概要
ロックマンゼロシリーズに登場する、ネオ・アルカディアの中でも特に地位の高いレプリロイドの総称。
その立ち位置上、Xシリーズにおけるイレギュラーハンターとほぼ同意義の存在だが、ゼロシリーズにおける「イレギュラー」の立ち位置はレジスタンス(シエル)及びそれに加担するゼロの方である為、四天王や一部の大型メカニロイドと並んで、所謂同作の「ボスキャラクター」に相当する存在にあたる(ただし、ゼロ1とゼロ2においては従来の「8ボス」概念と扱いが少々異なり、それぞれ6体ずつしかいない。これについては余談を参照)。
故に、いくつかの個体はゼロによって倒されている他、ドクターバイルに改造されて「(Xシリーズの)本来の意味に近いイレギュラー」に成り果ててしまった者達もいる。
基本的にはロックマンゼロ1とゼロ2に登場する四天王配下のレプリロイド達を指すが、ゼロ3及びゼロ4に登場するバイル八審官やアインヘルヤル八闘士等の無所属の者も含まれる。
また、バイル八審官は司法関係者という役職上、動植物型の「戦闘形態」とは別に「人間形態」が備わっている。
ちなみに、四天王の名称も神話が由来であり、コピーエックスにも天使や神の意匠が含まれているが、彼らはエックスを基にした存在(クローン)である為、ミュートスレプリロイドとは別に扱われている。
更に言うと、中ボスや大ボスのメカニロイドのモチーフにも伝承上の生物が関わっていることもある。
デザイン
デザインは「ミュートス(神話)」の名前を取っているように、その個体のほとんどはXシリーズのレプリロイド(8ボス)に多かった動植物モデルに加え、神話などの登場人物(英雄や神)、伝説上の幻獣や神獣(架空生物)などのモチーフを混ざたデザインになっている。
なお、元々の架空生物が現実世界の動植物モチーフであれば、動植物の方のモデルもそのままな場合も多い(象+ガネーシャ、馬+ペガサスなど)。
これらのデザインの特徴はメタ的には「今までのシリーズボスとの差別化」の部分があるのだが、設定的には「人々が新たなる信仰を求めた結果」というような理由もある。
必ず四肢が存在していた8ボスのレプリロイドとは異なり、モデルの生き物に忠実な造形になっているのが特徴(ただし、完全に地上での活動を諦めたような形状の者達もいる後続作品のフォルスロイドと違い、基本的にはある程度二足歩行ないしそれに近い物が可能な形状にされているのは今までと変わらず)。
それ故、見た目はエックスやゼロ達と同様に、Xシリーズから大きく様変わりしているように見えるが、前者の二人については「世界観の変更に伴うもので設定的に見た目は変わっていない」と公式で明言されている。
したがって、ミュートスレプリロイド達も本来はXシリーズのようなフォルムなのかもしれない。
ちなみに、シリーズが一新して時代的にもかなり離れた世界観になっている為か、ブリザード・ヴォルファングとフェンリー・ルナエッジ、ボルト・クラーケンとテック・クラーケンなど、Xシリーズとモチーフが同じ(或いは近い)ボスもいる。
ネーミング
個体毎の命名規則は「〇〇・〇〇」とXシリーズの8ボスと同様だが、Xシリーズとは逆に「(モチーフを捩った生物または架空生物の名前)+(能力名)」という順に名付けられることもある。
また、そもそも3つ以上の単語で形成されていることも少なくない上に、モチーフ名や能力名が前後で分割されることもある。よって、順番については規則性は無くXシリーズとしては異質とされた名前を持つ「メタルシャーク・プレイヤー」のような存在がザラにいると考えて良いだろう。
更には、「アステファルコン」や「ハヌマシーン」などのように名称に中点(・)が入っていなかったり、正式名称にまで漢字が含まれている「アヌビステップ・ネクロマンセスⅢ世」のような、型破りなネーミングの者達もいる。
異名についてもXシリーズに引き続き健在。ただ、「ミュートスレプリロイド以外の四天王やメカニロイドなど8ボス以外にもしっかり付けられている場合がある」と言う、Xシリーズとしてはやや異なる部分もある。
各作品毎のボス一覧
※ネオ・アルカディア全体を含めた所属の一覧は「ネオ・アルカディア」の記事に存在する為、こちらは登場作品毎の所属順に記載し、その他のボスは一部詳細省いての記載。太字の物は最終ミッションのボスラッシュ時に再戦するボス。
ロックマンゼロ1
名称 | 属性 | モチーフ | 備考 |
---|---|---|---|
裂空軍団 | |||
稲光る極鳥 アステファルコン | 電気 | 鷹+グリフォン | OPステージ2のボスの為再戦しないが、次回作で姿だけ再登場。 |
