「ノブレス・オブリージュ…私は自らが正しいと思う信念のために、この命を捧げる!」
演:久保田悠来
概要
『仮面ライダー鎧武/ガイム』の登場人物の1人。
第2話から登場。
ユグドラシル・コーポレーションの重役の息子。呉島光実の兄。一人称は「私」又は「俺」。年齢26歳。
自身も同社の主任で研究部門プロジェクトリーダーを務め、自分より歳上の社員達を顎で使える程の権力を持ち、主にプロジェクトマネジメントやヘルヘイムの森における研究班の護衛・インベスの掃討を自ら担当し、黒影トルーパーの陣頭指揮も行う。
また、仮面ライダー斬月の変身者であり、以前から戦極ドライバーを所持していたアーマードライダーの第一人者。
豊富な戦闘訓練と実戦経験により、変身後の戦闘力も群を抜いており、身体能力と戦闘センスにも優れる。斬月が初登場した4話では、ヘルヘイムの森でデビューしたばかりの鎧武を襲って戦意を喪失させている。
人物像
基本的に寡黙であまり感情を表に出さないため、近づきがたい雰囲気だが、民間人にまで危害が及ぶことを良しとせず、初瀬亮二をインベスにしてしまった責任の一端を感じて思い悩む、自分を裏切ったシドの最期にさえも悲しみの色を見せる、一度は裏切った湊耀子を許すなど、根っこの部分は葛葉紘汰といい勝負のお人好しで、至極真っ当な正義感と人間性の持ち主。
責任感の強さも筋金入りで、父の教えであるノブレス・オブリージュの精神に則り、力なき者たちを護ることを義務としている。
そのため、人類の1/7しか救えず多くの人間を切り捨てることになる「プロジェクト・アーク」の実行にあたっては、ヘルヘイムの森の侵略に立ち向かい、大量虐殺の罪を背負ってでも人類種を存続させてみせるという強い使命感、その大罪を一身に背負う覚悟を抱いている。そのために自身の負担は一切厭わず、ドライバーの試作品の被験体すら自ら買って出ている(その際に重傷を負っており、その際の傷が未だに残っている)。
評価の項目にもある通り、基本的に善良な人物であり、『仮面ライダー鎧武/ガイム』と言う作品の数少ない良心。
しかし、そんな彼にももちろん欠点は存在しており、その最大の欠点こそ「身内への致命的な甘さ」である。
実際に序盤からその兆候は見られ、光実が内心では自らの教育方針に反発し、自分なりの生き方を探してビートライダーズに加わっていることに気づかず、凌馬が自分を完全に見限って独自の計画を進めており、シドや耀子が自分ではなく凌馬にこそ従っているという事実にもまったく気づいていなかった。
単に心境の変化に気づかないというだけでなく、光実によるスイカロックシードの掠取や凌馬の独断によるオーバーロードの調査すらも気付かず、シドが光実に戦極ドライバーを渡したこと、光実が自分に隠れてアーマードライダーをしていたことに気づいてもほとんど咎めずに許してしまっていたりするので、もはや悪癖と呼べるレベルである。
また、実力の高さに反し、プロジェクトアークやスカラーシステムに対する考えなどの現実主義がたたり、自発的な変化が根本的に欠けている節もある。
最初に得た情報だけで即断してしまい、自分から新たな手段を探すことをしないため、結果的にだが最初のスタンスにいつまでもこだわり変化を躊躇ってしまっている。
(そのためDJサガラからは「世界のルールに屈服した弱いヤツ」と揶揄されている。)
劇中ではオーバーロードの存在を知って計画の変更を命じるなど、ある程度の柔軟性は見せているが、「オーバーロードに会って人類を守ってくれるよう説得する」というプラン自体は紘太が(正確には、彼をそそのかしたDJサガラ)考え出したものなので、自分で切り開いた可能性とは呼べない。
