概要
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第141巻収録「あこがれライダーの巻」で亀有公園前派出所の中川圭一が発した台詞。
物語冒頭、両さんが「御面ライダーV15スーパーSRV-ZG」の超合金を買ったところから話は始まる。作中において「御面ライダー」は放送開始から12シリーズ続く名作特撮番組であり、両さんは本田速人とライダー談義に花を咲かせる。
そこに中川が声をかけるが、中川は「御面ライダー」シリーズを知らなかったので、両さんはなぜか偶然派出所に持ってきていた今までの御面ライダー超合金を用意し、説明する。
最初こそ中川は第1作「御面ライダー」と第2作「御面ライダーXR」を見て興味深そうな様子を見せるが、続く第3作「御面ライダーイントルダー」、第4作「御面ライダーWWW8823(スリーダブルハヤブサ)」、第5作「御面ライダーアヤマルンダーV6」辺りになってくると最早違いが全く分からず、思わずこう言ってしまった。
「全部同じじゃないですか!?」と…。
それを聞いた本田は「ちがいますよーっ」と即座に否定、両さんは呆れて「これだからしろうとはダメだ!もっとよく見ろ!」と細かく違いを説明していくのだが、それさえも中川には全く理解が追い付かないものであった…。
このシーン、所謂こち亀でよくあるサブカルパロやカルチャーギャップギャグの描写で、連載後期でも同じ趣旨の発言が中川に限らず度々見受けられる。
このエピソード以前の第105巻収録「両さんの超合金講座の巻」でも両さんがデンジマンとゴーグルファイブとダイナマンの人形を一斉に並べ、中川が「違い…ありますか?」と焦る話がある。
そこから転じてオタクあるあるな膨大なバリエーションを持つキャラクターやグッズ、文字通り見た目の変化がほとんどないものに差し替えたクソコラの素材にされている。
きっかけは不明だが、2017年夏ごろにふたば☆ちゃんねるから流行し、9月にはTwitterでも広まり始めた。しまいには水戸美術館がtwitterで自作クソコラを宣伝に使用し、『こち亀』を制作していたアトリエびーだまから大目玉を喰らうハメになっている。
なお最後2コマは本来両さんがシリーズの違いを説明する内容だが、コラでは更なるバリエーションを見せる内容に変わってることが多い。
因みに元ネタのコミックでは、「御面ライダー」の搭乗するバイクに張られているシールの位置が違うだけで、物自体はほぼほぼ同じである。
コレはスポンサー契約の都合で1年の放送ごとに新シリーズに切り替える際に、今までの物はそのままにシールを張り替えるだけで再利用し、玩具販売の在庫を減らし無駄を無くしていると「大人の事情」を両さんが解説している。
ホントに全部同じじゃないですか……
余談だが上記の超合金回の後半は両さんが「超合金両津勘吉」を使い回してパロディ商品を乱発する話で、契約のための強引な新シリーズ化も愛野神女作品のアニメ化に際してマネージャーを騙ってやらかしたことがある。
関連イラスト
pixivでもだいたい同じノリで使用されている。
更にこんなパロディイラストまでも…
全部同じじゃないですかの例
- 初代ウルトラマン/ウルトラマンジャック/ゾフィー:細かな差異があるが、一般人にはみんな同じに見えるの代表格。デザインの大元が初代ウルトラマンから始まっている為、そう思ってしまうのも仕方がない…気がする。そして『オーブ』にてフォームチェンジ素体に昭和シルバー族からはこの3名という人選よ…。
- グリッターティガ/グリッターバージョン/クロスオーバーフォーメーション:ファンですら意見が分かれる例。全部金ピカになったウルトラマンティガの最終形態ということでしばしば混同されるが、グリッターティガだけは身長が120mもあり、全ての技が形態専用技になるという一応の見分け方がある。
- また、グリッターバージョンとクロスオーバーフォーメーションは「ティガ以外のウルトラマンも一緒にグリッター化する」「金ピカになる以外はグリッター化前から全スペックが変わらない」などグリッターティガとは明確に区別されているが、これらの差異は現在も不明。
- また、グリッターティガになれる条件についても諸説あり(オリジナルのマドカ・ダイゴが変身したティガでないと変身できない、等)、今後さらにグリッター系の形態が増える可能性も否定できない(ショーの「グリッターティガ」など)のでファンでも気が抜けない。
- ガラモン/ピグモン:作中のサイズを別として「Q」と「マン」において実はスーツをそのまま使いまわしてるわけではなく、中の人に合わせてガラモンからピグモンは少し背が伸びている。風船を持ってるかどうかで見分けたほうが手っ取り早いとか言うな!
- バルタン星人二代目/バルタン星人三代目:上記のウルトラ戦士共以上に差異が分かりづらいのがこいつら。実は体色や色彩が微妙に違う。他のバルタン星人と比べても見分けにくい。
- 令和ライダー3名の最終回限定フォーム
- 仮面ライダー1号と仮面ライダー2号
- ゴジラと怪獣全般:ゴジラが国産怪獣映画第1作という事もあり、怪獣をよく知らない中高年からは怪獣は一纏めでゴジラと呼ばれてしまう事も…。
- 伊福部昭の映画音楽
- ゴジラシリーズでおなじみの伊福部昭の映画音楽はスケジュールの都合もあってかメロディが使い回されることが多く、「地球防衛軍マーチ」かと思いきや『わんぱく王子の大蛇退治』だったなんてこともありうる。
- 一例としては冒頭部のメロディがともに「吉志舞」をベースとする「フリゲートマーチ」「宇宙大戦争マーチ」「怪獣大戦争マーチ」は同じ楽曲(のアレンジ版程度)と思われてしまうだろう。
- ちなみに『シン・ゴジラ』のクライマックスで使用されたのは「宇宙大戦争マーチ」。怪獣の語が存在せず巨大不明生物と呼称されているためか?