ライトニングビートル ヘラクリウス・アンカトゥス | 電気 | ヘラクレスオオカブト+ヘラクレス | 最初に戦うのは終盤なのだが、ボスラッシュで再戦。 |
塵炎軍団 | |||
冥界の聖掃王 アヌビステップ・ネクロマンセスⅢ世 | 氷 ※1 | ジャッカル+アヌビス | 一時的な加入であり、本来は無所属。 |
冥海軍団 | |||
剛球大魔神 マハ・ガネシャリフ | 炎 ※1 | 象+ガネーシャ | |
絶対零度鹿王 ブリザック・スタグロフ | 氷 | ヘラジカ+不明 ※2 | |
斬影軍団 | |||
知恵の超猿 ハヌマシーン | 炎 | 猿+ハヌマーン |
※1…いずれも弱点属性から推測した属性であり、基本的には無属性の攻撃しかしないことから、弱点があるのは救済処置と思われる。現に、本来は無属性と思われるラスボスも第二形態にのみ弱点属性が設定されている。
※2…明確なモチーフが明かされていない為、ウェンディゴやトラゲノフ、イホウンデーなど他にもいくつかの候補が推測されている。
ロックマンゼロ2
名称 | 属性 | モチーフ | 備考 |
---|---|---|---|
裂空軍団 | |||
雷霆の黒豹 パンター・フラクロス | 電気 | クロヒョウ+フラウロス | 前半ボス。 |
挟撃の風神 クワガスト・アンカトゥス | 電気 | クワガタムシ+風神 ※1 | 中間ミッションのボス。再戦時は……。 |
塵炎軍団 | |||
幻惑の炎帝 フェニック・マグマニオン | 炎 | 鳥+フェニックス | 前半ボス。斬影軍団から移籍。 |
冥海軍団 | |||
氷刃の熊将 ポーラー・カムベアス | 氷 | シロクマ+不明 ※2 | 前半ボス。 |
斬影軍団 | |||
幽林の忍蛇 ヒューレッグ・ウロボックル | 無 | 蛇+ウロボロス | 前半ボス。 |
樹陰の門番 バーブル・ヘケロット | 無 | 蛙+ヘケト | 後半ボス。 |
※1…モチーフは電気使いの兄の存在からの推測。
ロックマンゼロ3
バイル八審官(バイルナンバーズ)
※名称一覧のみ記載。詳しくは当該記事を参照。
- 神死慟瞑 ヘルバット・シルト
- 曼荼羅火砕竜 ブレイジン・フリザード
- 凍葬の死兎 チルドレ・イナラビッタ
- 殺刃祈祷師 デスタンツ・マンティスク
- 能鰻雷神 ヴォルティール・ビブリーオ
- 百念の狐毒 キュービット・フォクスター
- 超球氷覇王 グラチャー・レ・カクタンク
- 咬哭の守護 トレテスタ・ケルベリアン
復活ボス
名称 | 属性 | モチーフ | 備考 |
---|---|---|---|
知恵の超猿 ハヌマシーンR | 炎 | 猿+ハヌマーン | 中盤ボス。 |
絶対零度鹿王 ブリザック・スタグロフR | 氷 | ヘラジカ+不明 | 中盤ボス。 |
冥界の聖掃王 アヌビステップ・ネクロマンセスV世 | 電気 | ジャッカル+アヌビス | 中盤ボス。復活にあたり名称と属性が変更された。 |
いずれも四天王失脚により、バイルの配下となっている。また、3体を撃破するとコピーエックスMK2と直接戦いに行くミッションが追加される。
ロックマンゼロ4
※名称一覧のみ記載。詳しくは当該記事を参照。なお、テック・クラーケンは元々斬影軍団所属である。
- 天翔ける神槍 ペガソルタ・エクレール
- 熱愛の蝶姫 ソル・ティターニャン
- 凍月軍狼 フェンリー・ルナエッジ
- 崩蝕の樹婦人 ノービル・マンドラゴ
- 双極の角頭王 ミノ・マグナクス
- 回天の死聖 ヒート・ゲンブレム
- 深淵なる怪嘯 テック・クラーケン
- 鶏眼なる賢蛇 プープラ・コカペトリ
ミュートスレプリロイド以外のボス
※体力ゲージが表記される物のみ記載。/○○はモチーフまたは名前の由来。異名が存在する者もおる為、彼等の異名についてはネオ・アルカディアの記事参照。
- ゼロ1
- ゼロ2
- ゼロ3
- ゼロ4
余談
なお、一覧を見れば薄々分かるかもしれないが、差別化を図りたかったのかゼロシリーズは従来のシリーズと比べると「8ボス」の概念が薄く、今までのロックマンシリーズと比べると例外が多い(特にミュートスレプリロイドが6体しかいないゼロ1とゼロ2が顕著)。
ゼロ1
- ロックマンシリーズ恒例の選択方式のミッションがそもそも9つあり、登場するボス系統(ミュートスレプリロイド・四天王・メカニロイド)に統一性が無い。
- 上記の通り、一部のミュートスレプリロイドが選択方式以外のミッションにも登場する。
- ミッションクリア後の獲得報酬もまばらで、武器・エレメントチップ・サイバーエルフのいずれかもしくはそれら複数を入手する。
