モロボシ・ダン
もろぼしだん
「名前? そう、モロボシ・ダンとでもしておきましょう」
「デュワッ!!」
概要
外見年齢23歳。漢字表記は諸星弾。M78星雲光の国からやって来た恒点観測員340号ウルトラセブンの仮の姿で、ウルトラアイを着眼して変身。
地球人の青年・薩摩次郎の勇敢な行動に心を打たれたセブンが、彼の魂と姿をモデルにしたことが第17話で判明。すなわち彼は、宇宙人たるセブンの変身による仮の姿であり、地球人・ハヤタと一心同体となったウルトラマンとは異なる。
彼の意識は宇宙人そのものであるが、性格は温厚かつ誠実で、天真爛漫でお茶目な部分も見られた。
第1話でのウルトラ警備隊メンバーとの初対面時の、上記の爽やかな偽名紹介や、第26話で超兵器R1号の使用についての意見にフルハシ隊員に対して「それは血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」という名言を言い放ったり、第31話で宇宙細菌ダリーに寄生され隊員たちを陰から襲う少女に「こんな美しい顔で血を吸うわけがない」と言って疑いたがらないシーンが、ファンには有名。騙されやすく、変身に必要なウルトラアイを何度も何度も盗まれている。このため、ウルトラアイを盗むなら女性に化けたほうがいいとヒーローショーでもネタにされる始末である(ファンはウルトラアイを取られることを「ゆダンする」と表現するらしい)。
第1話で風来坊として登場し、ウルトラ警備隊に協力した功績によって入隊。
最終回(第49話)でアンヌ隊員に「僕は…僕はね、人間じゃないんだよ!!M78星雲から来たウルトラセブンなんだよ!!」と自らの正体を告白。アンヌの前でセブンに変身し、パンドンを倒してウルトラの星に帰還。
その後
帰ってきたウルトラマン
ナックル星人に捕まり、処刑されかけたウルトラマンジャックを、初代ウルトラマンとともにウルトラの星作戦を実行し救出する。その際、初代マンが擬態したハヤタと握手している。
ウルトラマンタロウ
タロウ=東光太郎から他の兄弟とともにバーベキューに誘われる。その際、来場が遅れるゾフィーについて、「ゾフィーのことなんかいいよ」と問題発言をした。テンペラー星人に勝利して有頂天の光太郎にチームワークの大切さを説いた(このとき既に『レオ』でのスパルタさの片鱗を見せているという感想も)。さらに、ZATの北島隊員の体を借りた。
ウルトラマンレオ
レギュラーとして再々登場。MACの隊長として地球防衛の任務に当たるが、マグマ星人たちとの戦いで右足を負傷した上に、ウルトラアイが壊れて変身不能となってしまったため、レオ=おおとりゲンに地球防衛を託してMACにスカウトした。最後の超能力としてウルトラ念力が使用できるが、寿命を縮めてしまうばかりか体力を一時的に消耗してしまう。背番号は「1」(隊長ゆえに)。
以降は杖をつきながら(杖は銃などが備わっている)、ゲンを厳しく鍛えた。片足が不自由とはいえ戦闘能力は高く、等身大の宇宙人と互角に戦っている。
ダンは自らが戦えない苛立ちや、元々戦士でないゲンを速く鍛え上げなければという焦りからか、元来の温厚さは影を潜め、かなりキツい性格描写がされている。しかし、
- 怪獣を倒したゲンを褒め讃える
- わずかでも隊員の生存率向上のため、マッキーのエンジンを交換させる
- 負傷した青島隊員を療養のために温泉に行かせる
- ギロ星獣と友情を育んだ梅田トオルから「怪獣をすべて倒せばいいと思ってるんじゃないか」と非難され、レオにギロ星獣を蘇生させる
- ロンを思うあまり戦闘を躊躇したゲンをMAC隊員失格と非難しつつも、特訓を課さなかった
- フリップ星人によって犠牲となった隊員に花を供える
といった、そこまで鬼ではない一面を見せている。
また、話が進むに連れてゲンとの間に本当の信頼関係が育ち、確かな尊敬を得ている。防衛チーム隊長という立場上、レオに頼るまいとする一方、同じ宇宙人であるゲンには信頼を寄せている。
「免許皆伝だ!」