こういった点と上述の身内への甘さから内輪で物事を解決しようとする行動原理が根底にあり、戦極の情報に踊らされ、外部企業と協力・提携することでプロジェクトアークの範囲や規模を拡大するというセカンドオピニオンの発想を欠いたことで、結果的に事態の悪化の片棒を担いでしまっている。
総じて、能力の高さと責任感の強さから来る視野狭窄が強く、自ら手を汚す覚悟があると言えば聞こえはいいが、実際は身内の悪い部分や外様の言い分と言った気に食わない事に目を向けられないと言う悪癖を持つ。
彼の場合、弟の光実と違い、犠牲を最小限にと言う利他原理があるだけ悪人に堕ちずに済んでいるのだが、ユグドラシルにおける最後の倫理の砦であるだけにその大きな志とハイスペックを活かす事が致命的に下手なのである。
一方で、その気高さと実力は他のメンバーの抑止力・ストッパーにもなっており、状況を好き勝手に悪くしたい凌馬やシド等(メタ的には製作陣も)からは行動を制限される目の上のタンコブとして、独自の目的を持つ湊や光実と言った身内からは最後の一線を守らせる防波堤として機能していた。
実際、中盤において(一時的に)退場させられるや、あらゆる状況が凄まじい勢いで悪化していった事実も、彼がいかに重要な人物だったのかを物語っている。
ロシュオがそんな彼を助けたのも、その境遇が自分と重なるものだった事でシンパシーを感じたからなのではないかとされている。
また、彼が最後まで生存したのは、作品全体のテーマである希望の象徴とも言え、駆紋戒斗の言う「強くて優しい奴から死んでいった」という考えも否定できたと見ることができる。
人間関係
ユグドラシル関係
仲間には基本的に温かく接し、カリスマも持つリーダー気質で、直属の部下たちからは「呉島主任」と呼ばれ慕われている。鎧武がスイカアームズでインベスを蹴散らし部下たちを救ったとき、部下の1人が勘違いをして「流石呉島主任だ!」と言ったことがあるが、この発言からその圧倒的な戦闘力は部下たちの強い信頼を得ていることが窺える。
ただし、そのリーダーの資質というのも、理知的な振る舞いに反し物事をマクロに見られない=視野が狭い部分が目立つため、司令官よりも専ら前線に立つ現場監督に向いていると言える。
しかしこの部下への接し方は裏を返せば「甘さ」でもあり、仲間に厳しく接することが苦手ということでもある。それが戦極凌馬やシド、弟の光実の水面下での裏切りを許す結果に繋がってしまった。
また、初期は仲間以外の人間、特に社会的な価値が低いとみなした人間にはすこぶる冷淡な態度をとっており、覚悟も責任感も持たず遊びに興じるビートライダーズたちを「社会に貢献しないクズ共」と見下し、彼らをプロジェクトのための実験対象として、戦極ドライバーを用いたアーマードライダーの戦闘テストのモルモットとして扱っていた。
(実際のところ、ビートライダーズが現れた主な原因としてユグドラシルの強引な都市開発があり、いわばビートライダーズの存在自体がユグドラシルのせいなのだが、貴虎が作中そのことに言及することはなかった)
家族関係
家庭では、弟の将来を気遣う過保護な兄でもある。
両親が仕事で長らく海外におり(TV本編中では全く触れられなかったが、Vシネマ『鎧武外伝』ではこの件についての言及がある)、少年時代からほとんど弟の教育を担うことになっていた。そのため自分が弟の手本になる事に気負いすぎており、結果的にはそれが逆効果となってしまっていた(余程人間味のある姿を見せる機会が無かったのか、『鎧武外伝』では食事の際に朱月藤果と思い出を懐かしみ、和気藹々としている場面を光実から「初めて見た」と言われる程だった)。
光実には学業に集中し、何れユグドラシルで働くようにと諭しているが、それを息苦しく感じ反発している光実の本心には全く気付いておらず、光実にすら「一番信じてはいけない相手を信じてしまう」と評されている始末であった。
