伸ばして抵抗し、逆に浄化サークルがひび割れ始めた。
- 「もう限界…でも!」「諦めない!」体力を著しく消耗しながらも、スカイとプリズムは歯を食いしばって耐える。戦況を見ていたシャララ隊長は「この戦い、君達だけに背負わせはしない」と、王宮から単身出撃した。途中で彼女は、とある部屋の前で立ち止まり……。
- 巨鳥ワシオーンで飛び立った隊長は、護衛隊の面々が固唾を呑んで見守る中、ランボーグ目がけて突っ込んでゆく。「相手がどんなに強くても、正しい事を最後までやり抜く、それがヒーロー!」プリキュアを手助けすべく触手を切り落とそうとしたが、逆に一撃を受けてしまった彼女は地上へ落下していった。その時ソラの耳には確かに隊長の声が聞こえた。「ソラ…ヒーローの出番だ」次の瞬間、シャララ隊長の姿はランボーグの放つアンダーグエネルギーの中へ呑まれて消えてゆく。
- 「うわァァァァァアアア!!!!!」スカイは悲痛な絶叫と共に立ち上がり、プリズムもそれに続く。全身全霊で放つアップドラフト・シャイニングの前に、遂にランボーグは浄化されたが、同時に二人も力尽きて倒れ、気を失ってしまった。
- 「…っざけんなよ!!弱いくせに強い俺に逆らうなんてありえねェ!!」ランボーグが敗れて逆上したバッタモンダーが、直接王宮に乗り込んできた。ツバサを殴り倒し、冷静を取り繕ってにこやかにエルの身柄を要求するバッタモンダーは、国王夫妻を魔法で下し、エルちゃんに迫る。「ソラ~!!!」彼女が初めて発した言葉は、自分を何度となく救ってくれたソラの名前だった。
- その必死の声は、気を失っていたスカイの耳に届いた。バッタモンダーがエルちゃんに近寄ろうとしたその時、スカイは天窓を破って駆け付ける。「動くな!!そこからエルちゃんに1ミリで近付いたら…絶対に許さない!!!」バッタモンダーの顔が恐怖にひきつった。
- この時、画面にはスカイの顔は出ておらず、握り締めた拳とにじり寄るブーツが映るのみ。しかし恐怖のあまりそれこそ1ミリも動けなくなったバッタモンダーを見れば、スカイの怒りがどれほどだったかわかろうというもの。スカイの怒りの前に怯えきったバッタモンダーは、何も手にする事無く逃げていった。ほっと一息つくスカイによちよち歩き寄り、声を張り上げて泣きじゃくるエルちゃん。スカイランドの危機は去った。しかしその代償はあまりにも大きかった。
- 青の護衛隊の懸命の捜索にもかかわらず、シャララ隊長の行方は杳として知れない。悄然となるソラは「お前はもう休め。よくやってくれた。隊長もきっとお前を誇りに思ってる」とベリィベリーに労わられ、自室に帰る。そこで見た物は、テーブルの上に置かれた手紙とペンダントだった。
- 国王夫妻はバッタモンダーの闇の魔法によって昏睡状態に。ソラは二人を治す方法をヨヨに探してもらうため、再び襲ってくるであろうバッタモンダーからエルちゃんを守るため、ソラシド市に帰る事を決断する。ましろはまだソラがショックから完全に立ち直れていないのでないかと思い「無理しちゃ駄目」と気遣うが、意外にもソラの顔は晴れ晴れとしていた。「わたし、隊長から手紙を貰ったんです」シャララ隊長は出撃の前、ソラの部屋に立ち寄ってお守りのペンダントと置き手紙を残していたのだ。『立ち止まるなヒーローガール。また会おう』
- 「絶対にまた会える…そういう魔法がかかったペンダントです」二人の絆の証のペンダントを手にしたソラは、護衛隊一同に見送られ、ましろ・ツバサと共にソラシド市へ出発してゆく。「シャララ隊長…わたし、前に進みます。───そうすればきっと……きっと隊長にまた会える筈だから……」
■第16話
- 国王夫妻の呪いを解くには、ランボーグを浄化した時に発せられるキラキラエナジーを集めればよいと解り、一縷の希望を見出したソラ達。そこで両親の事を思い出したエルちゃんが泣き出してしまったため、「まずはエルちゃんの笑顔を取り戻しましょう!」と、みんなで人形劇をする事に。
- 「この絵本はどうですか?中身はわかりませんがこの表紙に途轍もなくヒーローを感じます!」エルちゃんが興味を示しそうな絵本をチョイスする中、演目はソラのエルちゃんの両方の趣味嗜好が一致した『桃太郎』に決定する。しかしあげはがいろいろアレンジを加えたおかげで、物語は『えるたろう』に変わってだいぶ斜め上の方向へ。
- しかし、鬼ヶ島へ向かうくだりで「なんだか嫌な感じです……まるでアンダーグ帝国のよう……」と言い出してしまったソラ。一同はスカイランドでの出来事を思い出して沈み込んでしまう。その不安な気持ちが伝染したエルちゃんがギャン泣き、気合を入れて劇を再開するが、今度は演技に熱が入り過ぎて、ソラがセットを壊してしまう。結局あげはの人形劇作戦は失敗に終わった。
- だが慌てて直している時、エルちゃんがよちよち歩きしながら「ソラ…ましお…ちゅばさ…あげは…ばあ!」と、みんなの名前を発しながら励ましてくれた。ソラ達はそれぞれの名前を呼んでくれた事に感激すると共に、エルちゃんから逆に元気を形になり、前向きに立ち直る。「力を合わせれば鬼…じゃなくバッタモンダーやランボーグからエルちゃんを守り抜き、いつか!スカイランドに戻る事ができる!!大丈夫です!きっと…!!」
- 戦闘では鬼型ランボーグの攻撃で窮地に陥り、バッタモンダーには「王と王妃は目覚めず、隊長も消えて、弱いスカイランドは可哀想」と愚弄されるが、スカイは「スカイランドは弱くなどありません!!みんな希望を胸に前に進もうと頑張っている!それはわたし達も同じ!!前に向かって進むだけです!!」と立ち上がる。「ボク達にはまだ出来る事がある!!」「例え僅かな光でも!!」「希望の光は心と拳を無敵にしてくれるんです!!」エルちゃんの声援を受けた三人は反撃に転じ、逆転勝利を収めた。
- 戦闘後、ランボーグを浄化されてしまい、「ありえねェ~、絶対跪かせてやる~!」と取り乱し「おっと、僕とした事が……」と平然を装うバッタモンダー。さすがのスカイも怒るどころか呆れてその気にもなれなかった。この時、スカイ達一同も呆れ顔だった。
- 帰り道、歩きたさそうなエルちゃんは『えるたろう』の歌を歌ってご機嫌。ソラ達も歌いながら一緒に行進していると、ソラの腹の虫が鳴る。今夜のメニューで盛り上がる一同からは笑顔が絶えなかった。
■第17話
- 体育祭の選抜リレーにクラスの満場一致で推薦されるも、ソラがリレーの事など知る由もなく「リレーって何ですか?」「『ラルー』の事ですね!スカイランドにもありました!」と、久々にカルチャーギャップでボロが出そうになる。
- そこで「ただ…1つだけお願いしたい事が……わたしにバトンを渡すリレー選手をましろさんにお願いしたいのです!」とましろを推薦。「リレーに於いて大事な事、それはバトンパスなのです!勝利の為、わたしへ繋ぐ大切なバトンを託せるのはましろさんしか居ません!」「確かにソラちゃんと言えばましろちゃんだよね」との賛成意見もあって、ましろ共々リレー出場が決定した。
- 「やるからにはちゃんと走りたいと思って。ソラちゃん、リレーの特訓付き合ってくれないかな?」ましろの志願を受け、拳から全身に炎を燃え上がらせつつ「もちろんです!!やりましょう特訓!!!」とハッスルするスポ根娘。「早く走るコツは、前だけを見て走る事です!!」「ましろさんの足は転がるボールと同じです!!上半身の力を抜いて、転がる力に身を任せましょう!!」ソラの指導はだいぶ精神論チックではあったが、ましろも頑張って毎日特訓を重ね、いよいよ体育祭の日がやって来た。
「ソラちゃんのためなら頑張るよ♡」
- 体育祭当日、出番が迫り緊張を隠せないましろを励ます。「だって…信じてますから。ましろさんが最高のバトンを渡してくれるって」そして遂に始まったリレーの種目。ましろはトップでバトンを受け取ったが、アンカーのソラが見えてきたところで足がもつれて転倒し、最下位になってしまう。それでも諦めずにましろは立ち上がってソラにバトンを託した。「ダァーーーーーッ!!!!」雄叫び一閃、凄まじい気迫の激走でソラは1人抜き2人抜き、最後の1人もゴール寸前で差し切って、大逆転で優勝する。
- だが、なぜかましろは座り込んで泣きそうな顔になっていた。ソラが気遣って「ましろさん、勝ちましたよ」と声をかけると、勝利は褒め称えてくれたものの、涙をこらえて走り去ってしまった。水飲み場まで後を追ったソラに、ましろは「走るのは苦手だったけど精一杯特訓した。なのに大事な所で転んでしまったのが悔しい」と、涙ながらに本心を打ち明ける。
- しかしソラも頭を下げて謝罪しながらこう告白した。「『勝つ為にはましろさんのバトンパスが必要』だって言いましたけど、ただ…友達と一緒に走りたかったんです」二人ともそれぞれの矮小なわがままが動機だった。しかしお互いを思い、諦めずに渡した心のバトンが勝利をもたらしたのだ。
- 体育祭に乱入したランボーグのスピードに手こずるが、プリズムから「スカイなら当てられるから。お願い」と光球を手渡される。先刻のバトンと同じく、プリズムから信頼を託されたスカイは、猛スピードでランボーグに追いついて光球をぶつけて動きを止め、浄化した。
- 意外と負けず嫌いで、走る事が好きだという新たな自分を発見したましろに、「日課のランニング、これからも一緒に頑張りましょう!」とソラも笑顔。二人の友情はましろを大きく成長させたのだった。
■第18話
- 釣竿を素体にしたランボーグと戦うプリキュア達。バッタモンダーに「避けるのが上手くなった」と煽られる。
- ランボーグを浄化した後、バッタモンダーに『外野』と罵られ「外野なんだけどね」と称したあげはをスカイ達は「そんな事ありません!いつもわたし達を応援してくれるから頑張れるんです!」と慰めた。
- あげははソラシド保育園へ実習に行き。園児達からプリキュア宛のファンレターを預かってきた。さらに「実習中はここに泊まらせてもらうね」と聞き、ましろと共にノリノリのダンスで喜ぶ。「あげはさんがこの家に!?」「やった~!」
- 後日、あげはの様子を見に来たソラ達。すると、園児のたけると鬼ごっこをしているらしきあげはの姿が見えた。実はたけるは他の子と喧嘩して「順番を守らないからやっつけた」と言い張り、「やっつける事が最強じゃない」と諭すあげはに反論して逃げ回っていたのだが、そんな事情は露知らぬソラは「あげはさんと鬼ごっこしてますよ。小さい頃はよくやりました。鬼ごっこは真剣勝負です!」とピンボケ発言。
- そこにバッタモンダーが現れ、ジョウロ型のランボーグを召喚。ソラ達はプリキュアに変身して立ち向かうもエルちゃんを標的にされ、3人で防ごうとするもアンダーグエナジーの濃縮球体に閉じ込められてしまう。だが、たけるや他の園児達を守りたいと強く願うあげはは、自らミラージュペンを生み出してキュアバタフライに変身し、皆の窮地を救った。
- 実習期間が終わってあげはが帰ってしまい、少々淋しがっていた時、玄関のチャイムが鳴る。ソラがドアを開けると…「サプラーイズ!!」何と帰ったはずのあげはがソラに抱き着いてきた。
- 見事なブリッジで何とか耐え抜く。「引っ越して来ちゃった!わたしもプリキュアになった事だし、一緒にいた方がいいでしょ?」あげはも虹ヶ丘家で一緒に住む事になった。アゲアゲでにぎやかな日々が始まる!