第21話での対ノースサタン戦を最後にゲンに免許皆伝を与えて修行を完了させた後、本来の温厚かつ天然な性格が戻ってきており、第29話にてウリーの育ての親であるアンヌ似の女性を本物のアンヌと思い込んでアプローチをかけたこともあった。
第39話でババルウ星人の策略でウルトラの星が地球に接近してきた時には、ウルトラマンキングからウルトラの星への帰還を勧められても、地球人として地球とともに死ぬ覚悟を示していた。また、高倉長官がウルトラの星爆破を決定した際には猛反対している。
「お前の命はお前一人のものでないことを忘れるな!!」
第40話のシルバーブルーメ襲撃時、ゲンにそう言い残して消息不明となる。しかし、後にウルトラの母に助けられ、無事にM78星雲への帰還を果たす。ウルトラアイは、第34話でジャックによってウルトラの星に持ち帰られており、修理が完了したようで再びダンの手元に戻り、変身能力も取り戻している。
『レオ』は企画当初、MAC隊長は川上鉄太郎という名前の地球人であり、ゲンの正体を知った川上がゲンを鍛え、そして協力するという設定で、製作側では当初から川上役には森次晃嗣を起用する予定だった。だが、森次はウルトラシリーズでダン以外の役を演じることに異を唱え出演を逡巡したため、隊長をダンに変更して再度オファーを行った結果、森次も承諾した。また、「ゲンを鍛える鬼隊長」という川上の人物設定は、実際に採用された本作でのダンのキャラクターに反映されており、本作でのダンの厳しさは、製作側の設定、森次の希望が融合した産物と言える。 なお、川上は企画書では「怪獣との戦いで変身できなくなったセブンは、川上鉄太郎と名乗り、最終回まで、レオに正体を明かさないことになっていた」と記載されており、ダンと同一人物の予定だった。
ウルトラマンメビウス
劇場版の冒頭=本編の20年前、他の兄弟とともにUキラーザウルス=ヤプールを変身能力と引き換えに神戸沖に封印。六甲山で牧場経営者として暮らしながら、Uキラーザウルスの封印を監視。変身したら命が危うかったが、メビウスの危機に際して他の兄弟とともに変身し、宇宙人連合や復活したUキラーザウルスと戦った。
第46話でメビウスがグローザムに敗れた際、馬に跨って登場し、絶望しかけたコノミ隊員を激励。セブンに変身し、復活したメビウスとともにグローザムに立ち向かった。また、ヒビノ・ミライにはかつて自分がゲンとともに経験した哀しい出来事について触れている。
「俺が受けた悲しい思いは、君に味わせたくない」
ULTRASEVENX
最終回(第12話)に登場。元の世界に帰還した際に、アンヌと再会していた。
ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE
ウルトラの星が氷の星と化したことでエネルギーの激しい消費によって、セブンは巨体を維持できなくなったため、ダンの姿となった。カプセル怪獣たちを召喚してベリアルの尖兵である怪獣たちと戦わせるなどしていた。
それ以外の作品
映像作品
平成ウルトラセブン
ダンとしては「地球星人の大地」から登場した。
メトロン星人の侵略を阻止すべく奮闘したが、この時の戦いで一時的に記憶喪失になってしまっていた。
これを克服してからは旅をしつつ再び地球防衛に就くが、既にウルトラ警備隊を離れていたこともあり、新生ウルトラ警備隊のカザモリ・マサキ隊員の姿を状況に応じて使い分けていた(このときは本物をカプセル怪獣のカプセルに収納して入れ替わる)。
しかし、最終章6部作では、壊滅した月面基地でフルハシを看取った後で地球に戻ってヴァルキューレ星人の侵略行為によって、瀕死の重傷を負ったカザモリを治療のためにカプセルに収納したためカザモリとしての活動が多くなった(それが仇となり、防衛軍の取り調べで宇宙人であったことがバレてしまった)。
フレンドシップ計画を知って、人類に絶望しかけるが、疑いをかけられながらも諦めなかったウルトラ警備隊の面々を見て、最後の望みをかけた。『私は地球人』でカザモリとフルハシに別れを告げて地球を去った。
漫画
ULTRAMAN
諸星弾という青年が科学特捜隊の隊員として登場。主人公の早田進次郎(ハヤタ隊員の息子)と共にウルトラマンスーツを着て悪の宇宙人と戦う。