ただ、ある意味で言えば「理解している様に見えて理解しておらず、何処か自分にとっても都合の良い話や価値観を無意識に押し付ける保護者」にも見える姿は現実にありがちな保護者像と言えなくもない。
しかし、徐々に彼の本心に気づき、このギクシャクした関係も紆余曲折を経て最終盤で改善されている分、多少はマシなのかもしれない。
評価
『鎧武/ガイム』における最大の良心。
実際、メインライターの虚淵玄は、貴虎を「絋汰と同じ理想を持つが挫折した反面教師」と位置付けており、本編における彼の行動も彼の持つ良心と現実とのすり合わせの結果であり、基本的には自分の野望や目的を優先する人物ばかりが登場する『鎧武/ガイム』において、ここまで真摯に人々を救おうとした人間は、主人公である紘汰以外では、貴虎を置いて他にいない。
その一人の大人として完成された人格と仮面ライダーとしての実力の高さから、キャラクターとしての人気も非常に高く、紘太と戒斗に次ぐ第3の主人公とも言える存在であり、彼が主役の外伝作品も多数制作されている(弟の光実も事実上の主役を務める事が多い)。
また、仮面ライダーとしては作品におけるパワーバランスを一手に担っていた存在でもあり、ファンからは性能によらない純粋な戦闘力では最強格とされている。
作中ではカチドキアームズといった明らかに格上の相手でも互角以上に渡り合ったり、ゲネシスを使用した新世代ライダーに袋叩きにされつつも粘ったりと、戦いにおいて余裕を崩す事は滅多に無く、おまけに普通ならあっけなく死ぬような状況に陥っても生還する等悪運も強い。その絶体絶命のピンチにあっても生き延びる強いバイタリティが特に評価されている。
また、斬月の勇姿に見惚れて戦意が全く無かったとは言え、戦闘のプロである凰蓮・ピエール・アルフォンゾを一撃で下している点も評価の一因である(逆に映画では本気の凰蓮が貴虎の変身した斬月・真と互角以上に戦えている)。
実際に、彼が敗北に追い込まれたのは仲間の裏切りや動揺によって心が乱れていた時であり、覚悟さえ固まっていれば、生来の責任感の強さも相まって恐ろしい戦闘力を発揮するのである。
尚、正面から貴虎を一方的に打ち倒したのはフィフティーンやメガヘクスの2人のみで両名共ラスボス格クラスであり、フィフティーンは他の平成ライダーと互角以上に戦える程の猛者である事に加え、15人の平成ライダーの力を使えるロックシードによる手数の多さ、メガヘクスはオーバーロードインベスに匹敵する程の怪人である事もあるのだが、先述の評価から図らずともフィフティーンとメガヘクスの株も上がる事態になっている(特にメガヘクスは特殊能力無しの両腕の刃のみで貴虎を一方的に打ち倒している)。
主な劇中の活躍
第4話で初めて主人公の葛葉紘汰と対面し、刃を向ける。
「なぜこんなことをする」と問いかける紘汰に対し、「そんなやわな考え方では世界にはびこる悪意に対応できない」という趣旨の言葉を投げかけつつ圧倒。
戦意を喪失して逃げ去る紘汰を無関心に眺めていた。
それ以降はあまり表舞台には出ず、ヘルヘイムでの調査や沢芽市内に現れたヘルヘイム植物の駆除とその隠蔽に奔走する。
第9話ではその姿を紘汰と光実に目撃され、クリスマスゲームの原因を作った。
また元軍人である凰蓮・ピエール・アルフォンゾというイレギュラーな存在にドライバーが渡った時にはそれを危険視しシドを問い詰めている。
第11話ではヘルへイムの森に入り込んだアーマードライダー達を斬月の姿で次々と倒していったが、仮面ライダー龍玄と戦っている最中にインベスの暴走の連絡を受けてそちらに向かったため、龍玄が弟であることに気がつかなかった。