■第19話
- 「な…なんて豪華な朝食なんですか!」朝起きると、あげははホテルバイキング並みの朝食を作っていたさらに「ラブを一杯込めといたから」というお弁当まで世話になる。
しかも可視化されたラブだったりして
- しかも夜にはネイルを塗ってもらった。「わたし、あげはさんと暮らす事で『アゲ』の何たるかを理解できた気がします。可愛い物や楽しい事で自分を元気にする、それが『アゲ』!」ヒーロー手帳に書き込む事がまた一つ増えた。
- 学校帰り、ツバサの鳥友達から何かしらの報告を受ける。ましろと共に変身して走って駆け付けると(て言うか、よく場所がわかったな…)、既にランボーグが倒されていた。そのままバタフライとウィングがプリキュア・タイタニック・レインボーアタックで勝利したので、ミラーパッドで最小限の仕事は完了。
■第20話
- 『Pretty Holic』でのあげはのバイトの先輩・菜摘に勧められ、絵本コンテストに挑戦する事に。当のましろは困惑するも、ソラの方がノリノリ。「ましろさんが作ってくれたくもパン、感動しました。菜摘さんが言うように、ましろさんにはセンスというものがあるんだと思います!わたし、ましろさんが描く絵本を見てみたいと思って」
- しかしいざ描き始めようとしても、物語すら浮かばず悩んでいるましろを見かねて、「わたしが先走って、ましろさんを困らせてしまったみたいですね」と謝る。ただ、ましろの悩みはそれだけではなく、何かを積極的にやりたいという気持ちになれない自分の性格にも及んでいたため、「ましろさんはましろさんのままでいいという気持ちは今も変わりません。だから気にしないで下さい!」ソラは懸命にフォロー。
- そのましろが座るベンチの近くの砂場でエルちゃんは砂遊びをしていたが、近寄ってきた男の子に自分のおもちゃを貸そうとしない。「そんな心の狭い事でどうするんですか?仲良くしなきゃ駄目ですよ」ソラが叱っても聞く耳持たず、ましろが「友達と一緒に遊べたらきっともっと楽しいよ」と優しく説得しても拒否。「まだまだ未熟です。わたしはエルちゃんを叱るばかりでしたが、ましろさんはエルちゃんに優しい気持ちを伝えていて凄いです」だが何かを思いついたましろは急ぎ帰宅して、一心不乱に絵本を描き始めた。
- 夕方になっても休憩すらせずに描き続けているので、「無理しているのでは…」と案じるソラ。あげはに促されて紅茶を差し入れに行くが、ましろは生返事だけして筆を止めようとしない。「ありがとうソラちゃん。なんかね…すっごく楽しいの!」しかし、そう答えるましろの横顔は、決して無理などしていない楽しげな顔だった。ソラは自分の心配が杞憂だったと知り、一安心。
- できあがった絵本を市役所に持って行く途中、例によってバッタモンダーが邪魔してきた。しかも信号機型ランボーグが赤信号表示になると、バタフライプレスやスカイパンチは途中で強制停止して届かない。足止めされる間に、締め切り時間が迫ってくる。
- プリズムは自分の事よりもランボーグ撃退を優先しようとするが、スカイは「よくありません!プリズム、次に青に変わったら構わず行ってください!」と彼女を叱咤。バタフライのミックスパレットで敵攻撃からの耐性を強化したスカイは赤信号を力づくで破壊し、「さぁ早く!」と送り出した。バッタモンダー「何でだ!?何でこんな弱ェ奴らにこの俺が何度も負けるんだ!?」「嫌がらせばかりするあなたの様な人には、ヒーローは決して負けないんです!」
- 提出は間に合ったものの、後日の結果発表ではましろの作品は残念ながら落選。しかしその作品『ブランコ』はエルちゃんの心に届き、ソラは「やっぱりましろさんはすごいです!」と笑顔。そして何より、ましろ自身の未来を照らすものになった。
■第21話
- 昼ごはんがましろの特別なお弁当と聞いて、「たくさん動いてお腹を空かせないと!」と目を輝かせる。そして収穫後は腹が盛大に鳴る。
- 今回は全体的に賑やかし役だったが、「わたしもカレーの事なら知ってますよ!カレーはカライライスではないので、甘いカレーも美味しいのです!あっ、わたしは中辛が好きです!」と一方的にボケをかまし、ましろが「甘口と中辛、両方作ってあるよ」と言うと、「両方食べます!おかわりします!」と、最後に目一杯尺を使い存在感をアピール。
■第22話
- この回はソラが初めて精神的危機に陥る、彼女にとって大きな意味を持つ回である。ミラーパッドを通じてヨヨと共にアリリ副隊長と対話するソラ達。国王と王妃も未だに目覚めないという。そこにベリィベリーが割り込んできた。シャララ隊長の姿を見たという報告が多数届いているのだという。しかし、その姿は煙のように消えてしまったとの事だった。困惑するソラに代わり、あげはが「目撃情報だけ?」と問い詰め、ましろが「本当か嘘か、ここで話しても始まらない。何か情報があったら教えてください」と頼んでくれた。
- 自室で仁王立ちになり、気合を入れてヒーロー手帳に何か書き込もうとしていた時に、ましろに「何してるの?」と声を掛けられ、驚いて椅子をひっくり返した上にズッコけるというわかりやすいボケをかます。書こうとしていたのは、シャララ隊長があの日の出撃前にソラに残してくれた『立ち止まるなヒーローガール』というメモの言葉だった。「何でもかんでもすぐ手帳にメモするソラちゃんが、隊長さんの大事な言葉をまだ書き写していなかったなんて意外だよ」とましろは不思議がる。「何でもかんでもってわけじゃ…」と否定するも、先日スーパーで「毎週火曜日はお肉半額の日」と真剣な顔でメモしていた事をツッコまれ、「あれは…無かった事にしてください!」と赤面。
- 「この手帳に書いた事は絶対に守らなきゃいけない。そういうつもりで書いてます。『立ち止まるなヒーローガール』…絶対に守れるって自信、ずっと無くて…シャララ隊長の身にもしもの事があったら、それでもわたしは前に進めるのでしょうか?ヒーローでいられるのでしょうか…?」今まで明かさなかった不安を告白したソラは、続いてましろに礼を述べる。「さっきはありがとうございました。前に進む足が止まりそうになっても、隣にましろさんがいて、背中を押してくれる…。わたし、今日なら書けそうな気がして。シャララ隊長の言葉をこの大切な手帳に!」そしてソラは「立ち止まるなヒーローガール」と反芻するように呟きながら手帳に書き込み、エルちゃんの声に合わせて、「絶対ヒーローになるぞー!!」と元気よく拳を突き上げたのだが……。
- みんなで買い出しに出かけた時、街角で見覚えのある後ろ姿を見かけ、ソラの心臓は大きく鼓動する。まぎれもなくシャララ隊長だった。彼女の名を呼びながら必死で追いかけるが、隊長の姿はまるで蜃気楼のように走っても走っても追いつけない。とある工事現場でようやく彼女は足を止め、ソラは「シャララ隊長!無事だったんですね!?」と歓喜しながら駆け寄るが、隊長は無言で剣を抜き、斬りかかってきた。
- 驚きのあまり、避ける事もできず、ソラは身構えるのが精一杯。しかし隊長の姿は突如霧散して消えてしまった。代わりに聞こえてきたのはバッタモンダーの声だった。「手品さ。アンダーグエナジーでちょいちょいっと作った幻だよ。本物だったら、今頃君は真っ二つだったよ」驚きは失望へと変わり、そして怒りが湧き上がってきた。「どうして…?何でこんな意地悪するんですか!!何が楽しいんですか!!?」バッタモンダー「楽しいよ、マジ楽しい」
- 「わたしに何の恨みが…!」と言いかけるソラの台詞を遮り、「あるね!!大ありだ!!」とバッタモンダーは一転して激昂する。彼はスカイランド王宮で、キュアスカイの怒りに恐怖し、退却を余儀なくされた時の屈辱を忘れていなかったのだ。「憎い…この胸が憎しみで張り裂けそうだ!強くて優しいこの俺に、こんなにもドス黒い憎しみを植え付けた責任…きっちり取って貰うぞ!!」あまりにも身勝手な逆恨みを吐き散らしながら、彼はランボーグを召喚する。「ヒーローの出番です!」ソラは変身して戦闘を開始した。
- 「ランボーグの陰にコソコソ隠れて!それであなたのつまらないプライドは満たされるんですか!」スカイの叫びも鼻で笑うバッタモンダー。その騎士型ランボーグの剣捌きは鋭く、手強い。「凄まじい剣の使い手…当たればただでは済みそうにありませんね───でも!当たらなければただで済む!」しかし、接近戦に持ち込んで突きの連打を見舞い、バッタモンダーが魔法で目晦ましして距離を取らせようとしても、「懐に入ってしまえば、剣より拳の方が速いんです!」と、プリキュア式脳筋戦法でランボーグをダウンさせた。
- 「バッタモンダー!!!」怒りを燃やして睨みつけるスカイを尻目に、バッタモンダーが「お楽しみはこれからだよ」と指を鳴らすと、ランボーグの背中にマントが出現した。それも見覚えのあるマントが。「まさか…!」「そう!そのまさかだよ。君の大切なシャララ隊長にアンダーグエナジーを注ぎ込んだんだ!」ランボーグの体内には、シャララ隊長が素体として取り込まれていたのだった。激しく動揺するスカイを、追い討ちとばかりにバッタモンダーは罵る。「君、酷い事するよね。ランボーグへの攻撃は全部、隊長へのダメージになるっていうのに!」
- 「あ…あぁ……」顔面蒼白で立ち尽くすスカイに、バッタモンダーは「ランボーグ…いやシャララボーグ、行け!」と容赦なく攻撃を命じる。シャララボーグが剣を振り上げても、スカイの脳裏にはシャララ隊長との思い出が浮かぶばかり。無抵抗で攻撃を喰らったスカイは、吹き飛ばされて気を失った。そしてトドメを刺されそうになった時、みんなが駆け付ける。間一髪のところをウィングに救われ、ミックスパレットの力で回復して目を覚ましたスカイが見たのは、バタフライが攪乱している隙に、光球でシャララボーグを攻撃しようとするプリズムの姿だった。
- 「駄目!!やめて-ーー!!!」血相を変えたスカイは、プリズムの前に立ちはだかって制止する。「撃たないで!!隊長なんです!!あれは…シャララ隊長なんです!!!」大粒の涙を流すスカイを見て、プリズム達は愕然となった。「アンダーグエナジーのせいで、シャララ隊長がランボーグに…」膝から崩れ落ち、涙が止まらぬまま、スカイは声を絞り出した。「助けて…ましろさん……。」彼女のこんな弱々しい姿は初めてだった。プリズムはそんなスカイをぎゅっと抱き締める。
- そこでバタフライが「アンダーグエナジーが悪いんでしょ?じゃあいいじゃん!それ浄化しちゃえば!」と妙案を出したかに見えた。ところがタイタニック・レインボーアタックを繰り出そうとした時、バッタモンダーが口元を歪めて笑うのを見たプリズムは、何か不吉なものを感じた。それを察知したエルちゃんも「だめーーー!!!」と叫び、驚いたバタフライとウィングは技の発動を中止した。
- 「ちぇっ、バレちゃったか~」バッタモンダーは残酷極まりない種明かしを始めた。あの日、王宮から退却する途中の彼は、倒れていたシャララ隊長を見つけたのだ。「このままだとオマエは終わりだ。だが…アンダーグエナジーがオマエの傷を塞ぐ。失われた血の代わりとなり、オマエを生かす力となる!」そしてシャララボーグを誕生させたのである。「シャララ隊長はアンダーグエナジーによって生かされている。それを浄化してしまったらどうなるだろうねェ?そう!君達ご自慢のタイタニック・レインボーもアップドラフト・シャイニングも、隊長にトドメを刺すやべェ技に過ぎないって事!」
- 茫然自失のプリキュア達に対し、バッタモンダーは愉快そうに続ける。「本当は君達に隊長の始末をさせるつもりだったんだ。それは最高の絶望になるだろうからね。でもいいや、好きな方を選べよ。隊長を斃すか、隊長に斃されるか。フフフ…」どちらも選べるわけがない。完全に固まってしまったスカイとプリズムに、シャララボーグは剣を振り上げるが、その動きが止まった。人間にアンダーグエナジーを注ぐのは無理があったらしい。すかさずバタフライとウィングが飛びかかるが、バッタモンダーはシャララボーグと共に姿を消す。だが、嘲笑う彼の捨て台詞だけが聞こえてきた。「フフ…何度でも何度でも遊びに行くよ。君達の心がズタズタになる迄…ハハハハハ……」
- 何とか窮地を脱したものの、ソラはその場に座り込んだまま動けなかった。ましろ「隊長さんを助ける方法、きっとあるよ…ねっ?」「どんな方法があるって言うんですか…」あげはは隊長のアンダーグエナジーを浄化するのと全く同じタイミングでミックスパレットの回復技を隊長に使うというアイデアを述べるが、「駄目だったら?シャララ隊長はどうなるんですか!?」と聞く耳を持たない。ツバサ「ソラさん!信じてやるしかありませんよ。ヒーローは諦めたらそこで終わ…」ソラ「やめてください!!ヒーローなんて…わたしもう…戦いたくない!!!」ソラは完全に絶望に押し潰されていた。
- その絶望はさらなる最悪の事態を招く。ソラが握り締めていたミラージュペンが突如消失し、スカイトーンも輝きが消えてただの石と化した。もう変身できない。絶望のあまり、勇気も、前へ進む意志も失くしたソラは、ヒーローとして、プリキュアとしての資格を失ってしまったのだ…。
■第23話
- 先日の出来事のショックで学校を休んだソラ。ましろは授業中も気が気でなく急いで帰宅したが、彼女の姿はなく、机の上に置かれたヒーロー手帳には、「わたし、ヒーローにはなれませんでした さようなら」と書き置きが残してあった。失意と絶望に打ちひしがれたまま、地上界から去ってしまったのだ。
- その頃ソラは、暗い表情のままスカイランドの自宅に帰っていた。大喜びで迎える弟レッドが「悪者やっつけたんだね?本物のヒーローになったんだね?」と目を輝かせても、答える事ができない。家族の食卓でソラはシャララボーグの一件と変身できなくなった経緯を打ち明ける。
- 「ミラージュペンはわたしの心が生み出した物。きっとわたしの気持ちが形になったものだったんじゃないのかな。でも無くなっちゃった…強い敵に立ち向かう勇気も、ヒーローになる夢も、友達が考えてくれた作戦を信じられなくて…失敗するのが怖くて…だからミラージュペンは壊れちゃったんだと思う。わたし…ヒーローになれなかった……。」理由は自分が一番よくわかっている。でもどうにもできない…。
- そんなソラを、父のシドは子供の頃よく来た湖のほとりへ連れてきた。学校でいじめっ子達と大喧嘩して、自分の無力さが悔しかったあの日。流れ星を見て「ヒーローになれますように!」と急いで願い事を言ったものの、3回唱える前に流れ星は消え去ってしまった。「なれるかな…わたし強くないし、喧嘩怖いし…それに…それに──」自信無さげにうつむくソラに父は言った。「お前の心は何て言ってる?」次の瞬間、奇跡が起こった。夜空に無数の流れ星が、流星群が出現したのだ。「ヒーローになれますように!ヒーローになれますように!」ソラは声の続く限り、願い続けた…。
- 「あの星はパパが降らせてくれたの?」「お前が降らせたんだ、たぶんな」あの時の『ヒーローになりたい』という強い思いが、もしかしたら流星群を呼び寄せたのかもしれない。でも今の自分は……。「わたし…」肩を震わせるソラの頭を、シドは優しく撫でた。「いいさ、ソラ。もういい」ヒーローに挫折したとしても、それは娘の選択。黙って見守るのみ。そしてソラは夢と決別すべく、輝きを失ったスカイトーンを湖に投げ込もうとするが……。
- 翌日、薪割りをしていると、空間トンネルからヨヨとエルちゃんが現われた。怯えたように目を逸らし、「わたし、もうプリキュアじゃありませんけど…」と言うソラに、ヨヨはましろからの手紙を手渡した。恐る恐る手紙を開くと……。
- 「ソラちゃんへ。覚えてるかな?わたしが初めてプリキュアになった時、ソラちゃんすっごく反対したよね。『ましろさんが傷つくなんて嫌だ』って。『自分がもっと強くなる、だからましろさんはプリキュアにならなくていい』そう言ってくれたよね。だから、今度はわたしの番だよ。隊長さんの事はわたし達に任せて。大丈夫だよ。ソラちゃんはプリキュアにならなくていい。戦わなくていい。お家でゆっくり休んで、元気になってほしいな。最後に一つだけ。『ヒーローになれなかった』なんて言わないで。だってソラちゃんはとっくの前からもうヒーローなんだから。」
- さよならも言わずに逃げ出した自分を一言たりとも責める事無く、手紙にはソラを気遣い、大切に思うましろの心が綴られていた。その便箋の上にソラは大粒の涙を零す。「ヒーローなんかじゃない…ただの弱虫です!!戦うのが怖くて逃げた!!シャララ隊長も!仲間も!街の人達も見捨てて!!!そんなヒーローいる訳ない!!!!」泣きじゃくるソラの脳裏に、ましろの笑顔や数々の思い出が浮かんだ。「そんなヒーローいる訳ない…だけど……行かなくちゃ…」ましろの手紙の「じゃあまたお手紙書くね、わたしのヒーローさん」という締めくくりの一文を見た後、ソラは決然と顔を上げた。その瞳にはもう涙はない。「友達が待ってるから!」
- その時、消えたはずのミラージュペンが再び出現する。友を思うソラの熱い心によって甦ったのだ。シド「夢はたぶん、一つきりじゃないんだ。例え見失っても、例え壊れても、それは何度だって生まれる」苦しむ娘の姿を見るに堪えなかったレミも、ソラが立ち直った姿を見て、笑って送り出した。空間トンネルを通ってソラシド市へ戻る途中、ソラは思う。「『ヒーロー』───今のわたしが口にできるような言葉じゃありません。でも、あなたがそう呼んでくれるなら──!」手のひらの中の、昨晩湖に投げ込む事のできなかったスカイトーンが輝きを取り戻した。完全復活の時が来た!