- 色違いポケモン:普通の個体と体色が違う特別なポケモンたち。でも中には体の一部だけ色が違う、なんてことも…。
- ピチュー/プラスル/マイナン:同じ電気系のねずみポケモンで顔つきが似ているからか、詳しくない人からはたまに同種と間違われることがあるが全部別種のポケモンです。
- カップ焼きそば現象
- 容姿は似てるけど、登場作品などが全く異なる例。我が国ではこれだけ娯楽が発展し、影響を受け合う事も珍しくない為、どこかしらの属性が似たキャラクターがあちこちに登場するのはある種の必然なのかもしれない…。
- アニメキャラクター
- 「最近のアイドルは皆顔が同じ」という評価と似たようなもの。
- 前述の「カップ焼きそば現象」と重複するが、近年のアニメやゲームなど、作品も作風も根本的に違うのに、同じような属性を集めた結果、似たような容姿のキャラになった、というパターンもしばしば見られる(例:金髪でツインテのツンデレキャラ、など)。
- 同じ作者が描いている為に顔パーツが似通うというパターンもあるので、これを完全に否定するのは難しい。作者の趣味であえて似せているパターンやスターシステムを採用しているというパターンもある。
- 競走馬
- 古生物
- 名前が似通っている生物
- 雑草:昭和天皇御自ら「雑草という草はない」と仰せになったことでも有名な話だが、素人にしてみれば「庭先や植え込みに勝手に生えてくる草」というだけで全部まとめて「雑草」扱いである。
- 近畿日本鉄道(特に一般形車両)
- だいたい3200系と5200系列と7000系列を除けば3つの顔(1010系顔、8810系顔、シリーズ21)に大別されるが、その3つの顔も仕様が全く違い別の車両になるため大変ややこしい。
- その5200系も仕様が異なる5209系や5211系が在籍しており、7000系と7020系も見た目が同じなのに仕様が異なるため別車両になる
- 形式番号の下1桁が0ではない車両が多数在籍(例:1233系)しており、中にはトップナンバーがその車番ではない(例6432系だが6422F)などの例も見られる。
- 特急形さえも12400系と12410系と12600系と30000系は同じ顔にしか見えない。
- 通勤形・一般形電車は基本的にその鉄道会社のイメージカラーで統一されるため、大手の鉄道会社ではどこでも似たようなことが起こり得る。
- だいたい3200系と5200系列と7000系列を除けば3つの顔(1010系顔、8810系顔、シリーズ21)に大別されるが、その3つの顔も仕様が全く違い別の車両になるため大変ややこしい。
- 京浜急行電鉄と名古屋鉄道:どちらもイメージカラーが赤い私鉄電車で時折混同される。路面電車が原点、都市間路線と空港連絡路線の2大幹線を持つ、沿線に車両メーカーがあると色以外にも共通点が多い。
- 国鉄およびJR車両:似たような見た目の通勤用車両、というのはなにも私鉄に限った話ではない。
「全部同じじゃないですか」を真面目に考える
ファンと一般人の間でこのような認識の齟齬があるのは、意識を向けている場所(属性)が違うからというのが一つの説として存在する。
ガンダムシリーズを例に挙げてみよう。初代ガンダムには"白い顔とボディ"、"鋭い2本の触角"、"赤い唇のような顎"というわかりやすい三つの属性があった為、その印象を強く受けている一般層にとっては、「機動戦士ガンダムシリーズに出てくるロボット(もっと言えば、これも正確にはロボットではなく"モビルスーツ")」というだけで、この属性のどれかを持っているだけでジムも含めて皆まとめて「ガンダム」、そしていずれの特徴もないものは「ザク」だと認識してしまうのである(なんなら全てまとめて「ガンダム」だと思う人もいる)。
一方で、ファンは細部の違いなどそれ以外の要素にも注視する為、何がガンダムで何がザクで、それがそれぞれどういう機体なのかなど、機体の名前などを正確に言い当てられるというわけである(あとは単純に知識量の差か)。
逆の立場だって同じだ。あなたが全て同じようなものだと思い込んでいる特定のジャンルに属する事象は、そのジャンルに入れ込む層にとっては皆、違うものなのである。
この他にも脳は慣れ親しんだ対象に対し、脳領域を広げ、対象を事細かに判別できるようにするという論文(出典)が2019年5月の『Nature Human Behaviour』誌上で発表されている。いわゆる「ポケモン領域」という奴である。
特定の物事に対する区別はこうした脳機能も関わっているのかもしれない。
つまり「全部同じじゃないですか現象」はどんな人間にも起こりうるのである…多分。
関連項目
ダウナーお姉さんは遊びたい:ベイブレードXでこれのパロディを行った。
きゃあ_こんなにあるの!:同じ作品が元ネタ。こちらは秋本・カトリーヌ・麗子の台詞かつガンダムパロである。
そこになんの違いもありゃしねぇだろうが! / 違うのだ!!:別のジャンプ漫画でのパロディ・コラージュ素材。こちらは2つのものを比較するのに用いられる。
世の中ナメ郎:登場初期、自分以外の他人の姿がカカシに見えていたため「人間なんてどれも同じ」と発言している。
なんだァ?てめェ……:「全部同じじゃないです」的な発言をすると返される台詞