だが、性格は好青年であった原典のモロボシとはまるっきり正反対で、宇宙人のことを徹底的に嫌悪しており、多少なりとも同情できるような事情を抱えていた相手であろうと一切容赦せずに始末しようとするなど、冷酷な側面が目立つ。
ちなみに、人間のような姿をしているが、実は地球とは違う星で生まれ育った異星人である。
ウルトラ怪獣擬人化計画 feat.POPComiccode
風上旬の漫画作品。
初期のころから、メトロンやゴドラと戦ったセブンの人間時の姿として度々話題に上がることがあった。なお、かつて拳を交えたメトロンやゴドラは(姿が変わったこともあってか)ダン=セブンにぞっこんという設定であり、この作品ではどいうわけか無茶苦茶モテまくる男になっている。
その後、テンペラー・アントラー・メトロン・ゴドラは地球を訪れた際に、上記にもあるカフェレストラン「ジョリーシャポー」の存在を知り、あわよくばセブン=ダンを始末しようと(メトロンとゴドラは寧ろダンに会えることを期待して)店を訪れることになる。しかし、当然ながら店内にモロボシ・ダンの姿はなく、いたのはかつてダン役を演じた俳優の森次晃嗣氏その人であった。
「邪魔なウルトラ戦士はいない、これで地球は手に入れたも同然だ」と大はしゃぎする一同であったが、周囲の客を顧みない迷惑な行動を見兼ねた森次氏は「うるさい! 食べろ!!」と彼女たちを一喝する。
本物のダン=ウルトラセブンさながらの迫力に気圧されたテンペラーたちはすっかり意気消沈してしまい、やがて言い知れぬプレッシャーを感じて逃げるように店を出てしまう。
しかし、そんな彼女たちを森次氏が呼び止める。
森次氏は、いきなり怒鳴ってしまったことを詫びた上で、
「旅先でハメを外したい気持ちはあるだろうけど、その土地で礼を欠くようなことをしてはいけないよ」
「大人しく食べてくれるなら大歓迎 是非またいらっしゃい」
と、最後は温かく少女たちを送り出すのだった。
「変わった子たちでしたね 外国人なのかしら」と訝し気に語る店員に対し、森次氏はまるですべてお見通しであったかのような表情でこう言うのだった。
「そうだな もっと遠く…宇宙から来たのかもしれないね」
ライブステージ
ウルトラマンプレミアステージ2
アーマードダークネスが宇宙人軍団たちの手に渡る事を防ぐべく、ハヤタとともに高山我夢や春野ムサシ、そしてGUYSに協力を申し出た。
一度はウルトラマンとともに磔にされてアーマードダークネス強化のための贄にされかかるが、ムサシによって救出される。
実はフロス星の人々をフロスエナジーを狙う宇宙人たちの魔の手から守った2人の勇者の1人であり、本作の敵勢力である宇宙人軍団はこの時に戦った宇宙人の仲間である。
GUYSスペーシーと一緒になって狩野英孝のコントを披露したり、「宇宙のイケメンウルトラセブン」や「宇宙一の色男」を自称したりとコミカルかつノリのいいシーンも見られた。
関連タグ
ウルトラ警備隊 キリヤマ隊長 フルハシ・シゲル ソガ アマギ 友里アンヌ
ウリンガ:私生児?
モロボシ・シン:ウルトラマンプレミアで息子が地球人と一体化した際に名乗った名前。ちなみに???と一体化した際の息子は自身と同じくウルトラマンの声と地球人の姿が一致している。
カザモリ・マサキ、ジン…別作品におけるウルトラセブンの変身者。『タロウ』でも他の兄弟たちとともに、ZATの隊員に憑依して変身したこともある。
クレナイ・ガイ:同じく風来坊なウルトラ戦士変身者。キャラクターコンセプトは「モロボシ・ダンがウルトラ警備隊にスカウトされず風来坊を続けていたら」であるとの事。劇場版および後日談で共演している。
ジャグラスジャグラー:上記のガイのライバル。こちらもレギュラー出演後、別作品で防衛チームの隊長の座に収まって行動していたことがある。
ヒルマ・ゲント:『レオ』におけるダンと同様、防衛チームの隊長兼ウルトラマンの変身者という珍しい存在。ただし、「登場作品の主人公」「ウルトラマンと一体化した地球人」といったダンとの相違点もある。
黄山純:同じく映画館で煎餅を食べていた特撮キャラ。
歴代ウルトラマンの主人公系譜