- 「ヒーローの出番です!!!」空から舞い降りたスカイの姿に、歓喜するプリズム・バタフライ・ウィング。ヒーローガール・スカイパンチをシャララボーグに炸裂させながらスカイは叫ぶ。「前に進む足が止まりそうになっても、わたしには背中を押してくれる人達がいます!!だから!!だから!!!『立ち止まるなヒーローガール』!!!!!」
- 迷いが吹っ切れたスカイはシャララボーグを圧倒。「ましろさん!!!」スカイの差し出した手を、プリズムはしっかりと握り締め、二人はアップドラフト・シャイニングを繰り出してシャララボーグを浄化する。そしてバタフライがすかさずミックスパレットの癒しの力で、解放されたシャララ隊長を回復させたが、隊長は反応がなく目を閉じたまま。しかしスカイは「きっと大丈夫。信じて待っている人がいる限り、何度だって立ち上がれる。きっとそれがヒーローですから」と、成功を信じて疑わなかった。その耳に懐かしい声が入ってくる「フッ…良い言葉だ…また会えたな───ヒーローガール」隊長は無事生還したのだ。スカイは嬉し涙と共に彼女に抱き着いた。「シャララ隊長…会いたかった…!」
- 一方、3人になったプリキュアを倒すはずが、スカイが復活してシャララボーグを倒され、シャララ隊長も取り戻される惨敗を喫してコソコソ逃げ出そうとするバッタモンダーを「動かないで!!そこから1ミリでも動いたら絶対許さない!!」とプリズムが一喝。偶然にも、以前スカイが叫んだのとほぼ同じ台詞だった。そしてプリキュア達が立ちはだかる。遂に最期かと腰を抜かしたバッタモンダーだったが、スカイは何もしようとせず、背中を向けて去ってゆこうとする。
- 「と…止めを刺さないのか!?じゃないとまた来るぞ!またオマエの嫌がる事をしてやる!それでもいいのか!?ソラ・ハレワタール!!」と見下げ果てた悪態をつく彼にスカイは答えた。「構いません。どんな事をされても負けない位、わたし強くなりますから」。完敗だ。バッタモンダーはもう何も言い返せず、がっくりとうなだれるのみだった。
- 「わたし、未熟です。でも未熟なりに前に進みます。そうすればきっといつの日か────ましろさん、ツバサくん、あげはさん、それにエルちゃん、これからもよろしくお願いします」仲間達に感謝を述べるソラに、ましろが「この手帳…もう1回貰ってくれるかな?」とヒーロー手帳を手渡す。笑顔で受け取ったソラは、満天の星空に向かって声高く叫んだ。「絶対ヒーローに…!!なるぞー!!!!!」
■第24話
- ランボーグを倒し続けて溜まったキラキラエナジーで、遂にキラキラポーションが完成した。眠っているシャララ隊長を見守っていたソラは、ましろからそれを聞かされ「本当ですか!!!!?」と画面が揺れるくらいの大声でリアクション。隊長も回復したので、「では!いざスカイランドへ!」
- 一同はスカイランド王宮を訪れ、アリリ副隊長とベリィベリーに出迎えられる。ベリィベリーに褒められたソラは、ましろとツバサの手を取り「わたしだけの力じゃありません。みんなの力です!」と誇らしげに答えた。そして国王と王妃は目覚め、国王夫妻やシャララ隊長を救ったヒーローとして、プリキュアはたちまち有名に。「ソラちゃんの家族もきっと喜ぶよ」とましろに言われて、「ようやくパパとママにも安心してもらえます」と感慨に耽る。
- 凱旋パレードを行う事になるが、そこでパレードで乗る乗用鳥を見たましろは「わたし、乗れるかな…」とすっかり尻込み。それに対してソラは「いいですか、コツは『ヒョイッ』『スーッ』『ラッタッター』です!」というもろに某野球チームの終身名誉監督的なアドバイス。「わかんないかな…」と笑顔が引きつるお気の毒な文化会系ましろん、乗ろうとするも鳥に逃げられてしまう。
- ましろがついて来ていないのにも気付かず遠くまで来てしまったところ、やって来たシャララ隊長と川辺で語らう。「君は随分と成長したな」「『立ち止まるなヒーローガール』…辛かった時も隊長の言葉に背中を押してもらえました!!」「だが君を変えたのはわたしだけじゃないだろう?」その隊長の視線の先には、ベリィベリーに助けてもらって鳥に乗れるようになり、笑顔で手を振るましろの姿が。隊長は全てお見通しだった。シャララ「友との出会いが世界を広げ、新たな自分に出会わせてくれる。そうだろう?」ソラ「はい!!」
- 国王に呼ばれたソラ達は、感謝を述べられると共に、エルちゃんを再び預かってほしいと頼まれる。驚く一同に国王はエルちゃんの秘密を打ち明けた。今から1年前、国王夫妻が夕暮れの空を見上げていると、一番星が眩く輝き、そこから現れた光が赤ん坊の形になった。それがエルちゃんだったのだ。
- そして一番星から声が聞こえ、二人にこう告げた。「その子は運命の子。滅びの運命にあるスカイランドを救ってくれる。あなた達にこの子を育ててほしいが、遠くない未来に旅立ちの知らせが届く。それまでの短い間、仮初めの親子になってもらえないか」迷った末に二人は赤ん坊の親となる決断し、『エル』と名付けて育てた。そして今日、彼女に『運命の光』が宿ったのを見た二人は、旅立ちの日が来たと悟り、プリキュアにエルちゃんを託す事にしたのだった。ソラ達は「これまでに増して必ずやエルちゃんをお守りします」と誓う。
- パレードを直前に控え、「君達の先導を務める。だがわたしに続くのはこれが最後だ。君は君のヒーローを目指せ、大切な仲間と共に」と諭す隊長に、ソラはあの別れの日に隊長から預かったペンダントを手渡し、「これが無くてもまた会えますよね」と微笑んだ。シャララ「スカイランドはわたしが守る。そして何時でも君達を支えよう」距離は離れても、二人の絆は前以上に強固なものになる…。
- いざ出発しようとすると、空にぽつんと1つだけ『いじわる雲』が現れた。これではせっかくのパレードが台無しと人々が落ち込むする中、ましろの発案で4人はプリキュアに変身。アップドラフト・シャイニングで黒雲を吹き飛ばし、さらにミックスパレットの力を借りてウィングが飛び回る事で、エルちゃんの笑顔を模した飛行機雲を作り出し、喝采を浴びた。
- 「同じ空の下、奇跡みたいな出会いでも、運命でつながって、わたし達家族みたいに同じ時を過ごしてる。それが今は凄く嬉しい」幸せを噛みしめるプリズムに、スカイも「今だけじゃありません、これからも…です!」と答え、笑い合うプリキュア達。ヨヨ「物語を紡いで、新たな運命を切り開く。そうすれば、きっと…」
■第25話
- エルちゃんが『運命の子』とわかり、「今まで普通のご飯食べさせてたけどいいのかな」と困惑するましろに対し、「大丈夫ですよ!ましろさんの作るご飯はすっごく美味しいですから」と太鼓判。
- 逆にソラは、いつの間にエルちゃんの着替え用に弟のお下がりの服を用意しており、「もっと豪華なドレスを着せるべきでは?」と悩む。さらにツバサがエルちゃんを守るためには重装備が必要と考えた結果、3人揃ってフットボーラーのコスプレをするという迷走ぶり。
- ともあれ今日は、ソラシド自然公園にピクニック。動物園ではゾウやキリンを見ては「何ですか?あの動物!なんか、びよ~んってしてますよ!」「大変です!あのお馬さん、首が伸びちゃってますよ!」とこちらの世界の摩訶不思議な動物に興味津々のソラ。シマウマはスカイランドのシマシマウマに似ているらしいが、そちらは青と白の縞模様らしい。他にも牛やパンダに似た動物も白黒ではなく白青のカラーだとの事。
- 動物園を回る内、どうやらエルちゃんは動物語がわかる事が判明。ただでさえ不思議な力を持っているのに、今後はどのような育て方をすべきかであれこれ意見が出る中、「まさかこんなに早くエルちゃんにスカイランド神拳を伝授する時が来るとは…!」と真剣にのたまい、ましろから「それはまだ早すぎるんじゃ!?」とツッコまれる。
- 突如、動物園の動物達が怯え始めた。園外に出てみると、そこで腕組みして待ち構えていたのは巨漢の怪人。アンダーグ帝国の新幹部・ミノトンだった。「我こそ真の武人。プリキュアよ、我がランボーグと手合わせ願おう!」彼は公園のマスコットキャラ・ソラシノサウルスからランボーグを生み出す。一同は変身して戦闘開始。
- ミノトンが「アンダーグ帝国最強である我が生み出すランボーグは最強だ」と言うだけはあり、強力な顎の力や火炎放射を繰り出し、その上身軽なランボーグにプリキュア達は大苦戦。その最中、エルちゃんは園から逃げ出してきた1羽のウサギを見つける。先刻、動物ふれ合いコーナーで遊んだウサギだった。エルちゃんがそのウサギを助けようとしたところ、目ざとく見つけたランボーグが突進してきた。
- だがエルちゃんはウサギを必死に庇いながら、「おうち、かえろ!」と叫び、それを聞いたスカイははっとなった。それは自分がエルちゃんと出会って初めてカバトンのランボーグと戦った時、「パパとママのと所に…お家に帰ろう」と励ました言葉だった。エルちゃんはそれを覚えていて、今度は自分がウサギを守りながら同じ言葉を発したのだ。
- エルちゃんを絶対に守ろうと身構える4人。ところが、その更に前に立ちはだかってランボーグの突進を食い止めたのは何とミノトンだった。「強者に立ち向かうその心!赤子ながら天晴!」と彼がランボーグを放り投げた隙に、エルちゃんとウサギは避難した。「貴方達の目的はエルちゃんの筈!なのに何故ランボーグから守ったんですか!?」詰問するスカイに、ミノトンは「赤子に牙を向けるなど、武人のする事では無い。プリンセス・エルは貴様等を倒した後で良い。我はずっと待ち望んでいたのだ、貴様らの様な強者と戦うのを!」と返す。卑怯な手ばかり使っていたカバトンやバッタモンダーとは、明らかに異質の正々堂々たる武人だった。
- 改めて勝負再開とランボーグを差し向けるミノトン。口の攻撃のせいで近寄れないならばと、スカイはバタフライにミックスパレットでパワーアップしてもらい、尻尾を掴んで投げ飛ばし、タイタニック・レインボーにつなげて勝利する。「うむ!それでこそ我が戦うに相応しい」と満足げにミノトンは去って行った。
- 再びエルちゃんがウサギに餌の菜っ葉を上げていると、ウサギが怖くてべそをかいている女の子がいた。エルちゃんは彼女に近づいて「どーぞ」と菜っ葉を差し出し、女の子は恐る恐るウサギに餌を向けると、ちゃんと食べてくれて笑顔になる。それを見て「なかよち!」と言うエルちゃんの姿に、ましろは絵本コンテストに応募した自分の絵本を目にしたエルちゃんが「は~い、なかよち」と喜んだ時の事を思い出す。「エルちゃん、わたし達が気付かない内に、いろんな事を沢山受け取ってくれてたんですね」成長を喜ぶソラ達。『運命の子』という宿命を背負っているとしても、エルちゃんはみんなの愛情を受けて優しい子に育っていたのだった。
■第26話
- 帰国するましろの両親を出迎えに、みんなでももぞら空港へ。「それにしても不思議です。あんなに大きな物が羽ばたきもせず飛ぶなんて」飛行機に対する素朴な疑問を発し、ツバサに「飛行機はジェットエンジンなどで加速して、その時に受ける風の力で飛ぶ事ができる」と解説してもらうが、「え~っ!?ジェットにんじん?」と思い切り聞き間違い。
- 飛行機の話題に食いついてきた天野翔子という女の子と仲良くなる中、双眼鏡を逆からのぞいて「凄く遠くに見えます」と口走ったり、父親とはぐれた翔子を背負って「ジェットにんじんの速さでパパの所に送り届けます!」と勢いよく走り出したかと思いきや、すぐさまUターンしてきて「案内所って何処ですか?」と尋ねて一同をズッコケさせるなど、今日は徹底してボケ担当。
■第27話
- 今夜の花火大会が待ちきれずそわそわ。待っている間、ましろに間ネイルを勧められるも、「わたしにはとても出来そうにないので、花火までの間、体でも動かしておく事にします」と固辞し、室内でおもむろにスクワットを始める骨の髄からの体育会系気質。
- エルちゃんが誤作動させたミラーパッドの中に吸い込まれたソラ達は、スペシャルステージの案内役ピンクットンから、特別なトレーニングを用意したと説明される。今日は花火大会だから早く自分達を帰すよう抗議するが、トレーニングをクリアすればすぐ帰れると言われて結局挑戦する事に。
- トレーニングは好きな物を選べるという事で「わたしはやはり体を鍛えたいです!」と運動ジャンルのカードを選択。ところがピンクットンがくしゃみをしたはずみでカードがぐちゃぐちゃにシャッフルされてしまい、ましろが選んだ化粧に挑戦させられる羽目に。
- メイクルームのきらびやかさに「キラキラし過ぎてクラクラします…」と腰が引けつつ、「いえ、こんな弱気ではいけません!たとえ困難な道でも前向きに挑戦する───それがヒーローです!」と己を鼓舞してスタートしたはよかったが、出来上がるのはわざとやってるとしか思えないようなコント風の化粧ばかりで「どうしたらいいのかわかりませ~ん!」と悲鳴を上げる。
- すっかり落ち込み、「いくらやっても素敵な自分にはなれそうにありません。やはりこれをやるべきなのはましろさん…」と音を上げかけたソラの脳裏にましろの姿が浮かんだ。「ソラちゃん、わたしね…いつもの自分にメイクを少しプラスするだけで、元気が貰える気がするんだ」心強い味方からヒントを得られたソラは見事メイクを纏め上げてクリア。ピンクットンが誤って召喚したドアモンスターも難なく倒して無事帰還し、花火大会とエルちゃんの作った蜜豆を堪能した。
■第28話
- みんなでエルちゃんの服を買いに出かけるも、自己主張の強くなってきたエルちゃんはなかなか首を縦に振らず。ソラは嬉々として「見てください!これ最高じゃないですか!?」と「ヒーロー見参!」とデカデカとプリントされたダサTを勧めるが、当然「やややや!!ぜったいやっ!!」と全力拒否される。
■第29話
- にわか雨に降られたソラ。街外れの洋館で雨宿り。すると「こっち、こっちだニャ」という声が聞こえて玄関の扉が開いた。厚意に甘えて中に入ったものの、家の中はがらんとして人の気配がなく、1匹の薄汚れたネコのぬいぐるみが転がっているだけ。突如、雷鳴が響き、そのぬいぐるみは自力で立ち上がり、「連れてってニャ」とソラに話し掛けてきた。「(声にならない悲鳴)~~~ッ!!!喋った~~~!!!!」ソラは悲鳴と共に洋館から逃げ出す。
- 全力で虹ヶ丘家まで辿り着き、「さっきのは何だったんでしょう?」と荒い息をついていると、タオルを差し出したましろが「あれ?どうしたの、その子」と問う。一瞬硬直したソラが恐る恐る振り返って見ると、何と足元にさっきのぬいぐるみがいるではないか。「わ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーーーーーーッッ!!!!!ニャニャニャニャニャ…ニャんでいるんですかああああっっっ!!!!?」再び恐怖の絶叫を上げたソラは完全にパニック。
- ソラは確かに「連れてって」という声を聞いたが、どうやらその洋館は現在空き家らしい。となると、聞こえた声はやはりぬいぐるみが…?怯えきったソラが「あの洋館に返しに行きましょう!」と主張した時、再びぬいぐるみが動き出した。さらに室内の本が宙に浮き上がるポルターガイスト現象が発生!……と思いきや、本はぬいぐるみを取り囲むバリケードのような形になり、ぬいぐるみはその中に閉じこもってしまった。
- しかし物怖じしないエルちゃんが「にゃーにゃー、だいじょうぶだよ」と笑顔で声を掛ける。その姿に過去の懐かしい面影を見たぬいぐるみは警戒心を解いたらしく、本を元の場所に戻してエルちゃんに抱き着いた。あげは「エルちゃんに教えてもらっちゃったね、相手が誰でも同じように接するって事」「未熟でした、その通りです!『ヒーローは困っている人には誰にでも手を差し伸べる』なのに…ネコさん、あなたの気持ちをわかろうもとせず、帰らせようとしてしまいました。ごめんなさい!わたしで良ければ力になります!」
- ……のはいいが、汚れを取る為にぬいぐるみを手洗いする時は、目を瞑って「怖くない、怖くない!」と自分に言い聞かせながら手探りで洗う始末。一方、ぬいぐるみはすっかりエルちゃんに懐き、ポルターガイストでボールを宙に浮かせて球遊びをするなどして、ソラに「斬新な遊び方ですね…」と冷や汗をかかせたりしたが、とにかく持ち主を探そうという事で皆の意見は一致。寝る時もソラの枕元に置いて、「今日はエルちゃんと遊んでくれてありがとうございました」と一礼したものの、電気を消す時は少々引きつりながらも就寝の挨拶を言う。やっぱり怖い物は怖いのであった。
- 手がかりを求めて街に出た際、ショッピングモールでまだぬいぐるみに対して少々ビビっているソラは、ましろから「ぬいぐるみっていい物だよ。抱っこすると安心できるし」と諭される。実際エルちゃんはぬいぐるみを抱き締めながらすやすや眠っているが、幼い頃から修行や特訓に明け暮れていたソラには今一つわからない感情だった。さらにましろは「ぬいぐるみって、一番最初に出来る友達みたいなものだよ。わたしも大事にしてたよ」と言って微笑む。反芻するように「友達…」と呟くソラの中で、ぬいぐるみへの認識が少し変わってゆくが……。
- その時、ぬいぐるみが突如宙へ浮き上がってどこかへと飛んでゆき、ソラは慌てて後を追う。周囲は騒然とするも、ましろは「猫型のドローン」とごまかした。ぬいぐるみは小さい女の子と母親の後ろ姿を見て追いかけていたが、振り返った女の子の顔を見るや、力なく落下してしまい、ソラにキャッチされた。何か事情があるのだと察しはしたが、ぬいぐるみはあれ以来喋らず、その心の内はわからなかった。