さらに仮面ライダー黒影が事情を知らずゲームの一環と思って攻撃してきたことで現場に間に合わず、見下していた存在の鎧武に後れを取るばかりか、会社の秘密を一部知られてしまう。
散々ビートライダーズに煮え湯を飲まされた結果になったが、それでも生来の優しさから彼らをいたぶろうとは考えず、捕まえた紘汰と戒斗の処遇について「ベルトを取り上げ、メディカルチェックを済ませたら解放する」とシドに話していた。
第14話では会社に向かう車に弟が乗り込んでいたことに気づかず、重要ファイルの入ったパソコンをロックせずに会議室を離れたため、光実に更なる秘密を知られてしまうことになる。
しかし続く第15話でユグドラシルから脱走した紘汰と戒斗を監視カメラ映像で見つけた際、偶然映っていた光実に気づき、初めて彼が仮面ライダー龍玄であったことを知ることになる。
第16話では弟がライダーなのを黙っていたシドに激怒するものの光実を叱ろうとはせず、ヘルへイムの森のある秘密を見せユグドラシル側への引き込みを図る。
第19話にて鎧武との一騎打ちで相打ちになりつつも勝利し、変身前の姿で初めて紘汰と面と向かって対話し、彼にもヘルヘイムの真実を伝える為、光実の時と同じようにその場所に案内する。
そして第20話にて紘汰にヘルヘイムの森が森に侵食され滅んでしまった異世界、地球外惑星、あるいは未来か並行世界の地球であることを教え、ユグドラシル及び自分の理念と目的を教え、紘汰の行動に新たな選択肢を突き付けることになる。
第21話では事実を教えたことについて光実に反感抱かれるが、それに対して「自分らしくない」と思いながらも紘汰の前向きな姿勢に気に入っている様子を見せていた。
第22話では市街地にクラックが開いた際、凌馬から沢芽市を焼き払うスカラーシステムのスイッチを押す責任を追う様後押しされ、自身も苦悩の色は見せつつも引き受けるが結果的にはクラックの自動閉鎖が間に合った。
しかし、激怒して社屋に乗り込んで来た紘汰に、角居裕也がインベスと化した映像を見せ紘汰が知らずに彼を殺した事実を突きつける。
これにより戦意喪失した紘汰を、もう戦う意思を失ったと見てそのまま帰したが、サガラの助言により彼は再び奮起し、スカラーシステムを破壊されるという結果を招いてしまった。
第27話ではヘルへイムの森で社員を襲ったデェムシュと対戦した際に紘汰と共闘したことで彼を認め、オーバーロードインベスの存在を知ったことで新たな希望を抱き、これまでの方針を転換しようとするものの既にオーバーロードの存在を知っていたシドに妨害される。
第28話では凌馬らがオーバーロードの存在を知らないと思いこみ、彼らの渋い顔にも気づかずに「新しい希望の選択肢が見つかった」と嬉しそうに説明。その後オーバーロードの捜索にシド、湊、光実と共に出向くが、その途中で突然シグルドに変身していたシドに襲われる。
シドを圧倒し、マリカに変身していた湊に取り押さえるよう頼むと、今度は彼女に襲われ、劣勢に。そこへ本部でバックアップを行っているはずの凌馬が現れてデュークに変身。変身を解除されるまでに追い詰められる。
そしてシグルドに留めを刺されそうになった時に隠れていた光実の姿を発見、「葛葉紘汰とともに、お前が人類を救うんだ!頼んだぞ、光実!」と彼に叫ぶ。その直後にシグルドに弾き飛ばされ、崖の下へと転落してしまった。
直後に湊と凌馬が「この高さでは助からない」「奇跡的に無事でも、ドライバー無しではヘルヘイムの環境下では生きていけない」等と、生存フラグらしき事を口にしたが…
案の定、第29話ではしっかり生きていた。しかも裂傷や打撲は負っている様だが、骨折や臓器への損傷等は見た感じ無さそう。さすが呉島主任だ!!