- 最初に手に入るエレメントチップの「サンダーチップ」もOPステージ2のアステファルコンから確定で入手する。なお、開発も「らしくない」と思ったのか後の作品ではボスからEXスキルが獲得出来るようになった。ちなみに後述の通り、後の作品にはOPステージ2の時点で戦う上に属性持ちの能力を奪える8ボスが登場した。
- これまたシリーズ恒例のラストステージの再戦ボスラッシュも特殊で、「アステファルコンとハヌマシーンを除いた4体のミュートスレプリロイド+四天王」という形式。
- また、選択ミッションにはいなかった終盤ボスの1番手(レジスタンス襲撃を含めると2番手、中ボス含めると4番手)も含まれている。彼の登場ミッションはこのミッションの2つ前であり、再戦タイミングが異様に早い。
- 補足するとゼロ3やZXAと言った能力が奪えるボスが多い作品や終盤ステージの少ない一部のXシリーズでは、「2つ前のステージボスがボスラッシュに出ること」自体は少なくない。しかし、彼らはあくまで「選択ミッションで選べる相手の1体」に過ぎず、終盤ステージの1ボスとして現れた者がボスラッシュにも現れる例は現状彼のみ。
- ちなみに、「ミュートスレプリロイドの中だけ」と「(弱点属性からそのまま推測した)属性だけ」という条件付きで見るなら、ゼロ1は「電気・炎・氷が各2体ずつだけで無属性はなし」とバランス自体は良かったりする。上記の通りアステファルコンは通常プレイでは弱点を突けないが、後の作品の「Zチェイサー」モードではほぼフル装備で彼に挑める為、アイスチップの攻撃がしっかり弱点であることが確認できる。
- また、選択ミッションにはいなかった終盤ボスの1番手(レジスタンス襲撃を含めると2番手、中ボス含めると4番手)も含まれている。彼の登場ミッションはこのミッションの2つ前であり、再戦タイミングが異様に早い。
ゼロ2
- 選択ミッションは8つになったが、後半のミッションは他のミッションが全員四天王の中、無属性担当は1体だけミュートスレプリロイドが務めている。
- 獲得アイテムは前半の属性持ちミュートスレプリロイド3体からエレメントチップ・他の8ボスからもEXスキルが手に入るようになったが、選択ミッションにはいないボス2体(合計10体)からもEXスキルが手に入る。
- 内1体はミュートスレプリロイドである為違和感は少ない(そのせいで代わりにハルピュイアのEXスキルが無属性になってはいる)が、もう1体はなんと終盤ボスの1体であるレインボーデビルMk-Ⅱからなので初見は驚くことであろう(属性や所属、登場タイミングからして彼の代わりなのであろうか)。
- ゼロ2でもボスラッシュは特殊な形式であり、復活ボスが(案の定選択ミッションにいない彼含めた)ミュートスレプリロイド6体しかいない。属性バランスも無×2・炎×1・氷×1・電気×2と歪。
- ゼロ1と逆に四天王が相手にいないのは、ここに来るまでの間に別の機会で既に再戦しているからである為と思われる。というか、厳密には6体どころか実質合計7体と戦う羽目になり、そうなると電気属性は3体ということになる。
ゼロ3
- 選択ミッションが合計12個。
- なお、構成は「バイル八審官+上記再生ボス4体(コピーエックスMK2は実質一択だが)」な他、かつ全てのボスからエレメントチップ含めたチップとEXスキルを1つずつ入手できる仕様で、再戦ボスも八審官だけである為、前二作より違和感はかなり軽減されている。
なお、こうした傾向はシリーズが進む毎に落ち着いて行き、最終作のゼロ4ではほぼ完全に初代やX時代の「8ボス」らしく、最初から8体のボスから選んで戦える(及び再戦できる)方式となっている。
また、後のシリーズであるロックマンゼクスアドベントは「前作と同じような探索形式」と「従来のミッション選択方式」が混ざった形にはなっているが、能力を獲得出来るボスが(8ボスという概念自体はしっかりあるが)13体とかなり多くなった為か攻略順がある程度固定されている上、同時に選べるボスの傾向も属性や系統がバラバラになっている為、ある種ゼロ1に近い形となっている(OPステージ2で戦う8ボスが炎属性で、後半ボスの属性が無・電気・氷とまばらになるのも特徴的)。
関連タグ
ネオ・アルカディア ネオ・アルカディア四天王 コピーエックス ドクターバイル
プロメテ/パンドラ/ヘリオス/アトラス/テティス/シャルナク…後続作品シリーズに登場するロックマン達。彼等の名前も神話が由来であり、四天王と似たような立ち位置にいる(追加メンバーである後者4人に関しては、そのまま四天王のライブメタルを使う為、偽四天王などと呼ばれることもある)。
歴代8ボス