- 昨夜と違って恐怖心はほぼ無くなり、ぬいぐるみを「ネコさん」と呼んで親しみを感じるようになっていたソラは、「今日は大丈夫でしたか?おやすみなさい」と声を掛け、一緒に眠りにつく。すると夢の中にぬいぐるみが現われ。「ソラ、今日はごめんニャ」と謝りながら、事情を語り出した。
- 今日、街中で女の子を追いかけたのは、元の持ち主に似ていたから。持ち主の女の子とは嬉しい時も悲しい時も一緒で、ずっと一緒にいられると思っていたのに、彼女が洋館から引っ越す時に、うっかり忘れられてしまったらしい。「それ以来一人ぼっちで淋しいニャ」ソラ「わたしが捜します!必ず見つけます!それでももし会えなかったら…その時は、わたしがネコさんとずっと一緒にいます!」「ずっとなんて無いニャ。それにこれ以上迷惑をかけられないニャ。ソラ、見つけてくれて、一緒に遊んでくれて嬉しかったニャ。ありがとニャ。でもやっぱりあの子のことを待つ事にする。さよニャら」ぬいぐるみは淋しげに別れを告げた。「待って!!」ソラが夢から覚めた時、枕元からぬいぐるみは消えていた…。
- 家中探しても、ぬいぐるみはどこにも見つからない。きっと元の場所に戻ったに違いないとソラ達は洋館へ急ぐが、そこへミノトンが立ち塞がり、勝負を挑んできた。洋館そのものをランボーグに変えられ、プリキュア達は異空間の中に吸い込まれてしまう。
- 勝負などより、ぬいぐるみが巻き込まれていないか心配するスカイだが、仲間と切り離されたところに甲冑騎士型ランボーグが襲い掛かってきた。激闘を繰り広げる中、空間の一部が開き、そこからぬいぐるみが「ソラ、こっちニャ!」と必死に呼ぶ。そのわずかな隙間に飛び込んだスカイはぬいぐるみの手を取って「ネコさん、ありがとうございます。一緒に行きましょう、もうさみしい思いはさせません!」と力強く声をかける。ぬいぐるみも笑顔で答え、二人は脱出を開始した。
- 巨大な箪笥型ランボーグに追われる仲間達とも合流し、スカイはぬいぐるみの指差す出口目指して一目散。ようやく脱出して、「外に出さえすればこっちのもの」と反撃を開始し、プリズムと息の合った連携でダメージを与えた後は、ウィングとバタフライがタイタニックレインボーで締めくくった。
- 「ネコさん、無事見つかって良かったです!」帰途に就こうとしたソラ達の前にタクシーが止まり、母親と女の子が降りてきた。「りほ、そんなに落ち込まないで。絶対あるから、ねっ?」母親の言葉が耳に入ったソラは、洋館に入って行こうとする二人を呼び止める。りほと呼ばれていた女の子は、ソラが抱いていたぬいぐるみを見るや、「マロン…!?」と驚いたように呟いた。このりほこそがぬいぐるみの、マロンの持ち主だったのだ。
- 母親は、マロンはりほのお気に入りだったのだが、引越しの時にうっかり忘れてしまい、なかなかこちらの方まで取りに来る事ができなかったという事情を語る。だが肝心のりほは、マロンを置き忘れた後ろめたさか、マロンが怒っていると思ったのか、強張った顔で俯いたまま。そこでソラが「マロンさん、大丈夫。大丈夫ですよ」と囁くと、その手を動かし「ずっと待ってたニャ」と代わりに思いを伝えてあげた。りほはたちまち顔をくしゃくしゃにしてマロンに泣き着いた「マロン!会いたかった!置いて行ってごめんね!これからはずーっと一緒だよ!」ソラはりほとマロンを愛おしげにそっと抱いていた。
- 笑顔で礼を言うりほ親子を見送るソラに、ましろが「ちょっと淋しい?」と尋ねるが、ソラは「大丈夫です!マロンさん、嬉しそうだったから」と答える。その耳に「ありがとニャ」というマロンの声が確かに聞こえた。ソラは瞳を潤ませかけるも、涙を流す事はなく、笑ってりほ達に手を振った。その手を下ろし、淋しげな笑みを浮かべたソラにましろがそっと肩を寄せる。「言わなくてもわかるよ」とばかりに微笑むましろ。ソラもうなずいて微笑み返した。真夏の怪談をもたらした『恐怖のぬいぐるみ』転じて『小さな友達』となったマロンに思いを馳せ、青空を見上げながらソラとましろは言葉を交わすのだった。「ぬいぐるみっていいですね」「ねっ…」
■第30話
- みんなで海水浴へ。海が初めてのソラは「テレビで見た事はあります!あれですよね?湖がちょっと大きくなったバージョンという感じの…」と海無し県民(海無し国民?)にありがちな想像をしていたが、いざ目の当たりにすると「…じゃない!広~っ!!」と案の定のリアクション。さらにツバサから地球の約7割は海と聞かされ、「7割って…それってこの世界の殆どが海って事ですか!?」と気が遠くなる有り様。
- ましろから「早く泳ごうよ」と促され、仲良く手を繋いで波打ち際まで駆けてゆく。ソラとましろの水着はブルーとピンクの色違いながら同じデザインのお揃いとあって、pixiv絵師も大歓喜。
- ところが、はりきって潜ったはいいものの、砂浜に打ち上げられ、「海…無理です」とぐったり。まさかのカナヅチなのであった。ソラ曰く「スカイランドの湖では、ガッツとハートで乗り切ってきました」との事だが、何と息を止めたまま水底を歩くという荒業だった模様。脳筋の発想ってすごい。
- しかしそこで挫ける事無く、すっくと立ち上がって「一刻も早く克服しなければ!地上の殆どが海なのに、今まで戦いの場にならなかったのは、ただラッキーが続いていただけです!ヒーローたるもの泳げなければなりません!皆さん、わたしに泳ぎ方を教えてください!!」と鼻息も荒く決意表明。
- プニバード式泳法のツバサと、幼児向け初級レッスンのあげはのやり方はあまり参考にならず。次に名乗りをあげたましろは意外にも泳ぎが得意(水泳8級)だったので教わる事に。しかし「力を抜いて浮く」と言われても、いつもの習慣で力が入り過ぎて四苦八苦するばかりなので、とりあえず海を楽しもうと方針変更。シュノーケルをつけて綺麗な海中を眺めたり、浮き輪を使ったりしてエンジョイする。スイカ割りでは、スイカの気配を感じ取って割るという離れ業で本領発揮。
- その後もかき氷、ビーチバレー、砂遊び等のレジャーを満喫していたところ、ふと「ムードに完全に流されていましたが…泳ぎの練習をすっかり忘れていました!」と気付いて大慌て。だがましろは落ち着き払って「大丈夫だよ、泳げると思う」とにっこり。「でも遊んでいただけですよ!?」「だからだよ。ソラちゃん、力が入り過ぎてたから。越えなければならない壁とかじゃないんだよ。海…楽しかったでしょ?だったらもう大丈夫」
- そこへミノトン登場。浮き輪型ランボーグの動きを封じるべく、スカイは空気を抜こうとするも、逆に海中へ引きずり込まれてしまう。そのまま水底へと沈んでゆくかと思われたが、「力を抜いてふわり~って」「空に浮いてるような感じで」と、泳ぐ練習をしていた時のましろの声が脳裏に聞こえ、気がついた時、スカイの体は自然と浮いていた。海を楽しみ、恐怖心と苦手意識を払拭した事で、余計な力が抜けて浮くようになったのだ。スカイは雄叫びを上げながら、見事なクロールで仲間達の元へ駆け付け、ランボーグを浄化する。「みんなが海の素晴らしさを教えてくれたから!みんなとのチームの輪のお陰です!チームの輪があれば、もう浮き輪は必要ありません!」
■第31話
- エルちゃんが、ましろのスケッチブックに落書きしてしまい、「めっ!ですよ」とソラが叱る。ましろは「手が届く所に置きっ放しにしたわたしが悪いんだし」とかばうが、「駄目です。ここでちゃんと言っておかないとエルちゃんの為になりません」と、甘やかした結果、わんぱくに育ってしまった弟レッドを引き合いに出し、「ですからエルちゃん、もうましろさんの絵に勝手に触ってはいけませんよ。約束しましょう」と指切りしようとした。しかしエルちゃんは指を差し出すどころか、そっぽを向いて「そら、きらい」と言う始末で、ソラは大ショック。
- あげはの分析では、エルちゃんは「プチいやいや期」らしく、あげはの説得にもむくれて耳を貸さない。そこでヨヨが持ってきたソラシド写真館のチラシの、可愛い子供用レンタル衣装にエルちゃんが興味を示したので、ご機嫌を直してもらうために写真館へ。
- 衣装の見本画像を探すと、何やら見覚えのある服が。店員「こちら、当館オリジナルのお衣装となります。街で噂の謎のヒーロー、その名は…」エルちゃん「ぷりきゅあ!」正体不明のヒーローのコスチュームを勝手に『当館オリジナル』として衣装化する素晴らしい商魂。
- 続いて店員が「どのプリキュアが一番好き?」と訊き、ソラ・ましろ・ツバサ・あげはの間に緊張が走る。固唾を呑む4人を弄ぶかのごとく、しばらく考え込んで引っ張ったエルちゃんは「みんなすき~!」と大人の回答をして、一同をほっとさせた。その後は、「無限に広がる青い空!」「きゅあすかい!」等々、それぞれのコスチュームを着て4人と撮影。
- 帰り道、はしゃぎ疲れて眠り込んだエルちゃんは、寝言で「そら、だいすき」と呟き、ソラも「わたしも大好きですよ、エルちゃん」と、そっとエルちゃんの小さな手を握るが、感傷的な気分になった。「いつの日かアンダーグ帝国との戦いが終わって、世界に平和が訪れて、もうプリキュアが要らなくなった時…エルちゃんはスカイランドに帰って、わたし達のプリンセスからみんなのプリンセスになる…それがエルちゃんの為です。……なのに、エルちゃんが大きくなるのを隣でずっと見ていたい。今、そう思ってしまいました…未熟です!」「いつか離れ離れになる日が来る。でもそれは今日じゃないよ」とましろに慰められ、ツバサにも「その日が来るまでボク達のプリンセスを…エルちゃんを一緒に守っていきましょう!」と励まされて、気分を取り直したソラだったが…。
- あげはが突然急ブレーキをかけた。道路の真ん中に黒いフードの男が立っていたからだが、停止した時にはその姿は消えていた。ところが気が付くと、男は車の後ろに立っているではないか。危険を察知したあげはは急発進で逃げ出す。「アンダーグ帝国の新たな敵なら戦いましょう!」とツバサが主張したが、「ただの敵ではありません。あの目…戦いの前に付き物の、昂りも緊張も、怒りも憎しみも、何もありませんでした…あんなに冷たい目、見た事がありません…!」と説明するソラの手は、震えが止まらなかった。今まで感じた事のない恐怖。恐るべき強敵が現われたのだ。
- その敵は追跡の手を緩めず、いつの間にか走る車の天井に飛び乗っていた。あげはは更にスピードを上げて振り落とそうとしたが、男が「開け」と唱えると、前方にポータルが開いて車ごと呑み込む。次の瞬間、車は走っていた道路から霧に包まれた見も知らぬどこかの山奥らしき場所に転送されていた。一同が狼狽する中、ソラが悲鳴を上げる。隣のチャイルドシートが空っぽ。エルちゃんが何処にもいない…!
- 車外に出たソラ達が見たものは、黒い球体に閉じ込められ、助けを求めて泣き叫ぶエルちゃんの姿だった。球体はそのまま宙に開いたポータルの中に吸い込まれて消えてしまい、愕然となる4人の前に黒いフードの男が現われる。変身し、「エルちゃんを返しなさい!」「答えろ、プリンセスはどこだ!」と詰め寄るプリキュア達に対し、男は「アンダーグ帝国に送った」と冷たく答え、フードを脱ぎ捨てて名乗った。「私の名はスキアヘッド。帝国の支配者カイゼリン・アンダーグ様の命により、プリンセス・エルを頂いた。」遂に明らかになった敵首領の名前。アンダーグ帝国が、エルちゃん奪取の為に本腰を上げたのだ。
- 「私はプリンセスを連れてくる様にとしか命じられていない。今日の所は此処で帰ろう。カイゼリン様のお気持ちが変わらなければ、お前達は助かるかも知れない。」そう素っ気なく言い捨てて、スキアヘッドは立ち去ろうとする。プリキュアなど眼中にはなく、いつでも倒せるという余裕の態度だった。だが、その背中をスカイが急襲したのを皮切りに、ウィング・プリズム・バタフライが猛攻を仕掛ける。その怒涛のラッシュすらも、ポータルで瞬間移動を繰り返しながらかわし、手傷一つ負わず無表情なままのスキアヘッド。それでもスカイは怒りの拳を握り締めながら彼を睨みつける。「返しなさい!!…わたし達のエルちゃんを…!!」そして4人は雄叫びを上げながら飛び掛かった。「返せーーー!!!!!」
- しかし「守れ」と唱えれば瞬時にバリアが発生し、「弾けろ」と唱えばそれが爆裂して大ダメージを与える有り様で、スキアヘッドにはまるで歯が立たず、プリキュア達は倒れた。「無いのだ。プリンセスを助ける手はもう。既に全ては終わっているのだ」無機質に言い放つスキアヘッド。その時、スカイの脳裏には先刻の「だいすき…」というエルちゃんの声が聞こえた。いつか離れ離れになる日が来るとしても、それは今日ではなく、こんな形であってはならない。負けられない、負けてたまるか…!
- 死力を振り絞って立とうとするもダメージは大きく、倒れそうになった時、その手をしっかとプリズムが握った。自分も満身創痍でありながら「絶対に…取り戻す!」と歯を食いしばるプリズムに引っ張られ、スカイは立ち上がる。ウィングとバタフライも同じ。皆がエルちゃんの名を呼びながら、不屈の闘志を燃やしていた。そんなプリキュア達にスキアヘッドが無慈悲なとどめの一撃を放とうとした時…。
- 暗い空に光が溢れ、一人の少女が舞い降りてきた。スキアヘッドはそれを予測していたかのように「来たか…消し飛ばせ」と闇のエネルギー波を放つが、少女が「ひろがるチェンジ…」と呟くやエネルギー波は掻き消え、同時に彼女も戦士の姿に変わっていた。「まさか…」「新しいプリキュア!?」驚く一同が見守る中、その謎のプリキュアはスキアヘッドに突撃。光と闇の力が拮抗した。「問おう、汝の名は───?」「キュアマジェスティ…」
- キュアマジェスティの光の力が、スキアヘッドの闇を打ち消す。スキアヘッドは冷徹な無表情を崩さぬまま、「キュアマジェスティ───その名前、知識の宮殿に記録しておこう…。」と言い残して退却。そしてまばゆい光が収まった後、キュアマジェスティの姿も消えていた。危機が去り、呆然と立ち尽くす一同の耳に、「ぷりずむ!」という声が聞こえる。エルちゃんだった。いかな手段によるものか、アンダーグ帝国から逃げ出してきたらしい。
- 涙ながらに駆け寄り、エルちゃんを抱き締めるソラ・ツバサ・あげは。ましろはへたりこんで「エルちゃん…怖かったよね。ごめんね…ごめんね…守ってあげられなくてごめんね…」と泣きじゃくるが、エルちゃんがその頭を撫でて「なかないで、ましろ」と慰めてくれた。「もう絶対に離さないからね!!」ぎゅっとエルちゃんを抱き締めるましろを見つめながら、ソラは心の中で決意を固めていた。「新たな敵スキアヘッド そして帝国の支配者カイゼリン・アンダーグ エルちゃんを守る為にわたし達は、もっと強くならなくては───!!」
■第32話
- ご機嫌で朝ごはんのエルちゃんとは対照的に、強敵スキアヘッドの出現で悩むソラ達は深刻な顔。気を取り直してキュアマジェスティの話になったところ、エルちゃんが「える!」と手を上げた。あげはが「キュマジェスティの正体知ってたりして」と冗談を言うと、生真面目なソラは真に受けて「えっ!?教えてください!」と詰め寄るが、何とエルちゃんは本当に「えるだよ!える、きゅあまじぇすてぃなの!」と、豪快に正体をぶちかます。
- とは言え、『運命の子』であるエルちゃんなら有り得る話と納得する一同。試しに変身できないかお願いされたエルちゃんはスプーンを高々と掲げ、「ひ~お~が~る~!ちぇーんじ!」とポーズを取ってみたものの、何も起こらず。さすがにスプーンで変身は無理だった。
- その後もいろいろやってみたけど駄目だったらしく、「先輩プリキュアのソラちゃんを見学してみようって」とあげはに言われ、「せ…せんぱひ…!」と『先輩』扱いに感激。「気合を入れていきますよ~!タァーッ!ソラララ…アタァーッ!!!」と、超速の突きの連打を披露するが、さすがにこれもエルちゃんには早かった。
- そんな中、街でミノトンが暴れ回る。彼の体は巨大化し、理性を失った怪物と化していた。エルちゃんを捕える任務そっちのけでプリキュアとの勝負に執着するミノトンに業を煮やしたカイゼリンが、スキアヘッドに命じてアンダーグエナジーを注ぎ込ませたのだ。「シャララ隊長に使ったのと同じ手を…!許せません!」ソラスキアヘッドは「最早我等はプリンセスを連れ去る事に拘わってはいない。ここで貴様等諸共消えて貰う」と、淡々と目的が抹殺に変わった事を明かす。しかしアンダーグ帝国がどう出ようとも、エルちゃんを守る事は変わらないソラ達は変身して戦闘開始。
- ヒーローガールスカイパンチを放つもミノトンには堪えられた上に、捕まってしまったスカイ。エルちゃんはべそをかきながら「ひおがるちぇんじ!ひおがるちぇんじ!える…へんちん…つよいの…」と必死で変身しようとするが、やはり何も起こらない。スカイはウィングに助けられて難を逃れたものの、ミノトンは闇の気を溜める構えからエネルギー砲を発射。バタフライがバリアで防ぎ、スカイ・プリズム・ウィングも加勢。「エルちゃんは!!」「プリンセスは!!」「わたし達が!!!」「絶対に!!!」「守る!!!!」全身全霊でエネルギー砲を跳ね返した。
- しかし4人の体力はもはや限界。ミノトンは「もう力は残っていまい!」と、とどめを刺すべく2発目を放とうとする。「そら…ましろ…つばさ…あげは…いや!いや、いや!」自分の為にみんなが倒されそうになる事に耐えられず、エルちゃんはミノトンの前に飛び出してプリキュア達を庇った。「だめ~!みんなだいじ!だいすき!えるも…まもる!!」
- 今まで守られてきた分、今度は自分がみんなを守らねば。そう願うエルちゃんの心からミラージュペンとスカイトーンが生まれた。そして彼女の体は急成長し、キュアマジェスティに変身する。マジェスティは華麗な動きと意外なまでのパワーでミノトンを圧倒し、スカイにバトンタッチ。アップドラフト・シャイニングで浄化されたミノトンだったが、スキアヘッドに回収されて姿を消した。