崖から落下し、奇跡的に生存していた彼はオーバーロード・ロシュオと遭遇。ロシュオに怪我の手当てをしてもらった彼は、レデュエの拾った戦極ドライバーを受け取り、凌馬達ですら知らなかったヘルヘイムの森の真実を知る。
31話ではDJサガラが現れたことで、ロシュオの本性を知り、また極ロックシード譲渡の瞬間に立ち会うことになる。その後、禁断の果実を求めてやってきたシドに憎悪めいた感情を向けていたが、スルーされ、そのままロシュオに太刀打ち出来ずに呆気なく殺される様を目の当たりにすることになる。
第35話でロシュオから解放され町の被害を確認した後、紘汰に事情を聞こうと接触しようとするがそこでようやく光実の本性を紘汰と共に知ることになる(光実が自分のゲネシスドライバーを所持してた事も知る)。
第36話にて紘汰を襲う光実を止めに入った。湊から全ての事情を聞いた時は自分を襲った事はもう気にしていないらしい。そして、暴走した弟を止める為に戦極ドライバーとメロンロックシードを取り、斬月へと変身。光実の変身する斬月・真と戦った。 性能では大きなスペックの差があったが、戦闘スキルでは貴虎の方が上だった為に、互角以上の戦いを繰り広げる。
しかし、止めを刺そうとした瞬間、光実との思い出が脳裏をよぎり、躊躇った隙にベルトとロックシードを破壊され海へと転落、そのまま行方不明となってしまう。
第38話では光実の見た幻覚として登場。倒すことで兄を乗り越えたと言い張る光実に対し「お前の人生はすべて私から与えられたものだ。自分の力で勝ち取ったものなど何ひとつない」「呉島光実は呉島貴虎の影だ。私が消えれば影であるお前もまた消えるしかない」と辛辣な言葉を浴びせた(この幻影自体はあくまで「光実から見た呉島貴虎像」なので、当人と比べると異なる)。
その後も事あるごとに幻影として現れ、姿を消しても尚、光実の心に巣くう呪縛として彼を苦しめ続けた。
以上の事から死亡したかと思われていた彼だが、第46話にてやはり生きていた事が発覚した。しかし、今度は海に転落した後に沖合に流されていた際に救出されたが、漂流による脳のダメージが大きく、医師曰く「回復は絶望的だ」という状態であった。
そんな中、夢で新たなる世界へと旅立って行った筈の紘汰と再会。そこで地球がヘルヘイムの侵略を免れ、すべてが終わったことを知る。そして紘汰に「今の自分が許せないなら、新しい自分に変わればいいと光実に伝えてほしい、その為にあんた自身も生まれ変わってくれ」という願いを託され、その想いに応えるかのように目を覚ましたのだった。
上記のように仲間内ではやや軽視されていたり足元を見られていた部分も大きかったが、同時に自身の立場や権限を維持する為に必要な存在でもあった事から、彼らの暴走を抑え自重させるある意味リミッター的な役割を無自覚ながら果たしていたといえる。実際に彼という重鎮がいなくなった事で凌馬たちは自身の欲望を剥き出しにした行動を取り始め、その結果シドの裏切り行為と独走によって起こった様々な要因が重なって結果的に世界中のユグドラシルが崩壊すると言う結末を迎えた事から、彼が持つ影響力は周りや彼自身が思っているよりもかなり大きかったようである。
また、凌馬らの裏切りにより、ヘルヘイムの森の谷底へと落とされたり、光実に敗北し、戦極ドライバーとメロンロックシードを破壊されて海中に沈むといった2度の臨死体験から無事生還するなど強運の持ち主で、ユグドラシルコーポレーション関係者が相次いで死亡した中、唯一生き残った人物である。
最終回時点では回復し、事件の後始末のために奔走し海外へ旅立つ直前である。晶とも会い、「弟を親代わりとして育ててきた」「弟を理解しきれていなかった後悔を持つ」共通点から心を通わせている。悪用を防ぐため黒影トルーパーのドライバーは処分していたが、1つだけ残していたものは城乃内秀保が強引に使っている(ちなみに城乃内に戦極ドライバーを奪われる際は、抵抗する素振りを一切見せず、わざと奪われたように描写されている)。生身で仮面ライダー邪武と闘うも歯がたたなかった。