- 戦いが終わった途端、エルちゃんは糸が切れたように赤ん坊の姿に戻って眠った。帰り道、あげはが「みんな、どう思う?心配は心配だけど、これからはわたし達の目の届く所で一緒に戦った方がいい気がするな」と提案してきた。ツバサは同意し、ソラも「はい!最強のエルちゃんを守る為、わたし達はもっともっと強くなるだけです!」と新たな仲間の加入を喜ぶと共に、使命感を燃やして拳を突き上げた。だがソラは気付いていなかった。ましろだけが一人浮かぬ顔で「うん…」と曖昧な返事をしていた事を……。
■第33話
- スカイランドの湖の底から遺跡が出現したとヨヨから連絡を受け、スカイランドへ。『運命の子』であるエルちゃんを自然と導くような遺跡の中へ一同は進んでゆくが、ましろだけはエルちゃんを連れてゆく事に反対したり、どうも様子がおかしい。
- 遺跡の最深部の部屋で、究極の力を秘めた本・マジェスティクルニクルンを発見したところで、ミノトンが乱入してきた。前回同様、理性を失ったままの彼に、ソラは「アンダーグ・エナジーなんかに負けてはいけません!貴方は武人でしょう!」訴えかけける。『武人』という言葉に反応したミノトンは一瞬躊躇い、理性と命令の間で苦しむ姿を見せたが、すぐに暴れ出す。元に戻すにはもう戦う他ない。ソラ達は変身して戦闘開始。
- ミノトン「決着をつけてやる!」スカイ「いいでしょう!でもそれは…貴方からアンダーグ・エナジーを追い出した後の話です!!」しかし追い出すどころか、ミノトンはアンダーグ・エナジーを濃縮した強化ドリンクを飲んでパワーアップし、猛攻を加えてきた。
- マジェスティが「クルニクルン、わたし達に究極の力を!」と訴えかけ、一同はクルニクルンに手をかざすが、何も起こらない。クルニクルンが示した通り、『プリキュアの心を一つに』したはずなのに何故…?その時プリズムが叫んだ。「わたしのせいだ!!エルちゃんを戦いに巻き込みたくないって思ってるから…だからクルニクルンの力が目覚めないんだよ!」プリズム=ましろは、エルちゃんがマジェスティに変身して以来、彼女を戦わせる事に疑念を感じ、もしも危険な目に遭ったり怪我をしたらと不安で仕方なかった。その迷いがクルニクルンの目覚めを妨げていたのだった。
- 容赦なく撃ち出されたミノトンのエネルギー波をマジェスティが防ぎ、スカイ達も力を合わせてバリアを保つ。「エルちゃん、ごめんね。わたしが守ってあげなくちゃいけないのに…」自分を責めるプリズムを、スカイは励ました。「ましろさん、エルちゃんの気持ちを信じてあげて下さい!エルちゃんだってわたし達が心配で、わたし達を守りたいんです!わたしにはわかります…だって、あの時と同じだから!」
- あの時……ましろがプリズムになったはいいが、初めて出来た友達に何かあったらと不安に襲われ、「ましろさんが傷つくなんて嫌だ」と泣きながら訴えたあの日……「あの時、ましろさんはわたしに言ってくれました!」その後をマジェスティが引き継いだ。「───ましろ…あなたが心配だよ、助けたいよ。気持ちは同じ。それって一緒に戦う理由にならないかな?」その場面に居合わせて、ましろの決意を聞いていたエルちゃん。ずっと気持ちは同じだった。キュアマジェスティとなった今、自分もみんなを守りたいという彼女の思いを信じなくては…。プリズムの迷いと不安は霧散し、心を一つにした5人は、新必殺技プリキュア・マジェスティックハレーションでミノトンを浄化する。
- 元に戻ったミノトンは潔く敗けを認めてスカイと握手を交わし、「我に武人の心を取り戻してくれたこの恩、何時か返す。また会おう、好敵手達!」と去って行った。いや、恩を返すならせめてアンダーグ帝国の情報をと思い、「きっと武人には武人のやり方があるのでしょう」と苦笑するも、スカイの心は晴れ晴れとしていた。ミノトンが武人の心を取り戻した事と、新たな絆で結ばれて「プリズム、大好きよ」「わたしもだよ、マジェスティ」と笑い合うマジェスティとプリズムの姿を見ただけで、十分な収穫だった。
- 放映3日後の9月20日は誕生日。本編終了後エンドカードでは3日早く、そして当日はpixiv絵師からも多数のお祝いイラストが。
■第34話
- 図書館で創作絵本の読み聞かせ会を行うも、男の子の兄弟に「つまんない」と言われて落ち込むましろ。そこに美大生を名乗る青年・紋田近づいてくる。実はバッタモンダーの変身した姿で、彼はプリキュアへの復讐の為、アドバイスを送るふりをして酷評し、嫌がらせをしようという目論みだった。ところが話の途中でソラが割り込んできた。
- 正体に気付かず、無邪気に「わたしにも絵を見せてください!」とぐいぐい来るソラに対し、バッタモンダーは先刻ましろを騙したように、ネットで適当に拾ったスマホの画像を自分の作品だと説明しようとする。それより早くソラは、バッタモンダーが美大生を装うために携えていただけで、何も描かれていないキャンバスを手に取り…「これですね?おぉ、真っ白ですね!う~ん、全然わかりません…」「当たり前だ、何も描いてないんだから!」と内心で焦りまくるバッタモンダーを余所に"芸術"とにらめっこ。
- ソラは「みんなにも見てもらいましょう!」とツバサとあげはを呼び寄せ、バッタモンダーは「プリキュア全員集合!もし俺の正体がバレようものなら…!」と生きた心地もしない。さらにエルちゃんが、バッタモンダーの肩にとまっていた本物のバッタを見て、「ばった!」と声を上げ、ソラが「みんなで捕まえましょう!」と言い出したので、正体が完全に露見したと思い込んだバッタモンダーが絶望(笑)しかけた時…。
- 一陣の風と共にスキアヘッドが出現し、新怪物キョーボーグを召喚する。しかしその戦いの中、「いつも通り戦うだけです。相手がどんなに強くても関係ありません!」というスカイの力強い叫びを聞いたプリズム=ましろは、バッタモンダーの偽アドバイスの中の『覚悟』という言葉と併せて、「他人がどう思おうと自分は絵を描くのが好き。絵本作家になりたい」という目標を手に入れる。バッタモンダーの奸計は、敵に塩を送る形になって失敗したのだった。
■第35話
- 昼休みにも、様々な運動部から勧誘されるソラ。ましろが「ターイム!」、あさひ・つむぎ・るい達が「食事が終わってから」と待ったをかけてくれた。そこで部活に入らない理由を聞かれ、「スポーツは好きですが、わたしが目指しているのはヒーローなので!」と揺るがぬ姿勢を見せていたところ、今度は女子野球部が、入部ではなく特別コーチを依頼してきた。
- 並々ならぬ熱意を感じて、野球部部長の扇かなめの話を聞くと、エースの四宮たまきが肘を痛め、大会まで休養する為、「運動神経抜群のソラさん相手に練習すれば、私達はもっと強くなれる」と考えてコーチを依頼したのだという。「頑張る人の背中を支える、それがヒーロー!」快諾するソラだったが、彼女が野球など知る由もなく「ところで野球ってどんなスポーツですか?」と案の定のオチがつく。ましろが「教えてもらえば大丈夫ですから!」と慌ててフォロー。
- その言葉通り、投げればキャッチャーのかなめに尻餅をつかせ、打てば打球が空の彼方に消え、守ればサッカー用ゴールポストを駆け上り、大ジャンプでキャッチするという無双ぶり。唖然となった部員が「女子野球部に入ってもらえないかな」と口にするが、たまきは「ソラさんは凄いけど、鍛えてもらえば私達はもっと強くなる。このメンバーで優勝しよう!」と部員達を鼓舞。一同もそれに賛同して意気を上げ、その姿にソラはますます野球部に好感を持つ。「たまきさんも皆さんも格好良いです!」
- たまきは、肘の故障が判明して部員達が意気消沈した時も、頭を下げて詫びながらも「みんながもっと強くなれるように私も考えるから」と告げており、ソラに特別コーチを依頼する事を思いついたのだという。「連続優勝するって決めたからには、絶対に諦めたくなかったの。だって、勝つために努力するのがエースだから!」との彼女の言葉に、感銘を受けるソラ。帰り道に「たまきさんを見ていて思ったんです。野球のエースはチームを守るヒーローなのかもしれないって」とましろに言い、「確かにそうかも!だからなのかな、ソラちゃんとたまきさんって、少し似てるよね」と褒められて照れ笑いしつつ、「いつかたまきさんと野球してみたい」と願うソラだったが……。
- そのたまきの肘の症状は思っていた以上に悪く、医者から手術を宣告される。手術を受ければ大会には出られない。「大会が終わったら手術を受けますから、投げさせてください!」と必死で懇願するたまきだったが、「これからも野球を続けるのなら治すべき」と諭すかなめや、「たまきの分も頑張って絶対優勝する」と奮起した部員達の姿を見て引き下がった。
- しかし試合当日、同刻に手術を受けるはずだったたまきが病院から姿を消した。皆で手分けして探す中、ソラは学校のグラウンドに佇むたまきを見つける。「エース失格だよね、私。大会には出られないし、病院からは逃げ出すし…」自嘲する彼女を、ソラは励ますがたまきのその励ましの言葉を遮り、悲痛な胸の内を吐露する。「ソラさんには解らないよ!!野球が好きで、野球ばっかやってきたの!!なのに、肘は手術しなきゃだし、私のせいでチームが負けちゃうかもしれないんだよ!皆はグラウンドにいるのに、私は一人で病院に居て…こんな気持ち解るわけない…!!!」泣き崩れるたまきは、自責の念と絶望に押し潰されかけていた。
- そこにスキアヘッドが現われ、キョーボーグを召喚する。巨大な怪物を前に怯えるたまき。ソラは彼女を守るべく、両手を広げてキョーボーグの前に立ちはだかる。「ソ、ソラさん!?逃げないと!」「わかります…一人ぼっちで戦う気持ち……ヒーローの出番です!」ソラは迷いなくたまきの目の前でキュアスカイに変身する。
- たまき「聞いた事がある…怪物と戦うヒーローの噂……ソラさんがそのプリキュア…!」スカイはたまきをキョーボーグの攻撃から守りながら戦う。たった一人では無茶、逃げた方がいいと勧める彼女に、スカイは優しく語りかける。「昔、こう思っていたんです。『一人ぼっちを恐れない──それがヒーロー』……でも、そうじゃないんだよって教えてくれた人がいて、そのお陰でわたしはもっとヒーローに近づけたと思っているんです」
- 「かなめ先輩から聞きました。エースはチームの勝利を背負って、たった一人でマウンドに立つんだって。でも一人で何もかも背負わないでください。わたしもたまきさんも一人じゃない!」その言葉が聞こえたかのように、プリズム達が駆け付けた。
- その頃球場では、急造ピッチャーとしてマウンドに立つかなめが、たまきの代役として投げる事に不安を感じながらも、彼女の思いも背負って試合に勝利する覚悟を決めていた。そしてスカイも皆と息の合った攻撃を加えつつ、プリズムから受け取った光球を、足を高々と上げたダイナミックなフォームでキョーボーグに投げつけてダウンさせ、プリキュア・マジェスティックハレーションで浄化する。
- 病院に戻る途中、先刻は酷い事を言ってしまったと謝るたまきに、冷や汗を流しつつ今更ながらにプリキュアに変身した事の口止めを頼み込むソラだったが、彼女は「大丈夫、あれは私とソラさんだけの秘密ね。その代わり、私が泣いてた事も秘密だよ」と笑い飛ばしてくれた。そして病院の前ではたまきや部員達が待っていた。
- 「心配かけてごめんなさい!」かなめの胸に飛び込むたまきに、「第一試合、勝ったよ」とかなめは勝利の報告をする。「今度は私の番ですね!」ともう手術から逃げない覚悟を決めたたまきを、ソラは『たまきさんはひとりじゃない!』という横断幕を掲げ、「応援してます!頑張って、たまきさん!!」と激励。たまき「ソラさん…ありがとう!ソラさんは私のヒーローだよ!」かなめ「『私と女子野球部の』でしょ。本当にありがとう、ソラさん!」そして部員達もみんな笑顔になる。そして後日、手術が成功して懸命に応援するたまきやソラ達に応え、野球部は見事優勝を果たすのだった。
■第36話
- 食欲旺盛なあげはを見て、「ご飯をしっかり食べる、それがヒーローです!」と言ったり、あげはが常々口にする『最強の保育士』について、「強い先生って事です?」と字面通りに解釈して拳を突きだすなど、脳筋的セリフが増える。
- あげはとツバサが先に戦っていた保育園にましろ、エルちゃんと共に遅れて駆け付けるも、なんとエルちゃんが3人の真ん中で「いくよ!」と号令をかけ、ソラ&ましろは「はい!」「うん!」と従っていた。スカイランドでは立場が上だからねえ。
- 例によって冷たい目で無表情なスキアヘッドに、「一体何を考えているのか…」と不安な物を感じながらも、頭を振って恐怖を跳ねのけ、「とにかく今はキョーボーグに集中です!」と先陣を切って行く。スキアヘッドの考えが明らかになるのは、おそらくもう少し後であろうが…。
■第37話
- ましろの小さい頃のアルバムをみんなで眺めていて、途中であげはが加わって写るようになったのに気付いたソラが、「二人はいつからこんなに仲良しに?」と尋ねたところ、二人とも記憶が曖昧だったので、そのルーツを探す旅行に出かける。
- 今回は説明係的役回り。「みんなでワクワクドキドキ、宝探しみたいに探して、大切な思い出がいっぱい出来ました!」と一言で今回の話を総括した後、みんなで記念撮影するも、シャッターの瞬間にチョウが顔に止まって大きなクシャミをかましてしまい、驚いた一同が変顔になった奇跡の1枚を残すというオチをつけた。
■第38話
- 浮き島を探索中、スカイランドの宿場町でハンモックとして使われていた『風揺りの木の葉』を発見し、試しに煽いでみたところ、かなりの強風が発生。作中では明言されていないが、風を発生させられる便利アイテムっぽい様子。「すみません!ちょっと持ってみただけなんですが…」と謝るも、疲れてバテていたましろが「でもちょっと疲れがとれたかも」と言うので、調子に乗ってもう一煽ぎすると、突風が発生してジャングルが掻き分けられ、浮き島中心部への道が開けた。
- 先刻から何者かの気配を感じていたところ、ましろが大きな足跡を発見。「何者です!?」とすかさず身構えるソラ。
■第39話
- ハロウィンの打ち合わせ中、子供にお菓子をあげる役割になるが、不意に唇を尖らせてもじもじしつつ、ましろの袖を引っ張って、「その…お菓子って、小さい子だけのもの…なんですよね?」と尋ねたところ、「ちゃんとソラちゃんやみんなの分も用意するよ!」との答えを得て、「ハロウィン、すっごく楽しみです!」と両手を突き上げて満面の笑顔。
- しかし街では、「プリキュアの仲間」を自称するキュアパンプキンなる怪人が、お菓子を強奪して回っていた。その正体はバッタモンダーで、お菓子を手に入れつつプリキュアの信用も失墜させられる一石二鳥の作戦のつもりだったが、ソラ達が大量のお菓子を配り歩いたため存在感がなくなり、久々にアンダーグ・エナジーでランボーグを召喚しようとする。
- そこへスキアヘッドが現われ、気付かれたら始末されると青くなって隠れたバッタモンダーの代わりに、アンダーグ・エナジーでキョーボーグを生み出した。ソラに「キュアパンプキンという偽者を街に放ったのもあなたですか!?」と謂れのない濡れ衣を着せられても、素っ気なく「知らんな」とだけ答えて、戦闘が始まる。
- カボチャ型キョーボーグの攻撃に、スカイはなぜか焦ったように無策で突っ込んで行ってはたき落される。その動機は、彼女にしては不純なものだった。「言ってません…わたしまだ『トリック・オア・トリート』って言ってません!今日という日をすっごく楽しみにしてたんです!!」
- 「駄目でしょうか…」しかしジト目ですがるように皆に訴えると、幸いプリズム達は理解してくれて、反撃開始。「ハロウィンは特別な魔法の時間なんです!みんなの魔法の邪魔しないで下さい!」キョーボーグを一蹴した後、ヨヨにみんなで『トリック・オア・トリート』を言ってお菓子を貰った。
■第40話
- お気に入りの情報番組「生旅ヤッホー」が始まり、「今日は何の特集でしょう?」とワクワク。結婚式が取り上げられ、「きれいです!こちらの世界の結婚式は、こんなにキラキラでロマンチックなんですね!」と頬を染めて見入っていた。
- ちなみにスカイランドでは、結婚する二人が村中に聞こえるくらいの大きな声で『わたし達、結婚しまーす!!!!!!!!!!』と叫び、村人全員で一晩中ダンスでお祝いするとの事。
■第41話
- 『食欲の秋』について、あげはとヨヨから「秋は食べ物が美味しいから食欲アゲアゲって事」「涼しくて何をするにも快適だから、『スポーツの秋』や『芸術の秋』と言ったりもするわね」との説明を聞き、「それならわたしは修行の秋です!」と答えた。
- 絵本コンテストに再挑戦しようとするも、題材が決まらず苦悩するましろ。「力が入り過ぎですよ、ちょっと肩の力を抜いて…」と肩を揉もうとするが、肩凝りガチガチで「硬っ!全然ほぐせません」そこで気分転換のためにあげはと二人ががりでましろをズルズル引き摺りながら公園に連れてゆく。
- 公園でカラフルな落ち葉を見て、リラックスできたらしいましろの肩にそっと手を置き、「肩の力、抜けましたね」と微笑み合う。
- エルちゃんのために、落ち葉アートでツバサの姿を作り、「力作です!」と胸を張るも一瞬で風に吹き飛ばされてしまい凹む。
- 戦闘後、「何故貴方達アンダーグ帝国はこんな事をするんですか!?」とスキアヘッドに挑みかかるが、「愛するお方がそれを望んでいるからだ」という意外な言葉に戸惑う。その隙に闇のエネルギー弾を喰らいそうになり、間一髪ウィングに助けられたものの、スキアヘッドには逃げられ、「クッ…未熟!」と唇を噛みしめた。はたして彼の『愛するお方』とは…?