「断る!俺は今あるこの世界を守る!世界を蝕む悪意には二度と屈しない!」
沢芽市の復興作業に尽力していたが、メガへクスの侵略を受け再び戦場へ舞い戻る。
当初は変身が出来なかったが、メガへクスが造り出した黒影トルーパーのうちの一体の戦極ドライバーを光実が回収したものと、チーム鎧武のガレージに一つだけ存在していたヘルヘイムの果実(劇中の描写から、恐らく始まりの女の力によるもの)がメロンロックシードへ変化したものを使い変身が可能となった。
メカ戦極凌馬の変身するデューク・ドラゴンエナジーアームズの相手を引き受け圧倒的なスペック差に苦戦する。自分の研究や思想を理解出来ず、メガへクスに反旗を翻す貴虎を「神になるチャンスを二度も手放した本当に愚かで救えない男」と過去の彼との確執への呪詛と共に貶されるが、「お前の語る神など、意味の無い空っぽの存在に過ぎない!そしてメガへクスの奴隷に成り下がった今、お前自身が空っぽになってしまったんだ!」と真っ向から否定する。
因縁を終わらせるべく互いの必殺技が激突し、肩にソニックアローの一撃を受けてしまうが、無双セイバーの一撃で腹部を貫き致命傷を負わせ辛くも勝利。
そして現れたメガへクスに挑むも極ロックシードを取り込んだことで戦闘力が上がってしまい返り討ちに遭い変身が解除される。それでも諦めず立ち上がると光実からメロンエナジーロックシードを託され、斬月との戦いで破壊されたメカ戦極凌馬の残骸の中から、無事だったゲネシスドライバーを使って斬月・真へと変身。
メガヘクスは禁断の果実の力を得た極アームズを相手に互角以上に渡り合える存在だったため流石に優位に立つことは出来なかったものの龍玄とタッグを組んで逆転の可能性を諦めずに持ち堪え、極ロックシードを取り返したことで復活した紘汰と共闘する。
全てが終わった後、弟とザックたちと共に笑顔で紘汰と舞を見送る。
Vシネマ
2015年4月に発売された本作のVシネマである『鎧武外伝』では主役を務めた。時系列は第20話以降。
本編では余り触れられなかった彼の幼少期や父親について言及された。また、ユグドラシルの更なる闇や幼い頃唯一心を開く事が出来た大切な存在の過去を知り苦悩しながらも「罪を背負ってでも人類を救う」と言う信念を貫こうとした彼の姿勢、そして決して捨てる事の出来なかった彼の優しい心が描かれた。
そして…
貴虎こと仮面ライダー斬月を主役とした「『仮面ライダー斬月』-鎧武外伝-」が、平成仮面ライダーシリーズ初の舞台演劇として公演が決定。
もちろん貴虎を演じるのは久保田悠来本人であり、シリーズ原案・監修には虚淵玄が参加。これまで映像では映し出されなかったオリジナルストーリーで、人間ドラマが深く描かれるという。更にこの舞台版限定フォームとして仮面ライダー斬月・カチドキアームズが登場する。
余談
冷徹なキャラ設定と圧倒的な強さにもかかわらず、彼の行動には上記の通り脇の甘さが目立つ為、視聴者からぽんこつ兄さん扱いされがちである。しかし同時にヘルヘイムの森の真実と、それに立ち向かう彼の決意と覚悟が明らかになった事、及び戦極凌馬・シド・湊耀子の3名が明らかに何か企んでいる事から、今や彼の方がユグドラシル唯一の良心という評価に変わった。ネット上ではメロンのアニキ=メロニキと呼ばれることも。ニーサンとも呼ばれるが、いかんせん(^U^)を連想させる為、現在は作中でも呼ばれていた「主任」の方で定着している。
『春休み合体スペシャル』では、執務室の背後で巨大化したライオンインベスとトッキュウオーが戦っていることにも気づかず「そんなバカな話があるか、仕事に戻れ!」「みんな…疲れているのか…?」と意にも介さなかった。
実況スレなどは「志村後ろー!」「天然ボケ」などの評価で埋め尽くされたが、元々烈車はイマジネーションの足りない者には見えないという設定があるため、徹底した現実主義者である貴虎には、本当にトッキュウオーが見えていなかった可能性もある(ただし、巨大化したライオンインベスはイマジネーションなど関係ないので見えるはずなのだが、こちらも全く気がついていない)。ちなみにこの件で「メロニキに言わせてこそ意味がある」「人選わかってるな」と貴虎と作品両方の好感度が上がった。
劇場版でシャムビシェが作り出した夢の世界では入院している妻がいるという設定で登場。妻は誰かは明かされていないが、この世界では死んだアーマードライダーも生活しており、時系列的にも『鎧武外伝』第1作の後なので彼女なのではないかと思われる。
演じる久保田悠来は『仮面ライダー THE NEXT』にも出演しており、エピローグで『CRぱちんこ仮面ライダー ショッカー全滅大作戦』を打っていた最中にChiharu怪人態に襲われる男性を演じていた。また、特撮とは関係無いが、『戦国BASARA』で伊達政宗役を演じている。
ちなみに本作への出演が決まった際には、パイロット監督を担当した田﨑竜太が嘗て手掛けた『実写版 美少女戦士セーラームーン』を観たそうである。(なお、全くの余談だが、メイン5人の演者のうち1人は『鎧武/ガイム』にて主人公の姉を演じている)
ちなみに彼が変身する斬月のモチーフであるメロンの花言葉は「潤沢」、「裕福」など富裕層である彼らしい花言葉となっている。
劇中では人を見る目があまり無かった(というより身内に甘いと言った方が正しい)彼だが、『鎧武/ガイム』終了後は観察眼がより洗練されたらしく、ゲーム「ライダーレボリューション」ではグレムリンや白い魔法使いの本質を冷静に分析しており、地獄兄弟に至っては努力を放棄したクズとまで言い放っていた。この時にキックホッパーからは「お前はいいよなぁ…部下から慕われて。オレなんてすっかり見放されたよ。」と僻まれたが、当の貴虎兄さんだって矢車同様に部下に見放された経験持ちである。そこから這い上がったかどうかが矢車と貴虎を大きく分けた差なのだと思われる。
関連タグ
関連・類似キャラクター
- 鎮宮雅仁:『舞台仮面ライダー斬月-鎧武外伝-』の登場人物。貴虎の親友で境遇も似ている。
- 神代剣:ノブレス・オブリージュを信念とする剣使いのサブライダー。
- 登太牙:サブライダーの先輩、「敵組織によって最初に開発された変身ベルトを使用して白いライダーに変身」「冷徹な言動が目立つが、本質的には非情に徹しきれない性格」「使命感と責任感が強く、自分の行動や考えが最善だと信じて疑わない」「身内や親しい者や気を許した者には優しさや甘さを見せる」「敵組織のトップ」「大企業に所属している」「ライダーに変身する弟がいるが、当初はお互いの正体を知らなかった」「敵組織のトップである厳格な父親がいる」「大切な女性がいる」「弟の本心を察せず、弟への愛情表現も交流関係も教育も独善的なものだった事が原因で自分の行動や善意が裏目に出てしまう」「当初は親しい者以外の存在を見下していた」「主人公に怪人を嗾けた事がある」「弟を自分の組織に勧誘する」「大切な女性を自分が知らない所で同じ組織の者に殺される」「部下に裏切られて組織のトップの座を失ってしまう」「様々な要因が重なって弟と対立してしまう」「弟に敗れてしまう」「最終的には弟と和解し、別の方法で未来を切り開こうとする」といった多くの共通点がある。
- 氷室幻徳:敵組織のトップにいた4号ライダーの後輩、「冷徹に見えるが、本質的には人間味を感じさせる甘さを持つ性格」「当初は主人公と敵対しており、モルモット扱いするなど冷酷な言動が目立っていた」「父親も組織のトップである」「『特に信用してはいけない人』の話をやたらと信じてしまい、自分だけ蚊帳の外にされる」「物語中盤で組織を追放される」「最終的には主人公と和解する」等の点も同じ。
- 天津垓:貴虎の当初のコンセプト(主人公の前に巨大な障壁となって立ちふさがり、幾度も主人公に敗北や挫折を与え続けるライバル)を悪い意味で拾い上げて悪い意味で発展させた存在。
- スコルピオ:4年後のスーパー戦隊に登場するそっくりさん。主要人物の実兄である点も共通している。
4号ライダー変身者