■第42話
- 先日の戦い以来、スキアヘッドの「愛するお方が望んでいるからだ」という言葉が頭から離れず、悩み続けていたソラ。そんな折、キラキラエナジーを発生させるツバサの研究をスカイランドに持ち帰るべく、シャララ隊長が訪れる。
- ツバサが資料を纏めるのに少々時間がかかるため、その間にあげはの発案で隊長を連れてソラシド市をミニ観光。あげはから服を借りた隊長の姿は、街の人々や視聴者の注目を集め、pixiv絵師も歓喜する艶やかなものだったが、「この服どうかな?」と尋ねられても、ソラは「えっ?あっ、と…とっても素敵です!」と笑って誤魔化すのが精一杯で、心ここにあらずの状態だった。
- ソラシドモールを案内すると、テンションの高低差はあれど「建物の中に市場?」「階段が動いている」「人形が喋るとは」と、以前の自分とほぼ同じリアクションをする隊長に苦笑い。
- 帰宅後ヒーロー手帳を広げ、以前隊長が口にしたのを書き留めた「君は君のヒーローを目指せ、大切な仲間と共に」という言葉をぼんやり眺めていたところ、隊長からトレーニングに誘われる。隊長はソラの挙動がおかしい事に気付いていた。「…で、何があった?隠しているつもりだろうが、真っ直ぐなヒーローは嘘が苦手なようだ」
- 隊長には全てお見通しとあって、ソラは正直に今の気持ちを打ち明ける。あの時自分は、スキアヘッドの口から出た「愛するお方」という思わぬ台詞にたじろぎ、攻撃の手を止めた。何ゆえ止めたのか、その答えが見つからない…。そうは言いながらも、ソラの中では覚悟が決まっていた。「わかっています、仲間に相談するべきだって。でも…今回はしません。一人で考えて、わたし一人で答えを見つけたいんです」
- そこへ、二人の会話を物陰でましろ・あげは・ツバサが、血相を変えて割り込んできた。「またですか!ボク達に相談してくださいよ!!一人で答えを見つけたいだなんて…ボク達仲間でしょ!?一人で抱え込むなんて、ただの我儘です!!」ツバサは以前、シャララボーグの一件の時に誰にも相談せずにソラが姿を消した時の憤りや悔しさ、自分らの無力さを忘れていなかったのだ。
- しかしソラは決然と答える。「我儘かも知れません。でも、今回は一人で考えないと駄目なんです。スキアヘッドに一歩踏み出せなかったわたしと向き合わないと───答えは出せないと思うんです!」何も考えられなくなり、絶望に屈して逃げ出したあの時とは違う。仲間を信じつつ、ソラは前向きに敢えて一人で答えを見い出そうとしていた。その姿を見てましろやあげはは応援する事に決め、ツバサも引き下がる。シャララ隊長も「きっと答えは見つかるさ」と激励して帰国の途に就いた。ソラの決意を見守るかのように、庭に咲いていた花はリンドウ。花言葉は「正義感」、「誠実」、そして「あなたの哀しみに寄り添う」…。
- しかしBパート開始早々、「見つかりませーん!答えがまるで!どうしたらいいんですかー!」と煩悶して大騒ぎ。
- 息抜きで出かけた街中で、スキアヘッドとばったり遭遇。まだ答えが出ておらず、動揺しつつ変身したスカイは戦いに集中できない。そんな彼女をキョーボーグの攻撃から守りながらウィングが言った。「話せばいいじゃないですか!そんなにスキアヘッドが気になるなら、話してみたらどうですか?」思いもよらぬ発想だったが、一筋の光明を見出したスカイは、キョーボーグをみんなが食い止めている間にスキアヘッドの元へと向かう。
- 「ずっと…考えていました。何故わたしに隙が生まれたのか…あの言葉を聞いたから…」「我等が戦う理由を聞いて怯んだと言うのか?今になって」「貴方も誰かの為に戦っている…わたし達と同じじゃないかって」「だったら何だ」「────だとしたらわたし達は戦わなくてもいいんじゃないかって!」「つくづく未熟。戦う相手を気に掛けるとは。」スカイの懸命の問い掛けにもスキアヘッドは耳を貸さず、お構いなしに攻撃を加える。
- 「この前と同じ。考え、悩む事で戦いに迷いを生む。見せてやろう、お前の迷いがこの街ごと吹き飛ばす」そう言うと、スキアヘッドは特大のアンダーグ・エナジーのエネルギー弾を生成し始めた。「あなたはどうして迷わないんですか?悩まないんですか?誰かの為に戦うあなたがどうして!?何故他人を傷つけられるのか、何故あなたがみんなを苦しめるのか、教えてください!」「お前が知る事は無い。ここで消えるのだから。戦う相手への興味、それ自体は否定しない。だがお前の興味は感情的。街は消える。全てはお前が引き起こした。己の未熟さを呪うが良い。」スキアヘッドはどこまでも冷徹なまま、エネルギー弾を放って街を消し去ろうとする。
- 「これが未熟と言うのなら…未熟でも構いません!未熟だから知りたいんです。未熟だから…立ち止まらず前に進まなければならないんです!!考えて悩む事が未熟だと言うならば、それでいい!それこそが…仲間と共にわたしが目指すヒーローです!!!」雄叫びと共に、渾身のヒーローガール・スカイパンチが炸裂。闇のエネルギー弾を打ち砕いた。
- 「何だこの力は…!?」驚くスキアヘッドに、スカイは訴えかける。「スキアヘッド、話をしましょう。」スキアヘッドは一瞬戸惑いの表情を見せたが、キョーボーグが落下してきた隙に逃げ去った。「スキアヘッドにも戦う理由があるのかも知れません。ですが、どうして誰かを傷つける事ができるのでしょう?簡単じゃないかもしれないですけど、もっと彼等の事を知ればきっと答えは見つかると思うんです」今日の戦いでは明確な答えは出なかった。しかし辛抱強く彼らの事を知り対話していけば、いつかお互いに理解ができて、戦いを終わらせる事ができるかもしれない…。
■第43話
- 食事中もシナリオを考えて上の空になるほど、絵本執筆に熱中するましろ。「そこまで絵本を描く事に集中してたなんて…!あっぱれです!」とソラは褒めるが、ましろは絵本コンテスト応募よりも、紋田のように苦しんでいる人を元気づけたいという思いが、執筆の原動力になっていた。
- 雨が降り出し、ましろの分の傘を持って公園に迎えに行くが、そこでソラが見たのは、ズタズタに破かれたスケッチブックを、雨に濡れたまま拾い集めるましろの姿だった。「ましろさん、大丈夫ですか!」と駆け寄ると、ましろは慟哭し、ソラはかける言葉もない。
- 帰宅して話を聞くと、実は紋田の正体はバッタモンダーで、ミラージュペンを奪われてしまったという。謝るましろを、ソラ達は「ましろのせいではない」と責める事なく、卑劣なバッタモンダーに怒りを露わにする。だが、当のましろはあまり怒る気にはなれず、「自分は何もできない落ち葉のよう」と己を卑下するバッタモンダーを憐れむ気持ちの方が大きかった。
- ソラは、バッタモンダーに踏みにじられて薄汚れたましろのスケッチブックを手に取り、呟いた。「何もできないって悩んでいる『おちばくん』は、ましろさんだったんですね」ましろはバッタモンダーを励ますつもりで『おちばくん』の物語を描いたが、そこには「特技も将来の夢も無い」と悩む自分自身の姿も投影されていたのだった。「バッタモンダーと話したい」と言うましろに、ソラ達は笑顔で大きくうなずく。
- スキアヘッドに最後通告を突きつけられ、追い詰められたバッタモンダーは、アンダーグ・エナジーを取り込んで強化怪人態と化す。しかしましろの「自分の価値は自分で決めるんだよ!」という叫びに胸を打たれ、プリズムシャインとマジェスティック・ハレーションで浄化された。
- 元の姿に戻ったバッタモンダーは、「まさか本当に助けるとは。お人好しもここまで来ると呆れるね。特にそこの…」とソラに視線を送る。「僕の事なんか、到底許せやしないだろうに」とは、もちろんシャララ隊長の一件。あんな非道い事をしたのであれば、その仕返しとして今回は逆に見殺しにされても文句は言えなかったであろうに、見殺しどころか、ソラはましろに協力して自分を救ってくれたのだ。
- 「反省しているんですよね?だったらこれ以上わたしから言う事は何もありません」ソラの答えは単純明快にして爽やかなものだった。バッタモンダーは素直に感謝しようとせず、「フン!」と鼻を鳴らして立ち上がったが、去り際にましろに「破って…ごめん」と謝罪の言葉を残した。そして後日、ましろの絵本『おちばくん』は、見事コンテストで大賞に輝いたのだった。
■第44話
- スカイランドから緊急呼び出しを受けたソラ達。東の草原に謎のトンネルが出現し、アリリ副隊長らが急行したが吹き飛ばされて気を失い、意識を取り戻した時は既にトンネルは消えていたのだという。何者かがスカイランドにやって来たのは確か。アンダーグ帝国ならば絶対街には入れさせぬと、ソラ達は乗用鳥に乗って現場へと向かう。
- 到着したが怪しい物の痕跡はなく、その代わりに一人の女性が崖縁に佇んでいた。「ここは危険ですよ!安全な場所へ行きましょう」と促すと、彼女は「安全な場所?そんなもの、もう何処にも在りはしない」と、不吉な事を口にした。そしてアンダーグ・エナジーが渦巻くや、彼女の服は戦闘装束に変わる。「私はカイゼリン・アンダーグ アンダーグ帝国の支配者」遂に敵の首魁が姿を現したのだ。
- 「プリンセス…300年待った。あの時の恨みを晴らさせて貰う!」エルちゃんへの憎悪を剥き出しにするカイゼリン。変身はしたものの、スカイは前々からの疑問をぶつけつつ、対話を試みようとした。「カイゼリン、教えてください!貴方達アンダーグ帝国は、どうしてエルちゃんとスカイランドを襲うんですか?300年前に何があったんです?話をしましょう、そうすれば戦うよりいい方法が見つかるかもしれません!」
- しかしカイゼリンは答えず、「この指を鳴らすとどうなると思う?数え切れない程のランボーグが、街の真ん中に現れる。街は一瞬で滅びる。お前達の愛する者達は皆─────」と脅しをかけた上に、「チャンスをやろう。お前達が使える最強の力で、今直ぐ私を止めてみせろ」と挑発する。否も応もなく、プリキュア達はマジェスティック・ハレーションを発動するが、カイゼリンが放ったアンダーグ・エナジーに跳ね返され、変身解除に追い込まれてしまう。
- カイゼリンはエルちゃんに歩み寄り、「プリンセス、全てお前が悪いのだ」とトドメを刺そうとする。だがエルちゃんが悲鳴を上げた瞬間、マジェスティクルニクルンが輝いたかと思うと、カイゼリンも含め、周りの全ての物が動かなくなっていた。時間が止まったのだ。狼狽しながらもエルちゃんは必死にソラをましろを揺り起こし、二人の時間停止は解除された。そしてクルニクルンが再び眩しく輝き、ソラが目を開けた時、草原にいたはずの3人は街の中に移動していた。スカイランドの城下町のようではあるが、何かがおかしい。
- そこへ走ってきた乗用鳥の馬車とエルちゃんがぶつかりそうになる。間一髪で馬車は停止し、中から一人の少女が降りてきた。彼女はスカイランドのプリンセス・エルレイン。彼女曰く、今はスカイランド暦556年だという。どうやら300年前の世界に来てしまったらしい。ソラは、マジェスティクルニクルンが、昔あった出来事を自分達に見せようとしているのだと推測する。
- 以前ヨヨから聞いた、『嵐の夜に闇の世界の魔物がスカイランドを襲い、姫の祈りに応えて勇敢な戦士プリキュアが現われ、危機を救った』という伝説を教えてみたが、エルレインは「素敵な物語」と言うだけで、それがおそらくこれからこの国に起こるはずと必死に訴えるソラとましろにも信じ難そうな表情。「信じて下さい!わたし達は未来のスカイランドから…!」と食い下がるも、「確かに先日、見た事もない魔物が街を襲ったが、皆の力を合わせて倒す事が出来た。それに人間がヒーローになるなんて…」とあくまでエルレインは懐疑的だった。
- ならば「証拠を見せます!」と、本日2度目の変身バンク(なおかつ冬服バージョン)でプリキュアになってみせようとしたが、なぜか変身できない。ましろもエルちゃんも同様に不発。そうこうしている間に日が暮れた。
- それでもエルレインはソラ達を歓待し、泊まる部屋を与えてくれた。未来のスカイランドはどんな所かと問う彼女に、活気もあるしみんな優しく勇敢で、多種族が仲良くしていると説明し、「プリキュアはそんな世界を、大切な物を守るための力なんです!」そう再び真剣に訴えると、ようやくエルレインの心が動いた。「貴方達が生きる未来のスカイランドの事、プリキュアの事、信じてみたくなりました」
- しかしその夜、無数のランボーグがスカイランド上空に出現。率いるのはアンダーグ帝国の支配者カイザー・アンダーグで、「弱き者が蠢くこの無価値な世界を踏み潰しに来た!」と暴れ回る。エルレインに避難を促されるが、ソラはエルちゃんをましろに託し、単身ランボーグの大群に挑む。逃げ遅れた子供を助け、「あなたの相手はわたしです!弱い者虐めをする卑怯者!」と啖呵を切るソラ。「プリキュアの力無しでは、ランボーグは浄化できません。…でも出来る事はある筈!」と持ち前のスピードと運動能力でランボーグを翻弄し、物干しロープを足に絡ませてダウンさせた。そして新たな悲鳴の方角へとひた走る。「立ち止まるな、ヒーローガール!」
- しかしスカイランド兵達が必死で抗戦し、苦労してランボーグ1体を倒しても、カイザーはいくらでも新たなランボーグを生み出して彼らを絶望させる。もはやソラも人々を逃がすのに精一杯で、ランボーグに包囲されピンチに。乗用鳥に乗って駆け付けたましろとエルレインに助けられ、辛うじて脱出する事が出来た。
- 逃げ延びた丘の上で、「もう終わりだ」と悲嘆に暮れる人々の姿に、ソラ達はプリキュアになれぬ己の無力さを噛み締めるしかない。エルレインも一筋の涙を流し、「大切な物を守る力…」と呟きながら、天に祈りを捧げ始めた。その姿を見たソラとましろは、はっとなる。
- 「スカイランドの姫は祈った。『ヒーローが現われて、青い空とみんなの笑顔を取り戻してくれますように』と…」「姫の祈りに答えるように、勇敢な戦士が現われた。その名は…」エルレインの体は不思議な輝きに包まれ、プリキュアへと変身を遂げていた。「伝説のプリキュアはプリンセスが呼び出したんじゃない────プリンセスが伝説のプリキュアだったんですね…」
- 彼女は自ら名乗った。「今日からわたくしはプリキュア───降り立つ気高き神秘、キュアノーブルです」その神々しき姿に、スカイランドの人々は跪いて敬意を示す。ソラ達は正に、伝説の始まりの瞬間に立ち会っていた。「これがプリキュアの誕生──マジェスティクルニクルン、次はわたし達に何を見せるつもりですか…?」
- 一方、スカイランドを蹂躙し満足して引き上げようとするカイザーの前にカイザーの娘・カイゼリンが現れる。「戦場には来るなと命じたはずだぞ!」と付き添ってきた教育係のスキアヘッド共々カイゼリンを責めるカイザーは、何か言いたげな娘を一顧だにしない。帝国に戻るようスキアヘッドに促された彼女の目に、荒廃したスカイランドの街並みが映る。「戦いが生むのは涙だけなのに…」と悲しげに呟くカイゼリン。冷酷無情なアンダーグ帝国の首領である彼女は、元来争いを好まない優しい少女で……。
■第45話
- 一方エルレインは、不良トリに絡まれていた所を助け出されたカイゼリンから「お父様を説得するから戦いを終わりにしてほしい」と申し入れられていた。現在のカイゼリンとはあまりにもイメージが違い、半信半疑のソラ達だったが、「わたくしは信じます。信じなくては何も始まりませんから」と迷いなく言いきるエルレインの姿に、「ならわたしは、カイゼリンを信じるエルレインさんを信じます!」と笑顔で答える。
- その夜、エルレインは娘の説得を受けたカイザーとの会談に臨むべく出かけたが、その隙にスキアヘッドが召喚したランボーグの大群が出現。カイザーは話し合う気などなく、スキアヘッドに街を襲うよう命じていたのだ。カイゼリンの想いを踏みにじるカイザーの所業に怒りを爆発させたエルレインはキュアノーブルに変身してカイザーとの激戦となる。ソラ・ましろ・エルちゃんも、変身できなくても攪乱戦法でランボーグ相手に奮闘していた。「プリンセス・エルレインが戻るまで…わたし達の出番です!」
- ノーブルの必殺技・マジックアワーズエンドが炸裂した時、間に割って入ったカイゼリンが身を挺して父を庇った。これにはさしものカイザーも落涙して戦いを止める。一度は罪悪感に苛まれてしまうが、それでも誰も恨もうとせず「お父様を許して」と訴える娘の姿に感銘したノーブルの助言により、カイザーはアンダーグ・エナジーを利用してカイゼリンの傷を塞ぐとソラ達が戦っていたランボーグも全て消滅した。
- 夜が明け始めた頃、カイザー父娘と共に街に帰ってきたエルレインはカイゼリンの優しさが自分とカイザーの目を覚まさせたと人々に告げた後、高らかに宣言する。「この夜と朝の間、美しい瞬間に!スカイランドとアンダーグ帝国は和平を結びます!」皆と一緒に拍手を贈るソラだったが、気が付くと現代に戻っていた。
- 周囲はまだ時間が止まったまま。カイゼリンは指を鳴らそうとしており、鳴らせば無数のランボーグが街に出現してしまう。だが時間が動き出した時、ましろが叫んだ。「夜と朝の間、美しい瞬間に!」カイゼリンの手は止まったが、「その言葉…!」と呟くその顔は一段と険しくなった。
- 「あなたはスカイランドとアンダーグ帝国の戦いを終わらせた!なのにどうして!?」「何があなたを変えてしまったんですか!?見て来たんです!マジェスティクルニクルンに導かれて300年前の事を…!出会ったんです!伝説のプリキュアを…!」必死に訴えるソラとましろに無言で対峙するカイゼリン。彼女の背後には、この場の誰にも見えていなかったであろうが、エルレインの魂が悲しげに佇んでいた…。
- 「街は後回しだ……今すぐその無駄話をやめて、私の前から消えろ!!!!」激昂したカイゼリンは先の物より巨大なアンダーグ・エナジーの球体を作り出す。プリキュアに変身した一同は、再度のマジェスティック・ハレーションで対抗。夜叉のごとき憤怒の表情で「何度やろうと同じだ!!」と叫ぶカイゼリンに訴える。「違います!!」プリズム「今ならわかるから!!!」マジェスティ「あなたとなら話し合えると!」カイゼリン「黙れ!!!」「黙りません!!!口を閉ざして心を閉じて!!!怒りに呑まれて戦って!!!!そんな…そんな戦いが生むのは、きっと涙だけだから!!!!!」
- 「知ったような事を!!!!!」ますます激するカイゼリンだったが、ここで300年前の傷が開き、力が一瞬弱まった。マジェスティック・ハレーションがアンダーグ・エナジーを打ち砕くも、救援に入ったスキアヘッドと共にカイゼリンは姿を消す。
- なぜ一度結ばれた和平が終わってしまったのか、大きな謎が残り釈然としない思いを抱えるスカイに、マジェスティが「まだ終わってないよ。次に話せばいい。それがダメだったら、またその次に」と微笑み、スカイも「はい!」と笑顔で応えた。カイゼリンの心に、300年前の平和を願う優しさがきっと残っていると信じて。
■第46話
- 帰省した実家にてヒーロー手帳を眺め、「随分沢山書いたなぁ」と感慨に耽るソラ。ヒーローの心構えや、楽しい思い出を書き連ねた手帳は、もう少しで終わりのところまで来ていた。勇んで向かってきたレッドが転びそうになるのを受け止め、「戦う気持ちばかりだと目の前が見えなくなるものなの」と窘めるソラの姿に、「すっかり本物のヒーローね」と父と母も目を細める。
- スカイランドの街は、アンダーグ帝国の侵攻に備えて避難してきた人々で溢れ、皆不安になって笑顔が消えていた。そこで元気づけようとスリクマスのパーティーを開く事に。ソラやツバサの両親も動員して宣伝や飾りつけに勤しむ中、「ソラには負けないぞ!」「わたしだって負けません!」と、風船の膨らませ合戦で張り合うソラとベリィベリーは、部屋を埋め尽くす風船を作った末に酸欠状態。
- シャララ隊長から極秘任務を頼まれ向かった先では、スカイランドのサンタにあたるターサンがいじわるトルネードに捕まって難儀していた。第24話に続いて、自然現象を相手にプリキュアに変身し、アップドラフト・シャイニングやマジェスティック・ハレーションの大盤振る舞いでいじわるトルネードの群れを浄化する。
- スカイランドの子供達に配られるスリクマスのプレゼントは、全てターサン夫妻が一年がかりで手作りしたものだという。「子供達が喜んでくれるなら、大変でも何でもない。その代わりにみんなの笑顔という素敵なプレゼントを貰っているから」とのターサン夫妻の言葉に感銘を受けると共に、「わたし達も同じです。争いを全部終わらせて、みんなを笑顔にしたい!」とソラ達は決意を新たにする。
- スリクマスパーティーは成功、ターサンと一緒にプレゼンも配り、スカイランド中に笑顔を取り戻したプリキュア達。夜も更けて二人きりになったソラとましろは、「これ、プレゼントです!/ だよ!」と、ほぼ同時にプレゼントを取り出して、お互いに驚き、顔を見合わせる。
- しかも中身は全く同じPretty Holicの手帳。ソラはましろにヒーロー手帳を買ってもらったお返しとして、ましろはソラのヒーロー手帳がもうすぐなくなりそうなのを知っていて、それぞれクリスマスに渡そうと準備していたのだった。「ましろさん…この世界を守りたいです」「一緒に頑張ろう。メリー『クリスマス』ソラちゃん」「メリー『スリクマス』ましろさん」
- そこに不思議な光を纏った少女が現われた。その姿は成長したエルちゃん…?
■第47話
- 謎の光を目撃したソラ達が、エルちゃんに何かあったのではとスカイランド城に駆け付けると、そこにいたのは、成長した姿になったエルちゃんだった。更に一番星が輝きながら降りてきて、エルレインが姿を現した。彼女がエルちゃんにパワーを渡した事で、急成長したらしい。驚きながらもソラ達は、300年前に結ばれた和平がなぜ破棄されてしまったのか尋ねるが、あいにく彼女もソラ達が見た以上の事は知らないと言う。
- しばらくは友好が続いていたのに、アンダーグ帝国はなぜか突然スカイランドとの交流を絶ってしまった。カイゼリンとカイザーの消息もわからず、悪い予感がしたが、そのまま年月が過ぎていった。老い先がわずかとなったエルレインは最後の力を振り絞り、何かが起こった時のために自分のパワーを本の形にして残した。それがマジェスティクルニクルンである。そして自分の意思を継ぐヒーロー達がマジェスティクルニクルンを受け取ってくれる事を信じつつ、命尽きたエルレインの魂は天に上り、一番星となってスカイランドを見守っていたのだった。
- 成長したエルちゃんの姿に微笑みながら、しかしどこか淋しげなエルレインは話を続ける。1年前、アンダーグ・エナジーの急激な高まりを感じ、危険が迫っていると察した彼女は、300年間かけて少しずつ貯めたパワーを使い、赤ん坊=エルちゃんを誕生させて国王夫妻に届けた。「そして…先程貴女に贈ったのが最後のパワーです」
- "運命の子"たるエルちゃんに全てを託した今、彼女の役目は終わり、漸く天に帰る時が来たのだ。「淋しいよ、大きなプリンセス」「わたくしもです、小さなプリンセス」エルちゃんと抱擁を交わしながらも、エルレインの姿は光り輝きながら薄らいでゆく。「この子を守ってくれて本当にありがとう。辛い事や苦しい事がたくさんありましたね」礼と詫びを述べる彼女に「楽しい事もいっぱいありましたから!」「エルちゃんと会わせてくれてありがとう!」感謝で答えるソラとましろ。「人も鳥も竜も、手を取り合って一緒に暮らす素敵な世界────ずっと、ずっと続きますように…。」祈りを残してエルレインは消えていった。
- 夜が明け、一人日課の鍛錬に励みながら、ソラは考えていた。「全ての出会いは運命。意味の無いものなんて一つもありませんでした。だからカイゼリンとの出会いだって、きっと…」しかしその頃アンダーグ帝国では、キュアマジェスティの覚醒を察知したスキアヘッドが、まだ回復装置にて療養中のカイゼリンを残し、出撃しようとしていた。制止する彼女の声を振り切り、「あなたを守る為なら、この命惜しくはありません」と、スキアヘッドはスカイランドに向かう。
- スカイランドを守るキラキラエナジーバリアを破壊しようとするスキアヘッドと、守るべく応戦するプリキュア達。「あなたはカイゼリンの為に戦っている!」「それがどうした。」「教えて下さい、彼女の事を!」「断る。」スカイの訴えにも耳を貸さず、スキアヘッドはランボーグを召喚するが、マジェスティがノーブルから受け継いだマジックアワーズエンドで一蹴される。
- スカイとマジェスティのパンチで吹っ飛ばされるも、スキアヘッドは彼女らが手加減した事を見抜いていた。「あなたをやっつける為に戦ってるんじゃない。わたし達の力はみんなを守る為のものだから」マジェスティの言葉に、「それ程までの力の差か……最早ここ迄」と呟くスキアヘッド。彼は出陣する際に、既に死ぬ覚悟を決めていた。
- スキアヘッドはスカイ・マジェスティと自分自身をアンダーグ・エナジーの球体に閉じ込める。「お前達の力は封じた。せめてお前達二人の命は貰っていくぞ、カイゼリン様の為に!」二人を道連れに自爆する気だ。咄嗟にマジェスティがスカイを庇う。次の瞬間、大爆発と共に球体は粉々に砕け散った。
- しかしスカイは、マジェスティが張った紫色のバリアに守られて無傷だった。これもノーブルから受け継いだ力・マジェスティックベールが守ってくれたのだ。だがスキアヘッドの方は致命傷。バタフライがミックスパレットの癒しの力を使おうとしても、「その力は私には効かない」と拒絶したスキアヘッドは、カイゼリンに向けて語り掛け始める。
- 「カイゼリン様、これが最後の授業です……。力が全て、故に力の無い者はかくも惨めで哀しい……。もっと私に力があれば、愛する貴女を守れたのに……申し訳ありません、カイゼリン様……。」そして彼の体は、アンダーグ・エナジーの粒子となって消え去った。その一部始終をモニター越しに見ていたカイゼリンは、血反吐のような咆哮を上げながら、回復装置を破壊して飛び出していた。「プリキュアよ…私の大切な物をどれだけ奪えば気が済む……!!」
- 勝利の喜びなどまるで無く、暗く苦い思いを抱えながら帰途に就こうとしたソラ達の前に、カイゼリンが現われた。「あなたが…貴女がきちんと話してくれさえすれば、こんな終わり方にはならなかったかもしれないのに!!」悲痛な声で訴えるソラ。だが「いいだろう、聞かせてやる…」と涙を浮かべながらカイゼリンは、信じ難い事実を口にするのだった。「300年前、アンダーグ帝国とスカイランドは和平を結んだ。なのに────キュアノーブルは私達を裏切り、お父様を手にかけたのだ!!!」
■第48話
- 「キュアノーブルがカイゼリン達を裏切った…?そんな筈がありません!」信じられぬソラだったが、憎しみを燃やしながらも、同時に深い悲しみを浮かべたカイゼリンの目は、出鱈目を言っているようには見えなかった。
- カイゼリンはなおも続ける。「カイザーは何百年も生きる長命らしい。もしエルレイン様が亡くなった後、カイザーが裏切ったらどうなるのか」と不安がるスカイランド国民の噂話を真に受けたエルレインは、自分の誕生日を祝いに来たカイゼリンの目の前でキュアノーブルに変身し、「これがスカイランドにとって正しい事なのです」とカイザーを手にかけた。カイゼリンも命も奪われそうになったが、辛うじてスキアヘッドに救われ、帝国に帰還できたというのだ。
- そして復讐鬼と化したカイゼリンは、キュアノーブルが送り出したエルちゃんを、自らの手で始末すると決めていた。まだ癒えていない傷の痛みに苦しみながらも、彼女は大量のアンダーグ・エナジーを取り込み、禍々しい怪物・モンスターカイゼリンと化した。「傷が痛むのではない…心が血を流しているのだ!私にはもう何も無い……信じる者も、お父様も、愛する人も…この痛みを癒すものは最早───」「カイゼリン・アンダーグはもう居ない。『力』!それが我が名なり!!!!!」
- 愕然となりながらも、あげはに叱咤されたソラ達は変身し、カイゼリンとアンダーグ・エナジーを切り離そうとするが、モンスターカイゼリンにはプリズムシャインも効かず、攻撃を加えられたスカイランドのバリアには亀裂が入り、隙間からランボーグが街の中へ侵入してゆく。プリキュア達は三手に分かれ、バタフライとウィングは街の防衛、プリズムは再度プリズムシャインを、そしてスカイとマジェスティはモンスターカイゼリンを止めるべく挑む。
- スカイとマジェスティが懸命に抗戦する間、バタフライシェードが亀裂を塞ぎ、ウィングが修復を完了して、バリアは守られた。「カイゼリン!みんなを守りたいその気持ちが、アンダーグ・エナジーの力を上回ったんだよ!!」「そうです!これって!『力が全てじゃない』って事になりませんか!!?」プリズムとスカイの叫びを聞いたカイゼリンの脳裏には300年前に身を挺してキュアノーブルの攻撃から父を庇い「力が全てではない」と体現した出来事が浮かぶ。動揺したカイゼリンの動きが止まった隙に、プリズムが放った2回目のプリズムシャインが、遂にカイゼリンの心の闇を照らし出す。そしてアップドラフト・シャイニングで浄化されたカイゼリンは元の姿に戻った。
- 「教えてくれ…力が全てではないのだとしたら、何を信じればいい…?」憎しみからは解放されたものの、やりきれない悲しみに囚われたままのカイゼリン。それでも、ようやく話ができるとプリキュア達が安堵した時、カイゼリンの体を1本の槍が貫いた。「何度も教えた筈、『力が全て』。それはアンダーグ・エナジーの海から生まれた私達にとって、議論する迄も無い事だと。カイゼリン・アンダーグ、あなたは最後まで愚かな生徒だった」冷酷な声と共に現れたのは、つい先刻消滅したはずのスキアヘッドだった…!?
■第49話
- 「光の力などに惑わされアンダーグ・エナジーを…最強の力を手放した自業自得。父親と同じ最期を遂げる事になったな」エネルギーの槍に射抜かれて苦しむカイゼリンに、冷然と言い放つスキアヘッド。その『父親と同じ最期』という言葉を聞いたカイゼリンの脳裏に電撃が走る。彼女はようやく思い出したのだ、真実の出来事を。
- あの日、エルレインにプレゼントするための人形を作る娘の姿に、カイザーも「平和というのもなかなかどうして悪くない」と相好を崩していた。彼はもうスカイランドに攻め入る気はなく、力が全てという信念を捨てて、新たな道を模索する決意を固めていたのだが、飛んできた1本の槍が彼を串刺しにした。スキアヘッドの仕業だった。
- 「いやぁあああ!!!!こ…この記憶は…!!!!」悲鳴を上げるカイゼリンに、スキアヘッドは淡々と非情な真実を告げる。「本当の記憶だ。カイザー・アンダーグを手にかけたのはこの私。そして嘘の記憶をカイゼリンの頭の中に上書きしたのもこの私。『キュアノーブルが裏切った』カイゼリンは私が作り出した記憶を信じていたのだ」
- 「何故そんな事を…!」「お前の心と体…全てをアンダーグ・エナジーに捧げさせる為。力にはそれを使う者が必要だ。力を求め、破壊の為に使う者が居てこそ、力は力たり得る。アンダーグ・エナジーには容れ物が必要なのだ。強引に体を奪う事も出来なくないが、それでは100%の力を発揮出来ない」そして彼は遂に正体を現す。「私はアンダーグ・エナジーの化身…ダークヘッドだ」
- 「キュアマジェスティを降臨させてプリキュア達に敗北し続けたふりをしたのも、全てカイゼリンを自分自身(=アンダーグ・エナジー)の容れ物にするための計画だった」と嘯くダークヘッド。それどころか彼は、最も残酷な真実を事も無げに口にした。「ああ、そう言えばもう一つ嘘があった。『愛している』そう言ったな?それが一番大きな嘘だ」
- カイゼリンの瞳から一筋の涙が流れ、体から力が抜ける。彼女の心は、絶望で壊れかけていた。「私が信じていたものは、何もかもが嘘に過ぎなかった…胸が痛む…息が苦しい…こんな思いをするなら、もういっそ消えてしまった方が…」だがその時、「カイゼリンを放しなさい!!!」スカイの凛とした声が響いた。
- 「何故?この女が、アンダーグ帝国がお前達にした事を忘れたのか?救う理由など無い筈。」スキアヘッドの問いに、スカイは決然と答える。「泣いている人に手を差し伸べるのに、理由なんて要りません!」それを聞いて「いい容れ物を見つけた」とほくそ笑んだダークヘッドは、「この女を取り返したいのなら来るがいい」と、カイゼリンを連れてアンダーグ帝国へ退却した。開いたままのトンネルはあからさまな罠。しかしスカイ達は少しも迷う事なく突入してゆく。「わたし、カイゼリンに答えなくちゃいけないんです。力が全てではないのだとしたら、何を信じればいいのか……その答えを───!」
- 押し寄せるランボーグの大群の足止めを引き受けたウィングとバタフライ。マジェスティもランボーグのエネルギー波をマジェスティックベールで食い止めながら、スカイとプリズムに先に行くよう促す。「立ち止まるな!ヒーローガール!」マジェスティの叱咤を背に受け、二人は断腸の思いを堪えながら、歯を食いしばって走り続けた。
- その様子を見物しながら、ダークヘッドはカイゼリンに目的を明かしていた。「カイザーではなく、お前をアンダーグ・エナジーの容れ物に選んだのは何故だと思う?お前がヒーローだったからだ。お前の中にはヒーローとしての光があった。その光の分、お前はカイザーより容れ物として大きい。だからお前を選んだ。だが、もっと大きな容れ物がもうじき此処にやって来る。力を求め、破壊の為に使う者───キュアスカイは良い容れ物になる…!」
- ダークヘッドの奸計も知らず、スカイとプリズムは帝国の深奥部へと進んでいた。「二人になっちゃったね…」不安げなプリズムに、スカイは「わたし、最初は一人ぼっちでしたから。隣にいてくれてうれしい」と微笑む。一緒なら何も怖いものはない。プリズムも微笑み返し、そっと手を繋いだ二人は、遂にダークヘッドとカイゼリンの前にたどりついた。「カイゼリン!」「助けに来たよ!」
- 「ダークヘッド!!好き勝手はここまでです!!」「誰でも胸の中に"心"って言う名の大切な物語を抱えてる!」「その人達の事を容れ物呼ばわりする貴方なんかに負ける訳にはいきません!」「いざ、勝負です!/ だよ!」いつものように瞬間移動で翻弄しようとするダークヘッドにも惑わされず、スカイとプリズムは猛攻を繰り出すが、「入れ物無しで戦れるのは、やはりここまでか…」とダークヘッドは不気味に呟いた。
- その時、二人の頭に激痛が走り、体全体が変調に襲われる。「アンダーグ・エナジーの海から生まれた者にとって光は毒であるように、お前達にとってこの海は毒。此処まで近付いて無事でいられる筈が無い」種明かしするダークヘッドに、「罠があるのは百も承知で…此処まで来ました…この程度の事で…!」毒に蝕まれながらもスカイは不屈の闘志を燃やす。しかしプリズムは力尽き、ダークヘッドは彼女を捕えてアンダーグ・エナジーの海の上に宙吊りにした。「お前の力で─────ヒーローの力で止めてみせろ。」
- 動かない体に鞭打って必死に立ち上がろうとするスカイに、ダークヘッドは「力が足りないか?ならば求めろ」と巨大なアンダーグ・エナジーの球体を作り出し、「お前程のヒーローならば、アンダーグ・エナジーを自分の力としてコントロール出来るかも知れないぞ。仲間を助けたくないのか?」と揺さぶりをかけつつ、プリズムを海に落下させようとする。
- ヒーローとして悪の誘いに屈するわけにはいかない。しかし体は動かず、ダークヘッドは今にもプリズムを落下させようとしている。一体どうすれば…!?カイゼリンも止めようとするが、顔面蒼白のスカイが「ましろさん!!」と呟いた時、アンダーグ・エナジーの球体は内なる選択を見透かしたかのようにスカイの体の中に飛び込む。勢いで吹き飛ばされたスカイはよろめきながら立ち上がるが……その姿は、黒いコスチュームに堕天使のような片翼を持つダークスカイに変貌していた。
- 「力を求めたな、それでいい」ダークヘッドは浮遊状態を解除し、プリズムは真っ逆さまにアンダーグ・エナジーの海へ墜落するが、間一髪で彼女を救出し、体を苛む闇の力に苦しみながらも、スカイは抗い、ダークヘッドを叩きのめす。「こ…こんな力には負けません!!この力をコントロールして…強くなって…みんなを…助ける!!」しかしそのパワーを行使すればするほど、彼女の心は闇に塗り潰されてゆく。
- 何度倒しても立ち上がるダークヘッドに、攻撃を繰り返すスカイだったが、その動きが止まった。闇が彼女の心を覆い尽くしたのだ。「最強の力に打ち勝てる筈など無いのだ!最高の容れ物を手に入れたぞ!!!」哄笑しながらダークヘッドはスカイの体を乗っ取ってしまう。「力が全て!それを世界に見せつけてやろう!!アンダーグ・エナジーこそ───この私こそ最強だと!!!」
- 「ソラちゃん!!!」意識を取り戻したプリズムの叫びを聞いたダークキュアスカイは彼女に襲い掛かる。だがその場を一歩たりとも動く事無く、敢然と立つプリズムの前にその拳は止まった。「わたし…負けません!!!」スカイの心は完全に屈してはいなかった。彼女は全身全霊で、闇の力の破壊衝動に抵抗する。
- 「ええい!まだ堕ちていなかったか!!殺れ!!!殺るのだ!!!お前はもう私の物なのだ!!」体内でダークヘッドの焦りの声が響くが、スカイの全身から迸っていたアンダーグ・エナジーのオーラが消え失せた。「信じて待っている人がいる限り、何度だって立ち上がれる。きっとそれがヒーローだから」優しく微笑むプリズムの手のひらから眩い光が溢れ、ダークヘッドは断末魔を残して消滅。カイゼリンの胸の傷も塞がった。そして元の姿に戻ったスカイは、プリズムと笑顔を交わす。「おかえり、キュアスカイ」「ただいま、キュアプリズム」
- 光の力で傷が治癒した事を訝しむカイゼリンに、プリズムは「生まれや世界が違っても、あなたはわたし達と同じだから。それじゃ理由にならないかな?」と答え、スカイも「時間を旅してわたしは知りました。どんな困難が立ち塞がっても、自分が正しいと思った事を信じ抜いたヒーローの姿を」と、カイゼリンを認めた。そして「だが私は道を誤った、ヒーローを名乗る資格など無い」と己の過去を悔やむカイゼリンに……
- 「わたしも未熟です。ヒーローなんて名乗れる程、立派じゃありません。何度も間違えて、迷って、足が止まって…でもそんな時には───いつも友達が支えてくれました。『力が全てではないのだとしたら、何を信じればいい?』カイゼリン、これがわたし達の答えです。友達に…なりませんか?」カイゼリンは瞳を潤ませながらスカイから差し伸べられた救いの手を固く握った。彼女は300年の呪縛からようやく解き放たれたのだ。
- 「仲良し…だね」拍手しながらマジェスティが現われる。ウィングもバタフライもみんな無事だった。そこへダークヘッドの残留思念とアンダーグ・エナジーの海が融合した怪物・ダイジャーグが出現。しかし、数々の苦難や試練を乗り越えた今のスカイ達にとっては図体がでかいだけの相手など最早物の数ではない。「ヒーローの出番です!」
■第50話(最終回)
- プリキュア達に圧倒され追い詰められたダイジャーグはカイゼリンに再び憑依してスキアヘッドの幻影で「愛している。あなたが必要だ。そして、あなたも私が…」と懐柔するが、「アンダーグ帝国の優しい少女」を肯定してくれたプリキュア達が取り戻した「強さ」を持つカイゼリンには通じず「いや、それは違う。私には新たな友がいる…!!お前はもう…必要無い!!」と心の光でダイジャーグを追い出した。
- 進退窮まったダイジャーグはトンネルに飛び込み姿を消した。どこへ逃げたかと狼狽するプリキュア達に、駆けつけたアンダーグ帝国三幹部の一人・バッタモンダーが「もし君達が行かれたら嫌な所」と助言を与える。その推測通り、ダイジャーグはソラシド市に逃避し再び新たな「器」を求めて侵攻を開始した。
- その頃、カバトンが追跡用のトンネルを開き、かつての敵だったアンダーグ帝国の面々は傷だらけになりながらも必死にスカイランドを守り切った(ミノトン曰く「街は大丈夫だ。我等が協力して守り切った」カバトン曰く「こんな傷、大したことじゃないのねん!」)。カイゼリンに「任せたぞ、プリキュア!」と後押しされ、一同はトンネルに飛び込もうとするが…。
- 度重なる激戦によるものか、突如として全員の変身が解けてしまった。エル「ウソでしょ~!?」ましろ「このタイミングでなんで~!?」あげは「戦い過ぎって事!?」ツバサ「まずいぞ、これは…」大慌ての一同を、ソラが冷静に制する。「落ち着いて下さい!!プリキュアの力はわたし達の胸の中にあります。その力は…無限!限界なんてありません!!」ミラージュペンの由来は心の力。即ち、ソラ達は純粋たる力ではなく「心の強さから来る力」で戦っているのだ。
- 新たな「器」を探して街を徘徊するダイジャーグに声が響く。「誰かに取り憑こうとしているんですか?無駄です!!だって此処は素晴らしい世界ですから!あなたの容れ物になる様な…あなたの力を欲しがっている様な人は…一人もいません!!!!」ソラ達は人々の期待と声援を力に変えて再びプリキュアに変身し、ダイジャーグの口から出す破壊光線に対抗して5人の力を合わせた最強の必殺技「ヒーローガールせかいパンチ」を放つ。
プリズム「あなたはこう言う…『力が全て』…でも!わたし達はもっと強いもので戦ってるんだ!」
ウィング「負けるものか!!世界を閉じて同じ所でただ濁ってるだけのお前なんかに!!!!」
バタフライ「わたし達は広がっていく!あんたを越えて大きく、広く!!!」
マジェスティ「わたし達は絶対に負けない!」
スカイ「わたし達は…『ひろがるスカイ!プリキュア』!!!!!」
- 空高く吹き飛ばされたダイジャーグはとどめのマジェスティック・ハレーションで遂に浄化される。「これが最強の力……私の負けだ……」「ハレワタッタ~……。」かくして「力こそは全て」を狂信しそれ以外を排除・己が最強の力を振るうための「器」にするべく「アンダーグ帝国の優しい少女」を利用し続けた闇の力の化身は、その身をキラキラエナジーと化す形で晴天の彼方へ消え去った。
- 口々に戦いが終わった事が信じられないと口にするプリキュア達。だが確かに、300年越しの戦いは幕を閉じたのだ。「帰りましょう!わたし達の家へ!」
そして数カ月後……
- スカイランド城では、国王夫妻がエルの帰りを今か今かと待ち侘びていた。アンダーグ帝国ではエルレインの人形を久々に手作りするカイゼリンの下にカバトン・バッタモンダー・ミノトンがやって来る。青の護衛隊ではベリィベリーが待ちきれずに、「ソラはいつ来るのか」とシャララ隊長に聞いていた。そして、今日はソラ・ツバサ・エルがソラシド市を離れる別れの日で…。
- ソラが転校すると聞いて残念がるクラスメイト達。野球部のみんなが寄せ書きを書いてくれたと喜ぶソラに、「淋しくない?」とましろが尋ねた。「淋しくないって言ったら嘘になります。でも住む世界が変わるだけ。トンネルを使えばいつでも会えますから!」ソラは努めて明るくふるまう。
- ましろからプレゼントされたヒーロー手帳を、ソラは愛おしげに抱き締める。荷物の中にはもう1冊の、これもましろからの贈り物である手帳があった。その手帳にいろいろな思い出を書かせてくれたこちらの世界とも、お別れの時がやって来た。
- 名残を惜しむソラ・ツバサ・エルと、感慨深げに見送るましろ・あげは・ヨヨ。中でも、ソラとましろは見つめ合ったまま、言葉一つない。気を遣ったエルとツバサが先にトンネルに入っていった後、ようやくましろが口を開いた。「……やっぱり、スカイランドに帰るの、明日にしない?明日お休みだから、くもパン焼くよ、ねっ?それが無理なら、これから一緒に夜ごはん食べてから…」
- 懸命に引き留めるましろの言葉を、困ったような微笑を浮かべながら聞いていたソラだったが、途中で「────ましろさん」と遮り、ましろもはっとなった。引き延ばしても余計に後がつらくなるだけ…。
「変、だよね…わかってるよ。住む世界が変わるだけ、トンネルを使えばいつでも会える。それに、どんなに離れていたって……」
そこまで言って、こらえきれなくなったましろは泣き出した。
「どんなに離れていたって、わたし達はプリキュアです」「うん…」
ソラは握手しようと右手を差し出すが、涙が止まらないましろは顔を上げられない。
「これまで、何回手を繋いだか覚えていますか?わたしのヒーロー手帳によると、何と142回!
───なんて、これは冗談ですけど…」
ソラの精一杯のジョークに、ようやくましろも涙を拭い、笑った。
「ましろさんの笑顔が大好きです!だから、笑ってお別れしましょう?」
そう言うソラの瞳にも涙が浮かんでいた。
「やっぱりソラちゃんはヒーローだよ。本当に強くてかっこいい…」
「そうじゃないって、ましろさんが一番知ってる癖に…」
泣き笑いしながら二人はしっかりと握手を交わし、ソラはスカイランドへ帰っていった。
ましろ「───こうしてわたし達の長い冒険は終わりました…。」
そして翌朝。
- 思いきり伸びをしながら、ましろは絵本を描く決意を固めていた。空から降りてきた不思議な赤ちゃん、その子を守るヒーローガール、そして普通過ぎる女の子のお話を。仲間には空を飛ぶ勇敢な男の子と、優しくてかっこいいお姉さんも……
- その時、庭にトンネルが開き、「おはようございます、ましろさん!」ソラ・ツバサ・エルが現われた。昨日お別れしたばかりなのに、早速遊びに来たのだと言う。お腹が空いたエルは赤ん坊のエルちゃんの姿に戻り、驚いたツバサもプニバード態になり、声を聞きつけたあげはも駆け付けて、結局昨日までと何も変わらぬ賑やかな朝が始まるのだった。
ましろ「冒険は終わっても、わたし達の物語はずっと、ずーっと広がり続けていく。
この空みたいに無限に輝きながら────!」
エピローグ
スカイランドでは青の護衛隊が行方不明者の捜索任務を受けていた。
森の中で、道に迷った一人の女の子が魔物に襲われていた。そこへマントを翻して颯爽と現れたヒーローが、魔物を蹴散らす。「危ない場所に一人で行ってはめっ!ですよ?」と窘める彼女は、目を輝かせる女の子へ、無限に広がる青い空のような爽やかな笑顔を見せるのだった。
「助けてくれてありがとう!ヒーローさん、あなたの名前は?」
「キュアスカイ!」
- この一年を通じて「ヒーローに憧れていた少女」は、「少女に憧れるヒーロー」へと成り果てた。スカイは女の子に多大な憧れと「夢」への原動力をもたらし、スカイランド一のヒーローとして戦い続ける。
- 最後は次作の主役となるキュアワンダフルへのバトンタッチ。3人一緒のホップ・ステップ・ジャンプで締めくくった。
スカイ「広がる世界に!」
スカイ・ワンダフル「ホップ! ステップ! ジャーンプ!」
特別出演
- 5人でアニマルタウンのふれあいパークに訪問。
映画
- プリキュア映画初登場。映画の主人公の一人。
- 物語が始まった瞬間、キュアプリズムと離ればなれになる謎のイメージが…。
- 目を覚ますとましろがいない不思議な世界にいた。そこをレッサーアークに襲われるもキュアサマーとキュアプレシャスに助けられる。自分もキュアスカイに変身してレッサーアークを迎え撃つ。
- ゆいと再会し、まなつと出会う。
- レッサーアークと立ち向かうプリキュア、変身を解除をしたプリムと言う謎の少女に出会う。
- この事件を確かめるために首謀者であるアークを探すために不思議な世界の中心のお城を目指す。
- お城に到達したが、本当の首謀者から記憶を戻され全てを思い出したのだった…。
- 次回作の『わんだふるぷりきゅあ!』の映画に登場。先輩である『魔法つかいプリキュア!』と参戦する。
- 終盤、横浜に現れたムジナの暴走を止めるために奮闘するわんだふるぷりきゅあの前に仲間達と共に現れ、ヒーローガールスカイパンチやプリキュア・アップドラフト・シャイニングとプリキュア・ダイヤモンド・エターナルの同時発動で黒い影を浄化した。
関連イラスト
関連タグ
プリキュア関連
ひろがるスカイ!プリキュア キュアスカイ 主役キュア プリキュア
転校生キュア ピンクチーム ヒーローガール プリキュアお化け嫌いの会